JP5610902B2 - エアバッグ用基布 - Google Patents

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Description

本発明は、布帛の表面に被覆材が配されたエアバッグ用基布に関し、さらに詳しくは、布帛の表面に被覆材が配されることにより優れた不通気性を有し、さらにエアバッグに要求されるその他の特性(軽量性、柔軟性、収納性など)にも優れたエアバッグ用基布であるとともに、特別な処理を施すことなくリサイクルに供することのできるエアバッグ用基布に関する。
近年、自動車の乗員安全保護装置として多くのエアバッグ装置が実用化され、前部衝突時の運転席保護用、助手席保護用、側部衝突時の胸部および大腿部・腰部保護用(座席シートに内蔵)、および車体側部の頭部保護用(窓上部の天井内に装着)など、その装着部位も増えてきている。
この中で、側部衝突保護用など、特に高い気密性すなわち不通気性が要求されるエアバッグにおいては、布帛の表面に被覆材が配された、いわゆるコーティング基布が広く用いられており、被覆材としては、耐熱性に優れるシリコーン樹脂やシリコーンゴムが好んで用いられている。
ところで、近年、エアバッグ装置(運転席用、助手席用、等)が全車標準装備されるようになったことから、エアバッグの生産量が増加し、それに伴い、生産工程における裁断屑などの廃材が大量に発生するようになった。
また、生産工程以外にも、使用済みエアバッグや、廃車となった自動車に搭載されているエアバッグなど、不要となったことで廃棄処分されるエアバッグの数も年々増加している。
このような状況の中、最近の資源節約や環境保護の立場から、従来廃棄処分されていたこれらの廃材をリサイクルしようとする動きが高まってきている。
しかしながら、布帛の表面に被覆材が配されていないエアバッグ用基布(ノンコート基布)は溶融混合等によって比較的容易にリサイクルに供することが可能であるものの、表面にシリコーン樹脂などの被覆材が配されたエアバッグ用基布(コーティング基布)は、基布と被覆材との相溶性が乏しく、溶融混合等によるリサイクルが困難であった。
そこで、コーティング基布をリサイクル可能にするために、コーティング基布から被覆材を分離、除去する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、シリコンがコーティングされているスクラップ布を強アルカリ液に浸漬した後、脱水し、その後シリコンコーティング層を剥離除去する方法が、また特許文献2には、界面活性剤、アルカリおよび水性キャリヤーを含有する組成物を加温し、その中にコーティング繊維を浸漬して繊維のコーティング部分を剥離する方法が、それぞれ開示されている。
これらの方法によれば、コーティング基布の表面からシリコーン樹脂などの被覆材を剥離、除去することが可能となり、処理後の布帛は、ノンコート基布と同様に、布帛単体としてリサイクルに供することができる。
しかしながら、これらの方法を用いた場合、コーティング基布から被覆材を剥離、除去するための特別な処理工程が必要となり、リサイクルコストが高くなるという問題がある。
一方、エアバッグに用いるためのコーティング基布として、シリコーン樹脂やシリコーンゴム以外の合成樹脂を被覆材として用いたものも提案されている。
例えば、特許文献3には、合成繊維糸を構成要素とする基布に、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリアミド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂が被覆材として配されたエアバッグ用基布が開示されている。
また、例えば、特許文献4には、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂とポリエーテル系ポリウレタン樹脂の混合物を塗布した、軽量で低通気性である基布が開示されている。
しかしながら、特許文献3に開示されているエアバッグ用基布は、不通気性、軽量性、柔軟性、収納性の向上に着目したものであり、また、特許文献4に開示されているエアバッグ用基布は、軽量性、ホツレ防止性、収納性などの向上に着目したものであり、いずれもリサイクルに関しては全く示唆されていない。
このように、コーティングされたエアバッグ用基布において、エアバッグに要求される特性(不通気性、軽量性、柔軟性、収納性など)を十分に満たし、かつ容易にリサイクルに供することができるエアバッグ用基布を得ることは、現状では非常に困難であった。
特開2001−180413号公報 特開2009−299242号公報 特開2004−218138号公報 特開2001−329468号公報
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、布帛の表面に被覆材が配されることにより優れた不通気性を有し、さらにエアバッグに要求されるその他の特性(軽量性、柔軟性、収納性など)にも優れ、かつ、特別な処理を施すことなくリサイクルに供することのできるエアバッグ用基布を提供することである。
本発明者は、ポリアミド系繊維布帛と、被覆材として高融点のポリウレタン樹脂を用いることにより、得られたエアバッグ用基布が優れた不通気性、軽量性、柔軟性、収納性などを有し、かつ、被覆材を分離、除去するための特別な処理工程を設けずとも、ポリアミド系繊維布帛と被覆材を溶融混合することで、エアバッグ用基布をリサイクルに供することができることを見出し、本発明に到った。
すなわち、本発明は、ポリアミド系繊維布帛の少なくとも片側表面に、被覆材として熱可塑性ポリウレタン樹脂が配されてなるエアバッグ用基布において、
該熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点が200℃以上、付与量が10〜50g/m(固形分)であり、さらに、該エアバッグ用基布を、ポリアミド系繊維布帛単体の融点から10℃高い温度において溶融したとき、得られるポリアミド系繊維布帛と被覆材との溶融混合物の、メルトフローインデックス(MI)(JIS K7210に規定)が、20〜200g/10minであることを特徴とする。
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリカーボネート型ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂には、架橋剤が含まれていることが好ましい。
前記ポリアミド系繊維布帛が、脂肪族ナイロン、半芳香族ナイロン、脂肪族ナイロンと半芳香族ナイロンとの共重合体または混合体、から選ばれた1種または2種以上のものからなることが好ましい。
前記ポリアミド系繊維布帛を構成する繊維糸条が、溶融紡糸された長繊維からなることが好ましい。
本発明により、不通気性およびエアバッグに要求される様々な特性に優れたエアバッグ用基布が得られるとともに、該エアバッグ用基布の裁断片や、該エアバッグ用基布を用いた使用済みエアバッグおよびそのパーツなどを、被覆材を分離・除去するなどの特別な処理を施すことなく、溶融によって容易にリサイクルに供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のエアバッグ用基布は、ポリアミド系繊維布帛の少なくとも片側表面に、被覆材として熱可塑性ポリウレタン樹脂が配されてなるものである。
熱可塑性のポリウレタン樹脂は、ポリアミド系繊維布帛との密着性が高く、柔軟性にも優れるため、本発明における被覆材として好適である。
なお、ポリウレタン樹脂には熱硬化性のものと熱可塑性のものがあるが、前者は加熱による化学反応で硬化し、一度硬化すると再び加熱しても溶融せず固体のままとなる性質をもっているため、溶融によるリサイクルが困難である。
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂は、融点が200℃以上である必要がある。融点が200℃未満の場合には、エアバッグに要求される長期耐久性を満たすことができないおそれがある。融点を200℃以上、好ましくは220℃以上、さらに好ましくは240℃以上とすることで、エアバッグ用基布としての耐久性を満たすことができる。
また、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂が200℃以上の融点を有することは、リサイクルの観点からも肝要である。
なお、本発明が意図するリサイクルとは、エアバッグ用基布を溶融することによって得られた布帛と被覆材との溶融混合物を繊維形状や各種形状の成形物に再度成形し、再利用することを想定したものである。
本発明に用いられるポリアミド系繊維布帛は一般的に融点が高く、本発明のエアバッグ用基布をリサイクルに供するためには高温にて溶融する必要がある。しかし、被覆材である熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点が低い場合、高温で溶融すると熱可塑性ポリウレタン樹脂の熱変質や分解などが発生するおそれがある。
熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点を200℃以上、好ましくは220℃以上、さらに好ましくは240℃以上とすることにより、リサイクルするための溶融工程において、熱可塑性ポリウレタン樹脂の熱変質や分解などを発生させることなく、ポリアミド系繊維布帛と被覆材の均質な溶融混合が可能となる。
ここで、融点とは、融点測定ユニットを装着した顕微鏡を用いて測定し、融点測定ユニットにセットした試料を昇温速度約20℃/分で加熱した時の、流動開始温度をいう。
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、樹脂の引張強力、耐摩耗性、柔軟性、ポリアミド系繊維布帛との密着性などに応じて選定することができる。なかでも、分子量が5千〜50万であることが好ましく、1万〜40万であることがより好ましい。分子量が5千より小さいと、融点が低くなり、樹脂が脆くなる傾向にある。分子量が50万を超えると融点は高くなるが、樹脂が硬くなる傾向にある。
一般に、ポリウレタン樹脂は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応によって得られる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂のポリオール成分としては、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどがあげられるが、なかでも、ポリカーボネートポリオールが、エアバッグ用基布の被覆材に求められる湿熱特性や乾熱特性に優れた熱可塑性ポリウレタン樹脂が得られる点で好ましく、また、高融点の熱可塑性ポリウレタン樹脂が得られる傾向にある点で好ましい。
ポリカーボネ−トポリオールは、一般に、1)ポリオールとクロロカルボン酸との反応、2)ポリオールとホスゲンとの反応、3)ポリオールと環状カーボネートとの反応、4)ジカーボネート化合物の縮合反応、などによって得ることができ、特に限定されるものではない。
ポリカーボネートポリオールを得るための反応に用いられるポリオールとしては、例えば、HO−R−OHで示されるジオール類、すなわち、脂肪酸ジオール、脂環式ジオール、または芳香族ジオールなどがあげられる。なかでも、炭素数が少なく、柔軟な熱可塑性ポリウレタン樹脂が得られる点で、アルキレンジオール(炭素数=2〜6)、アルキレングリコール(炭素数=2〜6)、キシリレンジオールなどが好ましく、これらは、単独で用いる以外に、2種以上の混合物、あるいは2種以上の共重合物であってもかまわない。また、必要に応じて、カプロラクトンなどとの共重合物であるポリカーボネート/ポリエステルのポリオールを用いてもよい。
また、ポリカーボネートポリオールとして、例えば、ETERNACOLL UHC50(宇部興産社製品)、デュラノール T5652,T5651,T4672,T4671(以上、旭化成ケミカルズ社製品)、プラクセル CD205(ダイセル化学社製品)、Oxymer N112(Perstorp社製品)などの市販品を使用することもできるが、これらに限定されるものではない。
前記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、要求される樹脂特性に応じて選定すればよいが、なかでも、500〜5000であることが好ましく、800〜4000であることがより好ましい。数平均分子量が500より小さいと、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂の伸びが小さくなり、引張強力も低くなる傾向がある。分子量が5000を超えると、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点は高くなるものの、同時に高モジュラスの硬い樹脂となる傾向がある。
また、ポリオール成分として、前記ポリカーボネートポリオール単独での使用と比較し、エアバッグ用基布に用いられる被覆材として要求される樹脂特性、例えば、柔軟性、布帛への密着性、耐摩耗性などの向上が認められる場合には、他のポリオール成分、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールなどを、ポリカーボネートポリオールの使用量を超えない範囲で使用することは、本発明の範疇に入るものである。
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂に用いられるポリイソシアネート成分としては、通常の熱可塑性ポリウレタン樹脂に用いられるものの中から適宜選定すればよい。なかでも、脂肪族または脂環式のポリイソシアネートが、適度なモジュラスを有し、柔軟性の高い熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができる点で好ましい。
具体的には、例えば、メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、リジンイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネートなどがあげられる。なかでも、柔軟な熱可塑性ポリウレタン樹脂が得られる点で、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが、また、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂が耐熱性に優れる点で、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。
また、本発明に用いるポリイソシアネート成分として、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂の特性に大きな影響を与えない範囲、例えば、全ポリイソシアネート成分の過半とならない範囲で、トリレンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどに代表される芳香族ポリイソシアネートを配合してもよい。これにより、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂の耐熱性をさらに向上させることが可能である。
ポリオール成分とポリイソシアネート成分の配合は、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂の特性に応じて選定すればよく、特に限定されないが、なかでも、重量比で、ポリオール成分/ポリイソシアネート成分=1.5/1〜1/1.5であることが好ましい。この範囲以外であると、反応効率が低下する傾向にある。
本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂には、架橋剤が含まれていることが好ましい。架橋剤が含まれていることにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂が強固な網目構造を有し、熱可塑性ポリウレタン樹脂の耐熱性、引張強力および破断伸度を向上させることができる。
前記架橋剤は、熱可塑性ポリウレタン樹脂の合成時に配合してもよく、合成後の熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して後から配合してもよい。
なお、後者の場合は、架橋剤を反応させるため、架橋剤を配合した後の熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して熱処理などを行う。架橋剤を反応させる方法については特に限定するものではなく常用の方法により行えばよい。例えば、架橋剤を配合した熱可塑性ポリウレタン樹脂を布帛に付与した後、熱処理を行うことにより、架橋剤を反応させることができる。
前記架橋剤としては、樹脂の架橋剤として一般に用いられているものの中から選定すればよく、特に限定するものではないが、なかでも、柔軟で耐加水分解性に優れた熱可塑性ポリウレタン樹脂が得られる点で、ポリカルボジイミド化合物が好ましい。
ポリカルボジイミド化合物は、分子中にカルボジイミド基(−N=C=N−)を有するポリマーであり、カルボキシル基やアミノ基などの活性水素と高い反応性を示す。
前記ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミド化触媒を使用した、ジイソシアネートとの脱炭酸縮合反応により得られる。
なお、モノカルボジイミド化合物は、反応基が少ないことから反応効率が低く、また、水分と反応しやすいため安定性に欠け、本発明で用いるには適していない。
前記ポリカルボジイミド化合物は、例えば、「カルボジライト」(日清紡ケミカルズ社製品)、「Emafix」(大日精化工業社製品)、「Stabaxol」(平泉洋行社製品)、「AQD−2050B」(サンユーペイント社製品)、などとして販売されているものの中から選定することもできるが、これらに限定されるものではない。
また、前記架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。
前記架橋剤の配合量は、熱可塑性ポリウレタン樹脂に含まれるポリオール成分およびポリイソシアネート成分の配合量100重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましく、2〜10重量部であることがさらに好ましい。配合量が1重量部より少ないと、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂の耐熱性が不足し、ポリアミド系繊維布帛との密着性も低下する傾向がある。また、20重量部を超えると、モジュラスが高くなり柔軟性に劣る傾向がある。
また、本発明に用いる熱可塑性ポリウレタン樹脂には、分子内にカルボキシル基と水酸基とを有する化合物が含まれていてもよい。
前記化合物としては、例えば、ジオキシ安息香酸、ジオキシマレイン酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールピロピオン酸などのカルボン酸含有物およびこれらの誘導体、またはこれらを共重合させて得られるポリエステルポリオールなどの1種または2種以上をあげることができる。なかでも、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂が柔軟性に優れる点で、ジメチロールプロピオン酸が好ましい。
熱可塑性ポリウレタン樹脂の合成時に前記化合物を併用することにより、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂の物性を向上させることができる。また、架橋剤などと併用することにより、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂の分子構造を強固な網目状とすることができ、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂の熱的特性(融点など)や物理特性(耐磨耗性など)を向上させることができる。
前記化合物の配合量は、熱可塑性ポリウレタン樹脂に含まれるポリオ−ル成分およびポリイソシアネート成分の配合量100重量部に対し、1〜25重量部の範囲で用いることが好ましく、2〜20重量部とすることがさらに好ましい。配合量が1重量部より少ないと、得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂の基布への濡れ性が不足して、密着性が低くなるおそれがあり、25重量部を超えると得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂が硬くなる傾向にある。
本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂の性状は、付与量、付与方法、材料の加工性や安定性、要求される特性などに応じて、適宜選定すればよい。なかでも、水性溶液が、作業性および作業環境の面から好ましく用いられる。
また、場合によっては、粉体、ビーズ、薄膜、フィルムなどの固体状、あるいは樹脂分のみの無溶媒液体状のものを適用してもよい。
ただし、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、何らかの有機溶剤に溶解されたものは、作業環境の面から好ましくない。
本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂が水性溶液である場合は、水溶液、水乳化液(強制乳化型、自己乳化型)、水分散液、水懸濁液などの形態があげられる。なかでも、水溶液または自己乳化液のものが、乳化剤を使用する必要がない点で好ましい。
このような樹脂は、構成分子中に水酸基、エチレンオキサイド基またはエチレングリコールなどの親水性基を導入することにより得ることができる。
前記水性溶液の粘度は、その固形分や、付与方法に応じて最適な範囲を選定することができる。なかでも、25℃において、0.1〜200Pa・sであることが好ましい。25℃における粘度が0.1Pa・sより低いと樹脂の基布への浸透が大きくなり、得られる基布が硬くなる傾向にある。また、200Pa・sを超えると、付与加工時の取扱い性が悪くなる傾向にある。
また、その固形分は、前記水性溶液を安定に作製、保存できる範囲であればよく、特に限定するものではないが、例えば、20〜80%が好ましく、30〜70%がさらに好ましい。20%未満であると溶液粘度が低くなる傾向があり、また80%を超えると溶液粘度が高くなる傾向がある。
前記水性溶液が、水分散液または水乳化液の場合、その樹脂固形分の粒子径は、溶液の均質性、乾燥後の樹脂特性の均質性などが向上する点で、平均粒子径が500nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。
また、被覆材としての耐熱性、耐磨耗性、ポリアミド系繊維布帛との密着性、難燃性、不粘着性などの特性が、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂を単独で用いるよりも好ましい場合や、得られたエアバッグ用基布を溶融した場合の流動特性に大きな影響を与えない場合には、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂と相溶性のある樹脂またはゴム、例えば、水性シリコーン樹脂またはゴム、水性ハロゲン含有樹脂またはゴム、水性ポリアミド樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性エポキシ樹脂、水性ビニル樹脂、水性アクリル樹脂などの水性樹脂またはゴム、またはこれらの変性樹脂またはゴムなどの1種または2種以上を、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂の25重量部以下で混合して用いることができる。
その他、本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂には、加工性、ポリアミド系繊維布帛への密着性、表面特性あるいは耐久性などを改良するために通常使用される各種の添加剤や助剤、例えば、接着付与剤、反応促進剤、反応遅延剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、湿潤剤、粘着防止剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、防炎化剤、可塑剤などの1種または2種以上が混合されていてもよい。
本発明に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂は、後述する各種方法によって、ポリアミド系繊維布帛の少なくとも片側表面に付与される。
このとき、付与量が固形分で10〜50g/m、さらには15〜35g/mであることが好ましい。また、ポリアミド系繊維布帛の両面に付与する場合は、両面の合計付与量が固形分で10〜50g/mとなるように付与することが好ましい。
付与量を上記範囲とすることにより、得られるエアバッグ用基布の重量、柔軟性、不通気性、被覆材の耐摩耗性、縫合部の目止め剤(シール剤)との密着性など、エアバッグ用基布として求められる特性を満足させることができる。付与量が10g/mより少ないと、得られるエアバッグ用基布の重量は軽くなるものの、不通気性、被覆材の磨耗強さ、および目止め剤との密着性などが不足し、付与量が50g/mを超えると、得られるエアバッグ用基布の重量が重くなり、柔軟性にも劣る。
なお、付与された樹脂は、ポリアミド系繊維布帛の表面に加えて、ポリアミド系繊維布帛を構成する繊維糸条の交差部やその間隙部、単糸間隙部などに介在させてもよい。
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂の付与方法は、1)コーティング法(ナイフ、ブレード、キス、リバース、コンマ、スロットダイおよびリップなど)、2)浸漬法、3)印捺法(スクリーン、ロール、ロータリーおよびグラビアなど)、4)転写法(トランスファー)、5)ラミネート法、6)噴霧・噴射法などがあげられる。なかでも、付与量の設定範囲が広い点で、コーティング法が好ましい。
また、ポリアミド系繊維布帛に前記熱可塑性ポリウレタン樹脂を付与する工程において、予めポリアミド系繊維布帛表面にプライマー処理などの前処理を施してもかまわない。
さらに、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂をポリアミド系繊維布帛に付与した後で、耐熱性、老化防止性、耐磨耗性を改良するために、熱風処理、加圧熱処理、高エネルギー処理(高周波、電子線、紫外線など)により、付与した樹脂の乾燥、架橋、加硫などを行ってもかまわない。
また、本発明においては、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂のポリアミド系繊維布帛への付与量を基布重量に対する相対比率で40%以下、さらに好ましくは30%以下に設定することが、後で詳細に説明するメルトフローインデックス(MI)を後述の適正な範囲にする上で好ましい。
本発明は、引裂強力、耐久性、柔軟性、被覆材との密着性などの点から、ポリアミド系繊維布帛を用いる必要がある。
前記布帛を構成するポリアミド系繊維の具体例としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612などの単独またはこれらの共重合(三元共重合も含む)や混合により得られる脂肪族ナイロン繊維、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5Tなどに代表される、脂肪族アミンと芳香族カルボン酸類との半芳香族(複合型共重合)ポリアミド繊維、さらには、ナイロン6T/6、ナイロン6T/66などに代表される、脂肪族と半芳香族との共重合体または複合体などがあげられる。
前記ポリアミド系繊維からなる繊維糸条の形態としては特に限定するものではないが、汎用性があり、布帛製造工程への適用性、取り扱い性、糸の引張強度などに優れる点で、溶融紡糸された長繊維(フィラメント)によって構成されていることが好ましい。
さらに、ポリアミド系繊維布帛を構成するポリアミド系繊維および被覆材である熱可塑性ポリウレタン樹脂の特性に影響しないものであれば、ポリアミド系繊維の使用量を超えない範囲でその他の合成繊維を併用してもよい。
なお、前記ポリアミド系繊維には、紡糸性や加工性、耐久性などを改善するために、通常使用されている各種添加剤、例えば、紡糸油剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤、などの1種または2種以上を使用してもよい。
また、本発明に用いられるポリアミド系繊維布帛の繊維糸条繊度は、工業用途で使用されているものから適宜選定すればよい。なかでも、200〜1000dtexであることが好ましく、250〜700dtexであることがより好ましい。200dtex未満ではエアバッグに求められる袋体としての強度が得られにくい傾向にあり、1000dtexより太くなると基布重量や基布厚さが増大しエアバッグの収納性が悪くなるおそれがある。
また、単糸繊度は、0.5〜6.0dtexの範囲にあればよく、0.5〜4.0dtexであることはより好ましい。単糸繊度を小さくすることにより、ポリアミド系繊維布帛の柔軟性が向上し、エアバッグの折畳み性が改良される。
さらに、単糸の断面形状は、円形、楕円、扁平、多角形、花弁形、その他の異形や、中空など、繊維糸条の紡糸およびポリアミド系繊維布帛の製造、さらには得られるポリアミド系繊維布帛の物性に支障のない範囲で適宜選定すればよい。
また、糸条強度も、特に限定されないが、5.4cN/dtex以上であることが好ましく、8.0cN/dtex以上であることがより好ましい。強度が5.4cN/dtexよりも小さいと、エアバッグに求められる強度が得られ難くなる傾向がある。
本発明で使用されるポリアミド系繊維布帛は、エアバッグに用いられる布帛として要求される性能を満たすものであれば、織物、編物、組物、不織布、シート状物、ネット状物、あるいはこれらの複合物、積層物などの、いずれでもよい。
前記ポリアミド系繊維布帛が織物の場合、経糸と緯糸とが、同種のポリアミド系繊維糸条で構成されていてもよく、また異種のものであってもかまわない。また、場合によっては、経糸および/または緯糸の一部に異なる2種以上のポリアミド系繊維糸条を用いてもよい。
前記織物としては特に限定されず、例えば、平織、斜子織(バスケット織)、格子織(リップストップ織)、綾織、畝織、絡み織、模紗織、あるいはこれらの組合せ、連続または断続した複合組織、などがあげられる。なかでも、織物構造の緻密さ、ならびに引張強力の経と緯の方向性が少ない点で平織が好ましい。
また、必要に応じて、経糸、緯糸の二軸以外に斜め60度や45度を含む3軸、4軸などの多軸設計としても良く、その場合の糸の配列は本来の経糸または緯糸と同様の配列に準じればよい。
前記ポリアミド系繊維布帛が織物の場合、その織構造の緻密さを示す指数であるカバーファクター(CF)が、750以上であることが好ましく、780以上であることがさらに好ましい。
なお、織物全体のカバーファクター(CF)は、下式により求められる。
CF=Nw×√Dw+Nf×√Df
ここで、Nw,Nfは、経糸および緯糸の織密度(本/cm)
Dw,Dfは、経糸および緯糸の太さ(dtex)
前記織物の製造は、通常の工業用織物を製織するのに用いられる各種織機から適宜選定すればよく、例えば、シャトル織機、ウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機、プロジェクタイル織機、多軸織織機などから選定することができる。
また、前記ポリアミド系繊維布帛が編物の場合は、シングルトリコット編、シングルコード編、シングルアトラス編などの経編、通常の経編に緯糸を挿入した緯糸挿入型の経編、平編、ゴム編、パール編などの緯編、などの編組織を単独またはそれらを組み合わせた二重組織などからなるものがあげられる。
また、前記ポリアミド系繊維布帛が不織布の場合は、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法、メルトブロー法、抄紙法などにより製造されたものがあげられる。
前記ポリアミド系繊維布帛は、目付けが190g/m以下、引張強力が経、緯ともに650N/cm以上であることが、エアバッグに用いられる布帛として要求される性能を満たすために好ましい。なお、ここでいう目付けとは、被覆材を付与する前の未加工状態の布帛重量である。
本発明のエアバッグ用基布は、ポリアミド系繊維布帛単体の融点より10℃高い温度で本発明のエアバッグ用基布を溶融した場合に、得られるポリアミド系繊維布帛と被覆材との溶融混合物の、メルトフローインデックス(MI)が、20〜200g/10min、好ましくは50〜150g/10minの範囲にあることがよい。
MIとは、円筒容器内に装填された溶融物が、JIS K7210の規定に従ってノズルから一定の押出し力により10分間当りに押出された重量を言い、MIが小さいほど流動性が低く、大きいほど流動性が高いことを示す。
一般に、2種以上の材料を溶融混合すると、溶融混合される材料同士に化学的な親和性が無い場合や、材料の一部が加熱中に変質を生じた場合には、溶融混合物全体としての溶融粘性が低くなるため、MIは大きくなる。また、材料の一部が十分に溶融していない場合には、溶融混合物全体としての溶融粘度が上がるため、MIは小さくなる。
従って、MIの値を上記範囲内とすることが、均質な溶融混合物を得るために必要である。
すなわち、MIが20未満であると、材料が均質に溶融混合していないおそれがあり、MIが200を超えると、得られる溶融混合物が耐衝撃性などに劣るものとなるおそれがある。
本発明のエアバッグ用基布から得られる溶融混合物のリサイクル用途としては、特に限定するものではなく、自動車内装部品、家庭用品、屋外用品、事務用品など、様々な用途に活用可能である。
本発明のエアバッグ用基布は、各種の乗員保護用バッグ、例えば、前面衝突保護用の運転席バッグおよび助手席バッグ、側面衝突保護用のサイドバッグ(カーテンバッグも含む)、後部座席保護用(エアーベルト用袋体、乗員間に装備されるセンターバッグなどを含む)、追突保護用のヘッドレストバッグ、脚部・足首保護用のニーバッグおよびフットバッグ、乳幼児保護用(チャイルドシート)のミニバッグ、歩行者保護用など、乗用車、商用車、バス・トラック、二輪車などの各用途の他、機能的に満足するものであれば、船舶、列車・電車、飛行機、ヘリコプター、遊園地の遊具、非常時非難用具など、多用途に適用することができる。
以下、実施例に基づき本願発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例の中で行ったエアバッグ用基布の性能評価の方法を以下に示す。
(1)熱可塑性ポリウレタン樹脂およびポリアミド系繊維布帛の融点
熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点は、溶液をテフロン(登録商標)製シート表面に流し込み、70℃で2時間、次いで110℃で2時間乾燥し、さらに150℃で5分間熱処理して得られる被膜の一片を、ポリアミド系繊維布帛の融点は、ポリアミド系繊維布帛を構成する繊維糸条をカットして得られる数本の単糸を、それぞれ融点測定ユニット(ジャパンテック社製品)を装着した光学顕微鏡にて観察し、昇温速度約20℃/分にて加熱した時の流動開始温度を測定した。
(2)布帛の目付け量と、樹脂の付与量
布帛の目付け量は、JIS L−1096の8.4.2法に規定された方法により、布帛単体の単位面積当たりの重量を測定することにより求めた。
また、樹脂の付与量は、JIS L−1096の8.4.2法に規定された方法により、樹脂の付与前および付与乾燥後における基布の単位面積当たりの重量差から求めた。
(3)エアバッグ用基布の通気度
JIS L−1096の8.27.1A法(フラジール法)に準じて通気特性を評価し、N=3の平均値を通気度とした。
(4)メルトフローインデックス(MI)
被覆材が配されたエアバッグ用基布を細かく裁断し、セミオートメルトインデックサ3A(東洋精機製作所社製)にて、JIS K7210に準じてMIを測定した。
加熱温度は布帛単体の融点+10℃とし、加熱時間10分、押出し力21.2kN、とした。
(5)溶融混合物の外観
上記(4)にて押出された溶融混合物の外観を観察した。
実施例および比較例で用いた樹脂組成を示す。
(樹脂1)
ポリカーボネートポリオール(融点−5℃、旭化成ケミカルズ社製ポリカーボネートジオール、商品名デュラノールT5651、分子量1000)と、脂環式ポリイソシアネート(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)を合わせたもの100部(ポリカーボネートジオール/ポリイソシアネート=100/110)、ジメチロールプロピオン酸8部、ポリカルボジイミド(日清紡ケミカルズ社製、商品名カルボジライトSV−02、分子量1720)5部から得られた水性ポリウレタン樹脂(固形分35%、溶液粘度20Pa・s、分子量18000、水溶液)。乾燥および熱処理後の融点は240℃。
(樹脂2)
ポリエーテルポリオール(ポリテトラメチレングリコール)および脂肪族ポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート)からなるポリウレタン樹脂100部に、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース2部を添加して得られた水性ポリウレタン樹脂溶液(固型分25%、溶液粘度11Pa・s、分子量9000、水溶液)。乾燥および熱処理後の融点は190℃。
(樹脂3)
Rhodorsil TCS7534(Bluestar社製、無溶剤型の液付加反応型シリコーン樹脂、調液後の粘度45Pa・s)。融点なし。
[実施例1]
経糸、緯糸いずれもナイロン66繊維の470dtex/136f(強度8.6cN/dtex)を用いて平織物を作製し、精練、セットを行い、経、緯の織密度がいずれも18本/cmである布帛(布帛重量175g/m)を得た。次いで、この布帛の片側表面に、樹脂1を、ナイフコーティング法にて付与量15g/m(固形分)となるように付与した後、乾燥および160℃で1分間熱処理を行い、本発明のエアバッグ用基布を得た。得られたエアバッグ用基布の重量は190g/mであった。表1に示すように、得られたエアバッグ用基布は軽量で、不通気性に優れ、MIは55g/10minであり、溶融混合後の状態は均質であった。
[比較例1]
樹脂の付与量を60g/m(固形分)とした以外は、実施例と同様にしてエアバッグ用基布を作製した。
得られたエアバッグ用基布は、表1に示すように、不通気性に優れ、MIは45g/10minであるが、得られたエアバッグ用基布の重量が235g/mと大きく、エアバッグ用基布に求められる軽量性を満たすものではなかった。
[比較例2]
樹脂の付与量を5g/m(固形分)とした以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用基布を作製した。
得られたエアバッグ用基布は、表1に示すように、軽量で、MIは60g/10minであるが、エアバッグ用基布に求められる不通気性を満足するものではなかった。
[比較例3]
基布を構成する繊維材料としてナイロン6繊維、樹脂として樹脂2を用いた以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布を作製した。
得られたエアバッグ用基布は、MI測定においてポリウレタン樹脂が熱分解したことにより、MIは極めて大きくなり、溶融混合物は均質な状態ではなかった。
[比較例4]
樹脂として樹脂3を用いた以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用基布を作製した。
得られたエアバッグ用基布は不通気性ではあるが、被覆材であるシリコ−ン樹脂が溶融しないため、MIは極めて小さくなり、溶融混合物も均質な状態ではなかった。
Figure 0005610902

Claims (5)

  1. ポリアミド系繊維布帛の少なくとも片側表面に、被覆材として熱可塑性ポリウレタン樹脂が配されてなるエアバッグ用基布において、
    該熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点が200℃以上、付与量が10〜50g/m(固形分)であり、さらに、該エアバッグ用基布を、ポリアミド系繊維布帛単体の融点から10℃高い温度において溶融したとき、得られるポリアミド系繊維布帛と被覆材との溶融混合物の、メルトフローインデックス(MI)(JIS K7210に規定)が、20〜200g/10minであることを特徴とするエアバッグ用基布。
  2. 前記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、ポリカーボネート型ポリウレタン樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載のエアバッグ用基布。
  3. 前記熱可塑性ポリウレタン樹脂には、架橋剤が含まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載のエアバッグ用基布。
  4. 前記ポリアミド系繊維布帛が、脂肪族ナイロン、半芳香族ナイロン、脂肪族ナイロンと半芳香族ナイロンとの共重合体または混合体、から選ばれた1種または2種以上のものからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
  5. 前記ポリアミド系繊維布帛を構成する繊維糸条が、溶融紡糸された長繊維からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のエアバッグ用基布。
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