JP2015151636A - エアバッグ用ポリアミド繊維、基布およびその製造方法 - Google Patents

エアバッグ用ポリアミド繊維、基布およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 軽量コンパクト性に優れ、パイロインフレーターのような高温のガスに暴露されても穴あき、破袋の無いエアバッグ用織物に適したポリアミド繊維および基布を提供する。【解決手段】オレフィンを0.1重量%以上、5重量%未満含むポリアミド繊維からなるエアバッグ用マルチフィラメント及びエアバッグ用織物。【選択図】なし

Description

本発明は自動車用安全装置の1つであるエアバッグ用織物に好適に使用できる繊維および基布に関する。更に詳しくは、エアバッグ展開時に高温高圧のガスに暴露されても穴あき、破袋などがなく軽量かつコンパクト性に優れたエアバッグ用基布、より好適にはノンコートエアバッグ用基布に用いる繊維および基布に関する。
近年、自動車安全部品の一つとして急速に装着率が上昇しているエアバッグは、自動車の衝突事故の際、衝撃をセンサーが感知し、インフレーターから発生される高温、高圧のガスによりエアバッグを急速に展開させ、運転者や同乗者の身体、特に頭部がハンドル、フロントガラス、ドアガラス等に衝突することを防止し保護するためのものである。現在では自動車の前面からの衝突に対応する運転席や助手席用のエアバッグだけでなく、膝を守るニーエアバッグ、側面からの衝突に対応するサイドエアバッグやサイドカーテンエアバッグ、後方からの衝突に備えたエアバッグも採用されている。さらに近年においては、衝突される歩行者を保護するエアバッグも知られており、その使用部位は現在も増え続けている。
エアバッグの生産量が増え続けている中、コストを下げる為にエアバッグモジュールとして組み合わされるインフレーターの簡略化が進んでいる。インフレーターとしては、高圧でヘリウムなどの不活性ガスを閉じ込めた金属容器の栓を火薬で破壊することによりガスを放出する、いわゆるストアードガスインフレーターや、火薬の燃焼熱によって充填してある比較的少ないガスを暖めると同時に、火薬からの発生ガスを組み合わせる、いわゆるハイブリッドインフレーター、パイロインフレーターと呼ばれる固体のガス発生剤である火薬を燃焼させるシンプルなインフレーターが知られているが、近年、パイロインフレーターへの切り替えが進んできている。
パイロインフレーターは小型軽量化が可能である一方、火薬から発生する不完全燃焼成分や火薬燃焼残さによる浮遊微粒子が多い欠点を有する。このため、エアバッグ内へ流れ込むガスの温度が従来のインフレーターより高いため、エアバッグ基布へ与える熱的な負荷が大きいという問題が生じている。
従来、インフレーターから瞬時に噴出される高温ガスに耐えられるように、クロロプレンゴムやシリコーンゴムなどの耐熱性エラストマーを織物に60〜120g/m付着させたコート布が用いられてきた。さらに、エラストマー樹脂を複数回に分けて塗液を複数層に塗布し、全塗布量をエラストマー樹脂換算で100〜400g/mにしたエアバッグ用基布も検討されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、このコート布は塗布量が大変多いため、耐熱性には優れるものの、コート布全体の質量が増大し、軽量化の点から好ましくない。また、塗布層も硬くなり、収納性の点でも好ましくない。
一方、軽量性及び収納性に優れるノンコートエアバッグ基布を用いて、インフレーターから発生する高温のミストによる穴あきが発生しないエアバッグ基布およびエアバッグが検討されている(特許文献2参照)。具体的には、扁平断面の単糸を用い、かつ総繊度を400〜700dtexである合成繊維マルチフィラメントを用いた、防融性試験による試験片の穴開きが2級以上である、防融性に優れる織物が開示されている。ところが、実際に高温のインフレーターガスを用いたエアバッグの評価結果と比べ耐熱性能の良否が明確に示されない問題を有しており、特許文献2で得られたエアバッグ用基布は、耐熱性の点で十分とは言えなかった。
特開2008−2003号公報 特開2003−171843号公報
本発明の目的は、パイロインフレーターのような高温ガス発生装置に対しても問題なく使用できる、エアバッグ用織物に好適な繊維および基布を提供することにある。
前記の課題を解決することができる本発明のエアバッグ織物用繊維および基布は、以下の構成よりなる。
(1)オレフィンを0.1重量%以上、5重量%未満含むポリアミド繊維からなるエアバッグ用マルチフィラメント。
(2)前記ポリアミド繊維がポリアミド66である、(1)に記載のエアバッグ用マルチフィラメント。
(3)前記マルチフィラメントの総繊度が100dtex以上、500dtex以下である、(1)又は(2)に記載のエアバッグ用マルチフィラメント。
(4)オレフィンのモノマーユニットがエチレン鎖を90%以上含むことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のエアバッグ用マルチフィラメント。
(5)オレフィンのIVが0.005以上2.0以下であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のエアバッグ用マルチフィラメント。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のエアバッグ用マルチフィラメントを使用したエアバッグ用基布。
(7)前記エアバッグ用基布が樹脂被膜を有していない基布である、(6)に記載のエアバッグ用基布。
(8)150℃高温動的通気度の通気度ピークが79kPa以上、100kPa以下であることを特徴とする(7)に記載のエアバッグ用基布。
(9)カバーファクターが2030以上2180以下である(8)に記載のエアバッグ用基布。
(10)エアバッグ用マルチフィラメントを製造する方法であって、下記(a)〜(e)のプロセスを含む方法。
a)ペレットまたはパウダー状のポリアミドとペレットまたはパウダー状のオレフィンを固体状態にてブレンドする工程;
b)a)で調製した原料を押出機にて溶融してノズルから押出すことで紡出糸とする工程;
c)冷却気体を噴きつけて冷却する工程;
d)油剤を付与する工程;
e)紡出糸を1000m/min以下の速度で回転する引取りローラに巻回してそのまま追加延伸する工程。
(11)エアバッグ用基布を製造する方法であって、下記(a)〜(f)のプロセスを含む方法。
a)ポリアミドを押出機にて溶融してノズルから押出すことで紡出糸とする工程;
b)冷却気体を噴きつけて冷却する工程;
c)油剤を付与する工程;
d)紡出糸を1000m/min以下の速度で回転する引取りローラに巻回してそのまま追加延伸して3dtex/f以上8dtex/f以下のマルチフィラメントを得る工程;
e)モノマーユニットがエチレン鎖を90%以上含むことを特徴とするIVが0.005以上2.0以下のオレフィンをマルチフィラメントに付与する工程;
f)カバーファクターが2030以上2180以下になるように調整して製織する工程。
本発明により、エアバッグ展開時に高温高圧のガスに暴露されても穴あき、破袋などがなく軽量かつコンパクト性に優れたエアバッグ用織物に好適に用いられるポリアミド繊維及び該ポリアミド繊維を用いて製編織されたエアバッグ用基布を提供することができる。
本発明はエアバッグ用織物に使用されるポリアミド繊維からなるマルチフィラメント及びエアバッグ用基布に関する。
ポリアミド繊維としては、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド12等の脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維のような芳香族ポリアミド繊維が使用され、好ましくはポリアミド66繊維である。
本発明における繊維はその一部または全部が再利用された原材料より得られるものでもよい。また、製造工程での工程通過性を向上させるために、各種添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば酸化防止剤、熱安定剤、平滑剤、帯電防止剤、増粘剤、難燃剤等が挙げられる。また原着糸や製糸後染色したものであってもよい。また、合成繊維の単糸の断面は通常の丸断面の他、異形断面であっても何ら差し支えない。
ポリアミド繊維の単糸繊度は3〜8dtexであることが好ましい。単糸繊度が8dtexを超えると製織後エアバッグとしたときに通気度が高くなり好ましくない。一方、単糸繊度が細い場合も繊維の生産性が悪くなるため好ましく無い。好ましくは3.3〜7.5dtex、より好ましくは3.5〜7.3dtexの範囲である。
本発明のマルチフィラメントを構成するポリアミド繊維のフィラメント本数は40本以上であることが好ましい。フィラメント本数が40本以下であると収納性が悪化しやすいため好ましくない。一方、フィラメント本数が200本を越えると繊維の生産性が悪くなるため好ましくない。40〜200本がより好ましい。
本発明のマルチフィラメントの総繊度は100dtex以上500dtex以下であることが好ましく、150dtex以上500dtex以下であることが更に好ましい。総繊度が100dtex未満の場合はエアバッグ用基布としたときに引張強力及び引裂強力が不足し強度的に問題がある恐れがあり、500dtexを超える場合には強度的には問題はないが、織物の柔軟性が損なわれ、収納性が低下する恐れや布帛表面が硬くなる恐れがある。
本発明のエアバッグ用マルチフィラメントは、ポリアミド繊維中にオレフィンを含有することを特徴とする。
本発明においてオレフィンとしてはポリエチレンもしくはパラフィンが好適に使用される。ここでポリエチレンとは重合触媒を用いてエチレンを主成分に重合して得られるモノマーユニットの90%以上がエチレン鎖である重合物である。またパラフィンとは石油から分留により取り出される炭素数20以上の飽和鎖状炭化水素を主成分にもつ混合物であり、人工的に重合させたものではないものの、ポリエチレンと同様にエチレン鎖を90%以上含む鎖状の炭化水素である。
オレフィンを含むポリアミド繊維を得る方法としては、オレフィンをポリアミドの重合後にブレンドして紡糸してもよく、繊維化後に油剤の形態でエマルジョンもしくは溶融状態で付与しても良い。
オレフィンの添加量としてはポリマー重量当たり0.05%以上が好ましく、より好ましくは0.5%以上である。紡糸前にオレフィンを添加する場合は、オレフィンの添加量が多すぎると操業性が悪化したり力学特性が低くなったりすることがあるため、5%未満が好ましい。また、紡糸後にオレフィン系油剤として付与する場合には、付着量が多すぎると燃焼性が悪化するため、2%以下が好ましい。
添加するオレフィンの分子量は低いほど効果は得られやすく、IVにして0.005以上、2.0以下が好ましい。参考までに粘度平均分子量MvとIVとの関係はMv=5.365×10^4×IV^1.37で近似される。
紡糸前にオレフィンを添加する場合、該オレフィンの分子量が低すぎると押出機内が高温である場合に低分子量のオレフィンが分解気化し、場合によっては発火する可能性もあり極めて危険である。よって紡糸前にオレフィンを添加する場合にはIVは0.5以上2.0以下が好ましい。
繊維化後に添加する場合、低分子量であってもオレフィンを付与することができるが、あまりに低分子量であると、室温に近い温度で液化して繊維上を移動するため塗布ムラ等で織物の品位を損なう原因となる。よって繊維化の後にオレフィンを付与する場合でも、オレフィンのIVは0.005以上0.15以下が好ましい。
本発明において、オレフィンが添加された繊維からなる基布が加熱時に低い動的通気度を示すメカニズムは定かではないが、オレフィンが可塑剤として作用しているのではないかと考えている。すなわち繊維が可塑化されることで高温の高圧空気が到達した際には繊維が断面方向に潰れて扁平になり、ガスの通気を抑えることができるため、繊維の溶融による穴あきや破袋を抑制でき、パイロインフレーターとの組み合わせに最適なエアバッグ用基布を与えることができるものと考えられる。
エアバッグ用マルチフィラメントに求められる機械的特性としては、エアバッグに使用される時に要求される織物の機械的特性を満足するために、切断強度で好ましくは6.5cN/dtex以上、さらに好ましくは7.0cN/dtex以上である。
次に本発明のポリアミド繊維からなるマルチフィラメントを用いたエアバッグ用基布について説明する。
本発明のポリアミド繊維からなるマルチフィラメントを用いたエアバッグ用基布は下記(式1)で算出されるカバーファクター(CF)が2200以下の織物であることが好ましい。カバーファクターが2200を超えるとコンパクト性が悪化しやすいため好ましく無い。また、2000未満では動的通気度測定時の内部圧力が低くなりやすいため好ましくない。より好ましくはカバーファクターが2030〜2180である。
CF=[経糸密度(本/2.54cm)×√(経糸繊度(dtex)×0.9)]
+[緯糸密度(本/2.54cm)×√(緯糸繊度(dtex)×0.9)]
・・・(式1)
本発明のエアバッグ用基布の織密度に関しては、織密度とマルチフィラメントの繊度との組み合わせ、すなわちカバーファクター(CF)で考えればよいが、前記基布の織密度は45〜75本/2.54cmの範囲が好適である。
本発明のポリアミド繊維を用いたエアバッグ用基布の製織方法は特に限定するものではないが、織物物性の均一性を勘案すると平織りが良い。使用する糸は、経糸・緯糸は単一でなくてもよく、例えば太さや糸本数、繊維の種類が異なっても何ら差し支えはない。繊維化後にオレフィンを付与する場合は製織の準備工程において経糸に付与することが好ましい。付与する方法としては溶融状態で付与しても良いし、油剤、エマルジョンにて付与しても良い。
製織工程の織機としては、ウォータージェットルーム、エアージェットルーム及びレピアルーム等を用いる事が出来る。特に生産性を高める点では、高速製織が比較的容易なウォータージェットルームが好ましく用いられる。
本発明のエアバッグ用基布は、製織後生機を50〜100℃の温水槽に通す温水処理を施す方法を用いることができる。温水に通す事で糸が収縮し、織物の空隙を埋める役割を果たす。温水処理時のテンションは0.040cN/dtex以下であることが好ましい。所定のテンション下での温水処理によって、基布を十分に収縮させて生機中の糸条を再配列させるとともに、水膨潤によりナイロン6、6中の水素結合が切断されることによって、より柔軟性の高い基布が得られやすい。温水槽の温度が50°C未満である場合や、温水処理を実施しない場合、十分に収縮せず好ましくない。より好ましくは60〜100°Cであり、さらに好ましくは70〜100°Cである。経糸テンションが0.040cN/dtexを超えると、織物の収縮応力が大きくなりすぎるために織物の柔軟性が損なわれやすく、好ましくない。
本発明のエアバッグ用基布は、精錬、乾燥仕上げを実施しても良いが、前述の温水処理後、熱セット加工を施さずに乾燥させることが好ましい。乾燥工程での経糸テンションも温水処理時と同様の理由で、0.04cN/dtex以下が好ましく、0.02cN/dtex以上であることがより好ましい。ピンテンター等を用いて必要以上にテンションをかけながら熱セット加工を実施すると、基布の柔軟性が損なわれることがある。また、乾燥温度はエアバッグ用基布の柔軟性を損なわないためにも、150°C以下であることが好ましい。
エアバッグ用基布は、基布表面に樹脂加工を施す場合(いわゆるコート布)と施さない場合(いわゆるノンコート布)があり、本発明のエアバッグ用基布はどちらにも適用することができるが、樹脂加工を施さないノンコート布において本発明の効果をより実感することができる。樹脂加工を施す場合は、シリコーン系樹脂やポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリアミド系樹脂に代表される熱可塑性樹脂を使用することができ、耐熱性、耐寒性、難燃性を有するシリコーン系樹脂がより好ましく用いられる。
本発明のエアバッグ用基布はASTM D6476に基づく150℃加熱時の動的通気度測定によって測定される最大圧力が79kPa以上、100kPa以下となるものである。高温下における通気を抑えることができることからエアバッグが膨張展開して乗員を受け止める際に、織物からの高温ガス漏れを極力抑え、熱交換による織物の加熱および融断を抑制し、織物の穴あき、破袋を防止することができる。
高温時には一般的な基布は織物表面からの通気が大きくなりやすいが、本発明のポリアミド繊維マルチフィラメントからなるエアバッグ用基布は高温下でガスの通気を抑えることができるため、繊維の溶融による穴あきや破袋がなくベントホールを有するエアバッグ基布とパイロインフレーターとの組み合わせに最適なものであり、運転席、助手席用のエアバッグに好適に使用できる。
本発明のエアバッグ用マルチフィラメントに使用されるオレフィンを含むポリアミド繊維を得る方法としては、オレフィンをポリアミドの重合後にブレンドして溶融し、紡糸する方法や、繊維化後に油剤の形態でエマルジョンもしくは溶融状態で付与する方法が挙げられ、それらの方法により得られたマルチフィラメントを用いてエアバッグ用基布を製織することができる。
オレフィンをポリアミドの重合後にブレンドして溶融し紡糸する方法としては、一例として下記の工程を経る方法が挙げられる。
a)ペレットまたはパウダー状のポリアミドとペレットまたはパウダー状のオレフィンを固体状態にてブレンドする工程;
b)a)で調製した原料を押出機にて溶融してノズルから押出すことで紡出糸とする工程;
c)冷却気体を噴きつけて冷却する工程;
d)油剤を付与する工程;
e)紡出糸を1000m/min以下の速度で回転する引取りローラに巻回してそのまま追加延伸する工程。
こうして得られたポリアミド繊維からなるマルチフィラメントを、織物に製織することができる。
ポリアミドを繊維化後に油剤の形態でエマルジョンもしくは溶融状態で付与する方法としては、下記の工程を用いる方法が挙げられる。
a)ポリアミドを押出機にて溶融してノズルから押出すことで紡出糸とする工程;
b)冷却気体を噴きつけて冷却する工程;
c)油剤を付与する工程;
d)紡出糸を1000m/min以下の速度で回転する引取りローラに巻回してそのまま追加延伸して3dtex/f以上8dtex/f以下のマルチフィラメントを得る工程;
e)モノマーユニットがエチレン鎖を90%以上含むことを特徴とするIVが0.005以上2.0以下のオレフィンをマルチフィラメントに付与する工程;
こうして得られたポリアミド繊維からなるマルチフィラメントを、さらに
f)カバーファクターが2030以上2180以下になるように調整して製織する工程を経て、エアバッグ用基布とすることができる。
(1)単糸繊度
総繊度をJIS L−1095 9.4.1に記載の方法で測定した。フィラメント数はマルチフィラメントの繊維糸条の断面写真から数えた。次いで、総繊度をフィラメント数で割ることにより単糸繊度を算出した。
(2)織密度
JIS L1096(1999) 8.6により測定した。
(3)高温状態における動的通気度ピーク圧
20cm×20cmの織物を150℃のオーブンに約1分間静置する。オーブンより取り出し、1分以内に動的通気度測定を行った。この時の織物の中心から半径3.5cmの範囲内の平均温度は50〜100℃の範囲内である。動的通気度はTEXTEXT社製FX3350を用い、充填圧225kPa、充填容量200ccにて測定した。なお、測定装置は20℃65%RHの環境下で制御された室内にて行った。「測定直後の織物温度」はFLIR System社製のTheamaCAM SC 640を用いて装置下部から布を直接撮影し、確認した。
(4)極限粘度(IV)
135度のデカリンにてウベローデ型毛細粘度管により、種々の希薄溶液の比粘度を測定し、その粘度の濃度にたいするプロットの最小2 乗近似で得られる直線の原点への外挿点より極限粘度を決定した。測定に際し、オレフィンに対して1wt%のBHT(2,4−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を添加し、135度で90分間攪拌溶解して測定溶液を調整した。
(比較例1)
オレフィンを含有していないポリアミド66レジンを単軸の押出機を用いて溶融押出し、ギアポンプを用いて計量し、金属不織布フィルター(日本精線株式会社NF−07)を介してノズルへ押出して繊維状溶融物とした。繊維状溶融物をそのままノズル直下の加熱筒を通過させて冷却風にて冷却した後に脂肪酸エステル系の紡糸油剤を付与し、引取ローラに巻回してそのまま公知の方法で追加延伸を行い、350dtex48フィラメントのポリアミド66繊維を得た。得られた繊維の沸水収縮率は7.8%であった。
捲き取った原糸をウォータージェットルームにて製織後、98°Cの温水槽を通し、テンションが0.026cN/dtexとなるように加工テンションを調整して温水処理を実施した後、続けて0.026cN/dtexのテンション下で乾燥処理を施して、経、緯の織物密度が58本/インチの平織り布を得た。得られた基布の物性を表1に記す。高温状態における動的通気度が高く、パイロインフレーターに適さない基布であった。
(比較例2)
ポリアミド66レジンに京葉ポリエチレン社製ポリエチレン「E8080」(IV:1.9)を5.0%チップブレンドし、比較例1と同様の手法にて繊維化を試みたが毛羽が多数発生したため、織物にできる品質の糸を得ることができなかった。
(実施例1)
ポリアミド66レジンに京葉ポリエチレン社製ポリエチレン「E8080」を0.3%チップブレンドし、比較例1と同様の方法を用いて紡糸・延伸を行い、350dtex48フィラメントのポリアミド66繊維を得た。得られた繊維の沸水収縮率は7.5%であった。
ウォータージェットルームにて製織後、98°Cの温水槽を通し、テンションが0.026cN/dtexとなるように加工テンションを調整して温水処理を実施した後、続けて0.026cN/dtexのテンション下で乾燥処理を施して、経、緯の織物密度が58本/インチの平織り布を得た。得られた基布の物性を表1に記す。高温状態における動的通気度が低く、パイロインフレーターに適した基布であった。
(実施例2)
ポリアミド66レジンに京葉ポリエチレン社製ポリエチレン「E8080」を1.0%チップブレンドし、比較例1と同様の方法を用いて紡糸・延伸を行い、350dtex48フィラメントのポリアミド66繊維を得た。得られた繊維の沸水収縮率は7.7%であった。
ウォータージェットルームにて製織後、98°Cの温水槽と通し、テンションが0.026cN/dtexとなるように加工テンションを調整して温水処理を実施した後、続けて0.026cN/dtexのテンション下で乾燥処理を施して、経、緯の織物密度が58本/インチの平織り布を得た。得られた基布の物性を表1に記す。高温状態における動的通気度が低く、パイロインフレーターに適した基布であった。
(実施例3)
ポリアミド66レジンに京葉ポリエチレン社製ポリエチレン「E8080」を2.0%チップブレンドし、比較例1と同様の方法を用いて紡糸・延伸を行い、350dtex48フィラメントのポリアミド66繊維を得た。得られた繊維の沸水収縮率は7.5%であった。
ウォータージェットルームにて製織後、98°Cの温水槽に通し、テンションが0.026cN/dtexとなるように加工テンションを調整して温水処理を実施した後、続けて0.026cN/dtexのテンション下で乾燥処理を施して、経、緯の織物密度が58本/インチの平織り布を得た。得られた基布の物性を表1に記す。高温条件での動的通気度の最大値が低く、パイロインフレーターに適した基布であった。
(実施例4)
ポリアミド66レジンにプライムポリマー社製ポリエチレン「Evolue−H−SP50800」(IV:0.68)を1.0%チップブレンドし、比較例1と同様の方法を用いて紡糸・延伸を行い、350dtex48フィラメントのポリアミド66繊維を得た。得られた繊維の沸水収縮率は8.1%であった。
ウォータージェットルームにて製織後、98℃の温水槽と通し、テンションが0.026cN/dtexとなるように加工テンションを調整して温水処理を実施した後、続けて0.026cN/dtexのテンション下で乾燥処理を施して、経、緯の織物密度が59本/インチの平織り布を得た。得られた基布の物性を表1に記す。高温状態における動的通気度が低く、パイロインフレーターに適した基布であった。
(実施例5)
オレフィンを含有していないポリアミド66レジンを比較例1と同様の方法を用いて紡糸・延伸を行い、350dtex48フィラメントのポリアミド66繊維を得た。沸水収縮率は8.0%であった。
整経時にオレフィン系油剤である松本油脂製薬製の「アフターワックス300」(IV:0.007)を繊維に対し0.2wt%付与し、ウォータージェットルームにて製織後、98°Cの温水槽を通し、テンションが0.026cN/dtexとなるように加工テンションを調整して温水処理を実施した後、続けて0.026cN/dtexのテンション下で乾燥処理を施して、経、緯の織物密度が58本/インチの平織り布を得た。得られた基布の物性を表1に記す。高温状態における動的通気度が低く、パイロインフレーターに適した基布であった。
軽量コンパクト性に優れるため、特に運転席や助手席に適した、パイロインフレーターのような高温のガスに暴露されても穴あき、破袋の無いエアバッグ用織物に適した繊維および基布を提供できる。

Claims (11)

  1. オレフィンを0.1重量%以上、5重量%未満含むポリアミド繊維からなるエアバッグ用マルチフィラメント。
  2. 前記ポリアミド繊維がポリアミド66である、請求項1に記載のエアバッグ用マルチフィラメント。
  3. 前記マルチフィラメントの総繊度が100dtex以上、500dtex以下である、請求項1又は2に記載のエアバッグ用マルチフィラメント。
  4. オレフィンのモノマーユニットがエチレン鎖を90%以上含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアバッグ用マルチフィラメント。
  5. オレフィンのIVが0.005以上2.0以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアバッグ用マルチフィラメント。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のエアバッグ用マルチフィラメントを使用したエアバッグ用基布。
  7. 前記エアバッグ用基布が樹脂被膜を有していない基布である、請求項6に記載のエアバッグ用基布。
  8. 150℃高温動的通気度の通気度ピークが79kPa以上、100kPa以下であることを特徴とする請求項7に記載のエアバッグ用基布。
  9. カバーファクターが2030以上2180以下である請求項8に記載のエアバッグ用基布。
  10. エアバッグ用マルチフィラメントを製造する方法であって、下記(a)〜(e)のプロセスを含む方法。
    a)ペレットまたはパウダー状のポリアミドとペレットまたはパウダー状のオレフィンを固体状態にてブレンドする工程;
    b)a)で調製した原料を押出機にて溶融してノズルから押出すことで紡出糸とする工程;
    c)冷却気体を噴きつけて冷却する工程;
    d)油剤を付与する工程;
    e)紡出糸を1000m/min以下の速度で回転する引取りローラに巻回してそのまま追加延伸する工程
  11. エアバッグ用基布を製造する方法であって、下記(a)〜(f)のプロセスを含む方法。
    a)ポリアミドを押出機にて溶融してノズルから押出すことで紡出糸とする工程;
    b)冷却気体を噴きつけて冷却する工程;
    c)油剤を付与する工程;
    d)紡出糸を1000m/min以下の速度で回転する引取りローラに巻回してそのまま追加延伸して3dtex/f以上8dtex/f以下のマルチフィラメントを得る工程;
    e)モノマーユニットがエチレン鎖を90%以上含むことを特徴とするIVが0.005以上2.0以下のオレフィンをマルチフィラメントに付与する工程;
    f)カバーファクターが2030以上2180以下になるように調整して製織する工程
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