JP2012211177A - (メタ)アクリル酸t−ブチルの合成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸性触媒の存在下にイソブチレンを(メタ)アクリル酸と付加反応せしめるカルボン酸エステルの合成方法において、A)第一の酸性触媒の存在下にt−ブチルアルコールを脱水分解反応させる工程、B)工程Aで得られる生成ガスから少なくとも水を分離して粗イソブチレンガスを得る工程、C)粗イソブチレンガスを(メタ)アクリル酸を含む吸収溶媒に吸収させる工程、およびD)粗イソブチレンを吸収した吸収溶媒を第二の酸性触媒に接触させて前記付加反応を行い(メタ)アクリル酸t−ブチルを生成させる工程を有する。
【選択図】図1
Description
1.前記脱水分解工程で生成したイソブチレンに含まれる水を除去することにより、その後のイソブチレンの(メタ)アクリル酸への付加工程において(メタ)アクリル酸t−ブチルを収率良く製造することができること、
2.脱水分解工程を経て得られるイソブチレンに含まれる水は簡易な分離操作(凝縮など)を行うことで大部分除去できること、
3.上記2の分離操作に際して、脱水反応で生じるイソブチレンオリゴマーや未反応アルコールも大部分同時に除去され、かつ凝縮した成分のうち不要な成分であるイソブチレンオリゴマーと、未反応アルコールを含む水分が層分離を起こし、有用なt−ブチルアルコールの回収、再利用が容易に行えること、
4.脱水分解反応の生成ガス中の凝縮性成分と付加反応の副反応生成物成分が類似しているため、上記のような簡易な分離操作を行った後に、原料の(メタ)アクリル酸を含む液に粗イソブチレンガスを接触溶解させることで、酸性触媒上で良好に付加反応を行えること。
酸性触媒の存在下にイソブチレンを(メタ)アクリル酸と付加反応せしめる(メタ)アクリル酸t−ブチルの合成方法において、
A)第一の酸性触媒の存在下にt−ブチルアルコールを脱水分解反応させる工程、
B)工程Aで得られる生成ガスから少なくとも水を分離して粗イソブチレンガスを得る工程、
C)該粗イソブチレンガスを(メタ)アクリル酸を含む吸収溶媒に吸収させる工程、および
D)粗イソブチレンを吸収した吸収溶媒を第二の酸性触媒に接触させて前記付加反応を行い(メタ)アクリル酸t−ブチルを生成させる工程
を有する(メタ)アクリル酸t−ブチルの合成方法である。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸およびメタクリル酸の総称である。
b)前記工程Aで得られる生成ガスを冷却し、該生成ガスに含まれる水、未反応t−ブチルアルコールおよびイソブチレンオリゴマーを凝縮させて分離する工程を行うことが好ましい。
E)前記工程bにおいて分離した凝縮液を二相分離し、その下層を前記工程Aの脱水分解反応に供給する工程
を有することが好ましい。
c)前記工程Bで得られた粗イソブチレンガスを気液接触装置へ供給し、該気液接触装置の缶出液に(メタ)アクリル酸を加えて得られる液を冷却し、冷却された液の一部を該気液接触装置へ供給して前記粗イソブチレンガスと気液接触させ、残部を前記工程Dに供給する工程
を行うことが好ましい。
F)前記工程Dで得られる(メタ)アクリル酸t−ブチルの一部を前記工程Cに供給する工程
を有することが好ましい。
G)前記工程Dで得られる生成液から未反応イソブチレンを回収し、前記工程Bに供給する工程
を有することが好ましい。
脱水分解反応を行う工程Aでは、原料のt−ブチルアルコールをイソブチレンに転換してイソブチレンを含む生成ガスを得る。その方法としては、原料のt−ブチルアルコールを、ガス状あるいは液状にて第一の酸性触媒(脱水分解反応促進用酸性触媒)を有する反応器に供給し、生成するイソブチレンを反応系外へ取り出すことのできる方法であれば適宜採用できる。第一の酸性触媒としては、原料のt−ブチルアルコールを脱水してイソブチレンに転換できるものであれば用いることが可能であるが、強酸性触媒が好ましく、さらには反応液と触媒を容易に分離できることから固体酸触媒を用いるのが好ましい。例えば、硫酸等を用いることが可能であり、固体酸触媒としては、固体リン酸、活性アルミナ、シリカ−アルミナ等を用いることが可能である。
工程Bにおいて、脱水分解反応で生成したイソブチレンを含む生成ガスから、イソブチレンを分離して粗イソブチレンガスを得る。その際、イソブチレンを気体として、その他の成分を液体として分離するのが好ましい。得られる粗イソブチレンのイソブチレン純度は高いほど好ましいが、付加反応に影響を与えないイソブチレンオリゴマーやt−ブチルアルコールは特に高度に除去する必要はない。ここでは、付加反応に影響を与える水の除去を主目的とし、少なくとも水は除去しておくことが好ましい。粗イソブチレンガス中の水含有量は1質量%程度以下が好ましい。
工程B(もしくはb)で分離された水、t−ブチルアルコール及びイソブチレンオリゴマーを含む液中のt−ブチルアルコールを再利用するために、デカンテーションなどの一般的な二相分離を行い、水相側すなわち下層を、必要に応じて簡易な蒸留操作により過剰水を除去したうえで、脱水分解反応に供給し、リサイクルすることが好ましい。このときイソブチレンオリゴマーを含有する上層(油相)を廃棄することにより、効率よく不純物を除去することができる。また、デカンテーション等を用いずにフラッシュ蒸留や蒸発缶の使用など簡易な蒸留操作により過剰水を除去して該脱水分解反応に供給してもよい。
工程Cにおいて、付加反応の原料となる(メタ)アクリル酸を含む吸収溶媒に、工程Bで得られる粗イソブチレンガスを吸収させる。この方法としては、(メタ)アクリル酸にイソブチレンガスを吸収させることのできる方法を適宜採用できる。このとき、例えば、充填塔、濡壁塔、気泡塔、スプレー塔などの気液積分接触装置やトレイ式蒸留塔などの気液棚段接触装置などの気液接触装置を用いることができる。より効率的に吸収を行うためには気液積分接触装置を用いるのが好ましい。
粗イソブチレンを吸収した吸収溶媒を第二の酸性触媒(付加反応促進用酸性触媒)に接触させて前記付加反応を行い(メタ)アクリル酸t−ブチルを生成させる工程Dを行う。例えば、原料(メタ)アクリル酸を含む吸収溶媒に粗イソブチレンを接触溶解させた液を、低温にて第二の酸性触媒を保持した反応器に導き付加反応を行う。反応温度としては、低温であるほど副反応(イソブチレン重合反応)が抑制されるが、一方、反応速度は低下して反応器効率が低下するため、−20℃以上20℃以下の範囲が好ましい。
工程Dで得られる付加反応の生成液から未反応イソブチレンを回収し、再度付加反応の原料として利用することにより、イソブチレン利用率を向上させてもよい。この回収は、工程Dで得られる生成液を加熱すること、減圧すること、蒸留すること、もしくはこれらの組み合わせによって行うことができる。回収したイソブチレンは必要に応じて調圧したのち付加反応に再利用することができる。
工程Dで得られる(メタ)アクリル酸t−ブチルの一部を前記工程Cに供給して吸収溶媒としてリサイクルする工程Fを行ってもよい。(メタ)アクリル酸t−ブチルはイソブチレンと親和性が高いため、(メタ)アクリル酸中の(メタ)アクリル酸t−ブチルの比率が高いほど吸収溶媒へのイソブチレンの溶解度が向上して吸収効率が上がる。このため、例えば吸収塔ベントからの、イソブチレンの損失を低減することができる。加えて、(メタ)アクリル酸を含む吸収溶媒中のイソブチレン濃度が向上することにより付加反応速度を向上させ付加反応生産性を向上させることができる。その結果、より安価に(メタ)アクリル酸t−ブチルを合成できる。工程Dで得られる生成液から(メタ)アクリル酸t−ブチルを分離して工程Cに供給する必要はなく、工程Dで得られる生成液の一部を工程Cに吸収溶媒として供給すればよい。(メタ)アクリル酸t−ブチルの工程Cへの供給量が多いほど、吸収溶媒へのイソブチレン溶解度が向上するが、工程Cの液負荷増大に伴う吸収サイズの増加に加えて工程Dでの反応速度低下を招く。そのため、工程Fによる(メタ)アクリル酸t−ブチルの供給量は、前述の工程Cの気液接触装置缶出液の供給量と合算して工程Cへの供給(メタ)アクリル酸に対し質量比で0.01倍以上100倍以下の範囲とすることが好ましい。
中でも、沸点が高い、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルや前記式(1)においてR1、R2、R7が水素であり、R3〜R6はメチル基であり、nは1〜12であるものが好ましい。
重合防止剤は、直接または溶液の状態で精製工程に供給することができる。特に、蒸留塔内の(メタ)アクリル酸t−ブチルの重合を防止したい場合には、蒸留系に含まれる物質にこの重合防止剤を溶解させたものを蒸留塔の塔頂や塔中段から供給する方法が好ましい。
図1に、本発明を実施しうる装置の一例のフロー図を示す。
実施例1で用いたイソブチレン溶解槽の代替として、大気開放した理論段5段相当の吸収塔9を設置した。図2に実験装置のフロー図を示す。
図2に示す装置を用い、実施例2の操作に加えて、ジャケット付ガラスカラム4から吸収塔9トップへのリサイクルを実施した。
実施例3の装置に加えて、凝縮液受槽8に、凝縮した凝縮液をデカンテーションし下層(水相)側を全量蒸発器5へ供給するラインを設けて連続運転を行った(図3)。
実施例4に加えて、付加反応における未反応イソブチレンを加熱により回収し、再度吸収塔へリサイクルする工程を付与した(図4)。
図5に示す実験装置を用いた。
2:コンデンサー
3:イソブチレン溶解槽
4:カラム(強酸性イオン交換樹脂充填)
5:蒸発器
6:t−ブチルアルコール水溶液供給ポンプ
7:メタクリル酸供給ポンプ
8:凝縮液受槽
9:吸収塔
10:循環ポンプ
11:熱交換器
12:加熱脱気槽
13:減圧脱気槽
20:凝縮器
21:凝縮器
22:ブロア
酸性触媒の存在下にイソブチレンを(メタ)アクリル酸と付加反応せしめる(メタ)アクリル酸t−ブチルの合成方法において、
A)第一の酸性触媒の存在下にt−ブチルアルコールを脱水分解反応させる工程、
B)工程Aで得られる生成ガスから少なくとも水を分離して粗イソブチレンガスを得る工程、
C)該粗イソブチレンガスを(メタ)アクリル酸を含む吸収溶媒に吸収させる工程、
D)粗イソブチレンガスを吸収した吸収溶媒を第二の酸性触媒に接触させて前記付加反応を行い(メタ)アクリル酸t−ブチルを生成させる工程、および
F)前記工程Dで得られる(メタ)アクリル酸t−ブチルの一部を前記工程Cに供給する工程
を有する(メタ)アクリル酸t−ブチルの合成方法である。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸およびメタクリル酸の総称である。
図1に、本発明の参考形態を実施しうる装置の一例のフロー図を示す。
Claims (7)
- 酸性触媒の存在下にイソブチレンを(メタ)アクリル酸と付加反応せしめる(メタ)アクリル酸t−ブチルの合成方法において、
A)第一の酸性触媒の存在下にtーブチルアルコールを脱水分解反応させる工程、
B)工程Aで得られる生成ガスから少なくとも水を分離して粗イソブチレンガスを得る工程、
C)該粗イソブチレンガスを(メタ)アクリル酸を含む吸収溶媒に吸収させる工程、および
D)粗イソブチレンガスを吸収した吸収溶媒を第二の酸性触媒に接触させて前記付加反応を行い(メタ)アクリル酸t−ブチルを生成させる工程
を有する(メタ)アクリル酸t−ブチルの合成方法。 - 前記工程Bにおいて、
b)前記工程Aで得られる生成ガスを冷却し、該生成ガスに含まれる水、未反応t−ブチルアルコールおよびイソブチレンオリゴマーを凝縮させて分離する工程を行う請求項1記載の方法。 - さらに、
E)前記工程bにおいて分離した凝縮液を二相分離し、その下層を前記工程Aの脱水分解反応に供給する工程を有する請求項2記載の方法。 - 前記工程Cにおいて、
c)前記工程Bで得られた粗イソブチレンガスを気液接触装置へ供給し、該気液接触装置の缶出液に(メタ)アクリル酸を加えて得られる液を冷却し、冷却された液の一部を該気液接触装置へ供給して前記粗イソブチレンガスと気液接触させ、残部を前記工程Dに供給する工程
を行う請求項1記載の方法。 - さらに、
F)前記工程Dで得られる(メタ)アクリル酸t−ブチルの一部を前記工程Cに供給する工程
を有する請求項1記載の方法。 - さらに、
G)前記工程Dで得られる生成液から未反応イソブチレンガスを回収し、前記工程Bに供給する工程
を有する請求項1記載の方法。 - 前記工程Aの脱水分解反応、工程Cの吸収および工程Dの付加反応を、0MPa−G以上1MPa−G未満で行う請求項1記載の方法。
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