JP2012125783A - 鉛フリーはんだ合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉛フリーはんだ合金を用いたはんだ接合において、アルミニウム部材と異種金属材料のはんだ接合において、アルミニウム部材に鍍金等の前処理を施すことなく、信頼性の高いはんだ接合を可能とする特徴を有することに加え、従来のプリント基板に電子部品を接合する際においても、高い信頼性を有する鉛フリーはんだん合金を提供する
【解決手段】Sn-Cu-Niを基本組成とする鉛フリーはんだ合金に、1.5重量%以上のSb等を添加すること、及び、1.5重量%以上のSbと3.0重量%以上のAgを添加することにより、アルミニウム部材と異種金属部材、アルミニウム部材同士、及びアルミニウム以外の異種金属部材同士のはんだ接合において、鍍金等の前処理を施すことなく、極めて高い信頼性を有するはんだ接合が可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、Sn−Cu−Ni−Sbを基本組成とする鉛フリーはんだ合金に関し、詳しくはアルミニウム部材の接合に適した鉛フリーはんだ合金及びそのはんだ合金を用いたはんだ接合に関する。
近年、半導体装置の放熱部材を始めとする各種熱関連装置に組み込まれる熱交換器の素材として、アルミニウムが多用されている。放熱部材としてのアルミニウムは、高い熱伝導性を有し、熱応力の発生が少なく、加工性、コスト、重量等の面から銅よりも適している。
しかし、アルミニウムを放熱部材の材質として用いる場合には、はんだ付け性が悪いという問題点を解決する必要がある。
例えば、アルミニウムを異種金属部材の銅部材と接合する場合に、鉛フリーはんだ合金として広く用いられているSn-Ag-Cu系はんだ合金を用いて接合しようとしても、アルミニウム表面に形成する酸化膜等の影響等で十分な接合強度が得られないことが知られている。
また、パワー半導体素子、セラミック基板、及び金属放熱板からなる大容量半導体装置は、各部材をはんだ接合によって組み立てられている。
そして、セラミック基板と金属放熱板であるアルミニウムとの熱膨張係数の差が大きいため、接合過程や使用中に発生する熱応力や熱疲労による接合層の破壊が問題となっている。
一方、アルミニウムと異種金属材料を接合する方法として、アルミニウム部材を処理して接合する方法が開示されている。例えば、特許文献1では、アルミニウム部材の接合面にニッケル鍍金を施し、その上面に銅鍍金を施し、この銅鍍金膜と銅部材を銅入りはんだを用いて接合する方法が、特許文献2では、アルミニウム部材表面に亜鉛層、ニッケル層、錫層を形成させて、はんだ接合する方法が開示されている。また、特許文献3では、Sn−Ag系はんだにアルミニウムを一定量配合したはんだ合金を用いて接合することが開示されている。そして、特許文献4では、アルミニウムを一定量配合したはんだ合金を用い、超音波振動を印加しながらアルミニウム部材同士を接合させる方法が開示されている。
しかし、特許文献1及び2の方法では、アルミニウム部材を前処理する工程を必要とする問題があり、特許文献3の方法では、アルミニウムの配合量が多くなると液相線温度が上昇し半導体装置等のはんだ付けには問題がある。そして、特許文献4の方法では超音波振動を印加する必要があり、通常のはんだ付け装置では、はんだ付けできないという問題がある。
特開2010−36250号公報 特開2007−136490号公報 特開2008−142729号公報 特開2007−190603号公報 特開平11−277290号公報 特願平10−100141号
本発明の目的は、前記事情に鑑み、鉛フリーはんだ合金を用いたはんだ接合において、アルミニウム部材と異種金属材料のはんだ接合において、アルミニウム部材に鍍金等の前処理を施すことなく、信頼性の高いはんだ接合を可能とする特徴を有することに加え、従来のプリント基板に電子部品を接合する際においても、高い信頼性を有する鉛フリーはんだん合金及び当該はんだ合金を用いたはんだ継ぎ手を提供することである。
本発明の課題を解決すべく発明者は、Sn-Cu-Niを基本組成とする鉛フリーはんだ合金に、特定の成分を一定量添加することにより、アルミニウム部材と異種金属部材、アルミニウム部材同士、或は、アルミニウム以外の異種金属部材同士のはんだ接合において、高い信頼性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の鉛フリーはんだ合金は、Sn-Cu-Niを基本組成とする鉛フリーはんだ合金に、1.5重量%以上のSbを添加することにより、又は1.5重量%以上のSb及び3重量%以上のAgを添加することにより、アルミニウム部材と異種金属部材、アルミニウム部材同士、及びアルミニウム以外の異種金属部材同士のはんだ接合において、極めて高い信頼性を有するはんだ接合を可能とした。
本発明は、鉛フリーはんだ合金であるため、環境に配慮したはんだ接合の提供を可能とすることは勿論のこと、従来の鉛フリーはんだ合金で成しえなかった、アルミニウム部材と異種金属部材、アルミニウム部材同士、及びアルミニウム以外の異種金属部材同士のはんだ接合において、鍍金等の前処理を必要とせずに、極めて高い信頼性を有するはんだ接合が可能となるため、本発明の鉛フリーはんだ合金一種にてアルミニウム部材及び異種金属部材よりなる半導体装置等の接合を行うことができ、はんだ付けの工程が容易にできる。
腐食試験の試験方法を示すイメージ図 腐食試験結果を実施する前の試料写真 腐食試験を実施した際、アルミニウム基板とはんだ合金の接合部に部分剥離が発生した写真 腐食試験を実施した際、アルミニウム基板とはんだ合金が完全に剥離した状態の写真
以下に本発明の鉛フリーはんだ合金及びはんだ継ぎ手について詳細に説明する。
本発明の鉛フリーはんだ合金は、Sn-Cu-Niを基本組成とする鉛フリーはんだ合金に、1.5重量%以上のSb、及び1.5重量%以上のSbと3.0重量%以上のAgを添加したものである。
Sn-Cu-Niを基本組成とする鉛フリー合金のSbを添加した鉛フリーはんだ合金は、本発明の鉛フリーはんだ合金以外にも開示されている。
例えば、特許文献5には、Cuが0.5〜2.0重量%、とNiが0.01〜0.5重量%、Sbが0.5〜5.0重量%の組成からなる鉛フリーはんだ合金が開示されいる。
しかし、特許文献5に開示されている鉛フリーはんだ合金の特徴は、電極食われ防止や耐熱衝撃性に優れるというものであり、対アルミニウム部材接合の信頼性向上に関する内容は全く示唆されていない。また、Sbの添加量も0.5〜5.0重量%であり、本発明のSbの添加量とは異なる。
本発明の発明者も、特許文献6において、Sn-Cu-NiにSbを添加した鉛フリーはんだ合金を開示しているが、特許文献5同様に、アルミニウム部材に対する接合に関して全く示唆する内容を記載していない。また、Sbの添加量に関しても、0.1〜5.0重量%であり、本発明のSbの添加量とは異なる。上記の如く、従来より開示されているSn-Cu-NiにSbを添加した組成からなる鉛フリーはんだ合金では、本発明のアルミニウム部材の接合に関する内容について、全く示唆されていない。
一方、本発明の鉛フリーはんだ合金は、Sn-Cu-Niを基本組成とする鉛フリーはんだ合金に特定の成分であるSbやAgを特定量添加することにより、強固な接合強度を有し、極めて高い信頼特性を有することを可能とした。
Sn-Cu-Niを基本組成とする鉛フリーはんだ合金の組成について、Cu及びNiは本発明の効果を有する範囲において、特に制限はないが、Cuは0.1重量%〜2重量%が、Niは0.002重量%〜1重量%、残部がSnとで構成されている範囲が好ましい。
本発明の鉛フリーはんだ合金は、Sn-Cu-Niを基本組成とするが、当該基本組成にGeを0.001〜1重量%を添加した組成においても、同様の効果を有する。Sbの添加量は、本発明の効果を有する範囲においては特に制限はないが、1.5重量%以上が好ましく、特に2.5重量%以上が好ましい。
SbとAgを添加する場合の夫々の添加量は、本発明の効果を有する範囲において特に制限はないが、Sbは1.5重量%以上、かつAgが3重量%以上が好ましく、特に、Sbが2.5重量%以上、かつAgが3重量%以上が好ましい。
そして、ISO規格及びJIS規格に規定されている不可避不純物が混入しても、本発明の効果は変わらない。
以下に、実施例を示し、本発明について具体的に説明する。
先ず、本発明の鉛フリーはんだ合金の接合信頼性を確認する試験について説明する。
本試験は、〔腐食試験〕と称し、基板にはんだ合金をはんだ接合させて、食塩水に浸漬させて、接合部が腐食し、基板とはんだ合金に剥がれを生じるまでの時間を測定し、接合信頼性を判定する方法である。
実験に用いた鉛フリーはんだ合金試料の組成を表1に示す。
Figure 2012125783
次に、試験方法について説明する。
〔鉛フリーはんだ試料〕
表1に示す組成の鉛フリーはんだ合金を調製した後、圧延ローラーにて圧延し、50mgを切り出して
試料とする。
〔基板〕
アルミニウム板を、厚さ0.3mm、一辺が12.5mmの正方形となるように切断し、四隅の一端を2−1に示すように折り曲げて、試料基板とする。
〔試験試料の作製方法〕
図1上図に示すように、280℃に加熱したホットプレート上にて、Superior Flux No.1260(日本スペリア社製)を用い、鉛フリーはんだ試料とアルミニウム基板をはんだ付けし、はんだが溶解したのを確認後、30秒後にホットプレートより取り出し、急冷する。
〔腐食試験方法〕
1)図2下図に示すように、水槽に3%食塩水を準備し、そこに上記方法にて作成した試験試料を投入し、室温(20〜30℃)で放置する。
2)毎日定時に、浸漬した試料を目視にて状態を確認した後、アルミニウム基板(2)の端部(2−1)をピンセットで把持し、食塩水(3)中で、試料を一定の外力になるよう注意して左右10回振る外力をかけ、アルミニウム基板からはんだ合金が剥がれるか否かを判断した。
3)上記の行為を、はんだ合金がアルミニウム基板より剥がれ落ちるまで継続して行う。
4)20日浸漬し、その間の状態を下記の評価基準で評価し、判定した。
〔評価基準〕
1)外力を負荷しないで剥離が生じたものを××とした。(図4の状態)
2)外力を負荷して、はんだ合金がアルミニウム基板より剥離したものを×とした。(図4の状態)
3)外力を負荷して、はんだ合金は剥がれ落ちないが、接合端面に剥離が生じているものを△とした。(図3の状態)
4)外力を負荷しても、剥離が発生しないものを○とした。
次に、接合強度に関する試験について説明する。
〔接合強度確認試験〕
本試験は、基板と鉛フリーはんだ合金の接合強度を簡易的に確認する方法である。
表1に示す鉛フリーはんだ合金をはんだ試料とし、基板は、厚さ0.3mmの銅板を、腐食試験に用いたアルミニウム板と同等の大きさに切断し、標準フラックスBを用い、腐食試験と同様の方法で、試験試料を作製した。(ただし、試料基板は、腐食試験の2−1のように四隅の端部は折り曲げない。)
〔試験方法〕
上記の方法で、作製した試料の銅基板の対角となる端面を夫々、ペンチで把持し、一定の力になるように注意しながら、人力にて銅基板を曲げ、はんだ合金の剥離状態を下記の評価基準にて判定した。
〔評価基準〕
1)はんだ合金が銅基板より剥離し、剥がれ落ちたものを×とした。
2)はんだ合金が銅基板より剥離したものを△とした。
3)はんだ合金と銅基板の接合部に異常がない状態を○とした。
試験結果を表2に示す。
Figure 2012125783
表2に示すように、本発明の鉛フリーはんだ合金を用いた実施例1〜実施例6は、比較例1〜15に示す鉛フリーはんだ合金に比べ、腐食試験において優れた結果を示している。また、接合強度試験においても、従来より用いられているアルミニウム以外の金属部材に用いられている鉛フリーはんだ合金と同等以上の優れた結果を示している。
このように、Sn-Cu-Niを基本組成とする鉛フリーはんだ合金に特定量のSb、又は特定量のSb及びAgを組み合わせて添加することにより、アルミニウム部材と異種金属部材、及びアルミニウム以外の異種金属部材同士のはんだ接合において、高い接合信頼性及び高い接合強度を有するはんだ接合が可能であることが確認された。
以上のことは、本発明の鉛フリーはんだ合金を用いたはんだ継ぎ手に関しても、高い接合信頼性及び高い接合強度を有していることを示す。
本発明の鉛フリーはんだ合金は、アルミニウム部材と異種金属部材、アルミニウム部材同士、及びアルミニウム以外の異種金属部材同士のはんだ接合において、鍍金等の前処理を必要とせずに、極めて高い信頼性を有するはんだ接合が可能となるため、広範囲の用途に応用が期待できる。
1 本発明の鉛フリーはんだ合金
2 アルミニウム基板
2−1 ピンセットにて把持するアルミニウム基板の端部
3 食塩水
4 水槽
5 はんだ接合部の剥離部分

Claims (4)

  1. Sn-Cu-Niを基本組成とする鉛フリーはんだ合金に、Sbを1.5重量%以上添加したことを特徴とするアルミニウム部材にも直接接合が可能な鉛フリーはんだ合金。
  2. Agを3重量%以上添加したことを特徴とする請求項1記載のアルミニウム部材にも直接接合が可能な鉛フリーはんだ合金。
  3. Geを0.001〜1重量%添加したことを特徴とする請求項1記載及び請求項2のアルミニウム部材にも直接接合が可能な鉛フリーはんだ合金。
  4. 請求項1乃至請求項3に記載のいずれかの鉛フリーはんだ合金を用いて、はんだ付けをすることを特徴とするはんだ継ぎ手。

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