JP3813301B2 - 熱伝導性ゴム組成物および熱伝導性ゴムシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子・電気機器に搭載される冷却が必要な電気部品等の冷却用のヒートシンクの接続に用いられる熱伝導性ゴム組成物およびそのシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピューター等に代表される各種電子・電気機器に搭載されている半導体素子等の冷却の問題は、近年、重要課題として注目されてきている。このような冷却が必要な半導体素子等の冷却方法として、それが搭載される機器筐体にファンを取り付け、その機器筐体内の空気を冷却する方法や、その冷却すべき半導体素子等に冷却体(ヒートシンク)を取り付けて冷却する方法等が代表的である。
【0003】
冷却すべき半導体素子等(以下、被冷却部品と呼ぶ)にヒートシンクを取り付ける場合、その被冷却部品とヒートシンクとの間の熱的接続性が低いと十分な冷却性能が得られない。通常、単に被冷却部品にヒートシンクを接触させるだけでは、その部分の接触抵抗が大き過ぎて十分な冷却が実現しにくい場合が多い。
【0004】
被冷却部品とヒートシンクとを半田接合等により接合すれば、これらを熱抵抗小さく接続することができる。しかしそれらの熱膨張率の相違等による熱的整合性の問題が生ずることが多い。具体的には、ヒートシンクとしては、通常熱伝導性に優れるアルミニウム材等が好適に適用される場合が多いが、被冷却部品である半導体素子はそれより大幅に熱膨張率が小さい場合が多く、従ってヒートシンクと被冷却部品との接合部で整合性が悪くなってしまう。こうなると、熱膨張率の大きな相違による反りの発生や、接合部での剥離の発生等の問題が生じることになる。
【0005】
そこで被冷却部品とヒートシンクとの間にグリスやゴム等を挟んで接触させる方法が有力視されている。グリスやゴム等を介在させれば、被冷却部品とヒートシンクの熱膨張の差を吸収して反り等の問題を抑制する上、被冷却部品とヒートシンクとの間の微小な隙間を埋め、これらの接触部の熱抵抗を小さくする効果が期待できるからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、被冷却部品とヒートシンクとの間に介在させるグリスやゴム自体は、通常、熱抵抗の大きい物質であるから、被冷却部品とヒートシンクとを高い熱的接続性で接続させることは容易ではない。
【0007】
そこでシリコーンゴムをベースに、その中に比較的熱伝導性が高い酸化アルミニウム粒子、窒化ホウ素粒子等をフィラーとして混合させたゴム組成物を、被冷却部品とヒートシンクとの間に介在させる方法が注目されてきている。
【0008】
シリコーンゴムに酸化アルミニウム粒子、窒化ホウ素粒子等を混合したゴム組成物は通常のゴムに比べ熱伝導性が高い。また、これを被冷却部品とヒートシンクとの間に介在させれば、ゴムを用いた場合と同様に、被冷却部品とヒートシンクの熱膨張の差を吸収する効果もある程度期待できる。つまり、熱膨張率の大幅な相違による反り等の問題を抑制することができる。それに加えて、部品間の寸法公差や組み立て時の誤差等を吸収する効果も期待できる。
【0009】
上述したシリコーンゴムにフィラーを混合(複合)したゴム組成物の熱伝導性を高めるためには、そのフィラーの混合量を高めれば良い。しかし酸化アルミニウム粒子や窒化ホウ素粒子等のフィラーの混合量を増やせば、そのゴム組成物が固くなってしまい、冷却部品とヒートシンクの熱膨張の差を吸収したり、部品間の寸法公差や組み立て時の誤差等を吸収する効果が期待できなくなる。
【0010】
ゴムに混合するフィラーとして、酸化アルミニウム粒子はコスト的にも優れたものであるが、混合量を高めることよってゴム組成物が固くなる傾向が顕著である。酸化アルミニウム粒子よりも熱伝導性が高い窒化アルミニウム粒子や窒化ホウ素粒子を用いれば、より低混合量でも高い熱伝導性を有するゴム組成物を得ることが可能であるが、これらの粒子は現状ではコストが高く実用性に問題がある。このように被冷却部品とヒートシンクとの間のより高い熱的接続性の実現は容易ではなかった。
【0011】
近年の電子・電気機器の高性能化やその小型化は、半導体素子等の被冷却部品の発熱量や発熱密度を増大させる傾向を伴っている。また電子・電気機器の小型化は、被冷却部品の小型化の他に、ヒートシンクの省スペース化をも要求することになる。このような事情から、被冷却部品とヒートシンクとの間のより高い熱的接続性の実現が望まれていた。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特性的にもコスト的にも実用的なゴム組成物と、熱伝導性ゴムシートを提供すべく鋭意研究を行った結果、下述の発明に至った。
即ち本発明は、アクリルゴム、ブチルゴムから選ばれるゴムまたはこれらのブレンドゴムに、疎水化された酸化マグネシウム粉末が複合された熱伝導性ゴム組成物であり、その酸化マグネシウム粉末の混合量を50〜85重量%とするものである。また、これに更に含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を1〜10重量%配合する熱伝導性ゴム組成物も提供する。
【0013】
また、上記何れかの熱伝導性ゴム組成物に、更に融点40〜90℃の有機化合物を2〜20重量%配合すると望ましい。
【0014】
上記した熱伝導性ゴム組成物を成形してシート状にした熱伝導性ゴムシートは、各種電子・電気機器に搭載される冷却が必要な電気部品等の冷却用のヒートシンクの接続に好適に適用できる。
【0015】
また、金属シートの両面に上記熱伝導性ゴム組成物を被覆してなる熱伝導性ゴムシートも好適である。
【0016】
電気部品或いはヒートシンクとの接続性を高めるために、上記した熱伝導性ゴムシートに粘着剤を被覆すると望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
通常、酸化マグネシウム粒子は吸湿性が極めて高く、そのため、特に高温、高湿下では水を吸収してボロボロになりやすいという欠点があった。しかし本発明では、フィラーとして、疎水化された酸化マグネシウム粉末を適用することで、この欠点を改善した。具体的には特開平6−171928号公報に記載された高耐水和性、高流動性酸化マグネシウムの粒子が好適に適用できる。
【0018】
一般にゴムに混合するフィラーの量を高める程、そのゴム組成物は硬くなる傾向にある。しかし、酸化マグネシウム粒子は酸化アルミニウム粒子より軟らかく、酸化アルミニウム粒子を混合する場合に比べ、同程度の混合量でも、ゴム組成物の硬度を低く抑えることが可能になる。また疎水化された酸化マグネシウム粒子は酸化アルミニウム粒子より熱伝導性が高いから、例え同程度の混合量でも、酸化アルミニウム粒子を混合する場合に比べゴム組成物の熱伝導性は高くなる。
【0019】
従って、疎水化された酸化マグネシウム粒子を用いれば、酸化アルミニウム粒子を用いた場合に比べ、硬度を低く抑えつつ、熱伝導性を一層高めることが可能になる。
この酸化マグネシウム粉末の混合量は、ゴム組成物の50〜85重量%が熱伝導性および硬度の観点で望ましい。50重量%未満では、熱伝導率が低く、また85重量%を超えると、ゴム組成物の硬度が高くなり過ぎて、被冷却部品やヒートシンクとの密着性が低下するからである。
【0020】
本発明においては、アクリルゴム(アクリル酸エステルを主成分とする合成ゴム)、ブチルゴムから選ばれるゴムまたはこれらのブレンドゴムに、疎水化された酸化マグネシウム粉末を混合する他に、更に含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を1〜10重量%配合しても良い。含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を適量配合することでゴム組成物の耐熱性を高めることができる。その配合量は1〜10重量%が望ましい。1重量%未満ではその効果が乏しく、一方、10重量%を超えると、耐熱性の向上の効果は飽和する上、熱伝導率の低下や硬度の向上を招き望ましくないからである。特に好ましい含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物の配合量は3〜7重量%である。
【0021】
また、更に融点40〜90℃の有機化合物を2〜20重量%配合することで、冷却すべき被冷却部品の熱を受けて、その有機化合物が軟化し、熱伝導性ゴムシートと被冷却部品との接触面における微小な凹凸を埋めるような効果が期待できる。この結果、熱伝導性ゴムシートと被冷却部品との熱的接続性が一層高まり、より優れた冷却性能が実現する。融点40〜90℃の有機化合物として、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の滑剤、クマロン樹脂、ポリテルペン樹脂等の粘着剤、その他低分子量の樹脂等が適用できる。その配合量は2重量%未満ではその効果が乏しく、一方、20重量%を超えると、その軟化流動性が大きくなりすぎて、耐熱性が低下してしまう。
【0022】
上記した熱伝導性ゴム組成物を成形してシート状にした熱伝導性ゴムシートは、被冷却部品とヒートシンクとの間に介在させるものとして好適である。また、金属シートの両面に上記熱伝導性ゴム組成物を被覆することで形成した熱伝導性ゴムシートは、特にそのシートの面方向(面に沿った方向)での熱伝導性に優れ、被冷却部品の均熱化をより促進する等の効果がある。また、中間部分が金属シートとなっているので、そのシートの強度が増す。即ち、その熱伝導性ゴムシートを所定の位置にセットする際等において、破れたり、しわが生じたりしにくくなっている。
【0023】
上記熱伝導性ゴムシートの表面に粘着剤を被覆させれば、電気部品或いはヒートシンクと当該熱伝導性ゴムシートとの接続性が一層高まり、より優れた冷却性能が実現できる。また、その接続作業も簡便になる効果もある。
【0024】
【実施例】
実施例1
表1に示すベースの組成とフィラーを表1に記す重量部で混練した。表中に記されるゴム組成物およびフィラーは何れも商品名である(以下に列挙)。
[ゴム組成]
トアアクロンPS−220;(株)トウペ製のアクリルゴム
トアアクロンXH−2027D;(株)トウペ製の低分子量アクリルゴム
JSR065;日本合成ゴム(株)製のブチルゴム
EPT4021;三井石油化学工業(株)製のエチレンプロピレンゴム
テトラックス5T;日本石油化学(株)製のポリイソブチレン
ポリブテンHV−100;日本石油化学(株)製のポリブテン
ブライトストック;日本石油化学(株)製のポリブテン(軟化剤)
D.O.P;協和発酵(株)製の可塑剤
マイクロワックスYH4D−1;日本石油(株)製の滑剤
エードプラス70DS−NV;水沢化学工業(株)製の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物
SH−851U;東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のシリコーンゴム
RC−4(50P);東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製の過酸化物架橋剤
パークミルD;日本油脂(株)製の過酸化物架橋剤
タイク;日本化成(株)製の架橋助剤
コロネートL;日本ポリウレタン工業(株)製の架橋剤
[フィラー]
パイロキスマ5301;協和化学工業(株)製の耐水和性マグネシア粉末(平均粒径2μm)
パイロキスマ5301K;協和化学工業(株)製の高耐水和性マグネシア粉末(平均粒径2μm)
AL43PC;昭和電工(株)製のアルミナ粉末(平均粒径4.6μm)
【0025】
(本発明例No.1〜4および比較例No.1〜3)
表1に示すゴム組成とフィラーとをニーダで混練し、それをオープンロールでシート状に成形し、更に熱プレスで150℃×10分間の加熱プレスを施して、厚さ20mmの熱伝導性ゴムシートを得た。
【0026】
【表1】
【0027】
さて上記熱伝導性ゴムシートにつき、その熱伝導率を調べた。測定は京都電子工業(株)製のQTM迅速熱伝導率計を用いて行った。また硬度を高分子計器(株)製のアスカーC型硬度計を用いて測定した。結果を表2に記す。
【0028】
また、表1に示すゴム組成とフィラーとをニーダで混練し、それをオープンロールでシート状に成形し、更に熱プレスで150℃×10分間の加熱プレスを施して、厚さ0.2mmの熱伝導性ゴムシートを得た。
この厚さ0.2mmの熱伝導性ゴムシートを、5mm(厚さ)×30mm×30mmの透明アクリル板2枚の間に挟み、その4角をトルク0.5N・mでネジ止めして、熱伝導性ゴムシートとアクリル板との密着部分の割合(密着率と称する)を目視で測定した。結果を表2に併記する。
【0029】
今度は、表1に示すゴム組成とフィラーとをニーダで混練し、それをオープンロールでシート状に成形し、更に熱プレスで150℃×10分間の加熱プレスを施して、1mm(厚さ)×25mm(幅)×50mm(長さ)の熱伝導性ゴムシートを得た。
長さ50mmのテープ状の上記熱伝導性ゴムシートについて耐熱性の評価を行った。その長手方向の一端を保持し、そして80℃と120℃のオーブンの中にそれぞれ吊るして、96時間経過後のシートの破断の発生状況を目視で確認した。破断が認められなかった場合を○、認められた場合を×として結果を表2に併記する。また本発明例No.1については、耐湿熱性の試験として、上記同様の破断試験を、80℃、湿度95%の恒温恒湿環境下でも行った。そして破断の発生するまでの日数を調べた。以上の結果を表2に記す。
【0030】
また、熱伝導性ゴムシートの熱伝導性能と、被冷却部品或いはヒートシンクとの熱的接続性とを総合した性能の目安として、下記に定義する実効熱伝導率を計算した。
実効熱伝導率=熱伝導性ゴムシートの熱伝導率×密着率
この値についても表2に併記しておく。
【0031】
(比較例No.6、7および比較例No.4)
表1の示すゴム組成とフィラーを混練し、それをオープンロールでシート状に成形した後の加熱プレス処理において、160℃×30分間の条件で行った点以外は本発明例1〜4、比較例1〜3の場合と同様にして、熱伝導性ゴムシートを作製し、それらの熱伝導性、硬度、密着率、耐熱性の評価を行った。比較例No.6については、本発明例No.1の場合と同様の耐湿熱性の試験も行った。以上の結果と実効熱伝導率の値を表2に記す。
【0032】
(本発明例No.5、6)
表1の示すゴム組成とフィラーを混練し、それをオープンロールでシート状に成形した後の加熱プレス処理において、120℃×10分間の条件で行った点以外は本発明例1〜4、比較例1〜3の場合と同様にして、熱伝導性ゴムシートを作製し、それらの熱伝導性、硬度、密着率、耐熱性、および耐湿熱性の試験も行った。以上の結果と実効熱伝導率の値を表2に記す。
【0033】
(比較例No.5)
比較例No.5は、シリコーンゴムをベースに酸化マグネシウム粒子を混合した例である。これについても上記同様の評価を行った。
【0034】
【表2】
【0035】
表2を見れば判るように、本発明例は何れも実効熱伝導率が比較例に比べ高く、優れた伝熱性能を実現するシートであった。通常よく用いられる半導体素子の発熱量は5W程度であるが、更に発熱量増大の傾向にあることから、ここでは、一つのモデル計算として、仮に発生熱量が2倍の10Wの被冷却部品(半導体素子等)を想定し、これを熱伝導性ゴムシートを挟んで接続した場合を考えることにする。良く知られた式、λ=(1/R)(t/A)、ここでR=ΔT/Q、を当てはめる。ここで、R;熱抵抗(℃/W)、ΔT;温度差(℃)、Q;発熱量(W)、t;熱伝導性ゴムシートの厚さ(m)、A;熱伝導性ゴムシートの面積(m2 )、である。
【0036】
被冷却部品として想定される半導体素子のサイズは、例えば25mm×25mm程度(接触面積6.25×10-6m2 )のものが代表例の一つである。被冷却部品の温度上昇(ΔT)を5℃以下にするには、熱伝導性ゴムシートの厚さを0.2mmとして、λの値は0.64程度になる。従って、このモデル計算の場合、実効熱伝導率が0.6以上程度必要になる。
【0037】
このモデル計算の結果から、概ね実用的な熱伝導性ゴムシートとして、実効熱伝導率が0.6以上程度が望ましいということが判る。この観点からも、表2に示される本発明例は何れも実効熱伝導率が高く優れたものであることが判る。特に本発明例No.1〜4は実効熱伝導率が1.2前後であり、上記のモデル計算に従えば、例えば発熱量が10W程度の被冷却部品であっても、温度上昇を概ね3℃程度以下に抑えることができることになる。
【0038】
さて本発明例と比較例を細かく比較することにする。
本発明例No.1〜4は混合する酸化マグネシウム粒子として、協和化学工業(株)製の製品名パイロキスマ5301を用いた場合である。
本発明例No.1〜3ではアクリルゴムベースを適用している。本発明例No.1は120℃の耐熱性の評価においては、破断が認められたが、80℃の場合は破断が認められなかった。実効熱伝導性や硬度は何れも良好であり、これらは比較的温度が低い場合の冷却用に適している。
【0039】
本発明例No.2は、含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物(水沢化学工業(株)製、商品名エードプラス70DS−NV)を配合したことにより、ゴム組成物の耐熱性が向上している。含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物は繊維状で、レンガを交互に積み重ねたような結晶構造で大きな表面積を有するものである。このような構造である含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物をゴムに配合することで、絡み合いが強くなり耐熱性の向上に大きく寄与するものと考えられる。
【0040】
比較例No.1は、アルミナ粒子を混合したものであるが、熱伝導率が低く、そのため実効熱伝導率も低いものになった。比較例No.2は、混合するアルミナ粒子の量を増大させたものであるが、熱伝導率は高くなったものの、硬度が高くなり、密着率も低いものになった。このため、実効熱伝導率も低いものになった。尚、密着率は、熱伝導性ゴムシートの硬度によっても大きく影響されるもので、硬度が高いと密着率も低下する傾向がある。
【0041】
本発明例No.3は、疎水化した酸化マグネシウム粒子の混合量を増やしたものである。本発明例No.1に比べ、一層、熱伝導率と実効熱伝導率が高くなっている。
【0042】
本発明例No.4は、ブチルゴムベースの場合である。本発明例No.1〜3の場合と同様、高い熱伝導率と高い実効熱伝導率を示している。
それに対し、混合する酸化マグネシウム粒子の量が少ない比較例No.3は、、硬度は小さいものの、熱伝導率が低く、そのため実効熱伝導率が0.27と非常に低いものになった。
【0044】
これに対し、混合する酸化マグネシウム粒子の量が多すぎる比較例No.4は、硬度が高すぎて、密着率が低くなり過ぎている。このため実効熱伝導率も低くなった。
【0047】
本発明例No.6は、本発明例No.5の場合に、更に、融点が低い有機化合物を配合した場合である(表1のマイクロワックスYH4D−1が有機化合物である)。この有機化合物の配合により、密着性が80%と高いゴム組成物が実現した。また実効熱伝導率も優れたものになった。
【0048】
この低融点の有機化合物は、熱伝導性ゴムシートと被冷却部品(或いはヒートシンク)との間の微細な凹凸を埋めるような効果があり、これが密着性の向上に繋がる理由と思われる。この実施例においては、上述の密着性の試験は室温にて行ったが、本発明例No.6の熱伝導性ゴムシートを用いれば、被冷却部品との界面において、有機化合物が被冷却部品の熱により軟化することで界面における微細な凹凸を埋めるような効果が一層期待でき、より優れた実効熱伝導率を実現させることができる。
【0049】
比較例No.5は、シリコーンゴムに酸化マグネシウム粒子を混合したものであるが、熱伝導性は良好であるものの、硬度が高く密着性が悪くなっている。このため実効熱伝導率が0.45と低いものになった。
【0050】
実施例2
(本発明例No.9)
表1の本発明例No.2のゴム組成物をトルエンで溶解し、これを厚さ0.05mmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥させて、厚さ0.2mmの熱伝導性ゴムシートを得た。
この熱伝導性ゴムシートの熱伝導率を、レーザーフラッシュ法熱伝導率計(真空理工(株)製)にて測定した結果、5.0w/m・Kと、非常に高い熱伝導率が実現していることが判った。また、実施例1の場合と同様にして密着率を調べたところ、約60%となった。
【0051】
(本発明例No.10)
表1の本発明例No.4のゴム組成物をトルエンで溶解し、これを厚さ0.05mmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥させて、厚さ0.15mmの熱伝導性ゴムシートを得た。
この熱伝導性ゴムシートの熱伝導率と密着率はそれぞれ10w/m・K、約50%と優れたものになった。
【0052】
(本発明例No.11)
表1の本発明例No.2のゴム組成物をトルエンで溶解し、これを厚さ0.12mmの銅箔の両面に塗布し、乾燥させて、厚さ0.20mmの熱伝導性ゴムシートを得た。
この熱伝導性ゴムシートの熱伝導率と密着率はそれぞれ8w/m・K、約55%と優れたものになった。
【0054】
(本発明例No.13)
本発明例No.9において用意した、厚さ0.20mmのシートの両面に、アクリルゴム系粘着剤(綜研化学(株)製、製品名SKダイン1358)を塗布し、合計厚さ0.21mmの熱伝導性ゴムシートを得た。
この熱伝導性ゴムシートの熱伝導率と密着率はそれぞれ5.0w/m・K、約70%と優れたものになった。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の熱伝導性ゴム組成物とそれを成形してなる熱伝導性ゴムシートは、半導体素子等の被冷却部品やヒートシンクとの密着性に優れ、また高い熱伝導率を有するものである。従って被冷却部品やヒートシンクとの接続性が高く、より優れた冷却性能を実現させることができる等、実用性に優れたものである。
Claims (6)
- アクリルゴム、ブチルゴムから選ばれるゴムまたはこれらのブレンドゴムに、疎水化された酸化マグネシウム粉末が50〜85重量%混合されてなる熱伝導性ゴム組成物。
- 更に含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物が1〜10重量%配合された請求項1に記載の熱伝導性ゴム組成物。
- 更に融点40〜90℃の有機化合物が2〜20重量%配合された請求項1、2のいずれかに記載の熱伝導性ゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性ゴム組成物が成形されてなる熱伝導性ゴムシート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導性ゴム組成物が金属シートの両面に被覆されてなる熱伝導性ゴムシート。
- 少なくとも片面に粘着剤が被覆された請求項4、5のいずれかに記載の熱伝導性ゴムシート。
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