JP4681519B2 - 多孔質シート製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、センサ素子に備えられる多孔質シートの製造方法に関する。
従来より、センサ素子に備えられる多孔質シート(ポーラスシート)が知られており、多孔質シートは、センサ素子を構成する他部材(検知電極など)を保護する用途などに用いられる。
そして、センサ素子に備えられる多孔質シート(ポーラスシート)の製造方法としては、骨格材料粉末と介挿体と焼結助剤とを混合する混合工程と、混合工程で得られる混合物を焼成し、介挿体を消失させると共に骨格材料粉末を焼結させることで多孔質シートを生成する焼成工程と、を有する多孔質シート製造方法が知られている(特許文献1、2参照)。なお、骨格材料粉末は、焼成により焼結して骨格材料となるものであり、介挿体は、焼成により昇華または燃焼消失するものであり、焼結助剤は、骨格材料粉末の焼結を促進させるものである。
つまり、焼成工程において介挿体が昇華または燃焼消失することで気孔部が形成されるとともに、骨格材料粉末が焼結して骨格材料が形成されることで、多孔質シート(ポーラスシート)を得ることができる。なお、骨格材料粉末の具体例としては、アルミナやジルコニアなどがあり、介挿体の具体例としては、カーボン、テオブロミン、アクリル樹脂などがある。
ところで、多孔質シートの気孔率を高くするために介挿体の使用量が多くなると、介挿体の存在によって骨格材料粉末どうしの接触部分(接触面積)が小さくなり、骨格材料粉末どうしの結合力(焼結駆動力)が低下してしまう。そして、焼成時において骨格材料粉末どうしの焼結が不十分であると、骨格構造の形成が不可能となり、均一な多孔質構造を形成することができず、局所的なクラックが発生し、多孔質シートを得ることができないことがある。
このような問題を解消するために、上記従来の多孔質シート製造方法では、介挿体と骨格材料粉末との混合物に対して、さらに焼結助剤を混合している。
つまり、焼結助剤を混合することにより、骨格材料粉末どうしの焼結を促進させることができ、これにより、焼成時において骨格材料粉末どうしの焼結が良好となり、骨格構造が良好に形成されるため、多孔質シートを得ることができる。
特開平03−261676号公報 特開2002−071629号公報
しかし、上記従来の製造方法においては、骨格材料粉末どうしの焼結駆動力を増大させるために焼結助剤の使用量が増大すると、当該製造方法で得られる多孔質シートに含まれる焼結助剤の成分が、センサ素子を構成する他部材に悪影響を及ぼすおそれがある。
つまり、センサ素子に備えられる構成部材のうち多孔質シートに近接して備えられる構成部材に対して、多孔質シートに含まれる焼結助剤の成分が焼成中に拡散により移動すると、焼結助剤の成分によって構成部材の変質などが生じて、センサ素子が劣化することがある。
例えば、近接する構成部材として、固体電解質体からなる構成部材が存在する場合には、焼結助剤の成分の影響により固体電解質体の内部抵抗値が増大し、固体電解質としての機能が低下することがある。また、近接する構成部材としてヒータ部材が存在する場合には、焼結助剤の成分の影響によりヒータ部材にマイグレーションが生じ、基板の強度低下、さらにはクラックが生じるおそれがある。
なお、焼結助剤の使用量を低減することで、近接する構成部材の変質を抑制することは可能であるが、焼結助剤の使用量が低減することに伴い、焼成時における骨格材料粉末どうしの焼結駆動力が低下してしまい、骨格構造の形成が不可能となり、均一な多孔質シートを形成することができず、局所的なクラックが発生し、多孔質シートを得られなくなる虞がある。
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、焼結助剤を使用する多孔質シート製造方法において、焼成時における骨格材料粉末どうしの焼結が良好となるとともに、当該製造方法で得られる多孔質シートが近接構成部材に悪影響を及ぼすのを抑制できる多孔質シート製造方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明方法は、センサ素子に備えられる多孔質シートの製造方法であって、焼成により焼結して骨格材料となる骨格材料粉末と、焼成により昇華または燃焼消失する介挿体とを混合する焼成前材料混合工程と、焼成前材料混合工程で得られる骨格材料粉末と介挿体との混合物を焼成して、介挿体を消失させると共に骨格材料粉末を焼結させることで多孔質シートを生成する焼成工程と、を有しており、焼成前材料混合工程で用いる介挿体は、骨格材料粉末の焼結を促進させる焼結助剤を含有しており、焼成前材料混合工程において、介挿体における焼結助剤の含有割合は、介挿体に対して0.06wt%〜0.60wt%の範囲内であり、介挿体は、カーボンであること、を特徴とする多孔質シート製造方法である。
この製造方法においては、骨格材料粉末に対して介挿体および焼結助剤を混合させるにあたり、介挿体および焼結助剤を個別に混合させるのではなく、焼結助剤を含有する介挿体を骨格材料粉末に混合している。
このため、骨格材料粉末と介挿体と焼結助剤との混合物における焼結助剤の存在箇所は、介挿体の近傍部分となり、介挿体の近傍部分における骨格材料粉末どうしの結合力(焼結駆動力)を焼結助剤によって増大できる。
これにより、骨格材料粉末どうしの結合駆動力が小さくなりやすい介挿体の近傍部分についても、焼結助剤により焼結駆動力が増大することで、骨格材料粉末どうしの結合が良好となり、多孔質シートとなる骨格構造の形成状態を良好にすることができる。
また、この製造方法においては、骨格材料粉末のうち結合駆動力の促進が必要な領域(介挿体の近傍部分)に対して焼結助剤を配置できることから、焼結助剤を効率よく使用することができるため、焼結助剤の使用量を抑えることができる。
このように焼結助剤の使用量を抑えることで、本製造方法により得られる多孔質シートにおける焼結助剤の含有量を低減でき、センサ素子において近接する構成部材への悪影響を抑えることができる。
よって、本発明方法によれば、焼結助剤を使用する多孔質シート製造方法において、焼成時における骨格材料粉末どうしの焼結が良好となるとともに、当該製造方法で得られる多孔質シートが近接構成部材に悪影響を及ぼすのを抑制できる多孔質シート製造方法を実現することができる。
また、本発明方法においては、焼成前材料混合工程において、介挿体における焼結助剤の含有割合は、介挿体に対して0.06wt%〜0.60wt%の範囲内となるように設定している。
つまり、介挿体に対する焼結助剤の含有割合を0.06wt%以上に設定することで、骨格材料粉末どうしの結合駆動力が小さくなりやすい介挿体の近傍部分についても、焼結助剤により焼結駆動力の増大をはかることができ、焼成時における骨格材料粉末どうしの焼結を良好にすることができる。
また、介挿体に対する焼結助剤の含有割合を0.60wt%以下に設定することで、本製造方法により得られる多孔質シートにおける焼結助剤の含有量を低減でき、センサ素子において近接する機能部材への悪影響を抑えることができる。
以下に、本発明を適用した実施形態を図面と共に説明する。
尚、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
なお、本実施形態では、ガスセンサの一種であって、自動車や各種内燃機関における各種制御(例えば、空燃比フィードバック制御など)に使用するために、測定対象ガス(排ガス)中の特定ガス(酸素)を検出する検出素子(センサ素子)が組み付けられるとともに、内燃機関の排気管に装着される酸素センサ2について説明する。
図1は、本発明方法を適用して製造した多孔質シート(多孔質保護層25)を有するセンサ素子4を備えて構成される酸素センサ2の全体構成を示す断面図である。
酸素センサ2は、排気管に固定するためのネジ部103が外表面に形成された筒状の主体金具102と、軸線方向(図中上下方向)に延びる板状形状をなすセンサ素子4と、センサ素子4の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ6と、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔84の内壁面がセンサ素子4の後端部の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材82と、センサ素子4と絶縁コンタクト部材82との間に配置される4個のリードフレーム10と、を備えている。
センサ素子4は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象となるガスに向けられる先端側(図中下方)に多孔質保護層25に覆われた検出部8が形成され、後端側(図中上方)の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面21および第2板面23に電極端子部30,32,34,36が形成されている。
なお、電極端子部30は検知側センサ電極パッド30として備えられ、電極端子部32は基準側センサ電極パッド32として備えられ、電極端子部34,36はヒータ電極パッド34,36として備えられている。
リードフレーム10は、センサ素子4と絶縁コンタクト部材82との間に配置されることで、センサ素子4の電極端子部30,32,34,36にそれぞれ電気的に接続される。また、リードフレーム10は、外部からセンサの内部に配設されるリード線46にも電気的に接続されており、リード線46が接続される外部機器と電極端子部30,32,34,36との間に流れる電流の電流経路を形成する。
主体金具102は、軸線方向に貫通すると共に、この軸線方向に垂直な断面における内周が円形の貫通孔109を有し、貫通孔109の径方向内側に突出する棚部107を有する略筒状形状に構成されている。また、主体金具102は、検出部8を貫通孔109の先端側外部に配置し、電極端子部30,32,34,36を貫通孔109の後端側外部に配置する状態で貫通孔109に挿通されたセンサ素子4を、他部材(粉末充填層108など)を介して保持するよう構成されている。さらに、棚部107は、軸線方向に垂直な平面に対して傾きを有する後端側向き拡径状のテーパ面を有している。
なお、主体金具102の貫通孔109の内部には、センサ素子4の径方向周囲を取り囲む状態で、環状形状のセラミックホルダ106、粉末充填層108(以下、滑石リング108ともいう)、第2充填層110および上述のセラミックスリーブ6が、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。また、セラミックスリーブ6と主体金具102の後端部104との間には、加締リング112が配置されており、主体金具102の後端部104は、加締リング112を介してセラミックスリーブ6を先端側に押し付けるように、加締められている。
さらに、セラミックホルダ106および粉末充填層108の周囲のうち、主体金具102との間には、保護カバー125が配置されている。なお、保護カバー125は、セラミックホルダ106および滑石リング108の側面を覆うと共に、セラミックホルダ106の先端側を覆う筒状形状に形成されている。
一方、主体金具102の先端側(図1における下方)外周には、センサ素子4の突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有する金属製(例えば、ステンレスなど)の二重の外部プロテクタ42および内部プロテクタ43が、溶接等によって取り付けられている。
そして、主体金具102の後端側外周には、外筒44が固定されている。また、外筒44の後端側(図1における上方)の開口部には、センサ素子4の各電極端子部30,32,34,36とそれぞれ電気的に接続される4本のリード線46が挿通されるリード線挿通孔が形成されたセラミックセパレータ48とグロメット50とが配置されている。
次に、センサ素子4の概略構造を表す分解斜視図を、図2に示す。
センサ素子4は、多孔質保護層25と、第1アルミナ層513と、固体電解質層515と、第2アルミナ層517と、第3アルミナ層519とを備えて構成される。なお、多孔質保護層25は、第1アルミナ層513の開口部514に埋め込まれる。そして、第1アルミナ層513、固体電解質層515、第2アルミナ層517、第3アルミナ層519は、この順序で積層されている。
また、センサ素子4は、センサ素子4の内部に閉塞されて、固体電解質層515を介して酸素が組み込まれることで内部酸素基準部として機能する基準電極部525を備えており、酸素検知の基準となる酸素濃度を自己の内部で生成する基準酸素自己生成方式の構成を有している。
固体電解質層515は、アルミナ20wt%とジルコニア80wt%とからなる酸素イオン導電性を有する固体電解質体で形成されており、その外形は、長さ約40mm、幅約4.5mm、厚さ約0.2mmの矩形板状をなす。この固体電解質層515の後端側(図2における右側)の所定位置には、スルーホール516(直径約0.25mm)が形成されている。
固体電解質層515の表面(図2における上側面)側には、先端側に位置する検知電極部521、及び、これに電気的に接続されて後端側(図2における右側)へ延びる第1センサリード部523が形成されている。
検知電極部521および第1センサリード部523は、Pt(白金)からなる多孔質状の電極であり、固体電解質層515に当接して形成される。
第1センサリード部523は、検知電極部521とは反対側の端部において、後述する検知側スルーホール導体563を介して検知側センサ電極パッド30に電気的に接続されている。
一方、固体電解質層515の裏面(図2における下側面)には、検知電極部521に対向する位置に基準電極部525が形成されており、また、基準電極部525に電気的に接続され後端側(図2における右側)へ延びる第2センサリード部527が形成されている。
基準電極部525および第2センサリード部527は、Pt(白金)からなる多孔質状の電極である。
なお、第2センサリード部527は、基準電極部525との接続端部とは反対側の端部において、基準側内部スルーホール導体559に接続されており、さらには、基準側内部スルーホール導体559は、後述する基準側スルーホール導体564を介して基準側センサ電極パッド32に電気的に接続されている。
第1アルミナ層513は、絶縁性材料のアルミナからなるセラミック層であり、その外形は、長さ約40mm、幅約4.5mm、厚さ約0.4mmの矩形板状をなす。
第1アルミナ層513の先端側(図2における左側)の所定位置には、多孔質保護層25を埋め込むための開口部514が形成されている。
また、第1アルミナ層513の後端側の所定位置には、この層を厚さ方向に貫通する2つのスルーホール512(直径約0.3mm)が幅方向に並んで形成されている。この2つのスルーホール512は、検知側スルーホール561および基準側スルーホール562であり、それぞれの内部には、検知側スルーホール導体563および基準側スルーホール導体564が形成されている。
更に、第1アルミナ層513の表面(図2における上側面)には、検知側スルーホール導体563および基準側スルーホール導体564の各々の端面を覆うように検知側センサ電極パッド30および基準側センサ電極パッド32が形成されている。
検知側センサ電極パッド30および基準側センサ電極パッド32は、基準側スルーホール導体564の端面を直接覆う厚さ約20μmのPt層である。
第2アルミナ層517は、第1アルミナ層513と同様、絶縁性材料のアルミナからなるセラミック層であり、その外形は、長さ約40mm、幅約4.5mm、厚さ約0.35mmの矩形板状をなす。
第2アルミナ層517の裏面(図2における下側面)には、先端側に位置する発熱部535と、発熱部535の両端にそれぞれ電気的に接続されて後端側に延びる一対のヒータリード部537と、が形成されている。
発熱部535は、Pt(白金)を主体に構成される発熱抵抗体であり、電流が通電されることで発熱する。本実施形態の発熱部535は、蛇行状に形成されている。ヒータリード部537は、Pt(白金)を主体に形成されている。
第3アルミナ層519は、第1アルミナ層513および第2アルミナ層517と同様に、絶縁性材料のアルミナからなるセラミック層であり、その外形は、長さ約40mm、幅約4.5mm、厚さ約0.4mmの矩形板状をなす。
この第3アルミナ層519の後端側(図2における右側)の所定位置には、2つのヒータ用スルーホール520(直径約0.3mm)が幅方向に並んで形成されている。これらのヒータ用スルーホール520には、Ptを主体とするヒータ用スルーホール導体555が形成されている。
更に、第3アルミナ層519の裏面(図2における下側面)には、各々のヒータ用スルーホール導体555の端面を覆うように厚さ約20μmの2つのヒータ電極パッド34,36が形成されている。ヒータ電極パッド34,36は、Ptを主体に形成されている。
次に、センサ素子4の製造方法について説明する。
まず、焼成後に第1〜第3アルミナ層513,517,519となる第1〜第3未焼成アルミナシートを作製する。具体的には、アルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3μm)97wt%と、イットリア5.4mol%共沈型ジルコニア(純度99%以上、平均粒径0.3mm)3wt%のセラミック粉末100質量部に対して、ブチラール樹脂14質量部と、ジブチルフタレート7質量部とをさらに加えて配合し、更にトルエン及びメチルエチルケトンからなる混合溶媒を混合して、スラリーとする。そして、これをドクターブレード法によりシート状とし、トルエン及びメチルエチルケトンを揮発させて、第1〜第3未焼成アルミナシートを作製する。更に、第1未焼成アルミナシートにはスルーホール512および開口部514をそれぞれ穿孔し、第3未焼成アルミナシートにはヒータ用スルーホール520を穿孔する。
一方で、焼成後に固体電解質層515となる未焼成固体電解質シートを作製する。具体的には、アルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3μm)20wt%と、ジルコニア80wt%とのセラミック粉末100質量部に対して、ブチラール樹脂12質量部と、ジブチルフタレート6質量部とをさらに加えて配合し、更にトルエン及びメチルエチルケトンからなる混合溶媒を混合して、スラリーとする。そして、これをドクターブレード法によりシート状とし、トルエン及びメチルエチルケトンを揮発させて、未焼成固体電解質シートを作製する。
他方で、焼成後に多孔質保護層25となる未焼成多孔質シートを作製する。具体的には、アルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3μm)100質量部と、カルシアを含有するカーボン粉末(真球状粒子、平均粒径5μm)22質量部と、ジブチルフタレート7質量部とを配合し、更にトルエン及びメチルエチルケトンからなる混合溶媒を混合して、スラリーとする。そして、これをドクターブレード法によりシート状とし、トルエン及びメチルエチルケトンを揮発させて、未焼成多孔質シートを作製する。
そして、この未焼成多孔質シートを第1アルミナ層513の開口部514に合わせて押し込むことで、未焼成多孔質シートを開口部514に埋め込む。
なお、カーボン粉末に含まれるカルシアは、アルミナ粉末を焼成する際にアルミナ粉末どうしの結合力を増大させる焼結助剤であり、カルシアを用いることで、アルミナ粉末どうしの焼結を促進させることができる。そして、本実施形態においては、カーボン粉末におけるカルシアの含有割合は、カーボン粉末に対して0.30wt%である。
次に、焼成後に検知電極部521および第1センサリード部523となる第1センサパターンと、焼成後に基準電極部525および第2センサリード部527となる第2センサパターンと、焼成後に基準側内部スルーホール導体559となる未焼成スルーホール導体と、を形成する。
具体的には、Pt(平均粒径5μm〜8μm)100質量部と、ジルコニア粉末(平均粒径0.3μm)20質量部と、エトセルバインダ7質量部と、を配合し、更にブチルカルビトールを溶媒として混合して、第1導電性ペーストとする。そして、この第1導電性ペーストを用いて、未焼成固体電解質シートの一方の面(表面となる面)に、第1センサパターンのうち、焼成後に検知電極部521となるバターン、及び、焼成後に第1センサリード部523となるパターンを、20±10μmの厚さで印刷し、乾燥させる。
次に、上記の第1導電性ペーストを利用して、未焼成固体電解質シートの他方の面(裏面となる面)に、第2センサパターンとして、焼成後に基準電極部525となるパターン、及び、焼成後に第2センサリード部527となるパターンを、20±10μmの厚さで印刷し、乾燥させる。
また、第1導電性ペーストを、未焼成固体電解質シートに形成したスルーホール516に印刷し、焼成後に基準側内部スルーホール導体559となる未焼成スルーホール導体を形成する。
次に、焼成後にスルーホール導体551(検知側スルーホール導体563、基準側スルーホール導体564)となる未焼成スルーホール導体を形成する。
具体的には、上記の第1導電性ペーストを、第1未焼成アルミナシートの後端側に形成した2つのスルーホール512のうち検知側スルーホール561に印刷し、未焼成スルーホール導体を形成する。
また、上記の第1導電性ペーストを、第1未焼成アルミナシートの後端側に形成した2つのスルーホール512のうち基準側スルーホール562に印刷し、未焼成スルーホール導体を形成する。
次に、焼成後に検知側センサ電極パッド30となる電極パッドパターン、および基準側センサ電極パッド32となる電極パッドパターンを形成する。
具体的には、上記の第1導電性ペーストを、第1未焼成アルミナシートの一方の面(表面となる面)に対して、検知側スルーホール導体563となる未焼成スルーホール導体および基準側スルーホール導体564となる未焼成スルーホール導体をそれぞれ覆うように所定形状に印刷し、乾燥させて、電極パッドパターンを形成する。
次に、焼成後に発熱部535となる発熱パターンと、焼成後にヒータリード部537となるヒータリードパターンを形成する。
具体的には、上記の第1導電性ペーストを、第3未焼成アルミナシートの一方の面(表面となる面)に印刷し、乾燥させて、発熱パターンを形成する。また、第1導電性ペーストを、第3未焼成アルミナシートの一方の面(表面となる面)に印刷し、乾燥させて、ヒータリードパターンを形成する。
次に、焼成後にヒータ用スルーホール導体555となる未焼成スルーホール導体を形成する。具体的には、上記の第1導電性ペーストを、第3未焼成アルミナシートの後端付近に形成した2つのヒータ用スルーホール520に印刷し、未焼成スルーホール導体を形成する。
次に、焼成後にヒータ電極パッド34,36となるヒータ電極パッドパターンを形戒する。
具体的には、上記の第1導電性ペーストを、第3未焼成アルミナシートの一方の面(裏面となる面)に、焼成後にヒータ用スルーホール導体555となる未焼成スルーホール導体を覆うように所定形状に印刷し、乾燥させて、ヒータ電極パッドパターンを形成する。
次に、焼成後にセンサ素子4となる積層体を作製する。具体的には、第1未焼成アルミナシートの一方の面(裏面となる面)、及び、第2未焼成アルミナシートの両面に、アルミナ層用未焼成シートをブチルカルビトールにて希釈した貼り合わせペーストを、20μmの厚みでそれぞれ印刷する。その後、未焼成多孔質シート、第1未焼成アルミナシート、未焼成固体電解質シート、第2未焼成アルミナシート及び第3未焼成アルミナシートを貼り合わせ、50℃、60秒間、0.7MPaで真空圧着して一体化し、積層体を作製する。
次に、この積層体を焼成する。具体的には、積層体を、大気雰囲気下、60℃で6時間加熱し、脱脂する。その後、これを、大気雰囲気下、1520℃で2時間焼成する。
このとき、未焼成多孔質シートにおいては、アルミナ粉末が焼結して骨格構造が形成されるとともに、カーボンが昇華または燃焼消失して気孔部が形成されることで、多孔質保護層25が形成される。また、焼結助剤としてのカルシアがカーボンに含まれていることから、アルミナ粉末のうちカーボンの近傍部分については、カルシアによって焼結駆動力が増大するため、アルミナ粉末どうしの焼結が良好となる。
このようにして、センサ素子4が製造される。
そして、センサ素子4は、図1に示すように、先端側(図1における下方)の検出部8が排気管に固定される主体金具102の先端より突出すると共に、後端側の電極端子部30,32,34,36が主体金具102の後端より突出した状態で、主体金具102の内部に固定される。
また、主体金具102の後端部104より突出されたセンサ素子4の後端側(図1における上方)には、絶縁コンタクト部材82が配置される。尚、この絶縁コンタクト部材82は、センサ素子4の後端側の表面に形成される電極端子部30,32,34,36の周囲に配置されている。
このように、酸素センサ2は、センサ素子4の電極端子部30,32,34,36がリードフレーム10およびリード線46を介して外部機器に電気的に接続されることで、測定対象ガスにおける酸素検知結果に応じた電気信号を外部機器に対して出力可能に構成されている。
なお、酸素センサ2においては、センサ素子4が特許請求の範囲に記載のセンサ素子に相当し、多孔質保護層25が多孔質シートに相当し、アルミナ粉末が骨格材料粉末に相当し、カーボンが介挿体に相当し、カルシアが焼結助剤に相当する。
さらに、未焼成多孔質シートを作製するにあたり、アルミナ粉末100質量部と、カルシアを含有するカーボン粉末22質量部と、を混合する工程が、焼成前材料混合工程に相当し、また、積層体を大気雰囲気下において60℃で6時間加熱し脱脂して、大気雰囲気下において1520℃で2時間焼成する工程が、焼成工程に相当する。
以上説明したように、本実施形態における多孔質保護層25の製造方法においては、アルミナ粉末に対してカーボン(介挿体)およびカルシア(焼結助剤)を混合させるにあたり、カーボンおよびカルシアを個別に混合させるのではなく、カルシアを含有するカーボンをアルミナ粉末に混合している。
このため、アルミナ粉末とカーボンとカルシアとを含むスラリーにおけるカルシアの存在箇所は、カーボンの近傍部分となり、カーボンの近傍部分におけるアルミナ粉末どうしの結合力(焼結駆動力)をカルシアによって増大できる。
これにより、アルミナ粉末どうしの結合駆動力が小さくなりやすいカーボンの近傍部分についても、カルシアにより焼結駆動力が増大することで、アルミナ粉末どうしの結合が良好となり、多孔質保護層25となる骨格構造の形成状態を良好にすることができる。
また、本実施形態における多孔質保護層25の製造方法においては、アルミナ粉末のうち結合駆動力の促進が必要な領域(カーボンの近傍部分)に対してカルシアを配置できることから、カルシアを効率よく使用することができるため、カルシアの使用量を抑えることができる。なお、カルシアの含有割合は、カーボン粉末に対して0.30wt%である。
このようにカルシアの使用量を抑えることで、本実施形態により得られる多孔質保護層25におけるカルシアの含有量を低減でき、センサ素子4において近接する構成部材への悪影響を抑えることができる。
例えば、固体電解質層515は、カルシアの影響を受けると抵抗値が変化することがあり、発熱部535およびヒータリード部537は、カルシアの影響を受けるとマイグレーションが生じ、基板の強度低下、さらにはクラックが生じることがある。しかし、本実施形態の多孔質保護層25は、カルシアの含有量が少ないことから、このような多孔質保護層25を備えるセンサ素子4においては、カルシアの影響による固体電解質層515の抵抗値変化を抑制できるとともに、カルシアの影響により発熱部535およびヒータリード部537にマイグレーションが生じるのを抑制できる。
よって、本実施形態における多孔質保護層25の製造方法によれば、カルシアを使用する多孔質保護層の製造方法において、焼成時におけるアルミナ粉末どうしの焼結が良好となるとともに、当該製造方法で得られる多孔質保護層25が近接構成部材に悪影響を及ぼすのを抑制できる。
次に、多孔質シート製造方法における焼結助剤の含有量について、良好な数値範囲を検討するために実施した実験結果について説明する。
なお、実験では、未焼成多孔質シートを作製する工程において、カーボン粉末中に含まれる焼結助剤(カルシア)の量を[表1]のように8種類に設定し、それぞれ多孔質シートを製造した。
そして、製造した多孔質シートについて、異常粒成長および焼結判定の各項目について判定した。なお、焼結判定は、焼成密度および焼成体気孔率の測定結果に基づいて判定を行った。
ここで、「異常粒成長」とは、多孔質シートに隣接するアルミナ基板の粒子が異常成長しているか否かを判定するための項目である。この項目の判定は、まず、アルミナ基板の粒子を電子顕微鏡で撮影し、アルミナ基板の粒子の最大寸法(Lm)と、この最大寸法(Lm)の方向と直行する方向における最大寸法(Lp)との比率(Lm/Lp)を計測する。そして、この比率(Lm/Lp)が2.0未満である場合には粒成長が正常であると判定し、この比率(Lm/Lp)が2.0以上である場合には粒成長が異常であると判定する。なお、[表1]では、「正常」と判定されたものを○印とし、「異常」と判定されたものを×印として、判定結果を示している。
また、「焼成密度」は、次の[数1]を用いて算出し、「焼成体気孔率」は、次の[数2]を用いて算出した。
このうち、「水中重量」は、製造したサンプル(焼成した多孔質シート)を純水に浸して泡の発生が無くなるまで真空脱泡を実施した後、純水を入れたビーカーを用意して、このビーカー内で上記脱泡後のサンプルの重量を測定することで得られる値である。
また、「含水重量」は、上記脱泡後のサンプルの表面についた水のみを除去して、大気中でサンプルの重量を測定することで得られる値である。
そして、焼成密度が2.0[g/cm3 ]以上であるとき、または、焼結体気孔率が50[vol%]未満であるときに、多孔質シートの焼結状態が良好と判定して、「焼結判定」を「OK」と判定する。
[表1]に示す測定結果によれば、多孔質シートにおける骨格構造の形成が良好となるため(焼結判定がOKとなるため)には、介挿体における焼結助剤の含有量を0.06[wt%]以上に設定すればよいことが判る。
また、[表1]に示す測定結果によれば、近接する基板に悪影響を与えないため(異常粒成長を発生させないため)には、介挿体における焼結助剤の含有量を0.60[wt%]以下に設定すればよいことが判る。
なお、多孔質シートは、ガスなどの通過を許容する必要があり、ガスなどの十分な通過を確保するためには、気孔率が25vol%以上に設定されるとよい。このため、ガスなどの十分な通過を確実に実現するためには、介挿体における焼結助剤の含有量を0.08[wt%]以上に設定すればよい。
また、近接する基板に対する悪影響をより小さく抑えるためには、焼結助剤の使用量をより制限することが望ましく、例えば、介挿体における焼結助剤の含有量を0.40[wt%]以下に設定するとよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施形態では、介挿体としてカーボン粉末を用いたが、介挿体は、カーボンに限られることはない。カーボン粉末以外で介挿体として利用できるものとしては、(1)テオブロミン、カフェイン及びテオフィリンといった昇華性キサンチン誘導体、(2)キサントプテリン、m−アミノ安息香酸、m−アセトアミド安息香酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、アセトラセンカルボン酸、α−アミノ酪酸、イソニコチン酸、イソパニリン酸、イソフタル酸、5−メチルイソフタル酸、o−オキシ桂皮酸、3−オキシ−p−トルイル酸、5−オキシ−1−ナフトエ酸、5−キノリンカルボン酸、4,5−ジオキシ−2−アントラキノンカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、(3)ペレリン、フロログルシントリメチルエーテル、フルオレセイン、ビフタリジリデン、テトラフェニルメタン、チミン、アリザリンブリー、アロキサン、イサチン、インジゴ、オキシインジゴ、インジルピン、カンタリジン、キノフタロン、2−オキシアントラキノン、1,5−ジアミノアントラキノン、1,5−ジオキシアントラキノン、1,7−ジオキシアントラキノン、アミノアントラキノン、2,4−ジオキシキノリン、アセナフテンキノン、5−オキシキノリン、2、2’−アゾナフタリン、アデニン、p−アセトトルイド、8−アミノ−2−ナフトール等を挙げることができる。また、これらのうち2種以上を併用して介挿体とすることもできる。
また、焼結助剤は、カルシアに限られることはなく、マグネシア、シリカなどを用いることができる。
さらに、多孔質シートが備えられるセンサ素子は、上記実施形態のような酸素検出のためのセンサ素子に限られることはなく、他の特定ガス(NOx、CO、CO2など)を検出するためのセンサ素子であってもよく、あるいは温度検出のためのセンサ素子であってもよい。また、センサ素子の構成は、上記実施形態のセンサ素子4のような構成に限られることはなく、例えば、基準側電極部と基準側緻密部との間の電流経路(基準側リード部)に接続されるガス放出路を備える構成であってもよい。
本発明方法を適用して製造した多孔質シートを有するセンサ素子を備えて構成される酸素センサの全体構成を示す断面図である。 センサ素子の概略構造を表す分解斜視図である。
符号の説明
2…酸素センサ、4…センサ素子、6…セラミックスリーブ、8…検出部、10…リードフレーム、25…多孔質保護層、30…検知側センサ電極パッド(電極端子部)、32…基準側センサ電極パッド(電極端子部)、34…ヒータ電極パッド(電極端子部)、44…外筒、48…セラミックセパレータ、50…グロメット、102…主体金具、512…スルーホール、513…第1アルミナ層、514…開口部、515…固体電解質層、516…スルーホール、517…第2アルミナ層、519…第3アルミナ層、520…ヒータ用スルーホール、521…検知電極部、523…第1センサリード部、525…基準電極部、527…第2センサリード部、535…発熱部、537…ヒータリード部、551…スルーホール導体、555…ヒータ用スルーホール導体、559…基準側内部スルーホール導体。

Claims (1)

  1. センサ素子に備えられる多孔質シートの製造方法であって、
    焼成により焼結して骨格材料となる骨格材料粉末と、焼成により昇華または燃焼消失する介挿体とを混合する焼成前材料混合工程と、
    前記焼成前材料混合工程で得られる前記骨格材料粉末と前記介挿体との混合物を焼成して、前記介挿体を消失させると共に前記骨格材料粉末を焼結させることで前記多孔質シートを生成する焼成工程と、
    を有しており、
    前記焼成前材料混合工程で用いる前記介挿体は、前記骨格材料粉末の焼結を促進させる焼結助剤を含有しており、
    前記焼成前材料混合工程において、前記介挿体における前記焼結助剤の含有割合は、前記介挿体に対して0.06wt%〜0.60wt%の範囲内であり、
    前記介挿体は、カーボンであること、
    を特徴とする多孔質シート製造方法。
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