JP2012143779A - 鍛造用金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】等速ジョイント外輪部材の後方押出し成形に用いられる鍛造用金型において、従来よりも長寿命の鍛造用金型を提供すること。
【解決手段】周方向に所定の間隔で設けられ、中心軸X方向に沿って鍛造用金型10の先端まで延在する複数の凸部11a,11b,11cと、複数の凸部11a,11b,11cの間に設けられ、中心軸X方向に沿って先端まで延在する複数の溝部12a,12b,12cと、凸部11a,11b,11cと溝部12a,12b,12cとの境界部に設けられ、中心軸X方向に沿って先端まで延在する複数の鍔部13a〜13cと、を側面25に備える鍛造用金型10である。先端部の側面25には、外方に突出するランド面21が全周に亘って設けられ、鍔部13a〜13cにおけるランド面21は、中心軸X方向に対して傾斜した傾斜面のみで構成されている。
【選択図】図4
【解決手段】周方向に所定の間隔で設けられ、中心軸X方向に沿って鍛造用金型10の先端まで延在する複数の凸部11a,11b,11cと、複数の凸部11a,11b,11cの間に設けられ、中心軸X方向に沿って先端まで延在する複数の溝部12a,12b,12cと、凸部11a,11b,11cと溝部12a,12b,12cとの境界部に設けられ、中心軸X方向に沿って先端まで延在する複数の鍔部13a〜13cと、を側面25に備える鍛造用金型10である。先端部の側面25には、外方に突出するランド面21が全周に亘って設けられ、鍔部13a〜13cにおけるランド面21は、中心軸X方向に対して傾斜した傾斜面のみで構成されている。
【選択図】図4
Description
本発明は、鍛造用金型に関する。より詳しくは、等速ジョイント外輪部材の後方押出し成形に用いられる鍛造用金型に関する。
従来より、自動車の駆動力伝達部においてミッションと車軸とを連結し、エンジンの回転駆動力を車軸に伝達する等速ジョイントが知られている。この等速ジョイントは、ミッションに連結される軸部を備える外環部材と、車軸の先端部に嵌合する内輪部材と、を備える。外輪部材は中空のカップ形状を有し、その内周面に設けられた溝に、内輪部材の一部が摺動自在に係合する。これにより、ミッションと車軸とが連結され、エンジンの回転駆動力が車軸に伝達される。
ところで、外輪部材は、主に4つの工程からなる冷間鍛造法により製造される。具体的には、前方押出し成形により軸部を形成する第1工程と、据込み成形により据込み部を形成する第2工程と、後方押出し成形により中空部を形成する第3工程と、しごき成形により完成品を得る第4工程と、を経ることで、外輪部材が製造される。
例えば、上記の第3工程で用いられる柱状の鍛造用金型として、周方向に所定の間隔で設けられ、軸方向に沿って鍛造用金型の先端まで延在する複数の凸部と、これら複数の凸部の間に設けられ、軸方向に沿って鍛造用金型の先端まで延在する複数の溝部と、これら凸部と溝部との境界部に設けられ、軸方向に沿って鍛造用金型の先端まで延在する複数の鍔部と、を備える鍛造用金型が知られている(特許文献1参照)。また、鍛造用金型の先端部の側面には、外方に突出するランド面が全周に亘って設けられており、当該ランド面は、軸方向に対して平行なストレート面と、軸方向に対して傾斜した傾斜面とから構成されている。
ここで、上記第1工程〜第4工程のうち、後方押出し成形により中空部を形成する第3工程の成形荷重が最も高く、第3工程で用いる鍛造用金型に対する負荷が最も大きい。このため従来の鍛造用金型では、特に鍛造用金型を引抜く際に、外方に突出したランド面を有する鍔部のランド部が成形体の開口部と接触する等して破損し易く、鍛造用金型の寿命が短いという問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、等速ジョイント外輪部材の後方押出し成形に用いられる鍛造用金型において、従来よりも長寿命の鍛造用金型を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、等速ジョイント外輪部材(例えば、後述の等速ジョイント外輪部材4)の後方押出し成形に用いられる柱状の鍛造用金型(例えば、後述の鍛造用金型10)であって、前記鍛造用金型の側面(例えば、後述の側面25)には、周方向に所定の間隔で設けられ、軸方向(例えば、後述の中心軸X方向)に沿って前記鍛造用金型の先端まで延在する複数の凸部(例えば、後述の凸部11a,11b,11c)と、前記複数の凸部の間に設けられ、前記軸方向に沿って前記先端まで延在する複数の溝部(例えば、後述の溝部12a,12b,12c)と、前記凸部と前記溝部との境界部に設けられ、前記軸方向に沿って前記先端まで延在する複数の鍔部(例えば、後述の鍔部13a〜13c)と、を備え、前記鍛造用金型の先端部の側面には、外方に突出するランド面(例えば、後述のランド面21)が全周に亘って設けられ、前記鍔部における前記ランド面は、前記軸方向に対して傾斜した傾斜面のみで構成されていることを特徴とする。
従来の鍛造用金型では、軸方向に対して平行なストレート面と、軸方向に対して傾斜した傾斜面とで鍔部のランド面が形成されていたところ、本発明では、軸方向に対して平行なストレート面を設けず、軸方向に対して傾斜した傾斜面のみで鍔部のランド面を形成した。
これにより、例えば鍛造用金型を引抜く際に、外方に突出したランド面を有する鍔部のランド部(例えば、後述のランド部20)が成形体の開口部と接触することによって当該ランド部に生ずる引張り応力値を低減できる。このため、薄肉な鍔部のランド部が破損するのを抑制でき、鍛造用金型を長寿命化できる。また、ランド部に生ずる引張り応力値を低減できるため、鍛造用金型の引抜き荷重を低減できる。
これにより、例えば鍛造用金型を引抜く際に、外方に突出したランド面を有する鍔部のランド部(例えば、後述のランド部20)が成形体の開口部と接触することによって当該ランド部に生ずる引張り応力値を低減できる。このため、薄肉な鍔部のランド部が破損するのを抑制でき、鍛造用金型を長寿命化できる。また、ランド部に生ずる引張り応力値を低減できるため、鍛造用金型の引抜き荷重を低減できる。
本発明によれば、等速ジョイント外輪部材の後方押出し成形に用いられる鍛造用金型において、従来よりも長寿命の鍛造用金型を提供できる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る鍛造用金型を適用した、等速ジョイント外輪部材4の冷間鍛造法の各工程を示す図である。
図1に示すように、等速ジョイント外輪部材4の冷間鍛造法は、第1工程〜第4工程の4つの工程から構成される。
図1に示すように、等速ジョイント外輪部材4の冷間鍛造法は、第1工程〜第4工程の4つの工程から構成される。
第1工程では、円柱状のビレットBに対して、前方押出し成形を施す。これにより、軸部1aが形成された第1成形体1を得る。
第2工程では、第1成形体1に対して、据込み成形を施す。これにより、断面積が大きい据込み部2aが形成された第2成形体2を得る。
第3工程では、第2成形体2に対して、後方押出し成形を施す。これにより、中空部3aが形成された第3成形体3を得る。
第4工程では、第3成形体3に対して、しごき成形を施す。これにより、所望の形状及び仕上げ寸法に成形された完成品、即ち等速ジョイント外輪部材4を得る。
第2工程では、第1成形体1に対して、据込み成形を施す。これにより、断面積が大きい据込み部2aが形成された第2成形体2を得る。
第3工程では、第2成形体2に対して、後方押出し成形を施す。これにより、中空部3aが形成された第3成形体3を得る。
第4工程では、第3成形体3に対して、しごき成形を施す。これにより、所望の形状及び仕上げ寸法に成形された完成品、即ち等速ジョイント外輪部材4を得る。
ここで、各工程の成形荷重(鍛造荷重)は、例えば、第1工程では550ton、第2工程では570ton、第3工程では745ton、第4工程では85tonである。このように、第1工程〜第4工程のうち、後方押出し成形により中空部3aを形成する第3工程の成形荷重が最も高い。本実施形態に係る鍛造用金型は、この成形荷重が最も高く、鍛造用金型に対する負荷が最も大きい第3工程に適用される。
図2は、本実施形態に係る鍛造用金型10を適用した鍛造用金型装置30の型が開いている状態の縦断面図であり、図3は、当該鍛造用金型装置30の型が閉じている状態の縦断面図である。以下、鍛造用金型装置30の概略構成について説明する。
図2及び図3に示すように、鍛造用金型装置30は、後述する成形ダイを支持する第1ダイホルダ32及び第2ダイホルダ34を備える。
また、第1ダイホルダ32上に第3成形ダイ43を備え、この第3成形ダイ43上に第2成形ダイ42を備え、この第2成形ダイ42上に第1成形ダイ41を備える。
また、第1ダイホルダ32上に第3成形ダイ43を備え、この第3成形ダイ43上に第2成形ダイ42を備え、この第2成形ダイ42上に第1成形ダイ41を備える。
第1成形ダイ41、第2成形ダイ42及び第3成形ダイ43には、それぞれ、第1リング体44、第2リング体45及び第3リング体46が外嵌されている。
第1成形ダイ41の内部には、第2成形体2の据込み部2aを、中空部3aを有するカップ形状に成形するためのキャビティ56が設けられている。このキャビティ56内に、柱状の鍛造用金型10が挿入される。
第2成形ダイ42の内部には、第2成形体2の軸部を挿入するための軸部挿入部47が設けられている。軸部挿入部47の径は、キャビティ56の径よりも小さく設定されている。
軸部挿入部47の鉛直下方には、第3成形ダイ43から第1ダイホルダ32に亘って形成された孔部52と、この孔部52に連通する貫通孔54とが設けられている。この貫通孔54内には、上昇又は下降自在なノックアウトピン55が配設されている。
鍛造用金型10は、治具72を介して昇降部材70に固定されている。この昇降部材70は、図示しない機械プレスのラムに連結され、このラムと一体的に上下方向に変位する。これにより、鍛造用金型10は、機械プレスの駆動作用下で上昇又は下降自在となっている。
鍛造用金型10は、等速ジョイント外輪部材4における中空部4aの内周面形状に型彫りされた外周面形状を有する。以下、本実施形態に係る鍛造用金型10について詳しく説明する。
図4は、本実施形態に係る鍛造用金型10の先端部の斜視図であり、図5は、鍛造用金型10の先端部の横断面図である。
図4は、本実施形態に係る鍛造用金型10の先端部の斜視図であり、図5は、鍛造用金型10の先端部の横断面図である。
図4及び図5に示すように、鍛造用金型10の側面25には、鍛造用金型10の中心軸X方向に沿ってその先端まで延在する3つの凸部11a,11b,11cが、所定の幅をもって、周方向に等間隔で設けられている。また、凸部11a,11b,11cの間には、中心軸X方向に沿ってその先端まで延在する3つの溝部12a,12b,12cが、所定の幅をもって、周方向に等間隔で設けられている。
これら凸部11a,11b,11cと溝部12a,12b,12cとにより、等速ジョイント外輪部材4の内部に、内輪部材のトラニオンを受容する空間が形成される。
これら凸部11a,11b,11cと溝部12a,12b,12cとにより、等速ジョイント外輪部材4の内部に、内輪部材のトラニオンを受容する空間が形成される。
凸部11a,11b,11cと溝部12a,12b,12cとの境界部には、中心軸X方向に沿って鍛造用金型10の先端まで延在する6つの薄肉状の鍔部13a〜13cが、周方向に所定の間隔で設けられている。鍔部13a〜13cは、例えば凸部11a,11b,11cが突出する方向に対して略直交する方向に突出して設けられており、図5に示すように横断面視で、その突出する方向の先端部が曲面となっている。
これら鍔部13a〜13cにより、等速ジョイント外輪部材4の内周面に、トラニオンを構成するスライドローラの動作範囲を規制するアンダカット部が形成される。
これら鍔部13a〜13cにより、等速ジョイント外輪部材4の内周面に、トラニオンを構成するスライドローラの動作範囲を規制するアンダカット部が形成される。
鍛造用金型10の先端部の側面25には、外方に突出するランド面21が、全周に亘って形成されている。ランド面21は、鍛造用金型10の側面25(凸部11a,11b,11c、溝部12a,12b,12c及び鍔部13a〜13cを構成する鍛造用金型10の側壁)の先端部を構成し、このランド面21を有するランド部20が、鍛造用金型10の先端部に設けられている。
本実施形態のランド面21は、中心軸X方向に対して傾斜した傾斜面のみで構成されている。即ち、鍔部13a〜13cにおけるランド面21が、中心軸X方向に対して傾斜した傾斜平面と曲面とから構成されている。
本実施形態のランド面21は、中心軸X方向に対して傾斜した傾斜面のみで構成されている。即ち、鍔部13a〜13cにおけるランド面21が、中心軸X方向に対して傾斜した傾斜平面と曲面とから構成されている。
ここで、鍔部13a〜13cのランド面21(図3の破線部分)の形状に関して、以下のような検証を実施した。
先ず、鍔部のランド面を、最も外方に突出して中心軸方向に平行なストレート面と、中心軸方向に対して傾斜した傾斜平面と、所定の曲率半径を有する曲面とから構成した。また、ランド面の最も基端側の根元部(以下、ランド面の根元部)を構成する傾斜平面の中心軸方向に対する傾斜角度(以下、「傾斜角度」という)を、14°、9°、8°、6°と変化させた。
先ず、鍔部のランド面を、最も外方に突出して中心軸方向に平行なストレート面と、中心軸方向に対して傾斜した傾斜平面と、所定の曲率半径を有する曲面とから構成した。また、ランド面の最も基端側の根元部(以下、ランド面の根元部)を構成する傾斜平面の中心軸方向に対する傾斜角度(以下、「傾斜角度」という)を、14°、9°、8°、6°と変化させた。
図6は、上記のようにして作製した鍛造用金型について、鍔部が突出する方向に対して直交する方向から当該ランド面を視たときの模式図である。
図6(A)は、傾斜角度を14°に設定し、ランド面の中心軸方向の長さ(以下、「ランド面の長さ」という)を12.3mm、ストレート面の中心軸方向の長さ(以下、「ストレート面の長さ)という)を1.8mm、ランド面の根元部を構成する傾斜平面とストレート面との間に設けられた曲面(以下、「曲面」という)の曲率半径を10mmとしたものである。
図6(B)は、傾斜角度を9°に設定し、ランド面の長さを13.8mm、ストレート面の長さを0.8mm、曲面の曲率半径を10mmとしたものである。
図6(C)は、傾斜角度を8°に設定し、ランド面の長さを14.5mm、ストレート面の長さを1.5mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図6(D)は、傾斜角度を6°に設定し、ランド面の長さを17.5mm、ストレート面の長さを1.5mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図6(A)は、傾斜角度を14°に設定し、ランド面の中心軸方向の長さ(以下、「ランド面の長さ」という)を12.3mm、ストレート面の中心軸方向の長さ(以下、「ストレート面の長さ)という)を1.8mm、ランド面の根元部を構成する傾斜平面とストレート面との間に設けられた曲面(以下、「曲面」という)の曲率半径を10mmとしたものである。
図6(B)は、傾斜角度を9°に設定し、ランド面の長さを13.8mm、ストレート面の長さを0.8mm、曲面の曲率半径を10mmとしたものである。
図6(C)は、傾斜角度を8°に設定し、ランド面の長さを14.5mm、ストレート面の長さを1.5mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図6(D)は、傾斜角度を6°に設定し、ランド面の長さを17.5mm、ストレート面の長さを1.5mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図6(A)〜(D)に示す形状のランド面を有する各鍛造用金型について、型寿命を調査した。具体的には、鍔部のランド部に破損が生じるまでのショット数を調査した。その結果、図6に示すように、傾斜角度が9°のときに最も寿命が長いことが分かり、傾斜角度は9°に設定するのが最も好ましいことが検証された。
これは、従来の鍛造用金型の傾斜角度はおよそ11°〜12°であったところ、傾斜角度をより緩やかな9°とすることにより、後方押出し成形時に塑性変形し、鍛造用金型10の外周側に流れ込む成形素材の流動性が向上したことに起因するものと推測される。即ち、成形素材の流動性が向上することによって、鍔部のランド部に対する負荷が軽減され、鍛造用金型が長寿命化したものと推測される。
これは、従来の鍛造用金型の傾斜角度はおよそ11°〜12°であったところ、傾斜角度をより緩やかな9°とすることにより、後方押出し成形時に塑性変形し、鍛造用金型10の外周側に流れ込む成形素材の流動性が向上したことに起因するものと推測される。即ち、成形素材の流動性が向上することによって、鍔部のランド部に対する負荷が軽減され、鍛造用金型が長寿命化したものと推測される。
また、鍛造用金型を引抜く際に、ランド面の根元部と、上記の傾斜平面と曲面との境界部に生ずる引張り応力値(以下、応力値)を調査した。各応力値は図6に示す通りであり、これらの結果に基づいて、傾斜角度と応力値との関係を図7に示した。この図7から、いずれの部位においても応力値が800MPaを下回っていたのは、傾斜角度を9°に設定したもののみであり、引抜き時に両部位に生ずる応力値が低いものほど、寿命が長いことが検証された。
これは、傾斜角度を従来に比して緩やかな9°とすることにより、引抜き時に鍔部のランド部が成形体の開口部に接触することによってランド部に生ずる応力値を低減でき、ランド部が破損するのを抑制できるため、鍛造用金型が長寿命化したものと推測される。
また、図6に示すように、傾斜角度が9°のものは引抜き荷重が低いことも検証された。
これは、傾斜角度を従来に比して緩やかな9°とすることにより、引抜き時に鍔部のランド部が成形体の開口部に接触することによってランド部に生ずる応力値を低減でき、ランド部が破損するのを抑制できるため、鍛造用金型が長寿命化したものと推測される。
また、図6に示すように、傾斜角度が9°のものは引抜き荷重が低いことも検証された。
次いで、傾斜角度を9°に固定し、ストレート面の長さを、0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、0mmと変化させた。
図8は、このようにして作製した各鍛造用金型について、図6と同様に、鍔部が突出する方向に対して直交する方向から当該ランド面を視たときの模式図である。
図8(A)は、ストレート面の長さを0.5mmに設定し、ランド面の長さを12.8mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図8(B)は、ストレート面の長さを1.0mmに設定し、ランド面の長さを13.3mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図8(C)は、ストレート面の長さを1.5mmに設定し、ランド面の長さを13.8mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図8(D)は、ストレート面の長さを2.0mmに設定し、ランド面の長さを14.3mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図8(E)は、ストレート面の長さを0mmに設定、即ちストレート面を設けず、ランド面の長さを12.3mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図8は、このようにして作製した各鍛造用金型について、図6と同様に、鍔部が突出する方向に対して直交する方向から当該ランド面を視たときの模式図である。
図8(A)は、ストレート面の長さを0.5mmに設定し、ランド面の長さを12.8mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図8(B)は、ストレート面の長さを1.0mmに設定し、ランド面の長さを13.3mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図8(C)は、ストレート面の長さを1.5mmに設定し、ランド面の長さを13.8mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図8(D)は、ストレート面の長さを2.0mmに設定し、ランド面の長さを14.3mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図8(E)は、ストレート面の長さを0mmに設定、即ちストレート面を設けず、ランド面の長さを12.3mm、曲面の曲率半径を20mmとしたものである。
図8(A)〜(E)に示す形状のランド面を有する各鍛造用金型について、鍛造用金型を引抜く際に、ランド面の根元部と、傾斜平面と曲面との境界部に生ずる応力値を調査した。各応力値は図8に示す通りであり、これらの結果に基づいて、ストレート面の長さと応力値との関係を図9に示した。図9に示すように、いずれの部位においても応力値はストレート面の長さが短いほど応力値が低減し、最も低いのはストレート面を設けないものであった。この結果と上述の結果とから、最も応力値が低減したストレート面を設けないものが最も寿命が長いことが検証された。
また、図8に示すように、ストレート面を設けないものは引抜き荷重が最も低いことも検証された。
また、図8に示すように、ストレート面を設けないものは引抜き荷重が最も低いことも検証された。
以上のような構成を備える本実施形態の鍛造用金型10を適用した鍛造用金型装置30は、以下のように動作する。
先ず、鍛造用金型装置30のキャビティ56内に、第2成形体2を配置する。このとき、第2成形体2の軸部を軸部挿入部47に挿入する。
次いで、鍛造用金型10を下降させ、所定の成形荷重で後方押出し成形を施す。すると、塑性変形した成形素材は、鍛造用金型10の先端面から側面25側に移動し、ランド面21とキャビティ56の内壁面との間に形成される隙間に流れ込む。流れ込んだ成形素材は、鍛造用金型10の側面25とキャビティ56の内壁面との間を、鍛造用金型10の基端側に向かって流動する(図3参照)。これにより、カップ形状の中空部3aが形成される。
次いで、鍛造用金型10を引抜くことにより、中空のカップ形状を有する第3成形体3が得られる。
先ず、鍛造用金型装置30のキャビティ56内に、第2成形体2を配置する。このとき、第2成形体2の軸部を軸部挿入部47に挿入する。
次いで、鍛造用金型10を下降させ、所定の成形荷重で後方押出し成形を施す。すると、塑性変形した成形素材は、鍛造用金型10の先端面から側面25側に移動し、ランド面21とキャビティ56の内壁面との間に形成される隙間に流れ込む。流れ込んだ成形素材は、鍛造用金型10の側面25とキャビティ56の内壁面との間を、鍛造用金型10の基端側に向かって流動する(図3参照)。これにより、カップ形状の中空部3aが形成される。
次いで、鍛造用金型10を引抜くことにより、中空のカップ形状を有する第3成形体3が得られる。
本実施形態に係る鍛造用金型10によれば、以下の効果が奏される。
従来の鍛造用金型では、中心軸方向に対して平行なストレート面と、中心軸方向に対して傾斜した傾斜面とで鍔部のランド面が形成されていたところ、本実施形態では、中心軸X方向に対して平行なストレート面を設けず、中心軸X方向に対して傾斜した傾斜面のみで鍔部13a〜13cのランド面21を形成した。
これにより、例えば鍛造用金型10を引抜く際に、外方に突出したランド面21を有する鍔部13a〜13cのランド部20が成形体の開口部と接触することによって当該ランド部20に生ずる応力値を低減できる。このため、薄肉な鍔部13a〜13cのランド部20が破損するのを抑制でき、鍛造用金型10を長寿命化できる。また、ランド部20に生ずる応力値を低減できるため、鍛造用金型10の引抜き荷重を低減できる。
従来の鍛造用金型では、中心軸方向に対して平行なストレート面と、中心軸方向に対して傾斜した傾斜面とで鍔部のランド面が形成されていたところ、本実施形態では、中心軸X方向に対して平行なストレート面を設けず、中心軸X方向に対して傾斜した傾斜面のみで鍔部13a〜13cのランド面21を形成した。
これにより、例えば鍛造用金型10を引抜く際に、外方に突出したランド面21を有する鍔部13a〜13cのランド部20が成形体の開口部と接触することによって当該ランド部20に生ずる応力値を低減できる。このため、薄肉な鍔部13a〜13cのランド部20が破損するのを抑制でき、鍛造用金型10を長寿命化できる。また、ランド部20に生ずる応力値を低減できるため、鍛造用金型10の引抜き荷重を低減できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
4…等速ジョイント外輪部材
10…鍛造用金型
11a,11b,11c…凸部
12a,12b,12c…溝部
13a〜13c…鍔部
20…ランド部
21…ランド面
25…側面
30…鍛造用金型装置
X…中心軸
10…鍛造用金型
11a,11b,11c…凸部
12a,12b,12c…溝部
13a〜13c…鍔部
20…ランド部
21…ランド面
25…側面
30…鍛造用金型装置
X…中心軸
Claims (1)
- 等速ジョイント外輪部材の後方押出し成形に用いられる柱状の鍛造用金型であって、
前記鍛造用金型の側面には、周方向に所定の間隔で設けられ、軸方向に沿って前記鍛造用金型の先端まで延在する複数の凸部と、
前記複数の凸部の間に設けられ、前記軸方向に沿って前記先端まで延在する複数の溝部と、
前記凸部と前記溝部との境界部に設けられ、前記軸方向に沿って前記先端まで延在する複数の鍔部と、を備え、
前記鍛造用金型の先端部の側面には、外方に突出するランド面が全周に亘って設けられ、
前記鍔部における前記ランド面は、前記軸方向に対して傾斜した傾斜面のみで構成されていることを特徴とする鍛造用金型。
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