JP2004257970A - センサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】他部材が組みつけられた状態の検出素子に対して、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材を容易に組みつけることができるセンサの製造方法を提供する。
【解決手段】空燃比センサ2の製造方法では、組み付け工程の第3段階において、絶縁コンタクト部材82に対して先端側方向に向かう移動用外力を印加して、絶縁コンタクト部材82をリードフレーム10の波状部分16の周囲まで移動させることで、検出素子4およびリードフレーム10の波状部分16を絶縁コンタクト部材82の挿通孔の内部に配置している。このような方法を採ることで、検出素子4を持ち上げる必要がなくなることから、他の部材(セラミックスリーブ6、粉末充填層108、主体金具102など)が一体に組み付けられた検出素子4についても、コンタクト挿通孔84の内部に配置させることが可能となる。
【選択図】 図10
【解決手段】空燃比センサ2の製造方法では、組み付け工程の第3段階において、絶縁コンタクト部材82に対して先端側方向に向かう移動用外力を印加して、絶縁コンタクト部材82をリードフレーム10の波状部分16の周囲まで移動させることで、検出素子4およびリードフレーム10の波状部分16を絶縁コンタクト部材82の挿通孔の内部に配置している。このような方法を採ることで、検出素子4を持ち上げる必要がなくなることから、他の部材(セラミックスリーブ6、粉末充填層108、主体金具102など)が一体に組み付けられた検出素子4についても、コンタクト挿通孔84の内部に配置させることが可能となる。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸線方向に延びる板状形状をなすと共に電極端子部を有する検出素子と、検出素子の周囲を取り囲む状態で検出素子を支持する素子保持部材と、検出素子の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材と、電極端子部と電気的に接続されるリードフレームと、を備えるセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、軸線方向に延びる板状形状をなすと共に、測定対象物に向けられる先端側に検出部が形成された検出素子(センサ素子)が組み付けられたセンサが知られている。このようなセンサとしては、λセンサ、全領域空燃比センサ、酸素センサ、NOxセンサなどのガスセンサや、温度検出を行う温度センサなどが挙げられる。
【0003】
板型形状の検出素子は、一般に、軸線方向(長手方向)の先端側に検出部を備え、後端側に電極端子部を備えて構成されている。このような板型検出素子を備えるセンサは、導電性材料からなるリードフレームを電極端子部に直接又は他部材を介して間接的に接触させて、リードフレームを介して信号をセンサの外部との間で入出力することができる。そして、リードフレームに弾性変形(圧縮変形)可能な接触部を設けて、検出素子の電極端子部にリードフレームの接触部を接触させた状態で、検出素子を絶縁コンタクト部材の挿通孔の内部で把持する構成のセンサが知られている。
【0004】
このようなセンサの従来の製造方法としては、次のような方法がある。まず、接触部が電極端子部に接触するようにリードフレームを検出素子に対して配置し、そのリードフレームの検出素子に接触していない部分を絶縁コンタクト部材の挿通孔に挿通する。そして、接触部の端部を挿通孔の内面の開口端部分で挟持し、検出素子の端部を接触部の端部で挟持するように、リードフレームを移動させる。このあと、絶縁コンタクト部材を固定した状態で、挿通孔の開口部のうち検出素子とは反対側の開口部から突出するリードフレームを把持して、さらにリードフレームを移動させることで、リードフレームの接触部で挟持された検出素子をリードフレームと共に挿通孔の内部に引き込む方法がある(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−168823号公報(図5、図7)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のセンサ製造方法では、他の部材が一体に組みつけられた状態の検出素子については、リードフレームと共に絶縁コンタクト部材の挿通孔の内部に引き入れることができない場合がある。
【0007】
つまり、他部材が一体に組み付けられた状態の検出素子は、全体の重量が重くなるため、リードフレームの接触部による挟持では完全には持ち上げることが出来ずに脱落する可能性が高くなり、また、検出素子を挿通孔の内部に効率良く引き込むことができない可能性が高くなる。
【0008】
また、検出素子に対して他部材よりも先にリードフレームを組みつける場合には、その後の製造工程において高温熱処理を伴う作業を実行してセンサを完成させる必要があると、以下のことが懸念される。つまり、高温熱処理を経ることで、リードフレームの表面に酸化膜が形成され、リードフレームと他の導電部材(リード線など)との電気的接続状態が不良となる虞が生じる。例えば、検出素子と他部材(素子保持部材など)との間の気密性を高めるためにガラスシールする作業は、高温熱処理を伴う作業であるため、リードフレームが組みつけられた検出素子に対して素子保持部材を組みつけるにあたり、ガラスシール処理を施すことができない。
【0009】
なお、高温熱処理の後に、リードフレームから酸化膜を除去する作業を行うことで、リードフレームの導電性部材としての機能を回復させることはできるが、作業工数が増えることになり、センサの製造効率が低下することになる。
このため、高温熱処理を伴う他部材の組みつけ作業は、リードフレームの組み付け作業よりも先に実行することが望ましく、そのためには、他部材が組み付けられた検出素子に対して、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材の組み付け作業を行う必要がある。
【0010】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、他部材が組みつけられた状態の検出素子に対して、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材を容易に組みつけることができるセンサの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象物に向けられる先端側に検出部が形成され、後端側の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面および第2板面に電極端子部が形成される検出素子と、自身の後端から電極端子部が形成された後端側を突出させた状態で検出素子の径方向周囲を取り囲むと共に、検出素子を保持する素子保持部材と、軸線方向に貫通する挿通孔を有し、該挿通孔の内壁面が検出素子のうち電極端子部が形成された後端側周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材と、検出素子と絶縁コンタクト部材との間に挟持されて検出素子と絶縁コンタクト部材との間隔方向に弾性変形する接触部を有し、該接触部において電極端子部と電気的に接続されるリードフレームと、を備えるセンサの製造方法であって、検出素子の後端側を素子保持部材の後端から突出させた状態で、検出素子と素子保持部材とを一体に組みつける第1工程と、素子保持部材が一体に組みつけられた検出素子に対して、電極端子部と接触部とが電気的に接続するように、第1板面および第2板面にリードフレームを配置して位置決めを行う第2工程と、リードフレームのうち接触部よりも後端側を取り囲むように配置させた絶縁コンタクト部材に、リードフレームのうち接触部よりも後端側を把持させた状態で、先端側方向に向かう移動用外力を印加して、検出素子と絶縁コンタクト部材との間で接触部を弾性変形させつつ、絶縁コンタクト部材を接触部の周囲まで移動させ、接触部を介して絶縁コンタクト部材の挿通孔内に検出素子を保持させる第3工程と、を有することを特徴とするセンサの製造方法である。
【0012】
このセンサの製造方法では、リードフレームのうち接触部よりも後端側を取り囲むように配置させた絶縁コンタクト部材に対して先端側方向に向かう移動用外力を印加して、絶縁コンタクト部材をリードフレームの接触部の周囲まで移動させることで、検出素子およびリードフレームの接触部を絶縁コンタクト部材の挿通孔の内部に配置している。これにより、従来のように絶縁コンタクト部材の挿通孔に引き込むために、検出素子をリードフレームの接触部で把持する必要が無くなることから、検出素子の重量に拘わらず、絶縁コンタクト部材の挿通孔の内部に検出素子を配置することができる。
【0013】
また、第3工程においては、リードフレームを把持させて、移動用外力の印加による絶縁コンタクト部材の移動を行うことで、挿通孔の内壁面との摩擦力によりリードフレームが軸方向に移動するのを防止している。これにより、第2工程にて設定(位置決め)されたリードフレームと検出素子との相対位置を、絶縁コンタクト部材の移動時にも一定に維持することができ、接触部と電極端子部との電気的接続を良好に維持することができる。
【0014】
よって、本発明方法によれば、他部材(素子保持部材)が組みつけられた状態の検出素子に対して、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材を容易に組みつけることができ、センサの製造効率の向上を図ることができる。
なお、第3工程において、リードフレームの接触部よりも後端側を把持させるにあたっては、リードフレームの接触部よりも後端側部分を直接把持しても良いし、リードフレームの後端側部分と接続される他部材(例えば、後述する経路部材)を把持することで、間接的にリードフレームの接触部よりも後端側部分を把持させてもよい。
【0015】
また、本発明方法では、リードフレームを検出素子の第1板面および第2板面に配置する第2工程よりも前に、素子保持部材を検出素子に組みつける第1工程を実行することから、素子保持部材と検出素子との組みつけにあたり、高温熱処理を伴う組み付け作業を行うことができる。
【0016】
ところで、第3工程において、リードフレームの移動を制限するためにリードフレームを把持するに際し、接触部が絶縁コンタクト部材の端縁に当接したときに、リードフレームの後端縁が絶縁コンタクト部材の挿通孔よりも後端側に出ていない場合には、挿通孔の内部でリードフレームを把持するための特殊な形状の把持用治具を用いる必要がある。
【0017】
そこで、上述のセンサ製造方法においては、請求項2に記載のように、リードフレームとして、接触部の後端から後端縁までの軸線方向における長さ寸法が、絶縁コンタクト部材の軸線方向における長さ寸法よりも長く形成されたリードフレームを用いるとよい。
【0018】
このリードフレームを用いることで、第3工程において、リードフレームのうち接触部よりも後端側を取り囲むように絶縁コンタクト部材を配置した際に、リードフレームの後端縁を含む少なくとも一部が絶縁コンタクト部材よりも後端側に突出した状態で配置されることになる。これにより、特殊な形状の治具を用いることなく、リードフレームのうち接触部よりも後端側を、容易に把持させることができる。
【0019】
よって、この発明方法によれば、絶縁コンタクト部材を移動する際に、特殊な形状の把持用治具を用いることなく、リードフレームが移動するのを制限でき、検出素子、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材の組み付け作業を容易に行うことが可能となる。
【0020】
次に、上述のセンサ製造方法においては、請求項3に記載のように、素子保持部材が、自身の後端側領域の一部に、リードフレームをそれぞれ電気的に絶縁した状態で個別に配置するためのリードフレーム配置領域の境界を形成するリードフレーム境界部を備えて構成されるとよい。そして、第2工程において、リードフレームの先端部をリードフレーム配置領域に配置して、リードフレームの位置決めを行うのである。
【0021】
このように、リードフレーム境界部により、リードフレーム配置領域に配置されるリードフレームの先端部の位置決めを行うことで、第3工程において絶縁コンタクト部材を移動させる際に、リードフレームが不適切な位置に移動することをより確実に防止することができる。
【0022】
また、リードフレーム境界部およびリードフレーム配置領域を設ける場合には、検出素子における電極端子部の形成位置に応じて、リードフレームの接触部と電極端子部とが電気的に接続されるように、リードフレーム配置領域の形成位置を設定すると良い。これにより、第2工程において、リードフレームの先端部をリードフレーム配置領域に配置しつつ、リードフレームを第1板面および第2板面に配置することで、リードフレームと電極端子部とを容易に接続することができる。さらに、電極端子部の個数に応じて、電極端子部と同一個数のリードフレーム配置領域を形成することで、リードフレームの配置忘れなどの作業ミスを防ぐことができる。
【0023】
よって、本発明方法によれば、検出素子、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材の組み付け作業時に、リードフレームの配置位置が不適切な位置になるのを防止でき、リードフレームと検出素子の電極端子部との電気的接続状態を良好に維持することができる。
【0024】
なお、素子保持部材が絶縁性材料で構成されている場合には、リードフレーム境界部およびリードフレーム配置領域は、素子保持部材と一体に形成することができる。
次に、上述のセンサ製造方法においては、請求項4に記載のように、絶縁コンタクト部材が、自身の外側面に移動用外力を受けるための外力受け部を備えて構成されると良い。そして、第3工程において、外力受け部に移動用外力を印加して、絶縁コンタクト部材を移動させるのである。
【0025】
このように外力受け部を備える絶縁コンタクト部材に対しては、移動用外力を容易に印加することができ、第3工程において、検出素子、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材を組みつける作業を容易に実行することができる。
外力受け部は、例えば、絶縁コンタクト部材の外側面から外向きに突出するフランジ形状に形成することができ、あるいは、絶縁コンタクト部材の外側面から内向きに凹んだ凹形状に形成することができる。また、外力受け部は、絶縁コンタクト部材の外側面のうち、周方向全域に形成しても良く、あるいは、周方向の一部に形成しても良い。
【0026】
よって、この発明方法によれば、絶縁コンタクト部材に対して、容易に移動用外力を印加することができ、リードフレーム、検出素子および絶縁コンタクト部材の組み付け作業の煩雑さを軽減することができる。
ところで、リードフレームは、導電性材料で構成されており、センサの外部との間で信号入出力を行うために、電流経路を形成する導電性の経路部材(リード線など)に接続される。そして、検出素子に組みつけられたリードフレームの個数が複数である場合には、1つのリードフレームあたりの作業可能空間が小さくなるため、リードフレームと経路部材との接続作業(加締め作業や溶接(例えば、レーザー溶接など))は、検出素子との組み付け前の単体状態のリードフレームに比べて、作業が煩雑となる。
【0027】
そこで、上述のセンサ製造方法においては、請求項5に記載のように、第2工程において、前記リードフレームとして、外部に接続される経路部材が直接または他部材を介して間接に接続されたリードフレームを、検出素子の第1板面および第2板面に配置するとよい。
【0028】
つまり、リードフレームと経路部材(リード線など)との接続作業の実行時期を、検出素子とリードフレームとの組み付け作業を行う前に設定することで、作業領域の制限を受けることなく、リードフレームと経路部材(リード線など)との接続作業を容易に実行することができる。そして、経路部材とリードフレームとの接続方法としては、加締め接続や溶接(例えば、レーザー溶接など)等があり、この接続作業は、第2工程を行うまでに実行すれば良く、例えば、第1工程と第2工程との間に、経路部材接続工程として実行することができる。
【0029】
よって、この発明方法によれば、リードフレームと経路部材(リード線など)との接続作業の煩雑さを解消することができ、センサ製造作業における作業効率の向上を図ることができる。
なお、リードフレームと経路部材(リード線など)との接続強度が充分に高い場合には、第3工程において、リードフレームを把持する代わりに経路部材を把持することで、リードフレームの移動を制限することが可能となる。また、経路部材は、例えば、センサの外部に備えられるコネクタなどと電気的に接続されており、コネクタなどを介して外部機器との間で電流経路を形成する。また、本発明方法において、リードフレームの接触部が検出素子の電極端子部に接する形態には、直接接し合う形態の他に、導電性部材を介して間接的に接し合う形態が含まれる。
【0030】
そして、リードフレームと経路部材(リード線など)との接続については、例えば、接続用部材を用いて間接的に接続することもできるが、接続用部材を用いる場合には、センサを構成する部品点数が増大することになり、コスト増大が問題となる。
【0031】
そこで、第2工程において経路部材が接続されたリードフレームを用いるセンサ製造方法においては、請求項6に記載のように、リードフレームとして、経路部材を接続するための接続部が一体に備えられているリードフレームを用いると良い。
【0032】
つまり、接続部を有するリードフレームを用いて、経路部材をリードフレームの接続部に接続することで、接続用部材を用いることなく、リードフレームと経路部材とを接続することができる。接続部は、例えば、加締め接続用の加締め接続部や溶接用の溶接接続部などとして形成することができる。
【0033】
よって、このセンサ製造方法によれば、接続用部材を別途用いる必要が無くなることから、センサの部品点数を削減することができ、製造コストの低減を図ることができる。
また、第2工程において経路部材が接続されたリードフレームを用いるセンサ製造方法においては、請求項7に記載のように、センサが、複数の経路部材をそれぞれ絶縁した状態で挿通するための経路部材挿通孔を有するセパレータを備え、該セパレータが、自身の先端側に絶縁コンタクト部材の少なくとも一部を収容するコンタクト収容部を備えて構成されているとよい。そして、第3工程後において、絶縁コンタクト部材の後端側に配置されると共に、経路部材が経路部材挿通孔に挿通された状態のセパレータを、先端側方向に移動させ、絶縁コンタクト部材の少なくとも一部をセパレータのコンタクト収容部の内部に収容させるとよい。
【0034】
つまり、絶縁コンタクト部材の少なくとも一部を、セパレータのコンタクト収容部の内部に収容させることで、絶縁コンタクト部材およびセパレータが占有する領域の軸線方向長さを短縮することが出来る。これにより、軸線方向寸法が短縮されたセンサを製造でき、センサの小型化を図ることができる。
【0035】
さらに、絶縁コンタクト部材の少なくとも一部をセパレータのコンタクト収容部の内周面にて取り囲むことができ、センサの振動に伴う絶縁コンタクト部材の径方向への揺動をセパレータによって抑制可能なセンサを製造することができる。その結果、絶縁コンタクト部材の激しい揺動に起因する検出素子の折損などを有効に防止可能なセンサを得ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のセンサの製造方法を適用した実施例を図面と共に説明する。なお、本実施例では、ガスセンサの一種であって、自動車や各種内燃機関における空燃比フィードバック制御に使用するために、測定対象となる排ガス中の特定ガスを検出する検出素子(ガスセンサ素子)が組み付けられるとともに、内燃機関の排気管に装着される全領域空燃比センサ2(以下、空燃比センサ2ともいう)について説明する。
【0037】
図1は、本発明方法を適用した実施例の空燃比センサ2の全体構成を示す断面図である。
空燃比センサ2は、排気管に固定するためのネジ部103が外表面に形成された筒状の主体金具102と、軸線方向(図中上下方向)に延びる板状形状をなす検出素子4と、検出素子4の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ6と、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔84の内壁面が検出素子4の後端部の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材82と、検出素子4と絶縁コンタクト部材82との間に配置される5個のリードフレーム10と、を備えている。
【0038】
検出素子4は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象となるガスに向けられる先端側(図中下方)に検出部8が形成され、後端側(図中上方)の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面21および第2板面23に電極端子部30,31,32,34,36が形成されている。リードフレーム10は、検出素子4と絶縁コンタクト部材82との間に配置されることで、検出素子4の電極端子部30,31,32,34,36にそれぞれ電気的に接続される。
【0039】
なお、主体金具102の筒内部には、検出素子4の径方向周囲を取り囲む状態で、筒状のセラミックホルダ106、粉末充填層108、補助スリーブ110および上述のセラミックスリーブ6が、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。また、セラミックスリーブ6と主体金具102の後端部104との間には、加締リング112が配置されており、セラミックホルダ106と主体金具102の筒内部との間には、気密性を維持するためのパッキン109が配置されている。なお、主体金具102の後端部104は、加締リング112を介してセラミックスリーブ6を先端側に押し付けるように、加締められている。
【0040】
ここで、検出素子4の概略構造を表す斜視図を、図2に示す。
検出素子4は、軸線方向(図2における左右方向)に延びる板状形状に形成された素子部20と、同じく軸線方向に延びる板状形状に形成されたヒータ22とが積層されて、長方形状の軸断面を有する板状形状に形成されている。なお、空燃比センサ2として用いられる検出素子4は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略するが、その概略構成は以下のようである。
【0041】
まず、素子部20は、固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素濃淡電池素子と、同じく固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素ポンプ素子と、これらの両素子の間に積層され、中空の測定ガス室を形成するためのスペーサとから構成される。この固体電解質基板は、イットリアを安定化剤として固溶させたジルコニアから形成され、多孔質電極は、Ptを主体に形成される。また、測定ガス室を形成するスペーサは、アルミナを主体に構成されており、中空の測定ガス室の内側には、酸素濃淡電池素子の一方の多孔質電極と、酸素ポンプ素子の一方の多孔質電極が露出するように配置されている。なお、測定ガス室は、素子部20の先端側に位置するように形成されており、この測定ガス室が形成される部分が検出部8に相当する。
【0042】
ついで、ヒータ22は、アルミナを主体とする絶縁基板の間に、Ptを主体とする発熱抵抗体パターンが挟み込まれて形成されている。
そして、素子部20とヒータ22とは、セラミック層(例えば、ジルコニア系セラミックやアルミナ系セラミック)を介して互いに接合される。
【0043】
このような検出素子4では、図2に示すように、第1板面21の後端側(図2における右側)に3個の電極端子部30,31,32が形成され、第2板面23の後端側に2個の電極端子部34,36が形成されている。電極端子部30,31,32は、素子部20に形成されるものであり、1つの電極端子部は、測定ガス室の内側に露出する酸素濃淡電池素子の一方の多孔質電極と酸素ポンプ素子の一方の多孔質電極と共用する形で電気的に接続される。また、電極端子部30,31,32のうち残りの2つの電極端子部は、酸素濃淡電池素子の他方の多孔質電極と酸素ポンプ素子の他方の多孔質電極と各々電気的に接続されている。また、電極端子部34,36は、ヒータ22に形成されるものであり、ヒータの厚さ方向に横切るビア(図示せず)を介して発熱抵抗体パターンの両端に各々接続されている。
【0044】
このように構成された検出素子4は、図1に示すように、先端側(図1における下方)の検出部8が排気管に固定される主体金具102の先端より突出すると共に、後端側の電極端子部30,31,32,34,36が主体金具102の後端より突出した状態で、主体金具102の内部に固定される。
【0045】
一方、図1に示すように、主体金具102の先端側(図1における下方)外周には、検出素子4の突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有する金属製の二重のプロテクタ42,43が、溶接等によって取り付けられている。
そして、主体金具102の後端側外周には、外筒44が固定されている。また、外筒44の後端側(図1における上方)の開口部には、検出素子4の各電極端子部30,31,32,34,36とそれぞれ電気的に接続される5本のリード線46が挿通されるリード線挿通孔61が形成されたセラミックセパレータ48とグロメット50とが配置されている。
【0046】
また、主体金具102の後端部104より突出された検出素子4の後端側(図1における上方)には、絶縁コンタクト部材82が配置される。尚、この絶縁コンタクト部材82は、検出素子4の後端側の表面に形成される電極端子部30,31,32,34,36の周囲に配置されている。
【0047】
ここで、絶縁コンタクト部材82について説明する。図3に、絶縁コンタクト部材82の構造を表す一部断面斜視図を示すと共に、図4に、図1における先端側(下側)から見たときの絶縁コンタクト部材82の外観図を示す。なお、図3に示す断面は、図4に示す絶縁コンタクト部材82におけるA−A視断面である。
【0048】
図3および図4に示すように、絶縁コンタクト部材82は、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔84を有する筒状形状に形成されている。そして、コンタクト挿通孔84のうち検出素子4の第1板面21(図示省略)に対向する内壁面には、内向きに突出する第1リブ部87が2カ所に形成されており、第1リブ部87は、3個のリードフレーム10をそれぞれ電気的に絶縁した状態で個別に配置するための3つの挿通孔内リードフレーム配置領域の境界を形成する挿通孔内リードフレーム境界部として備えられている。また、コンタクト挿通孔84のうち検出素子4の第2板面23(図示省略)に対向する内壁面には、内向きに突出する第2リブ部89が1カ所に形成されており、第2リブ部89は、2個のリードフレーム10をそれぞれ電気的に絶縁した状態で個別に配置するための2つの挿通孔内リードフレーム配置領域の境界を形成する挿通孔内リードフレーム境界部として備えられている。
【0049】
第1リブ部87および第2リブ部89は、隣接する挿通孔内リードフレーム配置領域にそれぞれ配置されるリードフレーム10どうしが接触するのを阻止する機能を有しており、隣接して配置されるリードフレーム10どうしが電気的に導通するのを阻止することにより、電流経路が不良となるのを防止できる。
【0050】
また、コンタクト挿通孔84は、先端側の開口部付近に先端側テーパ面86が形成されており、先端側テーパ面86は、先端側になるほど径方向寸法が大きくなる形状に形成されている。さらに、コンタクト挿通孔84は、後端側の開口部付近に後端側テーパ面88が形成されており、後端側テーパ面88は、後端側になるほど径方向寸法が大きくなる形状に形成されている。このように、先端側テーパ面86および後端側テーパ面88を備えることで、絶縁コンタクト部材82は、リードフレーム10を挿通する際に、コンタクト挿通孔84の開口端縁部分が破損するのを抑制することができる。
【0051】
また、絶縁コンタクト部材82の先端側の外側面には、外向きに突出して形成されるコンタクト鍔部90が形成されており、このコンタクト鍔部90は、後述する移動用外力を受けるための外力受け部として備えられている。
次に、セラミックスリーブ6について説明する。図5に、セラミックスリーブ6の外観を表した斜視図を示す、
セラミックスリーブ6は、絶縁性材料で構成されており、図1および図5に示すように、軸線方向に延びる筒状の本体部58と、本体部58の後端側(図における上方)に位置する突出部52と、本体部58と突出部52との間に配置される最も外径が大きい径大部51と、を備えて形成されると共に、検出素子4を挿通するための素子挿通孔54が、中心軸部分の先端側から後端側にかけて貫通して形成されている。
【0052】
また、セラミックスリーブ6の後端面(図における上端面)、すなわち、突出部52の後端面には、軸線方向(図1および図5における上下方向)に高低差を有する凹凸形状に形成された後端面段差部55が形成されている。後端面段差部55は、3個の後端側凸状部56と、後端側凸状部56よりも先端側方向に窪んだ形状の5個の後端側凹状部57とから形成されている。
【0053】
後端側凸状部56は、後端側凹状部57に配置されるリードフレーム10の移動範囲を制限すると共に、後端側凹状部57に配置される複数のリードフレーム10どうしが接触するのを阻止するリードフレーム境界部(仕切り部)として機能している。つまり、後端側凸状部56を有するセラミックスリーブ6は、センサの組立作業時にリードフレーム10が不適切な位置に移動するのを防止すると共に、隣接して配置されるリードフレーム10どうしが電気的に導通するのを阻止することにより、電流経路が不良となるのを防止することができる。
【0054】
次に、リードフレーム10について説明する。リードフレーム10の外観を表す斜視図を図8に示す。
リードフレーム10は、図8に示すように、長尺状の板状部材からなるフレーム本体12と、フレーム本体12の先端側(図における下側)が後端側(図における上側)に向けて折り曲げられて形成された折曲部14と、フレーム本体12の軸線方向中央部よりも先端側に形成された波状部分16と、を備える。また、リードフレーム10は、例えば、高温に繰り返し晒されても、弾性(バネ弾性)を維持可能な周知のインコネルやステンレス鋼等にて形成されている。
【0055】
波状部分16は、波形形状に形成されており、検出素子4と絶縁コンタクト部材82(詳細には、コンタクト挿通孔84の内壁面)との間で挟持されることで、波状形状の振幅方向に圧縮変形するように構成されている。
また、リードフレーム10は、フレーム本体12の後端部(図における上端部)に、フレーム本体12よりも幅広に形成されたリード線接続部17を一体に備えている。このリード線接続部17は、曲げ加工により筒状形状に形成された後、リード線46(図示省略)の芯線が内部に挿通された状態で内向きに加締められることで、リード線46と電気的に接続される。
【0056】
さらに、リードフレーム10は、波状部分16の後端部分からリード線接続部17間でのリード部寸法H2が、絶縁コンタクト部材82の軸方向寸法H1(図3参照)よりも長い寸法に設定されている。
次に、セラミックセパレータ48について説明する。図6に、セラミックセパレータ48の斜視図および一部断面斜視図を示す。なお、図6では、セラミックセパレータ48の外観を表す斜視図を左側に示し、その斜視図に示すセラミックセパレータ48におけるB−B視断面を表した一部断面斜視図を右側に示す。
【0057】
セラミックセパレータ48は、筒状形状のセパレータ本体部49と、セパレータ本体部49の外周側面から外向きに延設されるセパレータフランジ部62と、を備えて構成されている。セパレータ本体部49は、後端面(図における上端面)から先端側に向けて貫通するリード線挿通孔61を5箇所に備えている。セパレータフランジ部62は、セパレータ本体部49の外周側面のうち、軸線方向の中央位置よりも後端側において全周にわたり形成されると共に、自身の先端面が、先端側にむかうほど径方向寸法が縮小される形状のテーパ面として形成されている。
【0058】
このセラミックセパレータ48は、複数のリード線46をそれぞれ異なるリード線挿通孔61に挿通することで、リード線46をそれぞれ絶縁した状態で配置するために備えられている。
次に、空燃比センサ2の製造方法について、図10および図11を用いて説明する。図10および図11は、中間組立部品105の組み立て工程から、リードフレーム10や絶縁コンタクト部材82などの他の部材を組み付けて空燃比センサ2を完成させるまでの組み付け工程における各段階の状態を示す説明図である。なお、図10には、空燃比センサ2を製造する際の組み付け工程のうち、第1段階から第4段階までの状態を表し、図11には、第5段階から第8段階までの状態を表す。
【0059】
まず、第1段階では、前述した検出素子4を含んで構成される中間組立部品105の組み立て作業と、リードフレーム10とリード線46との接続作業を行う。
中間組立部品105は、以下の方法によって組み立てることが出来る。まず、検出素子4の径方向周囲の所定位置に、セラミックホルダ106、粉末充填層108となる滑石リング、補助スリーブ110、セラミックスリーブ6をこの順に配置させた素子ユニットを形成する。なお、セラミックホルダ106等を検出素子4の所定位置に配置させるにあたっては、検出素子4の先端側の検出部8の周囲を覆うようにして形成される電極保護層(図示せず)を剥離させないように、検出素子4の後端側から挿入するようにしている。
【0060】
ついで、上記のようにして得られた素子ユニットに対して、内部にパッキン109が配置された主体金具102を組み付け、滑石リングが圧縮充填されるようにセラミックスリーブ6に対して主体金具102の先端側に向かって所定の圧力を加える。その後、加締リング112を主体金具102の筒内部に配置させ、主体金具102の後端部104を加締め加工する。これにより、滑石リングが粉末充填層108となり、この粉末充填層108によって検出素子4の径方向周囲の気密性が確保されると共に、検出素子4が主体金具102に保持されることになる。なお、検出素子4は、自身の先端側と後端側が主体金具102の筒内部から突出した状態で、主体金具102に保持される構成となっている。そして、検出素子4を保持した状態の主体金具102の先端側にプロテクタ42,43を適宜組み付けることによって、中間組立部品105を得ることが出来る。図7に、検出素子4の後端側を主体金具102の後端部104およびセラミックスリーブ6の後端部から突出させた状態にある中間組立部品105を斜視図にて示す。
【0061】
リードフレーム10とリード線46との接続作業は、まず、リードフレーム10を絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84に挿通しておき、また、リード線46をセラミックセパレータ48(詳細には、リード線挿通孔61)とグロメット50に挿通した状態とする。その後、リード線46をリードフレーム10のリード線接続部17に加締め固定することで、リード線46が加締め接続された状態のリードフレーム10を作製することができる。
【0062】
このあと、外筒44において内向きに突出する形態で形成された外筒側支持部64と、セラミックセパレータ48のセパレータフランジ部62とが当接するように、外筒44に対してセラミックセパレータ48を配置する。
次の第2段階では、中間組立部品105(詳細には、検出素子4)に対して、電極端子部30,31,32,34,36と波状部分16とが接触するように、検出素子4の第1板面21および第2板面23にリードフレーム10を配置する作業を行う。このとき、リードフレーム10は、波状部分16の先端側に位置する折曲部14がセラミックスリーブ6の後端側凹状部57に配置されることで位置決めされる。
【0063】
続く第3段階では、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側を取り囲むように配置される絶縁コンタクト部材82のコンタクト鍔部90に対して、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側部分を把持した状態で、先端側方向に向かう移動用外力を印加する。この移動用外力の印加により、検出素子4と絶縁コンタクト部材82との間で波状部分16を弾性変形させつつ、絶縁コンタクト部材82を波状部分16の周囲まで移動させる作業を行う。この結果、リードフレーム10の波状部分16(接触部)を介して検出素子4が絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84の内部に固定されると共に、リードフレーム10と検出素子4の電極端子部30,31,32,34,36とが電気的に接続される。
【0064】
なお、図10では、リード線接続部17が外筒44の内部に配置された状態が図示されているが、リード線46に対するセラミックセパレータ48およびグロメット50の位置を移動させると共に、外筒44をリードフレーム10から遠ざけることで、リードフレーム10の一部を把持することが容易となる。
【0065】
また、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側部分を把持することに代えて、リード線46を把持することにより、リードフレーム10が移動するのを制限してもよい。これにより、リードフレーム10が外筒44の内部に配置される場合であっても、移動用外力の印加による絶縁コンタクト部材82の移動に伴って、リードフレーム10が移動するのを防ぐことができる。
【0066】
次に、第4段階では、外筒44を主体金具102に対して組み付ける作業を行う。このとき、セラミックセパレータ48およびグロメット50は、外筒44の外部に配置される。
続く第5段階では、外筒44の外筒側支持部64と、セラミックセパレータ48のセパレータフランジ部62とが当接するように、セラミックセパレータ48を外筒44の内部に配置する作業を行う。また、次の第6段階では、グロメット50を外筒44の内部に配置する作業を行う。
【0067】
第7段階では、外筒44の先端部45を径方向内側に向けて加締めて、外筒44と主体金具102とを加締めにより一体に固定する作業を行い、続く第8段階では、外筒44のうちグロメット50の径方向周囲に位置する後端部66を径方向内側に向けて加締めて、グロメット50を加締めにより外筒44に固定した後、外筒44の先端部45と主体金具102との加締め部分(先端部45)に全周にわたりレーザ溶接する作業を行う。
【0068】
このような製造方法を実施することにより、空燃比センサ2の組み付け工程が終了する。
なお、本実施例においては、セラミックスリーブ6、補助スリーブ110、粉末充填層108、セラミックホルダ106および主体金具102が特許請求の範囲に記載の素子保持部材に相当し、リードフレーム10の波状部分16が接触部に相当し、セラミックスリーブ6の後端側凸状部56がリードフレーム境界部に相当し、セラミックスリーブ6の後端側凹状部57がリードフレーム配置領域に相当する。また、セラミックセパレータ48が特許請求の範囲に記載のセパレータに相当し、セラミックセパレータ48のリード線挿通孔61が経路部材挿通孔に相当し、セラミックセパレータ48のセパレータフランジ部62が外力受け部に相当し、リード線46が経路部材に相当し、リード線接続部17がリードフレームの接続部に相当している。
【0069】
さらに、上述した空燃比センサ2の組み付け工程のうち第1段階が特許請求の範囲に記載の第1工程に相当し、空燃比センサ2の組み付け工程のうち第2段階が特許請求の範囲に記載の第2工程に相当し、空燃比センサ2の組み付け工程のうち第3段階が特許請求の範囲に記載の第3工程に相当する。
【0070】
以上、説明したように、この空燃比センサ2の製造方法では、組み付け工程の第3段階(図10参照)において、絶縁コンタクト部材82に対して先端側方向に向かう移動用外力を印加して、絶縁コンタクト部材82をリードフレーム10の波状部分16の周囲まで移動させることで、検出素子4およびリードフレーム10の波状部分16を絶縁コンタクト部材82の挿通孔の内部に配置している。
【0071】
このような方法を採ることで、検出素子4を絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84に引き込む作業(従来の製造方法における作業)のように、検出素子4をリードフレーム10の接触部(波状部分16)で把持する必要が無くなる。つまり、検出素子4を持ち上げる必要がなくなることから、他の部材(セラミックスリーブ6、粉末充填層108、主体金具102など)が一体に組み付けられた検出素子4(換言すれば、質量の大きい中間組立部品105の一部を構成する検出素子4)についても、コンタクト挿通孔84の内部に配置させることが可能となる。
【0072】
また、図10に示す第3段階においては、リード線46を把持してリードフレーム10の移動範囲を制限することで、移動用外力の印加による絶縁コンタクト部材82の移動に際し、コンタクト挿通孔84の内面との摩擦力によりリードフレーム10が移動するのを防止している。これにより、第2段階にて設定(位置決め)されたリードフレーム10と検出素子4との相対位置を、絶縁コンタクト部材82の移動時にも一定に維持することができ、波状部分16と電極端子部30,31,32,34,36との電気的接続を良好に維持することができる。
【0073】
よって、本実施例に示すセンサの製造方法によれば、他部材(セラミックスリーブ6や主体金具102など)が組みつけられた状態の検出素子4に対しても、リードフレーム10および絶縁コンタクト部材82を容易に組みつけることができ、空燃比センサの製造効率の向上を図ることができる。
【0074】
また、本実施例においては、セラミックスリーブ6が、自身の後端側領域の一部に、リードフレームをそれぞれ電気的に絶縁した状態で個別に配置するための後端側凹状部57の境界を形成する後端側凸状部56を備えて構成されている。そして、空燃比センサ2の組み付け工程の第2段階(図10参照)において、リードフレーム10の折曲部14を後端側凹状部57に配置して、リードフレーム10の位置決めを行っている。
【0075】
このように後端側凸状部56を有するセラミックスリーブ6を用いることで、第3段階において絶縁コンタクト部材82を移動させる際に、リードフレーム10が不適切な位置に移動することを確実に防止できる。これにより、リードフレーム10が不適切な位置に配置された状態(位置ズレ状態)で絶縁コンタクト部材82を強引に移動させることがなくなり、絶縁コンタクト部材82および検出素子4から受ける不適切な応力によって、リードフレーム10が破損(座屈)するのを防ぐことができる。また、後端側凸状部56を有するセラミックスリーブ6は、隣接して配置されるリードフレーム10どうしが電気的に導通するのを阻止でき、電流経路が不良となるのを防止することができる。
【0076】
また、セラミックスリーブ6は、検出素子4における電極端子部30,31,32,34,36の形成位置に応じて、リードフレーム10の波状部分16と電極端子部30,31,32,34,36とが電気的に接続されるように、後端側凹状部57の形成位置が設定されている。
【0077】
これにより、第2工程において、リードフレーム10の折曲部14を後端側凹状部57に配置することで、リードフレーム10(波状部分16)と電極端子部30,31,32,34,36との電気的接続を容易に実現でき、リードフレーム10の配置位置ミス(接続ミス)を防止することができる。また、検出素子4の電極端子部と同一個数の後端側凹状部57が形成されていることから、全ての後端側凹状部57に対してリードフレーム10を配置することで、リードフレーム10の配置忘れなどの作業ミスを防ぐことができる。
【0078】
また、絶縁コンタクト部材82は、自身の外側面に移動用外力を受けるためのコンタクト鍔部90を有しており、空燃比センサ2の組み付け工程の第3段階において、移動用外力をコンタクト鍔部90に対して印加することで、容易に絶縁コンタクト部材82を移動させることができる。これにより、第3工程において、検出素子4、リードフレーム10および絶縁コンタクト部材82を組みつける作業を容易に実行することができ、組み付け作業の煩雑さを軽減できる。
【0079】
さらに、本実施例のセンサ製造方法においては、リードフレームとして、リード部寸法H2が絶縁コンタクト部材82の軸方向寸法H1よりも長く形成されたリードフレーム10を用いている。このリードフレーム10を用いることで、第3工程において、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側を取り囲むように絶縁コンタクト部材82を配置した際に、リードフレーム10の少なくとも一部が絶縁コンタクト部材82よりも後端側に突出した状態で配置されることになる。これにより、特殊な形状の把持用治具を用いることなく、容易に、リードフレーム10を把持することができ、リードフレーム10が移動するのを防ぐことができる。
【0080】
次に、上記実施例では、第2段階において、リード線46が接続された状態のリードフレーム10を、検出素子4の第1板面21および第2板面23に配置しており、リードフレーム10とリード線46との接続作業を、検出素子4とリードフレーム10との組み付け作業よりも前の段階で実施している。
【0081】
これにより、検出素子に組み付けられた状態のリードフレーム10に対してリード線46を固定する場合に比べて、1個のリードフレームあたりの作業領域を大きく確保することができ、リードフレーム10とリード線46との接続作業(本実施例では、加締め作業)を容易に実行することができる。よって、本実施例においては、リードフレーム10とリード線46との接続作業の煩雑さを解消することができ、センサ製造作業における作業効率の向上を図ることができる。
【0082】
また、リードフレーム10とリード線46とは加締めにより接続されており、リードフレーム10とリード線46との接続強度が充分に高いことから、第3段階において、リードフレーム10を把持する代わりにリード線46を把持することで、リードフレーム10の移動範囲を制限することができる。これにより、第3段階において、リードフレーム10を直接把持する必要がなくなり、第3段階の作業の煩雑さを軽減することができる。
【0083】
次に、本発明の第2実施例として、上記実施例(以下、第1実施例という)の全領域空燃比センサ2に対して、セラミックセパレータ48に代えて第2セラミックセパレータ120を備えると共に、セパレータ保持金具130を備えて構成される第2全領域空燃比センサ5(以下、第2空燃比センサ5ともいう)について説明する。後述する図14のうち第8段階を示す説明図として、第2空燃比センサ5の全体構成を表した断面斜視図を示す。
【0084】
なお、第2空燃比センサ5は、上述の全領域空燃比センサ2と比べて、第2セラミックセパレータ120およびセパレータ保持金具130以外の部材については、共通の部材を用いて構成されていることから、空燃比センサ2との相違点を中心に説明する。
【0085】
第2セラミックセパレータ120の一部断面斜視図を図9に示す。
図9に示すように、第2セラミックセパレータ120は、筒状形状の第2セパレータ本体部121と、第2セパレータ本体部121の外周側面から外向きに延設される第2セパレータフランジ部122と、を備えて構成されている。
【0086】
第2セパレータ本体部121は、第1実施例におけるセラミックセパレータ48のセパレータ本体部49と同様の形状であり、後端面(図における上端面)から先端側に向けて貫通する第2リード線挿通孔124を5箇所に備えている。
第2セパレータフランジ部122は、第1実施例におけるセパレータフランジ部62とは異なる形状であり、後端面が、後端側にむかうほど径方向寸法が縮小される形状のテーパ面として形成されている。また、第2セパレータ本体部121の外周側面における第2セパレータフランジ部122の形成位置は、外周側面の軸線方向における略中央位置であり、第1実施例のセパレータ本体部49の外周側面におけるセパレータフランジ部62の形成位置に比べて、先端側に近い位置に設定されている。
【0087】
次に、第2空燃比センサ5の製造方法について、図13および図14を用いて説明する。図13および図14は、前述した中間組立部品105の組み立て工程から、リードフレーム10や絶縁コンタクト部材82などの他の部材を組み付けて第2空燃比センサ5を完成させるまでの組み付け工程における各段階の状態を示す説明図である。なお、図13には、第2空燃比センサ5を製造する際の組み付け工程のうち、第1段階から第4段階までの状態を表し、図14には、第5段階から第8段階までの状態を表す。
【0088】
なお、セパレータ保持金具130は、金属材料からなる筒状形状の部材であり、図13および図14に示すように、第2セラミックセパレータ120のうち第2セパレータフランジ部122よりも先端側部分を内部に収容可能な内径寸法で形成されている。また、セパレータ保持金具130の外径寸法は、外筒44のうち第2セラミックセパレータ120が配置される部分の内径寸法よりも、小さく形成されている。
【0089】
まず、第2空燃比センサ5を完成させるまでの組み付け工程における第1段階では、前述した検出素子4を含んで構成される中間組立部品105の組み立て作業と、リードフレーム10とリード線46との接続作業を行う。なお、中間組立部品105の組み立て作業の内容は、前述の第1実施例と同様である。
【0090】
リードフレーム10とリード線46との接続作業は、まず、リードフレーム10を絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84に挿通しておき、また、リード線46をセパレータ保持金具130が組み付けられた第2セラミックセパレータ120(詳細には、第2リード線挿通孔124)、外筒44およびグロメット50に挿通した状態とする。その後、リード線46をリードフレーム10のリード線接続部17に加締め固定することで、リード線46が加締め接続された状態のリードフレーム10を作製することができる。
【0091】
次の第2段階では、中間組立部品105(詳細には、検出素子4)に対して、電極端子部30,31,32,34,36と波状部分16とを電気的に接続させる状態で、検出素子4の第1板面21および第2板面23にリードフレーム10を配置する作業を行う。このとき、リードフレーム10は、折曲部14がセラミックスリーブ6の後端側凹状部57に配置されることで位置決めされる。
【0092】
続く第3段階では、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側を取り囲むように配置される絶縁コンタクト部材82のコンタクト鍔部90に対して、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側部分を把持した状態で、先端側方向に向かう移動用外力を印加する。この移動用外力の印加により、検出素子4と絶縁コンタクト部材82との間で波状部分16を弾性変形させつつ、絶縁コンタクト部材82を波状部分16の周囲まで移動させる作業を行う。この結果、リードフレーム10の波状部分16(接触部)を介して検出素子4が絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84の内部に固定されると共に、リードフレーム10と検出素子4の電極端子部30,31,32,34,36とが電気的に接続される。
【0093】
なお、図13では、リード線接続部17が外筒44の内部に配置された状態が図示されているが、リード線46に対する第2セラミックセパレータ120およびグロメット50の位置を移動させると共に、外筒44をリードフレーム10から遠ざけることで、リードフレーム10の一部を把持することが容易となる。
【0094】
また、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側部分を把持することに代えて、リード線46を把持することにより、リードフレーム10が移動するのを制限してもよい。これにより、リードフレーム10が外筒44の内部に配置される場合であっても、移動用外力の印加による絶縁コンタクト部材82の移動に伴って、リードフレーム10が移動するのを防ぐことができる。
【0095】
次に、第4段階では、外筒44を主体金具102に対して組み付ける作業を行う。このとき、第2セラミックセパレータ120の第2セパレータフランジ部122の後端面(図における上側面)が、外筒44の外筒側支持部64と当接する状態で、第2セラミックセパレータ120およびセパレータ保持金具130が、外筒44の内部に配置される。なお、グロメット50は、外筒44の外部に配置される。
【0096】
次の第5段階では、グロメット50を外筒44の内部に配置する作業を行い、次の第6段階では、外筒44の先端部45を径方向内側に向けて加締めて、外筒44と主体金具102とを加締めにより一体に固定する作業を行う。
続く第7段階では、外筒44のうちセパレータ保持金具130が配置される保持金具固定部67を径方向内側に向けて加締めて形成し、セパレータ保持金具130を加締めにより外筒44に固定する作業を行う。これにより、第2セラミックセパレータ120の第2セパレータフランジ部122が、外筒側支持部64とセパレータ保持金具130との間に固定され、外筒44の内部での軸線方向における第2セラミックセパレータ120の配置位置が決定される。
【0097】
次の第8段階では、外筒44のうちグロメット50の径方向周囲に位置する後端部66を径方向内側に向けて加締めて、グロメット50を加締めにより外筒44に固定した後、外筒44の先端部45と主体金具102との加締め部分(先端部45)に全周にわたりレーザ溶接する作業を行う。
【0098】
このような製造方法を実施することにより、第2空燃比センサ5の組み付け工程が終了する。
なお、第2実施例においては、第2セラミックセパレータ120が特許請求の範囲に記載のセパレータに相当し、第2セパレータフランジ部122が外力受け部に相当し、第2リード線挿通孔124が経路部材挿通孔に相当する。
【0099】
また、上述した第2空燃比センサ5の組み付け工程のうち第1段階が特許請求の範囲に記載の第1工程に相当し、第2空燃比センサ5の組み付け工程のうち第2段階が特許請求の範囲に記載の第2工程に相当し、第2空燃比センサ5の組み付け工程のうち第3段階が特許請求の範囲に記載の第3工程に相当する。
【0100】
以上、説明したように、第2空燃比センサ5の製造方法では、第1実施例の空燃比センサ2と同様の作用効果を得ることができ、他部材(セラミックスリーブ6や主体金具102など)が組みつけられた状態の検出素子4に対しても、リードフレーム10および絶縁コンタクト部材82を容易に組みつけることができ、空燃比センサの製造効率の向上を図ることができる。
【0101】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、セラミックセパレータ48または第2セラミックセパレータ120に代えて、複数のリード線を挿通するための挿通孔として、1つの開口部で形成される第3リード線挿通孔144を備える第3セラミックセパレータ140を用いてもよい。図12に、第3セラミックセパレータ140の斜視図および一部断面斜視図を示す。なお、図12では、第3セラミックセパレータ140の外観を表す斜視図を左側に示し、その斜視図に示す第3セラミックセパレータ140におけるC−C視断面を表した一部断面斜視図を右側に示す。
【0102】
第3セラミックセパレータ140は、筒状形状の第3セパレータ本体部141と、第3セパレータ本体部141の外周側面から外向きに延設される第3セパレータフランジ部142と、を備えて構成されている。第3セパレータ本体部141は、後端面(図における上端面)から先端側に向けて貫通する第3リード線挿通孔144を備えている。そして、第3リード線挿通孔144は、放射状に配置される5個のリード線配置部145と、リード線配置部145に連通する中心開口部146とを備えて構成されている。このような中心開口部146を有する第3セラミックセパレータ140は、センサ内部に基準ガスなどを導入する構造のセンサに対して適用することができる。
【0103】
次に、本発明方法は、検出素子がガラス封着により素子保持部材に固定される構成のガスセンサに対して適用することもできる。図15に、第2検出素子164がガラス封着により第3セラミックスリーブ161に固定される構成のガスセンサ160の全体構成を表す一部断面斜視図を示す。
【0104】
図15に示すガスセンサ160は、ガラス封止材163を用いたガラス封着により第2検出素子164が第3セラミックスリーブ161に対して固定され、第3セラミックスリーブ161が主体金具102に固定されて構成されている。
なお、第2検出素子164は、長尺形状に形成されており、後端側(図における上側)に4個の電極端子部(図示省略)を備え、先端側(図における下側)に検出部168を備えて構成されている。
【0105】
絶縁コンタクト部材82およびリードフレーム10が組み付けられた状態の第2検出素子164の構成を表す一部断面斜視図を、図16に示す。なお、図16では、第4セラミックセパレータ162およびリード線46についても図示している。
【0106】
次に、ガスセンサ160の製造方法について、簡単に説明する。
ガスセンサ160の組み付け工程における第1段階においては、第2検出素子164を含んで構成される第2中間組立部品169の組み立て作業と、リードフレーム10とリード線46との接続作業を行う。
【0107】
第2中間組立部品169の組み立て作業は、まず、第3セラミックスリーブ161の第3素子挿通孔170に第2検出素子164を挿通し、第3セラミックスリーブ161の封止剤配置部171にガラス封止材163を配置する作業を行う。そして、ガラス封止材163を溶融させるための高温熱処理を実施した後、常温まで冷却することでガラス封止材163を凝固させて、第2検出素子164を第3セラミックスリーブ161に封着固定させる。これにより、第2検出素子164、第3セラミックスリーブ161およびガラス封止材163からなる第2中間組立部品169の組み立て作業が終了する。
【0108】
リードフレーム10とリード線46との接続作業は、まず、リードフレーム10を絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84に挿通しておき、また、リード線46を第4セラミックセパレータ162(詳細には、第4リード線挿通孔165)とグロメット50(図16では図示省略)に挿通した状態とする。その後、リード線46をリードフレーム10のリード線接続部17に加締め固定することで、リード線46が加締め接続された状態のリードフレーム10を作製することができる。
【0109】
次の第2段階では、第3セラミックスリーブ161が一体に組み付けられた状態の第2検出素子164(換言すれば、第2中間組立部品169)に対して、電極端子部とリードフレーム10とを電気的に接続させる状態で、第2検出素子164の第1板面および第2板面にリードフレーム10を配置する作業を行う。
【0110】
第3段階においては、第3セラミックスリーブ161が一体に組み付けられた状態の第2検出素子164(換言すれば、第2中間組立部品169)に対して、リード線46を把持しつつ、移動用外力を印加して絶縁コンタクト部材82を移動させる作業を行う。この結果、絶縁コンタクト部材82により、リードフレーム10が第2検出素子164に対して固定され、リードフレーム10と第2検出素子164の電極端子部とが電気的に接続される。
【0111】
このあと、第4セラミックセパレータ162の先端面(図16における下端面)を第3セラミックスリーブ161の後端面(図16における上端面)に当接させると共に、絶縁コンタクト部材82を第4セラミックセパレータ162(詳細には、コンタクト収容部167)の内部に収容する。
【0112】
続いて、主体金具102や第2外筒166を適宜組み付け、図15に示すように、第2外筒166の先端部173を径方向内向きに加締めることで、第2外筒166を主体金具102に対して加締め加工により一体に組み付ける。さらに、第2外筒166のグロメット50の径方向周囲に位置する後端め部172を径方向内向きに加締めて、グロメット50を第2外筒166に加締め固定した後、第2外筒166の先端部173と主体金具102との加締め部分(先端部173)に全周にわたりレーザ溶接する作業を行うことにより、ガスセンサ160が完成する。
【0113】
このガスセンサ160の製造方法によれば、上述した第1実施例および第2実施例と同様に、他部材(第3セラミックスリーブ161など)が組みつけられた状態の第2検出素子164に対しても、リードフレーム10および絶縁コンタクト部材82を容易に組みつけることができ、ガスセンサの製造効率の向上を図ることができる。
【0114】
また、このガスセンサ160においては、リードフレーム10を第2検出素子164の第1板面および第2板面に配置する第2工程よりも前に、第3セラミックスリーブ161を第2検出素子164に組み付ける第1工程を実行することから、第3セラミックスリーブ161を第2検出素子164に組み付けるにあたり、高温熱処理を伴うガラス封着処理を行うことができる。つまり、リードフレーム10が高温熱処理に伴い高温にさらされるのを避けることができるため、リードフレーム10の表面に酸化膜が形成されるのを防ぐことができる。これにより、酸化膜の除去作業を行う必要がなくなり、センサの製造作業における作業工数の増加を防ぐことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0115】
さらに、このガスセンサ160は、第4セラミックセパレータ162のコンタクト収容部167に、絶縁コンタクト部材82を収容する構成であることから、絶縁コンタクト部材82および第4セラミックセパレータ162が占有する領域の軸線方向長さを短縮することができ、センサの小型化を図ることが出来る。
【0116】
また、ガスセンサ160は、絶縁コンタクト部材82の径方向周囲が第4セラミックセパレータ162のコンタクト収容部167の内周面に取り囲まれる構成であることから、ガスセンサ160の振動に伴う絶縁コンタクト部材82の径方向への揺動を第4セラミックセパレータ162により抑制することが出来る。これにより、ガスセンサ160においては、絶縁コンタクト部材82の激しい揺動に起因する検出素子4の折損などを有効に防止することができる。
【0117】
なお、ガスセンサ160においては、第3セラミックスリーブ161およびガラス封止材163が特許請求の範囲に記載の素子保持部材に相当し、第4セラミックセパレータ162がセパレータに相当している。
次に、絶縁コンタクト部材のうち、移動用外力を受ける外力受け部は、絶縁コンタクト部材の外側面から外向きに突出するフランジ形状に限られることはなく、絶縁コンタクト部材の外側面に凹形状に形成された孔部あるいは溝部として備えてもよい。この場合には、凹形状の外力受け部に対して移動用外力を印加することで、絶縁コンタクト部材を移動させる。また、外力受け部は、絶縁コンタクト部材の外側面のうち、周方向全域に形成する場合に限られず、外側面における周方向の一部に形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】空燃比センサの全体構成を示す断面図である。
【図2】検出素子の概略構造を表す斜視図である。
【図3】絶縁コンタクト部材の構造を表す一部断面斜視図である。
【図4】先端側から見たときの絶縁コンタクト部材の外観図である。
【図5】セラミックスリーブの外観を表した斜視図である。
【図6】セラミックセパレータの斜視図および一部断面斜視図である。
【図7】検出素子および他部材が一体に組み付けられて構成される中間組立部品の斜視図である。
【図8】リードフレームの外観を表す斜視図である。
【図9】第2セラミックセパレータの一部断面斜視図である。
【図10】空燃比センサを製造する際の組み付け工程のうち、第1段階から第4段階までの状態を表す説明図である。
【図11】空燃比センサを製造する際の組み付け工程のうち、第5段階から第8段階までの状態を表す説明図である。
【図12】第3セラミックセパレータの外観を表す斜視図および一部断面斜視図である。
【図13】第2空燃比センサを製造する際の組み付け工程のうち、第1段階から第4段階までの状態を表す説明図である。
【図14】第2空燃比センサを製造する際の組み付け工程のうち、第5段階から第8段階までの状態を表す説明図である。
【図15】検出素子がガラス封着により素子保持部材に固定される構成のガスセンサの全体構成を表す一部断面斜視図である。
【図16】絶縁コンタクト部材およびリードフレームが組み付けられた状態の第2検出素子の構成を表す一部断面斜視図である。
【符号の説明】
2…全領域空燃比センサ、4…検出素子、5…第2全領域空燃比センサ、6…セラミックスリーブ、8…検出部、10…リードフレーム、16…波状部分、17…リード線接続部、30,31,32,34,36…電極端子部、46…リード線、48…セラミックセパレータ、54…素子挿通孔、55…後端面段差部、56…後端側凸状部、57…後端側凹状部、61…リード線挿通孔、62…セパレータフランジ部、82…絶縁コンタクト部材、90…コンタクト鍔部、102…主体金具、120…第2セラミックセパレータ、122…第2セパレータフランジ部、124…第2リード線挿通孔、140…第3セラミックセパレータ、142…第3セパレータフランジ部、144…第3リード線挿通孔、160…ガスセンサ、161…第3セラミックスリーブ、162…第4セラミックセパレータ、163…ガラス封止材、164…第2検出素子、165…第4リード線挿通孔、167…コンタクト収容部、170…第3素子挿通孔。
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸線方向に延びる板状形状をなすと共に電極端子部を有する検出素子と、検出素子の周囲を取り囲む状態で検出素子を支持する素子保持部材と、検出素子の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材と、電極端子部と電気的に接続されるリードフレームと、を備えるセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、軸線方向に延びる板状形状をなすと共に、測定対象物に向けられる先端側に検出部が形成された検出素子(センサ素子)が組み付けられたセンサが知られている。このようなセンサとしては、λセンサ、全領域空燃比センサ、酸素センサ、NOxセンサなどのガスセンサや、温度検出を行う温度センサなどが挙げられる。
【0003】
板型形状の検出素子は、一般に、軸線方向(長手方向)の先端側に検出部を備え、後端側に電極端子部を備えて構成されている。このような板型検出素子を備えるセンサは、導電性材料からなるリードフレームを電極端子部に直接又は他部材を介して間接的に接触させて、リードフレームを介して信号をセンサの外部との間で入出力することができる。そして、リードフレームに弾性変形(圧縮変形)可能な接触部を設けて、検出素子の電極端子部にリードフレームの接触部を接触させた状態で、検出素子を絶縁コンタクト部材の挿通孔の内部で把持する構成のセンサが知られている。
【0004】
このようなセンサの従来の製造方法としては、次のような方法がある。まず、接触部が電極端子部に接触するようにリードフレームを検出素子に対して配置し、そのリードフレームの検出素子に接触していない部分を絶縁コンタクト部材の挿通孔に挿通する。そして、接触部の端部を挿通孔の内面の開口端部分で挟持し、検出素子の端部を接触部の端部で挟持するように、リードフレームを移動させる。このあと、絶縁コンタクト部材を固定した状態で、挿通孔の開口部のうち検出素子とは反対側の開口部から突出するリードフレームを把持して、さらにリードフレームを移動させることで、リードフレームの接触部で挟持された検出素子をリードフレームと共に挿通孔の内部に引き込む方法がある(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−168823号公報(図5、図7)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のセンサ製造方法では、他の部材が一体に組みつけられた状態の検出素子については、リードフレームと共に絶縁コンタクト部材の挿通孔の内部に引き入れることができない場合がある。
【0007】
つまり、他部材が一体に組み付けられた状態の検出素子は、全体の重量が重くなるため、リードフレームの接触部による挟持では完全には持ち上げることが出来ずに脱落する可能性が高くなり、また、検出素子を挿通孔の内部に効率良く引き込むことができない可能性が高くなる。
【0008】
また、検出素子に対して他部材よりも先にリードフレームを組みつける場合には、その後の製造工程において高温熱処理を伴う作業を実行してセンサを完成させる必要があると、以下のことが懸念される。つまり、高温熱処理を経ることで、リードフレームの表面に酸化膜が形成され、リードフレームと他の導電部材(リード線など)との電気的接続状態が不良となる虞が生じる。例えば、検出素子と他部材(素子保持部材など)との間の気密性を高めるためにガラスシールする作業は、高温熱処理を伴う作業であるため、リードフレームが組みつけられた検出素子に対して素子保持部材を組みつけるにあたり、ガラスシール処理を施すことができない。
【0009】
なお、高温熱処理の後に、リードフレームから酸化膜を除去する作業を行うことで、リードフレームの導電性部材としての機能を回復させることはできるが、作業工数が増えることになり、センサの製造効率が低下することになる。
このため、高温熱処理を伴う他部材の組みつけ作業は、リードフレームの組み付け作業よりも先に実行することが望ましく、そのためには、他部材が組み付けられた検出素子に対して、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材の組み付け作業を行う必要がある。
【0010】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、他部材が組みつけられた状態の検出素子に対して、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材を容易に組みつけることができるセンサの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象物に向けられる先端側に検出部が形成され、後端側の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面および第2板面に電極端子部が形成される検出素子と、自身の後端から電極端子部が形成された後端側を突出させた状態で検出素子の径方向周囲を取り囲むと共に、検出素子を保持する素子保持部材と、軸線方向に貫通する挿通孔を有し、該挿通孔の内壁面が検出素子のうち電極端子部が形成された後端側周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材と、検出素子と絶縁コンタクト部材との間に挟持されて検出素子と絶縁コンタクト部材との間隔方向に弾性変形する接触部を有し、該接触部において電極端子部と電気的に接続されるリードフレームと、を備えるセンサの製造方法であって、検出素子の後端側を素子保持部材の後端から突出させた状態で、検出素子と素子保持部材とを一体に組みつける第1工程と、素子保持部材が一体に組みつけられた検出素子に対して、電極端子部と接触部とが電気的に接続するように、第1板面および第2板面にリードフレームを配置して位置決めを行う第2工程と、リードフレームのうち接触部よりも後端側を取り囲むように配置させた絶縁コンタクト部材に、リードフレームのうち接触部よりも後端側を把持させた状態で、先端側方向に向かう移動用外力を印加して、検出素子と絶縁コンタクト部材との間で接触部を弾性変形させつつ、絶縁コンタクト部材を接触部の周囲まで移動させ、接触部を介して絶縁コンタクト部材の挿通孔内に検出素子を保持させる第3工程と、を有することを特徴とするセンサの製造方法である。
【0012】
このセンサの製造方法では、リードフレームのうち接触部よりも後端側を取り囲むように配置させた絶縁コンタクト部材に対して先端側方向に向かう移動用外力を印加して、絶縁コンタクト部材をリードフレームの接触部の周囲まで移動させることで、検出素子およびリードフレームの接触部を絶縁コンタクト部材の挿通孔の内部に配置している。これにより、従来のように絶縁コンタクト部材の挿通孔に引き込むために、検出素子をリードフレームの接触部で把持する必要が無くなることから、検出素子の重量に拘わらず、絶縁コンタクト部材の挿通孔の内部に検出素子を配置することができる。
【0013】
また、第3工程においては、リードフレームを把持させて、移動用外力の印加による絶縁コンタクト部材の移動を行うことで、挿通孔の内壁面との摩擦力によりリードフレームが軸方向に移動するのを防止している。これにより、第2工程にて設定(位置決め)されたリードフレームと検出素子との相対位置を、絶縁コンタクト部材の移動時にも一定に維持することができ、接触部と電極端子部との電気的接続を良好に維持することができる。
【0014】
よって、本発明方法によれば、他部材(素子保持部材)が組みつけられた状態の検出素子に対して、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材を容易に組みつけることができ、センサの製造効率の向上を図ることができる。
なお、第3工程において、リードフレームの接触部よりも後端側を把持させるにあたっては、リードフレームの接触部よりも後端側部分を直接把持しても良いし、リードフレームの後端側部分と接続される他部材(例えば、後述する経路部材)を把持することで、間接的にリードフレームの接触部よりも後端側部分を把持させてもよい。
【0015】
また、本発明方法では、リードフレームを検出素子の第1板面および第2板面に配置する第2工程よりも前に、素子保持部材を検出素子に組みつける第1工程を実行することから、素子保持部材と検出素子との組みつけにあたり、高温熱処理を伴う組み付け作業を行うことができる。
【0016】
ところで、第3工程において、リードフレームの移動を制限するためにリードフレームを把持するに際し、接触部が絶縁コンタクト部材の端縁に当接したときに、リードフレームの後端縁が絶縁コンタクト部材の挿通孔よりも後端側に出ていない場合には、挿通孔の内部でリードフレームを把持するための特殊な形状の把持用治具を用いる必要がある。
【0017】
そこで、上述のセンサ製造方法においては、請求項2に記載のように、リードフレームとして、接触部の後端から後端縁までの軸線方向における長さ寸法が、絶縁コンタクト部材の軸線方向における長さ寸法よりも長く形成されたリードフレームを用いるとよい。
【0018】
このリードフレームを用いることで、第3工程において、リードフレームのうち接触部よりも後端側を取り囲むように絶縁コンタクト部材を配置した際に、リードフレームの後端縁を含む少なくとも一部が絶縁コンタクト部材よりも後端側に突出した状態で配置されることになる。これにより、特殊な形状の治具を用いることなく、リードフレームのうち接触部よりも後端側を、容易に把持させることができる。
【0019】
よって、この発明方法によれば、絶縁コンタクト部材を移動する際に、特殊な形状の把持用治具を用いることなく、リードフレームが移動するのを制限でき、検出素子、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材の組み付け作業を容易に行うことが可能となる。
【0020】
次に、上述のセンサ製造方法においては、請求項3に記載のように、素子保持部材が、自身の後端側領域の一部に、リードフレームをそれぞれ電気的に絶縁した状態で個別に配置するためのリードフレーム配置領域の境界を形成するリードフレーム境界部を備えて構成されるとよい。そして、第2工程において、リードフレームの先端部をリードフレーム配置領域に配置して、リードフレームの位置決めを行うのである。
【0021】
このように、リードフレーム境界部により、リードフレーム配置領域に配置されるリードフレームの先端部の位置決めを行うことで、第3工程において絶縁コンタクト部材を移動させる際に、リードフレームが不適切な位置に移動することをより確実に防止することができる。
【0022】
また、リードフレーム境界部およびリードフレーム配置領域を設ける場合には、検出素子における電極端子部の形成位置に応じて、リードフレームの接触部と電極端子部とが電気的に接続されるように、リードフレーム配置領域の形成位置を設定すると良い。これにより、第2工程において、リードフレームの先端部をリードフレーム配置領域に配置しつつ、リードフレームを第1板面および第2板面に配置することで、リードフレームと電極端子部とを容易に接続することができる。さらに、電極端子部の個数に応じて、電極端子部と同一個数のリードフレーム配置領域を形成することで、リードフレームの配置忘れなどの作業ミスを防ぐことができる。
【0023】
よって、本発明方法によれば、検出素子、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材の組み付け作業時に、リードフレームの配置位置が不適切な位置になるのを防止でき、リードフレームと検出素子の電極端子部との電気的接続状態を良好に維持することができる。
【0024】
なお、素子保持部材が絶縁性材料で構成されている場合には、リードフレーム境界部およびリードフレーム配置領域は、素子保持部材と一体に形成することができる。
次に、上述のセンサ製造方法においては、請求項4に記載のように、絶縁コンタクト部材が、自身の外側面に移動用外力を受けるための外力受け部を備えて構成されると良い。そして、第3工程において、外力受け部に移動用外力を印加して、絶縁コンタクト部材を移動させるのである。
【0025】
このように外力受け部を備える絶縁コンタクト部材に対しては、移動用外力を容易に印加することができ、第3工程において、検出素子、リードフレームおよび絶縁コンタクト部材を組みつける作業を容易に実行することができる。
外力受け部は、例えば、絶縁コンタクト部材の外側面から外向きに突出するフランジ形状に形成することができ、あるいは、絶縁コンタクト部材の外側面から内向きに凹んだ凹形状に形成することができる。また、外力受け部は、絶縁コンタクト部材の外側面のうち、周方向全域に形成しても良く、あるいは、周方向の一部に形成しても良い。
【0026】
よって、この発明方法によれば、絶縁コンタクト部材に対して、容易に移動用外力を印加することができ、リードフレーム、検出素子および絶縁コンタクト部材の組み付け作業の煩雑さを軽減することができる。
ところで、リードフレームは、導電性材料で構成されており、センサの外部との間で信号入出力を行うために、電流経路を形成する導電性の経路部材(リード線など)に接続される。そして、検出素子に組みつけられたリードフレームの個数が複数である場合には、1つのリードフレームあたりの作業可能空間が小さくなるため、リードフレームと経路部材との接続作業(加締め作業や溶接(例えば、レーザー溶接など))は、検出素子との組み付け前の単体状態のリードフレームに比べて、作業が煩雑となる。
【0027】
そこで、上述のセンサ製造方法においては、請求項5に記載のように、第2工程において、前記リードフレームとして、外部に接続される経路部材が直接または他部材を介して間接に接続されたリードフレームを、検出素子の第1板面および第2板面に配置するとよい。
【0028】
つまり、リードフレームと経路部材(リード線など)との接続作業の実行時期を、検出素子とリードフレームとの組み付け作業を行う前に設定することで、作業領域の制限を受けることなく、リードフレームと経路部材(リード線など)との接続作業を容易に実行することができる。そして、経路部材とリードフレームとの接続方法としては、加締め接続や溶接(例えば、レーザー溶接など)等があり、この接続作業は、第2工程を行うまでに実行すれば良く、例えば、第1工程と第2工程との間に、経路部材接続工程として実行することができる。
【0029】
よって、この発明方法によれば、リードフレームと経路部材(リード線など)との接続作業の煩雑さを解消することができ、センサ製造作業における作業効率の向上を図ることができる。
なお、リードフレームと経路部材(リード線など)との接続強度が充分に高い場合には、第3工程において、リードフレームを把持する代わりに経路部材を把持することで、リードフレームの移動を制限することが可能となる。また、経路部材は、例えば、センサの外部に備えられるコネクタなどと電気的に接続されており、コネクタなどを介して外部機器との間で電流経路を形成する。また、本発明方法において、リードフレームの接触部が検出素子の電極端子部に接する形態には、直接接し合う形態の他に、導電性部材を介して間接的に接し合う形態が含まれる。
【0030】
そして、リードフレームと経路部材(リード線など)との接続については、例えば、接続用部材を用いて間接的に接続することもできるが、接続用部材を用いる場合には、センサを構成する部品点数が増大することになり、コスト増大が問題となる。
【0031】
そこで、第2工程において経路部材が接続されたリードフレームを用いるセンサ製造方法においては、請求項6に記載のように、リードフレームとして、経路部材を接続するための接続部が一体に備えられているリードフレームを用いると良い。
【0032】
つまり、接続部を有するリードフレームを用いて、経路部材をリードフレームの接続部に接続することで、接続用部材を用いることなく、リードフレームと経路部材とを接続することができる。接続部は、例えば、加締め接続用の加締め接続部や溶接用の溶接接続部などとして形成することができる。
【0033】
よって、このセンサ製造方法によれば、接続用部材を別途用いる必要が無くなることから、センサの部品点数を削減することができ、製造コストの低減を図ることができる。
また、第2工程において経路部材が接続されたリードフレームを用いるセンサ製造方法においては、請求項7に記載のように、センサが、複数の経路部材をそれぞれ絶縁した状態で挿通するための経路部材挿通孔を有するセパレータを備え、該セパレータが、自身の先端側に絶縁コンタクト部材の少なくとも一部を収容するコンタクト収容部を備えて構成されているとよい。そして、第3工程後において、絶縁コンタクト部材の後端側に配置されると共に、経路部材が経路部材挿通孔に挿通された状態のセパレータを、先端側方向に移動させ、絶縁コンタクト部材の少なくとも一部をセパレータのコンタクト収容部の内部に収容させるとよい。
【0034】
つまり、絶縁コンタクト部材の少なくとも一部を、セパレータのコンタクト収容部の内部に収容させることで、絶縁コンタクト部材およびセパレータが占有する領域の軸線方向長さを短縮することが出来る。これにより、軸線方向寸法が短縮されたセンサを製造でき、センサの小型化を図ることができる。
【0035】
さらに、絶縁コンタクト部材の少なくとも一部をセパレータのコンタクト収容部の内周面にて取り囲むことができ、センサの振動に伴う絶縁コンタクト部材の径方向への揺動をセパレータによって抑制可能なセンサを製造することができる。その結果、絶縁コンタクト部材の激しい揺動に起因する検出素子の折損などを有効に防止可能なセンサを得ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のセンサの製造方法を適用した実施例を図面と共に説明する。なお、本実施例では、ガスセンサの一種であって、自動車や各種内燃機関における空燃比フィードバック制御に使用するために、測定対象となる排ガス中の特定ガスを検出する検出素子(ガスセンサ素子)が組み付けられるとともに、内燃機関の排気管に装着される全領域空燃比センサ2(以下、空燃比センサ2ともいう)について説明する。
【0037】
図1は、本発明方法を適用した実施例の空燃比センサ2の全体構成を示す断面図である。
空燃比センサ2は、排気管に固定するためのネジ部103が外表面に形成された筒状の主体金具102と、軸線方向(図中上下方向)に延びる板状形状をなす検出素子4と、検出素子4の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ6と、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔84の内壁面が検出素子4の後端部の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材82と、検出素子4と絶縁コンタクト部材82との間に配置される5個のリードフレーム10と、を備えている。
【0038】
検出素子4は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象となるガスに向けられる先端側(図中下方)に検出部8が形成され、後端側(図中上方)の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面21および第2板面23に電極端子部30,31,32,34,36が形成されている。リードフレーム10は、検出素子4と絶縁コンタクト部材82との間に配置されることで、検出素子4の電極端子部30,31,32,34,36にそれぞれ電気的に接続される。
【0039】
なお、主体金具102の筒内部には、検出素子4の径方向周囲を取り囲む状態で、筒状のセラミックホルダ106、粉末充填層108、補助スリーブ110および上述のセラミックスリーブ6が、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。また、セラミックスリーブ6と主体金具102の後端部104との間には、加締リング112が配置されており、セラミックホルダ106と主体金具102の筒内部との間には、気密性を維持するためのパッキン109が配置されている。なお、主体金具102の後端部104は、加締リング112を介してセラミックスリーブ6を先端側に押し付けるように、加締められている。
【0040】
ここで、検出素子4の概略構造を表す斜視図を、図2に示す。
検出素子4は、軸線方向(図2における左右方向)に延びる板状形状に形成された素子部20と、同じく軸線方向に延びる板状形状に形成されたヒータ22とが積層されて、長方形状の軸断面を有する板状形状に形成されている。なお、空燃比センサ2として用いられる検出素子4は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略するが、その概略構成は以下のようである。
【0041】
まず、素子部20は、固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素濃淡電池素子と、同じく固体電解質基板の両側に多孔質電極を形成した酸素ポンプ素子と、これらの両素子の間に積層され、中空の測定ガス室を形成するためのスペーサとから構成される。この固体電解質基板は、イットリアを安定化剤として固溶させたジルコニアから形成され、多孔質電極は、Ptを主体に形成される。また、測定ガス室を形成するスペーサは、アルミナを主体に構成されており、中空の測定ガス室の内側には、酸素濃淡電池素子の一方の多孔質電極と、酸素ポンプ素子の一方の多孔質電極が露出するように配置されている。なお、測定ガス室は、素子部20の先端側に位置するように形成されており、この測定ガス室が形成される部分が検出部8に相当する。
【0042】
ついで、ヒータ22は、アルミナを主体とする絶縁基板の間に、Ptを主体とする発熱抵抗体パターンが挟み込まれて形成されている。
そして、素子部20とヒータ22とは、セラミック層(例えば、ジルコニア系セラミックやアルミナ系セラミック)を介して互いに接合される。
【0043】
このような検出素子4では、図2に示すように、第1板面21の後端側(図2における右側)に3個の電極端子部30,31,32が形成され、第2板面23の後端側に2個の電極端子部34,36が形成されている。電極端子部30,31,32は、素子部20に形成されるものであり、1つの電極端子部は、測定ガス室の内側に露出する酸素濃淡電池素子の一方の多孔質電極と酸素ポンプ素子の一方の多孔質電極と共用する形で電気的に接続される。また、電極端子部30,31,32のうち残りの2つの電極端子部は、酸素濃淡電池素子の他方の多孔質電極と酸素ポンプ素子の他方の多孔質電極と各々電気的に接続されている。また、電極端子部34,36は、ヒータ22に形成されるものであり、ヒータの厚さ方向に横切るビア(図示せず)を介して発熱抵抗体パターンの両端に各々接続されている。
【0044】
このように構成された検出素子4は、図1に示すように、先端側(図1における下方)の検出部8が排気管に固定される主体金具102の先端より突出すると共に、後端側の電極端子部30,31,32,34,36が主体金具102の後端より突出した状態で、主体金具102の内部に固定される。
【0045】
一方、図1に示すように、主体金具102の先端側(図1における下方)外周には、検出素子4の突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有する金属製の二重のプロテクタ42,43が、溶接等によって取り付けられている。
そして、主体金具102の後端側外周には、外筒44が固定されている。また、外筒44の後端側(図1における上方)の開口部には、検出素子4の各電極端子部30,31,32,34,36とそれぞれ電気的に接続される5本のリード線46が挿通されるリード線挿通孔61が形成されたセラミックセパレータ48とグロメット50とが配置されている。
【0046】
また、主体金具102の後端部104より突出された検出素子4の後端側(図1における上方)には、絶縁コンタクト部材82が配置される。尚、この絶縁コンタクト部材82は、検出素子4の後端側の表面に形成される電極端子部30,31,32,34,36の周囲に配置されている。
【0047】
ここで、絶縁コンタクト部材82について説明する。図3に、絶縁コンタクト部材82の構造を表す一部断面斜視図を示すと共に、図4に、図1における先端側(下側)から見たときの絶縁コンタクト部材82の外観図を示す。なお、図3に示す断面は、図4に示す絶縁コンタクト部材82におけるA−A視断面である。
【0048】
図3および図4に示すように、絶縁コンタクト部材82は、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔84を有する筒状形状に形成されている。そして、コンタクト挿通孔84のうち検出素子4の第1板面21(図示省略)に対向する内壁面には、内向きに突出する第1リブ部87が2カ所に形成されており、第1リブ部87は、3個のリードフレーム10をそれぞれ電気的に絶縁した状態で個別に配置するための3つの挿通孔内リードフレーム配置領域の境界を形成する挿通孔内リードフレーム境界部として備えられている。また、コンタクト挿通孔84のうち検出素子4の第2板面23(図示省略)に対向する内壁面には、内向きに突出する第2リブ部89が1カ所に形成されており、第2リブ部89は、2個のリードフレーム10をそれぞれ電気的に絶縁した状態で個別に配置するための2つの挿通孔内リードフレーム配置領域の境界を形成する挿通孔内リードフレーム境界部として備えられている。
【0049】
第1リブ部87および第2リブ部89は、隣接する挿通孔内リードフレーム配置領域にそれぞれ配置されるリードフレーム10どうしが接触するのを阻止する機能を有しており、隣接して配置されるリードフレーム10どうしが電気的に導通するのを阻止することにより、電流経路が不良となるのを防止できる。
【0050】
また、コンタクト挿通孔84は、先端側の開口部付近に先端側テーパ面86が形成されており、先端側テーパ面86は、先端側になるほど径方向寸法が大きくなる形状に形成されている。さらに、コンタクト挿通孔84は、後端側の開口部付近に後端側テーパ面88が形成されており、後端側テーパ面88は、後端側になるほど径方向寸法が大きくなる形状に形成されている。このように、先端側テーパ面86および後端側テーパ面88を備えることで、絶縁コンタクト部材82は、リードフレーム10を挿通する際に、コンタクト挿通孔84の開口端縁部分が破損するのを抑制することができる。
【0051】
また、絶縁コンタクト部材82の先端側の外側面には、外向きに突出して形成されるコンタクト鍔部90が形成されており、このコンタクト鍔部90は、後述する移動用外力を受けるための外力受け部として備えられている。
次に、セラミックスリーブ6について説明する。図5に、セラミックスリーブ6の外観を表した斜視図を示す、
セラミックスリーブ6は、絶縁性材料で構成されており、図1および図5に示すように、軸線方向に延びる筒状の本体部58と、本体部58の後端側(図における上方)に位置する突出部52と、本体部58と突出部52との間に配置される最も外径が大きい径大部51と、を備えて形成されると共に、検出素子4を挿通するための素子挿通孔54が、中心軸部分の先端側から後端側にかけて貫通して形成されている。
【0052】
また、セラミックスリーブ6の後端面(図における上端面)、すなわち、突出部52の後端面には、軸線方向(図1および図5における上下方向)に高低差を有する凹凸形状に形成された後端面段差部55が形成されている。後端面段差部55は、3個の後端側凸状部56と、後端側凸状部56よりも先端側方向に窪んだ形状の5個の後端側凹状部57とから形成されている。
【0053】
後端側凸状部56は、後端側凹状部57に配置されるリードフレーム10の移動範囲を制限すると共に、後端側凹状部57に配置される複数のリードフレーム10どうしが接触するのを阻止するリードフレーム境界部(仕切り部)として機能している。つまり、後端側凸状部56を有するセラミックスリーブ6は、センサの組立作業時にリードフレーム10が不適切な位置に移動するのを防止すると共に、隣接して配置されるリードフレーム10どうしが電気的に導通するのを阻止することにより、電流経路が不良となるのを防止することができる。
【0054】
次に、リードフレーム10について説明する。リードフレーム10の外観を表す斜視図を図8に示す。
リードフレーム10は、図8に示すように、長尺状の板状部材からなるフレーム本体12と、フレーム本体12の先端側(図における下側)が後端側(図における上側)に向けて折り曲げられて形成された折曲部14と、フレーム本体12の軸線方向中央部よりも先端側に形成された波状部分16と、を備える。また、リードフレーム10は、例えば、高温に繰り返し晒されても、弾性(バネ弾性)を維持可能な周知のインコネルやステンレス鋼等にて形成されている。
【0055】
波状部分16は、波形形状に形成されており、検出素子4と絶縁コンタクト部材82(詳細には、コンタクト挿通孔84の内壁面)との間で挟持されることで、波状形状の振幅方向に圧縮変形するように構成されている。
また、リードフレーム10は、フレーム本体12の後端部(図における上端部)に、フレーム本体12よりも幅広に形成されたリード線接続部17を一体に備えている。このリード線接続部17は、曲げ加工により筒状形状に形成された後、リード線46(図示省略)の芯線が内部に挿通された状態で内向きに加締められることで、リード線46と電気的に接続される。
【0056】
さらに、リードフレーム10は、波状部分16の後端部分からリード線接続部17間でのリード部寸法H2が、絶縁コンタクト部材82の軸方向寸法H1(図3参照)よりも長い寸法に設定されている。
次に、セラミックセパレータ48について説明する。図6に、セラミックセパレータ48の斜視図および一部断面斜視図を示す。なお、図6では、セラミックセパレータ48の外観を表す斜視図を左側に示し、その斜視図に示すセラミックセパレータ48におけるB−B視断面を表した一部断面斜視図を右側に示す。
【0057】
セラミックセパレータ48は、筒状形状のセパレータ本体部49と、セパレータ本体部49の外周側面から外向きに延設されるセパレータフランジ部62と、を備えて構成されている。セパレータ本体部49は、後端面(図における上端面)から先端側に向けて貫通するリード線挿通孔61を5箇所に備えている。セパレータフランジ部62は、セパレータ本体部49の外周側面のうち、軸線方向の中央位置よりも後端側において全周にわたり形成されると共に、自身の先端面が、先端側にむかうほど径方向寸法が縮小される形状のテーパ面として形成されている。
【0058】
このセラミックセパレータ48は、複数のリード線46をそれぞれ異なるリード線挿通孔61に挿通することで、リード線46をそれぞれ絶縁した状態で配置するために備えられている。
次に、空燃比センサ2の製造方法について、図10および図11を用いて説明する。図10および図11は、中間組立部品105の組み立て工程から、リードフレーム10や絶縁コンタクト部材82などの他の部材を組み付けて空燃比センサ2を完成させるまでの組み付け工程における各段階の状態を示す説明図である。なお、図10には、空燃比センサ2を製造する際の組み付け工程のうち、第1段階から第4段階までの状態を表し、図11には、第5段階から第8段階までの状態を表す。
【0059】
まず、第1段階では、前述した検出素子4を含んで構成される中間組立部品105の組み立て作業と、リードフレーム10とリード線46との接続作業を行う。
中間組立部品105は、以下の方法によって組み立てることが出来る。まず、検出素子4の径方向周囲の所定位置に、セラミックホルダ106、粉末充填層108となる滑石リング、補助スリーブ110、セラミックスリーブ6をこの順に配置させた素子ユニットを形成する。なお、セラミックホルダ106等を検出素子4の所定位置に配置させるにあたっては、検出素子4の先端側の検出部8の周囲を覆うようにして形成される電極保護層(図示せず)を剥離させないように、検出素子4の後端側から挿入するようにしている。
【0060】
ついで、上記のようにして得られた素子ユニットに対して、内部にパッキン109が配置された主体金具102を組み付け、滑石リングが圧縮充填されるようにセラミックスリーブ6に対して主体金具102の先端側に向かって所定の圧力を加える。その後、加締リング112を主体金具102の筒内部に配置させ、主体金具102の後端部104を加締め加工する。これにより、滑石リングが粉末充填層108となり、この粉末充填層108によって検出素子4の径方向周囲の気密性が確保されると共に、検出素子4が主体金具102に保持されることになる。なお、検出素子4は、自身の先端側と後端側が主体金具102の筒内部から突出した状態で、主体金具102に保持される構成となっている。そして、検出素子4を保持した状態の主体金具102の先端側にプロテクタ42,43を適宜組み付けることによって、中間組立部品105を得ることが出来る。図7に、検出素子4の後端側を主体金具102の後端部104およびセラミックスリーブ6の後端部から突出させた状態にある中間組立部品105を斜視図にて示す。
【0061】
リードフレーム10とリード線46との接続作業は、まず、リードフレーム10を絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84に挿通しておき、また、リード線46をセラミックセパレータ48(詳細には、リード線挿通孔61)とグロメット50に挿通した状態とする。その後、リード線46をリードフレーム10のリード線接続部17に加締め固定することで、リード線46が加締め接続された状態のリードフレーム10を作製することができる。
【0062】
このあと、外筒44において内向きに突出する形態で形成された外筒側支持部64と、セラミックセパレータ48のセパレータフランジ部62とが当接するように、外筒44に対してセラミックセパレータ48を配置する。
次の第2段階では、中間組立部品105(詳細には、検出素子4)に対して、電極端子部30,31,32,34,36と波状部分16とが接触するように、検出素子4の第1板面21および第2板面23にリードフレーム10を配置する作業を行う。このとき、リードフレーム10は、波状部分16の先端側に位置する折曲部14がセラミックスリーブ6の後端側凹状部57に配置されることで位置決めされる。
【0063】
続く第3段階では、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側を取り囲むように配置される絶縁コンタクト部材82のコンタクト鍔部90に対して、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側部分を把持した状態で、先端側方向に向かう移動用外力を印加する。この移動用外力の印加により、検出素子4と絶縁コンタクト部材82との間で波状部分16を弾性変形させつつ、絶縁コンタクト部材82を波状部分16の周囲まで移動させる作業を行う。この結果、リードフレーム10の波状部分16(接触部)を介して検出素子4が絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84の内部に固定されると共に、リードフレーム10と検出素子4の電極端子部30,31,32,34,36とが電気的に接続される。
【0064】
なお、図10では、リード線接続部17が外筒44の内部に配置された状態が図示されているが、リード線46に対するセラミックセパレータ48およびグロメット50の位置を移動させると共に、外筒44をリードフレーム10から遠ざけることで、リードフレーム10の一部を把持することが容易となる。
【0065】
また、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側部分を把持することに代えて、リード線46を把持することにより、リードフレーム10が移動するのを制限してもよい。これにより、リードフレーム10が外筒44の内部に配置される場合であっても、移動用外力の印加による絶縁コンタクト部材82の移動に伴って、リードフレーム10が移動するのを防ぐことができる。
【0066】
次に、第4段階では、外筒44を主体金具102に対して組み付ける作業を行う。このとき、セラミックセパレータ48およびグロメット50は、外筒44の外部に配置される。
続く第5段階では、外筒44の外筒側支持部64と、セラミックセパレータ48のセパレータフランジ部62とが当接するように、セラミックセパレータ48を外筒44の内部に配置する作業を行う。また、次の第6段階では、グロメット50を外筒44の内部に配置する作業を行う。
【0067】
第7段階では、外筒44の先端部45を径方向内側に向けて加締めて、外筒44と主体金具102とを加締めにより一体に固定する作業を行い、続く第8段階では、外筒44のうちグロメット50の径方向周囲に位置する後端部66を径方向内側に向けて加締めて、グロメット50を加締めにより外筒44に固定した後、外筒44の先端部45と主体金具102との加締め部分(先端部45)に全周にわたりレーザ溶接する作業を行う。
【0068】
このような製造方法を実施することにより、空燃比センサ2の組み付け工程が終了する。
なお、本実施例においては、セラミックスリーブ6、補助スリーブ110、粉末充填層108、セラミックホルダ106および主体金具102が特許請求の範囲に記載の素子保持部材に相当し、リードフレーム10の波状部分16が接触部に相当し、セラミックスリーブ6の後端側凸状部56がリードフレーム境界部に相当し、セラミックスリーブ6の後端側凹状部57がリードフレーム配置領域に相当する。また、セラミックセパレータ48が特許請求の範囲に記載のセパレータに相当し、セラミックセパレータ48のリード線挿通孔61が経路部材挿通孔に相当し、セラミックセパレータ48のセパレータフランジ部62が外力受け部に相当し、リード線46が経路部材に相当し、リード線接続部17がリードフレームの接続部に相当している。
【0069】
さらに、上述した空燃比センサ2の組み付け工程のうち第1段階が特許請求の範囲に記載の第1工程に相当し、空燃比センサ2の組み付け工程のうち第2段階が特許請求の範囲に記載の第2工程に相当し、空燃比センサ2の組み付け工程のうち第3段階が特許請求の範囲に記載の第3工程に相当する。
【0070】
以上、説明したように、この空燃比センサ2の製造方法では、組み付け工程の第3段階(図10参照)において、絶縁コンタクト部材82に対して先端側方向に向かう移動用外力を印加して、絶縁コンタクト部材82をリードフレーム10の波状部分16の周囲まで移動させることで、検出素子4およびリードフレーム10の波状部分16を絶縁コンタクト部材82の挿通孔の内部に配置している。
【0071】
このような方法を採ることで、検出素子4を絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84に引き込む作業(従来の製造方法における作業)のように、検出素子4をリードフレーム10の接触部(波状部分16)で把持する必要が無くなる。つまり、検出素子4を持ち上げる必要がなくなることから、他の部材(セラミックスリーブ6、粉末充填層108、主体金具102など)が一体に組み付けられた検出素子4(換言すれば、質量の大きい中間組立部品105の一部を構成する検出素子4)についても、コンタクト挿通孔84の内部に配置させることが可能となる。
【0072】
また、図10に示す第3段階においては、リード線46を把持してリードフレーム10の移動範囲を制限することで、移動用外力の印加による絶縁コンタクト部材82の移動に際し、コンタクト挿通孔84の内面との摩擦力によりリードフレーム10が移動するのを防止している。これにより、第2段階にて設定(位置決め)されたリードフレーム10と検出素子4との相対位置を、絶縁コンタクト部材82の移動時にも一定に維持することができ、波状部分16と電極端子部30,31,32,34,36との電気的接続を良好に維持することができる。
【0073】
よって、本実施例に示すセンサの製造方法によれば、他部材(セラミックスリーブ6や主体金具102など)が組みつけられた状態の検出素子4に対しても、リードフレーム10および絶縁コンタクト部材82を容易に組みつけることができ、空燃比センサの製造効率の向上を図ることができる。
【0074】
また、本実施例においては、セラミックスリーブ6が、自身の後端側領域の一部に、リードフレームをそれぞれ電気的に絶縁した状態で個別に配置するための後端側凹状部57の境界を形成する後端側凸状部56を備えて構成されている。そして、空燃比センサ2の組み付け工程の第2段階(図10参照)において、リードフレーム10の折曲部14を後端側凹状部57に配置して、リードフレーム10の位置決めを行っている。
【0075】
このように後端側凸状部56を有するセラミックスリーブ6を用いることで、第3段階において絶縁コンタクト部材82を移動させる際に、リードフレーム10が不適切な位置に移動することを確実に防止できる。これにより、リードフレーム10が不適切な位置に配置された状態(位置ズレ状態)で絶縁コンタクト部材82を強引に移動させることがなくなり、絶縁コンタクト部材82および検出素子4から受ける不適切な応力によって、リードフレーム10が破損(座屈)するのを防ぐことができる。また、後端側凸状部56を有するセラミックスリーブ6は、隣接して配置されるリードフレーム10どうしが電気的に導通するのを阻止でき、電流経路が不良となるのを防止することができる。
【0076】
また、セラミックスリーブ6は、検出素子4における電極端子部30,31,32,34,36の形成位置に応じて、リードフレーム10の波状部分16と電極端子部30,31,32,34,36とが電気的に接続されるように、後端側凹状部57の形成位置が設定されている。
【0077】
これにより、第2工程において、リードフレーム10の折曲部14を後端側凹状部57に配置することで、リードフレーム10(波状部分16)と電極端子部30,31,32,34,36との電気的接続を容易に実現でき、リードフレーム10の配置位置ミス(接続ミス)を防止することができる。また、検出素子4の電極端子部と同一個数の後端側凹状部57が形成されていることから、全ての後端側凹状部57に対してリードフレーム10を配置することで、リードフレーム10の配置忘れなどの作業ミスを防ぐことができる。
【0078】
また、絶縁コンタクト部材82は、自身の外側面に移動用外力を受けるためのコンタクト鍔部90を有しており、空燃比センサ2の組み付け工程の第3段階において、移動用外力をコンタクト鍔部90に対して印加することで、容易に絶縁コンタクト部材82を移動させることができる。これにより、第3工程において、検出素子4、リードフレーム10および絶縁コンタクト部材82を組みつける作業を容易に実行することができ、組み付け作業の煩雑さを軽減できる。
【0079】
さらに、本実施例のセンサ製造方法においては、リードフレームとして、リード部寸法H2が絶縁コンタクト部材82の軸方向寸法H1よりも長く形成されたリードフレーム10を用いている。このリードフレーム10を用いることで、第3工程において、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側を取り囲むように絶縁コンタクト部材82を配置した際に、リードフレーム10の少なくとも一部が絶縁コンタクト部材82よりも後端側に突出した状態で配置されることになる。これにより、特殊な形状の把持用治具を用いることなく、容易に、リードフレーム10を把持することができ、リードフレーム10が移動するのを防ぐことができる。
【0080】
次に、上記実施例では、第2段階において、リード線46が接続された状態のリードフレーム10を、検出素子4の第1板面21および第2板面23に配置しており、リードフレーム10とリード線46との接続作業を、検出素子4とリードフレーム10との組み付け作業よりも前の段階で実施している。
【0081】
これにより、検出素子に組み付けられた状態のリードフレーム10に対してリード線46を固定する場合に比べて、1個のリードフレームあたりの作業領域を大きく確保することができ、リードフレーム10とリード線46との接続作業(本実施例では、加締め作業)を容易に実行することができる。よって、本実施例においては、リードフレーム10とリード線46との接続作業の煩雑さを解消することができ、センサ製造作業における作業効率の向上を図ることができる。
【0082】
また、リードフレーム10とリード線46とは加締めにより接続されており、リードフレーム10とリード線46との接続強度が充分に高いことから、第3段階において、リードフレーム10を把持する代わりにリード線46を把持することで、リードフレーム10の移動範囲を制限することができる。これにより、第3段階において、リードフレーム10を直接把持する必要がなくなり、第3段階の作業の煩雑さを軽減することができる。
【0083】
次に、本発明の第2実施例として、上記実施例(以下、第1実施例という)の全領域空燃比センサ2に対して、セラミックセパレータ48に代えて第2セラミックセパレータ120を備えると共に、セパレータ保持金具130を備えて構成される第2全領域空燃比センサ5(以下、第2空燃比センサ5ともいう)について説明する。後述する図14のうち第8段階を示す説明図として、第2空燃比センサ5の全体構成を表した断面斜視図を示す。
【0084】
なお、第2空燃比センサ5は、上述の全領域空燃比センサ2と比べて、第2セラミックセパレータ120およびセパレータ保持金具130以外の部材については、共通の部材を用いて構成されていることから、空燃比センサ2との相違点を中心に説明する。
【0085】
第2セラミックセパレータ120の一部断面斜視図を図9に示す。
図9に示すように、第2セラミックセパレータ120は、筒状形状の第2セパレータ本体部121と、第2セパレータ本体部121の外周側面から外向きに延設される第2セパレータフランジ部122と、を備えて構成されている。
【0086】
第2セパレータ本体部121は、第1実施例におけるセラミックセパレータ48のセパレータ本体部49と同様の形状であり、後端面(図における上端面)から先端側に向けて貫通する第2リード線挿通孔124を5箇所に備えている。
第2セパレータフランジ部122は、第1実施例におけるセパレータフランジ部62とは異なる形状であり、後端面が、後端側にむかうほど径方向寸法が縮小される形状のテーパ面として形成されている。また、第2セパレータ本体部121の外周側面における第2セパレータフランジ部122の形成位置は、外周側面の軸線方向における略中央位置であり、第1実施例のセパレータ本体部49の外周側面におけるセパレータフランジ部62の形成位置に比べて、先端側に近い位置に設定されている。
【0087】
次に、第2空燃比センサ5の製造方法について、図13および図14を用いて説明する。図13および図14は、前述した中間組立部品105の組み立て工程から、リードフレーム10や絶縁コンタクト部材82などの他の部材を組み付けて第2空燃比センサ5を完成させるまでの組み付け工程における各段階の状態を示す説明図である。なお、図13には、第2空燃比センサ5を製造する際の組み付け工程のうち、第1段階から第4段階までの状態を表し、図14には、第5段階から第8段階までの状態を表す。
【0088】
なお、セパレータ保持金具130は、金属材料からなる筒状形状の部材であり、図13および図14に示すように、第2セラミックセパレータ120のうち第2セパレータフランジ部122よりも先端側部分を内部に収容可能な内径寸法で形成されている。また、セパレータ保持金具130の外径寸法は、外筒44のうち第2セラミックセパレータ120が配置される部分の内径寸法よりも、小さく形成されている。
【0089】
まず、第2空燃比センサ5を完成させるまでの組み付け工程における第1段階では、前述した検出素子4を含んで構成される中間組立部品105の組み立て作業と、リードフレーム10とリード線46との接続作業を行う。なお、中間組立部品105の組み立て作業の内容は、前述の第1実施例と同様である。
【0090】
リードフレーム10とリード線46との接続作業は、まず、リードフレーム10を絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84に挿通しておき、また、リード線46をセパレータ保持金具130が組み付けられた第2セラミックセパレータ120(詳細には、第2リード線挿通孔124)、外筒44およびグロメット50に挿通した状態とする。その後、リード線46をリードフレーム10のリード線接続部17に加締め固定することで、リード線46が加締め接続された状態のリードフレーム10を作製することができる。
【0091】
次の第2段階では、中間組立部品105(詳細には、検出素子4)に対して、電極端子部30,31,32,34,36と波状部分16とを電気的に接続させる状態で、検出素子4の第1板面21および第2板面23にリードフレーム10を配置する作業を行う。このとき、リードフレーム10は、折曲部14がセラミックスリーブ6の後端側凹状部57に配置されることで位置決めされる。
【0092】
続く第3段階では、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側を取り囲むように配置される絶縁コンタクト部材82のコンタクト鍔部90に対して、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側部分を把持した状態で、先端側方向に向かう移動用外力を印加する。この移動用外力の印加により、検出素子4と絶縁コンタクト部材82との間で波状部分16を弾性変形させつつ、絶縁コンタクト部材82を波状部分16の周囲まで移動させる作業を行う。この結果、リードフレーム10の波状部分16(接触部)を介して検出素子4が絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84の内部に固定されると共に、リードフレーム10と検出素子4の電極端子部30,31,32,34,36とが電気的に接続される。
【0093】
なお、図13では、リード線接続部17が外筒44の内部に配置された状態が図示されているが、リード線46に対する第2セラミックセパレータ120およびグロメット50の位置を移動させると共に、外筒44をリードフレーム10から遠ざけることで、リードフレーム10の一部を把持することが容易となる。
【0094】
また、リードフレーム10のうち波状部分16よりも後端側部分を把持することに代えて、リード線46を把持することにより、リードフレーム10が移動するのを制限してもよい。これにより、リードフレーム10が外筒44の内部に配置される場合であっても、移動用外力の印加による絶縁コンタクト部材82の移動に伴って、リードフレーム10が移動するのを防ぐことができる。
【0095】
次に、第4段階では、外筒44を主体金具102に対して組み付ける作業を行う。このとき、第2セラミックセパレータ120の第2セパレータフランジ部122の後端面(図における上側面)が、外筒44の外筒側支持部64と当接する状態で、第2セラミックセパレータ120およびセパレータ保持金具130が、外筒44の内部に配置される。なお、グロメット50は、外筒44の外部に配置される。
【0096】
次の第5段階では、グロメット50を外筒44の内部に配置する作業を行い、次の第6段階では、外筒44の先端部45を径方向内側に向けて加締めて、外筒44と主体金具102とを加締めにより一体に固定する作業を行う。
続く第7段階では、外筒44のうちセパレータ保持金具130が配置される保持金具固定部67を径方向内側に向けて加締めて形成し、セパレータ保持金具130を加締めにより外筒44に固定する作業を行う。これにより、第2セラミックセパレータ120の第2セパレータフランジ部122が、外筒側支持部64とセパレータ保持金具130との間に固定され、外筒44の内部での軸線方向における第2セラミックセパレータ120の配置位置が決定される。
【0097】
次の第8段階では、外筒44のうちグロメット50の径方向周囲に位置する後端部66を径方向内側に向けて加締めて、グロメット50を加締めにより外筒44に固定した後、外筒44の先端部45と主体金具102との加締め部分(先端部45)に全周にわたりレーザ溶接する作業を行う。
【0098】
このような製造方法を実施することにより、第2空燃比センサ5の組み付け工程が終了する。
なお、第2実施例においては、第2セラミックセパレータ120が特許請求の範囲に記載のセパレータに相当し、第2セパレータフランジ部122が外力受け部に相当し、第2リード線挿通孔124が経路部材挿通孔に相当する。
【0099】
また、上述した第2空燃比センサ5の組み付け工程のうち第1段階が特許請求の範囲に記載の第1工程に相当し、第2空燃比センサ5の組み付け工程のうち第2段階が特許請求の範囲に記載の第2工程に相当し、第2空燃比センサ5の組み付け工程のうち第3段階が特許請求の範囲に記載の第3工程に相当する。
【0100】
以上、説明したように、第2空燃比センサ5の製造方法では、第1実施例の空燃比センサ2と同様の作用効果を得ることができ、他部材(セラミックスリーブ6や主体金具102など)が組みつけられた状態の検出素子4に対しても、リードフレーム10および絶縁コンタクト部材82を容易に組みつけることができ、空燃比センサの製造効率の向上を図ることができる。
【0101】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、セラミックセパレータ48または第2セラミックセパレータ120に代えて、複数のリード線を挿通するための挿通孔として、1つの開口部で形成される第3リード線挿通孔144を備える第3セラミックセパレータ140を用いてもよい。図12に、第3セラミックセパレータ140の斜視図および一部断面斜視図を示す。なお、図12では、第3セラミックセパレータ140の外観を表す斜視図を左側に示し、その斜視図に示す第3セラミックセパレータ140におけるC−C視断面を表した一部断面斜視図を右側に示す。
【0102】
第3セラミックセパレータ140は、筒状形状の第3セパレータ本体部141と、第3セパレータ本体部141の外周側面から外向きに延設される第3セパレータフランジ部142と、を備えて構成されている。第3セパレータ本体部141は、後端面(図における上端面)から先端側に向けて貫通する第3リード線挿通孔144を備えている。そして、第3リード線挿通孔144は、放射状に配置される5個のリード線配置部145と、リード線配置部145に連通する中心開口部146とを備えて構成されている。このような中心開口部146を有する第3セラミックセパレータ140は、センサ内部に基準ガスなどを導入する構造のセンサに対して適用することができる。
【0103】
次に、本発明方法は、検出素子がガラス封着により素子保持部材に固定される構成のガスセンサに対して適用することもできる。図15に、第2検出素子164がガラス封着により第3セラミックスリーブ161に固定される構成のガスセンサ160の全体構成を表す一部断面斜視図を示す。
【0104】
図15に示すガスセンサ160は、ガラス封止材163を用いたガラス封着により第2検出素子164が第3セラミックスリーブ161に対して固定され、第3セラミックスリーブ161が主体金具102に固定されて構成されている。
なお、第2検出素子164は、長尺形状に形成されており、後端側(図における上側)に4個の電極端子部(図示省略)を備え、先端側(図における下側)に検出部168を備えて構成されている。
【0105】
絶縁コンタクト部材82およびリードフレーム10が組み付けられた状態の第2検出素子164の構成を表す一部断面斜視図を、図16に示す。なお、図16では、第4セラミックセパレータ162およびリード線46についても図示している。
【0106】
次に、ガスセンサ160の製造方法について、簡単に説明する。
ガスセンサ160の組み付け工程における第1段階においては、第2検出素子164を含んで構成される第2中間組立部品169の組み立て作業と、リードフレーム10とリード線46との接続作業を行う。
【0107】
第2中間組立部品169の組み立て作業は、まず、第3セラミックスリーブ161の第3素子挿通孔170に第2検出素子164を挿通し、第3セラミックスリーブ161の封止剤配置部171にガラス封止材163を配置する作業を行う。そして、ガラス封止材163を溶融させるための高温熱処理を実施した後、常温まで冷却することでガラス封止材163を凝固させて、第2検出素子164を第3セラミックスリーブ161に封着固定させる。これにより、第2検出素子164、第3セラミックスリーブ161およびガラス封止材163からなる第2中間組立部品169の組み立て作業が終了する。
【0108】
リードフレーム10とリード線46との接続作業は、まず、リードフレーム10を絶縁コンタクト部材82のコンタクト挿通孔84に挿通しておき、また、リード線46を第4セラミックセパレータ162(詳細には、第4リード線挿通孔165)とグロメット50(図16では図示省略)に挿通した状態とする。その後、リード線46をリードフレーム10のリード線接続部17に加締め固定することで、リード線46が加締め接続された状態のリードフレーム10を作製することができる。
【0109】
次の第2段階では、第3セラミックスリーブ161が一体に組み付けられた状態の第2検出素子164(換言すれば、第2中間組立部品169)に対して、電極端子部とリードフレーム10とを電気的に接続させる状態で、第2検出素子164の第1板面および第2板面にリードフレーム10を配置する作業を行う。
【0110】
第3段階においては、第3セラミックスリーブ161が一体に組み付けられた状態の第2検出素子164(換言すれば、第2中間組立部品169)に対して、リード線46を把持しつつ、移動用外力を印加して絶縁コンタクト部材82を移動させる作業を行う。この結果、絶縁コンタクト部材82により、リードフレーム10が第2検出素子164に対して固定され、リードフレーム10と第2検出素子164の電極端子部とが電気的に接続される。
【0111】
このあと、第4セラミックセパレータ162の先端面(図16における下端面)を第3セラミックスリーブ161の後端面(図16における上端面)に当接させると共に、絶縁コンタクト部材82を第4セラミックセパレータ162(詳細には、コンタクト収容部167)の内部に収容する。
【0112】
続いて、主体金具102や第2外筒166を適宜組み付け、図15に示すように、第2外筒166の先端部173を径方向内向きに加締めることで、第2外筒166を主体金具102に対して加締め加工により一体に組み付ける。さらに、第2外筒166のグロメット50の径方向周囲に位置する後端め部172を径方向内向きに加締めて、グロメット50を第2外筒166に加締め固定した後、第2外筒166の先端部173と主体金具102との加締め部分(先端部173)に全周にわたりレーザ溶接する作業を行うことにより、ガスセンサ160が完成する。
【0113】
このガスセンサ160の製造方法によれば、上述した第1実施例および第2実施例と同様に、他部材(第3セラミックスリーブ161など)が組みつけられた状態の第2検出素子164に対しても、リードフレーム10および絶縁コンタクト部材82を容易に組みつけることができ、ガスセンサの製造効率の向上を図ることができる。
【0114】
また、このガスセンサ160においては、リードフレーム10を第2検出素子164の第1板面および第2板面に配置する第2工程よりも前に、第3セラミックスリーブ161を第2検出素子164に組み付ける第1工程を実行することから、第3セラミックスリーブ161を第2検出素子164に組み付けるにあたり、高温熱処理を伴うガラス封着処理を行うことができる。つまり、リードフレーム10が高温熱処理に伴い高温にさらされるのを避けることができるため、リードフレーム10の表面に酸化膜が形成されるのを防ぐことができる。これにより、酸化膜の除去作業を行う必要がなくなり、センサの製造作業における作業工数の増加を防ぐことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0115】
さらに、このガスセンサ160は、第4セラミックセパレータ162のコンタクト収容部167に、絶縁コンタクト部材82を収容する構成であることから、絶縁コンタクト部材82および第4セラミックセパレータ162が占有する領域の軸線方向長さを短縮することができ、センサの小型化を図ることが出来る。
【0116】
また、ガスセンサ160は、絶縁コンタクト部材82の径方向周囲が第4セラミックセパレータ162のコンタクト収容部167の内周面に取り囲まれる構成であることから、ガスセンサ160の振動に伴う絶縁コンタクト部材82の径方向への揺動を第4セラミックセパレータ162により抑制することが出来る。これにより、ガスセンサ160においては、絶縁コンタクト部材82の激しい揺動に起因する検出素子4の折損などを有効に防止することができる。
【0117】
なお、ガスセンサ160においては、第3セラミックスリーブ161およびガラス封止材163が特許請求の範囲に記載の素子保持部材に相当し、第4セラミックセパレータ162がセパレータに相当している。
次に、絶縁コンタクト部材のうち、移動用外力を受ける外力受け部は、絶縁コンタクト部材の外側面から外向きに突出するフランジ形状に限られることはなく、絶縁コンタクト部材の外側面に凹形状に形成された孔部あるいは溝部として備えてもよい。この場合には、凹形状の外力受け部に対して移動用外力を印加することで、絶縁コンタクト部材を移動させる。また、外力受け部は、絶縁コンタクト部材の外側面のうち、周方向全域に形成する場合に限られず、外側面における周方向の一部に形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】空燃比センサの全体構成を示す断面図である。
【図2】検出素子の概略構造を表す斜視図である。
【図3】絶縁コンタクト部材の構造を表す一部断面斜視図である。
【図4】先端側から見たときの絶縁コンタクト部材の外観図である。
【図5】セラミックスリーブの外観を表した斜視図である。
【図6】セラミックセパレータの斜視図および一部断面斜視図である。
【図7】検出素子および他部材が一体に組み付けられて構成される中間組立部品の斜視図である。
【図8】リードフレームの外観を表す斜視図である。
【図9】第2セラミックセパレータの一部断面斜視図である。
【図10】空燃比センサを製造する際の組み付け工程のうち、第1段階から第4段階までの状態を表す説明図である。
【図11】空燃比センサを製造する際の組み付け工程のうち、第5段階から第8段階までの状態を表す説明図である。
【図12】第3セラミックセパレータの外観を表す斜視図および一部断面斜視図である。
【図13】第2空燃比センサを製造する際の組み付け工程のうち、第1段階から第4段階までの状態を表す説明図である。
【図14】第2空燃比センサを製造する際の組み付け工程のうち、第5段階から第8段階までの状態を表す説明図である。
【図15】検出素子がガラス封着により素子保持部材に固定される構成のガスセンサの全体構成を表す一部断面斜視図である。
【図16】絶縁コンタクト部材およびリードフレームが組み付けられた状態の第2検出素子の構成を表す一部断面斜視図である。
【符号の説明】
2…全領域空燃比センサ、4…検出素子、5…第2全領域空燃比センサ、6…セラミックスリーブ、8…検出部、10…リードフレーム、16…波状部分、17…リード線接続部、30,31,32,34,36…電極端子部、46…リード線、48…セラミックセパレータ、54…素子挿通孔、55…後端面段差部、56…後端側凸状部、57…後端側凹状部、61…リード線挿通孔、62…セパレータフランジ部、82…絶縁コンタクト部材、90…コンタクト鍔部、102…主体金具、120…第2セラミックセパレータ、122…第2セパレータフランジ部、124…第2リード線挿通孔、140…第3セラミックセパレータ、142…第3セパレータフランジ部、144…第3リード線挿通孔、160…ガスセンサ、161…第3セラミックスリーブ、162…第4セラミックセパレータ、163…ガラス封止材、164…第2検出素子、165…第4リード線挿通孔、167…コンタクト収容部、170…第3素子挿通孔。
Claims (7)
- 軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象物に向けられる先端側に検出部が形成され、後端側の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面および第2板面に電極端子部が形成される検出素子と、
自身の後端から前記電極端子部が形成された後端側を突出させた状態で前記検出素子の径方向周囲を取り囲むと共に、前記検出素子を保持する素子保持部材と、
軸線方向に貫通する挿通孔を有し、該挿通孔の内壁面が前記検出素子のうち前記電極端子部が形成された後端側周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材と、
前記検出素子と前記絶縁コンタクト部材との間に挟持されて前記検出素子と前記絶縁コンタクト部材との間隔方向に弾性変形する接触部を有し、該接触部において前記電極端子部と電気的に接続されるリードフレームと、
を備えるセンサの製造方法であって、
前記検出素子の後端側を前記素子保持部材の後端から突出させた状態で、前記検出素子と前記素子保持部材とを一体に組みつける第1工程と、
前記素子保持部材が一体に組みつけられた前記検出素子に対して、前記電極端子部と前記接触部とが電気的に接続するように、前記第1板面および前記第2板面に前記リードフレームを配置して位置決めを行う第2工程と、
前記リードフレームのうち前記接触部よりも後端側を取り囲むように配置させた前記絶縁コンタクト部材に、前記リードフレームのうち前記接触部よりも後端側を把持させた状態で、先端側方向に向かう移動用外力を印加して、前記検出素子と前記絶縁コンタクト部材との間で前記接触部を弾性変形させつつ、前記絶縁コンタクト部材を前記接触部の周囲まで移動させ、前記接触部を介して前記絶縁コンタクト部材の前記挿通孔内に前記検出素子を保持させる第3工程と、
を有することを特徴とするセンサの製造方法。 - 前記リードフレームとして、前記接触部の後端から後端縁までの軸線方向における長さ寸法が、前記絶縁コンタクト部材の軸線方向における長さ寸法よりも長く形成されたリードフレームを用いること、
を特徴とする請求項1に記載のセンサの製造方法。 - 前記素子保持部材は、自身の後端側領域の一部に、前記リードフレームをそれぞれ電気的に絶縁した状態で個別に配置するためのリードフレーム配置領域の境界を形成するリードフレーム境界部を備えて構成されており、
前記第2工程において、前記リードフレームの先端部を前記リードフレーム配置領域に配置して、前記リードフレームの位置決めを行うこと、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサの製造方法。 - 前記絶縁コンタクト部材は、自身の外側面に、前記移動用外力を受けるための外力受け部を備えており、
前記第3工程において、前記外力受け部に前記移動用外力を印加して、前記絶縁コンタクト部材を移動させること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のセンサの製造方法。 - 前記第2工程において、前記リードフレームとして、外部に接続される経路部材が直接または他部材を介して間接に接続されたリードフレームを、前記検出素子の前記第1板面および前記第2板面に配置すること、
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のセンサの製造方法。 - 請求項5に記載のセンサの製造方法において、
前記リードフレームとして、前記経路部材を接続するための接続部が一体に備えられているリードフレームを用いること、
を特徴とするセンサの製造方法。 - 請求項5または請求項6に記載のセンサの製造方法において、
前記センサは、複数の前記経路部材をそれぞれ絶縁した状態で挿通するための経路部材挿通孔を有するセパレータを備え、該セパレータは、自身の先端側に前記絶縁コンタクト部材の少なくとも一部を収容するコンタクト収容部を備えており、
前記第3工程後において、前記絶縁コンタクト部材の後端側に配置されると共に、前記経路部材が前記経路部材挿通孔に挿通された状態の前記セパレータを、先端側方向に移動させ、前記絶縁コンタクト部材の少なくとも一部を、前記セパレータの前記コンタクト収容部の内部に収容させること、
を特徴とするセンサの製造方法。
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