JP2012127728A - ガスセンサ素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保護層の機能を維持しながら、その保護層の剥離を防止することができるガスセンサ素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】ガスセンサ素子の製造方法において、保護層を形成するに当たっては、セラミック粒子21と、焼成により焼失する焼失性粒子22と、有機溶剤からなる溶媒と、溶媒に可溶性の有機バインダ樹脂23とを含有する保護層形成用材料20を作製する保護層形成用材料作製工程と、保護層形成用材料20を素子本体部10の拡散抵抗層17の外表面171上に塗布する塗布工程と、保護層形成用材料20を焼成し、保護層2を形成する焼成工程とを行う。保護層形成用材料20における焼失性粒子22の焼失開始温度は、有機バインダ樹脂23の焼失開始温度よりも高い。
【選択図】図6

Description

本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子の製造方法に関する。
車両用の内燃機関等の排気系には、排ガス等の被測定ガス中における特定ガス濃度(例えば、酸素濃度)を検出するガスセンサが配設されている。
ガスセンサには、例えば、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、その固体電解質体の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けた被測定ガス側電極及び基準ガス側電極と、被測定ガス側電極を覆うと共に被測定ガスを透過させる多孔質の拡散抵抗層とを有するガスセンサ素子が内蔵されている。
ガスセンサ素子には、被測定ガスの導入口となる拡散抵抗層の外表面が多孔質の保護層によって覆われた構造を有するものがある。このような構造とすることにより、被測定ガスである排ガス中の被毒物質(例えば、鉛、ガラス、リン等)を多孔質の保護層においてトラップし、被測定ガス側電極の被毒劣化及びそれに伴うセンサ特性の低下を防止している。
上記構造のガスセンサ素子は、例えば、固体電解質体、拡散抵抗層等を構成する複数のセラミックシートを積層して焼成し、素子本体部を作製した後、その素子本体部の拡散抵抗層の外表面にペースト状の保護層形成用材料を塗布して焼成し、保護層を形成することによって製造される(特許文献1、2参照)。
特開2006−126077号公報 特開2007−248144号公報
しかしながら、従来のガスセンサ素子の製造方法では、予め作製した素子本体部にペースト状の保護層形成用材料を塗布して焼成する。すなわち、保護層形成用材料を焼成して保護層を形成する際には、1度焼成した状態の素子本体部と焼成していない状態の保護層形成用材料とを同時に焼成するため、両者の焼成収縮率が大きく異なってくる。これにより、素子本体部との界面において保護層の剥離が生じるという問題があった。
また、保護層に剥離が生じると、その保護層の機能を十分に発揮することができず、ガスセンサ素子の耐被毒性やセンサ特性が低下してしまうという問題があった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、保護層の機能を維持しながら、その保護層の剥離を防止することができるガスセンサ素子の製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けられた被測定ガス側電極及び基準ガス側電極と、上記被測定ガス側電極に接触させる被測定ガスを透過させる多孔質の拡散抵抗層とを有する素子本体部と、該素子本体部において上記被測定ガスを導入する上記拡散抵抗層の外表面上に形成された保護層とを備えたガスセンサ素子を製造する方法であって、
上記保護層を形成するに当たっては、少なくとも、セラミック粒子と、焼成により焼失する焼失性粒子と、水又は有機溶剤からなる溶媒と、該溶媒に可溶性の有機バインダ樹脂とを含有する保護層形成用材料を作製する保護層形成用材料作製工程と、
上記保護層形成用材料を上記素子本体部の上記拡散抵抗層の上記外表面上に塗布する塗布工程と、
上記素子本体部の上記拡散抵抗層の上記外表面上に塗布した上記保護層形成用材料を焼成し、上記保護層を形成する焼成工程とを行い、
上記保護層形成用材料における上記焼失性粒子の焼失開始温度は、上記有機バインダ樹脂の焼失開始温度よりも高いことを特徴とするガスセンサ素子の製造方法にある(請求項1)。
上記のガスセンサ素子の製造方法において、上記保護層を形成するに当たっては、上記保護層形成用材料作製工程、上記塗布工程及び上記焼成工程を行う。また、上記保護層形成用材料作製工程において作製する保護層形成用材料には、少なくとも、セラミック粒子、焼成により焼失する焼失性粒子、溶媒及び有機バインダ樹脂が含有されている。そして、上記保護層形成用材料における焼失性粒子の焼失開始温度は、有機バインダ樹脂の焼失開始温度よりも高い。
そのため、上記焼成工程において、上記焼失性粒子は、有機バインダ樹脂の焼失が開始される段階で保護層形成用材料中に残留しており、その保護層形成用材料の骨格をセラミック粒子と共に形成している。したがって、保護層形成用材料の骨格がある程度維持された状態で有機バインダ樹脂が焼失することになる。これにより、有機バインダ樹脂の焼失に伴う保護層形成用材料の収縮を抑制することができ、保護層形成用材料の焼成収縮率を低減することができる。その結果、素子本体部とその素子本体部に塗布した保護層形成用材料との焼成収縮率の差を低減することができ、素子本体部からの保護層の剥離を防止することができる。
また、上記焼失性粒子は、最終的に焼成により焼失するため、形成された保護層には存在しない。これにより、上記焼失性粒子によって保護層の機能が損なわれることはない。すなわち、本来得ようとする保護層の機能、例えば被測定ガス中の被毒物質をトラップする等の機能を維持することができる。
このように、本発明によれば、保護層の機能を維持しながら、その保護層の剥離を防止することができるガスセンサ素子の製造方法を提供しようとするものである。
実施例1における、積層型のガスセンサ素子を示す説明図。 実施例1における、素子本体部を示す斜視展開図。 実施例1における、保護層を示す説明図。 実施例1における、ガスセンサ素子を内蔵するガスセンサを示す説明図。 実施例1における、素子本体部に保護層形成用材料を塗布した状態を示す説明図。 実施例1における、素子本体部に塗布した保護層形成用材料を示す説明図。 実施例1における、積層型のガスセンサ素子の別例を示す説明図。 実施例1における、積層型のガスセンサ素子を示す説明図。 実施例1における、保護層を示す説明図。 実施例1における、積層型のガスセンサ素子を示す説明図。 実施例1における、コップ型のガスセンサ素子を示す説明図。 TG/DTA曲線を示す説明図。
上記ガスセンサ素子は、例えば、車両用の内燃機関等の排気系に配設され、被測定ガス(排ガス)中の特定ガス濃度(酸素濃度)に依存して電極間を流れる限界電流を基に内燃機関に供給される混合気の空燃比(A/F)を検出するA/Fセンサ素子、被測定ガス(排ガス)と基準ガス(大気)との間の特定ガス濃度(酸素濃度)比に依存して電極間に生じる起電力を基に空燃比を検出する酸素センサ素子等に適用される。
また、上記ガスセンサ素子は、被測定ガス側電極及び基準ガス側電極を設けた固体電解質体以外に、例えば、基準ガスを導入する基準ガス室の酸素濃度を調整するための酸素ポンプ用の固体電解質体等を備えたものであってもよい。
また、上記ガスセンサ素子は、例えば、固体電解質体、拡散抵抗層等を積層して構成された積層型のガスセンサ素子であってもよいし、先端が閉塞されると共に基端が開放された固体電解質体を有するコップ型のガスセンサ素子であってもよい。
また、上記塗布工程では、予め作製しておいた素子本体部の拡散抵抗層の外表面上に保護層形成用材料を塗布する。ここで、上記素子本体部は、例えば、固体電解質体、拡散抵抗層等を構成する複数のセラミックシートを積層し、これを焼成することによって作製することができる。
また、上記塗布工程では、例えば、ペースト状の保護層形成用材料をパッド印刷やスクリーン印刷によって塗布したり、スラリー状の保護層形成用材料を吹き付けることによって塗布したり、スラリー状の保護層形成用材料中に素子本体部をディッピングすることによって塗布したりすることができる。
また、上記塗布工程では、保護層形成用材料を少なくとも素子本体部の拡散抵抗層の外表面上に塗布する。例えば、保護層形成用材料を拡散抵抗層の外表面を含む素子本体部の外周面上の一部に塗布したり、全周にわたって塗布したりしてもよい。
また、上記保護層は、少なくとも、素子本体部において被測定ガスの導入口となる拡散抵抗層の外表面上に形成されており、主な機能としては、被測定ガスである排ガス中の被毒物質(例えば、鉛、ガラス、リン等)をトラップし、被測定ガス側電極の被毒劣化及びそれに伴うセンサ特性の低下を防止することである。
また、上記保護層を例えば拡散抵抗層の外表面を含む素子本体部の外周面上の一部又は全周にわたって形成した場合には、上記保護層は、上述した被毒防止の機能に加えて、被水防止の機能をも併せ持つものとなる。すなわち、高温下で使用されるガスセンサ素子には、被水による熱衝撃の発生によって素子本体部に割れが生じるといった問題があるが、その被水による素子本体部の割れを上記保護層によって防止することができる。
また、上記保護層形成用材料における上記焼失性粒子の焼失開始温度は、上記有機バインダ樹脂の焼失開始温度よりも高い。例えば、焼失性粒子の焼失開始温度が有機バインダ樹脂の焼失開始温度よりも低い場合には、焼失性粒子の存在によって保護層形成用材料の骨格をある程度維持した状態で有機バインダ樹脂を焼失させるという効果を十分に得ることができないおそれがある。
また、上記焼失性粒子の焼失開始温度は、該焼失性粒子の粒子径を変化させることによって調整することができる。例えば、焼失性粒子の粒子径を大きくすることにより、該焼失性粒子の焼失開始温度を高くすることができる。これにより、使用する上記有機バインダ樹脂の焼失開始温度がわかっていれば、該有機バインダ樹脂の焼失開始温度よりも高くなるように、焼失性粒子の粒子径を調整すればよい。
また、上記焼失性粒子及び上記有機バインダ樹脂の焼失開始温度は、例えば、TG/DTA(示差熱/熱重量同時測定法)により示差熱及び熱重量を測定することによって求めることができる。
具体的には、TG/DTAにより、空気雰囲気中、加熱昇温速度10℃/分の条件において、例えば、図12に示すようなTG/DTAの曲線が得られたとする。そして、同図に示すごとく、TG曲線において、減量前のベースライン部分Xの延長線xと、最初の急激な減量部分Yの接線yとの交点Zにおける温度Tを求め、これを焼失開始温度(熱分解開始温度)とする。
また、上記保護層形成用材料の焼成収縮率は、8.0%以下であることが好ましい。
この場合には、素子本体部からの保護層の剥離を防止するという効果を十分に発揮することができる。
なお、上記保護層形成用材料の焼成収縮率は、例えば、保護層形成用材料を用いて四角柱(直方体)状のサンプルを作製し、そのサンプルを所定の条件で焼成した場合の焼成前後の体積変化率を測定することにより求めることができる。
また、上記焼失性粒子の焼失開始温度は、上記有機バインダ樹脂の焼失開始温度よりも35℃以上高いことが好ましい(請求項2)。
この場合には、焼失性粒子の存在によって保護層形成用材料の骨格をある程度維持した状態で有機バインダ樹脂を焼失させるという効果をより一層確実に得ることができる。
また、上記塗布工程の後に、上記保護層形成用材料を乾燥させ、該保護層形成用材料中の上記溶媒を除去する乾燥工程を行い、該乾燥工程後の上記保護層形成用材料における上記焼失性粒子の含有率は、30〜60体積%であることが好ましい(請求項3)。
この場合には、焼失性粒子の存在によって有機バインダ樹脂の焼失に伴う保護層形成用材料の収縮を抑制するという効果を十分に発揮することができる。
上記保護層形成用材料における上記焼失性粒子の含有率が30体積%未満の場合には、焼失性粒子によって保護層形成用材料の骨格を維持するという効果を十分に得ることができず、有機バインダ樹脂の焼失に伴う保護層形成用材料の収縮を抑制することができないおそれがある。一方、上記焼失性粒子の含有率が60体積%を超える場合には、保護層形成用材料中の粒子密度が高くなり、素子本体部に対して保護層形成用材料を塗布することが困難となるおそれがある。
また、上記焼失性粒子の平均粒子径は、上記セラミック粒子の平均粒子径よりも小さいことが好ましい(請求項4)。
この場合には、セラミック粒子によって保護層形成用材料の骨格をある程度維持した状態で、焼失性粒子が焼失されるようにすることができる。これにより、保護層形成用材料の焼成収縮率をさらに低減することができる。
上記焼失性粒子の平均粒子径が上記セラミック粒子の平均粒子径よりも大きい場合には、セラミック粒子によって保護層形成用材料の骨格をある程度維持した状態で、焼失性粒子が焼失されるようにすることが困難となるおそれがある。すなわち、焼失性粒子の焼失により、セラミック粒子によって保護層形成用材料の骨格を維持することができないおそれがある。
また、上記焼失性粒子の平均粒子径は、0.5〜4μmであることが好ましい(請求項5)。
この場合には、焼失性粒子の存在によって有機バインダ樹脂の焼失に伴う保護層形成用材料の収縮を抑制するという効果を十分に発揮することができる。
上記焼失性粒子の平均粒子径が0.5μm未満の場合には、保護層形成用材料の粘度が増大し、該保護層形成用材料の塗布性が低下するおそれがある。一方、上記焼失性粒子の平均粒子径が4μmを超える場合には、セラミック粒子によって保護層形成用材料の骨格をある程度維持した状態で、焼失性粒子が焼失されるようにすることが困難となるおそれがある。
また、上記焼失性粒子は、アクリル樹脂粒子又はカーボン粒子からなることが好ましい(請求項6)。
この場合には、焼失性粒子の存在によって有機バインダ樹脂の焼失に伴う保護層形成用材料の収縮を抑制するという効果を十分に発揮することができると共に、焼成によって確実に焼失し、保護層本来の機能を維持することができる。
また、上記有機バインダ樹脂としては、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニールブチラール等の有機系樹脂であって、分解開始温度が240℃未満までの種類のものを用いることができる。
(実施例1)
本発明の実施例にかかるガスセンサ素子の製造方法について、図を用いて説明する。
本例において製造するガスセンサ素子1は、図1〜図3に示すごとく、酸素イオン伝導性の固体電解質体11と、固体電解質体11の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けられた被測定ガス側電極12及び基準ガス側電極13と、被測定ガス側電極12に接触させる被測定ガスを透過させる多孔質の拡散抵抗層17とを有する素子本体部10と、素子本体部10において被測定ガスを導入する拡散抵抗層17の外表面171上に形成された保護層2とを備えている。
以下、これを詳説する。
図1に示すごとく、ガスセンサ素子1は、被測定ガス(排ガス)中の特定ガス濃度(酸素濃度)に依存して電極間を流れる限界電流を基にエンジンに供給される混合気の空燃比(A/F)を検出するA/Fセンサ素子である。
ガスセンサ素子1は、素子本体部10を有する。素子本体部10において、ジルコニアからなる酸素イオン伝導性の固体電解質体11の一方の面には、白金からなる被測定ガス側電極12が設けられている。また、固体電解質体11の他方の面には、白金からなる基準ガス側電極13が設けられている。
同図に示すごとく、固体電解質体11の基準ガス側電極13の側には、電気的絶縁性を有し、緻密でガスを透過させないアルミナからなる基準ガス室形成層14が積層されている。基準ガス室形成層14には、溝部141が設けられており、この溝部141によって基準ガス室140が形成されている。基準ガス室140は、基準ガス(大気)を導入することができるよう構成されている。
基準ガス室形成層14における固体電解質体11とは反対側の面には、ヒータ基板15が積層されている。ヒータ基板15には、通電により発熱する発熱体(ヒータ)151が基準ガス室形成層14と対面するよう設けられている。発熱体151は、通電によって発熱させることにより、ガスセンサ素子1を活性温度まで加熱することができるよう構成されている。
同図に示すごとく、固体電解質体11の被測定ガス側電極12の側には、開口部161を有する絶縁層16が積層されている。絶縁層16は、電気的絶縁性を有し、緻密でガスを透過させないアルミナからなる。
絶縁層16における固体電解質体11とは反対側の面には、ガス透過性のアルミナ多孔体からなる多孔質の拡散抵抗層17が積層されている。
固体電解質体11と絶縁層16の開口部161と拡散抵抗層17とにより覆われた場所には、被測定ガス室160が形成されている。被測定ガス室160は、被測定ガス(排ガス)を拡散抵抗層17から導入することができるよう構成されている。
拡散抵抗層17における絶縁層16とは反対側の面には、電気的絶縁性を有し、緻密でガスを透過させないアルミナからなる遮蔽層18が積層されている。
図2に示すごとく、固体電解質体11の一方の面に設けられた被測定ガス側電極12は、導電性のリード部121、端子部122、遮蔽層18に形成されたスルーホール188を介して、端子部123に電気的に接続されている。
また、固体電解質体11の他方の面に設けられた基準ガス側電極13は、導電性のリード部131、端子部132、133、固体電解質体11、絶縁層16、遮蔽層18にそれぞれ形成されたスルーホール119、169、189を介して、端子部134に電気的に接続されている。
また、ヒータ基板15に設けられた発熱部151は、導電性の一対のリード部152、ヒータ基板15に形成された一対のスルーホール159を介して、端子部153に電気的に接続されている。
図1に示すごとく、素子本体部10において被測定ガスの導入口となる拡散抵抗層17の外表面171上には、保護層2が形成されている。
図3に示すごとく、保護層2は、アルミナを主成分とするセラミック粒子21と、セラミック粒子21に担持されたPt、Pd、Rh等の触媒貴金属粒子29と、ガラス粒子とからなり、気孔率が36〜48%の多孔質の層である。なお、図3では、ガラス粒子の図示を省略している。
保護層2は、拡散抵抗層17の外表面171から被測定ガス室160に導入される被測定ガス(排ガス)中の被毒物質(例えば、鉛、ガラス、リン等)をトラップし、被測定ガス側電極12の被毒劣化及びそれに伴うセンサ特性の低下を防止することができるよう構成されている。
また、保護層2は、セラミック粒子21に担持された触媒貴金属粒子29により、被測定ガス(排ガス)中の水素ガスを燃焼させ、水素ガスに起因する出力ずれを防止することができるよう構成されている。
次に、本例のガスセンサ素子1を備えたガスセンサ8について説明する。
図4に示すごとく、ガスセンサ8は、ガスセンサ素子1と、ガスセンサ素子1を内側に挿通保持する絶縁碍子81と、絶縁碍子81を内側に挿通保持するハウジング82と、ハウジング82の基端側に配設された大気側カバー83と、ハウジング82の先端側に配設されると共にガスセンサ素子1を保護する素子カバー84とを有する。
同図に示すごとく、素子カバー84は、外側カバー841と内側カバー842とからなる二重構造のカバーにより構成されている。
この外側カバー841及び内側カバー842の側面部や底面部には、被測定ガスを導通させるための導通孔843が設けられている。
次に、本例のガスセンサ素子1の製造方法について説明する。
本例のガスセンサ素子1の製造方法において、保護層2を形成するに当たっては、図5、図6に示すごとく、セラミック粒子21と、焼成により焼失する焼失性粒子22と、有機溶剤からなる溶媒と、溶媒に可溶性の有機バインダ樹脂23とを含有する保護層形成用材料20を作製する保護層形成用材料作製工程と、保護層形成用材料20を素子本体部10の拡散抵抗層17の外表面171上に塗布する塗布工程と、素子本体部10の拡散抵抗層17の外表面171上に塗布した保護層形成用材料20を焼成し、保護層2を形成する焼成工程とを行う。
そして、保護層形成用材料20における焼失性粒子22の焼失開始温度は、有機バインダ樹脂23の焼失開始温度よりも高い。
以下、これを詳説する。
本例のガスセンサ素子1を製造するに当たっては、まず、素子本体部10を作製する。具体的には、ヒータ基板15、基準ガス室形成層14、固体電解質体11、絶縁層16、拡散抵抗層17、遮蔽層18を構成する各セラミックシートを順に積層し、素子中間体を作製する。そして、素子中間体を1400〜1500℃、1〜3時間の条件で焼成し、素子本体部10(図1参照)を作製する。
次いで、アルミナからなるセラミック粒子21(10.9体積%)と、Pt、Pd、Rh等の貴金属からなる触媒貴金属粒子29(1.1体積%)と、ガラス粒子(5.7体積%)と、アクリル樹脂からなる焼失性粒子22(17体積%)と、有機溶剤としてのターピネオールからなる溶媒(62.3体積%)と、溶媒に可溶性のエチルセルロースからなる有機バインダ樹脂23(3体積%)とを混合・混練し、ペースト状の保護層形成用材料20(図5、図6参照)を作製する(保護層形成用材料作製工程)。
ここで、保護層形成用材料20における焼失性粒子22の焼失開始温度は、有機バインダ樹脂23の焼失開始温度よりも高い。本例では、焼失性粒子22の焼失開始温度は、約
280℃であり、有機バインダ樹脂23の焼失開始温度は、約200℃である。すなわち、焼失性粒子22の焼失開始温度は、有機バインダ樹脂23の焼失開始温度よりも35℃以上高い。
また、焼失性粒子22の平均粒子径は、セラミック粒子21の平均粒子径よりも小さい。本例では、焼失性粒子22の平均粒子径は、約1.0μmであり、セラミック粒子21の平均粒子径は、約4.0μmである。
次いで、図5に示すごとく、ペースト状の保護層形成用材料20を素子本体部10の拡散抵抗層17の外表面171上に塗布する(塗布工程)。本例では、ペースト状の保護層形成用材料20をパッド印刷、スクリーン印刷等の方法によって塗布した。
次いで、素子本体部10の拡散抵抗層17の外表面171上に塗布した保護層形成用材料20を140℃、15分の条件で乾燥させ、保護層形成用材料20中の有機溶剤(溶媒)を蒸発させ、除去する(乾燥工程)。
これにより、図6に示すごとく、素子本体部10の拡散抵抗層17の外表面171上に塗布した保護層形成用材料20は、セラミック粒子21及び焼失性粒子22によって骨格が形成されていると共に、その骨格を形成しているセラミック粒子21及び焼失性粒子22の間に有機バインダ樹脂23が存在している状態となっている。このとき、保護層形成用材料20における焼失性粒子22の含有率は、45.1体積%である。なお、図6では、ガラス粒子の図示を省略している。
その後、素子本体部10の拡散抵抗層17の外表面171上に塗布した保護層形成用材料20を900℃、1時間の条件で焼成する(焼成工程)。
この焼成過程において、最初に、保護層形成用材料20中の有機バインダ樹脂23が焼失を開始する。このとき、保護層形成用材料20は、セラミック粒子21及び焼失性粒子22によって骨格が形成された状態にある。次に、保護層形成用材料20中の焼失性粒子22が焼失を開始する。そして、最終的に、有機バインダ樹脂23及び焼失性粒子22が焼失し、残ったセラミック粒子21及び触媒貴金属29からなる多孔質の保護層2(図3参照)が形成される。
以上により、ガスセンサ素子1(図1参照)を作製する。
次に、本例のガスセンサ素子1の製造方法における作用効果について説明する。
本例のガスセンサ素子1の製造方法において、保護層2を形成するに当たっては、保護層形成用材料作製工程、塗布工程及び焼成工程を行う。また、保護層形成用材料作製工程において作製する保護層形成用材料20には、セラミック粒子21、焼成により焼失する焼失性粒子22、溶媒及び有機バインダ樹脂23が含有されている。そして、保護層形成用材料20における焼失性粒子22の焼失開始温度は、有機バインダ樹脂23の焼失開始温度よりも高い。
そのため、焼成工程において、焼失性粒子22は、有機バインダ樹脂23の焼失が開始される段階で保護層形成用材料20中に残留しており、その保護層形成用材料20の骨格をセラミック粒子21と共に形成している。したがって、保護層形成用材料20の骨格がある程度維持された状態で有機バインダ樹脂23が焼失することになる。これにより、有機バインダ樹脂23の焼失に伴う保護層形成用材料20の収縮を抑制することができ、保護層形成用材料20の焼成収縮率を低減することができる。その結果、素子本体部10とその素子本体部10に塗布した保護層形成用材料20との焼成収縮率の差を低減することができ、素子本体部10からの保護層2の剥離を防止することができる。
また、焼失性粒子22は、最終的に焼成により焼失するため、形成された保護層2には存在しない。これにより、焼失性粒子22によって保護層2の機能が損なわれることはない。すなわち、本来得ようとする保護層2の機能、例えば本例のような被測定ガス中の被毒物質をトラップするといった機能を維持することができる。
また、本例では、塗布工程の後に、保護層形成用材料20を乾燥させ、保護層形成用材料20中の有機溶剤(溶媒)を除去する乾燥工程を行い、乾燥工程後の保護層形成用材料20における焼失性粒子22の含有率は、30〜60体積%の範囲内である。そのため、焼失性粒子22の存在によって有機バインダ樹脂23の焼失に伴う保護層形成用材料20の収縮を抑制するという効果を十分に発揮することができる。
また、焼失性粒子22の焼失開始温度は、有機バインダ樹脂23の焼失開始温度よりも35℃以上高い。そのため、焼失性粒子22の存在によって保護層形成用材料20の骨格をある程度維持した状態で有機バインダ樹脂23を焼失させるという効果をより一層確実に得ることができる。
また、焼失性粒子22の平均粒子径は、セラミック粒子21の平均粒子径よりも小さい。そのため、セラミック粒子21によって保護層形成用材料20の骨格をある程度維持した状態で、焼失性粒子22が焼失されるようにすることができる。これにより、保護層形成用材料20の焼成収縮率をさらに低減することができる。
また、焼失性粒子22の平均粒子径は、0.5〜4μmである。そのため、焼失性粒子22の存在によって有機バインダ樹脂23の焼失に伴う保護層形成用材料20の収縮を抑制するという効果を十分に発揮することができる。
また、焼失性粒子22は、アクリル樹脂粒子からなる。そのため、焼失性粒子22の存在によって有機バインダ樹脂23の焼失に伴う保護層形成用材料20の収縮を抑制するという効果を十分に発揮することができると共に、焼成によって確実に焼失し、保護層2本来の機能を維持することができる。
このように、本例の製造方法によれば、保護層2の機能を維持しながら、その保護層2の剥離を防止することができるガスセンサ素子1を得ることができる。
なお、本例では、図1、図5に示すごとく、塗布工程において、保護層形成用材料20を素子本体部10の拡散抵抗層17の外表面171上に塗布し、保護層2を形成しているが、例えば、図7に示すごとく、保護層形成用材料20を拡散抵抗層17の外表面171を含む素子本体部10の外周面100上に全周にわたって塗布し、保護層2を形成することもできる。
この場合には、保護層2は、被毒防止の機能に加えて、被水防止の機能をも併せ持つものとなる。すなわち、被水による素子本体部10の割れを保護層2によって防止することができる。
(実施例2)
本例は、図8、図9に示すごとく、ガスセンサ素子1の構成を変更した例である。
本例では、図8に示すごとく、素子本体部10の拡散抵抗層17の外表面171上に形成された保護層2を覆うように、被覆層3が素子本体部10の外周面100上に全周にわたって形成されている。
図9に示すごとく、被覆層3は、アルミナを主成分とするセラミック粒子31からなり、気孔率が約60%の緻密な層である。被覆層3は、その外表面301が被水による素子本体部10の割れを防止することができるよう構成されている。
その他は、実施例1と同様の構成である。
次に、本例のガスセンサ素子1の製造方法について説明する。
本例では、実施例1と同様に、素子本体部10を作製した後、保護層形成用材料作製工程、塗布工程、乾燥工程を順に行う。
次いで、素子本体部10の拡散抵抗層17の外表面171上に塗布された保護層形成用材料20を覆うように、被覆層形成用材料を素子本体部10の外周面100上に全周にわたって塗布する。本例では、被覆層形成用材料をディッピングによって塗布した。
ここで、被覆層形成用材料は、アルミナからなるセラミック粒子31(図9参照)と、溶剤としての水からなる溶媒と、溶媒に可溶性の水酸化アルミニウム2水和物からなる無機バインダとを混合・混練して作製したものである。
次いで、被覆層形成用材料を140℃、15分の条件で乾燥させ、被覆層形成用材料中の溶剤(溶媒)を蒸発させ、除去する。
その後、素子本体部10に塗布した保護層形成用材料20(図5、図6参照)及び被覆層形成用材料を900℃、1時間の条件で焼成する。これにより、ガスセンサ素子1(図8参照)を作製する。
その他は、実施例1と同様の製造方法であり、同様の作用効果を有する。
(実施例3)
本例は、図10に示すごとく、ガスセンサ素子1の構成を変更した例である。
同図に示すごとく、ガスセンサ素子1は、実施例1と同様に、固体電解質体11、被測定ガス側電極12及び基準ガス側電極13を有する。被測定ガス側電極12は、被測定ガス室160に面して配設されている。
また、固体電解質体11の被測定ガス電極12側には、開口部172を有する多孔質の拡散抵抗層17が積層されている。また、固体電解質体11の基準ガス側電極13側には、絶縁層191及びヒータ基板15が積層されている。また、ヒータ基板15には、発熱体151が設けられている。
そして、ガスセンサ素子1は、被測定ガス室160内の酸素濃度を調整するポンプセル4を有する。ポンプセル4は、酸素イオン伝導性のポンプ用固体電解質体41と、ポンプ用固体電解質体41の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けた一対のポンプ用電極42、43とを有する。一方のポンプ用電極42は、被測定ガス室160に面して配設されている。
また、拡散抵抗層17における固体電解質体11とは反対側の面には、ポンプ用固体電解質体41が積層されている。また、一方のポンプ用電極42は、多孔質層44により覆われている。また、多孔質層44の外側には、絶縁層192が配設されている。
また、保護層2は、拡散抵抗層17の外表面171を含む素子本体部10の外周面100上に全周にわたって形成されている。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の作用効果を有する。
(実施例4)
本例は、図11に示すごとく、有底筒状のコップ型のガスセンサ素子1の例である。
同図に示すごとく、ガスセンサ素子1は、有底筒状の固体電解質体11と、固体電解質体11の外表面に設けた被測定ガス側電極12と、内表面に設けた基準ガス側電極13とを有する。また、固体電解質体11の内側には、基準ガス室140が形成され、その基準ガス室140には、発熱体151が挿入配置されている。
同図に示すごとく、固体電解質体11の外表面上には、その外表面全体を覆うように多孔質の拡散抵抗層17が設けられている。また、素子本体部10の拡散抵抗層17の外表面171上には、その外表面171全体を覆うように保護層2が形成されている。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の作用効果を有する。
(実施例5)
本例は、本発明のガスセンサ素子の製造方法における効果を調べたものである。
本例では、表1に示すごとく、保護層形成用材料の成分のうち、セラミック粒子、ガラス粒子、触媒貴金属粒子及び有機溶剤(溶媒)の含有率が一定であり、焼失性粒子及び有機バインダ樹脂の含有率(比率)が異なる複数の保護層形成用材料を用いて保護層を形成し、ガスセンサ素子(試料A1〜A12)を作製した。
そして、作製したガスセンサ(試料A1〜A12)について、保護層の剥離、保護層の形成容易性について評価し、あわせて保護層(保護層形成用材料)の焼成収縮率についても調べた。
なお、本例で作製したガスセンサ素子(試料A1〜A12)の基本的な構成及びその製造方法は、実施例1と同様である。
また、保護層形成用材料の各成分(焼失性粒子、有機バインダ樹脂、セラミック粒子、ガラス粒子、触媒貴金属粒子)を構成する材料は実施例1と同様であり、その含有率は表1に示すとおりである。ただし、表1に示す各成分の含有率は、保護層形成用材料を乾燥させ、保護層形成用材料中の有機溶剤(溶媒)を除去した後(乾燥工程後)の各成分の含有率である。
Figure 2012127728
次に、各項目の評価方法について説明する。
「保護層の剥離」については、作製したガスセンサ素子の保護層の状態についてSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察し、保護層の剥離の有無を確認する。
「保護層の剥離」の判定は、素子本体部の拡散抵抗層と保護層との接触面において、両者の間に10μm以上の空隙が生じていない場合には○、10μm以上の剥離が生じている場合には×とした。
「保護層の形成容易性」については、素子本体部に塗布する前のペースト状の保護層形成用材料の粘度を測定する。すなわち、保護層形成用材料中に有機溶剤(溶媒)が存在している状態での粘度を測定する。そして、測定した粘度の値に基づいて評価を行う。
「保護層の形成容易性」の判定は、パッド印刷等の方法による塗布の容易性を考慮し、保護層形成用材料の粘度A(Pa・s)について、10≦A≦35の場合には◎、5≦A<10又は35<A≦40の場合には○、A<5又はA>40の場合には×とした。
「保護層(保護層形成用材料)の焼成収縮率」は、保護層形成用材料を用いて四角柱(直方体)状のサンプルを作製し、そのサンプルを900℃、1時間の条件で焼成する。そして、焼成前後の体積変化率を測定することにより、保護層(保護層形成用材料)の焼成収縮率を求める。
次に、各項目の評価結果について説明する。
表1に示すごとく、保護層形成用材料中の焼失性粒子の含有率が高いほど、保護層の焼成収縮率が小さくなっていることがわかる。これは、焼失性粒子の存在によって保護層形成用材料の骨格をある程度維持した状態で有機バインダ樹脂を焼失させ、その有機バインダ樹脂の焼失に伴う保護層形成用材料の収縮を抑制することができるということを示している。
そして、保護層形成用材料中の焼失性粒子の含有率が30体積%以上の試料A4〜A12では、保護層の剥離が見られなかった(保護層の剥離:判定○)。これは、保護層の焼成収縮率の低減により、保護層の剥離を防止することができるということを示している。
一方、保護層形成用材料中の焼失性粒子の含有率が30体積%未満の試料A1〜A3では、保護層の剥離が見られた(保護層の剥離:判定×)。つまり、焼失性粒子の存在によって保護層の剥離を抑制するという効果を十分に得られなかったことを示している。
また、同表から、保護層形成用材料中の焼失性粒子の含有率が60体積%を超えている試料A11、A12では、保護層の形成容易性の判定が×であった。これは、焼失性粒子の含有率が高くなることにより、保護層形成用材料中の粒子密度が高くなり、保護層形成用材料の塗布が困難になることを示している。例えば、パッド印刷の場合には、パッドにペースト状の保護層形成用材料が吸着され難くなり、所望の転写性能が得られなくなってしまう。
以上の結果により、本発明のガスセンサ素子の製造方法によれば、焼失性粒子の存在によって有機バインダ樹脂の焼失に伴う保護層形成用材料の収縮を抑制することができ、保護層の剥離を防止することができることがわかった。
また、保護層の剥離防止という効果に加えて、保護層の形成の容易性を考慮した場合には、保護層形成用材料を乾燥させ、保護層形成用材料中の有機溶剤(溶媒)を除去した後の焼失性粒子の含有率が30〜60体積%であることが好ましいことがわかった。
(実施例6)
本例は、本発明のガスセンサ素子の製造方法における効果を調べたものである。
本例では、表2に示すごとく、焼失性粒子の粒子径が異なる(焼失開始温度が異なる)複数の保護層形成用材料を用いて保護層を形成し、ガスセンサ素子(試料B1〜B7)を作製した。
そして、作製したガスセンサ(試料B1〜B7)について、実施例5と同様に、保護層の剥離、保護層の形成容易性について評価し、あわせて保護層(保護層形成用材料)の焼成収縮率についても調べた。
なお、本例で作製したガスセンサ素子(試料B1〜B7)の基本的な構成及びその製造方法は、実施例1と同様である。
また、保護層形成用材料の各成分(焼失性粒子、有機バインダ樹脂、セラミック粒子、ガラス粒子、触媒貴金属粒子)を構成する材料は実施例1と同様であり、その含有率は表1に示す試料A4と同様である。特に、焼失性粒子の含有率は30体積%である。
また、各成分の含有率は、保護層形成用材料を乾燥させ、保護層形成用材料中の有機溶剤(溶媒)を除去した後(乾燥工程後)の各成分の含有率である。
また、有機バインダ樹脂(エチルセルロース)の焼失開始温度は約200℃である。
Figure 2012127728
次に、各項目の評価方法について説明する。
「保護層の剥離」、「保護層の形成容易性」、「保護層(保護層形成用材料)の焼成収縮率」の評価方法、判定等は、実施例5と同様である。
次に、各項目の評価結果について説明する。
表2に示すごとく、保護層形成用材料中の焼失性粒子の粒子径が4μm以下(焼失開始温度差が35℃以上)の試料B1〜B4では、保護層の剥離が見られなかった(保護層の剥離:判定○)。
一方、保護層形成用材料中の焼失性粒子の粒子径が4μmを超えている試料B5〜B7では、保護層の剥離が見られた(保護層の剥離:判定×)。これは、焼失性粒子の粒子径が大きくなると、セラミック粒子によって保護層形成用材料の骨格をある程度維持した状態で、焼失性粒子が焼失されるようにすることが困難となるからである。
また、同表から、保護層形成用材料中の焼失性粒子の粒子径が0.5μm以上の試料B2〜B7では、保護層の形成容易性の判定が○であった。
一方、保護層形成用材料中の焼失性粒子の粒子径が0.5μm未満の試料B1では、保護層の形成容易性の判定が○であった。これは、焼失性粒子の粒子径が小さくなることにより、保護層形成用材料中の粘度が増大し、保護層形成用材料の塗布性が少し低下したことを示している。
以上の結果により、保護層の剥離防止という効果を得るためには、保護層形成用材料中の焼失性粒子の粒子径を4μm以下とすることが好ましいことがわかった。また、このことから、焼失性粒子の焼失開始温度が有機バインダ樹脂の焼失開始温度よりも35℃以上
高いことが好ましいことがわかった。
また、保護層の形成の容易性を考慮した場合には、保護層形成用材料中の焼失性粒子の粒子径を0.5μm以上とすることが好ましいことがわかった。
1 ガスセンサ素子
10 素子本体部
17 拡散抵抗層
171 外表面(拡散抵抗層の外表面)
20 保護層形成用材料
21 セラミック粒子
22 焼失性粒子
23 有機バインダ樹脂

Claims (6)

  1. 酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けられた被測定ガス側電極及び基準ガス側電極と、上記被測定ガス側電極に接触させる被測定ガスを透過させる多孔質の拡散抵抗層とを有する素子本体部と、該素子本体部において上記被測定ガスを導入する上記拡散抵抗層の外表面上に形成された保護層とを備えたガスセンサ素子を製造する方法であって、
    上記保護層を形成するに当たっては、少なくとも、セラミック粒子と、焼成により焼失する焼失性粒子と、水又は有機溶剤からなる溶媒と、該溶媒に可溶性の有機バインダ樹脂とを含有する保護層形成用材料を作製する保護層形成用材料作製工程と、
    上記保護層形成用材料を上記素子本体部の上記拡散抵抗層の上記外表面上に塗布する塗布工程と、
    上記保護層形成用材料を焼成し、上記保護層を形成する焼成工程とを行い、
    上記保護層形成用材料における上記焼失性粒子の焼失開始温度は、上記有機バインダ樹脂の焼失開始温度よりも高いことを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  2. 請求項1に記載のガスセンサ素子の製造方法において、上記焼失性粒子の焼失開始温度は、上記有機バインダ樹脂の焼失開始温度よりも35℃以上高いことを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のガスセンサ素子の製造方法において、上記塗布工程の後に、上記保護層形成用材料を乾燥させ、該保護層形成用材料中の上記溶媒を除去する乾燥工程を行い、該乾燥工程後の上記保護層形成用材料における上記焼失性粒子の含有率は、30〜60体積%であることを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ素子の製造方法において、上記焼失性粒子の平均粒子径は、上記セラミック粒子の平均粒子径よりも小さいことを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスセンサ素子の製造方法において、上記焼失性粒子の平均粒子径は、0.5〜4μmであることを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスセンサ素子の製造方法において、上記焼失性粒子は、アクリル樹脂粒子又はカーボン粒子からなることを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
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