JP2009109286A - 測定電極形成用のペースト、及びそれを用いて形成した測定電極を有するガスセンサ、並びにそのガスセンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】亀裂や固体電解質体からの剥離が生じにくいとともにガス透過性及びガス反応性に優れた測定電極形成用のペースト、及びそれを用いて形成した測定電極を有するガスセンサ、並びにそのガスセンサの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のガスセンサ1は、酸素イオン伝導性の固体電解質体21と、該固体電解質体21の一方の面に設けた測定電極22と、固体電解質体21の他方の面に形成した基準電極23とを有する。測定電極22は、少なくとも、溶剤と、バインダと、貴金属と、セラミックと、Rh23とを含有してなる測定電極22を形成するためのペーストを焼成してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ、及びそれに内蔵される測定電極を形成するためのペースト、並びにガスセンサの製造方法に関する。
例えば自動車等の内燃機関の排気系には、排ガス中の酸素や窒素酸化物等の特定ガスの濃度を測定するガスセンサが配設されている(例えば、特許文献1参照)。該ガスセンサは、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面に設けた測定電極と、上記固体電解質体の他方の面に形成した基準電極とを有する。
特許第3701114号公報
ところが、上記従来のガスセンサにおいては、以下のような問題がある。すなわち、上記ガスセンサにおける測定電極は、例えば、貴金属とRh(ロジウム)とからなる合金によって形成されている。そして、かかる測定電極を形成するためのペーストには、例えば、溶剤と、バインダと、セラミックと、貴金属と、金属状態のRhとが含有される。そして、このペーストを、固体電解質体を形成するためのグリーンシートに塗布した後に、これらを焼成することにより測定電極を形成する。
このとき、上記測定電極を形成する際における上記ペーストの焼成収縮前の段階において、Rhが酸化してRh23となる。このRh23は、金属状態のRhよりも体積が大きいため、上記ペーストは膨張することとなる。そして、このときの上記グリーンシートと上記ペーストとの膨張差により、上記測定電極に亀裂が生じるおそれがある。
また、上記グリーンシートと上記ペーストとは焼成収縮率も異なるため、上記測定電極が上記固体電解質体から剥離した状態で形成されるおそれがある。
さらに、金属状態のRhは高温雰囲気下において互いに凝集しやすいという性質がある。そして、このようにRhが凝集すると、測定電極内において、貴金属とRhとからなる合金が偏って分布することとなる。すなわち、測定電極内においてRhを充分に分散させた状態で配置することが困難となり、ひいてはガス透過性及びガス反応性に優れた測定電極を形成することが困難となるおそれがある。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、亀裂や固体電解質体からの剥離が生じにくい測定電極を形成するためのペースト、及びそれを用いて形成した測定電極を有するガスセンサ、並びにそのガスセンサの製造方法を提供しようとするものである。
第一の発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するためのガスセンサに内蔵され、酸素イオン伝導性の固体電解質体の一方の面において被測定ガスに曝される測定電極を形成するためのペーストであって、
少なくとも、溶剤と、バインダと、セラミックと、貴金属と、Rh23とを含有してなることを特徴とする測定電極形成用のペーストにある(請求項1)。
本発明の作用効果について説明する。
上記測定電極形成用のペーストは、少なくとも、溶剤と、バインダと、セラミックと、貴金属と、Rh23(酸化ロジウム)とを含有してなる。ここで、Rh23は酸化することがないため、酸化に起因してその体積が増加することもない。それゆえ、上記ペーストの焼成収縮前の段階において、該ペーストが膨張することを防ぐことができる。
また、上記ペーストがRh23を含有することにより、固体電解質体を形成するためのグリーンシートと上記ペーストとの焼成収縮率の差をも小さくすることができる。これにより、上記ペーストの焼成時における、該ペーストと上記グリーンシートとの剥離をも防ぐことができる。
その結果、上記ペーストの焼成に起因する、測定電極の亀裂や固体電解質体からの剥離を防ぐことができる。
また、Rh23は、Rh(ロジウム)と異なり高温雰囲気下においても互いに凝集しにくい。すなわち、上記ペーストの焼成時に、Rh23同士が凝集することを防ぐことができる。そのため、測定電極内において貴金属とRhとからなる合金を充分に分散させた状態で測定電極を形成することができる。その結果、ガス透過性及びガス反応性に優れた測定電極を得ることができる。
このように、本発明によれば、亀裂や固体電解質体からの剥離が生じにくいとともに、ガス透過性及びガス反応性に優れた測定電極形成用のペーストを提供することができる。
第二の発明は、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面に設けた測定電極と、上記固体電解質体の他方の面に形成した基準電極とを有するガスセンサであって、
上記測定電極は、請求項1〜4に記載の上記測定電極形成用のペーストを焼成してなることを特徴とするガスセンサにある(請求項5)。
本発明の作用効果について説明する。
本発明のガスセンサに内蔵される測定電極は、上記第一の発明(請求項1)に記載の測定電極形成用のペーストを用いて形成されている。それゆえ、第一の発明と同様、亀裂や固体電解質体からの剥離が生じにくい測定電極を有するガスセンサとすることができる。
また、本発明のガスセンサにおける測定電極は、Rh23を含有したペーストを焼成してなるため、第一の発明と同様、ガス透過性及びガス反応性に優れる測定電極を有するガスセンサとすることができる。
このように、本発明によれば、亀裂や固体電解質体からの剥離が生じにくいとともに、ガス透過性及びガス反応性に優れた測定電極を有するガスセンサを提供することができる。
第三の発明は、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面に設けた測定電極と、上記固体電解質体の他方の面に形成した基準電極とを有するガスセンサの製造方法であって、
上記固体電解質体形成用のグリーンシートに請求項1〜4に記載の上記測定電極形成用のペーストを塗布する塗布工程と、
上記測定電極形成用のペーストを焼成して上記測定電極を形成する焼成工程とを有することを特徴とするガスセンサの製造方法にある(請求項6)。
本発明の作用効果について説明する。
本発明のガスセンサの製造方法に用いられる測定電極形成用のペーストは、上記第一の発明(請求項1)に記載の測定電極形成用のペーストである。それゆえ、第一の発明と同様、亀裂や固体電解質体からの剥離が生じにくい測定電極を有するガスセンサを得ることができる。
また、本発明の製造方法は、上記測定電極形成用のペーストを塗布する上記塗布工程を有するため、ガス透過性及びガス反応性に優れる測定電極を有するガスセンサを得ることができる。
このように、本発明によれば、亀裂や固体電解質体からの剥離が生じにくいとともに、ガス透過性及びガス反応性に優れた測定電極を有するガスセンサの製造方法を提供することができる。
第一の発明(請求項1)、第二の発明(請求項5)、及び第三の発明(請求項6)において、上記ガスセンサとしては、例えば、自動車エンジン等の各種内燃機関の排気管に設置して、排ガス等の被測定ガス中の酸素濃度に応じた限界電流値によって空燃比を測定するA/Fセンサ、排気ガス中の酸素濃度を測定するO2センサ、また排気管に設置する三元触媒の劣化検知等に利用するNOx等の大気汚染物質濃度を調べるNOxセンサ等がある。
なお、本発明において、上記測定電極形成用のペーストには金属状態のRhが混入されていないことが好ましいが、金属状態のRhが混入されていても本発明は成立し得る。ただし、この場合には、Rh元素の量として金属状態のRhよりもRh23の方が多くなるように上記ペーストを構成することが好ましい。
また、上記溶剤としては、例えば、テルピネオール等を用いることができ、上記バインダとしては、例えば、エチルセルロースを主成分とした樹脂をテルピネオールに溶解したビヒクル等を用いることができ、上記セラミックとしては、例えば、ZrO2(ジルコニア)等を用いることができ、上記貴金属としては、例えば、Pt(白金)やPd(パラジウム)を用いることができる。
また、上記貴金属は、Ptであることが好ましい(請求項2)。
この場合には、ガス透過性及びガス反応性に優れた測定電極を形成することができる。
特にガスセンサがNOxセンサである場合には、NOxに活性なPt−Rh合金からなる測定電極を形成することができる。
また、上記Rh23は、上記PtにRhを担持させた後、該Rhを酸化させたものであることが好ましい(請求項3)。
かかる構成でも、亀裂や固体電解質体からの剥離が生じにくい測定電極を容易に得ることができる。
また、あらかじめ作製した上記Rh23を、上記溶剤と上記バインダと上記セラミックと上記貴金属との混合物に混入させてなることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記測定電極形成用のペーストの内部において、Rh23を均等に配置しやすくなるという利点がある。
また、第三の発明において、上記焼成工程は、上記測定電極形成用のペーストを1000℃以上の温度で焼成することが好ましい(請求項7)。
この場合には、Rh23をRhに分解することができ、貴金属とRhとからなる合金を容易に形成することができる。
(実施例1)
本発明の実施例に係るガスセンサについて、図1、図2を用いて説明する。
本例のガスセンサ1は、図1に示すごとく、酸素イオン伝導性の固体電解質体21と、該固体電解質体21の一方の面に設けた測定電極22と、固体電解質体21の他方の面に形成した基準電極23とを有する。
測定電極22は、少なくとも、溶剤と、バインダと、Pt(白金)と、セラミックと、Rh23とを含有してなる測定電極22を形成するためのペーストを焼成することにより形成されている。
また、本例において用いる該ペーストは、例えば、あらかじめ作製したRh23を、溶剤とバインダと貴金属とセラミックとの混合物に混入させて形成することができる。
本例のガスセンサ1について詳細に説明する。
本例のガスセンサ1としては、例えば、自動車エンジン等の各種内燃機関の排気管に設置して、排ガス等の被測定ガス中の酸素濃度に応じた限界電流値によって空燃比を測定するA/Fセンサ、排気ガス中の酸素濃度を測定するO2センサ、また排気管に設置する三元触媒の劣化検知等に利用するNOx等の大気汚染物質濃度を調べるNOxセンサ等がある。
ガスセンサ1は、上述したように、固体電解質体21と、測定電極22と、基準電極23とを有する。
また、図1に示すように、固体電解質体21における測定電極22を設けた側には、被測定ガスを導入するための多孔質拡散抵抗層31を介して緻密な遮蔽層32が積層されている。そして、固体電解質体21と多孔質拡散抵抗層31と遮蔽層32とに囲まれた状態で被測定ガス室310が形成されている。
被測定ガスは、多孔質拡散抵抗層31を介して被測定ガス室310に導入される。
また、固体電解質体21における基準電極23を設けた側には、図1に示すごとく、基準ガスである大気を導入するための基準ガス室330を形成するための基準ガス室形成層33が積層されている。さらに、基準ガス室形成層33には、表面にヒータ340をパターン印刷したヒータ基板34が積層されている。
本例のガスセンサ1に備えられる測定電極22の作製手順について説明する。
まず、固体電解質体21を形成するためのグリーンシートを作製する。該グリーンシートは、バインダやセラミック粉末等を混入して形成したスラリーを、例えば、ドクターブレード法等を用いてシート状に成形することにより作製することができる。
また、上記測定電極22を形成するためのペーストに混入するために、Rh23をあらかじめ作製しておく。
Rh23を作製するに当たっては、まず、Rh粉末を計量した後、磁性るつぼに入れる。
次いで、該磁性るつぼを箱型の電気炉内に設置した後、室温より徐々に昇温していき、700℃で3時間加熱保持する。これにより、Rh粉末を熱酸化処理することができる。そしてこれにより、当初計量したRh粉末よりも重量が15%程度増加したRh23粉末が形成される。
次いで、得られたRh23粉末を冷却した後、ボールミルにて48時間解砕を行った後、ふるいにかけて分級することにより凝集している大粒子を除去する。
以上の手順により、平均粒径が、例えば、2〜4μmのRh23を形成することができる。
次いで、上記の手順により作製したRh23粉末を用いて、測定電極22を形成するためのペーストを作製する。
まず、例えば、溶剤としてのテルピネオールと、バインダとしてのエチルセルロースを主成分とした樹脂をテルピネオールに溶解したビヒクルと、セラミックとしてのZrO2(ジルコニア)粉末と、貴金属としてのPt粉末との混合物に、Rh23粉末を混入する。このとき、上記ペーストには、金属状態のRhが含有されないよう構成することが好ましい。
次いで、各々の成分が均一に分散するように、上記ペーストを3本ロールミルにて混合することにより、本例における測定電極22を形成するためのペーストを作製することができる。
次いで、上記のようにして作製したペーストを、上記グリーンシートに塗布する。
次いで、上記グリーンシートに塗布した上記ペーストを焼成して測定電極22を形成する。なお、かかる焼成工程においては、上記ペーストを1000℃以上の温度で焼成する。
以上の手順により、測定電極22が形成される。
次に、上記のように焼成工程を1000℃以上の温度で行うことの理由について、図2を用いて説明する。なお、同図は、Rhを1000℃まで昇温したときの重量変化率の変化を示したものである。
同図からわかるように、金属状態のRhを1000℃まで昇温させると、600℃を超えるあたりからその重量が増加しはじめ、1000℃付近においては約21.9%の重量増加が生じている。これは、600℃を超えるあたりからRhが酸化してRh23となっていくためであると考えられる。そして、Rh23は金属状態のRhよりも重量が大きく、1000℃付近ではRhはそのほとんどがRh23となっていると考えられる。
なお、Rhの重量増加はほぼ1000℃で上げ止まり、焼成温度が1000℃以上となると、逆にRh23がRhに分解されていく。そして、さらに高温で焼成することにより、ペースト中に含まれている貴金属のPtと反応してPt−Rh合金が形成される。
このように、焼成温度を1000℃以上とすることで、Rh23をRhに容易に分解することができるとともに、Pt−Rh合金を容易に形成することができる。以上の理由により、本例においては、焼成工程の焼成温度を1000℃以上としている。
次に、本例の作用効果について説明する。
測定電極22を形成するためのペーストは、少なくとも、溶剤と、バインダと、セラミックと、Ptと、Rh23とを含有してなる。ここで、Rh23は酸化することがないため、酸化に起因してその体積が増加することもない。それゆえ、上記ペーストの焼成収縮前の段階において、該ペーストが膨張することを防ぐことができる。
また、上記ペーストがRh23を含有することにより、固体電解質体21を形成するためのグリーンシートと上記ペーストとの焼成収縮率の差を小さくすることができ、上記グリーンシートとの剥離をも防ぐことができる。
その結果、上記ペーストの焼成に起因する、測定電極22の亀裂や固体電解質体21からの剥離を防ぐことができる。
また、Rh23は、Rhとは異なり高温雰囲気下においても互いに凝集しにくい。すなわち、上記ペーストの焼成時に、Rh23同士が凝集することを防ぐことができる。そのため、測定電極22内において、PtとRhとからなる合金を充分に分散させた状態で測定電極22を形成することができる。その結果、ガス透過性及びガス反応性に優れた測定電極22を有するガスセンサ1とすることができる。
また、貴金属としてPtを用いているため、ガスセンサ1がNOxセンサである場合には、NOxに活性なPt−Rh合金からなる測定電極22を形成することができる。
また、測定電極22を形成するためのペーストには、あらかじめ作製したRh23を、溶剤とバインダとセラミックとPtとの混合物に混入させる。そのため、測定電極22を形成するためのペーストの内部において、Rh23を均等に配置しやすくなるという利点がある。
また、焼成温度が1000℃以上であるため、Rh23をRhに容易に分解することができ、Pt−Rh合金を容易に形成することができる。
このように、本例によれば、亀裂や固体電解質体からの剥離が生じにくいとともに、ガス透過性及びガス反応性に優れた測定電極を有するガスセンサを提供することができる。
(実施例2)
本例は、図3〜図8、表1に示すように、固体電解質体を形成するためのグリーンシートと種々の組成からなる測定電極形成用のペーストとについての、体積変化率と温度との関係を調べた例である。
すなわち、まず、固体電解質体を形成するためのグリーンシートを作製した。具体的には、該グリーンシートは、エタノールと2−ブタノールと酢酸イソペンチルとの混合物等からなる溶剤と、PVB(ポリビニルブチラール)等からなるバインダと、ZrO2(ジルコニア)等のセラミック材料と、BBP(ブチルベンジルフタレート)等からなる可塑剤とを含有させて形成した。
また、溶剤としてのテルピネオールと、バインダとしてのエチルセルロースを主成分とした樹脂をテルピネオールに溶解したビヒクルと、セラミックとしてのZrO2とからなる混合物をベースとして、以下のように構成したPtとRhとを混入して測定電極形成用のペーストを作製した。すなわち、Ptを核として外周に金属状態のRhを担持させてなるペーストを試料1、Ptと金属状態のRhとを混入してなるペーストを試料2、Ptを核として外周に担持させた金属状態のRhを酸化してなるペーストを試料3、Ptと金属状態のRhとRh23とを混入してなるペーストを試料4、及びPtとRh23とを混入してなるペーストを試料5として5種類の試料を作製した。
次いで、上記グリーンシート、及び上記試料1〜5をそれぞれ焼成した。
これらについての体積変化率(1000℃付近における膨張率、及び焼成収縮率)を測定した結果を図3〜図8に示す。
なお、図3は上記グリーンシートについての測定結果であり、図4は試料1についての測定結果であり、図5は試料2についての測定結果であり、図6は試料3についての測定結果であり、図7は試料4についての測定結果であり、図8は試料5についての測定結果である。
また、図3〜図8における各曲線L1は、上記グリーンシート又は上記ペーストの体積変化率と時間との関係を示したものであり、各曲線L2は、温度と時間との関係を示したものである。
すなわち、本例においては図3〜図8の各曲線L2に示されるように、すべての試料について、約2時間にて室温から1500℃まで昇温した後、約2時間1500℃に保ち、その後降温して約300℃となるようにして焼成した。そして、図4〜図8の各曲線L1からわかるように、1000〜1500℃となるまでの昇温中においては、上記グリーンシート及び試料1〜5は焼成収縮に起因して体積が急激に減少している。また、焼成収縮前の段階においては、試料1〜5は1000℃付近で膨張して体積が増加している。
また、図3〜図8における上記グリーンシート及び試料1〜5についての1000℃付近における膨張率の最高値と、焼成収縮に起因する収縮率とを表1に示す。
Figure 2009109286
図3〜図8、表1からわかるように、Rh23を含有してなるペーストからなる試料3〜5(図6〜図8)については、1000℃付近の膨張率を2.3%以下と充分に小さくすることができる。また、試料3〜5については、焼成収縮率を19.1%以上と、上記グリーンシートの焼成収縮率(21.6%)に充分に近づけることができることがわかる。すなわち、本発明の構成を有する試料3〜5については、亀裂や固体電解質体との剥離が生じにくい測定電極を形成するためのペーストとすることができることがわかる。
これに対して、本発明の構成を有していない試料1、2(図4、図5)については、1000℃付近の膨張率が4.3%と大き過ぎるか、若しくは焼成収縮率が15.4%と小さ過ぎるため、測定電極における亀裂や固体電解質体との剥離が生じやすくなってしまうおそれがある。
以上からわかるように、本発明を適用することにより、亀裂や固体電解質体との剥離が生じにくい測定電極形成用のペーストを得ることができる。
実施例1における、ガスセンサの軸方向に直交する方向の断面図。 Rhの重量変化と温度との関係を示す線図。 実施例2における、固体電解質体形成用のグリーンシートの体積変化率と温度と時間との関係を示す線図。 実施例2における、試料1の体積変化率と温度と時間との関係を示す線図。 実施例2における、試料2の体積変化率と温度と時間との関係を示す線図。 実施例2における、試料3の体積変化率と温度と時間との関係を示す線図。 実施例2における、試料4の体積変化率と温度と時間との関係を示す線図。 実施例2における、試料5の体積変化率と温度と時間との関係を示す線図。
符号の説明
1 ガスセンサ
21 固体電解質体
22 測定電極
23 基準電極

Claims (7)

  1. 被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するためのガスセンサに内蔵され、酸素イオン伝導性の固体電解質体の一方の面において被測定ガスに曝される測定電極を形成するためのペーストであって、
    少なくとも、溶剤と、バインダと、セラミックと、貴金属と、Rh23とを含有してなることを特徴とする測定電極形成用のペースト。
  2. 請求項1において、上記貴金属は、Ptであることを特徴とする測定電極形成用のペースト。
  3. 請求項2において、上記Rh23は、上記PtにRhを担持させた後、該Rhを酸化させたものであることを特徴とする測定電極形成用のペースト。
  4. 請求項1又は2において、あらかじめ作製した上記Rh23を、上記溶剤と上記バインダと上記セラミックと上記貴金属との混合物に混入させてなることを特徴とする測定電極形成用のペースト。
  5. 酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面に設けた測定電極と、上記固体電解質体の他方の面に形成した基準電極とを有するガスセンサであって、
    上記測定電極は、請求項1〜4に記載の上記測定電極形成用のペーストを焼成してなることを特徴とするガスセンサ。
  6. 酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面に設けた測定電極と、上記固体電解質体の他方の面に形成した基準電極とを有するガスセンサの製造方法であって、
    上記固体電解質体形成用のグリーンシートに、請求項1〜4に記載の上記測定電極形成用のペーストを塗布する塗布工程と、
    上記測定電極形成用のペーストを焼成して上記測定電極を形成する焼成工程とを有することを特徴とするガスセンサの製造方法。
  7. 請求項6において、上記焼成工程は、上記測定電極形成用のペーストを1000℃以上の温度で焼成することを特徴とするガスセンサの製造方法。
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