JP3568209B2 - プロピレンの触媒酸化で得られるアクリル酸の精製方法 - Google Patents
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Description
現在工業的に利用されているアクリル酸の主たる合成方法はプロピレンの触媒酸化である。この方法は中間体としてアクロレインが生じる。この反応は気相で行われ、発生するガス留分に主として含まれるものはアクリル酸の他に非凝縮性の気体すなわち未変換プロピレン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、沸点がアクリル酸の沸点よりも低い「軽い」有機化合物すなわち水蒸気、未変換アクロレイン、副反応で生じるホルムアルデヒド、酢酸等の不純物、沸点がアクリル酸の沸点よりも高い重質化合物すなわち無水マレイン酸、フルフラルアルデヒド、ベンズアルデヒド等である。
この反応ガスの公知の精製方法は上記混合物を凝縮させ、有機化合物を水または重質溶媒で向流洗浄して抽出する方法である。
水を用いたこの吸収法はガス混合物中に存在するほぼ全ての有機化合物が無差別に抽出されるという欠点があり、この方法によって生じる水溶液を精製するには困難でコストのかかる蒸溜および/または抽出分離が必要になる。
フランス特許第1,558,432号には高い沸点を有する脂肪族または芳香族のエステルあるいはトリブチルまたはトリクレシルホスフェートを用いて反応ガス中に存在する有機化合物を吸収する方法が記載されている。この吸収操作では第1蒸溜カラムの頭部で軽質物(アクロレイン、ホルムアルデヒド)が除去され、第2蒸溜カラムの頭部からは公知のものより高濃度のアクリル酸水溶液が得られる。しかし、生成する溶液は依然として酢酸と水とを含み、その精製にはコストのかかる分離操作が必要である。
フランス国特許第2,002,126号には、アクリル酸から作られるエステルを精製するためのカラムの底部で回収される主としてマレイン酸エステル、ポリアクリル酸およびポリアクリレートを含む高沸点留分の混合物を用いる改良方法が記載されている。この方法では蒸溜カラムの頭部でほぼ全ての抵沸点化合物、例えばアクロレイン、ホルムアルデヒド、水および酢酸を1段階で除去できる。しかし、このアクリル酸エステルの製造方法は、粗アクリル酸混合物中に吸収段階へ再循環されたエステル化誘導体が存在するため、純粋なアクリル酸の製造には適さない。
フランス国特許第2,146,386号、ドイツ国特許第4,308,087号および欧州特許第706,986号には、疎水性重質溶媒を用いて抽出する改良方法が記載されている。この方法では抽出操作終了時に最初の混合物ガスを構成していた軽質有機化合物(アクロレイン、ホルムアルデヒド、酢酸)の大部分が除去された無水溶液が得られるので、その後のアクリル酸精製操作がかなり容易になる。
フランス国特許第2,146,386号に記載の方法は、大気圧での沸騰温度が170℃以上で、温度幅が30〜80℃で、粘性が10cSt以下の疎水性溶媒、特に、ジフェニル(DP)とジフェニルエーテル(DPO)、特にDP約25重量%とDPO75重量%を吸収溶媒として使用する。この混合物は共融混合物(DP26.5質量%と73.5質量%の濃度)を形成し、DPO単独よりも低い凝固点(S=12℃)を有する(M.p.=27℃)という利点がある。
アクリルモノマー、特にアクリル酸は熱作用で生じるラジカルが容易に重合するため、例えば蒸溜段階で重合防止剤を使用する必要があるということは周知である。この目的によく用いられる化合物は例えばハイドロキノンまたはハイドロキノンメチルエーテル(p−メトキシフェノール)等のフェノール誘導体またはフェノチアジンおよびその誘導体、チオカーバメート族、ニトロソ基を有する化合物、キノンまたは芳香族アミンである。
フランス国特許第2,146,386号の実施例で用いられる重合防止剤はフェノチアジンであるが、残念ながら、この特許に記載の方法を用いると、蒸溜装置が重合不純物で汚損され、最後にはプラントが閉塞する。
この問題を解決するためにドイツ国特許第4,308,087号ではDPとDPOの共融混合物と、ジメチルフタレート(DMP)とから成る吸収溶媒(混合物全体の0.1〜25重量%の含有率)を使用している。
欧州特許第706,986号の実施例では、DP+DPOの共融混合物とこの2成分混合物80重量%+DMP20重量%の混合物を使用している。しかし、DMPを用いた混合物には主として下記の2つの欠点がある:
a) DMPはDP+DPO混合物よりはるかに疎水性が低い。溶媒中のアクリル酸10重量%(条件は処理に近似する)の存在下での水の溶解度はDP+DPO混合物中で約0.1重量%、DMPでは約4%である。処理中に水が存在することは避けられない。すなわち、プロピレンの酸化してアクリル酸にする最初の反応でこの不純物が発生する。その結果、吸収コラム底部で回収される留分は水および酢酸を多く含む。これは水の親和力によって溶媒留分中の酢酸の吸収が増加するためである。その結果、後の精製が複雑になる。この欠点はフランス国特許第2,196,986号に記載の方法に見られる。この方法では酢酸および水がアクリル酸と同時に吸収されるため、カルボキシルエステルを吸収溶媒として用いている。
b) 水の存在下ではDMPは吸収段階の熱によって促進される加水分解の副反応を受ける。この副反応の結果、無水フタル酸やメタノール等の新たな不純物が生成され、アクリル酸と反応して対応するエステルを生成する(メチルアクリレート)。これら不純物の分離に関する付加的な問題とは別に、このエステル化反応によってアクリル酸がロスされる。
溶媒の加水分解副反応に関連する同様な欠点は加水分解可能な化合物、特にエステル族の化合物にも見られる。フランス国特許第2,196,986号に記載の方法では、融点が30℃以下、沸点が160℃以上の重質カルボキシルエステルを吸収溶媒として使用するが、同様な欠点がある。
DP+DPOの混合物の他の欠点は沸騰温度がわずかに異なる2つの化合物から成ることにある:
DP :沸点=255℃(大気圧で)
DPO:沸点=258℃(大気圧で)。
フランス特許第2.146,368号およびドイツ国特許第4,308,087号では、吸収した軽質不純物の除去し、アクリル酸を回収し、中間重質化合物(沸騰温度は溶媒とアクリル酸との間)を除去し、重質化合物(沸点が溶媒の沸点より高い重合防止剤および不純物)を除去し、疎水性重質溶媒は吸収段階へ再循環させる。
中間重質化合物と溶媒より重い化合物の除去は水洗浄または蒸溜で実施できる。
最初の方法は水中で溶解限度の溶媒を含む有機化合物でひどく汚損された水溶性廃液を生じるという欠点がある。さらに、水中での溶解度が低い成分はこの方法では完全に除去されず、再生した溶媒ループに堆積するものもある。蒸溜カラムに連続して導入する安定剤が堆積する現象を防止するために、吸収段階への溶媒の再循環には少なくともカラムに導入するのに等しい量の防止剤をパージする必要がある。重合に敏感なモノマーの精製に有効な防止剤の大半は水中での溶解度が非常に低くなる芳香族構造をしており、水で洗浄するこの方法は防止剤の除去には適さない。
蒸溜により重質不純物を除去する2番目の方法はフランス国特許第2,146,386号に記載のように2つ別々の段階が必要である。これらはアクリル酸の分離段階後に実施される:
1)中間重質不純物(沸点はアクリル酸と溶媒の間)の蒸溜段階
この段階では中間不純物(主として無水マレイン酸)を含む混合物をカラムの頭部で分離する。この分離法の主たる欠点は、精製カラムで蒸溜したアクリル酸(重質不純物分離後)を十分な純度にするためにモノマーの一部を精製カラムの底部に存在させなければならないことである。中間重質不純物分離用カラムでこの留分中に存在するアクリル酸は不純物と一緒に除去され、高価な損失となる。1995年7月18日に本出願人が出願したフランス特許出願第95−08672号に記載の方法はこの問題を改良する方法で、カラム側部から抜き出された留分の中間重質不純物の除去し、同じカラムの頭部留分中のアクリル酸を回収して再循環する。これら2つの特許(フランス特許第2,146,386号およびフランス特許出願第95−08672号)に記載の方法の欠点は、DPとDPOの混合物溶媒を使用した時に、2つの成分の沸騰温度が違うため精製ループを循環する溶媒中の最も重質の化合物が次第に増加することである。精製ループを循環する溶媒が一定組成を維持し、吸収効果を安定させ、カラム内の温度を一定にするためは最も軽質の化合物(DP)を適量添加する必要がある。しかし、これは複雑で高価な操作である。
この欠点はドイツ国特許第4,308,087号に記載のようにDP+DPO混合物おとDMPとを使用する場合にはさらに問題になる。すなわち、この方法は沸騰温度(DMP:沸点=284℃)の異なる第三の化合物を添加するのと同じである。
2)重質不純物の分離段階
この段階では沸騰温度が溶媒の沸点より高い化合物が蒸溜カラムまたは蒸発器の底部で除去される。この段階は高い沸騰点で溶媒を蒸溜しなければならないのでエネルギーコストが高くなる。この段階の主目的は重合防止剤を除去して、各カラムに連続して導入され、再循環する溶媒ループ中に堆積しないようにすることにある。アクリル酸等のアクリルモノマーの精製に有効な安定剤はDP+DPO混合物の成分より沸騰点が高いので、蒸溜装置の底部でしか除去できない。
DP+DPO混合物の最後の欠点は、この液体混合物が+12℃の温度で凝固することである。従って、外部温度がこれより低い時には凝固を防ぐために吸収段階に再循環する前に溶媒運搬パイプ、装置および貯蔵タンクを加熱しなければならない。アクリル酸を吸収するのに大量の溶媒が必要とするので、この欠点のための投資およびエネルギーコストは無視できないものとなる。
従来法に記載の上記溶媒を使用すると、上記の種々の欠点があるため、出願人はこうした問題を示さない他のアクリル酸吸収用疎水性溶媒を探した。
出願人は、驚くべきことに、アクリル酸吸収用芳香族疎水溶媒としてジトリルエーテルを異性体単独または異性体混合物の形で用いることによって反応混合物中に存在する不純物の分離が改良されることを発見した。さらに、この溶媒より軽いフェノール系安定剤は従来の防止剤(フランス国特許第2,146,386号のフェノチアジン)より重合防止効果が高いことが実験で示された。さらに、これらの化合物は2段階ではなく、エネルギー面でよりコストが低い1段階で中間重質化合物と一緒に効果的に除去できる。
一般に、アクリル酸の吸収に沸点が260℃以上の疎水性芳香族溶媒を用い、好ましくはさらに、この溶媒より軽質の重合防止剤の存在下でこのモノマーを精製することによって、不純物の分離が著しく改良される。
本発明の第一の対象は、少なくとも1種の疎水性重質溶媒を用いて反応ガスを向流洗浄してアクリル酸を抽出し、この抽出段階で得られた溶液から精製アクリル酸を回収するプロピレンの触媒酸化で得られるアクリル酸の精製方法において、疎水性重質吸収溶媒として少なくとも1種類の下記特性を有する疎水性芳香族化合物を用いることを特徴とする方法にある:
a) 大気圧下での沸点が260〜380℃、好ましくは270〜320℃、
b) 結晶化温度が35℃以下、好ましくは0℃以下、
c) 30〜80℃の温度範囲における粘度が10mPa・s以下。
疎水性芳香族化合物は下記一般式(I)または(II)で表される化合物および一般式(III)で表される化合物の中から選択する:
(ここで、
a) R1は水素、C1−C4アルキルまたはシクロアルキルを表し、
b) R2は水素、C3−C8アルキルまたはシクロアルキル、−O−R4(R4はC3−C8アルキルまたはシクロアルキルを表す)、−O−Ph−(R5)−R6または−Ph−(R5)−R6(R5およびR6はそれぞれ独立に水素またはC1−C4アルキルを表す)(Phはフェニル原子核を表す)を表し、
c) R3は水素またはC1−C4アルキルを表し、
d) nは1または2を表す)
(ここで、
e) R7は水素またはC1−C4アルキルを表し、
f) R8はC1−C4アルキルを表す)
このジトリルエーテル群の中から下記利点を有する異性体単独または異性体混合物の形で選択するのが好ましい:
a) 単一成分である(蒸溜による分離の問題がない)
b) 吸収−ストリップ段階での軽質化合物(主として酢酸)の分離と後続カラムでの重質化合物の分離が容易、
c) 凝固点が非常に低い(−54℃)。寒冷気候での結晶化の問題が無い。
本発明の特に有利な実施例では、蒸溜が含まれている場合、抽出段階の後に、吸収溶媒より軽い、特に、沸点が15℃以上、好ましくは20℃以上高い重合防止剤または重合防止剤混合物の存在下で、アクリル酸を吸収溶媒を用いて精製する。以下ではこの重合防止剤を「軽質重合防止剤」ともよぶ。こうした軽質重合防止剤の実施例としてはp−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールおよび2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノールが挙げられる。
本発明のアクリル酸の精製方法の他の特徴は下記の点にある:
(a) 反応ガスを重質疎水溶媒で向流洗浄してアクリル酸を抽出する抽出カラム(C1)の底部で得られる留分(この留分は重質抽出溶媒、目的物質のアクリル酸、主として沸点がアクリル酸の沸点よりも高い化合物で構成される不純物を含む)を蒸溜カラム(C3)で蒸溜する(この際、蒸溜カラム(C3)の頭部で純度が極めて高いアクリル酸留分が得られ、底部へアクリル酸が流入するのを許すような条件にする)
(b) 蒸溜カラム(C3)から出た底部留分を蒸溜カラム(C4)の下部にフィードとして供給し、無水マレイン酸と、沸点がアクリル酸の沸点よりも高く且つ重質溶媒の沸点または重質溶媒混合物中の最も軽い溶媒の沸点よりも低い沸点を有する不純物とを多く含む留分を蒸溜カラム(C4)のフィード位置と頭部との間の棚から側流として抜き出し、
(c) アクリル酸を多く含む留分を蒸溜カラム(C4)の頭部で蒸溜し、好ましくはカラム(C3)へ供給し、
(d) 重質吸収溶媒と、沸点が重質溶媒の沸点または重質溶媒混合物中の最も軽い溶媒の沸点よりも高い沸点を有する不純物とを含む留分を蒸溜カラム(C4)の底部で回収して反応ガス中に存在するアクリル酸を抽出するためのカラム(C1)へ再循環する。
重質疎水性吸収溶媒は上記で定義のもの。
蒸溜カラム(C1)の底部で得られる留分を蒸溜カラム(C3)へ導入する前に、留分中に残留する軽質不純物、例えば酢酸や水等は、底部リボイラーを備えた一般的な蒸溜カラムまたは底部に気体(空気、不活性ガス、カラム(C1)の頭部で回収した非濃縮ガス混合物またはこれらの組み合わせ)が供給されるストリップカラムの役目をする蒸溜カラム(S1)の頭部で除去するのが好ましい。カラム(S1)の頭部で得られたアクリル酸を含んだガス留分はカラム(C1)へ供給するのが好ましい。
本発明方法の実施例では下記のように運転される:
(a) 蒸溜カラム(C1)(場合によっては蒸溜カラム(S1))の底部で得られる留分を蒸溜カラム(C3)の下側半分に設けられた棚へ導入し、下記(1)および(2)の運転設定値が得られるように蒸溜カラム(C3)を選択する:
(1) 頭部で、少なくとも95重量%がアクリル酸で、残りが重質化合物の無水マレイン酸、フルフルアルデヒド、ベンズアルデヒドおよびごく微量の重質抽出溶媒で構成できる留分が回収され、
(2) 底部で、少なくとも95重量%が重質溶媒及び重質不純物で、残りがアクリル酸で構成される留分が回収される。
(b) アクリル酸の沸点と溶媒または溶媒混合物中の軽い溶媒の沸点との間の沸点を有する不純物を少なくとも20重量%含む留分が得られるように選択した温度の蒸溜カラム(C4)のフィードよりも上側で蒸溜カラム(C4)の上から4分の1と下から4分の1との間の位置に配置された中間プレートから、無水マレイン酸と重質不純物(場合によってはさらに軽質重合防止剤)を多く含む留分を側部から抜き出す。
(c) 少なくとも90重量%がアクリル酸で、残りが沸点の高い不純物から成る蒸溜カラム(C4)の頭部で蒸溜する留分を蒸溜カラム(C3)の主フィード位置またはこのフィード位置より上側の位置から蒸溜カラム(C3)へ導入する。
(d) 蒸溜カラム(C4)の底部で得られた留分を蒸溜カラム(C1)の頭部に再循環する前に、留分の少なくとも一部から、溶媒よりも高い沸点を有する重質不純物を、必要に応じて触媒を用いた(または用いない)解離熱処理に加えて、蒸溜または溶媒抽出等によって除去する。
本発明の実施例は蒸溜を下記条件で行う:
(a) 蒸溜カラム(C3)での蒸溜は頭部温度40〜120℃、底部温度120〜230℃、圧力20〜250mmHg(2.66×103〜3.33×104Pa)で行う。
(b) 蒸溜カラム(C4)での蒸溜は頭部温度40〜120℃、底部温度120〜230℃、側部抜出し温度40〜180℃、圧力20〜250mmHg(2.66×103〜3.33×104Pa)で行う。
下記の具体例は説明のためのものであって、本発明がこれらに限定されるものではない。以下の具体例でのパーセンテージは全て重量%であり、使用した各蒸溜カラムは図1に記載のものであり、各カラムの特性は下記の通りである。各蒸溜カラムへのフィードを熱交換器を用いて加熱することもできる。各カラムのプレート(棚)の番号はカラム頭部(プレート0)からカラム底部(プレートn)に向かって番号を付けた。
カラムC1:
「マルチニット」タイプの充填剤を充填した高さ3m、直径38mmの蒸溜カラムに下記(a)〜(b)を供給する:
(a) 頭部には純粋な吸収溶媒または蒸溜カラム(C4)の底部で回収された吸収溶媒の留分(1)を供給する。
(b) 底部にはプロピレンの触媒酸化で得られた反応ガスのガス留分(2)の所望の温度に予め冷却してから供給される。
カラム(C1)の頭部で軽質化合物(凝縮不可能なガス、アクロレイン、ホルムアルデヒド、水および酢酸)が豊富な留分(3)が得られる。このガス留分(3)は洗浄カラム(L1)に向流で導入される水で洗浄される。留分(3)中に存在する有機化合物の化学秤量はカラム(L1)の底部で得られる留分(4)の分析で求める。
カラムS1
カラム(S1)ではカラム(C1)の底部に存在する軽質化合物(水、酢酸、アクロレイン他)を除去する。高さ1m、直径38mmのこのカラムには「マルチニット」タイプの充填剤が充填されている。頭部には、交換器を通して予め再加熱したカラムC1の底部留分が供給され、底部には交換器を通して温度を調整し、流量を制御した空気が供給される。カラム(S1)の頭部で得られるガス留分は反応ガスのフィード位置でカラム(C1)に供給される。カラム(S1)の底部で回収された留分(6)はアクリル酸の吸収溶媒中の溶液と少量の軽質不純物(酢酸)および酸化反応器から発生する反応ガスに主として存在する重質不純物から成る:無水マレイン酸、フルフルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アクリル酸付加化合物防止剤。
カラム(C1)、(S1)および(L1)は大気圧下で操作する。
カラムC3
この断熱カラムは12枚の多孔板を備え、理論段が9段であり、カラムの底にカラム(S1)の底部で得られた留分(6)が供給される。このカラムは下部に電気加熱の熱サイホン式ボイラーを備える。回収した留分物(7)の一部を18℃に冷却した冷却器内で凝縮した後、カラム頭部に再循環して還流させる。重合防止剤のアクリル酸溶液を凝縮器頭部に注入する。この集成装置は1.33×104Pa(100mmHg)の減圧下で運転する。
カラムC4
このカラムはオーバーフローを有する9枚の多孔板から成る。カラム(C3)の底部で得た留分(8)を電気部品で加熱する熱サイホン式ボイラーの位置でこのカラムの底部にフィードとして供給する。凝縮した留分物(9)の一部をカラム頭部に還流させる。5番目の板の位置で、凝縮した液相の一部(10)を抜き出すことができる。この系はプレート上で測定された温度が所定設定温度に達した時点で自動的に開く弁を備えている。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。実施例において、比率は重量%である。
実施例1
プロピレンの触媒酸化用反応器の出口で得られた反応ガス混合物(2)を交換器を通して160℃に冷却し、流速2160g/時でカラム(C1)の底部に供給する。カラム(C1)の同じ位置にはカラム(S1)の頭部で生じるガス留分も供給される。
カラム(C1)の頭部には温度50℃のジトリルエーテルを3680g/時(留分1)で向流供給する。使用するジトリルエーテルは下記組成の異性体混合物の形をしている:
2,2′−ジメチルジフェニルエーテル (オルト−オルト) 1.9%
2,3′−ジメチルジフェニルエーテル (オルト−メタ) 24.8%
2,4′−ジメチルジフェニルエーテル (オルト−パラ) 14.0%
3,3′−ジメチルジフェニルエーテル (メタ−メタ) 30.0%
3,4′−ジメチルジフェニルエーテル (メタ−パラ) 24.9%
4,4′−ジメチルジフェニルエーテル (パラ−パラ) 4.5%
カラム(C1)の底部で集めた液体混合物(5)は120℃に調整した温度でカラム(S1)の頭部に実質的に供給する。
温度50℃、流速580リットル/時の気体をカラム(S1)の頭部に導入する。カラム(S1)の頭部から出るガス留分はカラム(C1)に反応ガスをフィードする位置でカラム(C1)の底部に供給する。カラム底部で得られた粗混合物(6)は主として吸収溶媒のアクリル酸(7.73%)とアクリル酸より重質な少量の化合物(無水マレイン酸、フルフルアルデヒド、ベンズアルデヒド、その他)で構成される。この媒体の軽質化合物の含有率は特に低い(酢酸:0.011%;水:0.007%)。
カラム(C1)頭部で発生するガス留分(3)の最初の凝縮後に、非凝縮蒸気を水流(2750g/時)と向流に水洗浄用のカラムの底部に供給する。(L1)の底部で得られた水溶液(4)はアクリル酸0.026%および酢酸0.345%を含む。
上記条件下での(C1)〜(S1)の系の効率は、アクリル酸の吸収度が99.8%、酢酸の除去度が96.4%に達する。
実施例2
カラム(S1)で得られた粗混合物(6)はジトリルエーテル溶媒の他にアクリル酸10.12%と無水マレイン酸0.06%を含み、温度90℃、流速1166g/時でカラム(C3)の底部に供給される。カラム(C3)頭部の圧力は1.33×104Paに調整する。ボイラーを加熱してカラム(C3)底部で170℃を維持するように調整する。カラム頭部の最上部のプレートの位置で測定した温度は80.5℃である。p−メトキシフェノルの1.5%アクリル酸溶液を流速20.2g/時で凝縮器の頭部に注入する。凝縮後(115g/時)、留出物(7)の一部をカラムの頭部へ供給する。回収した留出物(127g/時)はアクリル酸より重質の化合物に関しては優れた純度を示す(0.03%の無水マレイン酸、0.017%のフルフルアルデヒド、0.001%以下ののベンズアルデヒドおよびジオチルエーテル)。カラム底部で得られた留分(8)(1058g/時)は主としてジオチルエーテルから成るが、アクリル酸0.55%および無水マレイン酸0.06%も測定される。
実施例3
カラム(C3)の底部で回収した留分(8)はジオチルエーテルおよび重質化合物に加えて、アクリル酸0.145%とp−メトキシフェノル0.07%とを含む。これを6.66×103Pa(50mmHg)の圧力下で運転するカラム(C4)の底部に160℃の温度で供給する(1000g/時)。ボイラーの温度は191℃に調整し、第5プレートの位置で引き出す際の設定温度は140℃にする。カラム頭部で蒸溜した(1.45g/時)化合物はカラム(C3)へフィードとして供給される。これはアクリル酸96.8%と無水マレイン酸3.2%とから成り、吸収溶媒は全く含まない。側部から引き抜かれた(0.6g/時)留分(10)はアクリル酸1.47%、無水マレイン酸54%、吸収溶媒30%およびp−メトキシフェノール10.8%から成る。最後に、カラム底部で得られた混合物(1)はカラム頭部に再循環する。これは主として吸収溶媒とアクリル酸の重質付加化合物から成り、アクリル酸はほとんど無く(0.005%以下)、少量の無水マレイン酸(0.019%)を含む。
この実施例では、カラムの側面から抜き出した留分中の無水マレイン酸の除去度が57%に達し、アクリル酸の損失はフィード留分中のこのモノマーの含有率の0.6%を越えない。さらに、側部から抜き出すことによってカラムのフィード中に存在するp−メトキシフェノールの10%が除去でき、(C1)の頭部に再循環される(C4)の底部で回収した溶媒の濃度を低くできる。
比較例1
実施例1と同様の条件で、ジフェニル(23.5%)とジフェニルエーテル(73.5%)を50℃の温度でカラム(C1)に供給し、プロピレン酸化触媒反応で生じた反応ガスを同じカラムの底部に供給する。このガス混合物(2)は実施例1と類似の組成を有し、カラム(C1)に同じ温度の160℃でフィードする。このカラムの底部にはカラム(S1)の頭部で発生したガス留分も供給される。
カラム(C1)底部で得られた液体(5)を120℃の温度でカラム(S1)の頭部にフィードする。50℃に再加熱した600リットル/時の空気をカラム(S1)の底部に供給する。
この条件で、カラム(S1)の底部で得られた粗混合物(6)はアクリル酸5.76%、酢酸0.01%および水0.022%であった。
カラム(C1)の頭部でガス留分(3)を冷却器で冷却し、頭部に水が流速2300g/時で供給される洗浄カラムに供給する。洗浄カラム底部で得られる凝縮液と水溶液留分の混合物(4)はアクリル酸2.32%と酢酸0.55%であった。
(C1)〜(S1)全体の酢酸除去度は95%であるが、アクリル酸の吸収度は81.8%(すなわち19.2%の損失)であった。
比較例2
1.33×104Pa(100mmHg)の圧力下で運転されるカラム(C3)の底部に、カラム(S1)底部からの主として溶媒から成る混合物(6):ジフェニルエーテル73.5%、ジフェニル26.5%、アクリル酸9.5%および無水マレイン酸0.06%から成る共融混合物を90℃の温度、流速1164g/時で供給する。カラム底部の温度は160℃に調整する。p−メトキシフェノール(1.5%)のアクリル酸溶液を流速23.2g/時で凝縮器の頭部に注入する。凝縮後(115g/時)、留出物(7)の一部をカラムの頭部に供給する。回収した(126g/時)留出物中の重質化合物の主な含有物は無水マレイン酸0.05%、フルフラルアルデヒド0.03%およびベンズアルデヒド0.02%である。カラム底部で得られる(1064g/時)留分(8)は実質的に溶媒から成り、アクリル酸0.50%と無水マレイン酸0.06%とが測定された。
本比較例は、カラム底部のアクリル酸濃度が同じ場合、蒸溜したアクリル酸留分中の重質化合物の含有率は実施例2よりも高いことを示す。
比較例3
1.33×104Pa(100mm Hg)の気圧下で運転するカラム(C4)の底部に、カラム(C3)の底部で1000g/時で回収した混合物(主として重質吸収溶媒(ジフェニルとジフェニルエーテルとの共融混合物)、アクリル酸(0.69%)、無水マレイン酸(0.06%)、ハイドロキノン(0.04%)およびアクリル酸の2重結合への付加で生じる少量の重質化合物から成る)を供給する。この混合物はカラムのボイラーに供給する前に180℃の温度に予備加熱する。ボイラーの温度は182℃に調整する。重質中間体化合物を多く含む留分を第5プレートの位置で抜き出すために設定温度は135℃に設定する。アクリル酸97.1%、無水マレイン酸2.49%および吸収溶媒0.07%から成る留分(6.4g/時)を84℃の温度でカラム頭部から蒸溜する。第5プレートの位置で側部から抜き出される(0.5g/時)留分は無水マレイン酸62%、重質吸収溶媒29%およびアクリル酸5.3%から成る。カラム底部では、実質的に重質吸収溶媒およびアクリル酸の重付加化合物から成り、アクリル酸0.02%、無水マレイン酸0.016%およびヒドロキノン0.038%を含む混合物が抜き出される。
この条件下での留分(10)および(1)中のアクリル酸の損失はカラム(C4)にフィードした留分(8)に存在するモノマー量の3.3%に達する。側部から抜き出される無水マレイン酸の還元度は48%である。ハイドロキノン防止剤は全て(C4)の底部留分中にある。
比較例4
比較例3と類似の条件下で運転するカラム(C4)の底部に、アクリル酸0.31%、無水マレイン酸0.29%およびp−メトキシフェノルを含むジフェニルとジフェニルエーテルとの共融混合物から成る留分を1000g/時で供給する。プレート5から抜き出される(0.7g/時)留分は無水マレイン酸55.5%を含むが、p−メトキシフェノルは0.28%だけである。この防止剤は頭部留分(3.2g/時)中にごく微量(0.004%)だけ存在する。ほぼ全てのp−メトキシフェノルがカラム底部で得られた留分(976.6g/時)中に存在し、この安定剤の0.074%に相当する。
本比較例では、ジトリルエーテル溶媒中で実施した比較例3とは対照的に、側流中のp−メトキシフェノル防止剤の除去度は無視し得る値(0.3%)であり、(C1)の頭部へ再循環する溶媒のこの添加物濃度を大幅に低下させるには不十分である。
実施例4
本実施例では、カラム(C3)の蒸溜条件下での各種重合防止剤の効果を比較評価する。予め混合したカラムの頭部および底部の留分全体をフィードタンクに再循環して、防止剤を用いたプロセスで何回も再循環される溶媒のループをシミュレートする実験を行った。
高さ60cm、直径38mmの蒸溜カラムはマルチニット型の充填剤を収容し、電気加熱した熱サイホン式ボイラーを備えている。試験は1.33×104Pa(100mmHg)の圧力下で実施する。カラムへのフィードレシーバー(R1)はアクリル酸10%とテストする防止剤0.05%とを含み、残りはジトリルエーテルである溶媒混合物4800gからなる。交換器を通して100℃に予備加熱したこの混合物をカラムの底部に流速1200g/時で供給する。ボイラー内の温度は170℃に調整する。カラム頭部の温度は83℃である。カラム頭部で得られた蒸気は垂直冷却器で凝縮し、凝縮した液体はレシーバー(R2)に集める。このレシーバー(R2)から凝縮した液体の一部を2/1の還流/留分比でポンプでカラム頭部へ供給する。テストする防止剤、1.5%のアクリル酸溶液等を24g/時で冷却器頭部に添加し、蒸溜したアクリル酸を安定化させる。同じ流量の液体をレシーバー(R2)からの留分から抜き出し、ループから除去し、ループ内を一定の重量に維持する。残留蒸溜留分をカラム底部で得られた留分と混合し、フィードレシーバー(R1)に供給する。留出物に新しい安定剤を添加するため、フィード留分中の防止剤(0.05%)は毎時0.007%ずつ増加すると計算される。
この実験をフェノチアジンを防止剤として用いて行うと、19時間運転後、カラムに沿って、また、カラム頭部あるいはカラム頭部に残留物を供給するパイプ内に茶色い重合堆積物が見られる。これらの堆積物は65時間運転後に充填物が完全に閉塞するまで増加し続ける。
厳密に同じ条件にして、相対的に軽質なフェノール化合物(沸点は270℃以下)を用いて同じ実験を行った。下記の防止剤をそれぞれテストした:
p−メトキシフェノール
2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール
2,6−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール
これら3つの場合、70時間の運転時間後に堆積物は全く見られなかった。
Claims (11)
- プロピレンを触媒酸化し、次いで、反応ガスを少なくとも1種の疎水性重質吸収溶媒で向流洗浄してアクリル酸を抽出し、この抽出段階で得られた溶液から精製アクリル酸を回収する、アクリル酸の精製方法において、
上記疎水性重質吸収溶媒としてジトリルエーテルを含む 疎水性芳香族化合物を用いることを特徴とする方法。 - 抽出段階の後に、上記吸収溶媒より沸点が15℃以上高い重合防止剤またはその混合物の存在下で蒸溜を行ってアクリル酸を精製する請求項1に記載の方法。
- 抽出段階の後に、上記吸収溶媒より沸点が20℃以上高い重合防止剤またはその混合物の存在下で蒸溜を行ってアクリル酸を精製する請求項2に記載の方法。
- 重合防止剤をp−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールおよび2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノールの中から選択する請求項3に記載の方法。
- 下記(a)〜(d)を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法:
(a) 反応ガスを請求項1〜4のいずれか一項に記載 の疎水性重質吸収溶媒で向流洗浄してアクリル酸を抽出する抽出カラム(C1)の底部で得られる留分(6)(この留分は上記吸収溶媒、目的物質のアクリル酸および沸点がアクリル酸の沸点よりも高い化合物から成る不純物を含む)を蒸溜カラム(C3)で蒸溜し、この際、蒸溜カラム(C3)の頭部で純度が極めて高いアクリル酸留分(7)が得られ、底部留分(8)中にアクリル酸が流入するのを許すような条件で蒸留し、
(b) 蒸溜カラム(C3)から出た底部留分(8)を蒸溜カラム(C4)の下部にフィードとして供給し、無水マレイン酸と、沸点がアクリル酸の沸点よりも高く且つ上 記吸収溶媒の沸点または上記吸収溶媒を含む混合物中の最も軽い溶媒の沸点よりも低い沸点を有する不純物とを多く含む留分(10)を蒸溜カラム(C4)のフィード位置と頭部との間の棚から側流として抜き出し、
(c) アクリル酸を多く含む留分(9)を蒸溜カラム(C4)の頭部で蒸溜し、好ましくはカラム(C3)へ供給し、
(d) 上記吸収溶媒と、沸点が上記吸収溶媒の沸点または上記吸収溶媒を含む混合物中の最も軽い溶媒の沸点よりも高い沸点を有する不純物とを含む留分(1)を蒸溜カラム(C4)の底部で回収して反応ガス中に存在するアクリル酸を抽出するためのカラム(C1)へ再循環する。 - 蒸溜カラム(C1)の底部で得られる留分 を、底部リボイラーを備えた蒸溜カラムまたは底部に気体が供給されるストリップカラムの役目をする蒸溜カラム(S1)へ供給し、カラム(S1)の頭部で得られるアクリル酸をまだ含んでいるガス留分をカラム(C1)へ戻す請求項5に記載の方法。
- 蒸溜カラム(C1)の底部で得られる留分ま たは蒸溜カラム(S1)の底部で得られる留分(6)を蒸溜カラム(C3)の下側半分に配置された棚へ導入し、下記(1)〜(3)が得られるように蒸溜カラム(C3)の運転設定値を選択する請求項5または6に記載の方法:
(1) 頭部で、少なくとも95重量%がアクリル酸で、残りが無水マレイン酸、フルフルアルデヒド、ベンズアルデヒドおよびごく微量の上記吸収溶媒である重質化合 物の留分(7)を回収し、
(2) 底部で、少なくとも95重量%が上記吸収溶媒及び重質不純物で、残りがアクリル酸である留分(8)を回収する。 - アクリル酸の沸点と上記吸収溶媒の沸点ま たは上記吸収溶媒を含む混合物中のより軽い溶媒の沸点との間の沸点を有する不純物を少なくとも20重量%含む留分(10)が得られるように選択された温度で、蒸溜カラム(C4)のフィードよりも上側で蒸溜カラム(C4)の上から4分の1と下から4分の1の間の位置に配置された中間プレートの所から、カラム(C4)の側部から無水マレイン酸と重質不純物さらには軽質重合防止剤を多く含む留分(10)を抜き出す請求項5〜7いずれか一項に記載の方法。
- 蒸溜カラム(C4)の頭部からの少なくとも90重量%がアクリル酸で、残りが沸点の高い不純物から成る留分(9)を蒸溜カラム(C3)の主フィード位置またはこの主フィード位置より上側の位置から蒸溜カラム(C3)へ導入する請求項5〜8いずれか一項に記載の方法。
- 蒸溜カラム(C4)の底部で得られた留分(1)を蒸溜カラム(C1)の頭部へ再循環する前に、留分の少なくとも一部から、上記吸収溶媒よりも高い沸点を有する重質不純物を除去する請求項5〜9いずれか一項に記載の方法。
- 各蒸留を下記条件で行う請求項5〜10いずれか一項に記載の方法:
(a) 蒸溜カラム(C3)での蒸溜を頭部温度40〜120℃、底部温度120〜230℃、圧力2.66×103〜3.33×104Paで行い、
(b) 蒸溜カラム(C4)での蒸溜を頭部温度40〜120℃、底部温度120〜230℃、側部抜出し温度40〜180℃、圧力2.66×103〜3.33×104Paで行う。
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