JP2012135418A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】ミシン本体のアーム部内における摺動部の焼き付きを防止することができるミシンを提供する。
【解決手段】ミシンは、軸受部50の内部にプランジャーポンプ53を設ける。プランジャーポンプ53は、下回転軸36の回転によって、油タンク10内の潤滑油を第二供給路82を介して軸受部47の穴471から上回転軸31内に設けた貫通穴に供給する。貫通穴25に供給した潤滑油は、歯車32に供給される。歯車32に供給した潤滑油は、歯車32が歯車34と共に回転した場合の摩擦による発熱を抑え、焼き付き現象を防止することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ミシン内部における摺動部にポンプを用いて潤滑油を供給するミシンに関する。
従来、ミシン本体のアーム部内における摺動部を潤滑する潤滑油を、ミシン本体の内部に設けたポンプを用いて供給するミシンがある。
特許文献1のミシンは、釜の駆動軸を支持する軸受にプランジャーポンプを備える。プランジャーポンプは、油タンクから潤滑油を汲み上げて釜に供給する。プランジャーポンプは、釜に給油した潤滑油の一部を、供給路を介してアーム部内の給油箇所に供給する。供給路は、その内部に油芯を挿通し、油芯の毛細管現象によって潤滑油をアーム部内の給油箇所に供給している。
特開2002−224484号公報
しかしながら、特許文献1のミシンは、釜に給油した潤滑油の一部をアーム部内の給油箇所へ供給路内の油芯によって供給するので潤滑油の流量が少ない。故に、ミシンは、アーム部内で特に負荷が大きく潤滑油を必要とする摺動部において、焼き付きが発生するという問題があった。
本発明の目的は、ミシン本体のアーム部内における摺動部の焼き付きを防止することができるミシンを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のミシンは、ベッド部と、前記ベッド部に設けられ、潤滑油を貯留する油供給源と、ミシンモータの駆動により駆動力が伝達されることで前記油供給源から前記潤滑油を汲み上げるポンプと、前記油供給源と前記ポンプとを接続し、前記油供給源から前記ポンプによって前記潤滑油を汲み上げる供給路とを備え、前記供給路を介して汲み上げた前記潤滑油を釜に供給するミシンにおいて、前記ミシンモータの駆動により回転し、且つ軸心方向に貫通穴を形成した上軸と、前記上軸に設け、前記上軸の駆動力を駆動機構に伝達する伝達機構と、前記上軸の貫通穴と前記上軸の外部とを接続し、且つ前記伝達機構に対応する位置に設けた穴と、前記ポンプと前記上軸の貫通穴とを接続する流路とを備え、前記ポンプによって前記釜に供給される前記潤滑油を前記流路に分岐し、前記貫通穴、前記穴を介して前記伝達機構に供給することを特徴とする。
請求項2に係る発明のミシンは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記駆動機構は、前記釜を支持する下軸を回転駆動する回転軸を有し、前記伝達機構は、前記回転軸と前記上軸とに設けた歯車であることを特徴とする。
請求項3に係る発明のミシンは、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記ポンプは、前記下軸を支持する軸受部に設けたことを特徴とする。
請求項4に係る発明のミシンは、請求項1から3の何れかに記載の発明の構成に加え、前記油供給源は、前記潤滑油を収容可能な油タンクであり、前記油タンクは、開口部を形成する外周壁と、前記開口部に対向する底部と、前記外周壁の内側において、前記開口部と前記底部との間、且つ前記底部と離間した位置に前記底部に対向するように設け、前記伝達機構に供給した前記潤滑油を受ける壁部である対向壁と、前記対向壁を前記開口部から前記底部に向かう方向に貫通する穴部とを備えたことを特徴とする。
請求項1のミシンでは、ポンプは、油供給源から汲み上げた潤滑油を釜に供給する。ポンプは、釜に供給した潤滑油を、流路を介して上軸の貫通穴に直接供給する。ミシンは、上軸の近辺に負荷が大きく潤滑を必要とする摺動箇所を有している。上軸の貫通穴内の潤滑油は、該摺動箇所付近に設けた上軸の穴から外部に流出し、該摺動箇所を潤滑する。それ故、ミシンは、潤滑油を上軸の内部に直接供給することで、ポンプから高圧で潤滑油を供給し、高圧な潤滑油は、上軸に設けた穴から外部に流出するのでミシンは、上軸の近辺の摺動箇所の焼き付きを防ぐことができる。
請求項2のミシンでは、請求項1に記載の発明の効果に加え、ミシンは、釜を駆動する回転軸と連結する上軸に設けた歯車に潤滑油を供給する。歯車は、上軸の回転による負荷が大きく、摩擦が発生しやすい。ミシンは、ポンプから高圧な潤滑油を上軸の貫通穴に供給するので、貫通穴から穴を介して歯車に十分な量の潤滑油を供給することができる。従って、ミシンは、摩擦が発生しやすい歯車の焼き付きを防ぐことができる。
請求項3のミシンでは、請求項2に記載の発明の効果に加え、ポンプは、下軸を支持する軸受部に設ける。ミシンは、ポンプを油供給源近傍ではなく下軸を支持する軸受部に設けたので、油供給源周辺のスペースを広くすることができる。従って、ミシンは、油供給源に収容する潤滑油の要領を増加することができる。
請求項4のミシンでは、請求項1から3の何れかに記載の発明の効果に加え、油供給源である油タンクは、底部と対向壁との間の空間に、ミシンの機構の潤滑用の潤滑油を収納可能である。潤滑に使用されてミシン内部から落下する潤滑油は、開口部を通って対向壁に落下する。対向壁に落下した潤滑油は、穴部を通って、底部と対向壁との間の空間に溜まる。ミシンが振動した場合、対向壁によって潤滑油は開口部から外部に漏れない。従って、ミシンは、潤滑油が油タンクの外部に漏れることを防止することができる。
ミシン1の正面図である。 ミシン1の外観、及びベッド部21の内部構成を示す斜視図である。 ミシン1内部の駆動機構を示す斜視図である。 図2のI−I線における矢視方向断面図である。 脚柱部22上端近傍の部分断面図である。 油タンク10の外観を示す斜視図である。 油タンク10の外観を示す斜視図である。 油タンク10の平面図である。 図8のV−V線における矢視方向断面図である。 図8のVI−VI線における矢視方向断面図である。 図4のII−II線における矢視方向断面図である。 図4のIII−III線における矢視方向断面図である。 図4のIV−IV線における矢視方向断面図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の紙面表側、紙面背面側を夫々、ミシン1の前側、後側とする。
図1、図2を参照しミシン1の全体構造について概略的に説明する。図1、図2に示すように、ミシン1は、ベッド部21、脚柱部22、アーム部23を備えている。ベッド部21は、左右方向に延びている。ベッド部21は、テーブル(図示略)上に設けてある。ベッド部21は、潤滑油を収容する油タンク10及び全回転釜46等を設けている。脚柱部22は、ベッド部21の右端から上方に延びている。アーム部23は、脚柱部22の上端から左方に延びている。アーム部23は、ベッド部21に対向している。
アーム部23の左端部は、針棒43を備えている。針棒43は、ミシンモータ(図示略)の駆動に基づいて上下に往復移動する。アーム部23は、左端の前側にスリット45を設けている。スリット45は、上下方向に延びている。天秤44は、スリット45から外部に突出している。天秤44は、針棒43の上下動に伴い、スリット45に沿って上下動する。
図3〜図5を参照しミシン1の駆動機構について説明する。図3に示すように、ミシン1は、上回転軸31、連結回転軸33、下回転軸36等を備えている。上回転軸31は、アーム部23(図1参照)内を左右方向に延びている。連結回転軸33は、脚柱部22(図1参照)内を上下方向に延びている。下回転軸36は、ベッド部21(図1参照)内を左右方向に延びている。
上回転軸31は、右端にミシンモータ(図示略)を設けている。上回転軸31は、ミシンモータの駆動によって回転する。上回転軸31は、その左右方向略中央部分において軸受部47に支持されている。図5に示すように、軸受部47は、アーム部23に固定している。上回転軸31は、軸受部47内周面に連通する穴24と、穴24下端と接続し、後方且つ水平に延びる貫通穴25とを有する。上回転軸31は、軸受部47の右方に傘状の歯車32を設けている。上回転軸31は、歯車32の近傍に貫通穴25と連通する穴26を有する。上回転軸31は、軸受部47の右側且つ歯車32の左側にクランク17を固定している。
クランク17は、前記ミシンモータによる上回転軸31の回転によって送り機構49を駆動する。上回転軸31は、クランク17を固定した箇所に貫通穴25と連通する穴27を有する。軸受部47は、前側に穴471を設けている。穴471は、後述する第二供給路82と接続している。上回転軸31が回転して穴471が穴24と連通したとき、第二供給路82を流れる潤滑油は、穴471から貫通穴25に流れる。貫通穴25を流れる潤滑油は、上回転軸31の回転に伴い穴26、27から上回転軸31外部に流れ、クランク17及び歯車32に到達する。
上回転軸31は、その前端に針棒上下動機構41を設けている。針棒上下動機構41は、針棒43を支持している。針棒43は、その下端に縫針42を設けている。針棒上下動機構41は、前記ミシンモータによる上回転軸31の回転によって駆動する。針棒上下動機構41の駆動によって、針棒43は上下動する。
連結回転軸33は、その上端に傘状の歯車34を設けている。歯車34は、上回転軸31に設けた歯車32と噛み合っている。連結回転軸33は、上回転軸31の回転に伴い回転する。連結回転軸33は、その下端に傘状の歯車35を設けている。連結回転軸33は、前記ミシンモータによって回転する上回転軸31の回転駆動力を下回転軸36に伝達する。下回転軸36は、その右端に傘状の歯車37を設けている。歯車37は、連結回転軸33の下端に設けた歯車35と噛み合っている。下回転軸36は、連結回転軸33の回転に伴い回転する。
下回転軸36は、その左右方向略中央部分に軸受部48を設けている。下回転軸36は、左端に全回転釜46(図2参照)を設けている。全回転釜46は、下回転軸36の回転によって回転する。全回転釜46は、縫針42の上下動と同期して回転する。
下回転軸36は、全回転釜46の右側に軸受部50を設けている。軸受部48、50は、下回転軸36を支持する。下回転軸36は、軸受部50内を左右方向に貫通する貫通穴51(図4参照)を通っている。貫通穴51の径は、下回転軸36の径と略同一である。
軸受部50は、プランジャーポンプ53(図4参照)を備えている。プランジャーポンプ53は、油タンク10に収容した潤滑油を第一供給路81を介して吸い込む。プランジャーポンプ53は、吸い込んだ潤滑油を第二供給路82に送り出す。第二供給路82は、プランジャーポンプ53によって送り出した潤滑油を軸受部47の穴471を介して上回転軸31の貫通穴に供給する。
図6〜図10を参照して、油タンク10について説明する。油タンク10は、半透明の樹脂で形成し、脚柱部22の下方のベッド部21に固定してある。油タンク10は、連結回転軸33に設けた歯車35及び下回転軸36に設けた歯車37の下方に位置する。
油タンク10は、底壁102(図9参照)、底壁102の縁から略鉛直方向に立ち上がる外周壁101、外周壁101と接続した第一対向壁113、第二対向壁114で主に形成している。
底壁102は、ベッド部21の前後方向全域に渡って形成した略矩形状の第一底壁1021と、第一底壁1021の左側後端部分から左方に突出した第二底壁1022とで形成している。
第一底壁1021の左端は、前後方向略中央部分が他の左端部分よりも右端側に窪む凹部1213を有している。第一底壁1021は、第一底壁1021の凹部1213後側下面に、第一底壁1021の下面から上方に窪む矩形状の底壁凹部1212を有している。底壁凹部1212は、油タンク10の外側から磁石を嵌めることで、後述する潤滑油収容部12内の潤滑油に含まれる埃、屑等を底壁凹部1212付近に吸着することができる。第一底壁1021の右側前端及び後端は、角部を取り除いた形状となっている。
第二底壁1022は、左右方向に長い略矩形状である。尚、第二底壁1022の右端は、第一底壁1021の後左端と接続している。第一底壁1021、第二底壁1022の外周縁には、略鉛直方向に立ち上がる外周壁101が接続している。
外周壁101は、第一底壁1021右端に接続した側壁1011、第一底壁1021前端に接続した側壁1012、第一底壁1021左端に接続した側壁1013、第一底壁1021後端及び第二底壁1022後端に接続した側壁1014、第二底壁1022前端に接続した側壁1015、第二底壁1022左端に接続した側壁1016を備えている。側壁1011、1012、1014の高さは、略同一である。側壁1013、1015、1016の高さは略同一且つ側壁1011、1012、1014の高さの略1/2である。側壁1013は、第一底壁1021を鉛直方向に伸ばした形状であり凹部1213を形成している。図7に示すように、側壁1012は、高さ方向の中間部から上端が左方に突出している。側壁1016の側壁1014と接続する部分は、側壁1014と同一高さである。側壁1016は、前後方向中央部より前側において側壁1015と略同一高さとなっている。
油タンク10は、側壁1011、1012、1014の高さ方向で略中間位置に第一底壁1021と略平行であり、平面視略矩形状である第一対向壁113を有している。油タンク10は、第一対向壁113の左端から鉛直方向に伸びる側壁1017を有している。側壁1017の前後方向の長さは、第一対向壁113の前後方の長さよりも短い。側壁1017の前後端は、側壁1012、側壁1014と接続していない。第一対向壁113は、側壁1013の上端と接続している。
第一対向壁113は、前後方向中央より前側且つ左右方向中央より右側に収容穴部1131を設けている。収容穴部1131は、外周壁101から離間した位置にある。収容穴部1131は第一対向壁113を貫通している。第一対向壁113は、側壁1012から収容穴部1131側に向かって下方に傾斜する第一傾斜部1132を備えている。第一傾斜部1132は、第一対向壁113の上面に落下した潤滑油を収容穴部1131に導く。第一対向壁113は、収容穴部1131の周囲に収容穴部1131に沿った溝部1133を設けている。溝部1133は、第一対向壁113の上面から下方に向けて設けてある溝である。潤滑油が収容穴部1131を通って第一底壁1021に移動する際、溝部1133は潤滑油に含まれる埃、糸屑等の異物を取り除く。作業者は、溝部1133を利用して、フィルタ(図示略)を取り付けることができる。
第一対向壁113は、左側前方に土台部112を有している。側壁1013の左側、即ち凹部1213形成部上方に位置する土台部112は、上向に立設する円筒部60を設けている。円筒部60は、円筒部60の内側を上下方向に貫通する穴である円筒穴601を有する。円筒穴601は、後述するレバー部材98が挿通してある。円筒部60の高さは、側壁1011、1012、1014、1017の高さと略同一である。
油タンク10は、第二底壁1022の上方に第二対向壁114を有している。第二対向壁114は、側壁1015、側壁1016、側壁1014、第一対向壁113と接続している。図9に示すように、第二対向壁114の略前側半分は、上方に膨らんだ形状となっている。第二対向壁114の略後側半分は、平坦且つ左端よりも右端が低くなる第二傾斜部1141(図10参照)を形成している。第二対向壁114の右端は、第一対向壁113と接続している。
油タンク10は、第一底壁1021、第二底壁1022、第一対向壁113、第二対向壁114、側壁1011、1012、1013、1014、1015、1016で囲まれた潤滑油収容部12を有する。油タンク10は、第一対向壁113、第二対向壁114、側壁1011、1012、1014、1015、1016、1017で囲まれた潤滑油受部11を有する。潤滑油受部11は、側壁1011、1012、1014、1015、1016、1017の上端で形成したタンク開口部103を介して脚柱部22内から垂れ落ちた潤滑油を受ける。収容穴部1131は第一対向壁113を貫通し、潤滑油受部11側と潤滑油収容部12側を連通する。
潤滑油受部11は、第二供給路82及び軸受部47を介して歯車32(図3参照)に供給した潤滑油が、脚柱部22(図1参照)内を下方に垂れ落ちた場合に、垂れ落ちた潤滑油を受けることができる。潤滑油を供給した歯車32が歯車34と共に回転した場合、潤滑油は霧状となって周囲に放出する場合がある。放出した霧状の潤滑油は、脚柱部22内に飛散する。潤滑油受部11は、脚柱部22内に飛散した霧状の潤滑油が滴下して下方に垂れ落ちた場合に、垂れ落ちた潤滑油を受けることができる。
ミシン駆動部に供給した潤滑油は、潤滑油受部11の第一対向壁113上面に設けた第一傾斜部1132及び収容穴部1131を通って、潤滑油収容部12に溜まる。
潤滑油収容部12を形成する側壁1012は、側壁1013と接続している部分に側壁1012を貫通する前面穴1211を有している。油タンク10に外部から潤滑油を供給する場合、作業者はミシン1を倒して、潤滑油供給用のホース(図示略)を前面穴1211に挿入し潤滑油を供給する。
油タンク10は、第二底壁1022の右側前端から側壁1015に渡って傾斜部1221を形成している。ミシン1を倒した場合、傾斜部1221は、油タンク10が膝操作機構(図示略)と干渉するのを防止する。
油タンク10は、側壁1016に左方に延びる円筒部1223を有している。円筒部1223は、その内側に潤滑油収容部12の内部に貫通する穴を形成している。円筒部1223は、第一供給路81と接続している。プランジャーポンプ53は、第一供給路81を介して潤滑油収容部12の内部の潤滑油を吸い上げる。油タンク10は、側壁1016に排出路83を接続している(図2参照)。排出路83は、プランジャーポンプ53から漏れた潤滑油を潤滑油収容部12に向けて排出する。
以上のように、油タンク10は、脚柱部22の下側を潤滑油受部11が覆っているので、歯車32に供給した潤滑油を潤滑油受部11によって受けることができる。故に、油タンク10は、歯車32に供給した潤滑油を確実に回収することができる。油タンク10は、第一対向壁113、第二対向壁114上に溜まった潤滑油を、収容穴部1131を介して潤滑油収容部12に収容することができる。ミシン1が振動すると、潤滑油収容部12内に収容した潤滑油に対して振動が加わる。しかしながら、油タンク10は第一対向壁113、第二対向壁114を設けているので、潤滑油が振動しても潤滑油は潤滑油収容部12の外部に漏れることがない。
軸受部50とその周辺部について、図4、図12、図13を参照して説明する。図4に示すように、軸受支持部61は、ベッド部21内に設けてある。軸受支持部61は、軸受部50を周囲から覆って支持している。
軸受支持部61は、軸受部50の左右両側に軸受穴部62、63を設けている。軸受穴部62は、軸受部50の左側に設けてある。軸受穴部63は、軸受部50の右側に設けてある。軸受穴部62、63の径は、軸受部50の外径と略同一である。潤滑油溝部64は、軸受穴部62の内周壁に設けた溝である。潤滑油溝部64は、軸受部50の左端と接する部分に設けてある。潤滑油溝部65は、軸受穴部63の内周壁に設けた溝である。潤滑油溝部65は、軸受部50の右端と接する部分に設けてある。
軸受部50は、左右方向略中央且つ下側に、穴部52を備えている。穴部52は、軸受部50の周壁から中心に向かって延び、貫通穴51に接続している。軸受支持部61は、穴部52の下側に穴部66を備えている。穴部66は、その下側が栓(図示略)によって閉じてある。
図12に示すように、軸受部50は、内部にプランジャーポンプ53を設けている。プランジャーポンプ53は、カム54、プランジャー55、バネ56、流入路57、流出路58を備えている。カム54は、偏心カムである。カム54は、軸受部50の下側に設けた穴部52の上方に配置している。カム54は、下回転軸36の一部分である。プランジャー55は、穴部52に内在する。バネ56は、穴部66に内在する。バネ56は、プランジャー55を上方に付勢している。
流入路57は、軸受部50の周壁の前側(図12における左側)から軸受部50の中心に向かって延びる流路である。流入路57は、その端部が貫通穴51に接続する。流路68は、軸受支持部61の下端から上方に伸びる。流路68の上端部は、流入路57の端部に接続している。流路68の下端部は、第一供給路81に接続する。
流出路58は、軸受部50の中心から周壁の後側(図12における右側)に向かって延びる流路である。流出路58は、軸受部50内で左方(図12における背面側)に曲折する。流出路58は、更に軸受部50の中心方向に曲折して、貫通穴51の内壁に設けた凹状の溜り部59(図4参照)に接続している。溜り部59は、流出路58から流出した潤滑油を溜めることができる。
溜り部59は、溜まった潤滑油を図示外の流路によって軸受部50の外部に送る。該流路は、溜り部59から軸受支持部61内を下方に延びている。該流路は、その下端が第二供給路82に接続している(図2参照)。図3に示すように、第二供給路82は、ベッド部21内を軸受部50から右方に向かって延び、上方に曲折する。第二供給路82は、脚柱部22(図2参照)内を上方に向かって延び、軸受部47の前側の穴471に接続している。
図4に示すように、下回転軸36は、その内部に第三供給路69を設けている。第三供給路69は、下回転軸36内を軸方向に延びる流路である。第三供給路69は、その右端が溜り部59に接続している。第三供給路69は、その左端が下回転軸36の左側に設けた全回転釜46(図2参照)の内部に接続している。第三供給路69は、溜り部59に溜まった潤滑油を全回転釜46に供給することができる。
図13に示すように、流路71は、軸受支持部61の下端から上方に延びる。流路71は、その上端が軸受支持部61に設けた潤滑油溝部65の下側に接続している。流路71は、その下端が排出路83に接続している。排出路83は、油タンク10に接続している(図2参照)。
連結流路67は、潤滑油溝部65と流路71との接続部分の後側(図13における右側)に設けてある。連結流路67は、軸受支持部61内を左右方向に延びる。連結流路67の左端(図13における背面側)は、潤滑油溝部64(図4参照)に接続している。連結流路67の右端は、軸受部50に対して右側に設けた潤滑油溝部65に接続している。
プランジャーポンプ53の駆動原理について、図12、図13を参照して説明する。下回転軸36の回転に伴ってカム54が回転すると、カム面形状に従ってプランジャー55は下方に移動する。プランジャー55が下方に移動すると、軸受部50に設けた穴部52内の圧力は低下する。故に、潤滑油は、第一供給路81、流路68、流入路57を介して油タンク10(図2参照)から穴部52内に流れ込む。穴部52内に流れ込んだ潤滑油は、回転する下回転軸36と軸受部50内の貫通穴51との間の摺動部分に供給されることで、摩擦による発熱を抑え、焼き付き現象を防止する。
下回転軸36が更に回転すると、プランジャー55は上方に移動する。プランジャー55は、穴部52内にある潤滑油を流出路58に押し出す。流出路58に流れ出た潤滑油は、溜り部59(図4参照)に溜まる。プランジャー55が押し出す潤滑油は、溜り部59に溜まった潤滑油を下回転軸36内の第三供給路69(図4参照)及び第二供給路82に送り出す。第三供給路69に送り出した潤滑油は、全回転釜46に流れ込み、全回転釜46は円滑に駆動する。
図3に示すように、第二供給路82に送り出した潤滑油は、軸受部47の穴471から上回転軸31内に設けた貫通穴25に流れ込む。軸受部47は、第二供給路82から貫通穴25に流れ込んだ潤滑油を歯車32に供給する。歯車32に供給した潤滑油は、歯車32が歯車34と共に回転した場合の摩擦による発熱を抑え、焼き付き現象を防止することができる。従って、軸受部50内のプランジャーポンプ53は、油タンク10に収容した潤滑油をミシン1内の駆動機構に確実に供給することができる。
潤滑油は、下回転軸36と軸受部50内の貫通穴51との間の摺動部分に供給されると、その一部が貫通穴51と下回転軸36との間の隙間を伝って軸受部50の左側及び右側に漏れ出る場合がある。この場合、図4に示すように、軸受部50の左側に設けた潤滑油溝部64は、軸受部50の左側に漏れ出た潤滑油を受けることができる。軸受部50の右側に設けた潤滑油溝部65は、軸受部50の右側に漏れ出た潤滑油を受けることができる。故に、潤滑油溝部64、65は、潤滑油が軸受支持部61から外部に漏れ出てしまうことを防止することができる。
潤滑油溝部64が受けた潤滑油は、連結流路67(図13参照)を介して潤滑油溝部65に流れる。潤滑油溝部65に溜まった潤滑油は、排出路83を介して軸受支持部61から排出し、油タンク10に流れ込む。故に、ミシン1は、潤滑油溝部64、65から潤滑油が溢れることを防止できる。排出路83を介して油タンク10に流れ込んだ潤滑油は、軸受部50に供給する潤滑油として再度利用することができる。
以上説明したように、ミシン1は、軸受部50の内部にプランジャーポンプ53を設ける。プランジャーポンプ53は、下回転軸36の回転によって、油タンク10内の潤滑油を第二供給路82を介して軸受部47の穴471から上回転軸31内に設けた貫通穴25に供給する。貫通穴25に供給した潤滑油は、穴26を介して歯車32に供給される。歯車32に供給した潤滑油は、歯車32が歯車34と共に回転した場合の摩擦による発熱を抑え、焼き付き現象を防止することができる。従って、軸受部50内のプランジャーポンプ53は、油タンク10に収容した潤滑油をミシン1内の駆動機構に確実に供給することができる。
尚、図2の軸受部50は、本発明の「軸受部」に相当する。第一供給路81は、本発明の「供給路」に相当する。第二供給路82は、本発明の「流路」に相当する。図3の上回転軸31は、本発明の「上軸」に相当する。下回転軸36は、本発明の「下軸」に相当する。歯車32、34は、本発明の「伝達機構」に相当する。連結回転軸33は、本発明の「回転軸」に相当する。図4の油タンク10は、本発明の「油供給源」に相当する。図13のプランジャーポンプ53は、本発明の「ポンプ」に相当する。
本発明は前述の実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。前述の実施形態では、潤滑油を、第二供給路82を介して歯車32、34に供給したが、他の駆動機構に供給してもよい。例えば、潤滑油は、軸受部47と歯車32との間に設けたクランク17を潤滑してもよい。ミシン1は、クランク17に潤滑油を供給することで、送り機構49が摩擦によって発熱するのを防ぎ、焼き付き現象を防止することができる。例えば、潤滑油は、その供給先が歯車35、37であってもよい。
前述の実施形態では、排出路83は、潤滑油溝部64、65から排出した潤滑油を油タンク10に排出したが、直接プランジャーポンプ53に供給してもよい。
前述の実施形態では、プランジャーポンプ53は、軸受部50の内部に設けたが、軸受部50の外側であってもよい。
前述の実施形態では、潤滑油を貯留する油タンク10を設けたが、図示しないミシンテーブルに固定したオイルパンであってもよい。
1 ミシン
10 油タンク
11 潤滑油受部
12 潤滑油収容部
21 ベッド部
22 脚柱部
23 アーム部
24、26、27 穴
25 貫通穴
31 上回転軸
32 歯車
33 連結回転軸
34 歯車
36 下回転軸
50 軸受部
53 プランジャーポンプ
61 軸受支持部
81 第一供給路
82 第二供給路
83 排出路
101 外周壁
102 底壁
103 タンク開口部
113 第一対向壁
1131 収容穴部

Claims (4)

  1. ベッド部と、
    前記ベッド部に設けられ、潤滑油を貯留する油供給源と、
    ミシンモータの駆動により駆動力が伝達されることで前記油供給源から前記潤滑油を汲み上げるポンプと、
    前記油供給源と前記ポンプとを接続し、前記油供給源から前記ポンプによって前記潤滑油を汲み上げる供給路とを備え、
    前記供給路を介して汲み上げた前記潤滑油を釜に供給するミシンにおいて、
    前記ミシンモータの駆動により回転し、且つ軸心方向に貫通穴を形成した上軸と、
    前記上軸に設け、前記上軸の駆動力を駆動機構に伝達する伝達機構と、
    前記上軸の貫通穴と前記上軸の外部とを接続し、且つ前記伝達機構に対応する位置に設けた穴と、
    前記ポンプと前記上軸の貫通穴とを接続する流路とを備え、
    前記ポンプによって前記釜に供給される前記潤滑油を前記流路に分岐し、前記貫通穴、前記穴を介して前記伝達機構に供給することを特徴とするミシン。
  2. 前記駆動機構は、前記釜を支持する下軸を回転駆動する回転軸を有し、
    前記伝達機構は、前記回転軸と前記上軸とに設けた歯車であることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記ポンプは、前記下軸を支持する軸受部に設けたことを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. 前記油供給源は、前記潤滑油を収容可能な油タンクであり、
    前記油タンクは、
    開口部を形成する外周壁と、
    前記開口部に対向する底部と、
    前記外周壁の内側において、前記開口部と前記底部との間、且つ前記底部と離間した位置に前記底部に対向するように設け、前記伝達機構に供給した前記潤滑油を受ける壁部である対向壁と、
    前記対向壁を前記開口部から前記底部に向かう方向に貫通する穴部とを備えたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のミシン。
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