JP2012183597A - 刃先交換式ボールエンドミル - Google Patents

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Abstract

【課題】 金型等の仕上げ加工を高速、高能率、高精度に行うための刃先交換式ボールエンドミルを提供する。
【解決手段】 工具本体2の先端部3から外周方向に円弧状切刃が形成された第1のインサート12を固定するための第1取付座4と、第2、第3のインサート13、14を固定するための第2、第3取付座を備えている。第1取付座4に装着された第1のインサート12を第1の固定用ネジ9により固定するための固定用ネジ穴8の向きは、第1取付座4となるインサート嵌合溝7が工具本体2の径方向に延びる向きと直交する方向に対して、工具本体2の回転方向とは逆方向に角度θ傾斜した方向に形成し、さらに、第1の固定用ネジ9を挿通させるために第1のインサート12に形成した傾斜ネジ挿通穴19も角度θ傾斜させている。第1取付座4に第1のインサート12を固定したときには、傾斜ネジ挿通穴19の内周面部19cと第1の固定用ネジ9の外周面部9cとが密に係合するようにしている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、工具本体の先端部に設けた取付座に、切刃を備えたインサートを着脱自在に装着できるようにした刃先交換式ボールエンドミル、特に、金型等の仕上げ加工において、インサートを工具本体に繰り返して装着しても、装着精度が確保できるようにすることにより、高速度、高精度の切削加工を可能にした刃先交換式ボールエンドミルに関するものである。
各種の金型を製作する際には、3次元の切削加工を行う必要がある中で、従来から金型の切削加工用の工具としては、ボールエンドミルが用いられる。近年、金型の寸法は大型化する傾向にあり、これに伴って金型の切削加工を行うためのボールエンドミルには、高速、高能率、高精度の切削加工を可能、かつ長寿命化が要求されている。このような要求に対応するために、例えば、下記の技術を備えたボールエンドミルが提案されている。
(1)ボールエンドミルの工具本体の先端部に複数の切刃(多刃)、例えば4つの切刃(4枚刃)を設けて、被削材を高速、高能率、かつ高精度の切削加工を行うことができるようにする。また、工具本体の先端部に設けた取付座に、切刃となるインサートを着脱自在に装着することにより2枚刃、あるいは4枚刃とした刃先交換式のボールエンドミル(以下、「刃先交換式ボールエンドミル」という)も提案されている。さらに、この刃先交換式ボールエンドミルにおいて、チップポケットを大きくして切り屑の詰りを防止するために、インサートを取付座に着脱自在に装着するための装着(固定)機構を改善した技術も提案されている。
(2)刃先交換式ボールエンドミルにおいて、取付座に装着して固定したインサートが、切削加工中に発生する切削加工負荷によりその固定位置が狂わないように、インサートの固定機構を改善して高精度の切削加工ができるようにした技術も提案されている。
(3)切刃の長寿命化を図るために、耐摩耗性を有する立方晶窒化硼素(CBN)からなる硬質焼結体製の切刃を備えたボールエンドミルも提案されている。
上記(1)に関する技術としては、例えば、下記の特許文献1(特開昭60−85815号公報)、特許文献2(実開昭54−29490号公報)、特許文献3(特開2001−121339号公報)に記載の発明が提案されている。
特許文献1には、高精度、かつ高い送り速度で切削加工を行うことを可能とした切削工具に関する発明が提案されている。特許文献1に記載されている切削工具は、一軸の回りに回転駆動されるホルダと、このホルダに取外し可能に取付けた4つの切削チップを備えている。この切削チップは、中心に円筒穴のある円板から扇形に切り出した形状であり、そのうちの1個の切削チップは円弧の中心角が90°より大きくし、他の3個の切削チップは円弧の中心角が90°より小さくしている。そして、円弧の中心角を90°より大きくした切削チップは、ホルダの回転中心軸を越えて配置するとともに、この回転中心軸を越えて延びている部分には面取りを施して鋭角の縁を形成している。
一方、ホルダは、4つの切削チップの嵌め込み部の底部に、球を、回転中心軸上に位置するように接着により固定している。また、この球の半径は各扇形をなす切削チップの内側の円弧部の半径に等しくして、4つの切削チップを固定するための基準としている。これにより、切削チップの外側円弧に沿って形成された切刃の各部分と研削装置の心棒の中心軸との位置関係を、切削工具のホルダ内の球の中心とした切削チップの取付けの位置関係が同一になるので、高精度な刃先交換式ボールエンドミルの提供が可能になることが開示されている。
特許文献2には、切屑つまりを解消して工具の破損がなく、かつ作業能率を向上させた、切刃チップを交換自在とした穴あけ工具が提案されている。特許文献2に記載の考案は、切刃チップをホルダの相対する一対の挟持部間に挿入し、この切刃チップを貫通する締付ボルトにより固定する穴あけ工具において、一方の挟持部の縁部を切刃チップの一方の側面に対してホルダの回転方向へ鈍角をなすように切欠して一方の切削屑排出溝を形成するとともに、これと対称位置にある他方の挟持部の縁部を切刃チップの他方の側面に対しホルダの回転方向へ鈍角をなすように切欠して他方の切削屑排出溝を形成し、かつ締付ボルトを一方の挟持部の切欠した面と他方の挟持部の切欠した面とに、略平行となるように傾斜させた構成にすることが開示されている。
特許文献3には、上記特許文献2とほぼ同様な構成を有するスローアウエイエンドミルに関する発明が提案されている。このスローアウエイエンドミルは、ホルダ本体に形成されたチップ嵌合溝に嵌合されるチップの取付座に直交する位置に対して、周方向に所要の角度ほど傾斜した方向からクランプボルトがチップの挿通穴を挿通して両チップ挟持半体にわたってネジこまれる構成とすることにより、チップポケットを大きく取れるようにしたエンドミルである。
上記(2)に関する技術としては、例えば、下記の特許文献4(特開平11−239911号公報)、特許文献5(実開昭64−50008号公報)、特許文献6(特許第4531981号公報)に記載の発明が提案されている。
特許文献4には、切削加工中に作用する切削負荷に対して、チップをチップ取付座に装着した位置が狂わない強固な固定機構を有するスローアウエイ式切削工具に関する発明が提案されている。このスローアウエイ式切削工具は、工具本体の先端部にスリット状に設けた中空部からなるチップ座に、スローアウエイチップを挟持して締め付け部材で固定するスローアウエイ式切削工具において、工具本体のチップ取付座の一方の側面部には締め付け部材の頭部円錐面に対応する部分に工具本体後端方向に偏心した円錐状受け面を設け、他のチップ取付座の側面部には円筒部受け穴及びその側壁を設けた構成とすることが記載されている。そして、締め付け部材によるスローアウエイチップの固定は、スリット状中空部のチップ座側面部による押圧と、締め付け部材の円筒部がスローアウエイチップのピン穴の内壁面から工具本体の後端側への押圧とによって行うようにし、さらに、スローアウエイチップの取付基準面を上記した円筒部受け穴の側壁とするが記載されている。
特許文献5には、スローアウエイチップをチップ取付座に取付ボルトにより着脱自在にしたボールエンドミルにおいて、切削荷重によりスローアウエイチップが回転中心軸方向の後方に後退することを防止する手段を備えたボールエンドミルに関する発明が提案されている。このスローアウエイチップの後退を防止する手段は、チップ取付座に設けたねじ孔であってスローアウエイチップの着座面側に開口する部分に、このねじ孔より大径の凹部を形成すると共に、取付ボルトにこの凹部に密に係合する円柱部を形成した構成とすることが記載されている。このような構成にすることにより、切削加工時に回転中心軸方向に大きな荷重が作用しても、取付ボルトの円柱部がチップ取付座のねじ孔の開口部に形成された凹部に密に係合しているのでスローアウエイチップの後退を防止させるようにしている。
特許文献6には、ホルダの先端部(溝脚部)に形成された溝に挿入された切削インサートをクランプネジにより、確実にクランプする機構を備えた穴ぐり工具に関する発明が提案されている。このクランプ機構(特許文献6の図3参照)は、溝脚部に設けたクランプネジ用の穴の中心軸はX方向に対して傾斜させるとともに、切削インサートに設けた受容穴の中心軸もX方向に対して傾斜させ、さらに、クランプネジはその頭部と先端部のネジ部との間のシャフト部分の外周面を、頭部からネジ部に向かって先細にしたテーパ状の構成にしたことが記載されている。このような構成にすることにより、切削インサートはクランプネジのくさび面伝道装置のような形式で協働して、ストッパ面に押圧されるので、切削加工中における切削インサートに発生する振動もなくなり、優れたクランプ作用を達成することができると記載されている。
上記(3)に関する技術としては、例えば、下記の特許文献7(特開2002−126930号公報)、特許文献8(特開平4−275815号公報)に記載の発明が提案されている。
特許文献7には、回転中心近傍の切刃の欠損を防止することにより長寿命とした多刃ボールエンドミルに関する発明が提案されている。この多刃ボールエンドミルは、超硬合金製の工具本体の先端部に工具本体と一体に成形された超硬合金製のねじり切刃(第1刃部)と、工具本体にロウ付け固着されると共に硬質焼結体(立方晶窒化硼素焼結体)からなる第2刃部から構成し、第1刃部は工具本体のボール刃の先端から工具本体の後端側へ向かって形成され、第2刃部は工具本体のボール刃側において工具本体の回転中心軸と所定の角度を隔てた位置から工具本体の後端側へ向かって形成された構成にすることが記載されている。さらに、切削加工を行う場合には、靱性に優れる超硬合金製の第1刃部で回転中心近傍の切削を行って回転中心近傍の切刃の欠損を防止し、耐摩耗性に優れる硬質焼結体製の第2刃部で外周側の切削を行うことが記載されている。
特許文献8には、刃部の製作が容易で、かつ安定した寿命の切削加工を行うことを可能としたボールエンドミルに関する発明が提案されている。このボールエンドミルは、工具本体の先端部に4つの切刃を周方向へ90°位相をずらして設け、かつ切刃の材質を2種類として、各切刃はその材質が交互に異なるように工具本体の先端部にロウ付け、あるいはねじ等で固定した構成にされている。また、この2種類の材質からなる切刃は、じん性に富んだ超硬合金製の切刃と、耐摩耗性に富んだCBN焼結材製の切刃とされている。さらに、このじん性に富んだ超硬合金製の切刃は、ボール外周部から先端部まで切刃が延び、一方、耐摩耗性に富んだ切刃は、先端部には切刃はなく、回転中心軸から少し離れた位置から外周部にかけて切刃を有する構成にすることが記載されている。
特開昭60−85815号公報 実開昭54−29490号公報 特開2001−121339号公報 特開平11−239911号公報 実開昭64−50008号公報 特許第4531981号公報 特開2002−126930号公報 特開平4−275815号公報
特許文献1に記載の切削工具は刃先交換式の4枚刃からなるボールエンドミルであるが、インサートの固定はネジと押え板による固定であるため、高速回転による高速切削時にはインサートが抜けでる可能性がある。また、インサートを固定する基準となる嵌め込み部底の球については、球とインサート内側の円弧の精度、球の接着による取り付位置の精度、接着の耐久性等を考慮すると、繰り返して交換するインサートを、その都度、高精度にその固定位置を維持するのは困難であると考えられる。
特許文献2に記載の考案は切屑の排出性を良好にするために、工具先端部に、締付けボルトを傾斜した方向から締付けて切刃チップを固定する構成にすることにより、切屑排出溝を大きく確保するようにした穴あけ専用の工具である。従って、この穴あけ工具は、金型のキャビティー等の3次元切削加工を高速で行うための工具として使用することはできない。また、特許文献2には、切刃チップに形成した挿通穴と締付けボルトの外周面との係合関係の詳細については開示されていない。
特許文献3に記載のスローアウエイエンドミルは、ホルダ本体に形成されたチップ嵌合溝に嵌合されるチップの取付座に直交する位置に対して、周方向に所要の角度ほど傾斜した方向からクランプボルトがチップの挿通穴を挿通して両チップ挟持半体にわたってネジこまれる構成とすることにより、チップポケットを大きく取ることができるようにして切屑の排出性を良好にした刃先交換式エンドミルである。しかし、このスローアウエイエンドミルは切刃が2枚から構成されているので、金型を高速で切削加工するボールエンドミルとして適用することは困難である。金型を高速で切削加工するためには、切刃を少なくとも4枚刃からなる構成にすることが望ましい。また、特許文献3には、特許文献2と同様に、チップに形成した挿通穴とクランプボルトの外周面との係合関係の詳細については開示されていない。
特許文献4に記載のスローアウエイ式切削工具は、工具本体のチップ取付座の一方の側面部に、締め付け部材の頭部円錐面に対応する部分に工具本体後端方向に偏心した円錐状受け面を設け、他のチップ取付座の側面部には円筒部受け穴及びその側壁を設けた構成としている。そして、締め付け部材によるスローアウエイチップの固定は、スリット状中空部のチップ座側面部による押圧と、締め付け部材の円筒部がスローアウエイチップのピン穴の内壁面から工具本体の後端側への押圧とによって行うことにより、切削加工中においてチップがチップ取付座に装着した位置が狂わないような構成になっている。このスローアウエイ式切削工具においては、スローアウエイチップのピン穴の内壁面と締め付け部材(締め付けネジ)の外周面との係合について、さらに改善すれば、切削加工中においてチップ取付座に固定したチップの位置が狂わないようにすることが可能であると考えられる。なお、このスローアウエイ式切削工具は、2枚刃から構成されるスローアウエイ式切削工具であって、上記特許文献3と同様に、金型を高速で切削加工するボールエンドミルとしては適していない。
特許文献5に記載のボールエンドミルは、チップ取付座に設けたねじ孔であってスローアウエイチップの着座面側に開口する部分に、このねじ孔より大径の凹部を形成すると共に、取付ボルトにこの凹部に密に係合する円柱部を形成した構成とすることにより、切削加工時に回転中心軸方向に大きな荷重が作用しても、取付ボルトの円柱部がチップ取付座のねじ孔の開口部に形成された凹部に密に係合しているのでスローアウエイチップの位置ずれを防止するようにしている。しかし、特許文献5には、上記した取付ボルトの円柱部がチップ取付座のねじ孔の開口部に形成された凹部に密に係合させた係合関係の詳細については記載されていない。また、このボールエンドミルは2枚刃とした工具であると思われるが、高速加工を可能とするために4枚刃にした構成にすることについては開示されていない。
特許文献6に記載の切削インサートを備えた穴ぐり工具は、前記した特許文献2と同様に穴開け専用の工具であって、金型のキャビティー等を高速で切削加工するための工具として使用することはできない。また、クランプネジのテーパ状の外周面と切削インサートに設けた挿通穴との具体的な係合関係については記載されていない。
特許文献7に記載の多刃ボールエンドミルは、超硬合金製のねじれ切刃(第1刃部)とロウ付けにより固定され硬質焼結体製のチップに形成されたチップ切刃(第2刃部)の4枚の切刃を備えたボールエンドミルであるが、第1刃部に欠損が発生するとこのボールエンドミルは使用不可能になる。このため、金型の切削加工を高速度で行うための多刃ボールエンドミル、例えば、4枚の切刃を備えたボールエンドミルは、刃先交換式のボールエンドミルを採用して、インサートの切刃に摩耗あるいは欠損が発生すると新しいインサートを再装着して切削する刃先交換方式を採用した方が、切削加工の精度と効率は向上し、切削加工コストも低減させることが可能になり望ましい。
特許文献8に記載のボールエンドミルは、4枚刃の切刃のうち2つの切刃を耐摩耗性に富んだCBN焼結材等から構成し、これら4枚刃の切刃は工具本体にロウ付け、あるいはねじ等で固定される(特許文献8の段落0006参照)と記載されているが、4枚の切刃を工具本体にねじで固定するときの具体的な固定手段については記載されていない。
一方、刃先交換式ボールエンドミルにおいて、インサートの工具本体への装着と固定は、取付座に装着したインサートを、このインサートに形成されたネジ挿通穴に固定用ネジを挿通させ、この固定用ネジを取付座と螺合させる手段が採用されている。一般的に、金型等の被削材の仕上げ加工に使用される刃先交換式工具では、摩耗したインサートを新しいインサートと交換して装着する都度、新しく装着したインサートの装着・固定状態、すなわち、工具本体の先端部に対する切刃の位置や切れ刃形状等を確認し、必要に応じてはインサートの固定位置を微調整することがある。従って、インサートを工具本体に装着する際において、新しいインサートを装着して固定する都度、この固定位置について高い精度を得るための改善は、インサートの位置調整時間の短縮につながることから、重要な技術課題の一つである。
本願の発明者は、高速で、かつ高精度で金型の切削加工、特に仕上げ加工を行うための刃先交換式ボールエンドミルの構成、さらにインサートの構成や取付座への固定方法の改善について、種々の検討と実験を行った結果、インサートの固定用のネジ挿通穴の向き、このネジ挿通穴の内周面の面粗さRzaと、固定用ネジの円筒部における外周面の面粗さRzbとを適切に設定して、インサートのネジ挿通穴の内周面と固定用ネジの円筒部の外周面とを、密に係合させることが重要であるとの知見を得た。
従って、本発明の目的は、刃先交換式ボールエンドミルにおいて、工具本体の先端部に第1のインサート、第2及び第3のインサートをそれぞれの取付座に装着して固定するための固定機構を改善することにより、金型等の被削材の仕上げ加工を、高速、高能率、高精度に行うことを可能とし、さらにインサートを装着した1本当りの工具の寿命を長寿命とした刃先交換式ボールエンドミルを提供することにある。
本発明の請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミルは、工具本体の先端部に設けた取付座に、円弧状に形成された刃部を有するインサートを着脱自在に装着する刃先交換式ボールエンドミルであって、
前記取付座は、
前記工具本体の先端部から前記回転中心軸を含んで径方向に形成されたスリット状のインサート嵌合溝からなり、前記インサート嵌合溝に挿入された第1のインサートを第1の固定用ネジにより固定するための第1取付座と、
前記先端部が前記第1取付座を介して2分割された構成からなる先端半体部の一方と他方にそれぞれ設けられた取付座であって、第2のインサートを第2の固定用ネジにより固定するための第2取付座と、第3のインサートを第3の固定用ネジにより固定するための第3取付座と、を備え、
前記先端半体部は、前記インサート嵌合溝を介して、前記先端半体部の一方の外表面から他方側の前記先端半体部内であって、前記インサート嵌合溝が前記工具本体の径方向に延びる向きと直交する方向に対して、前記工具本体の回転方向とは逆方向に角度θ傾斜した方向に形成された第1インサート固定用ネジ穴を備え、
前記第1のインサートは、前記インサート嵌合溝に挿入したときに、前記第1インサート固定用ネジ穴と連通するように前記角度θ傾斜した方向に形成された傾斜ネジ挿通穴を備え、
前記インサート嵌合溝内において、前記第1のインサートは、前記第1インサート固定用ネジ穴に挿入された前記第1の固定用ネジが前記傾斜ネジ挿通穴を挿通するとともに、前記挿通した前記第1の固定用ネジの外周面に仕上げ加工を施した外周面部が、前記傾斜ネジ挿通穴に仕上げ加工を施した内周面部と密に係合した状態で、前記第1の固定用ネジの前記先端半体部とのネジ締結により固定されていることを特徴としている。
請求項2に記載の刃先交換式ボールエンドミルは、 請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記第1のインサートを前記第1取付座に装着したときに、前記第1のインサートの前記円弧状の刃部は、前記工具本体の最先端から後端側に向かうように配置され、
前記第2及び第3のインサートを前記第2及び第3取付座に装着したときに、前記第2及び第3のインサートの前記円弧状の刃部は、前記工具本の最先端には配置されずに、前記刃部は前記工具本体の最先端から前記回転中心軸となす角度(α)が15°〜30°離れた位置から後端側に向かうように配置されていることを特徴としている。
請求項3に記載の刃先交換式ボールエンドミルは、 請求項1または請求項2に記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記第1取付座に装着される前記第1のインサートの前記円弧状の刃部の中心角βは、β≧180°に設定され、
前記第2及び第3取付座に装着される前記第2及び第3のインサートの前記円弧状の刃部の中心角γは、γ≦90°に設定されていることを特徴としている。
請求項4に記載の刃先交換式ボールエンドミルは、請求項1から請求項3のいずかに記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記第1取付座に装着される前記第1のインサートは超硬合金から構成されていることを特徴としている、
請求項5に記載の刃先交換式ボールエンドミルは、請求項1から請求項3のいずかに記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記第2及び第3取付座に装着される前記第2及び第3のインサートは、その基体が超硬合金から構成されるとともに、前記円弧状の刃部は、前記超硬合金からなる基体に立方晶窒化硼素焼結体を含む硬質焼結体から形成された刃部を接合した構成とされていることを特徴としている。
請求項6に記載の刃先交換式ボールエンドミルは、請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記第1の固定用ネジの前記外周面部の表面粗さは、前記傾斜ネジ挿通穴の内周面部の表面粗さより粗くしていることを特徴としている。
請求項7に記載の刃先交換式ボールエンドミルは、請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記角度θは、20°≦θ≦40°に設定されていることを特徴としている。
本発明によれば、第1のインサートの固定用ネジ挿通穴と工具本体の第1インサート固定用ネジ穴を、工具本体の正回転方向とは逆方向に傾斜させることによって、第2、第3のインサートをネジにより装着できるスペースを充分に設けることができるので、刃先交換式ボールエンドミルを4枚刃とすることが可能になる。その結果として、切削工具1本当たりの切削性能を向上することができ、特に、立ち壁の高速切削加工において高能率、高精度、且つ、工具寿命に優れる刃先交換式ボールエンドミルを提供することができる。
さらに、第1のインサートを第1の固定用ネジを用いて第1取付座に装着して固定したときには、第1のインサートの傾斜ネジ挿通穴の内周面に形成した仕上げ加工を施した内周面部と第1の固定用ネジの外周面に仕上げ加工を施した外周面部とが密に係合した構成になるので、切削加工中において、第1のインサートが第1取付座から位置ずれすることを防止できる。これにより、金型などの立ち壁の高速切削加工において、高能率・高精度、且つ、工具寿命に優れる刃先交換式ボールエンドミルを提供することができる。
本発明に係る刃先交換式ボールエンドミルの実施形態について、インサートを装着していないときの状態を示す正面図である。 図1に示す刃先交換式ボールエンドミルについて、回転中心軸方向から見たときの先端部の構成を示す側面図である。 図1に示す刃先交換式ボールエンドミルについて、先端部の構成を説明するための部分正面図である。 図1に示す刃先交換式ボールエンドミルについて、インサートを装着したときの状態を示す正面図である。 図4に示す刃先交換式ボールエンドミルについて、回転中心軸方向から見たときの先端部の構成を示す側面図である。 図4に示す刃先交換式ボールエンドミルについて、先端部の構成を説明するための部分正面図である。 図4に示す第1のインサートの構成を示す平面図である。 図7に示す第1のインサートについて、紙面の左側方向から見たときの構成を示す側面図である。 図7に示す第1のインサートについて、A−A線に沿った断面の形状を示す断面図である。 図9に示す第1のインサートの傾斜ネジ挿通穴について、その内周面に仕上げ加工を施すための手順を説明するための図であって、(a)は第1のインサートを粉末成形により成形し、焼結した素材形状の断面図、(b)は(a)に示す内周面部に仕上げ加工を施したときの状態を説明するための断面図である。 図4に示す第1の固定用ネジの構成を示す正面図である。 図5に示す第2のインサートの構成を示す平面図である。 図12に示す第2のインサートについて、紙面の左側方向から見たときの構成を示す側面図である。 図12に示す第2のインサートについて、切刃方向から見たときの構成を示す正面図である。 図6に示す 第2(又は第3)の固定用ネジの構成を示す正面図である。 本発明のボールエンドミルを試作して、FCD550からなる被削材について切削加工試験を行ったときに、この試作したボールエンドミルの仕様を示す図表である。 同じく、本発明のボールエンドミルを試作して、SKD11からなる被削材について切削加工試験を行ったときに、この試作したボールエンドミルの仕様を示す図表である。
以下、図面を用いて本発明に係る刃先交換式ボールエンドミルの実施形態について、詳細に説明する。
(工具本体の構成)
図1〜図3は、本発明の一実施形態を示す刃先交換式ボールエンドミルについて、切刃となるインサートを装着していないときの工具本体2の構成を示す図であって、図1は工具本体2の正面図、図2は工具本体2を回転中心軸O方向からみたときの先端部の構成を示す側面図、図3は図1に示す工具本体2を回転中心軸Oに対して90°異なる方向からみたときに、先端部の構成を示す正面図である。
インサートを装着していない工具本体2の正面視を示す図1において、工具本体2の一方の端部には半球状に形成され先端部3を備えている。先端部3には、切刃となるインサートを装着して締め付け部材となる固定用ネジによりこのインサートを着脱自在に固定するための取付座が形成されている。なお、工具本体2の他方の端部は、刃先交換式ボールエンドミルを加工装置に取り付けるためのシャンク部となっている。また、工具本体2は、例えば、SKD61等の合金工具鋼から製造されている。
次に、切刃を備えたインサートを装着して固定するための取付座の構成について説明する。工具本体2の先端部3には、第1取付座4と、第2取付座5と、第3取付座6が形成されている。図2、図3に示すように、第1取付座4は、先端部3の最先端部から、回転中心軸Oを含んでこの回転中心軸O方向に所定の深さを有し、かつ、工具本体2の径方向に先端部3を貫くように形成されたスリット状のインサート嵌合溝7から構成されている。図2に示す10、11は、先端部3に形成した切屑排出溝である。なお、上記した「先端部3の最先端部」とは、半球状に突出する先端部3の突出先端部が回転中心軸Oと交わる部分を示す。
また、図3に示すように、第1取付座4となるインサート嵌合溝7は対向して形成された側面壁7a、7bと、底部7cを備えており、これら側面壁7aと7bは回転中心軸Oを挟んで平行になるように、機械加工により形成されている。この第1取付座4は、切刃となる第1のインサート12(図5、図7参照)を装着してインサート嵌合溝7内に固定するための取付座になる。
さらに、図3に示すように、インサート嵌合溝7の深さ方向は、回転中心軸O方向に所定の長さ(深さ)を有するように、さらにインサート嵌合溝7の深さ方向の中心線は、回転中心軸Oと一致するように、インサート嵌合溝7は形成されている。そして、インサート嵌合溝7の形成により、先端部3はインサート嵌合溝7に対向して、2分割された構成になっている。以下の説明において、この2分割された先端部3の一方を先端半体部3a、他方を先端半体部3bという。
図1〜図3に示すように、先端半体部3aの外面部には第2取付座5が、先端部半体3bの外面部には第3取付座6が形成されている。第2取付座5は、切刃となる第2のインサート13(図5、図12参照)を装着して固定するための取付座になる。また、第3取付座5は、切刃となる第3のインサート14(5参照)を装着して固定するための取付座になる。第2取付座5と第3取付座6は、それぞれ第2及び第3のインサート13、14を装着するために回転中心軸O方向に形成された着座面を備えている。また、これら着座面には、それぞれ第2及び第3のインサート13、14を、締め付け部材となる第2及び第3の固定用ネジ(図15参照)によりネジ固定するためのネジ穴が形成されている。
また、図2に示すように、一方の先端半体部3aから他方の先端半体部3bに向けて第1インサート固定用ネジ穴8が形成されている。第1インサート固定用ネジ穴8は、第1取付座4(インサート嵌合溝7)に装着された第1のインサート12を、第1の固定用ネジ9(図11参照)により固定するためのネジ穴になる。第1インサート固定用ネジ穴8は、一方の先端部半体3aを貫通し、インサート嵌合溝7を介して他方の先端部半体3bの内部の所定の深さまで形成されている。なお、先端部半体3bの内部には第1の固定用ネジ9のネジ部9e(図11参照)とネジ嵌合するためのネジ山が刻設されている。
さらに、図2に示しているように、第1インサート固定用ネジ穴8の向き(直線O)は、インサート嵌合溝7が工具本体2の半径方向に向かう向きとなる直線(中心線)Oと直交する直線Oに対して角度θほど傾斜させた方向に形成している。また、角度θ、すなわち、第1インサート固定用ネジ穴8の向きOは、図2に示すように、切削加工時における工具本体2(ボールエンドミル)の回転方向をRとしたときに、角度θほど直線Oに対してこの回転方向Rと逆方向に傾斜させている。この直線Oに対する傾斜角度θは、20°≦θ≦40°の範囲に設定することが望ましい。
(ボールエンドミルの構成)
図4〜図6は、本発明の実施形態となる刃先交換式ボールエンドミル1を示しており、図1に示す工具本体2の第1取付座4に第1のインサート12を、第2取付座5に第2のインサート13を、第3取付座6に第3のインサート14を装着して固定したときの状態を示す図である。
図4(図6)に示すように、第1取付座4を構成するインサート嵌合溝7に装着された第1のインサート12は、第1の固定用ネジ9を用いたネジ締めにより固定される。また、第2取付座5に装着された第2のインサート13は、第2の固定用ネジ15(図15参照)を用いたネジ締めにより固定され、さらに第3取付座5に装着された第3のインサート14は、第3の固定用ネジ16を用いたネジ締めにより固定される。第2の固定用ネジ15と第3の固定用ネジ16は、同一種のネジを使用することが望ましい。
なお、図5に示す例では、第2のインサート13と第3のインサート14は、回転中心軸Oに対して対称となるそれぞれの先端半体部3aと3bの取付座に固定した例を示しているが、第2のインサート13と第3のインサート14を、必ずしも回転中心軸Oに対して対称となる位置に固定する必要はない。この場合には、先端半体部3a、3bに形成する第2取付座5と第3取付座6の位置とその形状などを適切に設定するようにする。
(第1のインサートの構成)
続いて、第1のインサート12の構成を、図7〜図9を参照して説明する。図7は第1のインサート12について上面部の構成を示す図、図8は図7に示す第1のインサート12について、紙面の左側から見たときの構成を示す側面図、図9は図7に示すA−A線における断面の形状を示す図である。
図7〜図9に示すように、第1のインサート12の形状は、一方の平面部(上面部)12aと、他方の平面部(下面部)12b、及び上面部12aと下面部12bの間に形成された円弧状部12cと直線状平面部12dを有し、略半円盤状をなした平板状の超硬合金からなる部材から構成されている。
第1のインサート12の円弧状部12cには、2つの円弧状の刃部(切刃)17、18が形成されている。すなわち、第1のインサート12は、2つ(2枚)の切刃17と18を備えている。なお、この円弧状の刃部17、18は、図7に示す回転軸Oを中心に1回転した時に、半径Rの半球を呈するように、一般的に直線もしくはS字刃形形状と言われるように形成されている。さらに、第1のインサート12は、上面部12aから下面部12bに向けて傾斜して貫通するように形成された傾斜ネジ挿通穴19を備えている。また、第1のインサート12を第1取付座4に装着して固定したときには、図7に示す直線Oは、ボールエンドミル1の回転中心軸Oに一致するように固定される。なお、この直線Oは、円弧状部12cの中央部と傾斜ネジ挿通穴19の中心部とを繋ぐ直線(回転中心軸O)を示す。
さらに、本実施形態において、刃部17、18は、図7及び図8に示すように、円弧状部12cの端部から円弧状部12cの中央部(図8に示す直線O)に向けて、それぞれ円弧状をなすように形成されている。そして、円弧状部12cの中央部(第1のインサート12の中心線Oと交わる部分)には円弧状をなす2つの刃部17と18のそれぞれの端部が配置された状態、すなわち、第1のインサート12を第1取付座4に装着して固定したときには、2つの切刃17と18により構成される第1のインサート12の切刃は、回転中心軸O上に存在するように円弧形状をなしている。
なお、第1のインサート12の円弧状部12cに形成する切刃は、上記したように、2つの刃部17と18とから構成する他に、円弧状部12cの一方の端部から他方の端部まで、一つの円弧形状の切刃から構成してもよい。これにより、第1のインサート12を第1取付座4に装着して固定したときには、工具本体2の最先端部にも切刃を備える構成になり、第1のインサート12は、この最先端部から工具本体2(先端部3)の外周方向に向かって2つの切刃を有する2枚刃から構成されることになる。
また、図7に示すように、第1のインサート12の円弧状部12cに形成されている円弧状をなす刃部(刃部17と18を一つの刃部とした場合)の中心角βは、β≧180°に設定し、この角度βの上限値は210°程度に設定することが望ましい。
このように、第1のインサート12の中心角βが180°を超えた円弧状をなすような刃部を形成しておくと、例えば、金型のキャビティー部の立ち壁の仕上げの切削加工を行うときに、加工機の数値制御により、下り方向の切削加工は中心角βが180°以内の切刃部分を用い、上り方向の切削加工は中心角βが180°を超えた切刃部分を用いて切削加工を行うことが可能、すなわち、ボールエンドミルの上下方向の往復移動に追従させながら切削加工を行うことができるので、切削加工の高効率化と高精度化を達成することが可能になる。
なお、中心角βが180°を超えた部分の切刃は、図7に示す直線Oと平行な直線状に形成するか、あるいは、中心角βが180°以内の部分に形成している円弧状の切刃をそのまま延長した円弧状に形成してもよい。中心角βは210°を超えると、インサートが長手方向に長くなり、大きくなるためコスト増、又は基準面である12dの長さが短くなるため、インサートの繰り返し取付け精度が悪くなる。よって、中心角βの上限値は210°程度に設定することが望ましい。
また、第1のインサート12の直線状平面部12dは、第1のインサート12を第1取付座4(インサート嵌合溝7)に固定したときに、インサート嵌合溝7の底部7cと密接する部分になるので、直線状平面部12dに仕上げ加工を施しておくようにする。
さらに、その他の実施形態として、直線状平面部12dを、凸V形状をなす取付け基準面としても、本発明の効果が期待できる。
続いて、本発明のエンドミルが備えている傾斜ネジ挿通穴19の構成について説明する。
図9に示すように、傾斜ネジ挿通穴19の向き、すなわち、傾斜ネジ挿通穴19の中心軸を通る直線Oの向きは、第1のインサート12の断面の中心線Oに対して角度δほど傾斜させている。なお、図9に示す直線Oは、第1のインサート12の上面部12a(又は下面部12b)に対して直交する直線を示す。そして、傾斜ネジ挿通穴19の内周面が直線Oに沿う向きも、角度δほど傾斜した方向に設けるとともに、傾斜ネジ挿通穴19の内周面には仕上げ加工を施した内周面部19cを形成している。
第1のインサート12が備えている傾斜ネジ挿通穴19の構成の詳細を、図10(a)、(b)に基づいて説明すると次のようになる。
超硬合金製の第1のインサート12は、後述するように、炭化タングステン粒子、コバルト粒子と必要に応じて添加物を加えて作製した混合造粒粉末を用いてプレス成形することにより、傾斜ネジ挿通穴19を有する第1のインサート12の成形体を成形することができる。図10(a)は、プレス成形により成形した第1のインサート12の成形体を焼結したインサート素材の断面形状を示している。このプレス成形においては、金型のキャビティーの形状を適切に設計することにより、角度δほど傾斜した傾斜ネジ挿通穴19を有する第1のインサート12を成形することができる。なお、角度δは、前記した角度θと同じ角度、すなわち、20°≦δ≦40°内の適切な角度に設定する。
このプレス成形においては、図10(a)に示すように、傾斜ネジ挿通穴19として、その中央部には長さL1にわたって内径D0の内周面部19aを、さらにこの内周面部19aの両端部には内径D0より大きい内径D1を有し、傾斜ネジ挿通穴19の方向(直線O)に所定の長さの内周面部19bを備えた成形体を予め焼結後、辺の長さが20%から30%収縮することを見込み大きく成形する。そして、この成形体を焼結した後に、長さL1の内周面部19aに仕上げ加工を施して、図10(b)に示すように内周面部19aの全面に仕上げ加工を行った仕上げ内周面部19cを形成することにより、第1のインサート12を製造することができる。なお、図10(b)に示すD2は、焼結が完了後、仕上げ加工を行ったときの仕上げ内周面部19cの内径を示している。なお、以下の説明において、内周面部19aに仕上げ加工を行った仕上げ内周面部19cのことを単に「内周面部19c」と記載する。
上記したように、本発明のボールエンドミル1は、第1のインサート12を第1取付座4(インサート嵌合溝7)に装着して第1の固定用ネジ9により固定したときに、第1のインサート12の傾斜ネジ挿通穴19と工具本体2に設けた第1インサート固定用ネジ穴8の向きは、ともに、インサート嵌合溝7が工具本体2の半径方向に向かう直線Oと直交する直線Oに対して、工具本体2の回転方向Rとは逆方向に角度θ(δ)ほど傾斜させた方向になるように構成したことに本発明の第1の特徴がある。
この第1の特徴により、第2及び第3のインサート13、14を、それぞれ第2、及び第3の固定ネジ15、16により第2及び第3取付座に装着して安定した状態で固定するためのスペースを確保することができる。また、これにより、刃先交換式ボールエンドミル1を、4枚刃から構成されて高速切削加工ができるボールエンドミルとすることが可能になる。
上記したように、第2及び第3のインサート13、14を、それぞれ第2、及び第3の固定ネジ15、16により第2及び第3取付座に装着して固定するための十分なスペースを確保して、4枚刃からなる刃先交換式ボールエンドミルの構成にするためには、角度θ(δ)は、20°≦θ(δ)≦40°の範囲に設定することが望ましい。この理由は、第2及び第3のインサート13、14をそれぞれ第2、及び第3の固定ネジ15、16により第2及び第3取付座に固定するためのスペースを十分に確保することができるからである。なお、角度θ(δ)は、20°≦θ(δ)≦30°の範囲に設定することがより好ましい。
(第1のインサートの製造方法)
続いて、第1のインサート12の製造方法について説明する。超硬合金製の第1のインサート12は、例えば、次の手順(1)〜(5)により製造することができる。
(1)炭化タングステン粒子、コバルト粒子と必要に応じて添加物を加えて作製した混合造粒粉末を用いて、プレス金型成形により、第1のインサート12の成形体を成形する。なお、前記したように、この金型成形時に、図10(a)に示すように、内径D0を有する内周面部19aと、内径D1を有する内周面部19bを備えた傾斜ネジ挿通穴19を、粉末冶金法による焼結後の20%から30%収縮することを踏まえて大きくし、さらに研削代として0.05mm〜0.3mmを加味し、形成するようにする。
(2)続いて、第1のインサート12の成形体を所定の温度(1300℃から1400℃程度)に加熱した加熱炉に装入して焼結を行う。
(3)続いて、図10(a)及び(b)に示すように、傾斜ネジ挿通穴19の中央部の長さL1の内周面部19aに、その研削代0.05mm〜0.3mmついた内周面の全面に、ダイヤモンド砥粒を有する砥石を用いた研削加工、バフ研磨加工、あるいはホーニング加工のいずれか又は併用した仕上げ加工を施して、内径D2を有する内周面部19cを形成する。なお、この仕上げ加工においては、砥粒の材質、粒度、及び加工処理時間を適切に設定することによって、仕上げ内周面部19cの面粗さRza値を1.0μm以下になるようにする。
(4)さらに、焼結した第1のインサート12の円弧状部12cに形成されている刃部ついて、ダイヤモンド砥粒を有する研削砥石を用いて仕上げ加工を行って、円弧状の刃部17と刃部18を仕上げ加工する。また、直線状平面部12dにも仕上げ加工を行う。
(5)焼結が完了した第1のインサート12について、傾斜ネジ挿通穴19を除いた表面に、耐摩耗性と耐熱性を付与するための被膜をコーティングする。この被膜の材質は、例えば、Ti−Al系窒化物、Ti−Si系窒化物、Ti−B系窒化物などの被膜をPVD法により形成する。なお、焼結が完了した第1のインサート12の仕上げ内周面部19cの内径D2は、例えば、ボールエンドミルの工具径が20mmの場合には3.5mm、工具径が30mmの場合には5.0mmを目標として設定するようにする。
(第1の固定用ネジの構成)
続いて、第1の固定用ネジ9の構成について説明する。第1の固定用ネジ9は、第1取付座4となるインサート嵌合溝7に装着された第1のインサート12を、第1取付座4にネジ結合により固定するための締め付け部材である。第1のインサート12を第1取付座4に固定したときには、第1の固定用ネジ9が第1のインサート12に設けている傾斜ネジ挿通穴19内に挿入される部分(図11に示す外周面部9c)は、傾斜ネジ挿通穴19内の内周面部19cと密に係合する。このように、第1のインサート12を第1取付座4に固定したときに、内周面部19cと外周面部9cとが密に係合するような構成にしたことに、本発明の第2の特徴がある。
図11に第1の固定用ネジ9の正面図を示している。図11に示すように、第1の固定用ネジ9は、その上端部にネジ頭部9aが形成され、ネジ頭部9aから下方に向かって、第1円筒部9b、仕上げ加工を施した外周面部9c、第2円筒部9d、下端部には外周面にネジ山を刻設した所定の長さを有するネジ部9eを備えている。本発明のボールエンドミル1においては、第1のインサート12を第1取付座4に装着して固定したときには、前記したように、この仕上げ加工を施した外周面部9cが上記した第1のインサート12の内周面部19cと密に係合することになる。なお、以下の説明において、仕上げ加工を施した外周面部9cのことを単に「外周面部9c」と記載して説明する。
なお、外周面部9cは、前記した内周面部19cに仕上げ加工を施した方法と同様の技術、例えば、ダイヤモンド砥粒を有する円筒型の研削砥石を用いて仕上げ加工を施すことができる。そして、仕上げ加工を施したときには、外周面部9cの表面粗さを(Rzb)としたときに、この表面粗さ(Rzb)は、表面粗さRzで1.5μm〜3.5μm程度の仕上げ加工面を有するようにして、前記した第1のインサート12の傾斜ネジ挿通穴19に形成した内周面部19cの表面粗さ(Rza)であるRz=1.0μm以下より粗くなるようにする。
本発明において、第1の固定用ネジ9の外周面部9cの表面粗さを、第1のインサート12の傾斜ネジ挿通穴19に形成した内周面部19cの表面粗さより粗くする理由は、下記の通りである。
すなわち、第1の理由は、両者の表面粗さを異にすることにより、工具本体2に第1の固定用ネジ9で第1のインサート12を固定するときに、ネジ締め締付けによる接触する両者の摩擦力を下げるができる。しかしながら、第2の理由としては、鋼製の第1の固定用ネジ9の外周面部9cに高品位に研削加工やラップ加工を行うとコスト高になるため、この外周面部9cは適度な表面粗さを有するように研削加工を施した仕上げ加工面とし、超硬合金製の第1のインサート12の内周面部19cは高品位に研削加工やラップ加工を施すことにより、摩耗し難い超硬合金製の第1のインサート12に表面粗さの精度基準をおいた方が、日々の加工精度の管理がし易くなるからである。
(第1の固定用ネジの製造方法)
第1の固定用ネジ9の製造は、SKD61等の合金工具鋼製の棒材(線材)から、プレス加工、旋盤加工によるネジ部9eを形成した後に、ダイヤモンド砥粒を有する砥石を用いた機械研磨加工等により、外周面部9cの全外周面に仕上げ加工を施す。なお、外周面部9cの外径は、第1のインサート12の内周面部19cの内径より3μm〜10μm程度と僅かに小さくする。これにより、第1のインサート12の内周面部19cに第1の固定用ネジ9の外周面部9cが挿入されたときに、両者は密に係合することになる。
(第2のインサートの構成)
続いて、第2のインサート13の構成について説明する。図12は第2のインサート13について上面部の構成を示す平面図、図13は図12に示す第2のインサート13を紙面の左側から見たときの図、図14は図12に示す第2のインサート13を切刃方向から見たときの図である。
図12〜図14に示すように、第2のインサート13の概略の形状は平板状をなし、その基体は上面となる上面部13a、下面(底面)となる下面部13b、これら上面部13aと下面部13bとの間の側面に形成された円弧状部13c、第1の直線状部13d、第2の直線状部13e、さらに、上面部13aから下面部13bまで貫通して形成された第2のネジ挿通穴13fを備えている。
第2のインサート13の基体は、超硬合金製の部材から構成されている。そして、第2のインサート13は、この基体の円弧状部13cに硬質焼結体からなる円弧状の刃部(切刃)20がロウ付けにより接合した構成にしている。この硬質焼結体としては、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)を質量比で95%程度含む部材を用いることが好ましい。第2のネジ挿通穴13fは、第2取付座5にこの第2のインサート13を装着して固定するときに、第2の固定用ネジ15を挿通させるための挿通穴である。なお、図12に示す第2のインサート13の刃部20の中心角γは、γ≦90°に設定することが望ましい。
上記した第2のインサート13の刃部20の中心角γを、γ≦90°に設定することが望ましい理由は、下記の通りである。第1のインサート12と、第2、第3のインサート13、14とが、工具本体2の先端部3における回転中心軸Oに相当する箇所、及びその近傍で干渉することを回避するために、第2、第3のインサート13、14の中心角γを、γ≦90°に設定することが望ましい。これによって、第2、第3のインサート13、14を工具本体2に装着したときに、図6に示すように角度αを設定し、第2及び第3のインサート13、14の円弧状の刃部(切刃)20、21が、工具本体2の最先端部に配置されることなく装着されることとなり、好ましくなる。
なお、上記した角度α、すなわち、第2、第3のインサート13、14の刃部の回転中心軸O側の端部が回転中心軸Oとなす角度は、15°〜30°に設定することが好ましい。この理由は、次の通りである。角度αが15°より小さいと、第2、第3のインサート13、14の端部が回転中心軸O側に近づき過ぎるので、切れ刃の回転による周速度が小さくなり、平面切削を行うときに第2、第3のインサート13、14の回転中心軸O側の端部が欠損し易くなる。一方、角度αが30°より大きいと、第2、第3のインサート13、14の円弧状切刃のうち切削に寄与する部分が少なくなり、加工効率が低下するとともに、それだけ第1のインサート12に加工負荷がかかるようになって、第1のインサート12に欠損が生じるからである。
このように、第2のインサート13は、その円弧状部13cに立方晶窒化硼素焼結体を含む硬質焼結体からなる円弧状の刃部20を一体に接合した構成にしているので、高速度の切削加工を行うためのインサートとして、耐摩耗性と耐熱性を発揮させることが可能になる。なお、円弧状部13cに円弧状の刃部20を接合したときに、図12に示す第2のインサート13の刃部20の半径Rは、図7に示す第1のインサート12の円弧状切刃の半径Rと同一にする。
第2のインサート13を構成する超硬合金からなる基体の製造方法は、前記した超硬合金製の第1のインサート12の製造方法とほぼ同一であるが、ネジ挿通穴13fの内周面には仕上げ加工を施した仕上げ内周面部を必ずしも設ける必要はない。
なお、第2のインサート13に立方晶窒化硼素焼結体を含む硬質焼結体からなる刃部20を形成する方法は、例えば、次の第1から第3の工程により製造することができる。
(第1の工程)
超硬合金基体からなる第2のインサート13の刃部に相当する箇所に、予め、切り欠き部を作製しておく。この切り欠き部は、超硬合金基体のプレス成形時に作成しておくこともできる。プレス成形体の焼結後は、この切り欠き部に立方晶窒化硼素焼結体からなる刃部を固着するため、この切り欠き部の焼き肌面にダイヤ砥石などで表面仕上げ加工を施しておくことが好ましい。
(第2の工程)
円盤状の立方晶窒化硼素焼結体から、ワイーヤーカットによって所定の円弧形状となるように切り出して、刃部を作製する。
(第3の工程)
前記した第1の工程で作製した超硬合金基体の切り欠き部に、第2の工程で作製した立方晶窒化硼素焼結体からなる刃部を、ロウ材を用い、熱処理によって固着する。これを、最終工程として、ダイヤモンド砥石によりR形状に研削し、刃部20を備えた第2のインサート13を製造することができる。
(第2の固定用ネジの構成)
第2の固定用ネジ15の構成を図15に示している。第2の固定用ネジ15は、ネジ頭部15aと、円筒部15bと、ネジ部15cを備えている。第2のインサート13を第2取付座5に装着して、第2の固定用ネジ15の締付けにより固定したときには、第2の固定用ネジ15は第2のネジ挿通穴13fを挿通し、ネジ部15cは第2取付座5に設けたネジ穴にネジ込まれる。これにより、第2のインサート13は、第2取付座5に強固に固定される。
なお、第2の固定用ネジ15の製造方法は、前記した第1の固定用ネジ9と同様に、SKD61等の合金工具鋼製の棒材(線材)から、プレス加工、ネジ加工等の機械加工を用いて製造することができる。
本発明のボールエンドミルの第3取付座6に装着する第3のインサート14は、前記した第2のインサート13と同一の構成からなるインサートを使用することができるので、第3のインサート14及び第3の固定用ネジ16の構成及びその製造方法についての説明は省略する。
(工具本体へのインサートの装着・固定)
続いて、工具本体2に第1、第2、第3のインサートを装着する操作の手順の概要について説明する。この操作手順は、例えば、次の手順により行うことができる。
(操作手順1)
第1のインサート12を工具本体2の先端部3に設けた第1取付座4に挿入し、第1の固定用ネジ9を用いて仮止めを行う。
(操作手順2)
第2のインサート13を工具本体2の先端部3に設けた第2取付座5に合わせて、第2の固定用ネジ15を用いて仮止めを行う。
(操作手順3)
第3のインサート14を工具本体2の先端部3に設けた第3取付座6に合わせて、第3の固定用ネジ16を用いて仮止めを行う。
(操作手順4)
先に仮止めした第1、第2、第3のインサート12、13、14について、これらの位置決め精度と、図6に示す角度αの値が所定の設定値になっていることを確認した後、上記した各固定用ネジ9、15、16を所定のトルク値まで増し締めを行って、各取付座に固定する。
(実施例1)
[第1のインサートの固定精度の確認テスト]
刃先交換式ボールエンドミルに装着されているインサートは、切削加工時間が多くなるにつれて切刃が摩耗し、切削精度が低下する。このため、例えば、切削加工時間の累計値が所定の時間に達すると、所定の切削加工精度が得られなくなる前に、これまで使用したインサートに代えて新しいインサートを工具本体の取付座に装着して固定した後に、切削加工を再開する。
このインサートを再装着する操作においては、新規なインサートの切刃が、工具本体2の先端部3において所定の位置に高精度に位置決めされるように、インサートを取付座に固定する必要がある。インサートの切刃の位置決め位置に誤差が生じると、インサートを再装着する都度、切削加工の精度に狂いが発生するからである。特に、金型などの仕上げ切削加工においては、この切刃の位置決めについて高い精度が要求される。
この実施例1においては、第1のインサート12を、繰り返して第1取付座4に固定したときに、第1のインサート12の切刃についてその固定位置の精度を確認するテストを行った。
この第1のインサートの固定精度の確認テストを実施するために、図1(図2)に示す刃数が「4」(4枚刃)となる工具径30mmの工具本体2と、この工具本体2の第1取付座4に装着する第1のインサート12を4種、この第1取付座4に装着した第1のインサート12を固定するための第1の固定用ネジ9を3種作製し、計12試料について評価を行った。
そして、作製した第1のインサート12を第1取付座4に装着して第1の固定用ネジ9で固定したときに、第1のインサート12の第1取付座4に対する固定位置を測定し、その精度を確認するテストを実施した。この固定位置の精度確認テストは、同一の第1のインサート12と第1の固定用ネジ9とについて、「装着と取り外し(着脱)」を5回繰り返して行った。
なお、作製した第1のインサート12の内周面部19cの面粗さ(Rza)と、第1の固定用ネジ9の外周面部9cの面粗さ(Rzb)については、予め面粗さ測定装置によって測定した。
また、この第1のインサート12の固定位置の精度確認テストにおいて、その固定位置の精度の評価は、初回で第1のインサート12を第1取付座4に装着したときの切刃の位置を、評価の基準値「0」とし、切刃の位置を測定した後にこのインサート12を一度取り外し、再度このインサート12を装着したときの切れ刃の位置を測定し、この差を比較することとした。そして、この第1のインサート12について、第1取付座4への「装着・固定」と「取り外し」の操作(着脱操作)を5回繰り返して実施し、切刃の位置を測定した。なお、切刃の位置の測定は、円弧状切刃17(18)の径方向最外径付近、すなわち、工具本体2の先端部3の最先端部(回転中心軸Oと交わる位置)から切刃が半径方向(工具径付近)に突出する長さ(変化量)を測定した。
表1は、この第1のインサート12の固定位置の精度確認テストに用いた工具本体(試料番号1〜12)ごとに、この工具本体の仕様、工具本体に装着した第1のインサートの仕様、第1の固定用ネジ、及び切刃の固定位置の精度(S)とその評価を記載している。表1に示す「評価」欄において、「◎」は固定位置の精度Sが4回とも精度(S)がS<±1.5μmの場合、「○」は1回でも精度Sが±1.5μm≦S<±4.0μm内に含まれた場合、「△」は1回でも精度Sが±4.0μmを超えた場合を示している。
また、固定位置の精度確認テストに用いた第1のインサート12の傾斜ネジ挿通穴19に形成した仕上げ内周面部19cの径D2は「(5mm+5μm)〜5mm+15μm)」内の第1のインサート12を選択し、一方、第1の固定用ネジ9に成形した仕上げ外周面部9cの径d2は「(5mm+2μm)〜(5mm−5μm)」内の第1の固定用ネジ9を選択し、かつ、径D2と径d2の差が3μm〜20μm内に入る第1のインサート12と第1の固定用ネジ9とを組合わせて、第1のインサート12の仕上げ内周面部19cと第1の固定用ネジ9の仕上げ外周面部9cとが密に係合するように第1取付座4に固定するようにした。
Figure 2012183597
表1に示す「固定位置の精度と評価」欄の記載内容等から明らかなように、第1のインサートの内周面部19cの面粗さ(Rza)値が0.8μm以下であり、かつ第1の固定用ネジ9cの外周面部9cの面粗さ(Rzb)値が3.2μm以下となる、第1のインサートと第1の固定用ネジ9との組み合わせ、すなわち、試料番号1、2、4、5では、第1のインサート12の固定位置の誤差(精度S)が±1.5μmmより小さくなり、極めて固定位置の精度Sが高くなり、満足のいく結果を得られた。
一方、固定位置の誤差(精度S)が±4.0μmmを超えて精度Sが劣った第1のインサートと第1の固定用ネジ9cとの組み合わせにおいては、それだけ固定位置の寸法精度のバラツキが大きくなるので、第1のインサートの固定位置の微調整のための操作と調整時間を必要とすることになる。
上記した実施例1による第1のインサート12の固定位置の精度確認テスト結果から、本発明のボールエンドミルに装着する第1のインサート12については、その内周面部19cの面粗さRzaは0.8μm以下とし、第1の固定用ネジ9の外周面部9cの面粗さRzbは3.2μm以下にした、第1のインサート12と第1の固定用ネジ9を用い、かつ、内周面部19cと外周面部9cとを密に係合させることが望ましいと言える。
(実施例2)
[切削試験例1]
本発明例及び従来例となるボールエンドミルについて、被削材の立ち壁、及び平面の切削試験を行ってその高能率加工性について評価を行った。最初に、切削試験例1について説明する。
この切削試験例1では、材質がFCD550(220HB)からなる被削材について切削試験を行った。また、高能率加工性の評価については、切削速度を1130m/分の高速度で切削加工を行ったときに、第1から第3のインサートの切刃の寸法変化が0.01mm、逃げ面摩耗幅(VBmax)が0.05mmに達したときにこのインサートは寿命に達したと判定し、この寿命(インサート工具寿命)に達するまでの切削時間を測定した。
切削試験例1を実施するために、試料番号B1〜B4の4種のボールエンドミルを作製した。これら製作した4種のボールエンドミルについて、工具本体、第1、第2及び第3のインサートの仕様を図16に示している。図16に示すように、試料番号B1とB2のボールエンドミルは、第1、第2及び第3のインサートを装着した4枚刃から構成された本発明に係る刃先交換式ボールエンドミルである。また、試料番号B3のボールエンドミルは、第1のインサートのみを装着した2枚刃から構成された従来のボールエンドミルを作製し、試料番号B4のボールエンドミルは、4枚の切刃を工具本体の先端部にロウ付けにより固定した従来のボールエンドミルを作製した。
また、図16に示しているように、本発明例に係る試料番号B1とB2のボールエンドミルは、次のような構成とした。すなわち、工具本体2の先端部3に形成した第1インサート固定用ネジ穴8の傾斜角度θは25°とし、さらに、第1取付座4に装着する第1のインサート12は、WC基からなる超硬合金製のインサートを、前記した第1のインサート12の製造方法に基づいて作製した。なお、前記した第1のインサート12の傾斜ネジ挿通穴19aの傾斜角度δは25°とし、内周面部19cの内径D2は5.007mmとした。また、第1のインサート12を第1の取付座4に固定するための第1の固定用ネジ9は、前記した第1の固定用ネジ9の製造方法で記載した方法で作製し、外周面部9cの径d2は4.997mmとした。
従来例となる試料番号B3のボールエンドミルは、2枚刃としたため前記した角度θと角度δは0°とした。また、従来例となる試料番号B4のボールエンドミルは、切刃をロウ付けとした4枚刃としたため、角度θと角度δは存在しない。
なお、切削試験例1で実施した切削評価の各種条件は次のように設定した。
加工方法 : 仕上げの立ち壁切削と平面切削、乾式切削
切削速度Vc : 1130m/min
回転数n : 12000min−1
送り速度Vf : 10800mm/min
1刃当たりの送り量fz : 0.22〜0.45mm/刃
軸方向切込み量ap : 0.15mm
径方向切込み量ae : 0.5mm
工具突き出し量 : 110mm
上記した切削条件で切削評価を行った試料番号B1〜B4のボールエンドミルについて、その試験結果を表2に「インサート工具寿命」として時間値で示している。
Figure 2012183597
表2に示す切削試験例1の結果から次のことが明らかになった。
インサートの耐摩耗性を評価する立ち壁の切削試験では、従来例のインサートを装着した試料番号B3の2枚刃からなるボールエンドミルを用いて切削評価を行った場合、インサート工具寿命は120分となり、従来例のロウ付け4枚刃からなる試料番号B4のボールエンドミルでは、耐熱性のポイントとなるコーティング処理を施してないため、インサート工具寿命は20分になった。
これに対して、本発明例のボールエンドミルとなる試料番号B1のインサート工具寿命は、240分となり、同じく本発明例の試料番号B2は800分となった。このように、本発明例の試料番号B1とB2のボールエンドミルは、目標である立ち壁切削の高速切削において耐摩耗性の向上、工具の長寿命化を達成することができた。
また、表2には示していないが、本発明例である試料番号B1とB2について、切削速度Vc=500m/minの従来の切削速度の条件下で立ち壁の切削評価を行ったときは、さらに工具寿命が延び、本発明例の試料番号B1では1200分、試料番号B2では2500分になった。このように、本発明例は、高速切削域(Vc=1000m/min)において、従来例の切削速度と比較して高速・高能率加工に優れた効果を発揮することができる。さらに、従来から一般的に実施されている切削速度Vc=500m/minの条件下では、耐摩耗性の向上、工具の長寿命化を図ることができるので、被削材の加工品質の安定化に寄与することができる。
切削試験例1において、平面切削の試験では表2に示すように次のような結果が得られた。
従来例のボールエンドミルを示す試料番号B3、すなわち、2枚刃から構成されたボールエンドミルを用いて加工を行った場合、インサート工具寿命は550分を示し、従来例のボールエンドミルを示す試料番号4のロウ付け4枚刃ボールエンドミルでは、インサート工具寿命は100分を示した。これに対して、本発明例となる試料番号B1では600分のインサート工具寿命を示し、同じく本発明例となる試料番号B2では650分のインサート工具寿命を示した。これにより、平面切削においては、ボールエンドミルの先端部及びその近傍の切刃で低速切削を行うが、本発明例となるボールエンドミルではこの低速切削を行う切刃の領域について、工具寿命に悪影響を与えないことが確認された。
このように、本発明のボールエンドミルは、高速切削加工を行ってもインサートの工具寿命が延びる理由は、4枚刃から構成されたボールエンドミルとしたこと、及び主として前記した第1の特徴と、第2の特徴を備えていることに基づくものであると考えられる。
[切削試験例2]
前記した切削試験例1と同様に、図17の試料番号欄において、試料番号B5〜B8に示す仕様を備えた4種のボールエンドミルを作製した。そして、材質がSKD11(60HRC)からなる被削材について、この4種のボールエンドミル(試料番号B5〜B8)について、立ち壁切削と平面切削についての切削試験を行って、その高能率加工性について評価を行った。
この切削試験例2の高能率加工性の評価は、次のようにした。すなわち、切削速度を300m/minの高速度で切削加工を行ったときに、第1から第3のインサートの切刃の寸法変化が0.03mm、逃げ面摩耗幅(VBmax)が0.15mmに達したときにこのインサートは寿命に達したと判定し、この寿命(インサート工具寿命)に達するまでの時間を測定した。
なお、この切削試験例2において、本発明例となる試料番号B5とB6のエンドミルに装着した第1のインサート12の傾斜ネジ挿通穴19aの傾斜角度δは25°とし、内周面部19cの内径D2は5.007mmとした。また、第1のインサート12を第1の取付座4に固定するための第1の固定用ネジ9の外周面部9cの径d2は4.997mmとした。
この切削試験例2における切削条件は、下記のように設定した。
加工方法 : 仕上げの立ち壁切削と平面切削、乾式切削
切削速度Vc : 300m/min
回転数n : 3200min−1
送り速度Vf : 1920mm/min
1刃当たりの送り量fz : 0.15〜0.3mm/刃
軸方向切込み量ap : 0.15mm
径方向切込み量ae : 0.5mm
工具突き出し量 : 110m
切削試験例2による切削評価を行った結果を、表3に示している
Figure 2012183597
表3に示す切削試験例2の試験結果から、次のことが明らかになった。
インサートの耐摩耗性を評価する立ち壁切削試験では、従来例を示す試料番号B7の2枚刃のボールエンドミルを用いて加工を行った場合、インサート工具寿命は33分を示し、同じく従来例となる試料番号B8のロウ付けされた4枚刃のボールエンドミルでは、インサートに耐熱性を付与するためのコーティング処理を施していなかったため、インサート工具寿命は僅か3分であった。
これに対して、本発明例となる試料番号B5のボールエンドミルのインサート工具寿命は65分、同じく本発明例となる試料番号B6は230分となった。この結果、本発明例となる試料番号B5、B6のボールエンドミルは、目標となる金型の立ち壁等の高速切削において耐摩耗性の向上を発揮し、切削工具の長寿命化を得ることが可能であることが明らかになった。
また、インサートの耐摩耗性を評価する平面切削の加工試験結果から、次のことが明らかになった。
従来例を示す試料番号B7の2枚刃のボールエンドミルを用いて加工を行った場合、インサート工具寿命は200分を示し、同じく従来例となる試料番号B8のロウ付けされた4枚刃のボールエンドミルでは、インサート工具寿命は20分であった。
これに対して、本発明例となる試料番号B5のボールエンドミルのインサート工具寿命は220分、同じく本発明例となる試料番号B6は240分となった。この結果、ボールエンドミルの先端部又は先端部を含む近傍、すなわち、低速切削域にCBN製の切刃を配置すると、この切刃にはチッピングや欠損が発生し、そのCBN製の切刃は短くなる。
一方、本発明のボールエンドミルにおいては、工具本体2の最先端部とその近傍には第2、第3のインサート13、14のCBN製の円弧状の切刃を配置せず、超硬合金にコーティング処理した第1のインサート12の円弧状切刃を配置した構成としていること、及び前記した第1の特徴と第2の特徴を備えていることにより、工具寿命を向上させることが可能になったと考えられる。
以上に記載した第1のインサートの固定精度の確認テスト、切削加工試験例1及び2の結果から、本発明の刃先交換式ボールエンドミルは、鋳物系のFCD550材、高硬度材である冷間ダイス鋼SKD11(62HRC)からなる金型の形状(キャビティー)部を加工するために、立ち壁切削や平面切削を行う場合、従来のボールエンドミルと比較して、高速切削において耐摩耗性の向上、工具の長寿命化を達成できることが明らかになった。
1…ボールエンドミル、2…工具本体、3…先端部、3a、3b…先端半体部、
4…第1取付座、5…第2取付座、6…第3取付座、7…インサート嵌合溝、
8…第1インサート固定用ネジ穴、9…第1の固定用ネジ、9c…外周面部、
12…第1のインサート、13…第2のインサート、14…第3のインサート、
15…第2の固定用ネジ、16…第3の固定用ネジ、
17、18…第1のインサートの円弧状切刃、
19…傾斜ネジ挿通穴、19c…内周面部、
20…第2のインサートの円弧状切刃、21…第3のインサートの円弧状切刃、
O…回転中心軸、
…インサート嵌合溝が工具本体の半径方向に向かう中心線、
…直線Oと直交する中心線、
…第1インサート固定用ネジ穴の向き、
…第1のインサートの回転中心軸(回転中心軸Oと同じ)、
…第1のインサートの中心線、
…第1のインサートの直線Oと直交する中心線、
…第1のインサートの断面図の中心線、
…直線Oに対して傾斜したネジ挿通穴の中心線、
…Oと直交する直線、
R…工具本体の回転方向、
α…第2(第3のインサート)の刃部の端部が回転中心軸Oとなす角度、
β…第1のインサートの刃部の中心角β、
θ…直線Oと直線Oとがなす角度、
δ…第1のインサートの傾斜ネジ挿通穴の傾斜角
γ…第2及び第3のインサートの刃部の中心角。

Claims (7)

  1. 工具本体の先端部に設けた取付座に、円弧状に形成された刃部を有するインサートを着脱自在に装着する刃先交換式ボールエンドミルであって、
    前記取付座は、
    前記工具本体の先端部から前記回転中心軸を含んで径方向に形成されたスリット状のインサート嵌合溝からなり、前記インサート嵌合溝に挿入された第1のインサートを第1の固定用ネジにより固定するための第1取付座と、
    前記先端部が前記第1取付座を介して2分割された構成からなる先端半体部の一方と他方にそれぞれ設けられた取付座であって、第2のインサートを第2の固定用ネジにより固定するための第2取付座と、第3のインサートを第3の固定用ネジにより固定するための第3取付座と、を備え、
    前記先端半体部は、前記インサート嵌合溝を介して、前記先端半体部の一方の外表面から他方側の前記先端半体部内であって、前記インサート嵌合溝が前記工具本体の径方向に延びる向きと直交する方向に対して、前記工具本体の回転方向とは逆方向に角度θ傾斜した方向に形成された第1インサート固定用ネジ穴を備え、
    前記第1のインサートは、前記インサート嵌合溝に挿入したときに、前記第1インサート固定用ネジ穴と連通するように前記角度θ傾斜した方向に形成された傾斜ネジ挿通穴を備え、
    前記インサート嵌合溝内において、前記第1のインサートは、前記第1インサート固定用ネジ穴に挿入された前記第1の固定用ネジが前記傾斜ネジ挿通穴を挿通するとともに、前記挿通した前記第1の固定用ネジの外周面に仕上げ加工を施した外周面部が、前記傾斜ネジ挿通穴に仕上げ加工を施した内周面部と密に係合した状態で、前記第1の固定用ネジの前記先端半体部とのネジ締結により固定されていることを特徴とする刃先交換式ボールエンドミル。
  2. 前記第1のインサートを前記第1取付座に装着したときに、前記第1のインサートの前記円弧状の刃部は、前記工具本体の最先端から後端側に向かうように配置され、
    前記第2及び第3のインサートを前記第2及び第3取付座に装着したときに、前記第2及び第3のインサートの前記円弧状の刃部は、前記工具本の最先端には配置されずに、前記刃部は前記工具本体の最先端から前記回転中心軸となす角度(α)が15°〜30°離れた位置から後端側に向かうように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  3. 前記第1取付座に装着される前記第1のインサートの前記円弧状の刃部の中心角βは、β≧180°に設定され、
    前記第2及び第3取付座に装着される前記第2及び第3のインサートの前記円弧状の刃部の中心角γは、γ≦90°に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  4. 前記第1取付座に装着される前記第1のインサートは超硬合金から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずかに記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  5. 前記第2及び第3取付座に装着される前記第2及び第3のインサートは、その基体が超硬合金から構成されるとともに、前記円弧状の刃部は、前記超硬合金からなる基体に立方晶窒化硼素焼結体を含む硬質焼結体から形成された刃部を接合した構成とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずかに記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  6. 前記第1の固定用ネジの前記外周面部の表面粗さは、前記傾斜ネジ挿通穴の内周面部の表面粗さより粗くしていることを特徴とする請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  7. 前記角度θは、20°≦θ≦40°に設定されていることを特徴する請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミル。
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