JP2005049315A - センサの製造方法およびセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 主体金具への板型検出素子の組付け作業が容易となるセンサの製造方法を提供し、および板型検出素子に鍔部(フランジ部)を形成するにあたり、部品点数の少ないセンサを提供する。
【解決手段】 全領域空燃比センサ2の製造方法では、素子ユニット7の製造工程において、圧力印加により素子挿通孔115の断面積が縮小するよう滑石リング108を圧縮変形させた後、滑石リング108を焼成することで、検出素子4に対して滑石リング108を一体に組み付ける作業を行う。これにより、滑石リング108のみで形成されたフランジ部により、主体金具102における検出素子4の位置決めが可能となることから、絶縁碍子およびガラス封止材を用いてフランジ部を形成する場合に比べて、センサの部品点数を削減でき、コストの低減を図ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 全領域空燃比センサ2の製造方法では、素子ユニット7の製造工程において、圧力印加により素子挿通孔115の断面積が縮小するよう滑石リング108を圧縮変形させた後、滑石リング108を焼成することで、検出素子4に対して滑石リング108を一体に組み付ける作業を行う。これにより、滑石リング108のみで形成されたフランジ部により、主体金具102における検出素子4の位置決めが可能となることから、絶縁碍子およびガラス封止材を用いてフランジ部を形成する場合に比べて、センサの部品点数を削減でき、コストの低減を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象物に向けられる先端側に検出部が形成され、後端側に電極端子部が形成される板型検出素子と、板型検出素子を取り囲む形態で一体に組み付けられるフランジ部と、板型検出素子を挿通するために軸線方向に貫通する貫通孔を有し、貫通孔の内周面にフランジ部に係合する棚部を有する主体金具と、を備えるセンサの製造方法、および板型検出素子と主体金具とを備えるセンサに関する。
従来より、センサの1種として、筒型形状の検出素子(以下、筒型検出素子ともいう)を主体金具の内側に保持させた構造の酸素センサが知られている。このような酸素センサは、筒型形状の検出素子として、軸線方向における略中央に径方向外側に向かって突出して後端側に対向する鍔部が一体成形された筒型検出素子を備える構成のものがある。この筒型検出素子は、主体金具の貫通孔内面から径方向内側に向かって突出する棚部に対して、自身の鍔部を直接または他部材(パッキンなど)を介して係合させることで、主体金具の内部に配置される。
一方、近年、酸素センサとして、筒型形状の検出素子に代わり、板型形状(積層型)の検出素子(以下、板型検出素子ともいう)を用いたものが提案されている。このような板型形状の検出素子は、主体金具の棚部に保持させるための鍔部(フランジ部(係り止め係合部))が一体成形されていないため、主体金具の棚部に係合させるための係合面が形成された筒状の絶縁碍子を用いることで、板型検出素子を主体金具に保持させている。つまり、絶縁碍子と板型検出素子とを一体に固定すると共に、この絶縁碍子の係合面を主体金具の棚部に係合させることで、板型形状の検出素子を主体金具に保持させている(特許文献1参照)。
他方、板型形状の検出素子を用いた酸素センサとして、板型検出素子の径方向周囲に絶縁ホルダ、滑石充填材(粉体リング)、絶縁スリーブが積層される構成のものがある。絶縁ホルダ、滑石充填材、絶縁スリーブは、例えば、中心部分に素子挿通孔を有する環状形状に形成することができる。
このようなセンサの製造方法としては、絶縁ホルダ、滑石充填材、絶縁スリーブを主体金具の内側に配置した後、板型検出素子を、絶縁ホルダ,滑石充填材,絶縁スリーブの素子挿通孔に挿通し、その後、滑石充填材に圧力を加えることで、滑石充填材の圧縮応力によって検出素子を主体金具に保持させる製造方法が知られている(特許文献2参照)。
特開2002−174622号公報(図1、図3)
特開2002−168823号公報(図1)
しかし、上記の特許文献2に記載のセンサの製造方法においては、主体金具の貫通孔に絶縁ホルダや粉体リングを配置した後に、粉体リングの素子挿通孔に板型検出素子を挿通して板型検出素子と主体金具とを組み付ける作業(組み付け作業)を行うにあたり、作業が煩雑となる問題が生じる。
つまり、板型検出素子を素子挿通孔に挿通する際には、板型検出素子の回転方向位置(軸線方向を回転軸とする回転方向位置)を、素子挿通孔に挿通可能な所定方向に定める必要がある。とりわけ、貫通孔の深い位置に粉体リング等が配置される構造の主体金具を用いる場合には、粉体リング等の素子挿通孔の方向が判別し難くなるため、板型検出素子と主体金具との組み付け作業が煩雑となる問題が生じてしまう。
また、上記の特許文献1に記載のセンサにおいては、主体金具の棚部に保持させるための鍔部(フランジ部)としての絶縁碍子を板型検出素子に一体に組み付けているが、絶縁碍子を板型検出素子に固定するためのガラス封止材を用いる必要がある。このように、絶縁碍子に加えてガラス封止材を備える必要があると、鍔部を有する板型検出素子を構成する部品点数が多くなり、コストが増大するという問題が生じる。
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、主体金具への板型検出素子の組付け作業が容易となるセンサの製造方法を提供すること、および板型検出素子に鍔部(フランジ部)を形成するにあたり、部品点数の少ないセンサを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明方法は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象物に向けられる先端側に検出部が形成され、後端側に電極端子部が形成される板型検出素子と、板型検出素子を取り囲む形態で一体に組み付けられるフランジ部と、板型検出素子を挿通するために軸線方向に貫通する貫通孔を有し、フランジ部に係合するように貫通孔の内周面から径方向内向きに突出して形成される棚部を有する主体金具と、を備えるセンサの製造方法であって、フランジ部は、粉体物が固められて環状形状をなす粉体リングを備える形態で板型検出素子に一体に組み付けられるものであり、板型検出素子を粉体リングに挿通する前の状態において、軸線方向に垂直な面における板型検出素子の断面形状よりも開口断面積が大きい素子挿通孔を有する当該粉体リングの素子挿通孔に対して、板型検出素子を挿通すると共に、板型検出素子の軸線方向における粉体リングの位置決めを行う第1工程と、粉体リングに対して軸線方向に圧縮する圧縮用圧力を印加し、素子挿通孔の開口断面積が縮小するよう粉体リングを圧縮変形させた後、粉体リングを焼成して、板型検出素子に対して粉体リングを有するフランジ部を一体に組み付ける第2工程と、板型検出素子を主体金具の貫通孔の内部に配置する際に、フランジ部を棚部に係合させて、貫通孔の内部での板型検出素子の軸線方向における位置決めを行う第3工程と、を有することを特徴とするセンサの製造方法である。
このセンサの製造方法では、まず、第1工程にて、粉体リングの素子挿通孔に対して板型検出素子を挿通すると共に、板型検出素子の軸線方向に対し粉末リングの位置決めを行う。
そして、次の第2工程において、圧力印加により素子挿通孔の断面積が縮小するよう粉体リングを圧縮変形させた後、粉体リングを焼成して、板型検出素子に対して粉体リングを有するフランジ部を一体に組み付けている。これにより、粉体リングを有するフランジ部は、板型検出素子から軸線方向に対する垂直方向(径方向外向き)に突出した状態で、検出素子に一体に組み付けられ、主体金具の棚部に係合可能に備えられる。
そして、第3工程において、板型検出素子を主体金具の貫通孔に配置する際に、フランジ部を棚部に係合させて、フランジ部を主体金具の棚部に係合する係り止め係合部として用いることで、主体金具の内部での板型検出素子の軸線方向における位置決めを行う。
このようにして、フランジ部を粉体リングのみで形成して、主体金具における板型検出素子の位置決めが可能となることから、絶縁碍子およびガラス封止材を用いてフランジ部を形成する場合に比べて、センサの部品点数を削減でき、コストの低減を図ることができる。
また、本発明の製造方法によれば、フランジ部と板型検出素子との組み付け作業を、板型検出素子と主体金具との組み付け作業と同時に行うのではなく、板型検出素子と主体金具との組み付け作業時期よりも早い時期に実行している。
このため、板型検出素子を主体金具に組み付けるにあたり、板型検出素子の回転方向位置を所定方向に定める必要が無くなり、板型検出素子の回転方向位置を所定方向に定める手間を省略できることから、主体金具に対する板型検出素子の組み付け作業の煩雑さを軽減することができる。
さらに、粉体リングを有するフランジ部が一体に組み付けられた板型検出素子は、主体金具に組み付けるにあたり、フランジ部と棚部とを係合させることで、軸線方向における主体金具と板型検出素子との相対位置を一定に定めることができる。このため、板型検出素子におけるフランジ部(粉体リング)の組付け位置を、主体金具における棚部の位置を考慮して予め設定することで、主体金具に対する板型検出素子の相対位置を一定位置に定めることができ、主体金具に対する板型検出素子の位置決め作業(軸線方向における位置決め作業)が容易となる。
よって、本発明方法によれば、主体金具に対する板型検出素子の組み付け作業の煩雑さを軽減でき、主体金具への板型検出素子の組付け作業が容易となるセンサの製造方法を実現することができる。また、板型検出素子にフランジ部を形成するにあたり、従来のようにガラス封止材を用いる必要が無くなり、部品点数を削減できるため、センサの製造コストの低減を図ることができる。
ところで、板型検出素子としては、先端側のうちで少なくとも測定対象物に晒される電極の表面を覆うように保護層を備えるものがある。このように保護層を形成する理由は、例えば、内燃機関で生ずる排ガスを測定対象物として、その酸素濃度の測定等に使用する場合に、排ガス中に電極を被毒する物質が含有されていることがあり、電極をその被毒から防護することが挙げられる。そして、保護層は、例えば、測定対象物に晒される電極を含む検出部の表面全体を覆うように塗布された未焼成保護層を焼成することにより形成でき、このような保護層を備える板型検出素子は、保護層を形成するために未焼成保護層への熱処理を行う必要がある。
そこで、熱処理により焼成される保護層を有する板型検出素子を備えるセンサにおいて、上記のセンサの製造方法を適用する際には、請求項2に記載のように、板型検出素子は、先端側のうち少なくとも測定対象物に晒される電極の表面上に保護層を備えており、第2工程において、粉体リングを圧縮変形させた後、焼成されて保護層となる未焼成保護層を板型検出素子に形成し、粉体リングと共に未焼成保護層を焼成するとよい。
これにより、粉体リングを焼成するための熱処理と、板型検出素子に保護層を形成するための熱処理とを、1つの作業で同時に実施することができ、作業時間の短縮を図ることができる。とりわけ、熱処理は長い時間を要することから、そのような長時間を要する複数の作業を1回の作業で実施することにより、センサの製造効率を向上させることができる。
また、このセンサの製造方法によれば、熱処理作業の実施回数を減らすことにより作業工数を削減できるため、センサの製造作業における作業の煩雑さを軽減できる。
次に、上述のセンサの製造方法においては、請求項3に記載のように、センサは、板型検出素子のうち粉体リングよりも後端側の周囲に、粉状物が固められて環状形状をなす充填部材を備えて構成されており、第3工程において、板型検出素子のうち粉体リングよりも後端部分に充填部材を配置した状態で、板型検出素子を主体金具の貫通孔に配置し、第3工程の実行後、充填部材に対して棚部に向かう圧力を印加して、板型検出素子と主体金具との間に充填部材を加圧充填することにより、板型検出素子と主体金具との間を充填部材により気密封止するとよい。
次に、上述のセンサの製造方法においては、請求項3に記載のように、センサは、板型検出素子のうち粉体リングよりも後端側の周囲に、粉状物が固められて環状形状をなす充填部材を備えて構成されており、第3工程において、板型検出素子のうち粉体リングよりも後端部分に充填部材を配置した状態で、板型検出素子を主体金具の貫通孔に配置し、第3工程の実行後、充填部材に対して棚部に向かう圧力を印加して、板型検出素子と主体金具との間に充填部材を加圧充填することにより、板型検出素子と主体金具との間を充填部材により気密封止するとよい。
このセンサの製造方法によれば、粉体リングを板型検出素子に一体に組み付ける第2工程が実施された後の第3工程において、板型検出素子に対して環状形状の充填部材を挿通することから、粉体リングにより充填部材を支持できる。つまり、板型検出素子を先端が下側となる状態にして、板型検出素子の後端から充填部材を挿通すると、充填部材は、粉体リングにより係止される状態で板型検出素子の周囲に配置される。
このように、板型検出素子を主体金具の貫通孔に配置する前段階で、充填部材を板型検出素子の周囲に配置できる場合には、板型検出素子に対する充填部材の配置状態を容易に確認することができ、充填部材の配置状態を適切な状態に設定することができる。
なお、主体金具の貫通孔に板型検出素子が配置された後に、充填部材を貫通孔に挿入配置する場合には、主体金具の貫通孔の内部は視認し難いため配置状態の確認が難しく、また、狭い空間であるため配置状態を変更し難いことから、充填部材が不適切な配置状態(例えば、充填部材が傾いた状態など)になる虞がある。これに対して、本発明のセンサの製造方法によれば、板型検出素子に対する充填部材の配置状態を容易に適切な状態に設定できるため、センサの組み立て作業の煩雑さを軽減することができる。
また、主体金具の貫通孔に板型検出素子が配置された後に、充填部材を貫通孔に挿入配置する場合には、主体金具の構造によっては、充填部材が落下する距離が長くなり、落下の衝撃で充填部材が破損する虞がある。
これに対して、本発明のセンサの製造方法であれば、板型検出素子を主体金具の貫通孔に配置する前に、予め充填部材を板型検出素子の周囲に配置できるため、落下時の衝撃に伴う充填部材の破損を防止することができる。つまり、フランジ部(粉体リング)の上に積層する状態で充填部材を板型検出素子に配置して、板型検出素子の後端部分を把持した状態で、板型検出素子および充填部材を主体金具の貫通孔に配置することにより、落下の衝撃が生じるのを防止でき、充填部材の破損を防止することができる。
さらに、充填部材が板型検出素子と主体金具との間に加圧充填されるため、両者間の気密封止を良好に図ることができる。
次に、上記目的を達成するためになされた請求項4に記載の発明は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象物に向けられる先端側に検出部が形成され、後端側に電極端子部が形成される板型検出素子と、板型検出素子を取り囲む形態で一体に組み付けられるフランジ部と、板型検出素子を挿通するために軸線方向に貫通する貫通孔を有し、フランジ部に係合するように貫通孔の内周面から径方向内向きに突出して形成される棚部を有する主体金具と、を備えるセンサであって、フランジ部は、板型検出素子の径方向周囲に粉状物が固められて環状形状をなすと共に焼成された粉体リングを備える形態で、板型検出素子に一体に組み付けられるものであり、板型検出素子のうち粉体リングよりも後端側の径方向周囲に粉状物が固められて環状形状をなす充填部材を配置し、該充填部材により検出素子と主体金具との間を気密封止してなること、を特徴とするセンサである。
次に、上記目的を達成するためになされた請求項4に記載の発明は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象物に向けられる先端側に検出部が形成され、後端側に電極端子部が形成される板型検出素子と、板型検出素子を取り囲む形態で一体に組み付けられるフランジ部と、板型検出素子を挿通するために軸線方向に貫通する貫通孔を有し、フランジ部に係合するように貫通孔の内周面から径方向内向きに突出して形成される棚部を有する主体金具と、を備えるセンサであって、フランジ部は、板型検出素子の径方向周囲に粉状物が固められて環状形状をなすと共に焼成された粉体リングを備える形態で、板型検出素子に一体に組み付けられるものであり、板型検出素子のうち粉体リングよりも後端側の径方向周囲に粉状物が固められて環状形状をなす充填部材を配置し、該充填部材により検出素子と主体金具との間を気密封止してなること、を特徴とするセンサである。
つまり、このセンサは、フランジ部を粉体リングのみで形成できることから、絶縁碍子およびガラス封止材を用いてフランジ部を形成する場合に比べて、センサの部品点数を削減でき、コストの低減を図ることができる。
また、このセンサにおいては、充填部材が、板型検出素子と主体金具との間に加圧充填されるため、両者間の気密性の向上を図ることができる。
よって、本発明によれば、板型検出素子にフランジ部を形成するにあたり、部品点数を削減できるため、センサの製造コストの低減を図ることができ、また、高い気密性が要求される用途に適したセンサを得ることができる。
よって、本発明によれば、板型検出素子にフランジ部を形成するにあたり、部品点数を削減できるため、センサの製造コストの低減を図ることができ、また、高い気密性が要求される用途に適したセンサを得ることができる。
以下に、本発明を適用した実施例を図面と共に説明する。
なお、本実施例では、ガスセンサの一種であって、自動車や各種内燃機関における空燃比フィードバック制御に使用するために、測定対象となる排ガス中の特定ガスを検出する検出素子(ガスセンサ素子)が組み付けられるとともに、内燃機関の排気管に装着される全領域空燃比センサ2(以下、空燃比センサ2ともいう)について説明する。
なお、本実施例では、ガスセンサの一種であって、自動車や各種内燃機関における空燃比フィードバック制御に使用するために、測定対象となる排ガス中の特定ガスを検出する検出素子(ガスセンサ素子)が組み付けられるとともに、内燃機関の排気管に装着される全領域空燃比センサ2(以下、空燃比センサ2ともいう)について説明する。
図1は、本発明方法を適用した実施例の空燃比センサ2の全体構成を示す断面図である。
空燃比センサ2は、排気管に固定するためのネジ部103が外表面に形成された筒状の主体金具102と、軸線方向(図中上下方向)に延びる板状形状をなす検出素子4と、検出素子4の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ6と、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔84の内壁面が検出素子4の後端部の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材82と、検出素子4と絶縁コンタクト部材82との間に配置される5個のリードフレーム10と、を備えている。
空燃比センサ2は、排気管に固定するためのネジ部103が外表面に形成された筒状の主体金具102と、軸線方向(図中上下方向)に延びる板状形状をなす検出素子4と、検出素子4の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ6と、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔84の内壁面が検出素子4の後端部の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材82と、検出素子4と絶縁コンタクト部材82との間に配置される5個のリードフレーム10と、を備えている。
検出素子4は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象となるガスに向けられる先端側(図中下方)に保護層9に覆われた検出部8が形成され、後端側(図中上方)の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面21および第2板面23に電極端子部30,31,32,34,36が形成されている。リードフレーム10は、検出素子4と絶縁コンタクト部材82との間に配置されることで、検出素子4の電極端子部30,31,32,34,36にそれぞれ電気的に接続される。また、リードフレーム10は、外部からセンサの内部に配設されるリード線46にも電気的に接続されており、リード線46が接続される外部機器と電極端子部30,31,32,34,36との間に流れる電流の電流経路を形成する。
主体金具102は、軸線方向に貫通する貫通孔109を有し、貫通孔109の内周面から径方向内側に突出する棚部107を有する略筒状形状に構成されている。また、主体金具102は、検出部8を貫通孔109の先端側外部に配置し、電極端子部30,31,32,34,36を貫通孔109の後端側外部に配置する状態で貫通孔109に挿通された検出素子4を保持するよう構成されている。さらに、棚部107は、軸線方向に垂直な平面に対して傾きを有する内向きのテーパ面を有する形態で形成されている。
なお、主体金具102の貫通孔109の内部には、検出素子4の径方向周囲を取り囲む状態で、粉末充填層108(以下、滑石リング108ともいう)、第2充填層110および上述のセラミックスリーブ6が、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。また、セラミックスリーブ6と主体金具102の後端部104との間には、加締リング112が配置されている。なお、主体金具102の後端部104は、加締リング112を介してセラミックスリーブ6を先端側に押し付けるように、加締められている。
ここで、検出素子4の概略構造を表す斜視図を、図2に示す。なお、図2では、軸線方向における中間部分を省略して検出素子4を表している。
検出素子4は、軸線方向(図2における左右方向)に延びる板状形状に形成された素子部20と、同じく軸線方向に延びる板状形状に形成されたヒータ22とが積層されて、長方形状の軸断面を有する板状形状に形成されている。なお、空燃比センサ2として用いられる検出素子4は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略するが、その概略構成は以下のようである。
検出素子4は、軸線方向(図2における左右方向)に延びる板状形状に形成された素子部20と、同じく軸線方向に延びる板状形状に形成されたヒータ22とが積層されて、長方形状の軸断面を有する板状形状に形成されている。なお、空燃比センサ2として用いられる検出素子4は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略するが、その概略構成は以下のようである。
まず、素子部20は、固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素濃淡電池素子と、同じく固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素ポンプ素子と、これらの両素子の間に積層され、中空の測定ガス室を形成するためのスペーサとから構成される。この固体電解質基板は、イットリアを安定化剤として固溶させたジルコニアから形成され、多孔質電極は、Ptを主体に形成される。また、測定ガス室を形成するスペーサは、アルミナを主体に構成されており、中空の測定ガス室の内側には、酸素濃淡電池素子の一方の多孔質電極と、酸素ポンプ素子の一方の多孔質電極が露出するように配置されている。なお、測定ガス室は、素子部20の先端側に位置するように形成されており、この測定ガス室が形成される部分が検出部8に相当する。
ついで、ヒータ22は、アルミナを主体とする絶縁基板の間に、Ptを主体とする発熱抵抗体パターンが挟み込まれて形成されている。
そして、素子部20とヒータ22とは、セラミック層(例えば、ジルコニア系セラミックやアルミナ系セラミック)を介して互いに接合される。また、検出素子4のうち少なくとも測定対象物(本実施形態では、排ガス)に晒される電極の表面上には、被毒防止用の多孔質状のセラミック(例えば、アルミナ系セラミックなど)からなる保護層(図示省略)が形成される。なお、本実施形態では、検出素子4のうち排ガスに晒される電極の表面を含む先端側全面を保護層にて覆っている。
そして、素子部20とヒータ22とは、セラミック層(例えば、ジルコニア系セラミックやアルミナ系セラミック)を介して互いに接合される。また、検出素子4のうち少なくとも測定対象物(本実施形態では、排ガス)に晒される電極の表面上には、被毒防止用の多孔質状のセラミック(例えば、アルミナ系セラミックなど)からなる保護層(図示省略)が形成される。なお、本実施形態では、検出素子4のうち排ガスに晒される電極の表面を含む先端側全面を保護層にて覆っている。
このような検出素子4では、図2に示すように、第1板面21の後端側(図2における右側)に3個の電極端子部30,31,32が形成され、第2板面23の後端側に2個の電極端子部34,36が形成されている。電極端子部30,31,32は、素子部20に形成されるものであり、1つの電極端子部は、測定ガス室の内側に露出する酸素濃淡電池素子の一方の多孔質電極と酸素ポンプ素子の一方の多孔質電極と共用する形で電気的に接続される。また、電極端子部30,31,32のうち残りの2つの電極端子部は、酸素濃淡電池素子の他方の多孔質電極と酸素ポンプ素子の他方の多孔質電極と各々電気的に接続されている。また、電極端子部34,36は、ヒータ22に形成されるものであり、ヒータの厚さ方向に横切るビア(図示せず)を介して発熱抵抗体パターンの両端に各々接続されている。
このように構成された検出素子4は、図1に示すように、先端側(図1における下方)の検出部8が排気管に固定される主体金具102の先端より突出すると共に、後端側の電極端子部30,31,32,34,36が主体金具102の後端より突出した状態で、主体金具102の内部に固定される。
一方、図1に示すように、主体金具102の先端側(図1における下方)外周には、検出素子4の突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有する金属製(例えば、ステンレスなど)の二重の外部プロテクタ42および内部プロテクタ43が、溶接等によって取り付けられている。
そして、主体金具102の後端側外周には、外筒44が固定されており、外筒44の後端側(図1における上方)の開口部には、セラミックセパレータ48とグロメット50とが配置されている。セラミックセパレータ48は、5本のリード線46が挿通されるリード線挿通孔61が形成されており、5本のリード線46は、検出素子4の各電極端子部30,31,32,34,36とそれぞれ電気的に接続される。グロメット50についても、5本のリード線46を挿通するためのリード線挿通孔が形成されている。
また、主体金具102の後端部104より突出された検出素子4の後端側(図1における上方)には、絶縁コンタクト部材82が配置される。尚、この絶縁コンタクト部材82は、検出素子4の後端側の表面に形成される電極端子部30,31,32,34,36の周囲に配置されている。
次に、タルク粉末からなる滑石リング108およびタルク粉末からなる第2充填層110について説明する。図3に、検出素子4に組み付けられる前における滑石リング108および第2充填層110の斜視図を示す。なお、図3では、図における下側を先端側、図における上側を後端側として、各部材を表している。
滑石リング108は、タルク粉末が固められて形成されており、軸線方向に貫通する素子挿通孔115を有する環状形状に形成されており、先端テーパ面114が主体金具102の棚部107に対して係合(当接)するテーパ面として形成されている。素子挿通孔115の開口断面積は、軸線方向に垂直な面における検出素子4の断面形状よりもわずかに大きく形成されており、滑石リング108の素子挿通孔115は、検出素子4を挿通可能な大きさに形成されている。
第2充填層110は、タルク粉末が固められて形成されており、軸線方向に貫通する第2素子挿通孔117を有する環状形状に形成されている。第2素子挿通孔117の開口断面積は、軸線方向に垂直な面における検出素子4の断面形状よりもわずかに大きく形成されており、第2充填層110の第2素子挿通孔117は、検出素子4を挿通可能な大きさに形成されている。
なお、滑石リング108および第2充填層110の製造に際しては、例えば、水ガラスなどをバインダとして用いることで、タルク粉末を一定形状に固めることができる。
次に、検出素子4に対して、滑石リング108を一体に組み付けることで構成される素子ユニット7の製造作業について説明する。
次に、検出素子4に対して、滑石リング108を一体に組み付けることで構成される素子ユニット7の製造作業について説明する。
なお、素子ユニット7の製造工程においては、図示しない素子ユニット製造用治具を用いている。
素子ユニット製造用治具は、検出素子4の先端側部分を収容する先端収容部分と滑石リング108の型枠部分とを有する基台部材と、型枠部分に配置された滑石リング108に圧力を印加する圧力印加部材と、を備えている。
素子ユニット製造用治具は、検出素子4の先端側部分を収容する先端収容部分と滑石リング108の型枠部分とを有する基台部材と、型枠部分に配置された滑石リング108に圧力を印加する圧力印加部材と、を備えている。
このうち、基台部材に備えられる型枠部分および先端収容部分は、同軸形状に連通した有底孔部として形成されており、先端収容部分が底部側に配置され、型枠部分が開口側に配置される状態で形成されている。
基台部材のうち先端収容部分は、内部断面形状が、検出素子4の断面形状よりも僅かに大きく形成されると共に、深さ寸法が、検出素子4のうち滑石リング108の配置位置から先端までの寸法と等しく形成されている。また、基台部材のうち型枠部分は、内部断面形状が滑石リング108の断面形状と同様の形状に形成されている。
圧力印加部材は、基台部材の型枠部分に挿入可能な断面形状であると共に、断面の中央部分に検出素子4を収容可能な素子収容空間を備えて構成されている。
このような素子ユニット製造用治具を用いて素子ユニット7を製造するには、まず、基台部材の先端収容部分および型枠部分に対して検出素子4の先端部分を挿通配置した後、型枠部分に粉状物からなる滑石リング108を挿入して、検出素子4の外表面と型枠部分の内面との間に滑石リング108を配置する。
このような素子ユニット製造用治具を用いて素子ユニット7を製造するには、まず、基台部材の先端収容部分および型枠部分に対して検出素子4の先端部分を挿通配置した後、型枠部分に粉状物からなる滑石リング108を挿入して、検出素子4の外表面と型枠部分の内面との間に滑石リング108を配置する。
続いて、圧力印加部材を型枠部分に挿入し、圧力印加部材を用いて滑石リング108に対して圧力を印加して、圧力印加により素子挿通孔115の断面積が縮小するよう滑石リング108を圧縮変形させて固めるという圧縮充填作業を実行する。
このあと、圧力印加部材を型枠部分から取り除き、検出素子4を滑石リング108と共に型枠部分から取り出すことで、検出素子4に対して焼成前の滑石リング108が一体に組み付けられた素子ユニット7を得ることができる。
次に、焼成前の滑石リング108が一体に組み付けられた検出素子4の先端部分を、未焼成保護層となるペーストが収容された容器内に浸漬して、排ガスに晒される先端側全体を覆うように未焼成保護層を検出素子4の表面に付着させるディップ処理を行い、未焼成保護層の乾燥処理を行う。なお、この未焼成保護層となるペーストは、アルミナ粉末を主体とするセラミック粉末の他に、バインダ、有機溶剤、気孔化剤としてのカーボン粉末を含むようにして調整されるものである。
続いて、検出素子4の先端側に付着した未焼成保護層、および検出素子4に組み付けられた滑石リング108を同時に焼成するために、素子ユニット7に対して熱処理を実施する。このときの熱処理温度は、約1000[℃]である。この熱処理により焼成された滑石リング108は、強度が高くなると共に、検出素子4に対してより強固に組み付けられる。また、この熱処理により未焼成保護層が焼成されてなる保護層9は、多孔質層として形成される。
このようにして組み立てられた素子ユニット7(滑石リング108および検出素子4)の斜視図を図4に示す。なお、図4では、検出素子4の先端側が図中下側となり、検出素子4の後端側が図中上側となる状態で、素子ユニット7を表している。
次に、素子ユニット7(滑石リング108および検出素子4)を、主体金具102に一体に組み付ける作業について説明する。
まず、素子ユニット7として備えられる検出素子4の後端側に、第2充填層110を挿通し、先端側に向けて第2充填層110を移動させて、滑石リング108の後端側に第2充填層110を積層する。そして、素子ユニット7(滑石リング108および検出素子4)を、第2充填層110と共に、検出素子4の先端側を先頭とする状態で、主体金具102の貫通孔109に挿入する。
まず、素子ユニット7として備えられる検出素子4の後端側に、第2充填層110を挿通し、先端側に向けて第2充填層110を移動させて、滑石リング108の後端側に第2充填層110を積層する。そして、素子ユニット7(滑石リング108および検出素子4)を、第2充填層110と共に、検出素子4の先端側を先頭とする状態で、主体金具102の貫通孔109に挿入する。
このとき、先端側を下側とする状態で主体金具102を配置した後、検出素子4のうち第2充填層110よりも後端側となる部分を把持して、素子ユニット7を貫通孔109の内部に下降させる。そして、滑石リング108の先端テーパ面114が主体金具102の棚部107に当接するまで、素子ユニット7を下降させることで、貫通孔109に対する素子ユニット7の挿入作業を行う。
この挿入作業により、滑石リング108の先端テーパ面114が、主体金具102の棚部107に係止されることで、素子ユニット7は、主体金具102の内部での軸線方向における配置位置が定められる。
次に、主体金具102の内部に配置された検出素子4の後端側に、セラミックスリーブ6および加締リング112を挿通することにより、滑石リング108の後端側に、第2充填層110、セラミックスリーブ6および加締リング112を積層する。その後、加締リング112を介してセラミックスリーブ6を先端側に押し付けるように、主体金具102の後端部104を先端側に向けて加締める加締め変形作業を行う。
この加締め変形作業により、第2充填層110の外径寸法を拡大させると共に、第2素子挿通孔117の開口断面積を縮小させるように、第2充填層110を変形させる。
つまり、この圧力印加により、主体金具102の内部と検出素子4との間に、第2充填層110を圧縮充填(加圧充填)することで、検出素子4を主体金具102に一体に組み付けることができる。
つまり、この圧力印加により、主体金具102の内部と検出素子4との間に、第2充填層110を圧縮充填(加圧充填)することで、検出素子4を主体金具102に一体に組み付けることができる。
なお、素子ユニット7は、セラミックスリーブ6や主体金具102などの他部材が一体に組み付けられることで、中間組立部品105を構成する。中間組立部品105の斜視図を、図5に示す。なお、図5では、外部プロテクタ42が組み付けられた状態の中間組立部品105を表している。
この中間組立部品105に対して、リードフレーム10、絶縁コンタクト部材82および外筒44などの各部材を組み付けることで、図1に示すような空燃比センサ2が完成する。
なお、本実施例においては、検出素子4が特許請求の範囲に記載の板型検出素子に相当し、粉末充填層108(滑石リング108)がフランジ部(粉体リング)に相当し、第2充填層110が充填部材に相当する。
また、素子ユニット7の製造工程において、検出素子4を滑石リング108に挿通する工程が、特許請求の範囲に記載の第1工程に相当し、圧力印加部材により滑石リング108に圧縮用圧力を印加する工程および未焼成保護層および滑石リング108を焼成する熱処理工程が、第2工程に相当する。さらに、素子ユニット7の製造工程の終了後、素子ユニット7を主体金具102の貫通孔109に配置する工程が、特許請求の範囲に記載の第3工程に相当する。
以上、説明したように、空燃比センサ2の製造方法では、素子ユニット7の製造工程において、圧力印加により素子挿通孔115の断面積が縮小するよう滑石リング108を圧縮変形させた後、滑石リング108を焼成することで、検出素子4に対して滑石リング108を一体に組み付ける作業を行う。これにより、滑石リング108を、検出素子4の側面から側方に突出する係り止め係合部(フランジ部)として利用することができる。
このようにして、滑石リング108のみで形成されたフランジ部により、主体金具102における検出素子4の位置決めが可能となることから、絶縁碍子およびガラス封止材を用いてフランジ部を形成する場合に比べて、センサの部品点数を削減でき、コストの低減を図ることができる。
また、熱処理工程においては、滑石リング108の焼成作業と、検出素子4の保護層9の焼成作業とを、1つの熱処理作業で同時に実施することから、センサの製造工程における作業時間の短縮を図ることができる。とりわけ、熱処理は長い時間を要することから、そのような長時間を要する複数の作業を1回の作業で実施することにより、空燃比センサ2の製造効率を向上させることができる。また、本実施例のようなセンサの製造方法によれば、熱処理作業の実施回数を減らすことにより作業工数を削減できるため、センサの製造作業における作業の煩雑さを軽減できる。
また、本実施例の製造方法においては、滑石リング108が一体に組み付けられた検出素子4を主体金具102の貫通孔109に配置するにあたり、検出素子4の回転方向位置(軸線方向を回転軸とする回転方向位置)がいずれの方向であっても主体金具102の貫通孔109に配置可能となる。このため、検出素子4の回転方向位置を所定方向に定める必要が無くなり、主体金具102に対する検出素子4の組み付け作業の煩雑さを軽減することができる。
なお、検出素子4を主体金具102に一体に組み付けるにあたり、主体金具102の後端部104を加締め変形させるための圧力の大きさは、検出素子4に滑石リング108などを一体に組み付けるために素子ユニット製造用治具により印加する圧力の大きさに比べて、大きく設定されている。つまり、素子ユニット製造用治具を用いる際には、滑石リング108が検出素子4から脱落しないように、滑石リング108を圧縮充填できれば良く、例えば、5[kN]程度の圧力を印加する。これに対して、検出素子4を主体金具102に一体に組み付ける際には、検出素子4と主体金具102との間に隙間が生じないように、滑石リング108,第2充填層110を圧縮充填する必要があり、例えば、10〜15[kN]程度の圧力を印加する。
さらに、このセンサの製造方法によれば、滑石リング108を検出素子4に一体に組み付けた後の工程において、検出素子4に対して環状形状の第2充填層110を挿通することから、滑石リング108により第2充填層110を支持できる。つまり、検出素子4を先端が下側となる状態にして、検出素子4の後端から第2充填層110を挿通すると、第2充填層110は、滑石リング108により係止される状態で検出素子4の周囲に配置される。
このように、検出素子4を主体金具102の貫通孔109に配置する前段階で、第2充填層110を検出素子4の周囲に配置できる場合には、検出素子4に対する第2充填層110の配置状態を容易に確認することができ、第2充填層110の配置状態を適切な状態に設定することができる。
なお、主体金具102の貫通孔109に検出素子4が配置された後に、第2充填層110を貫通孔109に挿入配置する場合には、貫通孔109の内部は視認し難いため、第2充填層110の配置状態の確認が難しくなる。また、貫通孔109の内部は狭いため、第2充填層110の配置状態の変更が難しいことから、第2充填層110が不適切な配置状態(例えば、傾いた状態など)になる虞がある。
これに対して、本実施例のセンサの製造方法によれば、検出素子4に対する第2充填層110の配置状態を容易に適切な状態に設定できるため、センサの組み立て作業の煩雑さを軽減することができる。
また、主体金具102の貫通孔109に検出素子4が配置された後に、第2充填層110を貫通孔109に挿入配置する場合には、主体金具102の構造によっては、第2充填層110が落下する距離が長くなり、落下の衝撃で第2充填層110が破損する虞がある。
これに対して、本実施例のセンサの製造方法であれば、検出素子4を主体金具102の貫通孔109に配置する前に、予め第2充填層110を検出素子4の周囲に配置できるため、落下時の衝撃に伴う第2充填層110の破損を防止することができる。
さらに、第2充填層110を備えることで、滑石リング108に加えて、第2充填層110が検出素子4と主体金具102との間に加圧充填されるため、全領域空燃比センサ2の気密性の向上を図ることができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、本発明が適用されるセンサは、全領域空燃比センサに限られず、板型検出素子を有する構成のセンサであれば、λセンサ,酸素センサ,NOxセンサなどのガスセンサや、温度検出を行う温度センサなどの他の種類のセンサにも適用することができる。
例えば、本発明が適用されるセンサは、全領域空燃比センサに限られず、板型検出素子を有する構成のセンサであれば、λセンサ,酸素センサ,NOxセンサなどのガスセンサや、温度検出を行う温度センサなどの他の種類のセンサにも適用することができる。
また、滑石リングは、基台部材の型枠部分に配置する前段階から環状形状に形成される物に限られることはなく、粉状物を型枠部分に充填した後、圧縮して環状形状に形成しつつ、検出素子4に一体に組み付けても良い。
さらに、検出素子に未焼成保護層を形成する手法は、ディップ処理に限られることはなく、ハケ塗りや印刷などにより未焼成保護層を形成する手法を用いても良い。
また、粉体リング108は、主体金具102の棚部107に当接する形態で支持されるものに限定されず、粉体リング108と主体金具102の棚部107との間に、板型検出素子をその中心軸を回転中心として回転させることが可能な大きさの中空部を有するパッキンなどを介在させても良い。さらに、粉体リング108、第2充填層110は、タルク粉末(滑石)によって形成されるものに限定されず、例えば、六方晶系窒化ホウ素粉末などで形成したものであってもよい。
また、粉体リング108は、主体金具102の棚部107に当接する形態で支持されるものに限定されず、粉体リング108と主体金具102の棚部107との間に、板型検出素子をその中心軸を回転中心として回転させることが可能な大きさの中空部を有するパッキンなどを介在させても良い。さらに、粉体リング108、第2充填層110は、タルク粉末(滑石)によって形成されるものに限定されず、例えば、六方晶系窒化ホウ素粉末などで形成したものであってもよい。
2…全領域空燃比センサ、4…検出素子、8…検出部、30,31,32,34,36…電極端子部、102…主体金具、107…棚部、108…粉末充填層(滑石リング)、109…貫通孔、110…第2充填層、125…保護カバー、126…底面部、160…第2全領域空燃比センサ、161…第2保護カバー、162…カバー部、163…プロテクタ部、164…カバー側係合部。
Claims (4)
- 軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象物に向けられる先端側に検出部が形成され、後端側に電極端子部が形成される板型検出素子と、
前記板型検出素子を取り囲む形態で一体に組み付けられるフランジ部と、
前記板型検出素子を挿通するために軸線方向に貫通する貫通孔を有し、前記フランジ部に係合するように前記貫通孔の内周面から径方向内向きに突出して形成される棚部を有する主体金具と、
を備えるセンサの製造方法であって、
前記フランジ部は、粉体物が固められて環状形状をなす粉体リングを備える形態で前記板型検出素子に一体に組み付けられるものであり、
前記板型検出素子を前記粉体リングに挿通する前の状態において、軸線方向に垂直な面における前記板型検出素子の断面形状よりも開口断面積が大きい素子挿通孔を有する当該粉体リングの前記素子挿通孔に対して、前記板型検出素子を挿通すると共に、前記板型検出素子の軸線方向における前記粉体リングの位置決めを行う第1工程と、
前記粉体リングに対して軸線方向に圧縮する圧縮用圧力を印加し、前記素子挿通孔の開口断面積が縮小するよう前記粉体リングを圧縮変形させた後、前記粉体リングを焼成して、前記板型検出素子に対して前記粉体リングを有する前記フランジ部を一体に組み付ける第2工程と、
前記板型検出素子を前記主体金具の前記貫通孔の内部に配置する際に、前記フランジ部を前記棚部に係合させて、前記貫通孔の内部での前記板型検出素子の軸線方向における位置決めを行う第3工程と、
を有することを特徴とするセンサの製造方法。 - 前記板型検出素子は、先端側のうち少なくとも測定対象物に晒される電極の表面上に保護層を備えており、
前記第2工程において、前記粉体リングを圧縮変形させた後、焼成されて前記保護層となる未焼成保護層を前記板型検出素子に形成し、前記粉体リングと共に前記未焼成保護層を焼成すること、
を特徴とする請求項1に記載のセンサの製造方法。 - 前記センサは、前記板型検出素子のうち前記粉体リングよりも後端側の周囲に、粉状物が固められて環状形状をなす充填部材を備えて構成されており、
前記第3工程において、前記板型検出素子のうち前記粉体リングよりも後端部分に前記充填部材を配置した状態で、前記板型検出素子を前記主体金具の貫通孔に配置し、
前記第3工程の実行後、前記充填部材に対して前記棚部に向かう圧力を印加して、前記板型検出素子と前記主体金具との間に前記充填部材を加圧充填することにより、前記板型検出素子と前記主体金具との間を前記充填部材により気密封止すること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサの製造方法。 - 軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象物に向けられる先端側に検出部が形成され、後端側に電極端子部が形成される板型検出素子と、
前記板型検出素子を取り囲む形態で一体に組み付けられるフランジ部と、
前記板型検出素子を挿通するために軸線方向に貫通する貫通孔を有し、前記フランジ部に係合するように前記貫通孔の内周面から径方向内向きに突出して形成される棚部を有する主体金具と、
を備えるセンサであって、
前記フランジ部は、前記板型検出素子の径方向周囲に粉状物が固められて環状形状をなすと共に焼成された粉体リングを備える形態で、前記板型検出素子に一体に組み付けられるものであり、
前記板型検出素子のうち前記粉体リングよりも後端側の径方向周囲に粉状物が固められて環状形状をなす充填部材を配置し、該充填部材により前記検出素子と前記主体金具との間を気密封止してなること、
を特徴とするセンサ。
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Cited By (2)
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JP2012127728A (ja) * | 2010-12-14 | 2012-07-05 | Denso Corp | ガスセンサ素子の製造方法 |
JP2012242112A (ja) * | 2011-05-16 | 2012-12-10 | Ngk Spark Plug Co Ltd | ガスセンサおよびその製造方法 |
-
2003
- 2003-07-31 JP JP2003284265A patent/JP2005049315A/ja active Pending
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