JP2009062643A - エアバッグ用基布およびエアバッグ - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量、柔軟で被覆材と基布との密着性に優れ、かつ滑脱抵抗力が大きく、裁断線からのホツレ、縫製部の縫い目ずれの少ないエアバッグ用基布を提供する。
【解決手段】少なくとも片面表面に、融点が20℃以下のポリカーボネートポリオールおよびポリイソシアネートあわせて100重量部に対して、分子内にカルボキシル基と水酸基とを有する化合物1〜25重量部と、ポリカルボジイミド化合物1〜20重量部とからなり、乾燥後の100%モジュラスが3MPa以下である水性ポリウレタン樹脂を有しており、該樹脂の付着量が10〜20g/m2であり、該樹脂を有する面のJIS L−1096 8.17.2(B法)に準じた摩耗強さが5級、ASTM D6479に規定された基布からの糸の滑脱抵抗力が600N以上であるエアバッグ用基布である。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも片面表面に、融点が20℃以下のポリカーボネートポリオールおよびポリイソシアネートあわせて100重量部に対して、分子内にカルボキシル基と水酸基とを有する化合物1〜25重量部と、ポリカルボジイミド化合物1〜20重量部とからなり、乾燥後の100%モジュラスが3MPa以下である水性ポリウレタン樹脂を有しており、該樹脂の付着量が10〜20g/m2であり、該樹脂を有する面のJIS L−1096 8.17.2(B法)に準じた摩耗強さが5級、ASTM D6479に規定された基布からの糸の滑脱抵抗力が600N以上であるエアバッグ用基布である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、自動車衝突時の乗員保護装置として実用されているエアバッグに用いる基布に関し、更に詳しくは、軽量、柔軟で被覆材と基布との密着性に優れ、かつ基布を構成する糸の滑脱抵抗が高く、裁断線からのホツレや縫製部の縫い目ずれが少ないエアバッグ用基布並びにエアバッグに関する。
近年、自動車の乗員安全保護装置としてエアバッグの装着が急速に進み、自動車の前部衝突時の運転者保護用、助手席者保護用、側部衝突時の座席シートに内蔵された胸部および大腿部・腰部保護用、および側部窓に沿って展開するよう窓上部の天井内に装着された頭部保護用など、その装着部位も増えてきている。
これらの安全装置(以下、モジュールと記す)は、エアバッグを展開、膨張させるガス発生器(以下、インフレーターと記す)、乗員と当接して乗員の衝突エネルギーを吸収して衝撃を緩和する袋体のエアバッグ、これらを連結する金属、樹脂などの締結部材、電気信号伝達用の配線、車内に装填し易いように装置の上側部を被覆し意匠性も考慮された樹脂成型品、など多くの構成部品から成り、車内各部に搭載された各モジュールの重量総計は少なくないものとなる。そこで、モジュール構成部品を、軽く、コンパクトにする努力がなされており、エアバッグも軽くすることが求められている。
ここで、側部衝突保護用などの高い気密性を要求されるエアバッグにおいては、基布の表面に気密性を付与する為の被覆材、例えば、耐熱性に優れるシリコーン樹脂などを施したコーティング基布が用いられている。
このコーティング基布の軽量化を図るため、コーティング材料の塗布量を少なくすることが試みられている。しかし、塗布量を少なくすると、コーティング基布としての軽量化は図られるものの、当然、気密性が得られにくくなる。また、被膜物性や、基布との密着性なども不足する傾向にあり、裁断端部からのホツレや縫い目ずれなどが大きくなる。そのため、従来のシリコーン樹脂に比較して、基布と密着し易いポリウレタン樹脂をコーティングする技術が検討されている。
例えば、特許文献1には、基布表面に平均厚さ10μm以下の熱可塑性樹脂、例えば、ウレタン樹脂を施す検討が記載されている。本法によれば、軽い基布は得られるものの、高い気密性は得られず、側部保護用エアバッグには適さない。
特許文献2には、ポリカーボネート型ウレタン樹脂とポリエーテル型ウレタン樹脂との混合物を3〜10g/m2塗布し、軽量でホツレの少ないエアバッグ用基布を提供する技術が開示されている。本法によれば、被覆材の塗布量が少なく軽い基布が得られるものの、従来のコーティング基布が有する不通気性(通気度がゼロ)は確保できない。また、本文献で増粘剤として使用されているポリエーテル型ウレタン樹脂は、一般に耐久性が良くないものが多く、被覆材としての十分な耐久性が得られ難い。
特許文献3には、耐久性に優れるポリカーボネート型ポリウレタン樹脂で被覆した基布を使用したエアバッグが提案されている。しかし、通常、ポリカーボネート型のポリウレタン樹脂は硬くなる傾向にあり、柔軟でしかもホツレの少ない基布を得ることはできない。
また、特許文献4には、フッ素含有ジオールから誘導されたポリウレタンを含むエアバッグ用コーティング材が提案されている。本法により作製されたポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂特有の粘着性が少なく、長時間収納後のエアバッグでも塗布面同士が粘着せず、円滑なエアバッグの展開性能が得られる。しかし、コーティング材を塗布した基布特性については全く言及されておらず、ポリウレタン樹脂の特性についても、100%モジュラスが大きく、破断伸度も小さい、いわゆる、硬い樹脂特性になっており、これを使用しても、軽量で柔軟なエアバッグ基布を得ることは出来ない。
以上のように、前記特許文献のいずれの方法でも、軽量、柔軟でありながら、基布と被覆材との密着性に優れ、かつ目ずれやホツレの少ないエアバッグ用基布を得ることはできない。
本発明は、エアバッグ用基布として用いられている従来のコーティング布より軽く、柔軟で、かつ被覆材と基布との密着性に優れ、基布の織密度を下げて目付けを低減させた従来法による軽量基布では不足していた基布からの糸の滑脱抵抗が高く、裁断線からのホツレや縫製部の縫い目ずれが少ないエアバッグ用基布を提供するものであり、前記した先行技術では到底得ることの出来ない優れた特性を有する基布および該基布を用いたエアバッグを提供することを目的とする。
本発明は、エアバッグに用いられる基布の少なくとも片面に、特定の成分からなるポリウレタン樹脂を塗布することにより、軽量、柔軟でありながら、被覆材と基布との密着性に優れ、基布からの糸の滑脱抵抗力も大きく、ホツレや目ずれの少ないエアバッグ用基布およびエアバッグである。
すなわち、本発明は、少なくとも片面表面に、融点が20℃以下のポリカーボネートポリオールおよびポリイソシアネートあわせて100重量部に対して、分子内にカルボキシル基と水酸基とを有する化合物1〜25重量部と、ポリカルボジイミド化合物1〜20重量部とから得られ、乾燥後の100%モジュラスが3MPa以下である水性ポリウレタン樹脂を有しており、該樹脂の付着量が10〜20g/m2であり、該樹脂を有する面のJIS L−1096 8.17.2(B法)に準じた摩耗強さが5級、ASTM D6479に規定された基布からの糸の滑脱抵抗力が600N以上であるエアバッグ用基布に関する。
前記水性ポリウレタン樹脂が、さらにポリエステルポリオールを重合成分として含むことが好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールの融点が、0℃以下であることが好ましい。
前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環式ポリイソシアネートであることが好ましい。
また、本発明は、前記エアバッグ用基布からなるエアバッグに関する。
本発明によれば、軽量、柔軟でありながら、被覆材と基布との密着性に優れ、基布からの糸の滑脱抵抗が大きく、裁断線からのホツレや縫製部の縫い目ずれの少ないエアバッグ用基布および該基布を用いたエアバッグを提供することができる。
本発明のエアバッグ用基布は、少なくとも片面表面に、以下の(A)〜(D)を重合成分とし、(E)の物性値を満たす水性ポリウレタン樹脂を有している。
(A)融点が20℃以下のポリカーボネートポリオールと、(B)ポリイソシアネートとをあわせて100重量部、
(C)分子内にカルボキシル基と水酸基とを有する化合物1〜25重量部、および、
(D)ポリカルボジイミド化合物1〜20重量部から得られ、
(E)乾燥後の100%モジュラスが3MPa以下
(A)融点が20℃以下のポリカーボネートポリオールと、(B)ポリイソシアネートとをあわせて100重量部、
(C)分子内にカルボキシル基と水酸基とを有する化合物1〜25重量部、および、
(D)ポリカルボジイミド化合物1〜20重量部から得られ、
(E)乾燥後の100%モジュラスが3MPa以下
そして、前記樹脂組成物の全付着量は、10〜20g/m2である。
さらに、前記エアバッグ用基布は、前記樹脂組成物を有する面のJIS L−1096 8.17.2(B法)に準じた摩耗強さが5級、ASTM D6479に規定された基布からの糸の滑脱抵抗力が600N以上である。
本発明に用いるポリオール成分は、(A)融点が20℃以下のポリカーボネートポリオールであり、さらに(A´)ポリエステルポリオールが含まれていることが好ましい。
一般に、ポリカーボネートポリオールを用いたポリウレタン樹脂によると、得られる被膜は、耐熱性に優れるものの、モジュラスが高く、硬いものになる傾向がある。そこで、本発明では、耐熱性を保持しつつ、モジュラスの低い、柔らかな樹脂被膜を得るために、(A)融点が20℃以下のポリカーボネートポリオール(以下、(A)低融点ポリカーボネートポリオールと称す)を使用することを特徴の1つとしている。
前記以外のポリオ−ル類、例えば、ポリエーテルポリオールおよびアクリルポリオールなどから得られるポリウレタン樹脂は、柔軟性に富むものもあるが、耐熱性などの物理特性が低い。したがって、ポリオール成分として、(A)低融点ポリカーボネートポリオールおよび(A´)ポリエステルポリオール以外のポリオール類を含んでいても良いが、その含有量は、全ポリオール成分中の20重量%以下であることが、物理特性を向上させる点で好ましい。
(A)低融点ポリカーボネートポリオールの融点は、20℃以下である。この融点は、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。融点が20℃をこえると、得られる被膜のモジュラスが高くなり、柔軟性に劣る。
また、ポリオール成分として、(A)低融点ポリカーボネートポリオールに(A´)ポリエステルポリオールを組み合わせることが、基布との密着性が向上し、得られる被膜の柔軟性もさらに向上させることができる点で好ましい。
これら2種のポリオールの使用割合は、得られる被膜特性、例えば、柔軟性、基布への密着性などの特性から適宜選定すれば良い。なかでも、(A)低融点ポリカーボネートポリオール/(A´)ポリエステルポリオール=50/50〜100/0(固形分重量比)であることが好ましい。(A´)ポリエステルポリオールがこれをこえて使用されると、耐久性が悪くなる傾向にある。
(A)低融点ポリカーボネートポリオールは、一般的に、1)ポリオールとクロルカルボン酸との反応、2)ポリオールとホスゲンとの反応、3)ポリオールと環状カーボネートとの反応、4)ジカーボネート化合物の縮合反応、などにより得られる化合物の中から、低融点のものを選べば良い。
(A)低融点ポリカーボネートポリオールの合成のために用いられるポリオール化合物としては、例えば、HO−R−OHで示されるジオール類、すなわち、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、または芳香族ジオールなどがあげられる。なかでも、炭素数が少なく、得られる樹脂被膜が柔らかいという点で、アルキレンジオール(炭素数=2〜6)、アルキレングリコール(炭素数=2〜6)、キシリレングリコールなどの1種または2種以上の混合物、あるいは2種以上の共重合物などが好ましい。また、必要に応じて、カプロラクトンなどとの共重合物であるポリカーボネート/ポリエステルのポリオールを用いても良い。
(A)低融点ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、要求される樹脂被膜特性に応じて選定すれば良い。なかでも、分子量500〜3000が好ましく、800〜2000がより好ましい。数平均分子量が500より小さいと、得られる樹脂被膜の伸びが低い傾向にあり、3000をこえると、樹脂被膜が硬い傾向にある。
(A)低融点ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ETERNACOLL UHC50(宇部興産社製品)、PCDL T5652,T5651,T4672,T4671(以上、旭化成ケミカルズ社製品)、プラクセルCD205(ダイセル社製品)、Oxymer N112(Perstorp社製品)などの市販品を使用することもできるが、これらに限定されるものではない。
(A)低融点ポリカーボネートポリオールと任意に組み合わせて用いられる(A´)ポリエステルポリオールとしては、一般に、1)アジピン酸に代表される脂肪族2塩基酸類とオキシアルキレングリコールに代表される脂肪族多価アルコール類などとの縮合反応、2)ε−カプロラクタムの開環反応などにより生成されるポリオールがあげられる。
必要に応じて、フタール酸、テレフタール酸などの芳香族カルボン酸類と多価アルコール類との反応により得られる芳香族系ポリエステルポリオールを用いてもよい。
さらに基布との密着性を向上させるために、前記ポリオールと、ホットメルト接着成分、例えば、ドデカン二酸やセバシン酸などの長鎖二塩基酸とジオール類との反応により得られるポリオールとを併用してもよい。
本発明に用いる(A´)ポリエステルポリオールの数平均分子量は、要求される樹脂被膜特性に応じて選定すればよい。なかでも、分子量200〜4000が好ましく、300〜3000がより好ましい。数平均分子量が200より小さいと、得られる樹脂被膜と繊維との密着性が低くなる傾向にあり、4000をこえると、樹脂被膜が硬くなる傾向にある。
本発明に用いられる(B)ポリイソシアネートは、通常、ポリウレタン樹脂に用いられているものの中から選定すればよい。なかでも、適度なモジュラスを有し、柔軟性がより高く、物理特性にも優れるポリウレタン樹脂を得ることができる点で、芳香族系を除く、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましい。
好ましい(B)ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、リジンイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネートなどの脂環式イソシアネートなどがあげられる。なかでも、得られる樹脂被膜の柔軟性の点で、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが、樹脂被膜の耐久性の点で、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。また、前記ジイソシアネート化合物と、低分子量のポリオール類やポリアミン類を末端基がイソシアネートとなるように作製したポリウレタンプレポリマー類などとを用いてもよい。
ここで、(B)ポリイソシアネートとして、例えば、トリレンジイソシアネート、4、4′―ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどに代表される芳香族ポリイソシアネートのみを用いた場合は、得られる樹脂のモジュラスが高くなり、硬い被膜となる場合が多い。したがって、樹脂特性に大きな影響を与えない範囲、たとえば過半とならない範囲で、これら芳香族ポリイソシアネートを配合することが好ましい。
(A)低融点ポリカーボネートポリオールを含むポリオール全成分と、(B)ポリイソシアネート成分との配合比は、得られる樹脂被膜の特性に応じて選定すればよく、とくに限定されない。なかでも、重量比で、ポリオール全成分/ポリイソシアネート成分=1.5/1〜1/1.5であることが好ましい。この範囲外であると、反応効率が低下する傾向にある。
本発明に用いる水性ポリウレタン樹脂は、第3の重合成分として、(C)分子内にカルボキシル基と水酸基とを有する化合物(以下、(C)第3成分と称する)を含む。
この(C)第3成分は、得られる水性ポリウレタン樹脂の物性を向上する上で必須のものであり、後述する(D)ポリカルボジイミド化合物との優先的な反応により、得られる水性ポリウレタン樹脂の分子構造を網目状にして、樹脂被膜に強固な摩耗性を付与するものである。
(C)第3成分の分子内に存在するカルボキシル基は、得られる水性ポリウレタン樹脂にアニオン性を持たせる上で重要である。水性ポリウレタン樹脂がアニオン性を示すことで、基布への化学的な濡れ性が高まり、密着性が向上する。
前記カルボキシル基の数は1個でも2個以上でもよく、とくに限定されない。なかでも、反応性が高くなる点で、2個以上であることが好ましい。
また、(C)第3成分の分子内に存在する水酸基は、反応性の点で重要である。
前記水酸基の数は1個でも2個以上でもよく、とくに限定されない。なかでも、反応性が高くなる点で、2個以上であることが好ましい。
(C)第3成分としては、たとえば、ジオキシ安息香酸、ジオキシマレイン酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸などのカルボン酸含有物およびこれらの誘導体、またはこれらを共重合させて得られるポリエステルポリオールなどの1種または2種以上をあげることができる。なかでも、得られる樹脂被膜の柔軟性の点で、ジメチロールプロピオン酸が好ましい。
また、その配合量は、樹脂被膜の特性に応じて設定すればよく、また、反応が優先的に行われると想定される(D)ポリカルボジイミド化合物の配合量に対応して設定してもよく、たとえば、ポリカルボジイミド化合物と同量配合することができる。
(A)低融点ポリカーボネートポリオールを含むポリオール全成分および(B)ポリイソシアネート成分の配合量100重量部に対する(C)第3成分の配合量は、1〜25重量部であり、2〜20重量部であることが好ましい。(C)第3成分が、1重量部より少ないと、得られる樹脂の基布への化学的な濡れ性が低くなり、密着性が低くなり、25重量部をこえると、得られる樹脂被膜が硬くなる。
さらに、重合成分として、(D)ポリカルボジイミド化合物を使用することも、本発明の特徴の1つである。(D)ポリカルボジイミド化合物は、架橋剤として作用するものであり、活性水素、特にカルボキシル基との反応性が高く、樹脂被膜の物理特性の向上、および、基布との密着性の向上に寄与する。
(D)ポリカルボジイミド化合物は、カルボキシル基やアミノ基などの活性水素と高い反応性を有する物質として、ポリウレタン樹脂をはじめ、ポリエステル樹脂などに使用されている。架橋剤としてポリカルボジイミド化合物以外、例えば、イソシアネート化合物またはエポキシ化合物などを用いると、架橋後の樹脂物性が硬くなり、耐加水分解性も低いものとなる。
(D)ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミド化触媒を使用して、ジイソシアネートとの脱炭酸縮合反応により作製された、分子中にカルボジイミド基(−N=C=N−)を有するポリマーである。なお、モノカルボジイミド化合物は、反応基が少ないことから反応効率が低く、また、水分と反応し易いため安定性に欠け、本発明で用いるには適していない。
その数平均分子量は、1000〜5000程度であることが好ましい。
具体的には、商品名として、カルボジライト(日清紡社製品)、Emafix(大日精化工業社製品)、Stabaxol(平泉洋行社製品)、AQD−2050B(サンユーペイント社製品)、などとして販売されているものなどのなかから、1種または2種以上を選定することができる。
その配合量は、(A)低融点ポリカーボネートポリオールを含むポリオール全成分および(B)ポリイソシアネート成分の配合量100重量部に対して、1〜20重量部である。配合量が1重量部より少ないと、樹脂被膜の物理特性が不足し、基布との密着性や耐摩耗性が確保でき難くなる。また、20重量部をこえると、モジュラスが高くなり柔軟性を損ない易い。ポリカルボジイミド化合物をこの範囲で用いることにより、物理特性および柔軟性の双方のバランスが良い樹脂被膜を得ることが出来る。配合量は、2〜10重量部であることが好ましい。
前記(A)〜(D)4成分の反応により生成する水性ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、得られる樹脂特性、水性化の容易性、溶液の安定性などに応じて決定することができる。なかでも、5千〜50万であることが好ましく、1万〜40万であることがより好ましい。分子量が5千より小さいと、得られる樹脂被膜が脆くなる傾向にあり、50万をこえると、樹脂被膜が硬くなる傾向にある。
前記ポリウレタン樹脂は、水性であり、何らかの有機溶剤に溶解されたものは作業環境の面から好ましくない。水性ポリウレタン樹脂は、強制乳化型および自己乳化型のいずれでも良く、水溶液、水乳化液、水分散液または水懸濁液などの形態で存在する。なかでも、水溶性または自己乳化性のものが、乳化剤を使用する必要がないという点で好ましい。このような樹脂は、構成分子中に、水酸基、エチレンオキサイド基またはエチレングリコールなどの親水性基を導入することにより得ることができる。
前記水性ポリウレタン樹脂の粘度は、その固形分や、塗布法に応じて、最適な範囲を選定することができる。なかでも、25℃において、0.1〜200Pa・sであることが好ましい。25℃における粘度が0.1Pa・sより小さいと、樹脂の基布への浸透が大きく、得られる基布が硬くなる傾向にあり、200Pa・sをこえると、取扱性が悪くなる傾向にある。
また、その固形分は、前記水性ポリウレタン樹脂溶液を安定に作製、保存できる範囲であればよく、20〜60%であることが好ましい。
前記水性ポリウレタン樹脂溶液が、水分散液または水乳化液の場合、その樹脂固形分の粒子径は、溶液の安定性や分散化剤や乳化剤の使用量に応じて選定することができる。なかでも、溶液の均一性、乾燥後の樹脂被膜特性の均一性などが向上する点で、平均粒子径500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
前記水性ポリウレタン樹脂は、その乾燥後の100%モジュラスが3MPa以下である。2.5MPa以下であることが好ましい。乾燥後の100%モジュラスが3MPa以下であると、基布に塗布された状態でも柔軟な特性を発現するが、3MPaをこえると、柔軟な特性が発現し難い。ここで、乾燥後とは、シート状またはフィルム状にした樹脂被膜を110℃で3時間、熱乾燥させた後の状態をいう。
本発明のエアバッグ用基布は、前記水性ポリウレタン樹脂を、10〜20g/m2有している。基布の両面に有する場合には、合計付着量が10〜20g/m2となるようにする。付着量がこの範囲であると、基布重量、柔軟性、不通気性、塗布面の摩耗強さ、および、滑脱抵抗力など、エアバッグ用基布として求められる全ての特性を満足させることが出来る。付着量が10g/m2より少ないと、基布重量は軽くなるものの、不通気性、塗布面の摩耗強さ、および、滑脱抵抗力などが不足し、付着量が20g/m2をこえると、基布が重くなり、柔軟性が不足する。付着量は10〜15g/m2であることが好ましい。
また、前記水性ポリウレタン樹脂単独で用いる場合より好ましい特性が得られる場合は、該樹脂と相溶性のある樹脂、例えば、水性シリコーン系樹脂、水性フッ素系樹脂、水性ポリアミド系樹脂、水性ポリエステル系樹脂、水性エポキシ系樹脂、水性ビニル系樹脂などの水性樹脂、またはこれらの変性樹脂などの1種または2種以上を、該水性ポリウレタン樹脂の20重量%以下で混合して、用いることができる。これらの水性ポリウレタン樹脂以外の樹脂類は、とくに限定されず、通常、エアバッグ用基布に使用されている材料であれば良く、耐熱性、摩耗性、基布との密着性、難燃性、不粘着性などを満足するものであれば良い。
前記水性ポリウレタン樹脂は、後述する各種方法により基布表面に塗布される。塗布された樹脂成分は、基布の表面に加えて、基布を構成する糸束の間隙部、および、繊維単糸の間隙部などいずれに介在させてもよい。
前記水性ポリウレタン樹脂の塗布方法は、1)コーティング法(ナイフ、キス、リバース、コンマ、スロットダイ、リップなど)、2)浸漬法、3)印捺法(スクリーン、ロール、ロータリー、グラビアなど)、4)転写法(トランスファー)、5)ラミネート法などの加工法によればよい。なかでも、塗布量を均一に制御することが容易である点で、ナイフコーティングが好ましい。
また、前記水性ポリウレタン樹脂には、主たる材料の他、加工性、接着性、表面特性あるいは耐久性などを改良するために通常使用される各種の添加剤を混合してもよい。例えば、増粘剤、接着付与剤、反応促進剤、反応遅延剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、粘着防止剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などがあげられる。
基布と水性ポリウレタン樹脂との密着性を向上させるために、予め基布表面にプライマー処理などの前処理を施してもよい。さらに、水性ポリウレタン樹脂の物理特性を向上させたり、耐熱性、老化防止性および耐酸化性などを付与したりするために、基布に塗布した後、熱風処理、加圧熱処理または高エネルギー処理(高周波、電子線、紫外線など)などにより、乾燥、架橋または加硫を行ってもよい。
また、本発明のエアバッグ用基布は、JIS L−1096 8.17.2(B法)で規定されているスコット法摩耗試験において、該方法に準じ、2枚の試験片を重ね合わせて摩耗した後の摩耗強さが、5級である。この摩耗強さが5級に満たないと、エアバッグが展開する際の急激な摩擦により、塗布面から樹脂被膜が剥離し、不通気性の保持ができない。
さらに、耐久試験(100℃で500時間の暴露)を経た場合であっても、前記摩耗強さが5級を満たすことが好ましい。すなわち、耐久試験の前後で、摩耗強さに変化がないことが好ましい。耐久後の摩耗強さが保持できないと、長期保存後にエアバッグが展開する場合に、塗布面が損傷を受け、エアバッグの気密性を確保できない場合がある。
また、本発明のエアバッグ用基布は、ASTM D6479に規定された基布からの糸の滑脱抵抗力が600N以上である。滑脱抵抗力が600Nより小さいと、裁断線からの糸ほつれ、縫い目部の目開きが大きくなって、エアバッグからのガス抜けが過度になり、縫製部が破損してしまう。700N以上であることが好ましく、800N以上であることがさらに好ましい。
本発明のエアバッグ用基布に用いられる糸条の太さは、とくに限定されない。通常、エアバッグ用基布として用いられている太さ、例えば、200〜1000dtexの中から選定すれば良い。また、例えば、経糸と緯糸とでなど、構成する糸条の太さを部分的に変えたり混用したりしてもよい。糸条の太さが200dtexより小さいと、エアバッグに求められる強度が得られにくい傾向にあり、1000dtexをこえると、重量が大きくなりすぎると同時に、基布の厚みが増大し、エアバッグの収納性が悪くなる傾向にある。
前記糸条を構成する単糸の太さも、とくに限定されない。なかでも、0.5〜6dtexであることが好ましい。この場合も、部分的に単糸太さの異なる糸条を用いても良い。単糸太さが0.5dtexより小さいと、毛羽立ちなど、製造品質の低下が大きくなる傾向にあり、6dtexをこえると、基布が硬くなる傾向にある。
また、糸条の強度も、とくに限定されない。なかでも、7cN/dtex以上であることが好ましく、8cN/dtex以上であることがより好ましい。強度が7cN/dtexより小さいと、エアバッグに求められる強度が得られにくくなる傾向にある。
さらに、単糸の断面形状も、とくに限定されない。たとえば、円形、楕円、扁平、多角形、中空、その他の異型など、織物の製造や得られた織物の物性に支障のない範囲で適宜選定すればよい。また、太さや断面形状などが異なる複数の糸を、合糸、撚り合わせなどにより一体化したものを用いても良い。
本発明のエアバッグ用基布は、通常、エアバッグ用基布として用いられている織物以外に、編物、不織布などホツレや縫い目ずれを発生し易い布帛も対象としている。必要に応じて、メッシュ状、ネット状のシート材料にフィルムや不織布を重ね合わせた積層体でも良い。以下、代表例として織物の場合について説明する。
本発明のエアバッグ用基布に用いられる織物は、織構造の緻密さを示す指数であるカバーファクターが、700以上であることが好ましく、750以上であることがより好ましい。カバーファクターは、経糸および緯糸それぞれの繊度毎に算出し、合計することで、基布全体のカバーファクターが求められる。ここでいうカバーファクター(CF)とは織物の経糸および緯糸のそれぞれの織密度N(本/cm)と太さD(dtex)との積で求められ、下式にて表される。
CF=Nw×√Dw+Nf×√Df
ここで、Nw,Nfは、経糸および緯糸の織密度(本/cm)
Dw,Dfは、経糸および緯糸の太さ(dtex)
CF=Nw×√Dw+Nf×√Df
ここで、Nw,Nfは、経糸および緯糸の織密度(本/cm)
Dw,Dfは、経糸および緯糸の太さ(dtex)
前記織物は、平織、斜子織(バスケット織)、格子織(リップストップ織)、綾織、畝織、絡み織、模紗織、あるいはこれらの複合組織、または部分的に2種以上の異種組織を用いるなど、いずれの組織からなるものであってもよい。なかでも、織物構造の緻密さ、物理特性や性能の均等性が確保できるという点で、平織が好ましい。必要に応じて、経糸、緯糸の二軸以外に、斜め60度などを含む多軸設計としても良く、その場合の糸の配列は、経糸または緯糸と同じ配列に準じれば良い。
前記織物の製造は、通常の工業用織物を製織するのに用いられる各種織機により製造することができる。織機としては、例えば、シャトル織機、ウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機、プロジェクタイル織機などがあげられる。
本発明のエアバッグ用基布を構成する繊維糸条は、天然繊維、化学繊維、無機繊維など、とくに限定されない。なかでも、汎用性、基布の製造工程、基布物性などの点で、合成繊維フィラメントが好ましい。合成繊維としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612などの単独またはこれらの共重合、混合により得られる脂肪族ポリアミド繊維、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9Tに代表される脂肪族アミンと芳香族カルボン酸の共重合ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの単独またはこれらの共重合、混合によって得られるポリエステル繊維、超高分子量ポリオレフィン系繊維、ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの含塩素系繊維、ポリテトラフルオロエチレンを含む含フッ素系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリサルフォン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン系繊維(PEEK)、全芳香族ポリアミド系繊維、全芳香族ポリエステル系繊維、ポリイミド系繊維、ポリエーテルイミド系繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール系繊維(PBO)、ビニロン系繊維、アクリル系繊維、セルロース系繊維、炭化珪素系繊維、アルミナ系繊維、ガラス系繊維、カーボン系繊維、スチール系繊維、などから適宜、一種または2種以上を選定すればよい。なかでも、物理特性、耐久性、耐熱性などの点で、ナイロン66繊維が好ましい。また、リサイクルの観点から、ポリエステル系繊維およびナイロン6繊維が好ましい。
これらの繊維糸条には、紡糸性や、加工性および耐久性などを改善するために通常使用されている各種の添加剤、例えば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの一種または2種以上を使用してもよい。また、必要に応じて、加撚、嵩高加工、捲縮加工、捲回加工、糊付け加工などの加工を施してもよい。さらに、糸条の形態は、長繊維フィラメント以外に、短繊維の紡績糸、これらの複合糸または混用糸として用いても良いし、異種の糸条を引き揃える形で用いても良い。
また、本発明のエアバッグの仕様、形状および容量は、それが配置される部位、用途、収納スペース、乗員衝撃の吸収性能およびインフレーターの出力などに応じて選定することができる。
前記エアバッグには、エアバッグに乗員が当接した際のエネルギー吸収のため、一個または複数の排気穴、例えば、直径10mm〜80mmの円形またはそれに相当する面積の穴、またはこれらの排気性能に相当するスリット、膜、弁などを設けてもよい。また、排気部の周囲には、補強布を接合、積層しても良い。さらに、乗員側へのエアバッグの突出を抑制したり、膨張時の厚みを制御するために、エアバッグ内側に吊り紐またはガス流調整布、エアバッグ外側にフラップと呼ぶ帯状布または抑え布などを設けても良い。
また、使用するインフレーターの特性によっては、インフレーター噴出口周囲に熱ガスから保護するための耐熱保護布や力学的な補強布を設けても良い。これらの保護布や補強布は、布自体が耐熱性の材料、例えば、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、PBO繊維、ポリイミド繊維、含フッ素系繊維などの耐熱性繊維材料を用いても良いし、エアバッグ本体と同じか本体用基布より太い糸を用いて別途作製した織物を用いても良いし、該織物に耐熱性被覆材を施したものを用いても良い。
前記エアバッグの本体を構成する裁断基布の枚数は、1枚または複数枚であってもよく、それが配置される部位や用途に応じて選定することができる。
前記エアバッグの各接合部、例えば、外周部、補強布や吊り紐の固定などは、縫製、接着、溶着、製織、製編あるいはこれらの併用など、いずれの方法によってもよく、エアバッグとしての堅牢性、展開時の耐衝撃性、乗員の衝撃吸収性能などを満足するものであればよい。
例えば、接合部を縫合により接合する場合、本縫い、二重環縫い、片伏せ縫い、かがり縫い、安全縫い、千鳥縫い、扁平縫いなどの通常のエアバッグに適用されている縫い目により行えばよい。
また、縫い糸の太さは700dtex(20番手相当)〜2800dtex(0番手相当)、運針数は2〜10針/cmとすればよい。複数列の縫い目線が必要な場合は、縫い目線間の距離を2mm〜8mm程度とした多針型ミシンを用いればよいが、縫製部距離が長くない場合には、1本針ミシンで複数回縫合してもよい。エアバッグ本体として複数枚の裁断基布を用いる場合には、複数枚を重ねて縫合しても良いし、一枚ずつ縫合しても良い。
前記縫い糸は、一般に化合繊縫い糸と呼ばれるものや、工業用縫い糸として使用されているものの中から適宜選定すればよい。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリエステル、高分子ポリオレフィン、含フッ素、ビニロン、アラミド、カーボン、ガラス、スチールなどがあり、紡績糸、フィラメント合撚糸、フィラメント樹脂加工糸のいずれでもよい。
必要に応じて、外周縫合部などからの縫い目からのガス抜けを防ぐため、シール材、接着剤、粘着材などを、縫い目の上部および/または下部、縫い目の間、縫い代部などに塗布、散布、貼付または積層してもよい。
エアバッグを収納する際の折畳み法も、運転席用バッグのように中心から左右、上下対称の屏風折り、あるいは中心に向かって多方位から押し縮める折り、助手席バッグのようなロール折り、蛇腹折り、屏風状のつづら折り、あるいはこれらの併用や、シート内蔵型サイドバッグのようなアリゲーター折りなどにより折畳めばよい。
本発明は、軽くて柔軟で、基布とそれを被覆する樹脂との密着性に優れ、しかも裁断線からのホツレや縫製部の縫い目ズレの少ない基布ならびに該基布を用いたエアバッグを提供するものである。本発明のエアバッグは、各種の乗員保護用バッグ、例えば、運転席および助手席の前面衝突保護用、側面衝突保護用のサイドバッグ、後部座席保護用、追突保護用のヘッドレストバッグ、脚部・足部保護用のニーバッグおよびフットバッグ、乳幼児保護用(チャイルドシート)のミニバッグ、エアーベルト用袋体、歩行者保護用などの乗用車、商業車、バス、二輪車などの各用途の他、機能的に満足するものであれば、船舶、列車・電車、飛行機、遊園地設備など多用途に適用することができる。
実施例
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。実施例の中で行ったエアバッグ用基布およびエアバッグ特性の性能評価の方法を以下に示す。
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。実施例の中で行ったエアバッグ用基布およびエアバッグ特性の性能評価の方法を以下に示す。
(1)水性ポリウレタン樹脂からなる被膜の100%モジュラス
水性ポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に作製した枠内に流し込み、110℃で3時間乾燥させて樹脂被膜を作製し、JIS K−7311に規定された方法により100%モジュラスを求めた。
水性ポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に作製した枠内に流し込み、110℃で3時間乾燥させて樹脂被膜を作製し、JIS K−7311に規定された方法により100%モジュラスを求めた。
(2)樹脂被膜の破断伸度
上記(1)に準じて作製した水性ポリウレタン樹脂被膜について、JIS K−7311に規定された方法により破断伸度を求めた。
上記(1)に準じて作製した水性ポリウレタン樹脂被膜について、JIS K−7311に規定された方法により破断伸度を求めた。
(3)基布の目付けおよび塗布量
JIS L−1096の8.4.2に規定された方法により、樹脂組成物の塗布前後の基布の単位面積当たりの質量を求めた。塗布量は、塗布前後の基布重量の差から求めた。
JIS L−1096の8.4.2に規定された方法により、樹脂組成物の塗布前後の基布の単位面積当たりの質量を求めた。塗布量は、塗布前後の基布重量の差から求めた。
(4)基布の通気度
JIS L−1096の8.27.1A法(フラジール法)に準じて通気特性を評価し、N=3の平均値を通気度とした。
JIS L−1096の8.27.1A法(フラジール法)に準じて通気特性を評価し、N=3の平均値を通気度とした。
(5)基布塗布面の摩耗強さ
JIS L−1096の8.17.2B法(スコット法)に準じて基布塗布面の摩耗強さを評価した。評価条件は規定された方法に準じたが、2枚の試験片を合わせた1対を試験機に固定して試験した。試験は、摩耗回数を500回として試験後の塗布面(摩耗面)の状態を観察した。摩耗面の状態を5段階に分け、塗布膜が完全に剥がれているもの1級、一部の塗布膜が剥がれているもの3級、全く変化がないもの5級、として判定した。尚、試験は、初期品に加え、100℃×500時間で熱処理した耐久品についても実施した。
JIS L−1096の8.17.2B法(スコット法)に準じて基布塗布面の摩耗強さを評価した。評価条件は規定された方法に準じたが、2枚の試験片を合わせた1対を試験機に固定して試験した。試験は、摩耗回数を500回として試験後の塗布面(摩耗面)の状態を観察した。摩耗面の状態を5段階に分け、塗布膜が完全に剥がれているもの1級、一部の塗布膜が剥がれているもの3級、全く変化がないもの5級、として判定した。尚、試験は、初期品に加え、100℃×500時間で熱処理した耐久品についても実施した。
(6)滑脱抵抗力
ASTM D6479に規定された方法により、織物からの糸の滑脱抵抗性について、経方向、緯方向それぞれN=3測定し、これらの総平均値を滑脱抵抗力(N)として算出した。
ASTM D6479に規定された方法により、織物からの糸の滑脱抵抗性について、経方向、緯方向それぞれN=3測定し、これらの総平均値を滑脱抵抗力(N)として算出した。
(7)基布の折畳み厚さ
20cm四方の基布を縦、横にそれぞれ1回ずつ内側に折って、基布が4枚折り重なった状態に折り畳み、その上に、厚さ10mm、10cm四方のガラス板を載せた。更に、500gの錘を積載し、1分後の基布厚さを測定し、実施例1を100としたときの相対値で表した。
20cm四方の基布を縦、横にそれぞれ1回ずつ内側に折って、基布が4枚折り重なった状態に折り畳み、その上に、厚さ10mm、10cm四方のガラス板を載せた。更に、500gの錘を積載し、1分後の基布厚さを測定し、実施例1を100としたときの相対値で表した。
(8)エアバッグの展開試験
エアバッグの展開試験は、ダイセル社製インフレーター(型式ZA、2ステージ型、出力160kpa/220kpa)、固定金具、樹脂製ケースを用いてモジュールを組み立て実施した。モジュールを100度で約5時間予熱した後、展開試験を行い、展開時のエアバッグ膨張状態ならびに展開後のエアバッグ外周縫製部の状態を観察した。
エアバッグの展開試験は、ダイセル社製インフレーター(型式ZA、2ステージ型、出力160kpa/220kpa)、固定金具、樹脂製ケースを用いてモジュールを組み立て実施した。モジュールを100度で約5時間予熱した後、展開試験を行い、展開時のエアバッグ膨張状態ならびに展開後のエアバッグ外周縫製部の状態を観察した。
以下に、評価に使用した運転席用エアバッグの作製法を示す。
エアバッグ用基布として準備した織物から、外径がφ690mmである円形の本体パネルを2枚裁断し、一方の本体パネル中央部にφ67mmのインフレーター取付け口、該取付け口の中心から斜め上45度の線上120mmの位置に、排気孔φ30mmを2箇所(左右一対)開口した。
また、補強布として、ナイロン66繊維の470dtexを用いて、別途作製した織密度21本/cmであるノンコート基布と、織密度18本/cmの基布にシリコーン樹脂を35g/m2を塗布して得られたコート基布とを準備した。インフレーター取付け口の補強布として、外径210mm、内径67mmの環状布Aをノンコート基布から3枚、コート基布から1枚裁断した。さらに、排気孔補強布として、前記コート基布から外径90mm、内径30mmの環状布Bを2枚裁断した。
前記3枚のノンコート環状布Aを、インフレーター取付け口に重ね合わせ、内側からφ126mm、φ188mmの位置で円形に縫製した。その上から、同一形状のコート環状布A1枚を重ね合わせ、φ75mmの位置で4枚の環状補強布を本体パネルに円形に縫い合わせた。また、それぞれの排気孔には、環状布B1枚を本体パネルに縫い付けた。なお、環状布Aおよび環状布Bの各補強布は、それぞれを縫い合わせる本体パネルの糸軸と45度ずれるようにして、重ね合わせた。
インフレーター取付け口の周囲には、本体パネルの糸軸と平行となる位置に、穴間距離68mmにてφ5.5mmのボルト穴を4ヶ所に設けた。また、環状補強布A、Bの本体パネルへの縫い付けには、ナイロン66からなる上糸を5番手糸(1400dtex相当)、下糸を8番手糸(940dtex相当)として、3.5針/cmの運針数で本縫いにより行った。
最後に、このようにして得られた2枚の本体パネルの環状布補給布を縫い付けた面同士を、パネルの糸軸を45度ずれるようにして重ね合わせ、その外周部を、縫い目線間2.4mm、縫い代20mmの二重環縫い2列にて縫合して、内径φ650mmの円形エアバッグを作製した。なお、外周部縫製の縫い糸は、前記本縫いと同じ縫い糸の組み合わせを用いた。作製されたエアバッグをインフレーター取付け口から反転して、展開試験に供試した。
以下に、実施例および比較例で用いたポリウレタン樹脂の組成を示す。
(樹脂1)
(A)ポリカーボネートポリオール(融点−5℃、旭化成ケミカルズ社製、ポリカーボネートジオール、商品名PCDL−T5651、分子量1000)と(B)脂肪族ポリイソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)とをあわせて100部(ポリカーボネートポリオール/ポリイソシアネート=100/110)、(C)ジメチロールプロピオン酸8部、および、(D)ポリカルボジイミド化合物(日清紡社製、商品名カルボジライトSV−02、分子量1720)5部から得られる水性ポリウレタン樹脂(固形分濃度35%、溶液粘度20Pa・s、分子量18000、水溶液)。
(A)ポリカーボネートポリオール(融点−5℃、旭化成ケミカルズ社製、ポリカーボネートジオール、商品名PCDL−T5651、分子量1000)と(B)脂肪族ポリイソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)とをあわせて100部(ポリカーボネートポリオール/ポリイソシアネート=100/110)、(C)ジメチロールプロピオン酸8部、および、(D)ポリカルボジイミド化合物(日清紡社製、商品名カルボジライトSV−02、分子量1720)5部から得られる水性ポリウレタン樹脂(固形分濃度35%、溶液粘度20Pa・s、分子量18000、水溶液)。
(樹脂2)
(A)ポリカーボネートポリオール(融点−5℃、旭化成ケミカルズ社製、ポリカーボネートジオール、商品名PCDL−T5651、分子量1000)、(A´)ポリエステルポリオール(ポリ−3−メチルペンタンアジペートジオール、分子量3000、ポリカーボネートポリオール/ポリエステルポリオール=60/40)と(B)脂環式ポリイシシアネート(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)とをあわせて100部(使用量比、ポリオール/ポリイソシアネート=100/100)、(C)ジメチロールブタン酸10部、および、(D)ポリカルボジイミド化合物(日清紡社製、商品名カルボジライトSV−02、分子量1720)8部から得られる水性ポリウレタン樹脂(固形分濃度40%、溶液粘度18Pa・s、分子量25000、水溶液)。
(A)ポリカーボネートポリオール(融点−5℃、旭化成ケミカルズ社製、ポリカーボネートジオール、商品名PCDL−T5651、分子量1000)、(A´)ポリエステルポリオール(ポリ−3−メチルペンタンアジペートジオール、分子量3000、ポリカーボネートポリオール/ポリエステルポリオール=60/40)と(B)脂環式ポリイシシアネート(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)とをあわせて100部(使用量比、ポリオール/ポリイソシアネート=100/100)、(C)ジメチロールブタン酸10部、および、(D)ポリカルボジイミド化合物(日清紡社製、商品名カルボジライトSV−02、分子量1720)8部から得られる水性ポリウレタン樹脂(固形分濃度40%、溶液粘度18Pa・s、分子量25000、水溶液)。
(樹脂3)
パスコールJK−831N(明成化学社製、融点が45℃であるポリカーボネートポリオールおよび(B)脂肪族ポリイソシアネートからなる)100部、(D)ポリカルボジイミド化合物(日清紡社製、商品名カルボジライトSV−02、分子量1720)5部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース5部から得られる水性ポリウレタン樹脂(固形分濃度30%、溶液粘度15Pa・s、分子量12000、水溶液)。
パスコールJK−831N(明成化学社製、融点が45℃であるポリカーボネートポリオールおよび(B)脂肪族ポリイソシアネートからなる)100部、(D)ポリカルボジイミド化合物(日清紡社製、商品名カルボジライトSV−02、分子量1720)5部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース5部から得られる水性ポリウレタン樹脂(固形分濃度30%、溶液粘度15Pa・s、分子量12000、水溶液)。
(樹脂4)
樹脂3において、(D)ポリカルボジイミド化合物の代わりに、NBP−211(明成化学社製、ブロック芳香族ポリイソシアネート化合物)10部から得られる水性ポリウレタン樹脂(固形分濃度30%、溶液粘度16Pa・s、分子量16000、水溶液)。
樹脂3において、(D)ポリカルボジイミド化合物の代わりに、NBP−211(明成化学社製、ブロック芳香族ポリイソシアネート化合物)10部から得られる水性ポリウレタン樹脂(固形分濃度30%、溶液粘度16Pa・s、分子量16000、水溶液)。
(樹脂5)
樹脂1において、(C)ジメチロールプロピオン酸を重合成分として含まない水性ポリウレタン樹脂(固形分濃度30%、溶液粘度16Pa・s、分子量16000、水溶液)。
樹脂1において、(C)ジメチロールプロピオン酸を重合成分として含まない水性ポリウレタン樹脂(固形分濃度30%、溶液粘度16Pa・s、分子量16000、水溶液)。
実施例1
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の470dtex/136f(糸強度8.6cN/dtex)を用いて平織物を作製し、精練、セットを行い、経、緯の織密度がいずれも18本/cmである基布を得た。次いで、この基布の片面に、樹脂1を、ナイフコーティング法にて付着量が15g/m2となるように塗布した後、乾燥および160℃で1分間熱処理を行い、本発明のエアバッグ用基布およびエアバッグを得た。得られた基布の重量は、樹脂塗布前が175g/m2、塗布乾燥後が190g/m2であった。表1に示すように、樹脂被膜の100%モジュラスは小さく、柔らかいものであった。また、表2に示すように、得られたエアバッグは、軽量で、滑脱抵抗力が高く、展開時の挙動も円滑で問題はなかった。また、展開後のエアバッグの外周には、縫い目の破損や縫い目部の目立った拡張(縫い目ずれ)は見られなかった。さらに、裁断線からのホツレも見られなかった。
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の470dtex/136f(糸強度8.6cN/dtex)を用いて平織物を作製し、精練、セットを行い、経、緯の織密度がいずれも18本/cmである基布を得た。次いで、この基布の片面に、樹脂1を、ナイフコーティング法にて付着量が15g/m2となるように塗布した後、乾燥および160℃で1分間熱処理を行い、本発明のエアバッグ用基布およびエアバッグを得た。得られた基布の重量は、樹脂塗布前が175g/m2、塗布乾燥後が190g/m2であった。表1に示すように、樹脂被膜の100%モジュラスは小さく、柔らかいものであった。また、表2に示すように、得られたエアバッグは、軽量で、滑脱抵抗力が高く、展開時の挙動も円滑で問題はなかった。また、展開後のエアバッグの外周には、縫い目の破損や縫い目部の目立った拡張(縫い目ずれ)は見られなかった。さらに、裁断線からのホツレも見られなかった。
実施例2
樹脂として樹脂2を用い、その付着量を10g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明のエアバッグ用基布およびエアバッグを得た。樹脂塗布後の基布重量は185g/m2であった。表1に示すように、樹脂被膜の100%モジュラスは小さく、柔らかいものであった。また、表2に示すように、得られたエアバッグは、軽量で、滑脱抵抗力が高く、展開時の挙動も円滑で問題はなかった。また、展開後のエアバッグの外周には、縫い目の破損や縫い目部の目立った拡張(縫い目ずれ)は見られなかった。さらに、裁断線からのホツレも見られなかった。
樹脂として樹脂2を用い、その付着量を10g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明のエアバッグ用基布およびエアバッグを得た。樹脂塗布後の基布重量は185g/m2であった。表1に示すように、樹脂被膜の100%モジュラスは小さく、柔らかいものであった。また、表2に示すように、得られたエアバッグは、軽量で、滑脱抵抗力が高く、展開時の挙動も円滑で問題はなかった。また、展開後のエアバッグの外周には、縫い目の破損や縫い目部の目立った拡張(縫い目ずれ)は見られなかった。さらに、裁断線からのホツレも見られなかった。
比較例1
樹脂付着量を5g/m2としたこと以外は、実施例2と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。樹脂の塗布量が少ないため、表2に示すように、基布の気密性が悪く、さらには縫製部の縫い目ずれも発生しており、エアバッグの適正な内圧を保持することができなかった。また、滑脱抵抗力も低いものであった。
樹脂付着量を5g/m2としたこと以外は、実施例2と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。樹脂の塗布量が少ないため、表2に示すように、基布の気密性が悪く、さらには縫製部の縫い目ずれも発生しており、エアバッグの適正な内圧を保持することができなかった。また、滑脱抵抗力も低いものであった。
比較例2
樹脂として樹脂3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。ポリカーボネートポリオールの融点が高いため、表1に示すように、樹脂被膜は硬いものであった。また、表2に示すように、得られた基布特性も硬くなるため、摩耗強さが不足していた。さらに、エアバッグの展開挙動には問題ないが、基布の折畳み厚さが大きくなり、エアバッグの折り畳み作業性にも劣っていた。
樹脂として樹脂3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。ポリカーボネートポリオールの融点が高いため、表1に示すように、樹脂被膜は硬いものであった。また、表2に示すように、得られた基布特性も硬くなるため、摩耗強さが不足していた。さらに、エアバッグの展開挙動には問題ないが、基布の折畳み厚さが大きくなり、エアバッグの折り畳み作業性にも劣っていた。
比較例3
樹脂として、(D)ポリカルボジイミド化合物を重合成分として含まない樹脂2を用い、その付着量を25g/m2としたこと以外は、実施例2と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。表1に示すように、得られた樹脂被膜は柔らかいものであった。しかし、架橋剤を用いていないため、基布との密着性に劣り、表2に示すように、摩耗強さが非常に低いものであった。よって、樹脂被膜が展開時の摩擦により剥がれてしまい、エアバッグの内圧を保持することができなかった。
樹脂として、(D)ポリカルボジイミド化合物を重合成分として含まない樹脂2を用い、その付着量を25g/m2としたこと以外は、実施例2と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。表1に示すように、得られた樹脂被膜は柔らかいものであった。しかし、架橋剤を用いていないため、基布との密着性に劣り、表2に示すように、摩耗強さが非常に低いものであった。よって、樹脂被膜が展開時の摩擦により剥がれてしまい、エアバッグの内圧を保持することができなかった。
比較例4
樹脂として、架橋剤である(D)ポリカルボジイミド化合物を17重量部使用した樹脂3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。ポリカーボネートポリオールの融点が高く、架橋剤も過剰に配合されているため、表1に示すように、樹脂被膜は硬いものであった。また、表2に示すように、得られた基布特性も硬くなるため、摩耗強さが不足していた。さらに、エアバッグの展開挙動には問題ないが、基布の折畳み厚さが大きくなり、エアバッグの折り畳み作業性にも劣っていた。
樹脂として、架橋剤である(D)ポリカルボジイミド化合物を17重量部使用した樹脂3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。ポリカーボネートポリオールの融点が高く、架橋剤も過剰に配合されているため、表1に示すように、樹脂被膜は硬いものであった。また、表2に示すように、得られた基布特性も硬くなるため、摩耗強さが不足していた。さらに、エアバッグの展開挙動には問題ないが、基布の折畳み厚さが大きくなり、エアバッグの折り畳み作業性にも劣っていた。
比較例5
樹脂として樹脂4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。架橋剤にイソシアネート系化合物を使用しているため、樹脂被膜が硬く、得られる基布も硬いものであった。そのため、表2に示すように、エアバッグの展開特性に問題はなかったものの、基布の折畳み作業性に劣り、折り畳み厚さも大きいものであった。また、樹脂被膜と基布との密着性も不良で、摩耗強さにも劣るものであった。
樹脂として樹脂4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。架橋剤にイソシアネート系化合物を使用しているため、樹脂被膜が硬く、得られる基布も硬いものであった。そのため、表2に示すように、エアバッグの展開特性に問題はなかったものの、基布の折畳み作業性に劣り、折り畳み厚さも大きいものであった。また、樹脂被膜と基布との密着性も不良で、摩耗強さにも劣るものであった。
比較例6
樹脂として樹脂5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。第3成分としてのジメチロールプロピオン酸を配合していないため、基布との密着性に劣り、表2に示すように、摩耗強さが低いものであった。よって、樹脂被膜が展開時の摩擦により剥がれてしまった。
樹脂として樹脂5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布およびエアバッグを得た。第3成分としてのジメチロールプロピオン酸を配合していないため、基布との密着性に劣り、表2に示すように、摩耗強さが低いものであった。よって、樹脂被膜が展開時の摩擦により剥がれてしまった。
Claims (5)
- 少なくとも片面表面に、融点が20℃以下のポリカーボネートポリオールおよびポリイソシアネートあわせて100重量部に対して、分子内にカルボキシル基と水酸基とを有する化合物1〜25重量部と、ポリカルボジイミド化合物1〜20重量部とから得られ、乾燥後の100%モジュラスが3MPa以下である水性ポリウレタン樹脂を有しており、該樹脂の付着量が10〜20g/m2であり、該樹脂を有する面のJIS L−1096 8.17.2(B法)に準じた摩耗強さが5級、ASTM D6479に規定された基布からの糸の滑脱抵抗力が600N以上であるエアバッグ用基布。
- 前記水性ポリウレタン樹脂が、さらにポリエステルポリオールを重合成分として含む請求項1記載のエアバッグ用基布。
- 前記ポリカーボネートポリオールの融点が、0℃以下である請求項1または2記載のエアバッグ用基布。
- 前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネートおよび/または脂環式ポリイソシアネートである請求項1、2または3記載のエアバッグ用基布。
- 請求項1、2、3または4記載のエアバッグ用基布からなるエアバッグ。
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