JP2012113954A - 多孔質体の染色方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汎用性が高く、簡便な工程で短時間に染色できる多孔質体の染色方法の提供。
【解決手段】多孔質体を色素で染色する方法であって、前記色素を含有する溶液を前記多孔質体に接触させ、次いで乾燥させて、前記色素を前記多孔質体に担持させる染色工程を複数回行うことを特徴とする多孔質体の染色方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素増感太陽電池の製造への適用に好適な、多孔質体の染色方法に関する。
一般に、色素増感太陽電池は、透明基材表面に透明電極層及び多孔質酸化チタン層をこの順に積層し、多孔質酸化チタン層に増感色素を担持させた色素増感太陽電池用電極と、透明基材表面に白金(Pt)などの導電体薄膜を形成した対向電極とを用いて、これら色素増感太陽電池用電極と対向電極とを所定間隔をおいて配置して、これらの隙間に電解液を充填した構造となっている。
色素増感太陽電池において、酸化チタン層の役割としては主に、(1)増感色素の担持、(2)励起した増感色素からの電子注入受け入れ、(3)導電層への電子輸送、(4)ヨウ化物イオンから色素への電子移動(還元)反応場の提供、(5)光散乱及び光閉じこめ等が挙げられる。
色素増感太陽電池の製造時には、上記のように多孔質酸化チタン層に色素を担持させること(染色)が必要となり、従来は、色素の低濃度溶液に多孔質酸化チタン層を浸漬する方法が適用されていた。しかし、十分な量の色素を担持させるためには、濃度が低いゆえに溶液への長時間(例えば、10時間以上)の浸漬が必要であり、工程時間が長くなってしまうという問題点があった。これに対して、染色を短時間で行う方法としては、多孔質酸化チタン層が設けられた基板を色素溶液へ浸漬した後、基板に遠心力を作用させて、多孔質層の内部にまで色素溶液を充填する方法(特許文献1参照)、溶媒として特定の成分を組み合わせ、色素濃度を特定の高い値に調節した色素溶液に基板を接触させる方法(特許文献2参照)が開示されている。これらの方法は、いずれも、色素溶液との一回の接触で、多孔質層に効率良く色素を担持させようとするものである。
特開2009−272074号公報 特開2010−182467号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、遠心力を作用させる手段として複雑な装置を別途設ける必要があり、製造工程が複雑になるという問題点があった。また、ロール・トゥ・ロール方式への適用が困難であり、染色方法が制約され、汎用性が低いという問題点があった。
一方、特許文献2に記載の方法では、色素溶液と接触後の乾燥時に、色素濃度が高いゆえに、色素の析出、会合、多重担持等が生じ易く、染色後に基板の洗浄が必要になり、製造工程が複雑になるという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、汎用性が高く、簡便な工程で短時間に染色できる多孔質体の染色方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
本発明は、多孔質体を色素で染色する方法であって、前記色素を含有する溶液を前記多孔質体に接触させ、次いで乾燥させて、前記色素を前記多孔質体に担持させる染色工程を複数回行うことを特徴とする多孔質体の染色方法を提供する。
本発明の多孔質体の染色方法においては、前記溶液の色素濃度が5mmol/L未満であることが好ましい。
本発明の多孔質体の染色方法においては、前記溶液の色素濃度が0.5mmol/L以下であることが好ましい。
本発明の多孔質体の染色方法においては、前記染色工程を乾燥雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明の多孔質体の染色方法においては、前記染色工程後に、前記多孔質体を洗浄する工程を行わないことが好ましい。
本発明の多孔質体の染色方法においては、前記色素が金属非含有有機色素であることが好ましい。
本発明によれば、汎用性が高く、簡便な工程で短時間に染色できる多孔質体の染色方法を提供できる。
実施例1及び比較例1における簡易セルのI−V特性を示すグラフである。 実施例2〜3及び比較例2における簡易セルのI−V特性を示すグラフである。 比較例5の簡易セルにおける、多孔質酸化チタン層の染色時間(増感色素溶液への浸漬時間)と光電変換効率との関係を示すグラフである。
以下、本発明について詳しく説明する。なお、本明細書において、単位「M」は「mol/L」を表す。
本発明の多孔質体の染色方法は、多孔質体を色素で染色する方法であって、前記色素を含有する溶液(以下、「色素溶液」と略記する)を前記多孔質体に接触させ、次いで乾燥させて、前記色素を前記多孔質体に担持させる染色工程を複数回行うことを特徴とする。「染色」とは、「色素を担持させること」を意味する。そして、色素の担持は、例えば、色素の吸着により行われる。
前記染色工程を複数回繰り返すことで、例えば、多孔質体を色素溶液に長時間浸漬して染色する方法よりも、格段に短時間での染色が可能となる。
本発明の染色方法は、多孔質半導体の増感色素による染色に好適であり、色素増感太陽電池の製造工程で特に有用である。
前記多孔質体の材質及び厚さは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記多孔質体が、例えば、半導体の場合、好ましい材質として酸化チタン(TiO)が例示できる。この時の多孔質体(多孔質酸化チタン層)の厚さは、1〜30μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましい。下限値以上であることにより、光を一層十分に活用でき、色素増感太陽電池における光電変換効率が一層向上する。また、上限値以下であることで、光を一層有効利用でき、酸化/還元反応種の拡散抵抗が小さくなって、電極自体の抵抗が小さくなるため、色素増感太陽電池における光電変換効率が一層向上する。なお、ここで、多孔質酸化チタン層の厚さとは、焼結後における厚さを指す。
前記色素は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記多孔質体の材質が、例えば、半導体の場合には、好ましいものとして各種増感色素が例示できる。
前記増感色素は特に限定されず、通常の色素増感太陽電池で使用されているもので良い。具体的には、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)のビス−テトラブチルアンモニウム塩(以下、N719と略記する)、トリ(チオシアナト)−(4,4’,4’ ’−トリカルボキシ−2,2’:6’,2’ ’−ターピリジン)ルテニウムのトリス−テトラブチルアンモニウム塩(ブラックダイ)等のルテニウム系色素が例示できる。また、クマリン系色素、ポリエン系色素、シアニン系色素、ヘミシアニン系色素、チオフェン系色素、インドリン系色素、キサンテン系色素、カルバゾール系色素、ペリレン系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、メロシアニン系色素、カテコール系色素、スクアリリウム系色素等の各種金属非含有有機色素が例示できる。さらに、これらの色素を組み合わせたドナー−アクセプター複合色素等が例示できる。
これらのなかでも特に好ましいものとしては、ルテニウム系色素であればN719が、有機色素であればカルバゾール系色素であるMK2(2−シアノ−3−[5’’’−(9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)−3’,3’’,3’’’,4−テトラ−n−ヘキシル−[2,2’,5’,2’’,5’’,2’’’]−クオーター−チオフェニル−5イル]アクリル酸)が、それぞれ例示できる。
前記色素は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記色素溶液中の溶媒成分は、使用する色素の種類に応じて適宜選択すれば良く、アルコール類、ニトリル類、エーテル類、エステル類、ケトン類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等が例示できる。
前記アルコール類は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、一価アルコール及び多価アルコールのいずれでも良く、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール(イソブタノール)、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブタノール)、エチレングリコール等が例示できる
前記ニトリル類としては、アセトニトリル、プロピオニトリル等が例示できる。
前記エーテル類は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等が例示できる。
前記エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が例示できる。
前記ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が例示できる。
前記炭化水素類は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、脂肪族系炭化水素及び芳香族系炭化水素のいずれでも良く、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等が例示できる。
前記ハロゲン化炭化水素類としては、塩化メチレン、クロロホルム等が例示できる。
前記溶媒は、水分含量が低いほど好ましく、乾燥剤等を使用して無水化処理したものが好ましい。水分含量を低減することで、色素の担持阻害が一層抑制され、一層良好な状態で色素を多孔質体に担持させることができる。
前記溶媒は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記色素溶液の色素濃度は、5mmol/L未満であることが好ましく、2mM以下であることがより好ましく、1mM以下であることがさらに好ましく、0.8mM以下であることが特に好ましく、0.5mM以下であることがとりわけ好ましい。上限値をこのようにすることで、染色工程、特に乾燥時における色素の析出が一層抑制され、一層良好な状態で色素を多孔質体に担持させることができる。色素が多く析出すると、多孔質体表面に付着し、色素本来の機能を十分に発揮できないだけでなく、例えば、色素増感太陽電池においては電極表面を覆ってしまい、イオンの輸送や対向電極張り合わせ時のギャップを精密に制御できなくなってしまう。
色素濃度の下限値は特に限定されないが、多孔質体へ色素を一層効率的に担持させる観点から、0.1mMであることが好ましい。
前記色素溶液を前記多孔質体に接触させる方法は、特に限定されず、塗布法、滴下法、印刷法、浸漬法等、液体を基材に接触させる各方法が例示でき、接触させる溶液の量や種類に応じて任意に選択できる。なかでも、染色工程を繰り返す際に、すでに多孔質体に担持されている色素が、新たな色素溶液の接触により該溶液中に溶け出すことを抑制できる効果が高いことから、塗布法、滴下法又は印刷法が好ましく、塗布法としてはスプレー塗布法が、印刷法ではインクジェット印刷法がそれぞれ好ましい。
多孔質体に接触させる前記色素溶液の量は、接触方法や担持させる色素の量に応じて適宜調節すれば良い。例えば、塗布法、滴下法又は印刷法の場合、接触させる色素溶液の量は、乾燥の容易さ等を考慮すると、多孔質体の接触面1mmあたり、0.05〜7μLであることが好ましく、0.05〜0.7μLであることがより好ましい。
前記色素溶液の多孔質体への接触は、乾燥雰囲気下で行うことが好ましく、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。ここで、「乾燥雰囲気」とは、気体中の水分含量が本発明の効果を妨げないように低減されていること(低水分含量雰囲気下)を指す。このようにして、接触時の多孔質体又は色素溶液への水分混入を抑制することで、色素の担持阻害が一層抑制され、一層良好な状態で色素を多孔質体に担持させることができる。
前記色素溶液接触後の乾燥の方法は、特に限定されず、例えば、自然乾燥、送風乾燥及び減圧乾燥のいずれでも良く、送風乾燥又は減圧乾燥の場合、加熱を行っても良い。ここで、「乾燥」とは、色素溶液の溶媒成分を蒸発させることを指す。乾燥時の温度は、色素の分解や多孔質体の劣化が抑制されれば特に限定されず、その他の乾燥条件にもよるが、10〜50℃であることが好ましく、15〜30℃であることがより好ましい。
色素溶液の多孔質体への接触時と同様の理由で、乾燥は、乾燥雰囲気(低水分含量雰囲気)下で行うことが好ましい。
そして、染色工程は、色素溶液の多孔質体への接触から乾燥まで、一貫して乾燥雰囲気下で行うのが特に好ましい。
染色工程を行う回数は、複数回であれば良く、色素の種類、色素溶液の色素濃度等に応じて適宜調節すれば良い。例えば、色素濃度が上記の数値範囲内である場合には、2〜15回であることが好ましく、2〜10回であることがより好ましい。下限値以上とすることで、多孔質体への色素の担持量を十分向上させることができ、上限値以下とすることで、色素の担持量を低下させることなく工程時間を一層短縮できる。
染色工程後は、染色された多孔質体を洗浄する工程(以下、洗浄工程と略記する)を行わなくても、良好な状態で色素が担持された多孔質体が得られる。これは、従来、多孔質体に一回の接触で担持させていた場合と同等以上の量の色素を、複数回に分けて接触させ、接触一回あたりの色素担持量を低減することにより、多孔質体での色素の析出、会合、多重担持等が抑制され、洗浄の対象物が極めて少ないか又は存在しないからである。
本発明の染色方法は、酸化チタン層を多孔質半導体とする増感色素による染色に好適である。以下、多孔質酸化チタン層について説明する。
多孔質酸化チタン層は、例えば、基材上に酸化チタン含有ペーストを塗布し、加熱処理(焼成)することにより形成できる。ペーストの塗布方法は特に限定されず、スクリーン印刷法、スピンコート法、スキージ法、ドクターブレード法等の公知の方法が例示できる。
前記酸化チタン含有ペーストの好ましいものとしては、酸化チタン粒子、有機バインダ樹脂及び溶剤が配合されたものが例示できる。さらに必要に応じて、多孔質酸化チタン層に空隙部を形成するための加熱消滅性樹脂粒子や、各種添加剤が配合されていても良い。
多孔質酸化チタン層は、表面積が大きいほど色素を効率良く担持できる。そこで、原料である酸化チタン粒子の表面積は大きいほど好ましい。
酸化チタン粒子の表面積を大きくするために、酸化チタンの一次粒子径(体積平均粒子径)は小さいほど好ましい。そこで、酸化チタン粒子の一次粒子径は、3〜500nmであることが好ましく、3〜200nmであることがより好ましい。また、酸化チタン粒子中、一次粒子径が3〜500nmであるものの含有量は60質量%以上であることが好ましい。3nm以上であることにより、粒子界面での相互作用が小さくなり、粒子の分散が容易になる。また、酸化チタン粒子の合成が容易になり、安価に入手できる。一方、500nm以下であることにより、酸化チタン粒子の表面積が一層大きくなる。ただし、例えば、一次粒子径が3〜5nmの酸化チタン粒子のみでは、粒子同士が密に合着し、多孔質酸化チタン層の表面積が十分に大きくならない可能性がある。そこで、例えば、一次粒子径が5〜50nmのもののみを用いてもよいし、一次粒子径が3〜50nmのものと、50〜500nmのものとを併用するなど、一次粒子径が異なる二種以上のものを併用しても良い。
酸化チタン粒子の結晶型は、アナターゼ型、ルチル型及びブルカイト型のいずれでも良い。色素増感太陽電池の製造に利用する場合には、例えば、アナターゼ型とすることにより、ルチル型よりも反応活性を高くでき、色素からの電子注入が一層効率的になる。また、ルチル型は屈折率が高いため、ルチル型とすることにより、光散乱効果及び光閉じこめ効果を一層高めることができ、多孔質酸化チタン層における光利用効率を一層高めることができる。
酸化チタン粒子の形状は、特に限定されず、球状又はその類似形状、正八面体状又はその類似形状、星状又はその類似形状、針状、板状、繊維状等が例示できる。これらの中では、球状又は正八面体状の類似形状のものが容易に入手できる。また、長繊維状等の繊維状とすることで、光散乱効果と電子移動効率を、一層高めることができる。
前記ペースト中の酸化チタン粒子の含有量は、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。下限値以上であることで、適度な膜厚でペーストを塗布でき、さらに、粘度調整のために有機バインダ樹脂等を過剰に加える必要がなくなる。また、上限値以下であることで、ペーストの粘度が一層良好となり、ペーストの塗布が一層容易となって、さらに塗布後のペーストの膜厚が厚くなり過ぎない。特に、前記酸化チタン粒子の含有量が10〜30質量%の場合には、全体の濃度調整が一層容易となり、適度な厚さの多孔質酸化チタン層を容易に形成できる。
前記有機バインダ樹脂は、溶剤に溶解して、酸化チタン含有ペーストの粘度を調整する。また、酸化チタン粒子及び前記加熱消滅性樹脂粒子の分散状態を安定化させる。
前記有機バインダ樹脂は、前記加熱消滅性樹脂粒子と同様に、酸化チタン含有ペーストの加熱処理時に、消失する性能を有するものが好ましい。また、酸化チタン粒子を良好に分散させ、極性溶媒に溶解し易いものが好ましい。
前記有機バインダ樹脂としては、特に限定されず、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルコールアセタール変性物、ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、デキストリン等が例示できる。これらの中でも、色素増感太陽電池の酸化チタン電極を形成するためのペーストの原料としては、使用実績と入手の容易性の観点から、エチルセルロースが特に好ましいものとして例示できる。エチルセルロースの市販品としては、「エトセル(登録商標)(米国ダウケミカルカンパニー製)」等が例示できる。
エチルセルロースのグレードは、例えば、トルエン:エタノール=80:20の混合溶媒に5%濃度で溶解した際の粘度で表される。エチルセルロースを用いる場合、そのグレードは、酸化チタン粒子の粒径又は配合量、前記加熱消滅性樹脂粒子の粒径又は配合量、溶媒の種類、及び界面活性剤の配合の有無等により適宜選択される。例えば、粘度が好ましくは7〜100cP、より好ましくは10〜45cPのエチルセルロースが用いられる。
前記有機バインダ樹脂は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記ペースト中の前記有機バインダ樹脂の含有量は、3〜30質量%であることが好ましい。下限値以上であることにより、ペーストの分散安定性が一層向上する。また、上限値以下であることにより、ペーストの粘度が高くなり過ぎず、ペーストを基材に一層容易に塗布できる。
前記ペーストに配合される溶媒は、特に限定されないが、適度な極性、沸点及び蒸気圧を有するものが好ましい。
前記溶媒の極性は、酸化チタン粒子の分散性に影響する。そして、酸化チタン粒子の表面には酸素原子が存在するため、前記溶媒は、極性の観点からは、水素結合を形成可能な水酸基を有するアルコール類又はアミド類が好ましい。
また、前記溶媒は、前記ペーストの保存時における各成分の濃度変化が抑制されるように、ある程度沸点が高く、飽和蒸気圧が低いものが好ましい。
また、前記溶媒は、焼成時に揮発するよう、前記ペーストの焼成温度(例えば、500℃)以下の沸点を有し、かつ揮発前に分解等により残渣を形成しないものが好ましい。
前記溶媒として具体的には、アルコール類、アミド類、スルホキシド類、アミン類、エーテル類、エステル類、天然アルコール類、水等が例示できる。
前記アルコール類としては、ブチルアルコール、ベンジルアルコール、ブチルカルビトール等が例示できる。
前記アミド類としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチル−2−ピロリドン等が例示できる。
前記スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシド等が例示できる。
前記エーテル類のうち、環状エーテル類としてはジオキサン等が例示でき、グリコールエーテル類としてはエチルセロソルブ、メチルセロソルブ等が例示できる。
前記エステル類としては、ジブチルフタレート等が例示できる。
前記天然アルコール類としては、テルピネオール等が例示できる。
これらの中でも、これまでの使用実績等から、特に好ましいものとしてテルピネオールが例示できる。テルピネオールは市販品が入手でき、安価であり、大量かつ容易に入手できる。
前記溶剤は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記加熱消滅性樹脂粒子の材質としては、基材上に形成した酸化チタン含有ペースト層を加熱した時に、確実に消失可能なポリスチレン、アクリル系樹脂等の合成樹脂が例示できる。
前記加熱消滅性樹脂粒子の粒径は、10nm〜1μmであることが好ましい。下限値以上であることにより、酸化チタン層における空隙部がより大きくなり、例えば、電解質溶液との接触による反応場の提供、光散乱による光の利用効率向上等の観点で一層有利である。また、上限値以下であることで、空隙部が大きくなりすぎず、多孔質酸化チタン層の表面積が一層大きくなる。その結果、多孔質酸化チタン層における色素の担持量が一層増大し、色素増感太陽電池における発電効率が一層向上する。さらに、空隙部が大きくなり過ぎないことにより、酸化チタン電極自体の強度を一層向上させることができる。前記加熱消滅性樹脂粒子の粒径の下限値は、20nmであることがより好ましく、30nmであることがさらに好ましい。そして、上限値は500nmであることがより好ましく、300nmであることがより好ましい。
前記加熱消滅性樹脂粒子は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
例えば、粒径が異なる二種以上の前記加熱消滅性樹脂粒子を使用する場合には、すべての粒径が前記数値範囲内である必要はなく、少量の大粒径粒子を使用したり、比較的多量の小粒径粒子を使用したりすることもできる。
前記ペースト中の前記加熱消滅性樹脂粒子の含有量は、3〜60質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。下限値以上であることで、多孔質酸化チタン層に空隙部を適度に形成でき、多孔質酸化チタン層の表面積を一層大きくできる。また、上限値以下であることで、焼成後の多孔質酸化チタン層の密度が一層高くなり、電極としての電導性が向上すると共に、多孔質酸化チタン層の強度が一層向上する。特に含有量が10〜40質量%であると、前記加熱消滅性樹脂粒子の配合効果が顕著に高く、多孔質酸化チタン層がより一層好ましい多孔質構造となり、光電変換効率がより一層高い色素増感太陽電池を提供できる。
前記添加剤としては、界面活性剤等の分散剤、分散安定剤、消泡剤、酸化防止剤、着色剤、粘度調整剤等が例示できる。
前記ペーストは、安定化のために、分散剤が配合されたものが好ましい。
塩等の強イオン性の分散剤は、酸化チタンへのアルカリ金属等の付着による性能変化を引き起こす可能性が高い。そこで、前記分散剤としては、非アルカリ金属性の分散剤が好ましく、ノニオン性及びイオン性のいずれも好適である。
前記分散剤は特に限定されず、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類等が例示できる。
前記分散剤は、酸化チタン粒子、加熱消滅性樹脂粒子及び添加剤の種類並びに濃度に応じて、適宜選択すれば良く、特に分散性が高いことから、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸類が好ましい。
前記ペーストを調製する際の、配合成分の添加順序は特に限定されない。例えば、酸化チタン粒子及び加熱消滅性樹脂粒子が良好な分散状態となるように、適宜調節すれば良い。また、ペーストは、例えば、公知の分散機を使用して調製できる。
ここまでは、酸化チタン含有ペーストを使用して、加熱処理(焼成)することにより、多孔質酸化チタン層を形成する方法について説明したが、ヘリウム等の搬送ガスによって、酸化チタン微粒子を高速で基材に吹き付けて薄膜層を形成する、エアロゾルデポジション法(AD法、例えば、「国際公開第WO01/27348A1号パンフレット」、「特許第3265481号公報」参照)によっても、多孔質酸化チタン層を形成できる。
前記基材は、目的に応じて適宜選択すれば良いが、導電性を有するものが好ましく、例えば、基材本体の表面に導電層が積層されたものが例示できる。
基材本体は、可視光を透過する透明基材であれば良く、その材質はガラス又はプラスチックであることが好ましい。特に、色素増感太陽電池の光電変換効率を高めるためには、可視光透過率が高いほど好ましく、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、85%以上であることが特に好ましい。ここで可視光とは、波長400〜780nmの光を意味する。基材本体の可視光透過率は、例えば、積分球付きの透過率光度計で測定できる。
前記ガラスは、特に限定されず、ソーダライムガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、バイコールガラス、無アルカリガラス、青板ガラス、白板ガラス等が例示できる。
前記プラスチックは、特に限定されず、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等が例示できる。これらのなかでは、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)は、透明耐熱フィルムとして大量に生産及び使用されている。
薄く、軽く、かつフレキシブルな色素増感太陽電池を製造するという観点からは、基材本体はPETフィルムであることが好ましい。
前記導電層の材質としては、金属、金属酸化物、導電性高分子等が例示できる。色素増感太陽電池に適用する場合には、導電層を有する前記基材は透明であることが好ましく、前記導電層の材質は、透明な金属酸化物又は導電性高分子であることが好ましい。
前記金属酸化物としては、酸化インジウム/酸化スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウム/酸化亜鉛(IZO)、酸化ガリウム/酸化亜鉛(GZO)、酸化チタン等が例示できる。これらの中でも、伝導度が高いITO、耐熱性及び耐候性に優れたFTOが特に好ましい。
前記導電層は、単層及び複数層のいずれであっても良く、複数層の場合、すべての層が同じでも異なっていても良く、一部の層が異なっていても良い。
前記ペーストの加熱処理(焼成)時の温度は、200〜500℃であることが好ましく、300〜500℃であることがより好ましい。
また、前記ペーストの加熱処理(焼成)の時間は、10分〜10時間であることが好ましく、30分〜3時間であることがより好ましい。
本発明によれば、多孔質体を長時間色素溶液に浸漬する従来法よりも、格段に短時間で簡便且つ効率的に多孔質体を色素で染色できる。例えば、色素溶液の多孔質体との接触は、特殊な装置が不要で、簡便に行うことができるので、工程を簡略化できる。そして、例えば、ロール・トゥ・ロール方式への適用も容易であり、染色方法の制約を受けず、汎用性が高い。また、多孔質体における色素の析出等が抑制されるので、一層良好な状態で色素を多孔質体に担持させることができる。さらに、色素の析出等が抑制されることで、染色工程後の洗浄工程が省略でき、その結果、一層短時間での染色が可能となる。また、色素溶液の多孔質体との接触を、塗布法、滴下法、印刷法等、浸漬法以外で行うことにより、色素の使用量を大幅に低減でき、低コストで染色できる。
従来の染色方法は、いずれも、色素溶液との一回の接触で、多孔質層に効率良く色素を担持させることを目的としており、その結果、染色工程が却って複雑になり、汎用性が低く、染色に要する時間が長くなってしまっていた。これに対して本発明は、従来法とは全く異なり、接触一回あたりの色素担持量を低減して、複数回接触させることで、これら問題点を解決したものである。
本発明の染色方法は、例えば、多孔質半導体の増感色素による染色に有用であり、本発明の方法で染色された多孔質半導体を使用すること以外は、従来のものと同様に、色素増感太陽電池を構成できる。
例えば、透明な基材本体の表面に、透明導電層及び多孔質半導体層がこの順に積層され、多孔質半導体層が本発明の方法で染色された電極を作製し、別途、透明な基材本体の表面に、白金(Pt)等の導電層が積層された対向電極を用意して、所定の間隔をおいて、これら電極同士を対向配置し、これら電極間の空隙部に電解液を充填すれば良い。
本発明の染色方法が適用された色素増感太陽電池には、従来のものと同等以上の特性を付与できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<電極の製造>
[実施例1]
(色素増感太陽電池用電極の作製)
表面に透明導電膜としてFTOを備えたガラス基材を使用して、その透明導電膜上に、酸化チタンペースト(Ti−Nanoxide D/SP、Solaronix社製)をスクリーン印刷法にて塗布し、窒素大気圧雰囲気下、500℃で30分間加熱して焼成することで、多孔質酸化チタン層を形成し、電極基材とした。多孔質酸化チタン層の厚さは6μmであった。
次いで、平面視での多孔質酸化チタン層の表面積が4×4mmとなるような大きさで、前記電極基材を切り出した。また、濃度が0.3mMとなるようにMK2をトルエンに溶解させたMK2溶液を調製した。そして、窒素ガス雰囲気下、室温において、電極基材の多孔質酸化チタン層上にMK2溶液をスポイトで1滴滴下して、自然乾燥させる染色工程を行い、MK2を多孔質酸化チタン層に担持(吸着)させた。この染色工程を3回行い、この後洗浄を行うことなく、そのまま色素増感太陽電池用電極とした。なお、1滴で滴下される溶液の量は、概ね10μm未満であった。また、一回の染色工程に要する時間は、2分以下であった。これは、以下の各実施例及び比較例も同様である。
(色素増感太陽電池の簡易セルの作製)
得られた色素増感太陽電池用電極の多孔質酸化チタン層の周りに、厚さ30μmのシリコンゴムシートをスペーサーとして設置した。ここに、電解液(Iodolyte50、Solaronix社製)を注入し、その上に、気泡を巻き込まないように、対向電極として白金コーティング付きガラスを重ねて、ダブルクリップを使用して圧着させ、色素増感太陽電池の簡易セルを作製した。有効面積は4×4mmとした。
(4)I−V特性及び光電変換効率の測定
ソーラーシミュレーター及びIV特性測定装置を接続した評価装置を使用して、AM(エア・マス)1.5及び100mW/cmの条件で、得られた簡易セルのI−V特性及び光電変換効率を測定した。結果を表1及び図1に示す。なお、表1中、「Isc」は短絡電流を、「Voc」は開放端電圧をそれぞれ示す。
[実施例2]
MK2溶液(0.3mM、溶媒:トルエン)に代えて、アセトニトリル/tert−ブタノール(1/1、体積比)の混合溶媒に濃度が0.3mMとなるようにN719を溶解させたN719溶液を使用し、染色工程を5回行ったこと以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池用電極を作製し、簡易セルのI−V特性及び光電変換効率を測定した。結果を表1及び図2に示す。
[実施例3]
染色工程を5回に代えて8回行ったこと以外は、実施例2と同様に色素増感太陽電池用電極を作製し、簡易セルのI−V特性及び光電変換効率を測定した。結果を表1及び図2に示す。
[比較例1]
MK2溶液(0.3mM、溶媒:トルエン)を電極基材の多孔質酸化チタン層上に滴下する代わりに、電極基材をMK2溶液(0.3mM、溶媒:トルエン)中に20時間浸漬し、浸漬終了後に、電極を溶剤で洗浄し、乾燥させることで染色したこと以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池用電極を作製し、簡易セルのI−V特性及び光電変換効率を測定した。結果を表1及び図1に示す。
[比較例2]
MK2溶液(0.3mM、溶媒:トルエン)を電極基材の多孔質酸化チタン層上に滴下する代わりに、電極基材をN719溶液(0.3mM、溶媒:アセトニトリル/tert−ブタノール(1/1、体積比))中に20時間浸漬し、浸漬終了後に、電極を溶媒で洗浄し、乾燥させることで染色したこと以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池用電極を作製し、簡易セルのI−V特性及び光電変換効率を測定した。結果を表1及び図2に示す。
[比較例3]
MK2溶液(0.3mM、溶媒:トルエン)に代えて、N719溶液(0.3mM、溶媒:アセトニトリル/tert−ブタノール(1/1、体積比))を使用し、染色工程を3回に代えて1回行ったこと以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池用電極を作製し、簡易セルのI−V特性及び光電変換効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例4]
MK2溶液(0.3mM、溶媒:トルエン)に代えて、N719溶液(5mM、溶媒:アセトニトリル/tert−ブタノール(1/1、体積比))を使用し、染色工程を3回に代えて1回行ったこと以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池用電極を作製し、簡易セルのI−V特性及び光電変換効率を測定した。結果を表1に示す。
実施例1〜3は、いずれも比較例1〜2(従来法)よりも極めて短時間で多孔質酸化チタン層を染色でき、さらに、セルの光電変換効率は、実施例2〜3では比較例2に迫る高い値が得られ、実施例1ではわずか三回の染色工程で比較例1を超える極めて高い値が得られた。MK2は吸光度が高く、比較的少量の染色で十分に吸光し、本発明の染色方法に特に適していると考えられる。なお、電子顕微鏡で観察した結果、多孔質酸化チタン層の表面における色素の析出は、比較例3では認められなかったが、比較例4では認められた。これは、比較例4のN719溶液の濃度が高過ぎるためであると推測された。
以上のように、本発明により、短時間で簡便且つ効率的に多孔質体を色素で染色できることが確認できた。
[比較例5]
上記各実施例及び比較例と同じ電極基材を四つ使用し、この電極基材のN719溶液への浸漬時間以外の条件を比較例2と同じとして、四通りの浸漬時間で、四種の色素増感太陽電池用電極を作製し、それぞれの簡易セルのI−V特性を測定し、光電変換効率を求めた。結果を図3に示す。
図3から明らかなように、従来の浸漬法による染色では、得られるセルの光電変換効率は、浸漬時間の長さの影響を大きく受け、例えば、浸漬時間10分以下の場合には、1000分程度の場合の半分程度の効率しか得られなかった。
本発明は、多孔質体の染色を必要とする色素増感太陽電池等、各種機器の製造に利用可能である。

Claims (6)

  1. 多孔質体を色素で染色する方法であって、
    前記色素を含有する溶液を前記多孔質体に接触させ、次いで乾燥させて、前記色素を前記多孔質体に担持させる染色工程を複数回行うことを特徴とする多孔質体の染色方法。
  2. 前記溶液の色素濃度が5mmol/L未満であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質体の染色方法。
  3. 前記溶液の色素濃度が0.5mmol/L以下であることを特徴とする請求項2に記載の多孔質体の染色方法。
  4. 前記染色工程を乾燥雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質体の染色方法。
  5. 前記染色工程後に、前記多孔質体を洗浄する工程を行わないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質体の染色方法。
  6. 前記色素が金属非含有有機色素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質体の染色方法。
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