JPH0359901B2 - - Google Patents
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- JPH0359901B2 JPH0359901B2 JP22389482A JP22389482A JPH0359901B2 JP H0359901 B2 JPH0359901 B2 JP H0359901B2 JP 22389482 A JP22389482 A JP 22389482A JP 22389482 A JP22389482 A JP 22389482A JP H0359901 B2 JPH0359901 B2 JP H0359901B2
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- Furan Compounds (AREA)
Description
本発明は、無水フタル酸蒸留残渣の処理方法に
関するものである。詳しく述べると、ナフタリン
またはオルソキシレンを接触気相酸化して得られ
る無水フタル酸の蒸留残渣の処理方法に関するも
のである。 無水フタル酸はナフタリンまたはオルソキシレ
ンの空気酸化により製造されるが、同時に種々の
化合物が不純物として副生するのでこれを精製す
る必要がある。この精製は、蒸留による精製が通
常であり、連続若しくは回分蒸留により蒸留精製
される。 この蒸留では無水フタル酸より低沸点の留分と
高沸点の留分若しくは残渣とが分離除去され、無
水フタル酸留分が精製無水フタル酸として回収さ
れる。ここで、無水フタル酸より高沸点の留分若
しくは残渣は、なお多量の無水フタル酸分を含有
しているので製品歩留を向上させるため、これを
再蒸留して無水フタル酸分を回収することが有利
である。そこで、本発明者らは粗精無水フタル酸
を精製蒸留に供した際発生する蒸留残渣(無水フ
タル酸より高沸点の留分若しくは残渣を意味す
る)の一部を、粗製無水フタル酸の蒸留工程へ循
環する方法について検討を行なつた。しかしなが
ら、このように塔底物を蒸留工程に循環しなが
ら、ナフタリンの接触気相酸化によりえられる粗
製無水フタル酸の連続蒸留を行なうと、未知不純
物の製品への混入、そのための製品歩留の低下、
装置の腐食など、従来の回分操作においては予想
もしえなかかつたようなトラブルが生じるとを見
出した。 そこで、蒸留残渣を粗製無水フタル酸の蒸留工
程へそのまま循環させる方法ではなく、別に蒸留
を行い、無水フタル酸を留出させ、それを製品と
して回収または留出物を粗製無水フタル酸の蒸留
工程へ循環させる方法について検討した。この場
合は前述ような問題は生じないことが認められた
が、蒸留残渣から無水フタル酸を一定量以上回収
すると凝固点が上昇し、蒸留が困難となるばかり
でなく蒸留釜に残存する残渣物の除去が困難とな
ることさえ生ずることが認められた。 回収蒸留の場合は、連続蒸留の場合に比べて蒸
留残渣からの無水フタル酸の回収率を高くするこ
とが可能であるが、やはりその残渣物中の無水フ
タル酸分が一定量以下になると凝固点が上昇し、
蒸留釜からの抜取り作業が困難となると同時に移
送管内での閉塞問題が生ずる。蒸留残渣の組成に
よつても異なるが、一例としてナフタリンの接触
気相酸化により得られた粗製無水フタル酸の蒸留
残渣であつて、無水フタル酸分85重量%およびそ
の他主として約300℃以下の留分15重量%からな
る蒸留残渣の場合、無水フタル酸分が70重量%以
下になると残渣物の凝固点が160℃以上になるこ
とが認められ、この場合は無水フタル酸の回収率
を50%にすることさえ困難であることが判明し
た。 本発明は、前記のごとき従来法の諸欠点を解消
するためになされたもので、ナフタリンまたはオ
ルソキシレンを分子状酸素含有ガスにより接触気
相酸化して得られる粗製無水フタル酸を精製蒸留
に供して低沸点留分および無水フタル酸留分を分
離する際に発生する蒸留残渣を、回分式に減圧蒸
留することによつて該蒸留残渣中に含有されてい
る無水フタル酸を回収し、該無水フタル酸回収後
の残渣物には無水フタル酸より低沸点の留分を混
合して該残渣物を蒸留釜外へ抜出すことを特徴と
する無水フタル酸蒸留残渣の処理方法である。 つぎに図面を参照しつつ本発明を説明する。す
なわち、図面において、ナフタリンまたはオルソ
キシレン、好ましくはナフタリンの空気による接
触気相酸化により得られた粗製無水フタル酸は、
必要により熱処理等の前処理をされたのち、ライ
ン1より第1蒸留塔2に送られ、ピツチ等の重質
物がライン3から分離される。第1蒸留塔2で気
化した留分は、塔頂よりライン4を経て凝縮器5
に送られ、ここで凝縮してライン6より第2蒸留
塔7へ送られ、減圧蒸留に供される。この際、凝
縮器5を省略して気化物を蒸留塔7へ直接供給す
ることも可能である。蒸留残渣の一部は、ライン
8より高沸点物蒸留塔9の蒸発釜10に送られ、
回分式で減圧蒸留に供される。高沸点物蒸留塔9
からの留分は、製品とすることもできるが、ライ
ン11を経て、凝縮器12で凝縮してその一部を
蒸留塔9へ環流したのち、残余は必要により第2
蒸留塔7へ循環することが好ましい。純無水フタ
ル酸は、ライン13より取出され、凝縮器14で
凝縮されたのち、ライン15より製品として取出
される。 無水フタル酸より沸点の低い成分は、塔頂より
ライン16を経て凝縮器17に送られて凝縮さ
れ、その一部はライン18により蒸留塔へ環流さ
れ、残りはライン19により排出され、タンク2
1に送られる。その一部は、蒸発釜10中の蒸留
残渣から所定量の無水フタル酸を回収して生じる
高粘度の残渣物中に混合され、該残渣物を溶解し
てライン20により系外へ排出される。なお、第
2蒸留塔は更に二つの蒸留塔に分けてもよく、こ
の場合第1蒸留塔の次の蒸留塔では低沸点の留分
が塔頂から分離され、塔底液はその次の蒸留塔へ
送られ、塔頂より純無水フタル酸が回収され、塔
頂から蒸留残渣が抜き出される。 しかして、高沸点物蒸留塔9における蒸留は、
回分式で200Torr以下、好ましくは30〜50Torr
の減圧下に行なわれる。この蒸留は、残渣物中の
無水フタル酸分が30重量%以下となるまで行なう
ことが可能であるが、残渣物の凝固点が230℃を
越えない時点で終了させることが好ましい。な
お、ここで蒸留する蒸留残渣は無水フタル酸より
高沸点の留分若しくは残渣の全部であつてもよい
が、ピツチ分等の特に重質の残渣は図面に示した
例のように分けて別に処理することが無水フタル
酸の回収率を上げるためには有利である。 このようにして蒸留残渣中の無水フタル酸分を
高率に回収することにより、蒸発釜10内に残存
する残渣物は凝固点が130℃、好ましくは160℃を
越える高いものとなるので、このままでは抜き出
しが困難である。そこで、本発明においてはこの
残渣物に無水フタル酸より低沸点の留分を添加混
合する。すなわち、安息香酸またはトルイル酸等
を主成分とする無水フタル酸より低沸点の留分を
この残渣物に添加すると凝固点および粘度が著し
く低下し、抜き出しが極めて容易になることが認
められたのである。そのため、残渣物の凝固点が
160℃を越えるまで無水フタル酸分を回収してと
しても、抜き出しが十分可能となるのである。 残渣物に添加混合する低沸点の留分としては安
息香酸またはトルイル酸等の無水フタル酸を製造
する際に副生する低沸点成分を主として含有する
留分が好ましく、低沸点成分の含有量は10〜100
℃、好ましくは30〜90%程度がよい。このような
留分としては、粗製無水フタル酸を精製蒸留する
際に塔頂から得られる低沸点留分が最も好まし
い。低沸点留分の添加量は残渣物の組成および低
沸点留分の組成によつて異なるが、いずれにして
もこれを添加混合したのち、約150℃以下、好ま
しくは約130℃以下の凝固点となるように添加す
る。ナフタリンを酸化して得られた粗製無水フタ
ル酸精製蒸留の際の蒸留残渣から無水フタル酸を
回収したのちの凝固点約160〜200℃の残渣物に対
しては、安息香酸を50〜90%および無水フタル酸
50〜10%含有する低沸点留分を残渣物100重量部
に対し5〜100重量部以上添加すればよい。 蒸発釜において、残渣物と低沸点留分を凝固点
以上の温度で混合したのち、これをライン32か
ら抜き出す。ライン32の保温は抜き出された混
合物の凝固点以上であればよいので、高圧スチー
ム等による保温で十分である。なお、抜き出され
た混合物は必要に応じ焼却装置において焼却さ
れ、あるいは燃料として使用される。 以上述べたように、本発明による無水フタル酸
蒸留残渣の処理方法は、ナフタリンまたはオルソ
キシレンを分子状酸素含有ガスにより接触気相酸
化して得られる粗製無水フタル酸を精製蒸留に供
給して低沸点留分および無水フタル酸留分を分離
する際に発生する蒸留残渣を、回分式に減圧蒸留
することによつて該蒸留残渣中に含有されている
無水フタル酸を回収し、該無水フタル酸回収後の
残渣物には無水フタル酸より低沸点の留分を混合
して該残渣物を蒸留釜外へ抜出すことにより行な
われるものであるから、高沸点留分の分離が十分
に行われると共に、無水フタル酸の回収率を高め
ることができ、また該回分式減圧蒸留における残
渣物中に無水フタル酸より低沸点の留分を混合す
ることにより前記残渣物の凝固点が大幅に降下す
るので、抜取作業が容易となり、同時に移送配管
内での閉塞問題が解決できる。このため、前記蒸
留残渣からの無水フタル酸の回収率を50%以上に
まで上昇させることが可能となる。また、前記無
水フタル酸より低沸点の留分として、粗製無水フ
タル酸の精製蒸留により無水フタル酸留分を分離
する際に得られる低沸点留分を使用すれば、処理
費用が安価となる。 つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。 実施例 1 ナフタリンの空気による接触気相酸化により得
られた粗製無水フタル酸を熱処理を行なつたの
ち、第1蒸留塔に供給した。第1蒸留塔で気化し
た留分を第2蒸留塔に送り、低沸点留分を除去し
た。塔底液は、第3蒸留塔に送り減圧蒸留を行な
つて、塔頂より純無水フタル酸をえた。 第3蒸留塔の蒸留残渣(塔底液)中には無水フ
タル酸85重量%および含窒素化合物等の不純物15
重量%を含有しており、凝固点は130℃であつた。
この蒸留残渣を高沸点物蒸留塔の蒸発釜に送り、
減圧度50Torr、塔底温度230℃、還流比2〜3で
回分蒸留することにより無水フタル酸純度99.8%
を回収した。この場合、無水フタル酸の回収率約
50重量%時点における残渣物(無水フタル酸濃度
70.2%)の凝固点は160℃と大幅に上昇し、蒸発
釜からの抜出し移送配管を10Kg/cm2Gのスチーム
で保温しても管内閉塞トルブルが生じる。したが
つて、このままでは無水フタル酸の回収率50%以
上に上昇させることは不可能であつた。 そこで、得られた残渣物に対して第2蒸留塔か
ら得られる低沸点留分(安息香酸約70%、無水フ
タル酸約30%)を無水フタル酸回収後の残渣物
に、第1表に示す割合で混合したところ、その凝
固点は第1表に示すとおりとなり、いずれの場合
も釜残抜取りや移送配管内での閉塞トラブルは全
くなく、焼却炉での噴燃処理にも支障がなかつ
た。なお、回収無水フタル酸は第2蒸留塔へ循環
した。
関するものである。詳しく述べると、ナフタリン
またはオルソキシレンを接触気相酸化して得られ
る無水フタル酸の蒸留残渣の処理方法に関するも
のである。 無水フタル酸はナフタリンまたはオルソキシレ
ンの空気酸化により製造されるが、同時に種々の
化合物が不純物として副生するのでこれを精製す
る必要がある。この精製は、蒸留による精製が通
常であり、連続若しくは回分蒸留により蒸留精製
される。 この蒸留では無水フタル酸より低沸点の留分と
高沸点の留分若しくは残渣とが分離除去され、無
水フタル酸留分が精製無水フタル酸として回収さ
れる。ここで、無水フタル酸より高沸点の留分若
しくは残渣は、なお多量の無水フタル酸分を含有
しているので製品歩留を向上させるため、これを
再蒸留して無水フタル酸分を回収することが有利
である。そこで、本発明者らは粗精無水フタル酸
を精製蒸留に供した際発生する蒸留残渣(無水フ
タル酸より高沸点の留分若しくは残渣を意味す
る)の一部を、粗製無水フタル酸の蒸留工程へ循
環する方法について検討を行なつた。しかしなが
ら、このように塔底物を蒸留工程に循環しなが
ら、ナフタリンの接触気相酸化によりえられる粗
製無水フタル酸の連続蒸留を行なうと、未知不純
物の製品への混入、そのための製品歩留の低下、
装置の腐食など、従来の回分操作においては予想
もしえなかかつたようなトラブルが生じるとを見
出した。 そこで、蒸留残渣を粗製無水フタル酸の蒸留工
程へそのまま循環させる方法ではなく、別に蒸留
を行い、無水フタル酸を留出させ、それを製品と
して回収または留出物を粗製無水フタル酸の蒸留
工程へ循環させる方法について検討した。この場
合は前述ような問題は生じないことが認められた
が、蒸留残渣から無水フタル酸を一定量以上回収
すると凝固点が上昇し、蒸留が困難となるばかり
でなく蒸留釜に残存する残渣物の除去が困難とな
ることさえ生ずることが認められた。 回収蒸留の場合は、連続蒸留の場合に比べて蒸
留残渣からの無水フタル酸の回収率を高くするこ
とが可能であるが、やはりその残渣物中の無水フ
タル酸分が一定量以下になると凝固点が上昇し、
蒸留釜からの抜取り作業が困難となると同時に移
送管内での閉塞問題が生ずる。蒸留残渣の組成に
よつても異なるが、一例としてナフタリンの接触
気相酸化により得られた粗製無水フタル酸の蒸留
残渣であつて、無水フタル酸分85重量%およびそ
の他主として約300℃以下の留分15重量%からな
る蒸留残渣の場合、無水フタル酸分が70重量%以
下になると残渣物の凝固点が160℃以上になるこ
とが認められ、この場合は無水フタル酸の回収率
を50%にすることさえ困難であることが判明し
た。 本発明は、前記のごとき従来法の諸欠点を解消
するためになされたもので、ナフタリンまたはオ
ルソキシレンを分子状酸素含有ガスにより接触気
相酸化して得られる粗製無水フタル酸を精製蒸留
に供して低沸点留分および無水フタル酸留分を分
離する際に発生する蒸留残渣を、回分式に減圧蒸
留することによつて該蒸留残渣中に含有されてい
る無水フタル酸を回収し、該無水フタル酸回収後
の残渣物には無水フタル酸より低沸点の留分を混
合して該残渣物を蒸留釜外へ抜出すことを特徴と
する無水フタル酸蒸留残渣の処理方法である。 つぎに図面を参照しつつ本発明を説明する。す
なわち、図面において、ナフタリンまたはオルソ
キシレン、好ましくはナフタリンの空気による接
触気相酸化により得られた粗製無水フタル酸は、
必要により熱処理等の前処理をされたのち、ライ
ン1より第1蒸留塔2に送られ、ピツチ等の重質
物がライン3から分離される。第1蒸留塔2で気
化した留分は、塔頂よりライン4を経て凝縮器5
に送られ、ここで凝縮してライン6より第2蒸留
塔7へ送られ、減圧蒸留に供される。この際、凝
縮器5を省略して気化物を蒸留塔7へ直接供給す
ることも可能である。蒸留残渣の一部は、ライン
8より高沸点物蒸留塔9の蒸発釜10に送られ、
回分式で減圧蒸留に供される。高沸点物蒸留塔9
からの留分は、製品とすることもできるが、ライ
ン11を経て、凝縮器12で凝縮してその一部を
蒸留塔9へ環流したのち、残余は必要により第2
蒸留塔7へ循環することが好ましい。純無水フタ
ル酸は、ライン13より取出され、凝縮器14で
凝縮されたのち、ライン15より製品として取出
される。 無水フタル酸より沸点の低い成分は、塔頂より
ライン16を経て凝縮器17に送られて凝縮さ
れ、その一部はライン18により蒸留塔へ環流さ
れ、残りはライン19により排出され、タンク2
1に送られる。その一部は、蒸発釜10中の蒸留
残渣から所定量の無水フタル酸を回収して生じる
高粘度の残渣物中に混合され、該残渣物を溶解し
てライン20により系外へ排出される。なお、第
2蒸留塔は更に二つの蒸留塔に分けてもよく、こ
の場合第1蒸留塔の次の蒸留塔では低沸点の留分
が塔頂から分離され、塔底液はその次の蒸留塔へ
送られ、塔頂より純無水フタル酸が回収され、塔
頂から蒸留残渣が抜き出される。 しかして、高沸点物蒸留塔9における蒸留は、
回分式で200Torr以下、好ましくは30〜50Torr
の減圧下に行なわれる。この蒸留は、残渣物中の
無水フタル酸分が30重量%以下となるまで行なう
ことが可能であるが、残渣物の凝固点が230℃を
越えない時点で終了させることが好ましい。な
お、ここで蒸留する蒸留残渣は無水フタル酸より
高沸点の留分若しくは残渣の全部であつてもよい
が、ピツチ分等の特に重質の残渣は図面に示した
例のように分けて別に処理することが無水フタル
酸の回収率を上げるためには有利である。 このようにして蒸留残渣中の無水フタル酸分を
高率に回収することにより、蒸発釜10内に残存
する残渣物は凝固点が130℃、好ましくは160℃を
越える高いものとなるので、このままでは抜き出
しが困難である。そこで、本発明においてはこの
残渣物に無水フタル酸より低沸点の留分を添加混
合する。すなわち、安息香酸またはトルイル酸等
を主成分とする無水フタル酸より低沸点の留分を
この残渣物に添加すると凝固点および粘度が著し
く低下し、抜き出しが極めて容易になることが認
められたのである。そのため、残渣物の凝固点が
160℃を越えるまで無水フタル酸分を回収してと
しても、抜き出しが十分可能となるのである。 残渣物に添加混合する低沸点の留分としては安
息香酸またはトルイル酸等の無水フタル酸を製造
する際に副生する低沸点成分を主として含有する
留分が好ましく、低沸点成分の含有量は10〜100
℃、好ましくは30〜90%程度がよい。このような
留分としては、粗製無水フタル酸を精製蒸留する
際に塔頂から得られる低沸点留分が最も好まし
い。低沸点留分の添加量は残渣物の組成および低
沸点留分の組成によつて異なるが、いずれにして
もこれを添加混合したのち、約150℃以下、好ま
しくは約130℃以下の凝固点となるように添加す
る。ナフタリンを酸化して得られた粗製無水フタ
ル酸精製蒸留の際の蒸留残渣から無水フタル酸を
回収したのちの凝固点約160〜200℃の残渣物に対
しては、安息香酸を50〜90%および無水フタル酸
50〜10%含有する低沸点留分を残渣物100重量部
に対し5〜100重量部以上添加すればよい。 蒸発釜において、残渣物と低沸点留分を凝固点
以上の温度で混合したのち、これをライン32か
ら抜き出す。ライン32の保温は抜き出された混
合物の凝固点以上であればよいので、高圧スチー
ム等による保温で十分である。なお、抜き出され
た混合物は必要に応じ焼却装置において焼却さ
れ、あるいは燃料として使用される。 以上述べたように、本発明による無水フタル酸
蒸留残渣の処理方法は、ナフタリンまたはオルソ
キシレンを分子状酸素含有ガスにより接触気相酸
化して得られる粗製無水フタル酸を精製蒸留に供
給して低沸点留分および無水フタル酸留分を分離
する際に発生する蒸留残渣を、回分式に減圧蒸留
することによつて該蒸留残渣中に含有されている
無水フタル酸を回収し、該無水フタル酸回収後の
残渣物には無水フタル酸より低沸点の留分を混合
して該残渣物を蒸留釜外へ抜出すことにより行な
われるものであるから、高沸点留分の分離が十分
に行われると共に、無水フタル酸の回収率を高め
ることができ、また該回分式減圧蒸留における残
渣物中に無水フタル酸より低沸点の留分を混合す
ることにより前記残渣物の凝固点が大幅に降下す
るので、抜取作業が容易となり、同時に移送配管
内での閉塞問題が解決できる。このため、前記蒸
留残渣からの無水フタル酸の回収率を50%以上に
まで上昇させることが可能となる。また、前記無
水フタル酸より低沸点の留分として、粗製無水フ
タル酸の精製蒸留により無水フタル酸留分を分離
する際に得られる低沸点留分を使用すれば、処理
費用が安価となる。 つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。 実施例 1 ナフタリンの空気による接触気相酸化により得
られた粗製無水フタル酸を熱処理を行なつたの
ち、第1蒸留塔に供給した。第1蒸留塔で気化し
た留分を第2蒸留塔に送り、低沸点留分を除去し
た。塔底液は、第3蒸留塔に送り減圧蒸留を行な
つて、塔頂より純無水フタル酸をえた。 第3蒸留塔の蒸留残渣(塔底液)中には無水フ
タル酸85重量%および含窒素化合物等の不純物15
重量%を含有しており、凝固点は130℃であつた。
この蒸留残渣を高沸点物蒸留塔の蒸発釜に送り、
減圧度50Torr、塔底温度230℃、還流比2〜3で
回分蒸留することにより無水フタル酸純度99.8%
を回収した。この場合、無水フタル酸の回収率約
50重量%時点における残渣物(無水フタル酸濃度
70.2%)の凝固点は160℃と大幅に上昇し、蒸発
釜からの抜出し移送配管を10Kg/cm2Gのスチーム
で保温しても管内閉塞トルブルが生じる。したが
つて、このままでは無水フタル酸の回収率50%以
上に上昇させることは不可能であつた。 そこで、得られた残渣物に対して第2蒸留塔か
ら得られる低沸点留分(安息香酸約70%、無水フ
タル酸約30%)を無水フタル酸回収後の残渣物
に、第1表に示す割合で混合したところ、その凝
固点は第1表に示すとおりとなり、いずれの場合
も釜残抜取りや移送配管内での閉塞トラブルは全
くなく、焼却炉での噴燃処理にも支障がなかつ
た。なお、回収無水フタル酸は第2蒸留塔へ循環
した。
【表】
実施例 2
実施例1の方法において蒸留残渣からの無水フ
タル酸の回収率を約80重量%したときの残渣物
(無水フタル酸濃度50%)の凝固点は183℃であつ
たが、第2表に示す割合で低沸点留分を混合した
ところ、その凝固点は第2表に示すとおりとな
り、低沸点留分を60重量部以上混合したものにつ
いては釜残抜取りや移送配管内での閉塞トルブル
は全くなく、焼却炉での噴燃処理にも支障がなか
つた。
タル酸の回収率を約80重量%したときの残渣物
(無水フタル酸濃度50%)の凝固点は183℃であつ
たが、第2表に示す割合で低沸点留分を混合した
ところ、その凝固点は第2表に示すとおりとな
り、低沸点留分を60重量部以上混合したものにつ
いては釜残抜取りや移送配管内での閉塞トルブル
は全くなく、焼却炉での噴燃処理にも支障がなか
つた。
【表】
実施例 3
実施例1の方法において、蒸留残渣からの無水
フタル酸の回収率を約90重量%としたときの残渣
物(無水フタル酸30%)の凝固点は216℃であつ
たが第3表に示す割合で低沸点留分を混合したと
ころ、その凝固点は第3表に示すとおりとなつ
た。凝固点が130℃以下となるものについては釜
残抜取りや移送管内での閉塞トラブルは全くなか
つた。
フタル酸の回収率を約90重量%としたときの残渣
物(無水フタル酸30%)の凝固点は216℃であつ
たが第3表に示す割合で低沸点留分を混合したと
ころ、その凝固点は第3表に示すとおりとなつ
た。凝固点が130℃以下となるものについては釜
残抜取りや移送管内での閉塞トラブルは全くなか
つた。
図面は、本発明の一実施例を示フローシートで
ある。 2,7,9…蒸留塔。
ある。 2,7,9…蒸留塔。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 ナフタリンまたはオルソキシレンを分子状酸
素含有ガスにより接触気相酸化して得られる粗製
無水フタル酸を、精製蒸留に供して低沸点留分お
よび無水フタル酸留分を分離する際に発生する蒸
留残渣を、回分式に減圧蒸留することによつて該
蒸留残渣中に含有されている無水フタル酸を回収
し、該無水フタル酸回収後の残渣物には無水フタ
ル酸より低沸点の留分を混合して該残渣物を蒸留
釜外へ抜出すことを特徴とする無水フタル酸蒸留
残渣の処理方法。 2 残渣物中に混合される低沸点留分の割合は、
該残渣物1重量部に対して0.1〜2重量部である
特許請求の範囲第1項に記載の処理方法。 3 蒸留残渣は無水フタル酸を95〜70重量%含有
してなる特許請求の範囲第1項または第2項に記
載の処理方法。 4 無水フタル酸回収後の残渣物には無水フタル
酸が10〜60重量%残存する特許請求の範囲第1項
ないし第3項のいずれか一つに記載の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22389482A JPS59116280A (ja) | 1982-12-22 | 1982-12-22 | 無水フタル酸蒸留残渣の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22389482A JPS59116280A (ja) | 1982-12-22 | 1982-12-22 | 無水フタル酸蒸留残渣の処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS59116280A JPS59116280A (ja) | 1984-07-05 |
JPH0359901B2 true JPH0359901B2 (ja) | 1991-09-12 |
Family
ID=16805367
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22389482A Granted JPS59116280A (ja) | 1982-12-22 | 1982-12-22 | 無水フタル酸蒸留残渣の処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS59116280A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007331571A (ja) * | 2006-06-15 | 2007-12-27 | Unipres Corp | 自動車用センターピラー構造 |
-
1982
- 1982-12-22 JP JP22389482A patent/JPS59116280A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS59116280A (ja) | 1984-07-05 |
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