JP7136107B2 - エアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物、ならびにそれを用いたエアバッグ - Google Patents

エアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物、ならびにそれを用いたエアバッグ Download PDF

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Description

本発明は、自動車安全部品であるエアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物に関するものであり、さらに詳しくは、エアバッグに必要とされる引張強度を維持しながら、軽量・コンパクトであり、展開時におけるエアバッグ縫製部へのダメージが軽減でき、安定したエアバッグ展開ができるエアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物に関する。
近年、車内空間の意匠性の向上や、運転席からの各種メーター視認性の向上、車の小型化が進む一方での車内空間の保持、走行中の燃費効率向上などの開発ニーズが存在し、エアバッグモジュールシステムの、軽量化・コンパクト化の要求が急速に高くなっている。
エアバッグモジュールシステムは、主に織物からなるエアバッグと、蓄圧空気や火薬を起爆材として瞬時にエアバッグを広げるインフレーターと呼ばれる展開装置で構成されている。特に、運転席や助手席といった前突向けのエアバッグに関しては、車内の意匠性に与える影響が大きいことから、インフレーターとして軽量・コンパクトで、かつ低コストである「パイロ型」と呼ばれるインフレーターが使用される。
このパイロ型インフレーターは火薬を使用するために、ガスの発生温度が高く、エアバッグに使用される織物に対し、熱風により与えるダメージが大きくなる傾向があり、特にカットアンドソーで形成されるエアバッグにおいては縫製部の孔から集中して放出される高温のガスによって孔が溶融し、隣の孔と孔が繋がって発生する目繋がりという問題が発生するケースがある。
上述の開発ニーズを達成すべく、エアバッグ用織物を軽量化・コンパクト化する目的で、使用するマルチフィラメント糸の総繊度を細くしたり、エアバッグ用織物に使用する織物の織密度を下げたりすると、マルチフィラメント糸一本あたりの熱容量が少なくなり、縫製部の孔を熱風が通過する際のマルチフィラメント糸一本あたりのダメージが大きくなる問題がある。
また、軽量・コンパクト性は良くなるが、エアバッグ用織物の引張強度が低下してしまい、乗員拘束時に必要とされるエアバッグの力学性能が得られない問題があった。
このようなエアバッグ用織物の軽量・コンパクト化に伴う課題を解決するため、種々検討されているが、いずれも課題を有するものであった。
特許文献1には、エアバッグ用織物の加工方法をよりマイルドな条件にすることによってエアバッグ用織物の解織糸の熱応力をコントロールし、エアバッグ展開時の本体織物の通気性を抑制する例が開示されている。
しかし、熱応力特性と縫製部ダメージに関する検証はなされておらず、また8.5%を超える高い沸騰水収縮率を有した原糸を使用した際には、加工条件を穏和な条件にしたことによって残存収縮率が高く、形態や物性の安定性に不安が残り、均一なエアバッグ展開ができない虞があった。
特許文献2は、従来の一般的なナイロン原糸の引張強度(8.5cN/dtex)に換え引張強度が9.0cN/dtex以上である高強力原糸を使用することによって、機械的特性を維持しつつ、柔軟性、薄地性、軽量性に優れたエアバッグ用織物を提供することが記載されている。
本発明では、原糸の高強力化の際に製造原理上生じてしまう“低伸度化”による製織工程時の毛羽発生を抑制しつつ、織物の抗目ズレ性を出すために、製織時にかなり高いテンションで製織を行なう必要がある。そのため、一般よりも重合度が高くて粘度の高いレジンを使用して、引張伸度20%以上の原糸を製造・使用することを特徴としている。
しかし、高粘度のレジンを原料として使用することは既存設備での応用が難しいという汎用性が良くない問題と、重合度の高いレジンの使用はコスト効率に優れていない問題がある。さらに、引張伸度が高い原糸を使用しているとはいえ、高テンションで製織を行なう必要があるため、欠点率を増加させないように織機の回転数を500~600rpmと比較的穏和な回転数で条件設定を行なっており生産性は考慮されていない。
また、エアバッグ展開が行なわれる際を想定した、高温下での抗目ズレ性については検討されておらず、特に原糸の収縮条件や熱応力による織物の目ずれの効果に関しては検討されていない。
特開2011-202340号公報 特開2013-189744号公報
本願発明は、上述の従来の問題点、課題を解決し、エアバッグに必要とされる引張強度を維持しながら、軽量・コンパクトであり、展開時におけるエアバッグ縫製部へのダメージが軽減でき、安定したエアバッグ展開ができるエアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、ついに本発明を完成するにいたった。すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.合成繊維からなる織物であって、織物を構成している繊維の総繊度が200~400dtexであり、210℃30秒間加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値が60%以上であり、残存収縮率が経緯方向ともに1.5%以下であることを特徴とするエアバッグ用織物。
2.織物を構成している繊維の引張強度が7.5~9.3cN/dtexである上記1に記載のエアバッグ用織物。
3.織物の単位面積当たりの質量が210g/m以下であり、厚さが0.3mm以下であり、引張強度が550N/cm以上である上記1または2に記載のエアバッグ用織物。
4.合成繊維としてポリマー硫酸相対粘度が3.0~3.5のポリアミド樹脂からなる引張強度が9.0cN/dtex以上であり、引張伸度が20%未満であり、総繊度が400dtex以下であり、単糸繊度が2~7dtexであり、沸水収縮率が7~12%であり、単糸断面直径変動係数がCV%で20%以下であるポリアミドマルチフィラメントを使用した上記1~3のいずれかに記載のエアバッグ用織物。
5.生機を製織後、80℃以上の熱水収縮工程、乾燥仕上工程を経ることにより製造される上記1~4のいずれかに記載のエアバッグ用織物。
6.上記1~5のいずれかに記載のエアバッグ用織物を用いたエアバッグ。
7.合成繊維からなる織物であって、コンパクト性試験係数が8000~11000mmであり、210℃30秒間加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値が60%以上であり、残存収縮率が経緯方向ともに1.5%以下であることを特徴とするエアバッグ用コーティング織物。
8.織物の厚さが0.3mm以下であり、引張強度が550N/cm以上である上記7に記載のエアバッグ用コーティング織物。
9.コーティング樹脂として、無溶剤系シリコーンを使用する上記7または8に記載のエアバッグ用コーティング織物。
10.上記7~9のいずれかに記載のエアバッグ用コーティング織物を用いたエアバッグ。
本発明は、収納時に軽量・コンパクトでありながら、エアバッグ展開時に必要な引張強度を有しており、従来よりも縫製部へのダメージを軽減でき、安定したエアバッグ展開ができるエアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物が得られるものである。
残存収縮率測定用の試験片の作成方法に関する図である。 解織糸の熱応力測定で得られるグラフの例を示した図である。 本発明で使用する原糸を製造する製造装置の一例を示した図である。
以下、本発明で得られるエアバッグ用織物を詳細に説明する。
本発明のエアバッグ用織物を構成する繊維の総繊度は200~400dtexであり、好ましくは235~370dtexであり、より好ましくは270~350dtexである。エアバッグ用織物を構成する繊維の総繊度は軽量・コンパクト性に着目すると小さければ小さいほど好ましいが、織物が必要とする熱容量や引張強度を考えると200dtex以上である。総繊度が200dtex未満であると、軽量・コンパクト性は優れるがエアバッグ用織物として必要な熱容量や引張強度が不足し、エアバッグ展開時の織物へのダメージが大きくなる。また、総繊度が400dtexを超えると、軽量・コンパクト化の達成が難しくなる。
なお、本発明において「エアバッグ用織物を構成する繊維」とは、エアバッグ用織物から取り出した繊維(以下「解織糸」という場合もある)のことを指し、エアバッグ用織物を生産するために使用する原糸とは異なるものである。
本発明のエアバッグ用織物を構成する繊維(解織糸)の単糸繊度は好ましくは1~7dtexであり、より好ましくは2~5dtexであり、さらに好ましくは2.5~4dtexである。単糸繊度が1dtex未満であると、単糸切れによる毛羽が生じやすくなり、紡糸操業性、製織稼動性の悪化に繋がる。また、単糸繊度が7dtexを超えると、単糸が太くなることで織物の剛直性が上がり、エアバッグ収納時の折り畳み性が悪くなり、コンパクト性が悪化する虞がある。
本発明のエアバッグ用織物のカバーファクター(CF)は好ましくは1800~2200であり、より好ましくは1900~2180であり、さらに好ましくは2000~2160である。カバーファクターが1800未満であると織物の引張強度が不足したり、縫製部の目ズレが生じやすくなる虞がある。また、カバーファクターが2200を超えると軽量・コンパクト性が達成できない。
なお、カバーファクター(CF)は下記の式により計算した。
CF=(A×0.9)1/2×(W1)+(B×0.9)1/2×(W2)
式中、AおよびBは織物の経糸および緯糸の繊度(dtex)を示し、W1およびW2は織物の経織密度および緯織密度(本/2.54cm)を示す。
本発明のエアバッグ用織物の厚みは好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.28mm以下であり、さらに好ましくは0.26mm以下である。厚みが薄い方がコンパクト性が向上する。厚みの下限は特に限定はしないが、通常は0.1mm以上である。
本発明のエアバッグ用織物の単位面積あたりの質量は好ましくは210g/m以下であり、より好ましくは200g/m以下であり、さらに好ましくは190g/m以下である。単位面積当たりの質量は軽量性の観点から小さいほうが好ましい。単位面積当たりの質量の下限は特に限定しないが、通常は100g/m以上である。
本発明のエアバッグ用織物は、後述するコンパクト性試験係数が好ましくは8000~11000mmであり、より好ましくは8500~10500mmであり、さらに好ましくは9000~10000mmである。コンパクト性試験係数は、エアバッグの収納性の指標であり、11000mm以下であれば要求されるコンパクト性が達成できる。コンパクト性だけを考えれば、コンパクト性試験係数の結果は数値が低いほど好ましいが、他の力学物性のバランスを考慮すると、8000mm以上が好ましい。
本発明のエアバッグ用織物を生産するために使用する原糸には高強度繊維を使用することが好ましい。軽量・コンパクト性と織物の引張強度はトレードオフの関係にあり、前者を達成するためには、織物を構成する繊維の総繊度を細くしたり、織密度を下げなければならないため、織物の引張強度は低下してしまうが、原糸に高強度繊維を使用することによって織物の引張強度を維持したまま、軽量・コンパクト化させることができる。本願において高強度繊維とは、引張強度が9.0cN/dtex以上の繊維を指す。高強度繊維の引張強度は高いほど好ましいが、引張強度が高くなるにつれて原糸毛羽が発生し易くなるため、高強度繊維としては好ましくは引張強度が9.0~10.5cN/dtexであり、より好ましくは9.1~10.0cN/dtexであり、さらに好ましくは9.2~9.5cN/dtexである。
本発明のエアバッグ用織物を生産するために使用する原糸に使用する高強力繊維の引張伸度は、好ましくは16%以上20%未満であり、より好ましくは16.5%以上19.5%以下であり、さらに好ましくは17%以上19%以下である。引張伸度が16%未満の原糸では、製織条件を穏やかにしても製織時に毛羽が発生し易くなる。
本発明のエアバッグ用織物の引張強度は経方向、緯方向ともに好ましくは550N/cm以上であり、より好ましくは580N/cm以上、さらに好ましくは610N/cmである。引張強度が550N/cm未満では、エアバッグ展開時の乗員拘束を十分に行なえない可能性がある。引張強度の上限は特に限定しないが、通常は1000N/cm以下である。
本発明のエアバッグ用織物を構成する繊維(解織糸)の引張強度は、経糸、緯糸ともに好ましくは7.5cN/dtex以上であり、より好ましくは7.8cN/dtex以上である。エアバッグ用織物を構成する繊維の引張強度が7.5cN/dtex未満となると、必要となる織物強力を維持することが難しくなる。引張強度の上限は特に限定しないが、エアバッグ用織物を構成する繊維の高強度化するために、エアバッグ用織物を生産するために使用する原糸を高強度化する際の毛羽の発生による紡糸性・製織稼動性を考えると、エアバッグ用織物を構成する繊維の引張強度は好ましくは9.3cN/dtex以下であり、より好ましくは9.0cN/dtex以下である。
本発明のエアバッグ用織物は、210℃で30秒間加熱した後の加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値が60%以上であり、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。エアバッグ展開時、軽量・コンパクト性に特化させた細繊度の原糸を使用した織物や低密度織物は、太繊度で高密度な織物に比較して熱容量が小さく、縫製部の目ズレ部からの熱風通過により、目繋がりを発生し易い傾向にある。そこで、210℃で30秒間加熱した後の織物が高温の状態で測定する滑脱抵抗値の常温で測定する滑脱抵抗値に対する保持率である加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値を60%以上にすることで、展開時の目ズレが発生しにくく熱風の通気が抑えられ、縫製部へのダメージを軽減することができる。加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値は高ければ高いほど好ましく、上限は特に限定しないが、通常は95%以下である。
本発明のエアバッグ用織物を構成する繊維(解織糸)の熱応力は、好ましくは0.60~0.80cN/dtexであり、より好ましくは0.62~0.78cN/dtexであり、さらに好ましくは0.65~0.75cN/dtexである。加熱後の滑脱抵抗保持率を高く保つためには、織物の状態で、高温の熱エネルギーを受けた際の熱応力を高く維持することが重要になる。熱応力が高いことで、パイロインフレーター等の起爆剤によってエアバッグを展開する際に高温にさらされる時に、特に縫製部の目合いが引き締まることで縫製部へのダメージが軽減される。熱応力が0.60cN/dtex未満では、前述する目合いの引き締まり効果が弱い。また、0.80cN/dtexを超えると、加熱時に局所的な収縮斑を引き起こす可能性があり、安定した展開性能を獲得することが難しい。
本発明のエアバッグ用織物の残存収縮率は、経緯方向ともに1.5%以下であり、好ましくは1.4%以下であり、より好ましくは1.3%以下である。エアバッグ用織物の残存収縮率が1.5%よりも大きいと、エアバッグ収納時の経時的な環境変化でエアバッグ用織物の寸法変化が生じ、正しい展開ができない虞がある。
前記、熱応力を高める方法の一つとして、後加工を穏やかな条件にしたり、精練・熱セット工程を省略したりすることによって繊維の収縮応力を残す方法があるが、この方法は織物の残存収縮率を高める結果となる。
本発明のエアバッグ用織物の特徴は、上述の通り、軽量・コンパクトな織物であるが、エアバッグとして必要な織物強度を維持しながら、懸念される縫製部へのダメージを軽減した長期的に安定なエアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物を提供することにある。発明者等らは、本発明のエアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物において鋭意検討した結果、後述する原糸・織物の製造方法・設定条件を適用することでこれを達成することができた。
以下、本発明に使用されるエアバッグ用原糸・織物の製造方法を詳細に説明する。
本発明のエアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物を生産するために使用する原糸の素材としては、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66の共重合体、ナイロン6にポリアルキレングリコールや、ジカルボン酸、アミンなどを共重合した共重合体、などのポリアミド繊維;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのホモポリエステル繊維、ポリエステルの繰り返し単位を構成する酸成分にイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸またはアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを共重合した共重合体、などのポリエステル繊維;パラフェニレンテレフタルアミドと芳香族エーテルとの共重合体に代表されるアラミド繊維;レーヨン繊維;ポリサルフォン系繊維;超高分子量ポリエチレン繊維;および上記合成繊維を主体とする海島構造を有する高分子配列体繊維から構成されるものを用いることができる。これらの中でもポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維が好ましく、ナイロン66、ナイロン6などのポリアミド繊維が耐衝撃性の面からより好ましい。
本発明のエアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物を構成する繊維にポリアミド繊維が用いられる場合、その繊維に使用するポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は好ましくは3.0以上であり、より好ましくは3.1~3.5である。硫酸相対粘度が3.0未満である場合は、高強度のポリアミド繊維を得ることが困難となり、エアバッグ展開時に必要な引張強度を有したエアバッグ用織物が得られない虞がある。また、硫酸相対粘度が3.5を超えると、コスト効率が好ましくないばかりか、紡糸後の分子鎖の絡みつきが大きいために既存設備によっては綺麗に延伸ができず、本来の目的とする高強度のポリアミド原糸を得ることが難しくなるので汎用性の観点で好ましくない。
また、本発明のエアバッグ用織物を生産するために使用する原糸はその一部または全部が再利用された原材料より得られるものでもよい。また、製造工程での工程通過性を向上させるために、各種添加剤を含有していても何ら問題はない。添加剤としては、例えば酸化防止剤、熱安定剤、平滑剤、帯電防止剤、増粘剤、難燃剤等が挙げられる。また原着糸や製糸後染色したものであっても何ら問題はない。
本発明のエアバッグ用織物を生産するために使用する原糸は定法に従い、原料樹脂を単軸または2軸などの押出機を用いて溶融押出し、ギアポンプを用いて計量し、適当な金属不織布フィルターを介してノズルへ押出して繊維状溶融物とした後、繊維状溶融物をそのままノズル直下の加熱筒を通過させて冷却風にて冷却し、紡糸油剤を付与し、引取りローラに巻回してそのまま延伸を行い、交絡処理後マルチフィラメントとして生産することができる。
上記の生産工程において、ノズルから押し出された繊維状溶融物は冷却筒で冷却風を当て固化させるが、ノズルと冷却筒の間に加熱筒または保温筒を設置することが、高強力で熱応力の高く残る原糸を製造するために重要である。ノズル面から冷却筒までの長さを加熱筒または保温筒の長さで調整することで、繊維の細化を遅延させ、繊維配向が上がり過ぎるのを防ぐことができる。ノズル面から冷却筒までの長さ(加熱筒または保温筒長さ)は、好ましくは150~500mmであり、より好ましくは200~400mmである。
加熱筒または保温筒内の雰囲気温度は好ましくは240~280℃であり、より好ましくは245~270℃である。雰囲気温度が240℃よりも低いと、延伸するまでに繊維の配向が上がりすぎて、高強力化・高熱応力化が難しくなる。雰囲気温度が280℃を越えると繊維の糸斑が多くなる。
冷却筒の冷却風の風速は、好ましくは0.2~1.0m/secであり、より好ましくは0.3~0.8m/secである。冷却風の風速が0.2m/sec未満であると冷却できずフィラメント間の斑が発生し易い。冷却風の風速が1.0m/secを超えると冷却風上流と下流側で冷却速度が異なりフィラメント間の斑が発生し易い。
また、冷却風の風速分布を制御することが均一で高強度な原糸を製造する上で重要である。具体的には、冷却筒内部の冷却風の風速分布をCV%で好ましくは9%以下に制御することであり、より好ましくは7%以下に制御することである。冷却風の風速分布の制御には、たとえば整流作用のある多孔質なメッシュフィルターを幾重に重ねたものを使用することができる。冷却筒のタイプは、一般的に環状タイプや横方向タイプのものが用いられるが、どちらを使用してもかまわない。
本発明のエアバッグ用織物を生産するために使用する原糸の生産工程において、ポリアミド樹脂を溶融させ、紡糸パックからノズルを介して空気中に押し出される際の単糸繊維の線速度(A)と最初の引取りローラー速度(B)の比である紡糸ノズルドラフト(B/A)が好ましくは100~220であり、より好ましくは120~200、さらに好ましくは140~180である。紡糸ノズルドラフトが100以上であると、ノズル直下の糸張力が上がることにより繊維断面の均一性が向上し、分子鎖が引揃えられた状態で延伸工程に供給することができ、単糸断面直径斑を抑えること、つまり均一性に優れた原糸を得ることができる。紡糸ノズルドラフトは高い方が分子鎖の引き揃え効果が高くなるので好ましいが、高すぎると延伸工程での毛羽が発生しやすくなり品位を損なうので、上記の通り好ましくは220以下である。
上記生産工程において、最初の引取りローラーへ巻き取る際に繊維に油剤を付与させることが必要である。油剤付与方法としてはガイドオイリング、ローラーオイリングなどがあるが、どちらを使用しても良い。使用する油剤は公知の油剤を使用することができる。
延伸工程では、糸に与える熱量(温度)・延伸倍率を自在に変えることのできる延伸ローラを用いて、2段階以上の多段延伸を実施し、その後に熱セット、弛緩処理を行い、高い総延伸倍率に設定することが必要である。
第1段階の延伸では、30~100℃のロールで冷延伸を行い、第2段階の延伸では150~250℃のロールで熱延伸を行うことが好ましい。延伸方法は公知の手法を使用することができる。各冷延伸と熱延伸の倍率比である冷熱延伸倍率比は下記の式に基づき求められる。
冷熱延伸倍率比=冷延伸倍率/熱延伸倍率
ここで、冷延伸倍率とは冷延伸を行う各ローラー間の速度比のことであり、熱延伸倍率とは熱延伸を行う各ローラー間の速度比のことである。
冷延伸工程と熱延伸工程の倍率比は、原糸物性の結果に大きく影響する。高熱応力で高強度な原糸を製造するためには、冷延伸工程でなるべく原糸を構成する分子鎖を引き伸ばしてやることが重要であり、これを達成するためには冷延伸と熱延伸の倍率比である冷熱延伸倍率比を好ましくは1.5~2.8に設定する必要があり、より好ましくは1.8~2.4に設定する必要がある。
冷延伸工程では、延伸温度が低すぎると分子鎖の動きが不十分となり、延伸において毛羽の発生原因となり、反対に延伸温度が高すぎると張力が下がり、続く延伸工程において延伸の斑に繋がり、毛羽・糸の機械的特性の低下原因となる。そのため、延伸温度は好ましくは30~100℃であり、より好ましくは40~90℃であり、さらに好ましくは45~85℃である。
熱延伸工程では、延伸温度が低い場合、張力が高くなりすぎローラーとの摩擦が上がり毛羽の発生に繋がり好ましくない。反対に延伸温度が高すぎると延伸中に結晶化が進みすぎ、延伸での毛羽の原因となったり、続いて行われる熱セットのコントロール性が難しくなる。そのため、延伸温度は好ましくは150~250℃であり、より好ましくは160~240℃であり、さらに好ましくは170~230℃である。
上記の延伸工程は2段階よりも多段階であれば、段階数は特に限定されるものではない。
熱セット工程では、緊張状態で走行する糸に対して熱を付与する。例えば、表面温度を所定温度に設定したローラー上に糸条を走行させることで熱セットを行うことが出来る。本発明では、高温での熱セットを行うことが重要であり、熱セット温度は好ましくは210~240℃であり、より好ましくは215~235℃である。熱セット温度が210℃未満であると分子鎖の熱セット効果が十分ではなく、原糸の巻き締まりを誘発して安定した原糸解除ができない。さらに織物にしたあとでも一定の熱応力が維持できない。熱セット温度が240℃を超えると、分子の酸化劣化が進行し、原糸強力が低下してしまう。
熱セット工程通過後、弛緩処理を行うために張力緩和を実施する必要がある。例えば、ロールとロールの回転数比を前段階の工程よりも引き下げてやることにより達成できる。本発明では、緩和率をなるべく低くすることが重要であり、好ましくは2~4%であり、より好ましくは2.5~3.5%である。緩和率を低くすることで、目的の総延伸倍率にするための余剰な延伸を最小限に抑えることができるため、延伸倍率を高くしすぎなくても原糸が高強度化でき、原糸毛羽も少ない糸ができる。また、製織後の後加工時の収縮率を高めることにもつながり、後述する製織時の条件を穏やかに設定することができるため、特別な高粘度レジンから作られた高伸度な糸を使うことなく、安定した生産操業が可能である。また、後工程で収縮加工を経ることによって、製織条件を穏やかに設定しても加工時に目が引き締まり、織物の抗目ズレ性を高めることができるため大変重要である。従来の技術では、緩和率を低くしすぎると残存張力による原糸の解除不良や、織物にした後の残存収縮が課題であったが、前述した、紡糸条件・延伸条件を所定の条件に落とし込むことでこれらの課題を解決できることを見出した。緩和率が2%未満では、巻き取られた糸の残存張力が高すぎパッケージング形状が悪くなり解除性が困難になったり、捲き締りなどが発生する。緩和率が4%を超えると、加工工程で必要となる収縮率を得ることが難しくなる。また、本発明に必要な高強力糸、高熱応力をもつ原糸が得られない。
これら前記で得られた延伸糸は、公知の方法を用いて、糸条に、交絡を付与し、巻き取る。糸条に付与する交絡は、15~25個/mの交絡数が得られるように、交絡装置の種類や付与条件を変更すればよい。
本発明の高強力原糸の製造では、総延伸倍率は好ましくは4.8~5.4倍であり、より好ましくは4.9~5.3倍であり、さらに好ましくは5.0~5.2倍である。総延伸倍率が4.8倍未満になると糸強度が低くなり、必要な織物強度が得られない。総延伸倍率が5.4倍を越えるとフィラメントの単糸切れを引き起こすため好ましくない。
上述の方法で生産した原糸の沸騰水収縮率は、好ましくは7.0%を超えて12%以下であり、より好ましくは7.5%以上11.8%以下であり、さらに好ましくは8.0%以上11.5%以下である。沸騰水収縮率を高く設定することで、原糸の高強力化が有効に行え、穏やかな製織条件で効率良く高密度な織物を製織でき、織物の抗目ズレ性を飛躍的に高めることができる。
本発明の原糸は、後述する測定方法によって測定される単糸断面直径の変動係数が好ましくは20%以下であり、より好ましくは18%以下であり、さらに好ましくは16%以下である。前述した紡糸・延伸条件を取ることによって、高熱応力で高強度な品位的に優れた原糸を得ることができる。変動係数の下限は特に限定しないが、通常は3%以上である。
次に、本発明のエアバッグ用織物の製造方法について説明する。
本発明のエアバッグ用織物の製織に使用する織機としては、ウォータージェットルーム、エアージェットルーム、またはレピアルームなどが使用可能であり、特に限定されるものではない。生産性を高めるためには、中でも高速回転が可能なウォータージェットルームを用いるのが好ましい。
本発明のエアバッグ用織物の織組織としては、特に限定されるものではないが、織物の引張強度、縫製部の目ズレ耐性の観点から、平織形態とすることが好ましい。
本発明のエアバッグ用織物の製織時に経糸にかけるテンションはなるべく穏やかな条件を取ることが好ましく、好ましくは0.18~0.34cN/dtexであり、より好ましくは0.19~0.32cN/dtexであり、さらに好ましくは0.20~0.28cN/dtexである。経糸にかけるテンションが0.18cN/dtex未満では、織り前のせり出しが大きくなり、緯糸挿入時に安定した糸飛走が難しくなり製織性が著しく低下する。経糸にかけるテンションが0.34cN/dtexを超えると、製織時の連続開口運動や、筬さばきによって経糸へダメージが発生してしまい、単糸が切れることにより経毛羽が発生し、織機の稼動効率が低下したり、欠点数が増加したり、経方向の織物の引張強度が低下する。
本発明のエアバッグ用織物は、好ましくは900rpm以下、より好ましくは800rpm以下、さらに好ましくは750rpm以下の回転数で製織する。900rpmよりも回転数を上げると、製織時の連続開口運動や、筬さばきによる経糸へのダメージが大きくなり、安定して織機を稼動させることができない。
本発明のエアバッグ用織物は、前述のように製織時のテンションを穏やかな設定にすることによって、600rpmを超える高速回転数での製織を行っても稼動効率を高く維持できる。
その他の織機に関する設定としては、特に限定することなく公知の設定を適用させることができる。
上記の方法で生産される本発明のエアバッグ用織物は、織機の緯糸挿入ミス停台回数を2.0回/h以下に抑えることができ、高効率に製造することが可能である。停台回数が2.0回/hを超えると、操業効率が悪化する。停台回数は、より好ましくは1.5回/h以下であり、さらに好ましくは1.0回/h以下である。
機上で製織した生機は、つづいて精練・収縮加工・乾燥工程を通ることが重要である。
精練加工は、余分な繊維油剤を適度に脱落させることで織物に必要な抗目ズレ性を獲得するために重要である。方法に関しては、公知の手法・条件を適用すればよい。例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩などの精練剤を使用して処理を行っても良いし、後述する収縮加工と同時に熱水で処理してもよい。
収縮加工方法は限定的なものではなく、熱水による収縮加工、加熱炉を通過させることによる収縮加工などの処理をすればよい。ただし、エアバッグ用織物の残存収縮率の低減、抗目ズレ性の向上、熱応力を高めるといった観点では、熱水による収縮工程を行うことが好ましい。
熱水による収縮加工は、好ましくは80~100℃、より好ましくは85~99℃の湯槽の中に製織後の生機を通過させる。湯槽が80℃未満であると、織物に必要な収縮があまり起こらず、織物の抗目ズレ性を弱めてしまったり、残存収縮率を高めてしまう。加工時間に関しては、好ましくは15秒~3分であり、より好ましくは20秒~2分である。加工時間が15秒未満であると、残存収縮率を高めてしまう傾向がある。また、加工時間が3分を超えると生産効率が落ちる。
加熱炉を通過させることによる収縮加工は、好ましくは160~200℃、より好ましくは170~190℃で処理を行う。処理温度が160℃未満であると、収縮に必要な熱量が乏しく、必要な抗目ズレ性を得ることが難しい。また、処理温度が200℃を超えると、高温下における熱応力が低下してしまい、高温下での滑脱抵抗保持率が低下する傾向にある。加工時間に関しては、好ましくは30秒~2分、より好ましくは40秒~1分30秒である。加工時間が30秒未満であると、必要な収縮が行われず、抗目ズレ性を悪くする。また、加工時間が2分を超えるとポリマーの酸化劣化が進行し、織物強度が低下する。
続いて、乾燥仕上げ工程を通過させることが好ましいが、加熱炉による熱収縮加工を実施した際には、工程を省略することもできる。特に設備的な制限は無く、例えば乾燥ゾーンを2段階設け、2段階の温度を変えることが出来るゾーンを通過させることができる。乾燥ゾーンを2段階設ける方法としては、同一乾燥機中に仕切りをして雰囲気温度を変えられるようにしても良いし、別々にユニットを設け独立した系としても構わない。また乾燥機として、サクションドラム型乾燥機を用いることで省スペースでありながら高効率な乾燥が行えるので好ましい。
また、例えば2段階乾燥の場合は、乾燥仕上温度は1段階目の設定温度をT1とし、2段階目の設定温度をT2とした時に、好ましくはT1=50~170℃、T2=50~190℃、より好ましくはT1=70~130℃、T2=90~150℃で実施する。T1が50℃未満であると予備乾燥工程としての効果が発揮できず、また170℃を超えると急激な乾燥によりしわ等が発生し、織物品位が悪くなる。T2が50℃未満であると、予備乾燥の終わった織物に十分な熱量が付与ができず熱に対する安定性が悪化する。この結果、夏場の炎天下で自動車内部に保管されている際に熱による収縮が発生して寸法変化が生じ、展開時に問題を引き起こすことに繋がる。
上記の方法で生産される本発明のエアバッグ用織物は、経毛羽欠点数を3.0個/(長さ100m×幅1.5m)以下に抑えて生産することができる。経毛羽欠点数が3.0個/(長さ100m×幅1.5m)を超える織物だと、製織時に停台が増えて生産効率が悪いばかりか、エアバッグに加工する際の歩留まりが悪くなる。経毛羽欠点数は、より好ましくは、2.5個/(長さ100m×幅1.5m)以下であり、さらに好ましくは2.0個/(長さ100m×幅1.5m)である。
本発明のエアバッグ用織物は、公知の技術を用いてコーティング樹脂を織物表面に塗布させたエアバッグ用コーティング織物としても効果を発揮することができる。
本発明のエアバッグ用コーティング織物は、織物の両面にコーティングされた両面コーティング織物であってもよいが、収納性の点から、片面にのみにコーティングされる片面コーティング織物がより好ましい。
本発明に使用されるコーティング樹脂については特に制限はなく公知のものを使用することができる。具体的には、現在最も汎用化されているシリコーン系の樹脂でもよいし、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びこれらの水分散剤なども使用することができる。
コーティング樹脂の塗布方法に関しては、従来の公知の方法が用いられるが、コート量の調整の容易さや異物(突起物)混入時の影響の点から、ナイフフローティング方式が最も好ましい。ナイフコーティングの際に使用されるナイフは、その刃の先端形状として特に制限はなく公知のものが使用でき、例えば半円状、角状等が使用できる。
コーティング時においては、織物の長さ方向に張力をかける必要があり、この張力は0.02~0.12cN/dtexとすることが好ましい。この範囲とすることで、コーティング斑などの抑えた品位の良いコーティング織物に仕上げることができる。好ましくは、0.04~0.11cN/dtex、更に好ましくは0.06~0.10cN/dtexである。
塗布後のコーティング剤を乾燥、硬化させる方法としては、熱風、赤外光、マイクロウェーブなど、一般的な加熱方法を使用することが出来る。加熱温度、時間については、コーティング樹脂が硬化するのに十分な温度に達していればよい。例えば、非溶剤系のシリコーン樹脂を使用する場合、好ましくは加熱温度が150~220℃であり、加熱時間が0.2~5分である。
前記のエアバッグ用コーティング織物は、後述するコンパクト性試験係数が8000~11000mmであり、好ましくは8500~10500mmであり、より好ましくは9000~10000mmである。コンパクト性試験係数は、エアバッグの収納性の指標であり、11000mm以下であれば要求されるコンパクト性が達成できる。コンパクト性だけを考えれば、コンパクト性試験係数の結果は数値が低いほど好ましいが、他の力学物性のバランスを考慮すると、8000mm以上が好ましい。
前記のエアバッグ用コーティング織物は、210℃で30秒間加熱した後の加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値が60%以上であり、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。エアバッグ展開時、軽量・コンパクト性に特化させた細繊度の原糸を使用した織物や低密度織物は、太繊度で高密度な織物に比較して熱容量が小さく、縫製部の目ズレ部からの熱風通過により、目繋がりを発生し易い傾向にある。そこで、210℃で30秒間加熱した後の織物が高温の状態で測定する滑脱抵抗値の常温で測定する滑脱抵抗値に対する保持率である加熱後の滑脱抵抗保持率の平均値を60%以上にすることで、展開時の目ズレが発生しにくく熱風の通気が抑えられ、縫製部へのダメージを軽減することができる。加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値は高ければ高いほど好ましく、上限は特に限定しないが、通常は95%以下である。
前記のエアバッグ用コーティング織物の残存収縮率は、経緯方向ともに1.5%以下であり、好ましくは1.4%以下であり、より好ましくは1.3%以下である。エアバッグ用コーティング織物の残存収縮率が1.5%よりも大きいと、エアバッグ収納時の経時的な環境変化でエアバッグ用コーティング織物の寸法変化が生じ、正しい展開ができない虞がある。
前記、熱応力を高める方法の一つとして、後加工を穏やかな条件にしたり、精練・熱セット工程を省略したりすることによって繊維の収縮応力を残す方法があるが、この方法は織物の残存収縮率を高める結果となる。
前記のエアバッグ用コーティング織物の厚みは好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.28mm以下であり、さらに好ましくは0.26mm以下である。厚みが薄い方がコンパクト性が向上する。厚みの下限は特に限定はしないが、通常は0.1mm以上である。
本発明のエアバッグ用コーティング織物の単位面積あたりの質量は好ましくは240g/m以下であり、より好ましくは230g/m以下であり、さらに好ましくは220g/m以下である。単位面積当たりの質量は軽量性の観点から小さいほうが好ましい。単位面積当たりの質量の下限は特に限定しないが、通常は110g/m以上である。
前記のエアバッグ用コーティング織物の引張強度は経方向、緯方向ともに好ましくは550N/cm以上であり、より好ましくは580N/cm以上、さらに好ましくは610N/cmである。引張強度が550N/cm未満では、エアバッグ展開時の乗員拘束を十分に行なえない可能性がある。引張強度の上限は特に限定しないが、通常は1000N/cm以下である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例の詳細並びに、各種物性の測定方法に関して記述する。
(1)硫酸相対粘度R.V.(Relative Viscosity)
試料0.2gを96%硫酸(20ml)に十分溶解した後、オストワルド粘度計を用いて、水温20℃の環境下に5分放置後、該溶液の落下時間を測定した。溶媒の落下時間を同一の方法にて評価し、以下の式に基づいてR.V.を求めた。
硫酸相対粘度R.V.=試料の落下時間(秒)/溶媒の落下時間(秒)
(2)加熱筒内の雰囲気温度
安立計器株式会社製の温度センサSE60949を用いて、加熱筒内部上部・中部・下部の3点の温度を測定し、平均値を記録した。ここで上部とは鉛直方向に加熱筒の最上部から5cm下方に位置する点であり、下部とは最下部から5cm上方に位置する点であり、中部とは加熱筒の中心部の点である。いずれも幅方向の中心部、奥から10cmはなれた点で測定した。
(3)冷却風の風速分布
KANOMAX製の風速測定器Model6141を用いて、クエンチ部の幅方向に4点任意に選び、その選んだ4点の鉛直方向に対してなるべく均等に分布させた任意の9点について風速を測定し、つまり合計36点の測定点に関して、その変動係数CV%を算出した。
(4)原糸の総繊度
JIS L1013(2010) 8.3 A法に記載の方法で測定した。
(5)エアバッグ用織物を構成する繊維(解織糸)の総繊度
エアバッグ用織物を構成する繊維(解織糸)は、エアバッグ用織物の経糸と緯糸をそれぞれ解織し、JIS L1013(2010) 8.3 B法に記載の方法に基づいて測定した。初荷重をかけて正確に長さ30cmの試料(マルチフィラメント)1束を取り、絶乾質量を量り、次の式によって総繊度(dtex)を算出した。経糸および緯糸それぞれ5回ずつの平均値を経糸および緯糸の総繊度とした。
総繊度=1000×m/L×100+R0/100
式中、Lは試料の長さ(m)を、mは試料の絶乾質量(g)を、R0は公定水分率(%)を示す。
(6)単糸繊度
上記(4)または(5)で求めた総繊度を、マルチフィラメントを構成するフィラメントの本数で除して求めた。
(7)繊維の引張強度・伸度
JIS L1017(2002) 8.5記載の方法に基づきオリエンテック社製「テンシロン RTM-250」を用い測定したマルチフィラメントの引張強さを上記(4)または(5)で測定した総繊度で除して求めた。なお、伸度はS-S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
解織糸に関しては、織物から試長40cm程度の糸を、マルチフィラメントのバラケが出ないように慎重に取り出し、測定を行なった。
(8)沸騰水収縮率
JIS L1017(2002) 8.14記載の方法で測定した。
(9)原糸の単糸断面直径の変動係数
キーエンス社製マイクロスコープ(VH-6300) レンズ(VH-Z450)を使用して倍率1000倍にて原糸マルチフィラメント全数の断面直径を計測した。単糸断面直径の変動係数CV%は下式により計算する。CV%値が高いほど、バラツキが大きいことを示す。
単糸断面直径の変動係数(CV%)=(σ/X)×100
ここで、σは標準偏差であり、Xは平均値である。平均値と変動係数は、巻き取り糸の糸長方向に任意に20試料サンプリングし、それぞれの試料について上記方法より単糸断面直径を求め、平均値と標準偏差を算出した。
(10)織密度
JIS L1096(2010) 8.6 A法記載の方法で測定した。
(11)単位面積当たりの質量
サンプルを10cm×10cmの試験片2枚採取に変更した以外はJIS L1096(2010) 8.3.1記載の方法で測定した。
(12)厚み
JIS L1096(2010) 8.4 A法記載の方法で測定した。
(13)織物の引張強度・引張伸度
JIS L1096(2010) 8.14 A法(ラベルドストリップ法)記載の方法でオリエンテック社製「テンシロン RTM-250」を用い測定した。試験片をつかみ、試験片の幅50mm、つかみ間隔200mm、引張速度200m/minの条件で試験を行い、切断時の強さ(N)及び伸び率(%)を測定した。ただし、つかみから10mm以内で切れたもの、または異常に切れたものは除いた。
(14)加熱前・加熱後の滑脱抵抗値および210℃30秒加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値
経方向・緯方向をそれぞれ長軸として、5cm×15cmのサンプルを切り出した。ASTM D6479-15に使用される滑脱抵抗冶具にサンプルをセットし、東洋ボールドウィン製の引張試験機RTM-500を使用して、上チャックに冶具を挟み、固定した。チャック間隔が10cmとなるように下チャックにサンプルを挟み、210℃に熱した可動式のオーブンで、サンプルと滑脱冶具チャック全体を包み、その状態で30秒間静置させた。この時の温度は195℃~205℃の間であり、195℃を下回った場合には別のサンプルで測定をはじめからやり直した。静置後、クロスヘッドスピード200mm/minの条件で滑脱抵抗値を測定した。各方向で計5回の測定を実施し、平均値を記録した。経方向の結果は緯糸の滑脱抵抗値を、緯方向の結果は経糸の滑脱抵抗値を表している。
次に、同じ冶具を使用して、加熱しない状態(加熱前)でも同様の滑脱抵抗値の測定を行い、これをブランクとした。
経方向・緯方向のサンプルにおいて、加熱後の滑脱抵抗値と、加熱前(常温時)の滑脱抵抗値をそれぞれ経・緯方向の平均値として下式により算出した。
加熱前の滑脱抵抗値の経緯方向の平均値(N)
=(加熱前の経方向の滑脱抵抗値の平均値)+(加熱前の緯方向の滑脱抵抗値の平均値) / 2
加熱後の滑脱抵抗値の経緯方向の平均値(N)
=(加熱後の経方向の滑脱抵抗値の平均値)+(加熱後の緯方向の滑脱抵抗値の平均値) / 2
さらに、210℃30秒加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値を、下式より算出した。
210℃30秒加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値(%)
=加熱後の滑脱抵抗値の経緯方向の平均値(N)/加熱前の滑脱抵抗値の経緯方向の平均値(N)×100
(15)収納性試験
経方向に21cm×緯方向に20cmにサンプルをカットした。緯方向の幅が5cmとなるように、緯方向に3回蛇腹に折り畳んだ。さらに経幅が7cmとなるように、経方向に2回蛇腹に折り畳んだ。7cm×5cmの100gの鉄板を折り畳んだサンプルのてっぺんに乗せた。この時、サンプルが鉄板からはみ出さないように注意しながら置いた。東洋ボールドウィン製の引張・押込試験機RTM-500のアタッチメントとしてASTM D6478で使用する10cm×15cmの金属製押し込み板をセットして、サンプルを押し込み板の中心位置に来るように置いた。押し込み速度25mm/minにて設置したサンプルに対して垂直方向に圧縮試験を実施し、196N時の基布厚みを測定し、下記式よりコンパクト性試験係数を算出した。測定は5回行い、それぞれの測定の平均値を採用した。
コンパクト性試験係数(mm
=196N荷重時の折り畳み基布厚み(mm)×底面積(70mm×50mm)
(16)残存収縮率
相対湿度10~25%、温度50℃を超えない恒温乾燥機内に恒量になるまで予備乾燥した試料を準備した。予備乾燥した試料を温度20±2℃、相対湿度65±2%の試験室に恒量になるまで置いた後、経方向25cm×緯方向25cmにカットし、正方形のサンプルを2枚得た。図1に記載の様に印をつけた試験片を準備し、その試験片の印間の長さ(処理前の長さacm)を測定した。150℃に設定した恒温乾燥機に試験片を入れて、30分間放置した後、乾燥機から試験片を取り出し、温度20±2℃、相対湿度65±2%の場所に1時間以上放置した。その試験片の印間の長さ(処理後の長さbcm)を測定した。残存収縮率は次の式により計算した。
残存収縮率(%)=(a-b)÷a×100
(17)解織糸の熱応力
カネボウエンジニアリング社製KE-2S装置を用いて測定した。
測定方法は、織物から糸を取り出し、内径50mmの輪状に結んでサンプルを作成し、測定モードは熱応力モード(LOAD)、初荷重0.8cN/dtex、昇温速度150℃/minにて実施し、経時的な熱応力を測定した。得られるグラフは、図2のようになり、200℃以降で最大の応力を示した値を熱応力の値とした。
(18)カバーファクター(CF)
カバーファクターは以下の式で求めた。
CF=(A×0.9)1/2×(W1)+(B×0.9)1/2×(W2)
式中、AおよびBは織物の経糸および緯糸の太さ(dtex)を示し、W1およびW2は織物の経織密度および緯織密度(本/2.54cm)を示す。
(19)織機稼動性
津田駒製ウォータージェットルーム(ZW8100)を使用して700rpmの回転数で24時間織機を運転し、何回織機が停台したかをカウントした。織機が停台したときは、5分以内に処理を行って原因を取り除き、稼動を再開させた。緯糸には原糸毛羽が混入していないものを使用し、同じ機台を使用して相対評価を行った。停台回数が24回以内であるものを○、25回~50回停止したものを△、51回以上停止したものを×とした。
(20)緯糸挿入ミス回数
上記、稼動率評価を行った試験で緯糸挿入ミスの回数をカウントし、次の式に従い一時間当たりの停止回数を算出した。
緯糸挿入ミス停台回数(回/h)
=稼動時間中の全緯糸挿入ミス停台回数(回/24h)/稼動時間(h)
(21)経毛羽欠点数
稼動率評価を行った試験で出来上がった織物を検査し、次の式に従って、織物長100mあたりの1.0mm以上の経毛羽欠点をカウントした。
経毛羽欠点数(個/100m・幅1.5m)
=全織物長内に存在する経羽欠点数(個)/全織物長(m・幅1.5m)×100
(22)展開試験の縫製部ダメージ
円状に切り出したエアバッグ用織物を2枚重ね合わせ、最外周から2cmの間隔を空けて、1300dtexのナイロン66縫製糸を上糸下糸に使用して2.5mmピッチで2重に外周部に沿って本縫いを実施し、容量40Lのエアバッグを作成した。エアバッグの静展開後のピーク圧力が30kPaとなるようにベントホール径を調整して、展開試験を実施した。用いられるインフレーターを初めとする評価装置は一般的で公知のものを使用した。試験のばらつきも考慮するため合計3回の試験を実施した。
展開後のバッグを確認し、目繋がり(縫製部から熱風が通過することによる溶融で隣接する縫製孔同士がつながってしまう現象)が計3回の試験につき2回以上1箇所でも発生したものに関しては×、計3回試験で1回だけ最低1箇所でも発生したものに関しては△、計3回の評価で特に問題が無かったものに関しては○として記録した。△および○を合格とした。
(23)塗布量
JIS L 1096(2010) 8.4.2記載の方法にしたがって、コーティング基布の質量を測定した。次に、ブランク試料として、樹脂を塗布せずにコーティング時と同じ条件で加工処理を行った後、JIS L 1096(2010) 8.4.2記載の方法にしたがってブランク試料の質量を測定した。その後、コーティング基布の質量とブランク試料の質量との差を塗布量として算出した。なお、塗布量は、1mあたりの質量(g/m)で表した。
(24)コーティング時張力
コーティング時において、所定の張力となるよう、布巻き取り側のローラーのトルクから示される張力を用いて設定した。この値を布幅、経糸の織密度、繊度で割り返した値を用いた。
[実施例1]
硫酸相対粘度R.V.が3.2であるペレット状のナイロン66ポリマーを温度300℃にてエクストルーダー式押出機を用いて融解させ、その後、図3に示した製造設備を用いて紡糸した。スピンヘッドにて溶融ポリマーを295℃に均温化させた後、巻き取り後の糸の総繊度が235dtexとなるようにギアポンプにて計量し、紡糸口金パックより紡出させた。紡出されたポリマーは、雰囲気温度が260℃にコントロールされた300mmの保温筒内を通過し、風速分布を6%に制御したクエンチ風により冷却固化され、ノズルドラフト150の条件で糸条を形成させた。固化した糸条に公知の方法で油剤を付与した後、一旦巻き取ることなく引取りローラにて引取った。引取った糸条を、冷熱延伸倍率比を2.0の割合に調整して、冷延伸を50℃、熱延伸を180℃の条件で延伸を行った。延伸後の糸条は230℃の温度設定で熱セットを行い、3%の弛緩処理を施した後、公知の交絡付与装置にて適度な交絡を付与した後、巻取り機にて巻取った。この時の総延伸倍率は5.2倍であった。得られた原糸の物性を表1に記す。
得られた235dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、津田駒製ウォータージェットルーム(ZW8100)を用いて、機上設定密度を経緯ともに68本/2.54cmに設定して、織機回転数700rpm、経糸にかかる平均張力を0.25cN/dtexに設定して製織し、織物を得た。得られた織物を98℃の温水槽を通し、経糸方向の走行テンションが0.026cN/dtexとなるように加工テンションを調整して温水収縮処理を実施した。続けて0.026cN/dtexの経糸方向の走行テンション下で乾燥処理を施して、経、緯の織物密度が73本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表2に記す。
得られた織物は緯糸挿入ミスが少なく、織機稼動性に優れており、品位の良い織物に仕上がった。また、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も高いことから縫製部ダメージを受けにくい織物であった。織物の残存収縮率も少なく長期的な寸法・物性安定性も確保できるエアバッグ用織物となった。
[実施例2]
狙いとする総繊度を270dtexに変えて、冷熱延伸倍率比を2.2の割合に調整すること以外、実施例1と同様な条件で原糸を製糸した。得られた原糸の物性を表1に記す。
得られた270dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、機上設定密度を経緯ともに64本/2.54cmに設定して、経糸にかかる平均張力を0.23cN/dtexに設定したこと以外は実施例1と同様の方法で、経、緯の織物密度が69本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表2に記す。
得られた織物は緯糸挿入ミスが少なく、織機稼動性に優れており、品位の良い織物に仕上がった。また、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も高いことから縫製部ダメージを受けにくい織物であった。織物の残存収縮率も少なく長期的な寸法・物性安定性も確保できるエアバッグ用織物となった。
[実施例3]
経糸にかかる平均張力を0.23cN/dtexに設定し、織機回転数を900rpmに設定した以外は実施例2と同様の方法で平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表2に記す。
得られた織物は織機稼動性と品位の面で合格レベルの織物に仕上がった。また、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も高いことから縫製部ダメージを受けにくい織物であった。織物の残存収縮率も少なく長期的な寸法・物性安定性も確保できるエアバッグ用織物となった。
[実施例4]
狙いとする総繊度を310dtexに変えて、冷熱延伸倍率比を2.2の割合に調整し、総延伸倍率を5.1倍にしたこと以外、実施例1と同様な条件で原糸を製糸した。得られた原糸の物性を表1に記す。
得られた310dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、機上設定密度を経緯ともに59本/2.54cmに設定して、経糸にかかる平均張力を0.22cN/dtexに設定したこと以外は実施例1と同様の方法で、経、緯の織物密度が63本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表2に記す。
得られた織物は緯糸挿入ミスが少なく、織機稼動性に優れており、品位の良い織物に仕上がった。また、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も高いことから縫製部ダメージを受けにくい織物であった。織物の残存収縮率も少なく長期的な寸法・物性安定性も確保できるエアバッグ用織物となった。
[実施例5]
硫酸相対粘度R.V.が3.5であるペレット状のナイロン66ポリマーを使用して、狙いとする総繊度を310dtexに変え、冷熱延伸倍率比を2.4の割合に調整し、総延伸倍率を5.4倍としたこと以外、実施例1と同様な条件で原糸を製糸した。得られた原糸の物性を表1に記す。
得られた310dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、実施例4と同様の方法で、経、緯の織物密度が63本/インチの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表2に記す。
得られた織物は緯糸挿入ミスが少なく、織機稼動性に優れており、品位の良い織物に仕上がった。また、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も高いことから縫製部ダメージを受けにくい織物であった。織物の残存収縮率も少なく長期的な寸法・物性安定性も確保できるエアバッグ用織物となった。
[実施例6]
狙いとする総繊度を350dtexに変えて、総延伸倍率を5.1倍にしたこと以外、実施例1と同様な条件で原糸を製糸した。得られた原糸の物性を表1に記す。
得られた350dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、機上設定密度を経緯ともに54本/2.54cmに設定したこと以外は実施例1と同様の方法で、経、緯の織物密度が58本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表2に記す。
得られた織物は緯糸挿入ミスが少なく、織機稼動性に優れており、品位の良い織物に仕上がった。また、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も高いことから縫製部ダメージを受けにくい織物であった。織物の残存収縮率も少なく長期的な寸法・物性安定性も確保できるエアバッグ用織物となった。
[実施例7]
狙いとする総繊度を350dtexに変えて、冷熱延伸倍率比を2.7の割合に調整し、冷延伸を60℃、熱延伸を160℃で実施し、実施例1と同様な条件で原糸を製糸した。得られた原糸の物性を表1に記す。
得られた350dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、実施例6と同様の方法で、経、緯の織物密度が58本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表2に記す。
得られた織物は織機稼動性と品位の面で合格レベルの織物に仕上がった。また、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も良く、縫製部ダメージも合格レベルのエアバッグ用織物となった。
[実施例8]
狙いとする総繊度を350dtexに変えて、冷/延伸倍率比を1.6の割合に調整し、冷延伸を70℃、熱延伸を210℃で実施し、その後240℃の温度設定で熱セットを行い、4%の弛緩処理を施し、総延伸倍率を4.9倍としたこと以外、実施例1と同様な条件で原糸を製糸した。得られた原糸の物性を表1に記す。
得られた350dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、実施例6と同様の方法で、経、緯の織物密度が58本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表2に記す。
得られた織物は織機稼動性と品位の面で合格レベルの織物に仕上がった。また、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も良く、縫製部ダメージも合格レベルのエアバッグ用織物となった。
[実施例9]
狙いとする総繊度を350dtexに変えて、紡出されたポリマーは、雰囲気温度が240℃にコントロールされた150mmの保温筒内を通過し、ノズルドラフト110の条件で糸条を形成させて、冷熱延伸倍率比を2.2の割合に調整したこと以外、実施例1と同様な条件で原糸を製糸した。得られた原糸の物性を表1に記す。
得られた350dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、実施例6と同様の方法で、経、緯の織物密度が58本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表2に記す。
得られた織物は織機稼動性と品位の面で合格レベルの織物に仕上がった。また、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も良く、縫製部ダメージも合格レベルのエアバッグ用織物となった。
[実施例10]
狙いとする総繊度を350dtexに変えて、紡出されたポリマーは、雰囲気温度が280℃にコントロールされた500mmの保温筒内を通過し、風速分布を8%に制御したクエンチ風により冷却固化し、ノズルドラフト180の条件で糸条を形成させたこと以外、実施例1と同様な条件で原糸を製糸した。得られた原糸の物性を表1に記す。
得られた350dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、実施例6と同様の方法で、経、緯の織物密度が58本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表2に記す。
得られた織物は織機稼動性と品位の面で合格レベルの織物に仕上がった。また、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も良く、縫製部ダメージも合格レベルのエアバッグ用織物となった。
[実施例11]
実施例1と同じ方法で製糸、製織を行いエアバッグ用織物を得た。さらに、得られたエアバッグ用織物を使用して、片面に無溶剤系シリコーン樹脂を、先端形状が半円状で、先端部半径Rが0.3mmのナイフを用い、コーティング時の織物の長さ方向の張力を0.09cN/dtexに設定し、フローティングナイフコートにて塗布した。180℃で1分間硬化処理し、塗布量を21g/mにしたコーティング織物を得た。得られたコーティング基布の特性を評価し、表3に示した。
得られたコーティング織物は、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も高いことから縫製部ダメージを受けにくい織物であった。織物の残存収縮率も少なく長期的な寸法・物性安定性も確保できるエアバッグ用コーティング織物となった。
[実施例12]
実施例4と同じ方法で製糸、製織を行いエアバッグ用織物を得た。さらに、得られたエアバッグ用織物を使用して、片面に無溶剤系シリコーン樹脂を、先端形状が半円状で、先端部半径Rが0.3mmのナイフを用い、コーティング時の織物の長さ方向の張力を0.08cN/dtexに設定し、フローティングナイフコートにて塗布した。180℃で1分間硬化処理し、塗布量を20g/mにしたコーティング織物を得た。得られたコーティング基布の特性を評価し、表3に示した。
得られたコーティング織物は、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も高いことから縫製部ダメージを受けにくい織物であった。織物の残存収縮率も少なく長期的な寸法・物性安定性も確保できるエアバッグ用コーティング織物となった。
[実施例13]
実施例6と同じ方法で製糸、製織を行いエアバッグ用織物を得た。さらに、得られたエアバッグ用織物を使用して、片面に無溶剤系シリコーン樹脂を、先端形状が半円状で、先端部半径Rが0.4mmのナイフを用い、コーティング時の織物の長さ方向の張力を0.08cN/dtexに設定し、フローティングナイフコートにて塗布した。180℃で1分間硬化処理し、塗布量を25g/mにしたコーティング織物を得た。得られたコーティング基布の特性を評価し、表3に示した。
得られたコーティング織物は、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も高いことから縫製部ダメージを受けにくい織物であった。織物の残存収縮率も少なく長期的な寸法・物性安定性も確保できるエアバッグ用コーティング織物となった。
[実施例14]
実施例6と同じ方法で製糸、製織を行いエアバッグ用織物を得た。さらに、得られたエアバッグ用織物を使用して、片面に水分散させたポリアミド系樹脂を、先端形状が半円状で、先端部半径Rが0.3mmのナイフを用い、コーティング時の織物の長さ方向の張力を0.09cN/dtexに設定し、フローティングナイフコートにて塗布した。180℃で1分間硬化処理し、塗布量を7g/mにしたコーティング織物を得た。得られたコーティング基布の特性を評価し、表3に示した。
得られたコーティング織物は、軽量コンパクトでありながら十分な強度特性を満たしており、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も高いことから縫製部ダメージを受けにくい織物であった。織物の残存収縮率も少なく長期的な寸法・物性安定性も確保できるエアバッグ用コーティング織物となった。
[比較例1]
硫酸相対粘度R.V.が3.2であるペレット状のナイロン66ポリマーを温度300℃にてエクストルーダー式押出機を用いて融解させ、その後、スピンヘッドにて295℃に均温化させた。巻き取り後の糸の総繊度が235dtexとなるようにギアポンプにて計量し、紡糸口金パックより紡出させた。紡出されたポリマーは、雰囲気温度が260℃にコントロールされた300mmの保温筒内を通過し、風速分布を6%に制御したクエンチ風により冷却固化され、ノズルドラフト150の条件で糸条を形成させた。固化した糸条に公知の方法で油剤を付与した後、一旦巻き取ることなく引取りローラにて引取った。引取った糸条を、冷熱延伸倍率比を1.8の割合に調整して、冷延伸を50℃、熱延伸を180℃の条件で延伸を行った。延伸後の糸条は205℃の温度設定で熱セットを行い、5%の弛緩処理を施した後、公知の交絡付与装置にて適度な交絡を付与した後、巻取り機にて巻取った。この時の総延伸倍率は4.7倍であった。得られた原糸の物性を表4に示した。
得られた235dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、津田駒製ウォータージェットルーム(ZW8100)を用いて、機上設定密度を経緯ともに68本・2.54cmに設定して、織機回転数700rpm、経糸にかかる平均張力を0.25cN/dtexに設定して製織し、織物を得た。得られた織物を98℃の温水槽を通し、経糸方向の走行テンションが0.026cN/dtexとなるように加工テンションを調整して温水収縮処理を実施した。続けて0.026cN/dtexの経糸方向の走行テンション下で乾燥処理を施して、経、緯の織物密度が73本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表5に記す。
得られた織物は軽量コンパクトではあったが、十分な強度特性を有しておらず、織物を構成する繊維の熱応力が不十分であるため、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も低いことから縫製部ダメージを受け易い織物となってしまった。
[比較例2]
狙いとする総繊度を350dtexに変えて、比較例1と同様な条件で原糸を製糸した。得られた原糸の物性を表4に示した。
得られた350dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、機上設定密度を経緯ともに54本/2.54cmに設定したこと以外は比較例1と同様の方法で、経、緯の織物密度が58本/インチの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表5に記す。
得られた織物は軽量コンパクトではあったが、織物を構成する繊維の熱応力が不十分であるため、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も低いことから縫製部ダメージを受け易い織物となってしまった。
[比較例3]
比較例2で使用した350dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、津田駒製ウォータージェットルーム(ZW8100)を用いて、機上設定密度を経緯ともに55.5本/2.54cmに設定して、織機回転数700rpm、経糸にかかる平均張力を0.27cN/dtexに設定して製織し、織物を得た。得られた織物を70℃の温水槽を通し、経糸方向の走行テンションが0.026cN/dtexとなるように加工テンションを調整して温水収縮処理を実施した。続けて0.026cN/dtexの経糸方向の走行テンション下で乾燥処理を施して、経、緯の織物密度が58本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表5に記す。
得られた織物は織物を構成する繊維の熱応力を高くするために、穏和な条件で収縮処理を実施したため、縫製部へのダメージは合格レベルとなったが、残存収縮率が高いため長期的な寸法・物性安定性に心配が残る織物となってしまった。
[比較例4]
狙いとする総繊度を470dtexに変えて、比較例1と同様な条件で原糸を製糸した。得られた原糸の物性を表4に示した。
得られた470dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、機上設定密度を経緯ともに50本/2.54cmに設定したこと以外は比較例1と同様の方法で、経、緯の織物密度が54本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表5に記す。
得られた織物は織物を構成する繊維の熱応力が不十分であるため加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値も低いことから縫製部ダメージを受け易い織物となってしまった。また、繊度が太く軽量コンパクト性を達成するためには不適切な織物であった。
[比較例5]
狙いとする総繊度を270dtexに変えて、50mmの保温筒を使用し、冷熱延伸倍率比を2.0の割合に調整し、その後230℃の温度設定で熱セットを行い、7%の弛緩処理を施し、総延伸倍率を5.2倍としたこと以外、比較例1と同様な条件で原糸を製糸した。得られた原糸の物性を表4に示した。
得られた270dtexのナイロン66原糸を経糸・緯糸に使用して、津田駒製ウォータージェットルーム(ZW8100)を用いて、機上設定密度を経緯ともに68.5本/2.54cmに設定して、織機回転数700rpm、経糸にかかる平均張力を0.35cN/dtexに設定して製織し、織物を得た。得られた織物を50℃の温水槽で精練処理を実施したあと、110℃で1分間乾燥を行った。次いで、ピンテンターを使用し、織物走行方向・巾方向のオーバーフィードは実施せず、180℃30秒の熱処理を織物に施して経、緯の織物密度が69本/2.54cmの平織り布を得た。得られた織物の操業情報、物性・品位の結果を表5に記す。
得られた織物は後加工での沸水収縮加工を実施しなかっため、製織機上で高密度に製織する必要があり、高テンションを掛けていたために経糸毛羽が発生し易く、織機稼動性が悪くなってしまった。出来上がった織物の品位も悪く、経方向の織物強力の低下も確認された。
[比較例6]
比較例3で得られたエアバッグ用織物を使用して、片面に無溶剤系シリコーン樹脂を、先端形状が半円状で、先端部半径Rが0.4mmのナイフを用い、コーティング時の織物の長さ方向の張力を0.08cN/dtexに設定し、フローティングナイフコートにて塗布した。180℃で1分間硬化処理し、塗布量を25g/mにしたコーティング織物を得た。得られたコーティング基布の特性を評価し、表5に示した。
得られたコーティング織物は、コーティング時の加熱により残存収縮率が低減し長期的な寸法・物性安定性は改善されたが、加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値が低くなってしまい縫製部ダメージを受け易いコーティング織物となってしまった。
Figure 0007136107000001
Figure 0007136107000002
Figure 0007136107000003
Figure 0007136107000004
Figure 0007136107000005
本発明のエアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物は、収納時に軽量・コンパクトでありながら、エアバッグ展開時に必要な引張強度を有しており、従来よりも縫製部へのダメージを軽減でき、安定したエアバッグ展開ができるエアバッグ用織物およびエアバッグ用コーティング織物が得られるものであり、産業界への寄与大でる。
1:ノズル、2:加熱筒、3:冷却筒、4:溶融紡出糸、5:油剤付与装置、6:引取りローラー、7:第1延伸ロール、8:第2延伸ロール、9:熱セットロール、10:弛緩ロール、11:交絡付与装置 12:ワインダー

Claims (10)

  1. ポリマー硫酸相対粘度が3.0~3.5のナイロン66からなる織物であって、織物を構成している繊維の総繊度が200~400dtexであり、210℃30秒間加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値が60%以上であり、残存収縮率が経緯方向ともに1.5%以下であることを特徴とするエアバッグ用織物。
  2. 織物を構成している繊維の引張強度が7.5~9.3cN/dtexである請求項1に記載のエアバッグ用織物。
  3. 織物の単位面積当たりの質量が210g/m以下であり、厚さが0.3mm以下であり、引張強度が550N/cm以上である請求項1または2に記載のエアバッグ用織物。
  4. 合成繊維として引張強度が9.0cN/dtex以上であり、引張伸度が20%未満であり、総繊度が400dtex以下であり、単糸繊度が2~7dtexであり、沸水収縮率が7~12%であり、単糸断面直径変動係数がCV%で20%以下であるナイロン66マルチフィラメントを使用した請求項1~3のいずれかに記載のエアバッグ用織物。
  5. 生機を製織後、80℃以上の熱水収縮工程、乾燥仕上工程を経ることにより製造される請求項1~4のいずれかに記載のエアバッグ用織物。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のエアバッグ用織物を用いたエアバッグ。
  7. ポリマー硫酸相対粘度が3.0~3.5のナイロン66からなる織物であって、コンパクト性試験係数が8000~11000mmであり、210℃30秒間加熱後の滑脱抵抗保持率の経緯方向の平均値が60%以上であり、残存収縮率が経緯方向ともに1.5%以下であることを特徴とするエアバッグ用コーティング織物。
  8. 織物の厚さが0.3mm以下であり、引張強度が550N/cm以上である請求項7に記載のエアバッグ用コーティング織物。
  9. コーティング樹脂として、無溶剤系シリコーンを使用する請求項7または8に記載のエアバッグ用コーティング織物。
  10. 請求項7~9のいずれかに記載のエアバッグ用コーティング織物を用いたエアバッグ。
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