JP2012132032A - メタクリル樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、成形品の外観、環境試験におけるクラックや成形品のゆがみの低発生率、耐溶剤性等の機械強度を維持しつつ、射出成形、押出し成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、延伸成形等の加工の際に重要な流動性や成形性が向上されたメタクリル樹脂の提供。
【解決手段】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が60000〜230000であり、GPC溶出曲線におけるピーク重量平均分子量(Mp)の1/5以下の重量平均分子量成分が7〜30%含まれているメタクリル樹脂を製造する方法であって、メタクリル酸メチル単量体単位80〜100wt%及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体単位0〜20wt%を含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平分均子量が5000〜50000である重合体(1)を該メタクリル樹脂全体に対し5〜40wt%製造した後、重合体(1)の存在下でメタクリル酸メチルを含む原料混合物を添加し、メタクリル酸メチル単量体単位80〜99.5wt%及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体単位0.5〜20wt%を含み、重量平均分子量が70000〜250000である重合体(2)を該メタクリル樹脂全体に対し95〜60wt%製造して得ることを特徴とするメタクリル樹脂の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性、成形品の外観、環境試験におけるクラックや成形品のゆがみの低発生率、耐溶剤性等の機械強度を維持しつつ、射出成形、押出し成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、延伸成形等の加工の際に重要な流動性や成形性が向上されたメタクリル樹脂に関する。
メタクリル樹脂は、透明樹脂として他のプラスチック透明樹脂より高い光透過率、耐候性、剛性を有することに特徴があり、車両用部品、照明器具、建築用材料、看板、銘板、絵画、表示装置の窓等広い用途で用いられている。近年、非常に成形が難しい用途も増えている。例えば大型で薄肉の成形品を射出成形する場合、樹脂の流動性が悪ければ、射出圧力が不足して、成形ができなかったり、成形品のゆがみが大きくなる。そのため、射出圧力が低くても成形可能となる高流動性樹脂が望まれている。一方で、その外観や、耐溶剤性等の機械強度や耐熱性については、低下しないことが望まれている。
これまで、一般的にメタクリル樹脂の機械強度や成形性を改善する公知の方法として、低分子量のメタクリル樹脂で流動性を付与し、高分子量もしくは微架橋構造で機械強度を付与する方法が知られている。それに関連して高分子量もしくは低分子量のメタクリル樹脂を溶融混合したり、分岐構造を用いて分子量分布を拡大する技術が報告されている。
(例えば、特許文献1、2、3参照)。
しかし、特許文献1記載のメタクリル樹脂は、2つの異なる分子量のメタクリル樹脂を混合するのみで、高流動性と機械強度とを同時に満足するものではない。また、特許文献2には、低分子量を構成するメタクリル樹脂にメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体を多量共重合させる技術が記載されている。しかし、得られるメタクリル樹脂の流動性は不十分である。
特許文献3に記載の多官能モノマーを用いた微架橋メタクリル樹脂の製造方法では、多官能モノマーの制御が非常に難しいという問題があった。多官能モノマー量が多すぎると、混合均一性が低下し、成形品の外観が低下する。一方、多官能モノマー量が少なすぎると流動性向上や機械強度の保持の効果がない。
特公平1−22865号公報 特開平4−277545号公報 特開平9−207196号公報
本発明は、耐熱性、成形品の外観、環境試験におけるクラックや成形品のゆがみの低発生率、耐溶剤性等の機械強度を維持しつつ、射出成形、押出し成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、延伸成形等の加工の際に重要な流動性や成形性が向上されたメタクリル樹脂の提供を課題とする。
本発明者らはこれらの問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の低分子量成分を特定の比率範囲で有するメタクリル樹脂とすることで、耐熱性、成形品の外観、環境試験におけるクラックや成形品のゆがみの低発生率、耐溶剤性等の機械強度を維持しつつ、射出成形、押出し成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、延伸成形等の加工の際に重要な流動性や成形性が向上されたメタクリル樹脂に関する。すなわち、本発明は以下に記載するものである。
[1]
メタクリル酸メチル単量体単位80〜98.5wt%及び少なくとも1種のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位1.5〜20wt%を含むメタクリル樹脂であって、該メタクリル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が60000〜230000であり、GPC溶出曲線から得られるピーク重量平均分子量(Mp)の1/5以下の重量平均分子量成分が該メタクリル樹脂成分に対し7〜30%含まれていることを特徴とするメタクリル樹脂。
[2]
上記GPC溶出曲線におけるエリア面積の累積エリア面積(%)が0〜2%である重量平均分子量成分を有するメタクリル樹脂中の、メタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率Mh(wt%)と、累積エリア面積(%)が98〜100%である重量平均分子量成分を有するメタクリル樹脂中の、メタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率Ml(wt%)が、式(1)の関係であることを特徴とする[1]記載のメタクリル樹脂。
(Mh−0.8)≧Ml≧0・・・・・・・・・・・・・(1)
[3]
上記GPC溶出曲線におけるエリア面積の累積エリア面積(%)が0〜2%である重量平均分子量成分を有するメタクリル樹脂中の、メタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率Mh(wt%)と、累積エリア面積(%)が98〜100%である重量平均分子量成分を有するメタクリル樹脂中の、メタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率Ml(wt%)が、式(2)の関係であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のメタクリル樹脂。
(Mh−2)≧Ml≧0・・・・・・・・・・・・・(2)
[4]
上記メタクリル樹脂の重量平均分子量が60000〜180000であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のメタクリル樹脂。
[5]
GPC溶出曲線におけるピーク重量平均分子量(Mp)の値の1/5以下の重量平均分子量成分が該メタクリル樹脂成分に対し8〜20%含まれていることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のメタクリル樹脂。
[6]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が60000〜230000であり、GPC溶出曲線におけるピーク重量平均分子量(Mp)の1/5以下の重量平均分子量成分が7〜30%含まれているメタクリル樹脂を、メタクリル酸メチル単量体単位80〜98.5wt%及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体単位1.5〜20wt%を含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平分均子量が5000〜50000である共重合体(1)を該メタクリル樹脂全体に対し5〜40wt%製造した後、共重合体(1)の存在下でメタクリル酸メチルを含む原料混合物を添加し、重量平均分子量が70000〜250000である共重合体(2)を該メタクリル樹脂全体に対し95〜60wt%製造して得ることを特徴とする、メタクリル樹脂の製造方法。
[7]
上記共重合体(1)のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の組成比率Mal(wt%)と、上記共重合体(2)のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の組成比率Mah(wt%)が式(3)の関係を有することを特徴とする[6]に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
(Mah−0.8)≧Mal≧0・・・・・・・・・・・・・・(3)
[8]
上記共重合体(1)におけるMah(wt%)及び上記共重合体(2)におけるMal(wt%)が式(4)の関係を有することを特徴とする[6]又は[7]に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
(Mah−2)≧Mal≧0・・・・・・・・・・・・・・(4)
[9]
上記メタクリル樹脂の重量平均分子量が60000〜180000であることを特徴とする[6]〜[8]のいずれかに記載のメタクリル樹脂の製造方法。
[10]
GPC溶出曲線におけるピーク重量平均分子量(Mp)の1/5以下の重量平均分子量成分が該メタクリル樹脂成分に対し8〜20%含まれていることを特徴とする[6]〜[9]のいずれかに記載のメタクリル樹脂の製造方法。
[11]
最大肉厚が1.5mm以下の、[1]〜[5]のいずれかに記載のメタクリル樹脂成形品。
[12]
最大肉厚が10mm以上の、[1]〜[5]のいずれかに記載のメタクリル樹脂成形品。
本発明は、耐熱性、成形品の外観、環境試験におけるクラックや成形品のゆがみの低発生率、耐溶剤性等の機械強度を維持しつつ、射出成形、押出し成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、延伸成形等の加工の際に重要な流動性や成形性が向上されたメタクリル樹脂を提供する。
本発明におけるメタクリル樹脂のGPCエリアに関する説明図である。グラフの縦軸はRI(示差屈折)検出強度(mV)、グラフの横軸は下部は溶出時間(min.)、上部はGPCエリア面積全体に対する、累積エリア面積(%)を示す。 本実施例及び比較例及び参考例で用いたカンチレバー法の概略図である。 累積エリア面積の一例を示した図である。 GPC溶出曲線測定グラフ上での、累積エリア面積0〜2%と、累積エリア面積98〜100%の位置を示す概略図である。
以下本発明をさらに詳細に説明する。本発明におけるメタクリル樹脂は、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体からなる。
メタクリル酸メチル単位のメタクリル樹脂における含有量は80〜98.5wt%である。樹脂の熱分解性の点から98.5wt%以下である。この範囲であれば、成形時にシルバーと呼ばれる樹脂が分解して生じたモノマーが発泡してできる気泡の発生が抑えられる。また、耐熱性の点から80wt%以上である。耐熱性が高ければ、環境試験時に成形品のゆがみが抑制できる。
メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体は、流動性と耐熱性に影響を与える。メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体として、以下が挙げられる。
アルキル基の炭素数が2〜18のメタクリル酸アルキル、アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキル;
アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル;
スチレン、α−メチルスチレン、ベンゼン環に置換基を有するスチレン等の芳香族ビニル化合物;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;
無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;
ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等。
これらは、単独或いは2種類以上を併用して用いることが出来る。これらの中でも、耐光性、耐熱性、流動性の観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が好ましく用いられる。アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルが特に好ましく、さらにはアクリル酸メチルが入手しやすく最も好ましい。
メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体単位の含有量は、メタクリル樹脂に対して1.5〜20wt%である。流動性と耐熱性の観点から1.5wt%以上が好ましい。また、耐熱性の観点から20wt%以下が好ましい。より好ましくは1.5〜17wt%であり、さらに好ましくは2〜15wt%である。
本発明におけるメタクリル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が60000〜230000である。機械強度の観点から60000以上が良い。流動性の点から230000以下である。この場合、成形加工が容易となる。また流動性の観点から60000〜200000以下が好ましい。より好ましくは、60000〜180000であり、さらに好ましくは60000〜140000である。
本発明で測定される重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される。あらかじめ、単分散の、重量平均分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておく。得られた検量線から各試料の分子量を求めることが出来る。
本発明において、ピーク重量平均分子量(Mp)とは、GPC溶出曲線においてピークを示す、重量平均分子量を指す。GPC溶出曲線においてピークが複数存在する場合は、存在量が最も多い重量平均分子量が示すピークを指す。
本発明におけるメタクリル樹脂に存在するMpの1/5以下の重量平均分子量成分は、樹脂の機械強度、成形品のゆがみに関して重要である。Mpの1/5以下の重量平均分子量成分は可塑化効果を有する。この成分の存在量が、該メタクリル樹脂成分に対し7〜30%の範囲にあるときに成形性向上と成形後の成形品のゆがみ抑制の効果が得られる。可塑化効果、流動性の観点から7%以上である。この範囲であれば、成形時の射出圧力を抑えられ、残留ひずみによる成形品のゆがみが防止できる。一方、耐熱性や環境試験におけるクラックや成形品のゆがみの抑制、強度の点から30%以上である。より好ましくは、8〜25%であり、更に好ましくは8〜20%である。しかしながら、重量平均分子量が500以下のメタクリル樹脂成分は、成形時にシルバーと呼ばれる発泡様の外観不良を生じさせやすいため、できる限り少ないほうが好ましい。
本発明におけるメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体は、得られるメタクリル樹脂の高分子量成分中の組成比率が低分子量成分中の組成比率に比べて大きいことが好ましい。耐熱性や環境試験でのクラックや成形品のゆがみの低発生率、機械強度を維持しながら流動性をより向上させることができるからである。
ここでGPC溶出曲線におけるエリア面積とは図1に示す斜線部分を指す。具体的な定め方は次のように行う。まず、GPC測定で得られた溶出時間とRI(示差屈折検出器)による検出強度から得られるGPC溶出曲線に対し、測定機器により自動で引かれるベースラインとGPC溶出曲線が交わる点Aと点Bを定める。点Aは、溶出時間初期のGPC溶出曲線とベースラインとが交わる点である。点Bは、原則として重量平均分子量が500以上でベースラインとGPC溶出曲線が交わる位置とする。もし重量平均分子量が500以上の範囲で交わらなかった場合は重量平均分子量が500の溶出時間のRI検出強度の値を点Bとする。点A、B間のGPC溶出曲線と線分ABで囲まれた斜線部分がGPC溶出曲線におけるエリアである。この面積が、GPC溶出曲線におけるエリア面積である。本願では高分子量成分から溶出されるカラムを用いるため、溶出時間初期に高分子量成分が観測され、溶出時間終期に低分子量成分が観測される。
GPC溶出曲線におけるエリア面積の累積エリア面積(%)は、図1に示す点Aを累積エリア面積(%)の基準である0%とし、溶出時間の終期に向かい、各溶出時間に対応する検出強度が累積して、GPC溶出曲線におけるエリア面積が形成されるという見方をする。累積エリア面積の具体例を図3に示す。この図3において、ある溶出時間におけるベースライン上の点を点X,GPC溶出曲線上の点を点Yとする。曲線AXと、線分AB、線分XYで囲まれる面積の、GPC溶出曲線におけるエリア面積に対する割合を、ある溶出時間での累積エリア面積(%)の値とする。
累積エリア面積0〜2%にある重量平均分子量成分を有するメタクリル樹脂中のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率をMh(wt%)とする。一方、累積エリア面積98〜100%、すなわち低分子量を有するメタクリル樹脂中のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成率をMl(wt%)とする。累積エリア面積0〜2%、98〜100%の測定グラフ上での位置の概略図を図4に示す。
MhやMlの値はGPCから得られた溶出時間をもとにカラムのサイズに応じ数回もしくは数十回連続分取して、求めることが可能である。分取したサンプルの組成を既知の熱分解ガスクロ法により分析すればよい。
本発明におけるMh(wt%)とMl(wt%)には下記の式(1)の関係が成り立つことが好ましい。
(Mh−0.8)≧Ml≧0・・・・・・・・・・・・・(1)
これは、低分子量成分より高分子量成分のほうが、メタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成が0.8wt%以上多いことを示す。低分子量成分には他のビニル単量体が必ずしも共重合していなくても良いことを示す。Mh(wt%)とMl(wt%)の差は流動性向上の効果のために0.8wt%以上が好ましい。より好ましくは1.0wt%であり、更に好ましくは、次の式(2)が成り立つことである。
(Mh−2)≧Ml≧0・・・・・・・・・・・・・(2)
すなわち、高分子量成分中のメタクリル樹脂のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成を、低分子量成分の平均組成より2wt%以上多くすることで、耐熱性や環境試験におけるクラックや成形品のゆがみの低発生率、機械強度を保持したまま、劇的な流動性向上効果が得られるために好ましい。しかしながら耐熱性が要求される用途においては、トータルのメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成が2wt%以下となる場合がある。その場合、式(5)が成り立つようにすることが好ましい。耐熱性と流動性、機械的強度のバランスがよいメタクリル樹脂が得られるためである。
1.2≧(Mh−0.8)≧Ml≧0・・・・・・・・・・・・・(5)
すなわち、Mh(wt%)を2wt%以下とし、なおかつMh(wt%)とMl(wt%)との差を0.8wt%以上に保つことが好ましい。耐熱性や環境試験におけるクラックや成形品のゆがみの低発生率、機械強度を保持したまま、流動性向上効果が得られるためである。
本発明において、共重合体(1)は、メタクリル酸メチル単量体80〜100wt%及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体0〜20wt%からなる共重合体である。メタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体は少ないほうが好ましく、使用しなくても良い。また、その分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平分均子量が5000〜50000である。成形に不具合を生じさせる重量平均分子量が500以下の成分が少なくなるため、共重合体(1)の重量平均分子量は5000以上である。またこの場合、共重合体(1)の存在下で共重合体(2)を製造する際に共重合体(2)の分子量が連続生産時に安定するため好ましい。流動性の点から50000以下である。より好ましくは5000〜40000であり、さらに好ましくは、6000〜35000である。最適な範囲は、6000〜30000である。
また、共重合体(2)はメタクリル酸メチル単量体80〜99.5wt%及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体0.5〜20wt%からなる共重合体であって、その分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平分均子量が70000〜250000である。機械強度の点から70000以上であり、流動性の点から250000以下である。より好ましくは70000〜230000であり、さらに好ましくは、75000〜180000である。
共重合体(1)の比率は5〜40wt%である。流動性向上の効果を得るためには5wt%以上が好ましい。樹脂の機械強度の点から40wt%以下である。より好ましくは5〜30wt%であり、さらに好ましくは5〜25wt%である。
共重合体(2)の比率は95〜60wt%が好ましい。流動性向上の効果を得るためには95wt%以下が好ましい。樹脂の機械強度の点から60wt%以上が好ましい。
本発明におけるメタクリル樹脂の組成物の製造方法としては、特に制限は無く、具体的には、以下の方法が挙げられる。
1.あらかじめ重合体(A)を製造しておき、重合体(A)と異なる分子量を持つ重合体(B)の原料組成混合物に重合体(A)を混合する。その混合液を重合させて製造する方法。
2.あらかじめ重合体(A)を製造した後、重合体(A)とは異なる分子量を持つ重合体(B)の原料組成混合物を重合体(A)に逐次追添、または重合体(A)を重合体(B)の原料組成混合物に逐次追添し、重合することによって、製造する方法。
3.あらかじめ重合体(A)及び重合体(A)と異なる分子量を持つ重合体(B)を個別に製造しておき、ブレンドする方法。
これらの方法は2種類の分子量成分が異なる場合に関してであるが、方法1及び2に関しては、更に分子量組成の異なる重合体(C)、重合体(D)等を同様の手順で製造しても良い。また、方法3に関しても、分子量組成の異なる重合体(C)、重合体(D)等を更にブレンドし、押出し機で溶融混練しても良い。
好ましくは、重合体(A)を製造しておき、その重合体(A)が重合体(B)の原料組成混合物中に存在している状態で重合体(B)を製造する方法である。重合体(A)と重合体(B)のそれぞれの組成を制御しやすく、重合時の重合発熱による温度上昇を押さえられ、系内の粘度も安定に得られるためである。この場合、重合体(B)の原料組成混合物は一部重合が開始されている状態であっても良い。そのための重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合法もしくは乳化重合法のいずれかが好ましい。より好ましくは塊状重合、溶液重合及び懸濁重合法である。
重合体(A)と重合体(B)の分子量はどちらかが高分子量であり、どちらかが低分子量であってもよい。重合体(A)と重合体(B)の組成は異なっていることが好ましい。
例えばメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体の含有量が、メタクリル樹脂に対して1.5〜20wt%であれば、重合体(A)と重合体(B)でその含有量が異なっていることが好ましい。
好ましくは重合体(A)が低分子量である共重合体(1)であり、重合体(B)が高分子量である共重合体(2)であり、より好ましくはその重合方法が共重合体(1)を製造した後、共重合体(1)の存在下で共重合体(2)を製造する方法である。
本発明における共重合体(1)のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の組成比率Mal(wt%)と共重合体(2)のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の組成比率Mah(wt%)には式(3)の関係が成り立つことが好ましい。
(Mah−0.8)≧Mal≧0・・・・・・・・・・・・・・(3)
組成比率MalとMahは、共重合体(1)及び共重合体(2)それぞれを熱分解ガスクロマトグラフィー法により測定し、決定することが可能である。それぞれの値は、仕込みで用いた組成比率とほぼ同等の値を示す。
Mah(wt%)とMal(wt%)との差は、流動性の点から0.8wt%以上が好ましい。高分子量である共重合体(1)にメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体が組成比率として多く含まれているほうが耐熱性や機械強度を維持しながら流動性の向上が図れるため好ましい。
式(4)の関係が成り立つと、耐熱性と環境試験におけるクラックや成形品のゆがみの低発生率や機械強度を維持しながら流動性が劇的に向上するのでより好ましい。
(Mah−2)≧Mal≧0・・・・・・・・・・・・・・(4)
しかしながら耐熱性が要求される用途においては、メタクリル樹脂全体中のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成の量が2wt%以下となる場合がある。その場合においては、式(6)が成り立つようにすることで、耐熱性と流動性、機械的強度のバランスがよいメタクリル樹脂が得られる。
1.2≧(Mah−0.8)≧Mal≧0・・・・・・・・・・・・・(6)
すなわち、Mah(wt%)を2wt%以下とし、なおかつMal(wt%)との差を0.8wt%以上に保つことが耐熱性、環境試験におけるクラックや成形品のゆがみの低発生率、機械強度を保持しつつ、流動性を向上させる上で好ましい。
本発明の高流動性メタクリル樹脂を製造するための重合開始剤としては、フリーラジカル重合を用いる場合は、下記の一般的なラジカル重合開始剤を用いることができる。
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオキサイド系;
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ系;等。
これらは単独でもあるいは2種類以上を併用しても良い。これらのラジカル開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として実施しても良い。これらの開始剤は、単量体混合物に対して、0.001〜1wt%の範囲で用いるのが一般的である。
本発明におけるメタクリル樹脂の製造方法として、ラジカル重合法で製造する場合には、重合体(A)及び重合体(B)の分子量を調整するために、一般的に用いられている連鎖移動剤を使用できる。連鎖移動剤としては、例えばn−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)などのメルカプタン類が好ましく用いられる。一般に単量体混合物に対して、0.001〜1wt%の範囲で用いられる。重合体(A)と重合体(B)に用いられる連鎖移動剤は同じでも良いし異なっていても良い。重合体(A)と重合体(B)の連鎖移動剤の量は望む分子量に依存して決定される。
本発明におけるメタクリル樹脂には、必要に応じて下記の添加剤を使用しても良い。
染料、顔料、ヒンダードフェノール系やリン酸塩等の熱安定剤;
ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系などの紫外線吸収剤;
フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系などの可塑剤;
高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、またはトリグリセリド系などの離型剤;
高級脂肪酸エステル、ポリオレフィン系などの滑剤;
ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエーテルエステルアミド系、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩などの帯電防止剤;
リン系、リン/塩素系、リン/臭素系などの難燃剤;
補強剤として多段重合で得られるアクリル系ゴム;
メタクリル酸メチル/スチレン重合体ビーズ、有機シロキサンビーズなどの有機系、有機無機系光拡散剤;
硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルクなどの無機系光拡散剤;等。
なお、光拡散剤は反射光のぎらつきを防止することに有効である。
これらの添加剤の配合方法に特に限定はない。例えば、単量体混合物にあらかじめ添加剤を溶解しておき重合したり、得られたメタクリル樹脂にブレンダーやタンブラー等を用いて均一にブレンドした後、押出し機でコンパウンドして添加する方法等が用いられる。
本発明におけるメタクリル樹脂は、単独、又は他の樹脂と混合して用いても良い。他の樹脂と混合する場合には、ブレンドして、加熱溶融混合しても良いし、加熱溶融混合して押出したペレットを複数種ブレンドしてから加熱溶融混合しても良い。先に挙げた添化剤をこのときにブレンドして混合しても良い。
本発明で得られるメタクリル樹脂は組成の異なる本発明のメタクリル樹脂組成物を複数種組み合わせても良いし、既存のメタクリル樹脂と組み合わせても良い。組み合わせ方法としては、ブレンドして用いても良いし、一度それぞれの樹脂を加熱溶融して押出しておき再度、ブレンドしてペレタイズをしても良い。
本発明におけるメタクリル樹脂は、最大肉厚が1.5mm以下の射出成形品に適する。
肉厚が薄い物でも射出成形しやすく、成形品のゆがみも少ない。また、射出成形時、薄肉品は金型等から取り出した後の冷却が早く、なおかつ、冷却ゆがみによるクラック等も発生しにくい。より好ましくは、最大肉厚が1.2mm以下である。さらに好ましくは1.0mm以下の射出成形品である。
中でも、厚み精度と光学特性に厳しい最大肉厚が1.5mm以下で対角の長さが200mm以上の導光板用に適している。
本発明におけるメタクリル樹脂は、最大肉厚が10mm以上の射出成形品に適する。肉厚が厚い場合、冷却時間が長いため、成形サイクルが長くなるが、本発明のメタクリル樹脂は流動性が高いため、樹脂温度、金型温度を下げて成形することが可能である。そのため成形サイクルを短縮することが可能となり、ヒケ(sink mark)や成形品のゆがみも防止できる。より好ましくは最大肉厚が13mm以上であり、さらに好ましくは15mm以上の射出成形品である。
特に、製品形状でヒケが問題となりやすい凸レンズや凹レンズといったレンズに適している。
以下に実施例、比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
[原料]
用いた原料は下記のものである。
メタクリル酸メチル:旭化成ケミカルズ製(重合禁止剤として中外貿易製2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(2,4-di-methyl-6-tert-butylphenol)を2.5ppm添加されているもの)
アクリル酸メチル:三菱化学製(重合禁止剤として川口化学工業製4−メトキシフェノール(4−methoxyphenol)が14ppm添加されているもの)
n−オクチルメルカプタン(n-octylmercaptan):アルケマ製
2エチルヘキシルチオグリコレート(2-ethylhexyl thioglycolate):アルケマ製
ラウロイルパーオキサイド(lauroyl peroxide):日本油脂製
第3リン酸カルシウム(calcium phosphate):日本化学工業製、懸濁剤として使用
炭酸カルシウム(calcium calbonate):白石工業製、懸濁剤として使用
ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate):和光純薬製、懸濁助剤として使用
[測定法]
[I.樹脂の組成、分子量の測定]
1.メタクリル樹脂の組成分析
メタクリル樹脂の組成分析は、熱分解ガスクロマトグラフィー及び質量分析方法で行った。
熱分解装置:FRONTIER LAB製Py−2020D
カラム:DB−1(長さ30m、内径0.25mm、液相厚0.25μm)
カラム温度プログラム:40℃で5min保持後、50℃/minの速度で320℃まで昇温し、320℃を4.4分保持
熱分解炉温度:550℃
カラム注入口温度:320℃
ガスクロマトグラフィー:Agilent製GC6890
キャリアー:純窒素、流速1.0ml/min
注入法:スプリット法(スプリット比1/200)
検出器:日本電子製質量分析装置Automass Sun
検出方法:電子衝撃イオン化法(イオン源温度:240℃、インターフェース温度:320℃)
サンプル:メタクリル樹脂0.1gのクロロホルム10cc溶液を10μl
サンプルを熱分解装置用白金試料カップに採取し、150℃で2時間真空乾燥後、試料カップを熱分解炉に入れ、上記条件でサンプルの組成分析をで行った。メタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルのトータルイオンクロマトグラフィー(TIC)上のピーク面積と以下の標準サンプルの検量線を元にメタクリル樹脂の組成比を求めた。
検量線用標準サンプルの作成:メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルの割合が(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル)=(100%/0%)、(98%/2%)、(94%/6%)、(90%/10%)(80%/20%)の合計5種の溶液各50gにラウロイルパーオキサイド0.25%、n−オクチルメルカプタン0.25%を添加した。この各混合溶液を100ccのガラスアンプル瓶にいれて、空気を窒素に置換して封じた。そのガラスアンプル瓶を80℃の水槽に3時間、その後150℃のオーブンに2時間入れた。室温まで冷却後、ガラスを砕いて中のメタクリル樹脂を取り出し、組成分析を行った。検量線用標準サンプルの測定によって得られた(アクリル酸メチルの面積値)/(メタクリル酸メチルの面積値+アクリル酸メチルの面積値)及びアクリル酸メチルの仕込み比率とのグラフを検量線として用いた。
2.メタクリル樹脂の重量平均分子量の測定
測定装置:日本分析工業製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(LC−908)
カラム:JAIGEL−4H 1本及びJAIGEL−2H 2本、直列接続
本カラムでは、高分子量が早く溶出し、低分子量は溶出する時間が遅い。
検出器:RI(示差屈折)検出器
検出感度:2.4μV/sec
サンプル:0.450gのメタクリル樹脂のクロロホルム15ml溶液
注入量:3ml
展開溶媒:クロロホルム、流速3.3ml/min
上記の条件で、メタクリル樹脂の溶出時間に対する、RI検出強度を測定した。GPC溶出曲線におけるエリア面積と、検量線を基にメタクリル樹脂の平均分子量を求めた。
検量線用標準サンプルとして、単分散の重量平均分子量が既知で分子量が異なる以下の10種のメタクリル樹脂(EasiCal PM-1 Polymer Laboratories製)を用いた。
重量平均分子量
標準試料1 1,900,000
標準試料2 790,000
標準試料3 281,700
標準試料4 144,000
標準試料5 59,800
標準試料6 28,900
標準試料7 13,300
標準試料8 5,720
標準試料9 1,936
標準試料10 1,020
重合体(1)と重合体(2)が混合している場合には、あらかじめ重合体(1)単独のGPC溶出曲線を測定し重量平均分子量を求めておき、重合体(1)が存在している比率(本願では仕込み比率を用いた)を重合体(1)のGPC溶出曲線に乗じ、その溶出時間における検出強度を重合体(1)と重合体(2)が混合しているGPC溶出曲線から引くことで、重合体(2)単独のGPC溶出曲線が得られる。これから重合体(2)の重量平均分子量を求めた。
また、GPC溶出曲線でのピーク重量平均分子量(Mp)をGPC溶出曲線と検量線から求める。
Mpの1/5以下の重量平均分子量成分の含有量は次のように求める。
まず、メタクリル樹脂のGPC溶出曲線におけるエリア面積を求める。GPC溶出曲線におけるエリア面積とは図1に示す斜線部分を指す。具体的な定め方は次のように行う。まず、GPC測定で得られた溶出時間とRI(示差屈折検出器)による検出強度から得られるGPC溶出曲線に対し、測定機器で得られる自動で引かれるベースラインを引いてGPC溶出曲線と交わる点Aと点Bを定める。点Aは、溶出時間初期のGPC溶出曲線とベースラインとが交わる点である。点Bは、原則として重量平均分子量が500以上でベースラインと溶出曲線が交わる位置とする。もし交わらなかった場合は重量平均分子量が500の溶出時間のRI検出強度の値を点Bとする。点A、B間のGPC溶出曲線とベースラインで囲まれた斜線部分がGPC溶出曲線におけるエリアである。この面積が、GPC溶出曲線におけるエリア面積である。本願では高分子量成分から溶出されるカラムを用いるため、溶出時間初期(点A側)に高分子量成分が観測され、溶出時間終期(点B側)に低分子量成分が観測される。
GPC溶出曲線におけるエリア面積を、Mpの1/5の重量平均分子量に対応する溶出時間で分割し、Mpの1/5以下の重量平均分子量成分に対応するGPC溶出曲線におけるエリア面積を求める。その面積と、GPC溶出曲線におけるエリア面積の比から、Mpの1/5以下の重量平均分子量の比率を求めた。
3.メタクリル樹脂の高分子量成分及び低分子量成分におけるメタクリル酸メチルに共重合可能なビニル共重合体の組成比率の測定
本測定では累積エリア面積0〜2%である分子量成分と、98〜100%である分子量成分の組成分析を行う。GPC溶出曲線におけるエリア面積の累積エリア面積(%)は、図1に示す点Aを累積エリア面積(%)の基準である0%とし、溶出時間の終期に向かい、各溶出時間に対応する検出強度が累積して、GPC溶出曲線におけるエリア面積が形成されるという見方をする。累積エリア面積の具体例を図3に示す。この図3において、ある溶出時間におけるベースライン上の点を点X,GPC溶出曲線上の点を点Yとする。曲線AXと、線分AB、線分XYで囲まれる面積の、GPC溶出曲線におけるエリア面積に対する割合を、ある溶出時間での累積エリア面積(%)の値とする。
累積エリア面積0〜2%である分子量成分と、98〜100%である分子量成分を、対応する溶出時間を基にカラムから分取して、その組成分析を行った。測定と、各成分の分取は、2.と同様の装置、条件で行った。
分取を2回行い、分取したサンプルのうち10μlを1.で用いた熱分解ガスクロ分析及び質量分析方法の熱分解装置用白金試料カップに採取し、100℃の真空乾燥機に40分乾燥した。1.と同様の条件で分取した累積エリア面積に対応するメタクリル樹脂の組成を求めた。
[II.実用物性の測定]
1.VICAT軟化温度の測定
成形機:30tプレス成形機
試験片:厚み4mm
測定条件:ISO 306 B50に準拠
上記条件でVICAT軟化温度を求めた。これを耐熱性評価の指標とした。
2.スパイラル長さの測定
断面積一定の、スパイラル状のキャビティを樹脂が流れた距離によって、相対的流動性を判定する試験である。
射出成形機:東芝機械製IS−100EN
測定用金型:金型の表面に、深さ2mm、幅12.7mmの溝を、表面の中心部からアルキメデススパイラル状に掘り込んだ金型
射出条件
樹脂温度:250℃
金型温度:55℃、
射出圧力:98MPa、
射出時間:20sec
金型表面の中心部に樹脂を上記条件で射出した。射出終了40sec後にスパイラル状の成形品を取り出し、スパイラル部分の長さを測定した。これを流動性評価の指標とした。
3.カンチレバー法による破断時間測定
図2に示すカンチレバー法による測定方法で耐溶剤性を評価した。
射出成形機:東芝機械製IS−100EN
射出成形品:厚み3.2mm幅12.7mm長さ127mm
射出条件
成形温度:230℃
金型温度:60℃
射出圧力:56MPa
射出時間:20sec
冷却時間:40sec
上記条件で成形した成形品が吸水しないようにデシケーター内に1日保存しておいた。その後、図2に示す冶具3を用いて、成形品4を図2のように設置し、タコ糸7を取り付けた3kgの重り5を図2のように取り付けエタノールを含んだろ紙6を図2の位置におき、置いた時間から、重り5により成形品が破断するまでの時間を測定した。各サンプル毎に10回繰り返し、最大時間と最小時間のデータを削除し、残り8回の平均の時間を求めた。これを耐溶剤性評価の指標とした。
[III.成形評価]
3−1−1.成形品A
射出成形機:JSW製350t電動射出成形機
成形品サイズ:幅240mm、長さ135mm、厚み0.8mmの平板
ゲート:幅240mm厚み0.8mmのフィルムゲート
ゲート設置位置:成形品の幅方向の中央部分
射出条件
バレル温度:275℃
金型温度:75℃
射出速度:800mm/sec、一定
保圧力と保持時間:200MPa、20sec
成形品の取り出し:射出開始から40sec後
上記条件で射出成形を行った。同時に射出時の最大射出圧力を比較した。なお、本成形機における制御可能な能力は200MPaであり、最大能力は240MPaである。
3−1−2.環境試験A
温度60℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽内に成形品Aをゲートと反対側にクリップをつけて吊るして500hr放置した。その後恒温恒湿槽から取出し、1日25℃相対湿度25%の室内に平置きで放置した。それを定盤の上に平置きでおいて0.1mmピッチの隙間ゲージで定盤と成形品との隙間の最大値を測定した。この隙間の間隔で成形品の反りの程度がわかる。これを成形品のゆがみの指標とした。また、目視でクラックが発生していないかを確認した。
3−2−1.成形品B
射出成形機:JSW製350t電動射出成形機
成形品サイズ:幅240mm、長さ135mm、厚み0.5mmの平板
ゲート:幅240mm、厚み0.5mmのフィルムゲート
ゲート設置位置:成形品の幅方向の中央部分
射出条件
バレル温度:285℃
金型温度:65℃
射出速度:800mm/sec、一定
保圧力と保持時間:200MPa、20sec
成形品の取り出し:射出開始から40sec後
上記条件で射出成形を行った。同時に射出時の最大射出圧力を比較した。
3−2−2.環境試験B
温度50℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽内に成形品Bをゲートと反対側にクリップをつけて吊るして500hr放置した。その後恒温恒湿槽から取出し、25℃相対湿度25%の室内に平置きで1日放置した。定盤の上に平置きでおいて0.1mmピッチの隙間ゲージで定盤と成形品の隙間の最大値を測定した。この隙間の間隔で成形品の反りの程度がわかる。これを成形品のゆがみの指標とした。また、目視でクラックが発生していないかを確認した。
3−3−1.成形試験C
射出成形機:東芝機械製IS−100EN射出成形機
成形品:直径40mm、半径20mmの半球状凸レンズ
ゲート:厚み3mm、幅10mm、ゲートランド長さ10mmのサイドゲート
ゲート設置位置:半球の底平面外周部分
ランナー:厚み8mm、幅10mm、長さ20mm
射出条件
射出速度:3mm/sec
射出時間:5sec
保圧力と保持時間:140MPa、10sec保持し、その後60MPaで20sec保持した。
上記条件で成形品Cを射出成形した。バレル設定温度を変化させて成形し成形時の最大射出圧力が50MPaになるよう調整し、そのときの樹脂温度を測定した。成形品の平面側の中央部のヒケを東京精密製表面粗さ計サーフコム558Aで測定して、略100μm以下となる時間を成形時間とし、その成形時間とヒケ量を比較した。
[IV.樹脂の重合]
以下に樹脂の製造方法を示す。
配合量は表1に、単量体の仕込み組成と重合体の比率、各重合体の重量平均分子量の測定結果、を表2に示す。
[樹脂1]
60Lの反応器に重合体(1)の原料を、表1に示す配合量を投入し攪拌混合し、反応器の反応温度を80℃で150分懸濁重合し重合体(1)を得た。この重合体(1)をサンプリングし、GPCで重合平均分子量を測定した。
その後、60分間、80℃を維持し、次に重合体(2)の原料を、表1に示す配合量反応器に投入し、引き続き80℃で90分懸濁重合し、続いて92℃に1/minの速度で昇温し、60分熟成し、重合反応を実質終了した。次に50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20wt%硫酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、ビーズ状ポリマーを得た。このビーズ状ポリマーの重合平均分子量をGPCで測定し、重合体(1)のGPC溶出曲線を元に、重合体(1)が含まれている比率をかけて、ビーズ上ポリマーのGPC溶出曲線から、重合体(1)のGPC部分を除去し、重合体(2)の重量平均分子量を求めた。
このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。熱分解ガスクロ分析及びゲルパーミエーションクロマトグラフィーでこのペレットの組成、分子量を測定した。
[樹脂2〜樹脂7]
表1に示す配合で、樹脂1と同様にして重合、測定、ペレタイズを行った。
[樹脂8]
3Lの市販耐熱ガラス瓶に重合体(1)の原料を、表1に示す配合量加え、蓋をして密閉状態で、70℃のウォーターバス中に3時間浸漬した。その後、140℃のオーブン中に入れて1時間放置した。30℃まで冷却し、ガラス瓶を破壊して、中のメタクリル樹脂を取り出し、略1cm角以下となるように叩いて粉砕し、重合体(1)を得た。GPCを用いて重合体(1)の重量平均分子量を求めた。次に重合体(2)の原料を、表1に示す配合量60Lの反応器に投入し、反応器の温度を80℃にして150分懸濁重合し、92℃に1℃/minの速度で昇温して60分熟成し、重合反応を実質終了した。次に50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために鉱酸20wt%硫酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、ビーズ状ポリマーを得た。このビーズ状ポリマーをGPCを用いて求めた重合体(2)の重量平均分子量を表2に示す。重合体(1)の粉砕品と重合体(2)のビーズ状ポリマーを15:85の割合で計量し、2軸押出し機のタンブラーに投入してブレンドした後、240℃で押し出し、ペレタイズを行なった。
[樹脂9〜樹脂13]
表1示す配合量で樹脂1と同様にして重合、測定、ペレタイズを行った。
[樹脂14〜樹脂16]
60Lの反応器に表1に示す配合量で、重合体(2)の原料を投入し、反応温度80℃で150分懸濁重合し、92℃に1℃/minの速度で昇温して60分熟成し、重合反応を実質終了した。次に50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20wt%硫酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、ビーズ状ポリマーを得た。このビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行なった。
[樹脂17〜樹脂19]
表1に示す配合で、樹脂1と同様にして重合、測定、ペレタイズを行った。
[樹脂20〜樹脂22]
60Lの反応器に表1に示す配合で重合体(2)の原料投入し樹脂14と同様にして重合し、ビーズ状ポリマーを得た。このビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。
[物性評価とその比較]
各実施例で用いたメタクリル樹脂の番号と、そのピーク重量平均分子量Mp、Mpの1/5以下の重量平均分子量の含有量、累積エリア面積0〜2%にあるメタクリル樹脂の重量平均分子量成分中のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率Mh(wt%)、累積エリア面積98〜100%にあるメタクリル樹脂の重量平均分子量成分中のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率をMl(wt%)の測定結果を表3に示す。
表4に実用物性評価結果を示す。
[実施例1〜6、比較例1〜6]
表3にある樹脂を用いて実施した。実用物性評価では、成形品Aを成形し、環境試験Aを行なった。
比較例3、4は、メタクリル酸メチルに共重合可能なアクリル酸メチルの組成比率が1.5〜20wt%の範囲外である。比較例3は該組成比率が高い場合であり、スパイラル長さや成形時の最大射出圧力は低いが、耐熱性が低くなるため、環境試験後に成形品が大きく変形した。比較例4は該組成比率が低い場合である。この場合、耐熱性、流動性が高く、成形時の最大圧力は低かったが、実際には、成形品に樹脂の熱分解によるシルバーと呼ばれる発泡が発生した。また、分子量が低いため、強度が不足しており、環境試験後に多量のクラックが発生した。
比較例1、2、6はMpの1/5以下の重量平均分子量成分の含有量が7%より小さい。比較例6は2つの異なる分子量のメタクリル樹脂組成物を混合して用いているが、その分子量差が小さいため、Mpの1/5以下の重量平均分子量成分の含有量が7%より小さくなっている。その結果、比較例1,2,6は、耐熱性は実施例1〜6と同じであるが、比較例2は、分子量が低いこともあり、成形品の環境試験後に多量のクラックが発生した。また、比較例1、6ともに、スパイラル長さが短く、成形機の能力では成形することができないほど最大射出圧力が高かった。また、その成形品は成形ひずみを多く残留しているため、環境試験後に10mm以上の成形品のゆがみが発生した。
比較例5は逆にMpの1/5以下の重量平均分子量成分の含有量が30%より大きい。その結果、流動性は問題ないが、強度が低く、環境試験後に多量のクラックが発生した。
実施例1〜6は比較例1〜6と比較し、各物性のバランスに優れている。実施例3、4はMh及びMlが式(1)の関係を満たしている場合である。その場合、式(1)を満たさない実施例5に比較し、より流動性が高く、成形時の最大射出圧力が低かった。
実施例3はMh及びMlが式(2)の関係も満たした場合であり、さらに流動性が高く最大射出圧力が低かった。特に最大射出圧力が成形機の制御可能な範囲まで低下できた。
実施例6はMpの1/5以下の重量平均分子量成分の含有量が20%を超えている。そのため、他の実施例に比べ若干強度が低下しており、環境試験後に2本の1mm以下のミクロクラックが発生していた。しかし、このミクロクラックの発生は、実用上問題ないレベルであり、なおかつ、比較例5と比べ、大幅にクラックの発生量は少なかった。
[実施例7、比較例7、8]
実施例1〜6と比べ、よりメタクリル樹脂中のアクリル酸メチルの組成比率が多い場合で比較を行った。実用物性評価では、より流動性が必要となる成形品Bを成形し、環境試験Bで評価を行った。
実施例7は、比較例7と重量平均分子量は同じであるが、比較例7に比べ、耐熱性が高く、スパイラル長さが長く、成形品Bを成形する際の最大射出圧力も低い。また、環境試験後に、実施例7は耐熱性が高いため、成形品のゆがみは発生しなかったが、比較例7では耐熱性が足りず、また、成形品のゆがみも発生した。
比較例8では、メタクリル樹脂中のメタクリル酸メチルに共重合可能なアクリル酸メチルの組成が20wt%より多いため、実施例7と比較し、流動性は非常に高い結果となったが、耐熱性が低いため環境試験後に成形品が大きく変形するほどの成形品のゆがみが発生した。
[実施例8〜12、比較例9、10]
実施例1〜6と比べ、メタクリル樹脂の重量平均分子量がより高い場合で評価を行った。これらはより高い耐溶剤性を有する。
実施例8〜12に対し、比較例9は、耐熱性は同等であったが、耐溶剤性が大幅に劣った。
比較例10は耐熱性、耐溶剤性は良い結果であるが、流動性が大幅に劣った。
実施例9は、Mpの1/5以下の重量平均分子量成分の含有量が20%を越えているため、他の実施例と比べ、耐溶剤性が若干劣るが、比較例9よりは耐溶剤性は良かった。
実施例10は、MhとMlが式(2)は満たしていないため実施例8、11よりは流動性が劣る結果となっているが、同じ耐熱性の比較例10と比較し、耐溶剤性が同等であり、流動性は高い結果となっている。
実施例11、12を比較すると、実施例11は実施例12より耐熱性、耐溶剤性が同等で、流動性がより高い結果となった。実施例11がMhとMlが式(2)を満たしているためである。
[実施例13、比較例11,12]
実施例13は比較例11と比較し、耐熱性は同じだが、流動性が高かった。その結果、10℃低い温度で同じ射出圧力での成形が可能であった。また成形サイクルが20sec短く、なおかつ、成形品のヒケ量が低かった。
比較例12は耐熱性は実施例13より高いが、流動性が低く、成形温度が25℃高かった。耐熱性が高くても成形温度がそれ以上に高いため、ヒケを100μm以下に抑える為に必要な成形サイクルが長く、さらにヒケ量も実施例13よりも悪い結果となった。
本発明の高流動性メタクリル樹脂を用いることにより、携帯電話、液晶モニター、液晶テレビ等の表示(装置)窓や、液晶表示で用いられる導光板、表示装置の前面板や絵画等の額や、外光を取り入れる窓、表示用看板、カーポートの屋根等のエクステリア、展示品の棚等のシート、照明器具のカバーやグローブ等、圧空成形、真空成形、ブロー成形等の2次加工を有する成形品や、薄肉、大型であり、なおかつアルコール系の洗浄剤やワックス、ワックスリムーバーといった溶剤への耐久性が必要とされるテールランプやヘッドランプ等に用いられる車両用光学部品等において外観品質を維持しながら、成形品の成形時の成形特性が向上され、一方で環境試験等で成形品が反ったり、クラック等が入ると言う不具合の発生が押さえられた成形品を提供することが可能となる。
1.GPC溶出曲線(各溶出時間におけるRI検出強度を結んだ曲線である)
2.ベースライン
3.固定冶具
4.試験片
5.3kgの分銅
6.エタノールを染み込ませたろ紙
7.凧糸

Claims (7)

  1. ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が60000〜230000であり、GPC溶出曲線におけるピーク重量平均分子量(Mp)の1/5以下の重量平均分子量成分が7〜30%含まれているメタクリル樹脂を製造する方法であって、
    メタクリル酸メチル単量体単位80〜100wt%及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体単位0〜20wt%を含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平分均子量が5000〜50000である重合体(1)を該メタクリル樹脂全体に対し5〜40wt%製造した後、
    重合体(1)の存在下でメタクリル酸メチルを含む原料混合物を添加し、メタクリル酸メチル単量体単位80〜99.5wt%及びメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体単位0.5〜20wt%を含み、重量平均分子量が70000〜250000である重合体(2)を該メタクリル樹脂全体に対し95〜60wt%製造して得ることを特徴とするメタクリル樹脂の製造方法。
  2. 上記共重合体(1)のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体の組成比率Mal(wt%)と、上記共重合体(2)のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の組成比率Mah(wt%)が式(3)の関係を有することを特徴とする請求項1に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
    (Mah−0.8)≧Mal≧0・・・・・・・・・・・・・・(3)
  3. 上記共重合体(1)におけるMah(wt%)及び上記共重合体(2)におけるMal(wt%)が式(4)の関係を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
    (Mah−2)≧Mal≧0・・・・・・・・・・・・・・(4)
  4. 該メタクリル樹脂がメタクリル酸メチル単量体単位80〜98.5wt%及び少なくとも1種のメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位1.5〜20wt%を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のメタクリル樹脂の製造方法。
  5. GPC溶出曲線におけるエリア面積の累積エリア面積(%)が0〜2%である重量平均分子量成分を有するメタクリル樹脂中の、
    メタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率Mh(wt%)と、累積エリア面積(%)が98〜100%である重量平均分子量成分を有するメタクリル樹脂中の、メタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率Ml(wt%)が、式(1)の関係であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のメタクリル樹脂の製造方法。
    (Mh−0.8)≧Ml≧0・・・・・・・・・・・・・(1)
  6. 最大肉厚が1.5mm以下の、請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法により得られるメタクリル樹脂からなる成形品。
  7. 最大肉厚が10mm以上の、請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法により得られるメタクリル樹脂からなる成形品。
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