JP2012158850A - エアバッグ織物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成繊維マルチフィラメントからなるコーティングされたエアバッグ用織物であって、下記(a)および(b)を満足することを特徴とするエアバッグ用織物。
(a)該織物を構成する分解糸の下記式(1)で表されるカバー比Cが経緯方向の平均で2.18以下である。
C=P/R (1)
(ただし、式(1)中、Pは織糸配列ピッチ(μm)であり、Rは最密充填換算直径(μm)である。)
(b)該織物の引張り物性を指標する下記式(4)で表わされる強力率E(cN/dtex)が経緯方向ともに7.5cN/dtex以上である。
E=S×100/(D×d) (4)
(ただし、式(4)中、Sは織物の引張り試験における引張強さ(N/25.4mm)であり、Dは織密度(本/25.4mm)であり、dは分解糸の総繊度(dtex)である。)
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
(a)該織物を構成する分解糸の下記式(1)で表されるカバー比Cが経緯方向の平均で2.18以下である。
C=P/R (1)
(ただし、式(1)中、Pは下記式(2)で表される織糸配列ピッチ(μm)であり、Rは下記式(3)で表される最密充填換算直径(μm)である。)
P=25.4/D/1000 (2)
(ただし、式(2)中、Dは織密度(本/25.4mm)である。)
R=20×√(d/ρ/(π/√12)) (3)
(ただし、式(3)中、dは分解糸の総繊度(dtex)であり、ρは分解糸の比重である。)
(b)該織物の引張り物性を指標する下記式(4)で表わされる強力率E(cN/dtex)が経緯方向ともに7.5cN/dtex以上である。
E=S×100/(D×d) (4)
(ただし、式(4)中、Sは織物の引張り試験における引張強さ(N/25.4mm)であり、Dは織密度(本/25.4mm)であり、dは分解糸の総繊度(dtex)である。)
(2)織物を構成する分解糸の引張強度が、7.5cN/dtex以上である上記1項に記載のエアバッグ用織物。
(3)織物の引張強さが経緯方向ともに1300N/25.4mm以上である上記1又は2項に記載のエアバッグ用織物。
(4)コーティング量が1〜120g/m2である上記1〜3項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(5)織密度と分解糸総繊度の積である織繊度(本×dtex/25.4mm)が経緯方向ともに15,800〜21,000である上記1〜4項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(6)油付量が0.05wt%以上である上記1〜5項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(7)織物を構成する分解糸の総繊度が200〜420dtexである上記1〜6項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(8)125Pa差圧での通気度が0.5cc/cm2/s以下である織物にコーティングを施して作製された、上記1〜7項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
(9)上記1〜8項のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物を含むエアバッグ。
(10)上記9項に記載のエアバッグを含むエアバッグ装置。
高強度の合成繊維においては、繊維表面で高配向構造が発達しており、繊維表面での損傷による機械特性への影響が著しい。このため、繊維同士が固定されて、繊維表面同士に力が加わると、単純な引張り試験で計測される引張り強さ、つまり、強力物性が発揮されない。しかしながら、繊維同士が局所的に固定されず、作用点が移動してゆけば本来の強力物性を生かすことができる。
マルチフィラメントの合成繊維で織物を構成する場合、フィラメント群の断面が最密充填で塊を形成する場合の全体のマルチフィラメントの外周の直径は、フィラメント群の断面積総計に対して、最密充填の充填密度を補正した断面積から換算することができる。これを、最密充填換算直径R(μm)とする。合成繊維が織物として配列する間隔を織糸配列ピッチP(μm)として、織糸が織物面をカバーする状況をカバー比Cとすると、Cは下記式(1)で表わされる。
C=P/R (1)
(ただし、式(1)中、Pは下記式(2)で表される織糸配列ピッチ(μm)であり、Rは下記式(3)で表される最密充填換算直径(μm)である。)
P=25.4/D/1000 (2)
(ただし、式(2)中、Dは織密度(本/25.4mm)である。)
R=20×√(d/ρ/(π/√12)) (3)
(ただし、式(3)中、dは分解糸の総繊度(dtex)であり、ρは分解糸の比重である。)
カバー比Cをより小さくすることの効果は、高強度合成繊維を用いた織物の場合に、より著しい。
E=S×100/(D×d) (4)
(ただし、式(4)中、Sは織物の引張り試験における引張強さ(N/25.4mm)であり、Dは織密度(本/25.4mm)であり、dは分解糸の総繊度(dtex)である。)
さらに、本発明では、織物の織繊度W(本・dtex/25.4mm)が高く、織繊度は15,800〜21,000本・dtex/25.4mmであることが好ましい。より好ましくは、16,500〜20,000本・dtex/25.4mmである。軽量織物であるために織繊度は21,000本・dtex/25.4mm以下であることが好ましく、また、織繊度が15,800本・dtex/25.4mm以上であればエアバッグ用織物としての機械特性に必要な総繊維量を有している。
さらに、上述のようにカレンダー工程で表面を平滑にしたり、浸透防止剤の付与を行う工程をコーティング工程の前に付加することも好ましい。
コーティング前に高密度織物であって、例えば、ノンコートエアバッグに用いられるような低通気度の織物であることが重要である。
本発明のエアバッグは、ガス発生装置および衝突センサーを組合せたエアバッグ装置とし、運転席エアバッグ、助手席エアバッグ、サイドカーテンエアバッグ、サイドインパクトエアバッグ、ニーエアバッグ、リアウィンドシールドエアバッグ、歩行者保護エアバッグなどとして用いることができる。
次に、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(1)交絡数:合成繊維の交絡数(ヶ/m)は、水浸観察法により、50cm長の水槽表面でフィラメントが広がり、目視できる交絡部の数から求めた。
(2)沸水収縮率:合成繊維の沸水収縮率(%)をJIS L−1013 8.18.1(A法)で求めた。
(3)フラジール通気度:コーティング前の織物についてJIS L 1096 8.27.1 A法により測定した。
(4)織密度:コーティング織物につきJIS L1096 附属書11Aに準じて行なった。デンシメータを使用した。
(5)織物目付け:コーティング織物につき10cm×10cmの試料を用い、JIS L1096 附属書3に準じて行なった。
(7)分解糸引張り特性:JIS L1013 8.5.1に準じ、20回/25cmの撚り掛けをし、つかみ間隔25cmで引張り速度30cm/分の引張り試験を実施し、破断の引張り強さ(N)を測定し、引張り強度(cN/dtex)を求めた。
(8)分解糸フィラメント数:織物の断面写真から構成単糸本数を数えた。
(11)織物の引張強さ:コーティング織物につきJIS L1096 8.12.1 A法(ラベルドストリップ法)に準じ、破断の引張り強さ(N/25.4mm)、すなわち引張り強力を求めた。
○:バースト(破裂)、縫製目開きともになし。
△:縫製目開きあり。
×:バースト。
ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の中和塩を含む水溶液に、重合触媒の次亜燐酸ナトリウムを加え、連続重合装置にて縮重合し、次いで熱安定剤として沃化銅/沃化カリウムの水溶液を添加して後期重合を行ない、樹脂チップを得た。引き続いて固相重合を行ない、相対粘度ηrが3.1のポリアミド6・6樹脂を得た。得られたポリアミド6・6樹脂を紡糸し、吐出糸条に紡糸油剤成分を付与し、熱延伸してポリアミド6・6繊維を得た。紡糸油剤は、ジオレイルチオジプロピオン酸エステルを60重量部、硬化ヒマシ油EOA(分子量2000)ステアリン酸エステル20重量部、高級アルコールEOPO付加物(分子量1500)20重量部の組成とした。交絡数は8個/mであった。沸水収縮率は10.5%であった。
経糸の織密度が74.0本/25.4mm、緯糸の織密度が76.0本/25.4mmのコーティングされたエアバッグ用織物を得た。
実施例1よりやや強度の低いポリアミド6・6繊維を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。このときの分解糸強度は8.2cN/dtexであった。得られた結果を表1に併せて示す。
織物の縫目負荷通気度は低く、クイックバースト評価も問題なかった。
[実施例3]
実施例1より織密度が低いことを除いて、実施例1と同様に実施した。このときの分解糸強度は8.2cN/dtexであった。得られた結果を表1に併せて示す。
織物の縫目負荷通気度は少々増えるが充分低く、クイックバースト評価も問題なかった。
製織時に織密度を下げたこと以外は実施例1と同様に実施した。得られたコーティング織物の織密度は経密度が67.0本/25.4mm、緯密度が67.0本/25.4mmであった。得られた結果を表1に併せて示す。
織密度の低下以上に織物の引張り強度が低下し、分解糸強度は8.7cN/dtexだが、強力率は経糸7.0cN/dtex、緯糸7.5cN/dtexとなった。縫目負荷通気どは上昇してしまい、クイックバースト評価も破袋し不合格であった。
製織時に織密度を下げたこと以外は実施例2と同様に実施した。得られたコーティング織物の織密度は経密度が67.0本/25.4mm、緯密度が67.0本/25.4mmであった。得られた結果を表1に併せて示す。
織密度の低下以上に織物の引張り強度が低下し、分解糸強度は8.2cN/dtexだが、強力率は経糸7.0cN/dtex、緯糸7.5cN/dtexとなった。縫目負荷通気度は上昇してしまい、クイックバースト評価も破袋し不合格であった。
さらに強度の低いポリアミド6・6繊維を用いたこと以外は比較例1と同様に実施した。分解糸強度は7.1cN/dtexであった。得られた結果を表1に併せて示す。
織物の引張り強さが低く、縫目負荷通気度も高く、クイックバースト評価は破袋で不合格であった。
さらに強度の低いポリアミド6・6繊維を用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。分解糸強度は7.1cN/dtexであった。得られた結果を表1に併せて示す。
織物密度が高く、強力率でも経糸が7.1cN/dtex、緯糸が6.8cN/dtexまであるが、織物の引張り強力は低い。縫目負荷通気度は低めだが、クイックバースト評価は破袋で不合格であった。
繊度470dtex、フィラメント数72本、単糸繊度6.5dtexのフィラメント糸を用い、織密度を経密度が46.0本/25.4mm、緯密度が46.0本/25.4mmとしたことを除いて、実施例1と同様に実施した。得られた結果を表1に併せて示す。
カバー比は大きく、織糸配列ピッチが大きいものの、分解糸強度は7.1cN/dtexで、強力率は7.1cN/dtexとなった。織物の引張り強力は高いが、縫目負荷通気度が大きく、エアバッグとしてはガス利用率の悪いものとなっている。
比較例1におけるコーティング前の織物を用いて、織物評価や、縫目負荷通気度の測定およびクイックバースト評価を実施した。クイックバーストでは破袋しなかったものの、縫製目開きが観測される。縫目負荷通気度が大きくエアバッグとしてはガス利用率の悪いものとなっている。
Claims (10)
- 合成繊維マルチフィラメントからなるコーティングされたエアバッグ用織物であって、下記(a)および(b)を満足することを特徴とするエアバッグ用織物。
(a)該織物を構成する分解糸の下記式(1)で表されるカバー比Cが経緯方向の平均で2.18以下である。
C=P/R (1)
(ただし、式(1)中、Pは下記式(2)で表される織糸配列ピッチ(μm)であり、Rは下記式(3)で表される最密充填換算直径(μm)である。)
P=25.4/D/1000 (2)
(ただし、式(2)中、Dは織密度(本/25.4mm)である。)
R=20×√(d/ρ/(π/√12)) (3)
(ただし、式(3)中、dは分解糸の総繊度(dtex)であり、ρは分解糸の比重である。)
(b)該織物の引張り物性を指標する下記式(4)で表わされる強力率E(cN/dtex)が経緯方向ともに7.5cN/dtex以上である。
E=S×100/(D×d) (4)
(ただし、式(4)中、Sは織物の引張り試験における引張強さ(N/25.4mm)であり、Dは織密度(本/25.4mm)であり、dは分解糸の総繊度(dtex)である。) - 織物を構成する分解糸の引張強度が、7.5cN/dtex以上である請求項1に記載のエアバッグ用織物。
- 織物の引張強さが経緯方向ともに1300N/25.4mm以上である請求項1又は2に記載のエアバッグ用織物。
- コーティング量が1〜120g/m2である請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- 織密度と分解糸総繊度の積である織繊度(本×dtex/25.4mm)が経緯方向ともに15,800〜21,000である請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- 油付量が0.05wt%以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- 織物を構成する分解糸の総繊度が200〜420dtexである請求項1〜6のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- 125Pa差圧での通気度が0.5cc/cm2/s以下である織物にコーティングを施して作製された、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物を含むエアバッグ。
- 請求項9に記載のエアバッグを含むエアバッグ装置。
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