JP2009008435A - ガスセンサ素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子。ガスセンサ素子は、少なくともその表層部分に、アルミナを主成分とするアルミナ複合焼結体2を有する。アルミナ複合焼結体2は、アルミナ粒子21の粒界又は粒内に、アルミナ粒子21の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する分散粒子22が分散配置されている。
互いに隣合う分散粒子22の間の距離である粒子間距離Aは、その平均が4μm以下であって、標準偏差が1.8以下である。分散粒子22の粒径は、その平均が0.2μm以下であって、標準偏差が0.05以下である。
【選択図】図1
Description
そこで、ガスセンサ素子の活性を遅らせて、排気系の温度が上昇して排ガス中に水滴が存在しなくなるまで、ガスセンサ素子の温度を上げないようにすることによって、熱衝撃を回避するように制御する方法がある(特許文献1)。
該ガスセンサ素子は、少なくともその表層部分に、アルミナを主成分とするアルミナ複合焼結体の層を有し、
該アルミナ複合焼結体は、アルミナ粒子の粒界又は粒内に、該アルミナ粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する分散粒子が分散配置されており、
互いに隣合う上記分散粒子の間の距離である粒子間距離は、その平均が4μm以下であって、標準偏差が1.8以下であり、
上記分散粒子の粒径は、その平均が0.2μm以下であって、標準偏差が0.05以下であることを特徴とするガスセンサ素子にある(請求項1)。
上記ガスセンサ素子の上記アルミナ複合焼結体には、上記分散粒子が分散配置されている。そのため、ガスセンサ素子の少なくとも表層部分を構成する上記アルミナ複合焼結体の強度が向上し、ガスセンサ素子の耐熱衝撃性を向上させることができる。
また、上記分散粒子がアルミナ粒子と共に存在することにより、アルミナ粒子の粒成長を抑制し、アルミナ粒子の微細化を図ることができる。これにより、上記アルミナ複合焼結体の強度が向上する。
更に、分散粒子が分散配置されていることにより、アルミナ粒子の粒界において生じた亀裂が、分散粒子の存在している位置付近において偏向し或いは止まる。そのため、上記アルミナ複合焼結体において、大きな亀裂が入り難く、破壊靱性が向上し、強度が向上する。
また、分散粒子の粒径が大きすぎると、分散粒子を起点として、アルミナ複合焼結体に亀裂が入りやすくなるおそれがある(図8参照)。
その結果、アルミナ複合焼結体を少なくとも表層に有するガスセンサ素子は、その耐熱衝撃性を向上させることができ、表面への被水による素子割れを抑制することができる。
また、上記分散粒子の粒径の平均が0.2μmを超える場合や、その標準偏差が0.05を超える場合には、大きな分散粒子を起点として、アルミナ複合焼結体に亀裂が入りやすくなるおそれがあり、アルミナ複合焼結体の強度を充分に得ることが困難となるおそれがある。
即ち、上記アルミナ複合焼結体における任意の3つの断面を、反射電子検出器を備えた走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察する。このとき得られる各反射電子像の縦9μm×横12μmの長方形の領域における隣合う分散粒子の間の粒子間距離を全て測定し、3つの断面の反射電子像における全ての測定値の平均を取る。この値を粒子間距離の平均とする。
また、上記粒子間距離の全ての測定値の標準偏差を、上記粒子間距離の標準偏差とする。
即ち、上記と同様に、上記アルミナ複合焼結体における任意の3つの断面を、反射電子検出器を備えた走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察する。このとき得られる各反射電子像の縦9μm×横12μmの長方形の領域に存在する分散粒子の粒径を全て測定し、3つの断面における全ての粒径の平均を取る。この値を分散粒子の粒径の平均とする。
また、上記粒径の全ての測定値の標準偏差を、上記粒径の標準偏差とする。
なお、分散粒子の粒径は、反射電子像として観察される分散粒子の像の面積と同じ面積を有する円の直径とする。
この場合には、上記分散粒子の分散配置によって得られるアルミナ複合焼結体の強度向上効果を、より発揮させることができる。
この場合には、上記分散粒子の分散配置によって得られるアルミナ複合焼結体の強度向上効果を、より発揮させることができる。また、分散粒子を起点とするアルミナ複合焼結体における亀裂の発生をより効果的に防ぐことができる。
この場合には、上記アルミナ粒子の微細化によってアルミナ複合焼結体の強度を向上させることができる。
上記アルミナ粒子の平均粒径は、例えば、以下のように得ることができる。
すなわち、上記アルミナ複合焼結体における任意の3つの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察する。このとき得られる各SEM画像の縦9μm×横12μmの長方形の領域に存在するアルミナ粒子の粒径を全て測定し、3つの断面のSEM画像の粒径の平均を取る。この値を上記アルミナ粒子の平均粒径とする。
なお、アルミナ粒子の粒径は、SEMによって観察されるアルミナ粒子の像の面積と同じ面積を有する円の直径とする。
この場合には、上記アルミナ粒子の更なる微細化によってアルミナ複合焼結体の強度を一層向上させることができる。
この場合には、上記分散粒子の分散配置による効果を充分に得ることができる。
上記含有量が1重量%未満の場合には、上記分散粒子の分散配置による効果を得ることが困難となるおそれがある。一方、上記含有量が30重量%を超える場合には、これ以上含有量を増やしても上記分散粒子の添加によって得られる効果の向上は小さくなる。そして、アルミナ粒子の割合が減少する分、アルミナのもつ熱伝導性等の特性が低下するなどの不利益が生じるおそれがある。
この場合には、上記分散粒子の分散配置による効果をより確実に得ることができる。
この場合には、上記分散粒子の分散配置によるアルミナ複合焼結体の強度向上を効果的に図ることができる。
この場合には、形状的に強度が弱くなりやすい積層型のガスセンサ素子に、本発明を適用することにより、本発明の作用効果をより効果的に発揮することができる。
本発明の実施例にかかるガスセンサ素子につき、図1〜図3を用いて説明する。
本例のガスセンサ素子1は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子であって、少なくともその表層部分に、アルミナ(Al2O3)を主成分とするアルミナ複合焼結体2の層を有する。
図1に模式的に示すように、アルミナ複合焼結体2は、アルミナ粒子21の粒界又は粒内に、該アルミナ粒子21の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する分散粒子22が分散配置されている(図6、図7参照)。
互いに隣合う分散粒子22の間の距離である粒子間距離Aは、その平均が4μm以下であって、標準偏差が1.8以下である。
分散粒子22の粒径は、その平均が0.2μm以下であって、標準偏差が0.05以下である。
また、上記アルミナ粒子21の平均粒径は5μm以下であり、より好ましくは3μm以下である。
また、アルミナ複合焼結体2における分散粒子22の含有量は、1〜30重量%であり、より好ましくは5〜20重量%である。
また、分散粒子22はジルコニア(ZrO2)からなる。
即ち、ガスセンサ素子1は、ジルコニアを主成分とする固体電解質層11と、その一方の面と他方の面にそれぞれ形成された被測定ガス側電極121及び基準ガス側電極122とを有する。そして、固体電解質層11における基準ガス側電極122を設けた側の面には、基準ガス側電極122に面する基準ガス室161を形成するためのチャンバ層13が積層されている。そして、このチャンバ層13には、通電によって発熱する発熱体を有するヒータ14が形成されている。
また、多孔質拡散抵抗層152におけるスペーサ層151とは反対側の面に、遮蔽層153が積層されている。
また、多孔質拡散抵抗層152は、アルミナを主成分とする多孔質の焼結体であり、被測定ガスが拡散して透過できるよう構成されている。これにより、被測定ガス側電極121への被測定ガスの供給量を適切に調整して、正確な特定ガス(酸素等)の測定を行うことができるよう構成してある。
なお、ここで、「先端側」とは、ガスセンサ3において、排気管等に挿入する側をいい、その反対側を「後端側」という。
そして、ガスセンサ3は、内燃機関の排気管にその先端側を挿入した状態で、ハウジング31において固定される。
なお、上記の構成及び機能は、A/Fセンサについての例を示したが、本発明のガスセンサ素子は、これに限らず、例えば、O2センサ、NOxセンサ等に用いることができる。
すなわち、アルミナスラリーにジルコニア及び分散剤を添加して混合し、更にバインダ等の助剤を混合して、混合スラリーを作製する。ジルコニアを添加するに当っては、スラリー状にしたジルコニアスラリーをアルミナスラリーに添加することが好ましいが、粉末状のジルコニアをアルミナスラリーに添加してもよい。
更に、この未焼成体を、ガスセンサ素子1を構成する他のセラミック層の未焼成体と共に積層した未焼成積層体を得る。
次いで、この未焼成積層体を脱脂した後、焼成し、表面を研磨することにより、アルミナ複合焼結体2を含むガスセンサ素子1を得る。
上記ガスセンサ素子1のアルミナ複合焼結体2には、分散粒子22が分散配置されている。そのため、ガスセンサ素子1の少なくとも表層部分を構成するアルミナ複合焼結体2の強度が向上し、ガスセンサ素子1の耐熱衝撃性を向上させることができる。
また、分散粒子22がアルミナ粒子21と共に存在することにより、アルミナ粒子21の粒成長を抑制し、アルミナ粒子21の微細化を図ることができる。これにより、アルミナ複合焼結体2の強度が向上する。
更に、分散粒子22が分散配置されていることにより、アルミナ粒子21の粒界において生じた亀裂が、分散粒子22の存在している位置付近において偏向し或いは止まる。そのため、アルミナ複合焼結体2において、大きな亀裂が入り難く、破壊靱性が向上し、強度が向上する。
また、分散粒子22の粒径が大きすぎると、分散粒子22を起点として、アルミナ複合焼結体21に亀裂が入りやすくなるおそれがある(図8参照)。
その結果、アルミナ複合焼結体2を少なくとも表層に有するガスセンサ素子1は、その耐熱衝撃性を向上させることができ、表面への被水による素子割れを抑制することができる。
また、分散粒子22の粒径の平均を0.15μm以下とし、標準偏差を0.04以下とすることにより、分散粒子22の分散配置によって得られるアルミナ複合焼結体2の強度向上効果を、より発揮させることができる。また、分散粒子22を起点とするアルミナ複合焼結体2における亀裂の発生をより効果的に防ぐことができる。
また、ガスセンサ素子1は、アルミナ複合焼結体2の層を含む複数のセラミック層を積層してなる積層型のガスセンサ素子である。このように、形状的に強度が弱くなりやすい積層型のガスセンサ素子1に、本発明を適用することにより、本発明の作用効果をより効果的に発揮することができる。
本例は、表1、図4〜図9に示すごとく、分散粒子の分散状態や粒径、添加量、或いはアルミナ粒子の粒径を、種々変更したアルミナ複合焼結体を作製し、それらの強度を比較した例である。
すなわち、表1に示すごとく、本発明のガスセンサ素子におけるアルミナ複合焼結体を構成するアルミナ複合焼結体として試料1〜5を作製し、本発明の条件から外れるアルミナ複合焼結体として比較試料1〜8を作製し、分散粒子を添加しないアルミナ焼結体として比較試料9を作製した。
次いで、ドクターブレード法を用いて、混合スラリーをシート状に成形する。このシート成形体を複数成形すると共に積層して、アルミナ複合焼結体の未焼成体を作製する。
次いで、この未焼成体を所定の寸法に加工した後、脱脂、焼成することにより、アルミナ複合焼結体を得る。そして、その表面を研磨して、3点曲げ試験の試験片10を得る。
アルミナ焼結体(比較試料9)の作製方法も、上記混合スラリーにジルコニアを混合しない点を除いては、上記の方法に準ずる。
なお、各種のアルミナ複合焼結体を作製した後、各試料における、分散粒子の分散状態、即ち、互いに隣合う分散粒子の間の距離である粒子間距離の平均及び標準偏差、分散粒子の粒径の平均及び標準偏差を測定、算出した。
また、上記粒子間距離の全ての測定値の標準偏差を、上記粒子間距離Aの標準偏差とする。
即ち、上記と同様に、上記アルミナ複合焼結体における任意の3つの断面を、反射電子検出器を備えた走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察する。このとき得られる各反射電子像の縦9μm×横12μmの長方形の領域に存在する分散粒子の粒径を全て測定し、3つの断面の反射電子像の全ての粒径の平均を取る。この値を分散粒子の粒径の平均とする。
また、上記粒径の全ての測定値の標準偏差を、上記粒径の標準偏差とする。
なお、分散粒子の粒径は、反射電子像として観察される分散粒子の像の面積と同じ面積を有する円の直径とする。
すなわち、上記アルミナ複合焼結体における任意の3つの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察する。このとき得られる各SEM画像の縦9μm×横12μmの長方形の領域に存在するアルミナ粒子の粒径を全て測定し、3つの断面のSEM画像の全ての粒径の平均を取る。この値を上記アルミナ粒子の平均粒径とする。
。
なお、アルミナ粒子の粒径は、SEMにより観察されるアルミナ粒子の像の面積と同じ面積を有する円の直径とする。
即ち、まず、各試料を、図4に示すごとく、長さ36mm、幅4mm、高さ3mmの略直方体形状の試験片10となるように形状を整えた。また、シート成形体の積層方向が高さ方向となるようにした。
測定結果を、表1に示す。
更に、分散粒子の粒子間距離の平均が2μm以下、標準偏差が0.8以下を満たす試料1〜3については、3点曲げ強度が745MPa以上と特に大きくなっていることが分かる。
図6は、上記試料3のアルミナ複合焼結体のSEM写真である。この試料3は、ジルコニアをアルミナに添加する際に、スラリーの状態にしてから添加したものである。同図から分かるように、試料3においては、分散粒子が均等に分散していると共に、分散粒子の粒径のばらつきも小さい。
また、図9は、上記比較試料4のアルミナ複合焼結体のSEM写真である。同図から分かるように、この比較試料4においては、分散粒子の分散状態が、不均一となっており、分散粒子の存在しない領域が大きく存在している。
本例は、表2に示すごとく、上記実施例2において示した試料3と比較試料9とを用いて、熱衝撃試験を行った例である。
なお、本例においては、積層された複数のシート成形体の間に、ヒータを介在させることにより、ヒータを内蔵したアルミナ複合焼結体(アルミナ焼結体)を作製した。即ち、ひとつのシート成形体の表面に、白金ペーストによってヒータパターンを印刷し、このヒータパターンを覆うように、他のシート成形体を積層する。なお、各シート成形体については、実施例2において作製した試料3又は比較試料9のシート成形体と同じものをそれぞれ用いて、本例の試料3及び比較試料9の試験片を作製する。
各試料の試験片の外形は、長さ46mm、幅5mm、高さ1mmの略直方体形状である。
即ち、まず、ヒータによって、試験片を100℃から順に段階的に各設定温度に設定し、2分間保持する。この状態で、ヒータへの通電を切ると同時に試験片の先端部分(5mm程度)を水中に浸漬する。
火花が観察されない場合には、次の設定温度にまで試験片の温度を上げ、同様の操作を行う。
これを火花が観測されるまで、或いは、設定温度が1000℃となるまで繰り返し行う。
試験結果を表2に示す。表2において、○は、各設定温度における水没後のヒータ通電の際に火花の発生がなかったことを示し、×は、火花の発生があったことを示す。
これに対して、試料3については、設定温度1000℃になるまで熱衝撃試験を繰り返しても、火花の発生は見られなかった。即ち、大きな割れは生じなかったこととなる。
すると、比較試料9においては、表から裏まで貫通した割れが観察され、また、この割れとヒータ線との重なる部分が、火花が観測された部分と一致した。
以上の結果から、本発明の条件を満たす試料3の耐熱衝撃性は、比較試料9に比べて確実に向上していることが確かめられた。
2 アルミナ複合焼結体
21 アルミナ粒子
22 分散粒子
3 ガスセンサ
Claims (9)
- 被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子であって、
該ガスセンサ素子は、少なくともその表層部分に、アルミナを主成分とするアルミナ複合焼結体の層を有し、
該アルミナ複合焼結体は、アルミナ粒子の粒界又は粒内に、該アルミナ粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する分散粒子が分散配置されており、
互いに隣合う上記分散粒子の間の距離である粒子間距離は、その平均が4μm以下であって、標準偏差が1.8以下であり、
上記分散粒子の粒径は、その平均が0.2μm以下であって、標準偏差が0.05以下であることを特徴とするガスセンサ素子。 - 請求項1において、上記粒子間距離は、その平均が2μm以下であって、標準偏差が0.8以下であることを特徴とするガスセンサ素子。
- 請求項1又は2において、上記分散粒子の粒径は、その平均が0.15μm以下であって、標準偏差が0.04以下であることを特徴とするガスセンサ素子。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記アルミナ粒子の平均粒径は5μm以下であることを特徴とするガスセンサ素子。
- 請求項4において、上記アルミナ粒子の平均粒径は3μm以下であることを特徴とするガスセンサ素子。
- 請求項1〜5のいずれか一項において、上記アルミナ複合焼結体における上記分散粒子の含有量は、1〜30重量%であることを特徴とするガスセンサ素子。
- 請求項6において、上記アルミナ複合焼結体における上記分散粒子の含有量は、5〜20重量%であることを特徴とするガスセンサ素子。
- 請求項1〜7のいずれか一項において、上記分散粒子はジルコニアからなることを特徴とするガスセンサ素子。
- 請求項1〜8のいずれか一項において、上記アルミナ複合焼結体の層を含む複数のセラミック層を積層してなる積層型のガスセンサ素子であることを特徴とするガスセンサ素子。
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