JP2010106375A - エアバッグ用織物およびエアバッグ - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量でありながら高強力であり、縫合部の縫い目開きも少なく、気密性の高いエアバッグを得ることのできる不通気性織物を提供する。
【解決手段】少なくとも片面に不通気性材料を有するエアバッグ用織物であって、総繊度が350dtex以上、強度が9cN/dtex以上である繊維糸条からなり、カバーファクター(CF)が800以下、目付けが190g/m以下、引張強力が700N/cm以上、該引張強力をカバーファクターで除して得られる強力指数が0.875以上、および、JISL−1096(8.21.1A法)に基づく織物の縫い目開き量が3mm以下であるエアバッグ用織物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車衝突時の乗員保護装置として実用されているエアバッグに用いられる織物に関し、更に詳しくは、軽量でありながら高強力であり、かつ縫い目開きが小さく気密性の高いエアバッグを得ることのできる不通気性のエアバッグ用織物およびそれから得られるエアバッグに関する。
近年、自動車の乗員安全保護装置としてエアバッグの装着が急速に進み、自動車の前面衝突時の前部座席着座者(運転者、助手席者)保護用、側面衝突時の座席シートに内蔵された胸部および大腿部保護用、または側部窓に沿って展開するよう窓上部の天井内に装着された頭部保護用など、その装着数も増えてきている。
これらの安全装置(以下、モジュールと記す)は、エアバッグを展開し膨張させるガス発生器(以下、インフレーターと記す)、乗員と当接して乗員の衝突エネルギーを吸収あるいは緩和する袋体のエアバッグ、これらを連結する金属などの部品、電気信号伝達用の配線、車内に装着し易いように装置の上面部を被覆し意匠性も考慮された樹脂成型品など、多くの構成部品からなる。その結果、車内に搭載された各モジュールの重量も多くなり、モジュールの構成部品を、軽く、小さくするための工夫がなされてきた。
たとえば、従来使用されている繊度940dtexや700dtexの糸より細い470dtexや350dtex、235dtexの糸を用いたエアバッグ用織物が実用化されている。細い糸を用いた織物は目付けが軽くはなるものの、エアバッグ用基布として要求される引張強力、引裂き強力などの物理的特性が不足するという問題がある。
また、前記した側面衝突対応のエアバッグは、乗員とモジュール装着部位との距離が近く、前面衝突対応のエアバッグに比較し、衝突してからエアバッグが展開するまでに要する時間が一層短いことが要求される。さらに、頭部保護用のエアバッグは、車輌が横転した後にも乗員を保護する機能が求められる場合があり、インフレーターから発生するガスを袋の膨張に有効に活用することが肝要となる。
そこで、気密性を高めるために、袋体を構成する織物に不通気性材料を付与したり、縫合部の縫い目開きを低減させて、袋体を形成している縫合部からのガス漏れを最小限に抑えることが行われている。しかし、不通気性材料を施した織物を用いて袋体を作製すると、袋体の本体からのガス漏れはなくなるが、不通気性材料によっては、縫い糸と織物との間の摩擦が小さくなるため、膨張時には縫合部での縫い目開きが大きくなってしまい、そこからのガス漏れが増大する場合があった。
また、特許文献1には、繊度210d(235dtex)以下で、糸強度が10g/d(8.85cN/dtex)以上の高強度糸を用いたオックスフォード織のエアバッグ用基布が提案されており、軽量で高強力な織物が得られている。この織物は、糸を2本以上並べて織るオックスフォード織を用いており、平織に比較して引張強力や引裂き強力が高くなる傾向にあり、糸の交差点が少ないため柔軟である。その半面、織物自体の組織ずれや縫製部の縫い目開きが大きくなり、エアバッグからのガス漏れを抑えることが難しくなる。また、インフレーターのガス温度によっては、拡大した縫い目孔が軟化し、さらには溶融して、隣接する縫い目が連続して大きな欠損部を生じ、最終的にエアバッグの縫合部で破断する場合も考えられる。
特許文献2および特許文献3には、高い引張強力を有するエアバッグ用基布が開示されているが、実施例から推定すると、基布の目付けは215g/m以上であり、軽量であるとは言えない。
また、縫合部の縫製糸の縫い目滑りを抑制し、高圧時の通気性を抑える方法も提案されている。たとえば、特許文献4には、基布の滑脱抵抗力を3〜8mmとすることにより、膨張展開時の局所破裂を回避することが開示されている。しかし、基布強力が700N/cmを超えるという記載があるものの、基布強力に関係する材料設計である糸の強度、基布の織密度に関する記載がなく、また、基布の目付けなども不明であり、軽量で気密性の高いエアバッグ用基布を得るための技術内容が開示されているとは言い難い。
特開平6−33336号公報 特開平6−306728号公報 特開2005−281933号公報 特開2006−63491号公報
本発明は、高強度の糸を用いることにより、軽量でありながら高強力であり、縫合部の縫い目開きも少なく、気密性の高いエアバッグを得ることのできる不通気性織物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、少なくとも片面に不通気性材料を有するエアバッグ用織物であって、総繊度が350dtex以上、強度が9cN/dtex以上である繊維糸条からなり、下記式1より算出されるカバーファクター(CF)が800以下、目付けが190g/m2以下、引張強力が700N/cm以上、該引張強力をカバーファクターで除して得られる強力指数が0.875以上、および、JIS L−1096(8.21.1A法)に基づく織物の縫い目開き量が3mm以下であるエアバッグ用織物に関する。
CF=Nw×√Dw+Nf×√Df (式1)
(ここで、Nw,Nfは、経糸および緯糸の織密度(本/cm)、Dw,Dfは、経糸および緯糸の繊度(dtex)を示す)
前記不通気性材料が、ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
前記不通気性材料が、ポリカーボネートポリオールを構成成分の1つとするポリウレタン樹脂であることが好ましい。
前記不通気性材料の付着量が、10〜30g/mであることが好ましい。
また、本発明は、前記のエアバッグ用織物からなるエアバッグに関する。
本発明によれば、非常に軽量でありながら高強力であり、且つ縫合部の縫い目開き量が少ないエアバッグを得ることのできる不通気性織物、ならびに、軽量であって、高い耐圧性と気密性を有するエアバッグを提供することができる。
本発明のエアバッグ用織物は、少なくとも片面に不通気性材料を有しており、総繊度350dtex以上、強度9cN/dtex以上である繊維糸条(以下、高強度繊維糸条と称する場合がある)からなり、カバーファクター(CF)800以下、目付け190g/m以下、引張強力700N/cm以上、且つ強力指数(=引張強力/カバーファクター)が0.875以上、および、JIS L−1096(8.21.1A法)に基づく織物の縫い目開き量が3mm以下であることを特徴とする。
本発明の織物を構成する繊維糸条の総繊度は350dtex以上であり、400dtex以上であることが好ましい。糸の総繊度が350dtexより小さいと、糸強度を高めても糸強力の絶対値ならびに織物強力が高くなりにくく、エアバッグの耐圧強度が得られ難い。また、総繊度が大きすぎると織物の強力は高まるものの、織物の厚さ、目付けが大きくなり、軽量織物が得られ難い。従って、総繊度は940dtex以下であることが好ましく、700dtex以下であることがより好ましい。
また、その強度は、9cN/dtex以上であり、9.5cN/dtex以上であることが好ましい。糸の強度が、9cN/dtexより小さいと、高い糸強力および高い織物強力が得られない。また、糸強度は高い方がよいが、13cN/dtex以下であることが好ましい。13cN/dtexをこえると、紡糸の延伸工程で著しく毛羽が発生し易く、延伸工程および糸巻き工程や製織工程でのトラブル原因となり易く、良好な品質の織物が得られにくい傾向にある。
前記繊維糸条の単糸繊度は、0.5〜6dtexであることが好ましく、0.5〜4dtexであることがより好ましい。単糸繊度をこの範囲とすることにより、織物の通気性が小さくなり、柔軟性およびエアバッグの折畳み性が向上する傾向にある。
また、単糸の断面形状は、円形、楕円、扁平、多角形、中空、その他の異型など、織物の製造工程、得られた織物の物性に支障のない範囲で適宜選定すればよい。
本発明で使用される高強度繊維糸条は、延伸工程で通常の強度糸より高い比率で延伸されることが多く、紡糸工程で単糸切れ(毛羽)が比較的多く発生し易い。これらの糸を用いて織機に掛けると、小さな毛羽が誘因となり毛羽同士が絡まって、最終的には経糸を損傷させ易くなる。このような製織時の経糸損傷を抑える手段として、物理的あるいは化学的な被覆加工を施して、毛羽の突出および増長を抑えることは好ましい。前記被覆加工としては、たとえば、甘撚りと呼ばれる50〜150回/m程度の加撚、細い糸を高強度である繊維糸条周囲に巻き付ける捲回加工およびカバリング加工などの物理的な方法、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ワックス類などの加工剤による糊付け加工と呼ぶ化学的な方法、あるいは両法の混用などがあげられる。
また、前記繊維糸条は、天然繊維、化学繊維、無機繊維など、とくに限定されるものではない。化学繊維のうち、合成繊維としては、たとえば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などの単独またはこれらの共重合、混合により得られる脂肪族ポリアミド繊維、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9Tに代表される脂肪族アミンと芳香族カルボン酸の共重合ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの単独またはこれらの共重合、混合によって得られるポリエステル繊維、超高分子量ポリオレフィン系繊維、ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの含塩素系繊維、ポリテトラフルオロエチレンを含む含フッ素系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリサルフォン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン系繊維(PEEK)、全芳香族ポリアミド系繊維、全芳香族ポリエステル系繊維、ポリイミド系繊維、ポリエーテルイミド系繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール系繊維(PBO)、ビニロン系繊維、アクリル系繊維などがあげられる。その他の繊維としては、綿、麻、ケナフ繊維などのセルロース系繊維、ポリ乳酸エステル、琥珀酸エステルに代表される生分解性繊維、炭化珪素系繊維、アルミナ系繊維、ガラス系繊維、カーボン系繊維、スチール系繊維などがあげられる。これらから適宜、1種または2種以上を選定すればよい。なかでも、汎用性があり、織物の製造工程、織物物性などの点において、合成繊維フィラメントが好ましい。そのなかでも、物理特性、耐久性、耐熱性などの点から、ナイロン66繊維が好ましく、リサイクルの観点からは、ポリエステル系繊維およびナイロン6繊維が好ましい。
これらの繊維糸条には、紡糸性、加工性および耐久性などを改善するために、通常使用されている各種の添加剤、たとえば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの1種または2種以上を使用してもよい。
前記高強度繊維糸条から構成される本発明の織物は、目付けが190g/m以下であり、180g/m以下であることが好ましい。目付けが、190g/mをこえると、軽量化という本発明の目的を達成することができない。また、目付けが小さくなりすぎると織物の高い強力が得られにくく、引裂き強力など他の物理特性が低くなる傾向にあるため、150g/m以上であることが好ましい。なお、ここでいう目付けは、不通気性材料を施す前の織物単体の単位重量をいう。
その引張強力は、700N/cm以上であり、715N/cm以上であることが好ましい。引張強力が、700N/cmより小さいと、エアバッグの種類や展開条件によっては、展開時の衝撃、バッグ内圧に耐えられず、破損してしまう。
前記織物は、その織構造の緻密さを示す指数であるカバーファクターが、800以下であり、775以下であることが好ましく、750以下であることがより好ましい。経糸および緯糸にそれぞれ繊度の異なる糸を用いる場合は、経糸および緯糸それぞれの繊度毎にカバーファクターを算出し、合計することで、織物全体のカバーファクターを求めることができる。
カバーファクターが800をこえると、高い強力は得られ易いが、織物の目付けが大きくなったり、粗硬になり易く、本発明の目的である軽量でありながら高強力を有する織物が得られない。また、低くなると織物の目付けが小さくなったり、縫い目の目開きを低減することが難しくなるため、下限は、650であることが好ましく、675であることがより好ましく、700であることがさらに好ましい。
ここで、カバーファクター(CF)とは、織物の経糸および緯糸のそれぞれの織密度N(本/cm)と太さD(dtex)との積で求められ、下式にて表される。
CF=Nw×√Dw+Nf×√Df
(ここで、Nw,Nfは、経糸および緯糸の織密度(本/cm)、Dw,Dfは、経糸および緯糸の太さ(dtex)を示す)
また、本発明の織物は、引張強力を前記カバーファクターで除した強力指数、すなわち、繊維構造の緻密さに対する引張強力が0.875以上である。この強力指数は、0.900以上であることが好ましく、0.920以上であることがより好ましい。強力指数が0.875より小さいと、繊維構造の緻密さに対する引張強力が低くなり、本発明の目的である高強力な織物が得られない。この強力指数は高いほど良いが、高過ぎると繊維構造の緻密さに対する引張強力が異常に高い特性を持つものとなり、たとえば、引裂強力が低下するなど、物理特性への影響が懸念されるため、1.25以下であることが好ましい。
さらに、本発明では、JIS L−1096(8.21.1A法)に基づく織物の縫い目開き量が3mm以下であることが肝要である。縫い目開きは、2.5mm以下であることが好ましい。縫い目開き量が3mmをこえると、エアバッグ縫合部からのガス漏れが大きくなり、袋体の十分な内圧が得られず、乗員が当接した際に衝撃エネルギーを緩和するだけのクッション性が不足する。縫い目開き量は小さい程好ましいが、1mm程度であれば縫い目からのガス漏れも最小限に抑えることができる。
本発明の織物は、平織、斜子織(バスケット織)、格子織(リップストップ織)、綾織、畝織、絡み織、模紗織、あるいはこれらの複合組織などいずれでもよい。必要に応じて、経糸、緯糸の二軸以外に、45度交差、斜め60度を含む多軸設計としてもよく、その場合の糸の配列は、経糸または緯糸と同じ配列に準じればよい。なかでも、織物構造の緻密さ、物理特性や性能の均等性が確保できる点で、平織が好ましい。
本発明の織物の製造は、通常の工業用織物を製織するのに用いられる各種織機を用いて行うことができる。たとえば、織機としては、シャトル織機、ウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機、プロジェクタイル織機などがあげられる。織機の回転数も、繊維糸条の太さや材質、製織する織物設計、織機の機幅、などに応じて適宜選定すればよいが、たとえば、500〜1200rpmとすればよい。
また、本発明の織物は、その少なくとも片面に不通気性材料を有している。これにより、エアバッグとしたときの気密性を確保することができる。不通気性材料とは、たとえば以下に示すような実質的に空気を通さないようにする材料のことであり、不通気とは、JIS L1096「一般織物試験方法」における8.27.1 A法(フラジール形法)において、測定値0.0のことをいう。この材料を、後述する方法により、織物の片面あるいは両面から付与する。この不通気性材料は、織物の表面、基布を構成する糸束の交差部、または、繊維単糸の間隙部など、いずれに介在していてもよい。前記不通気性材料は、織物の縫い目開きを抑制するという作用も有する。
前記不通気材料としては、通常、エアバッグ用基布に使用されている材料であればよく、耐熱性、摩耗性、基布との密着性、難燃性、不粘着性などを満足するものであればよい。たとえば、シリコーン系樹脂またはゴム、ポリウレタン系樹脂またはゴム(シリコーン変性、フッ素変性も含む)、フッ素系樹脂またはゴム、塩素系樹脂またはゴム、ポリエステル系樹脂またはゴム、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂などの1種または2種以上を用いることができる。
また、相溶性のある複数の材料を混用して用いてもよく、必要に応じて、複数の材料を複数回塗工して、多層構造としてもよい。たとえば、単独で用いる場合より好ましい特性が得られる場合は、水性ポリウレタン樹脂に、水性シリコーン系樹脂、水性フッ素系樹脂、水性ポリアミド系樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性エポキシ系樹脂、水性ビニル系樹脂、またはこれらの変性樹脂などの1種または2種以上を混合して用いてもよい。
通常、エアバッグ用の不通気性基布にはシリコーン樹脂を施すことが多いが、周知の如く、シリコーン材料には平滑性を付与する成分が含まれるため、シリコーン樹脂単体を施した織物は、縫合部の縫い目開きがシリコーン樹脂を施す前より大きくなる場合が多い。そのため、シリコーン樹脂とそれ以外の材料を併用したり、シリコーン樹脂以外の材料を用いることが好ましい。
なかでも、不通気性材料としてポリウレタン樹脂を用いることが、付与後の織物の縫い目開きが付与前より小さくなる点で好ましい。これにより、気密性の高いエアバッグを得ることができる。さらに、ポリウレタン樹脂は、織物を構成する各種繊維材料と比較的密着し易い材料であり、織物の組織ずれ、縫い目の拡大もその密着性により低減される。
さらに、ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分として、ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。これにより、耐久性にも優れた不通気性織物を得ることができ、長期に亘る縫い目開き低減性能が確保できる。
ポリカーボネートポリオールのなかでも、低融点、すなわち20℃以下、好ましくは0℃以下のポリオールを用いることが、柔軟な樹脂被膜を得る上で好ましい。なお、前記ポリカーボネートポリオールとしては、1)ポリオールとクロルカルボン酸との反応、2)ポリオールとホスゲンとの反応、3)ポリオールと環状カーボネートとの反応、4)ジカーボネート化合物の縮合反応などにより得られる化合物の中から低融点のものを選べばよい。
前記ポリカーボネートポリオールの合成に用いられるポリオール化合物としては、たとえば、HO−R−OHで示されるジオール類、すなわち、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、または芳香族ジオールなどがあげられる。なかでも、炭素数が少なく、得られる樹脂被膜が柔らかいという点で、アルキレンジオール(炭素数=2〜6)、アルキレングリコール(炭素数=2〜6)、キシリレングリコールなどの1種または2種以上の混合物、あるいは2種以上の共重合物などが好ましい。また、必要に応じて、カプロラクトンなどとの共重合物であるポリカーボネート/ポリエステルのポリオールを用いてもよい。
低融点ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、要求される樹脂被膜特性に応じて選定すればよい。なかでも、数平均分子量が500〜3000であることが好ましく、800〜2000であることがより好ましい。数平均分子量が500より小さいと、得られる樹脂被膜の伸びが低い傾向にあり、3000をこえると、樹脂被膜が硬くなる傾向にある。
低融点ポリカーボネートポリオールとしては、たとえば、ETERNACOLL UHC50(宇部興産社製品)、PCDL T5652、T5651、T4672、T4671(以上、旭化成ケミカルズ社製品)、プラクセルCD205(ダイセル化学社製品)、Oxymer N112(Perstorp社製品)、などの市販品を使用することもできるが、これらに限定されるものではない。
ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネートとしては、通常、ポリウレタン樹脂に用いられているものの中から選定すればよい。なかでも、適度なモジュラスを有し、柔軟性がより高く、物理特性にも優れるポリウレタン樹脂を得ることができる点で、芳香族を除く、脂肪族または脂環式ポリイシシアネートを用いることが好ましい。
好ましいポリイソシアネートとしては、たとえば、メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートおよびリジンイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート化合物、イソフォロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネートおよびシクロヘキシルジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート化合物などがあげられる。なかでも、樹脂被膜の柔軟性の点で、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましく、樹脂の黄変色を抑える点で、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。また、前記ジイソシアネート化合物と、低分子量のポリオール類やポリアミン類を末端基がイソシアネートとなるように作成したポリウレタンプレポリマー類などを用いてもよい。
ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分との配合比は、得られる樹脂被膜の特性に応じて選定すればよく、とくに限定されない。なかでも、重量比で、ポリオール成分/ポリイソシアネート成分=1.5/1〜1/1.5であることが好ましい。この範囲外であると、反応効率が低下する傾向にある。
また、前記ポリウレタン樹脂には、樹脂被膜の物性を向上させるために、第3成分として分子内に水酸基やカルボキシル基を有する化合物、たとえば、ジオキシ安息香酸、ジオキシマレイン酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸などのカルボン酸含有物およびこれらの誘導体、またはこれらを共重合させて得られるポリエステルポリオールなどの1種または2種以上を配合してもよい。
前記第3成分と優先的に反応する架橋剤、たとえば、ポリカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物などを用いてもよい。これにより、ポリウレタン樹脂の分子構造を網目状にして、樹脂被膜に強固な摩耗性を付与することができる。なかでも、ポリカルボジイミド化合物が、樹脂被膜の物理特性の向上、織物との密着性の向上に寄与する点で好ましい。
ポリカルボジイミド化合物は、商品名として、カルボジライト(日清紡績社製品)、Emafix(大日精化工業社製品)、Stabaxol(平泉洋行社製品)、AQD−2050B(サンユーペイント社製品)、などとして販売されているものの中から、1種または2種以上を選定することができるが、これらに限定されるものではない。
また、前記第3成分または架橋剤の配合量は、ポリオール成分およびポリイソシアネート成分の配合量100重量部に対して、1〜20重量部の範囲であることが好ましく、2〜15重量部であることがより好ましい。配合量が1重量部より少ないと、樹脂被膜の物理特性、基布との密着や耐摩耗性が不足する傾向にある。また、20重量部をこえると、樹脂被膜のモジュラスが高くなり柔軟性を損ないやすくなる傾向にある。
ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、架橋剤成分、必要に応じて、反応性基を含む前記第3成分などの反応により生成するポリウレタン樹脂の数平均分子量は、得られる樹脂特性、溶液の安定性、加工性などに応じて選定することができる。なかでも、5千〜50万であることが好ましく、1万〜40万であることがより好ましい。分子量が5千より小さいと、得られる樹脂被膜が脆くなる傾向にあり、50万をこえると樹脂被膜が硬くなる傾向にある。
また、前記ポリウレタン樹脂の粘度は、その固型分、塗工法に応じて、最適な範囲を選定することができる。なかでも、25℃において、0.1〜200Pa・sであることが好ましい。25℃における粘度が0.1Pa・sより小さいと、樹脂の織物への浸透が大きく、得られる加工布が硬くなる傾向にあり、200Pa・sをこえると、加工時の取り扱い性が悪くなる傾向にある。
また、その固型分は、前記ポリウレタン樹脂溶液を安定に作成、保存、運搬できる範囲であればよく、20〜80%の範囲にあればよい。
前記ポリウレタン樹脂溶液が水性溶液の場合、その樹脂固形分の粒子径は、溶液の安定性、分散剤や乳化剤の使用量などに応じて選定する事ができる。なかでも、溶液の均一性、乾燥後の樹脂被膜の均一性などが向上する点で、平均粒子径は500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
不通気性材料の付与方法は、1)コーティング法(ナイフ、ブレード、キス、リバース、コンマ、スロットダイおよびリップなど)、2)浸漬法、3)印捺法(スクリーン、ロール、ロータリーおよびグラビアなど)、4)転写法(トランスファー)、および、5)ラミネート法などがあげられる。なかでも、設定できる付与量の幅が大きい点で、コーティング法が好ましい。
不通気性材料の付着量としては、片面10〜30g/mの範囲であることが好ましい。また、層状となる場合は、その厚さは10〜30μmの範囲であることが好ましい。付与量が片面10g/mより少ない、または、層の厚さが10μmより薄いと、必要な気密性を得ることが難しい傾向にある。また、30g/mまたは30μmを超えると気密性は十分に確保できるものの、織物の目付けが重くなり、軽量なエアバッグが得られ難くなる。
また、前記材料には、主たる材料の他、加工性、接着性、表面特性あるいは耐久性などを改良するために通常使用される各種の添加剤、たとえば、架橋剤、接着付与剤、反応促進剤、反応遅延剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、粘着防止剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの1種または2種以上を選択、混合してもよい。
前記材料の液体としての性状は、塗布量、塗布法、材料の加工性や安定性、要求される特性などに応じて、無溶媒型、溶媒型、水分散型、水乳化型、水溶性型などから適宜選定すればよいが、水分散、水乳化、水溶性などの水性タイプであることが、作業環境の点で好ましい。
さらに、前記材料には織物との密着性を向上させるための各種前処理剤、接着向上剤などを添加してもよいし、予め織物表面にプライマー処理などの前処理を施してもよい。さらに、前記材料の物理特性を向上させたり、耐熱性、老化防止性、耐酸化性などを付与するため、前記材料を織物に付与した後、熱風処理、加圧熱処理、高エネルギー処理(高周波、電子線、紫外線など)などにより、乾燥、架橋、加硫などを行ってもよい。
また、本発明のエアバッグの仕様、形状および容量は、配置される部位、用途、収納スペース、乗員衝撃の吸収性能、インフレーターの出力などに応じて選定すればよい。
さらに、乗員が当接した際のエネルギー吸収のため、本発明のエアバッグには、一個または複数の排気穴、例えば直径10mm〜80mmの円形またはそれに相当する面積の穴、または、これらの排気性能に相当するスリット、膜または弁などを設けてもよい。さらに、この排気穴の周囲には、補強布を接合、積層してもよい。乗員側へのエアバッグの突出抑制や膨張時の厚みの制御のために、エアバッグ内側に吊り紐またはガス流調整布、エアバッグ外側にフラップと呼ばれる帯状布または抑え布などを設けてもよい。
本発明のエアバッグは、本発明の織物を所望の形状に裁断した少なくとも1枚の基布(以下、単に基布と称する)を接合することによって得られる。エアバッグを構成する基布の枚数は、1枚または2枚以上である。エアバッグを構成する基布のすべてが、本発明の織物からなることが好ましい。
前記基布同士の接合、基布と補強布や吊り紐との接合、他の裁断基布同士の固定などは、主として縫製によって行われるが、部分的に接着や溶着などを併用したり、製織あるいは製編による袋体を用いてもよく、エアバッグとしての堅牢性、展開時の耐衝撃性、乗員の衝撃吸収性能などを満足するものであればよい。
縫合は、本縫い、二重環縫い、片伏せ縫い、かがり縫い、安全縫い、千鳥縫い、扁平縫いなどの通常のエアバッグに適用されている縫い目により行えばよい。また、縫い糸の太さは、700dtex(20番手相当)〜2800dtex(0番手相当)、運針数は2〜10針/cmとすればよい。複数列の縫い目線が必要な場合は、縫い目線間の距離は2.2mm〜8mm程度として、多針型ミシンを用いればよいが、縫製部距離が長くない場合には、1本針ミシンで複数回縫合してもよい。エアバッグ本体として複数枚の基布を用いる場合には、複数枚を重ねて縫合してもよいし、1枚ずつ縫合してもよい。
さらに、必要に応じて、外周縫合部などからの縫い目からのガス抜けを防ぐために、シール材、接着剤または粘着材などを、縫い目の上部および/または下部、縫い目の間、縫い代部などに塗布、散布または積層してもよい。
縫合に使用する縫い糸は、一般に化合繊縫い糸と呼ばれるものや工業用縫い糸として使用されているものの中から適宜選定すればよい。たとえば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリエステル、高分子ポリオレフィン、含フッ素、ビニロン、アラミド、カーボン、ガラス、スチールなどがあり、紡績糸、フィラメント合撚糸またはフィラメント樹脂加工糸のいずれでもよい。
また、使用するインフレーター特性に応じて、インフレーター噴出口周囲に熱ガスから保護するための耐熱保護布や力学的な補強布を設けてもよい。これらの保護布や補強布は、布自体が耐熱性の材料、たとえば、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、PBO繊維、ポリイミド繊維、含フッ素系繊維などの耐熱性繊維材料を用いてもよいし、エアバッグ本体と同じか本体基布より太い糸を用いて別途作成した織物を用いてもよい。また、織物に耐熱性被覆材を施したものを用いてもよい。
エアバッグを収納する際の折畳み法も、運転席用バッグのように中心から左右、上下対称の屏風折り、あるいは中心に向かって多方位から押し縮める折り方、助手席バッグのようなロール折り、蛇腹折り、屏風状のつづら折り、あるいはこれらの併用や、シート内蔵型サイドバッグのようなアリゲーター折りなどにより折畳めばよい。
本発明のエアバッグは、各種の乗員保護用バッグ、たとえば、運転席および助手席の前面衝突保護用、側面衝突保護用のサイドバッグ、後部座席着座者保護用(前突、追突)、追突保護用のヘッドレストバッグ、脚部・足部保護用のニーバッグおよびフットバッグ、乳幼児保護用(チャイルドシート)のミニバッグ、エアーベルト用袋体、歩行者保護用などの乗用車、商業車、バス、二輪車などの各用途の他、機能的に満足するものであれば、船舶、列車・電車、飛行機、遊園地設備など多用途に適用することができる。
以下、実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例の中で行ったエアバッグ用織物およびエアバッグ特性の性能評価の方法を以下に示す。
(1)織物の目付け
JIS L−1096(8.4.2)に規定された方法により、基布の単位面積当たりの質量を求めた。
(2)引張強力
JIS L−1096(8.12.1A法、ストリップ法)に規定された方法により、織物の経方向と緯方向の引張強力を求め、経と緯の平均値を算出した。
(3)強力指数
前記(2)から求められる引張強力を、(式1)から求められる織物のカバーファクターで除することにより得られる指数を、強力指数(引張強力/カバーファクター)として算出した。
(4)織物の縫い目開き量
JIS L−1096(8.21.1A法、縫い目滑脱法)に規定された試料形状にて、引張荷重が588Nとなった時点における拡大した縫い目孔の最大孔を測定し、織物の経方向と緯方向(それぞれN=3)の総平均値を縫い目開き量とした。縫い仕様は、上糸、下糸いずれもナイロン66繊維の5番手糸を縫い糸として使用し、運針数3.5針/cm、本縫い1列とした。
(5)エアバッグの重量
得られたエアバッグを折り畳み、重量を測定し、比較例1を100として相対値で表した。
(6)バッグの展開試験
エアバッグの展開試験は、ダイセル社製インフレーター(型式ZA、2ステージ型、出力160kpa/220kpa)、固定金具、樹脂製ケースを用いてモジュールを組み立て実施した。モジュールは100℃にて予め約5時間加熱し、予熱後直ちに展開試験を行い、展開時の膨張状態ならびに展開後のエアバッグ外周縫製部の状態を観察した。
(7)運転席用エアバッグの作成法
評価に使用した運転席用エアバッグの作成法を以下に示す。
エアバッグ用基布として準備した織物から、外径がφ670mmである円形の本体パネルを2枚裁断した。一方の本体パネル中央部にφ67mmのインフレーター取付け口、および、該取付け口の中心から斜め上45度の線上120mmの位置に排気孔φ30mmを2箇所(左右一対)設けた。
また、補強布として、ナイロン66繊維の470dtexを用いて作成した織密度21本/cmであるノンコート基布と、織密度18本/cmの基布にシリコーン樹脂を35g/mを塗布して得られたコート基布とを準備した。インフレーター取付け口の補強布として、外径210mm、内径67mmの環状布Aをノンコート基布から3枚、コート基布から1枚裁断した。さらに、排気孔補強布として、前記コート基布から外径90mm、内径30mmの環状布Bを2枚裁断した。3枚のノンコート環状布Aをインフレーター取付け口に重ね合わせ、内側からφ126mm、φ188mmの位置で円形に縫製し、その上から同一形状のコート環状布A1枚を重ね合わせ、φ75mmの位置で4枚の環状補強布を本体基布(コート基布の場合はコート面側)に円形に縫い合わせた。また、それぞれの排気孔には、環状布Bを1枚重ね合わせて本体パネルに縫い付けた。環状布A、環状布Bの各補強布は、それぞれを縫い合わせる本体パネルの糸軸と45度ずれるように重ね合わせた。
インフレーター取付け口の周囲には、本体パネルの糸軸と平行となる位置に、穴間距離68mmにてφ5.5mmのボルト穴を4ヶ所に設けた。環状補強布A、Bの本体パネルへの縫い付けには、上糸を5番手糸(1400dtex相当)、下糸を8番手糸(940dtex相当)として、3.5針/cmの運針数で本縫いにより行った。また、2枚の本体パネルは、環状布補給布を縫い付けた面同士をパネルの糸軸を45度ずらして重ね合わせ、その外周部を、縫い目線間2.4mm、縫い代を20mm、として二重環縫い2列にて縫合し、内径φ630mmの円形エアバッグを作成した。外周部縫製の縫い糸は、上記本縫いと同じ縫い糸の組み合わせを用いた。
以下に、実施例および比較例で用いた不通気性材料の組成、商品名を示す。
(ポリウレタン樹脂)
(A)ポリカーボネートポリオール(融点−5℃、旭化成ケミカルズ社製、ポリカーボネートジオール、商品名PCDL−T5651、分子量1000)と(B)脂環式ポリイソシアネート(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)とを合わせて100部(使用量比、ポリオール/ポリイソシアネート=100/100)、(C)ジメチロールプロピオン酸10部、および(D)ポリカルボジイミド(日清紡績社製、商品名カルボジライトSV−02、分子量1720)6部から得られる水性ポリウレタン樹脂(固型分濃度50%、溶液粘度(25℃)18Pa・s、数平均分子量2.5万)
(ポリアミド樹脂)
自己架橋型水溶性ポリアミド樹脂(鉛市社製、ナイロンFR−550W、固型分濃度20%、溶液粘度(25℃)0.2Pa・s)
(水性シリコーン樹脂)
反応性シリコーンエマルジョン樹脂(信越化学社製、商品名Polon MF−17、固型分濃度33%)
(無溶剤型シリコーン樹脂)
2液付加反応型無溶媒シリコーン樹脂(Bluestar Silicones社製、商品名Rhodorsil TCS7534、調液後の溶液粘度45Pa・s、数平均分子量5万)
実施例1
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の470dtex/144f(糸強度9.5cN/dtex、単糸繊度3.3dtex)を用いて平織物を作成し、精練、セットを行った。次いで、前記ポリウレタン樹脂を織物の片面にコーティングしたのち、乾燥および160℃で1分間熱処理を施し、本発明の不通気性織物を得た。この時の織密度は、経および緯いずれも17.3本/cmであり、ポリウレタン樹脂の付着量は15g/mであった。得られた織物特性を評価するとともに、前記した方法によりエアバッグの展開試験を行い、展開時のエアバッグ膨張状態および展開後の外周部の状況を観察した。
表1に示すように、得られた織物は、軽量、高強力で縫い目開き量も少ない。本織物を用いて作成したエアバッグは、軽量で、その展開の挙動は円滑であり、試験後の外周縫製部の縫い目の破損や縫い目部の目立った拡張(縫い目ずれ)は見られなかった。
実施例2
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の470dtex/144f(糸強度9.3cN/detx、単糸繊度3.3dtex)を用いて平織物を作成し、精練、セットを行った。次いで、前記ポリアミド樹脂と前記水性シリコーン樹脂の混合溶液(混合比=90:10重量部、ポリアクリルアミド系増粘剤0.1重量部、溶液粘度10Pa・s)を織物の片面にコーティングしたのち、乾燥および150℃で1分熱処理を施し、本発明の不通気性織物を得た。この時の織密度は、経および緯いずれも18.1本/cmであり、樹脂の付着量は12g/mであった。
表1に示すように、得られた織物は軽量、高強力で縫い目開きも少ない。本織物を用いて作成したエアバッグは軽量で、その展開の挙動は円滑であり、展開後のエアバッグの外周に、縫い目の破損や縫い目部の目立った拡張(縫い目ずれ)は見られなかった。
実施例3
経糸、緯糸にいずれも糸強度9.8cN/dtexであるナイロン66繊維を用いた以外は、実施例1に準じて不通気性織物およびエアバッグを作成した。この時の織密度は、経および緯いずれも16.6本/cmであった。得られた織物は、軽量、高強度で縫い目開きも少なく、本織物を用いたエアバッグの展開時の挙動も円滑であり、展開後のエアバッグの外周部の破損や縫い目部の拡張(縫い目ずれ)は見られなかった。
比較例1
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の470dtex/144f(糸強度8.5cN/dtex、単糸繊度3.3dtex)を用いて平織物を作成し、精練、セットを行った。次いで、前記ポリウレタン樹脂を用いて織物の片面にコーティングしたのち、180℃で1分間熱処理を施し、不通気性織物を得た。この時の織密度は、経および緯いずれも20本/cmであり、樹脂の付着量は15g/mであった。糸強度の低い糸条を用いており、必要な基布としての引張強力を得るために、カバーファクターを高く設定した。得られた織物の引張強力は高くなったものの、やはり目付けが大きいものであった。作成したエアバッグの展開試験に問題はないものの、エアバッグ重量も大きくなり、本発明の軽量なエアバッグ得る目的を達成することはできなかった。
比較例2
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の350dtex/72f(糸強度8.5cN/dtex、単糸繊度4.9dtex)を用いて平織物を作成したことの他は、比較例1に準じてシリコーン樹脂によるコ−ティングを行い、不通気性織物を得た。この時の織密度は、経および緯いずれも23.2本/cmであった。この織物は、糸条の繊度が低く、カバーファクターを高く設定しても、軽量であった。しかし、必要な引張強力を得ることは出来ず、強力指数も低いものであった。さらに、縫い目開きも大きくなった。その結果、作成したエアバッグは、展開時に外周縫製部において2ヶ所破断した。
比較例3
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の235dtex/72f(糸強度9.6cN/dtex、単糸繊度3.3dtex)を用いて平織物を作成し、精練、セットを行い、不通気性材料を施すことなく供試織物とした。この時の織密度は、経および緯いずれも28.7本/cmであった。得られた織物は、糸条の繊度が非常に低く、カバーファクターを高く設定しても、極めて軽量であった。また、カバーファクターが高く、不通気性材料を付与していないことから、縫い目開きも小さいものであった。しかし、必要な引張強力を得ることはできず、作成したエアバッグは、展開試験時の内圧に耐えることができずに、外周縫製部から破断した。
比較例4
不通気性材料を付与しなかったことの他は、実施例2に準じて共試織物を作成した。得られた織物特性は、実施例2とほぼ同等であるが、カバーファクターが小さく、縫い目開き量が大きかった。作成したエアバッグは、本体基布からのガス抜けが多く、膨張が不十分であった。また、縫い目開きが大きく、外周縫製部の縫い糸が2箇所で溶融した。
Figure 2010106375

Claims (5)

  1. 少なくとも片面に不通気性材料を有するエアバッグ用織物であって、総繊度が350dtex以上、強度が9cN/dtex以上である繊維糸条からなり、下記式1より算出されるカバーファクター(CF)が800以下、目付けが190g/m以下、引張強力が700N/cm以上、該引張強力をカバーファクターで除して得られる強力指数が0.875以上、および、JIS L−1096(8.21.1A法)に基づく織物の縫い目開き量が3mm以下であるエアバッグ用織物。
    CF=Nw×√Dw+Nf×√Df (式1)
    (ここで、Nw,Nfは、経糸および緯糸の織密度(本/cm)、Dw,Dfは、経糸および緯糸の繊度(dtex)を示す)
  2. 前記不通気性材料が、ポリウレタン樹脂である請求項1記載のエアバッグ用織物。
  3. 前記不通気性材料が、ポリカーボネートポリオールを構成成分の1つとするポリウレタン樹脂である請求項1または2記載のエアバッグ用織物。
  4. 前記不通気性材料の付着量が、10〜30g/mである請求項1、2または3記載のエアバッグ用織物。
  5. 請求項1、2、3または4記載のエアバッグ用織物からなるエアバッグ。
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