JP2012112424A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力側ディスクにおいて、内側面側と内周面側とを別々に高周波焼入れする場合に、必要十分は有効硬化層深さを確保しつつ、焼割れの発生を防止できるトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】このトロイダル型無段変速機は、一対の出力側ディスクを一体に設けた一体型出力側ディスク71を備える。一体型出力側ディスク71が、内側面71aと、内周面71bとに別々に高周波焼入れが行われる。内側面71aの高周波焼入れの有効硬化層74は、内側面のロー側からハイ側に向うにつれて、浅くなっている。これにより、内側面71aの有効硬化層74と、内周面71bの高周波焼入れによる有効硬化層73とが重ならない。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図4および図5に示すように構成されている。図4に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力側ディスク3,3の内側面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図5参照)が回転自在に挟持されている。
図4中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図4の右面)がローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図5は、図4のA−A線に沿う断面図である。図5に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図5においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、支持板部16の長手方向(図5の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部(第1の軸部)23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部(第2の軸部)23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図5の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図4の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は球状凹面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図5で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図5の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図5の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の変速比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
このようなトロイダル型無段変速機のトラクション面である入力側ディスク2,2の内側面2a,2a、出力側ディスク3,3の内側面3a,3aおよびパワーローラ11,11の周面11a,11aにおいては、例えば、エンジントルクの入力によって、面圧入力を受けることになるので、面疲労強度に優れることが要求されるとともに、高い表面硬度と、深い硬化層とが必要になる。
そこで、上述の入力側ディスク2,2、出力側ディスク3,3およびパワーローラ11の表面に浸炭焼入れ処理を施すとともに、トラクション面である入力側ディスク2,2の内側面2a,2a、出力側ディスク3,3の内側面3a,3aおよびパワーローラ11,11の周面11a,11aに高周波焼入れを施し、さらに焼戻しを施すことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この場合に、浸炭焼入れ処理が施されるが高周波焼入れが施されていない部分の表面硬さをHv650以上にするとともに有効硬化層深さを2mm以下とし、高周波焼入れが施された部分の表面硬さをHv750以上にするとともに有効硬化層深さを2mm以上とすることが提案されている。
また、パワーローラ11,11のスラスト玉軸受24において、内輪であるパワーローラ11,11の軌道輪と、外輪28の軌道輪とに浸炭、浸炭窒化、高周波焼入れ等の表面硬化のための熱処理を施す場合に、寸法が小さい方(肉厚が薄い方)の軌道輪の焼き割れや脱炭の熱処理不良を防ぐために寸法が小さい方の有効硬化層深さを浅くすることが知られている。(例えば、特許文献2参照)。また、特許文献2には、上述のような熱処理上の問題ではなく、寸法や形状の大小によらず荷重の負荷方法や軌道輪の支持方法によって耐曲げ強度や対衝撃強度が要求される場合も、破壊靱性を上げるために一方の軌道輪の浸炭、浸炭窒化、高周波焼入れ等により形成される硬化層の深さを浅くすることが行われていることが記載されている。
また、入力側ディスク2,2および出力側ディスク3,3の内側面2a、3aと、これら入力側ディスク2,2および出力側ディスク3,3の中央の貫通孔の内周面と、入力側ディスク2,2および出力側ディスク3,3の内側面2a、3a側の内端面(小端面)とに高周波焼入れを施すことが知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、特許文献3には、入力側ディスク2,2および出力側ディスク3,3において、内側面2a、3aと、内周面と、内端面とを別々に高周波焼入れするのではなく、これらに同時に高周波焼入れを施すことが提案されている。
特開平6−159463号公報 特開平11−62950号公報 特開2005−226753号公報
ところで、上述のように、間にパワーローラ11,11が配置されている入力側ディスク2,2および出力側ディスク3,3を2組備えるダブルキャビティ型のハーフトロイダル型無段変速機においては、図4に示すように2枚の出力側ディスク3,3が背面を互いに対向させた状態で配置される。このような配置において、2枚の出力側ディスク3,3をその背面同士を接合させた形状の構造にしたものが知られている。たとえば、図6に示すように、一対の出力側ディスク3,3を一体に製造した形状の一体型出力側ディスク71が知られている。なお、図6等に示す一体型出力側ディスク71の断面においては、後述の有効硬化層72,73を分かり易く図示するために、断面のうちの有効硬化層72,73だけにハッチングを施している。
このような一体型出力側ディスク71においては、両方の側面がそれぞれ入力側ディスク2,2に対向する内側面71aになる。
また、一体型出力側ディスク71の中央の貫通孔には、例えばラジアル軸受が配置される。この一体型出力側ディスク71の中央の貫通孔の内周面71bには、中央部71fの前後に中央部71fより内径が大きくされ、かつ、上述のラジアル軸受の転動体(例えばニードル)が転動する転動面71e,71eが形成されている。また、転動面71eより貫通孔の開口側には、一体型出力側ディスク71の軸方向の位置を支持する軸受が配置される拡径部71gが設けられている。この拡径部71gにおいては、貫通孔の内径が転動面71eの部分より大きくなっている。
以上のように、一体型出力側ディスク71の内周面は軸受の転動体の転動面になることから、高い表面硬度が要求される。
また、各出力側ディスク3,3は、径の小さい小径端部(小端面側の端部)と、小径端部に対して径の大きな大径端部(大端面側の端部)とを有する。これら2つの出力側ディスク3,3を合わせた一体型出力側ディスク71においては、大径端部同士が接合された形状となっている。この大径端部が接合された形状の部分を大径部71cとし、一体型出力側ディスク71の軸方向の両端部(小径端部)を小径部71d、71dとする。
また、一体型出力側ディスク71の大径部71cの外周面は、図6に一部を残して図示したように、出力歯車71hとなっている。
なお、一体型出力側ディスク71においては、単独の出力側ディスクと同様に、内側面71aのパワーローラ11がトラクション油を介して接触する部分が、中立位置より小径部71d、71d側の場合に変速比がハイ側になり、大径部71c側の場合にロー側になる。
上述のように高周波焼入れを内側面71aと、中央の貫通孔の内周面71bとで同時に行おうとした場合に、一体型出力側ディスク71の表面の多くの部分が高周波焼入れの対象となってしまう。
ここで、高周波焼入れを行う場合に、高周波焼入れを行う表面に対向して加熱用コイルを配置するとともに、一体型出力側ディスク71を動かないように固定的に支持する必要がある。しかし、上述のように内側面71aと内周面71bとを同時に高周波焼入れしようとすると、一体型出力側ディスク71には、支持される部分が無くなってしまい、一体型出力側ディスク71を支持することが困難となる。
したがって、一体型出力側ディスク71においては、その内側面71aと内周面71bとを同時に高周波焼入れすることが困難である。
そこで、内側面71aと内周面71bとに対して、それぞれ別々に、時間をずらして高周波焼入れを行う必要がある。すなわち、少なくとも内側面71aの高周波焼入れと、内周面71bの高周波焼入れとを別に行うことになる。
一体型出力側ディスク71の小径部71dにおいては、一体型出力側ディスク71の径方向の肉厚が薄く、内側面71aと内周面71bとが近接した状態となっている。したがって、一体型出力側ディスク71の内側面71a側の有効硬化層(焼入れ層)72と、内周面71b側の有効硬化層(焼入れ層)73とが、小径部71dにおいて重なる(ラップする)ことになる。
すなわち、内側面71aと、内周面71bとの高周波焼入れを別々に行った場合に、小径部71dでは、二度高周波焼入れが行われる部分が生じてしまう。
この場合に、二度高周波焼入れが行われる部分で、焼割れの発生が懸念され、一体型出力側ディスク71の製造における歩留まりの低下を招く虞がある。
また、小径部71dの内周側には、上述の内径が大きくなった拡径部71gが形成されることよって、さらに肉厚が薄くなっているので、焼割れが発生し易くなってしまう。
また、一体型ではない出力側ディスク3,3においても、内側面3aと内周面とを別々に高周波焼入れした場合に、小端面側の肉厚の薄い部分で、内側面3a側の有効硬化層と、内周面側の有効効果層が重なってしまい、一体型出力側ディスク71の場合と同様の問題が生じる。
なお、図6においては、2つの内側面71a,71aのうちの一方の内側面71aのみに有効硬化層72を図示しているが、有効硬化層72は、両方の内側面71a,71aに形成される。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、出力側ディスクにおいて、内側面側と内周面側とを別々に高周波焼入れする場合に、必要十分は有効硬化層深さを確保しつつ、焼割れの発生を防止できるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラとを備え、
前記出力側ディスクの内側面に高周波焼入れが施され、かつ、前記出力側ディスクの内側面にトラクション油を介して前記パワーローラが接触した場合に、変速比がロー側になる前記内側面の部位側からハイ側になる前記内側面の部位側に向って、高周波焼入れの焼入れ深さを浅くしていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明においては、内側面の高周波焼入れの焼入れ深さ(たとえば、有効硬化層深さ)が、出力側ディスクの内側面のロー側である大端面(大径部)側より、出力側ディスクの内側面のハイ側である小端面(小径部)側で浅くなる。したがって、出力側ディスクの内側面と、内周面とに別々に高周波焼入れを施した場合に、小端部において、内側面側の焼入れ深さが浅くなることによって、内側面側の焼入れ部分と、内周面側の焼入れ部分とが重なるのを抑制することができる。
これにより、出力側ディスクの内側面と内周面とで別々に時間をずらして高周波焼入れを行っても、出力側ディスクの小端面(小径部)側で焼割れが生じるのを防止することができる。
なお、内側面のロー側からハイ側に向って焼入れ深さを浅くすることから、基本的に小径部(小端面)側が最も焼入れ深さが短くなる。
また、出力側ディスクの内側面のせん断応力の深さの分布は、内側面のロー側(小径部側)とハイ側(大径部側)とにおいて、せん断応力がピークになる深さが、ハイ側よりロー側が深くなっている。したがって、ハイ側でロー側より焼入れ深さを浅くしても必要な深さを確保でき、内側面のハイ側の焼入れ深さをロー側より浅くしても問題が生じない。
請求項2に記載のトロイダル型無段変速機は、請求項1に記載の発明において、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとを一対ずつ備え、一対の前記出力側ディスクが一体に設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明においては、出力側ディスクが、一対の出力側ディスクを一体に設けた一体型出力側ディスクとなっているので、上述のように内側面と内周面とで同時に高周波焼入れを行うことが困難である。したがって、内側面と内周面とに、別々に時間をずらして高周波焼入れを行う必要がある。この場合に、効果的に焼割れを防止することができる。
請求項3に記載のトロイダル型無段変速機は、請求項2に記載の発明において、前記出力側ディスクに貫通孔が形成され、前記貫通孔の内周面に前記一体型出力側ディスクを放射方向の力を受けつつ回転自在に支持する軸受の転動体が転動する転動面が形成され、前記転動面より前記貫通孔の開口部側に、前記転動面が形成された部分より内径が大きくされ、かつ、前記一体型出力側ディスクを軸方向の力を受けつつ回転自在に支持する軸受が設けられる拡径部を備えていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明においては、拡径部によって、小径部の径方向に沿った肉厚がさらに薄くなることから、内側面側の焼入れ層と、内周面側の焼入れ層とが重なってしまう可能性が高くなるが、内側面側の焼入れ層をハイ側となる小径部側で浅くすることによって、小径部の肉厚が薄くなっても、これら焼入れ層が重なるのを防止することができる。
本発明のトロイダル型無段変速機によれば、出力側ディスクの内側面と内周面とを別々に高周波焼入れした場合に、小端面(小径部)側で焼割れが生じるのを防止することができる。
本発明の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の一体型出力側ディスクの内側面および内周面の焼入れ層を説明するための一体型出力側ディスクを示す要部断面図である。 前記出力側ディスクの内側面への高周波焼入れの方法を説明するための図である。 出力側ディスクの内側面の深さにおけるせん断応力分布のロー側とハイ側との違いを示すグラフである。 従来から知られているハーフトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。 図4のA−A線に沿う断面図である。 従来のトロイダル型無段変速機の一体型出力側ディスクの内側面および内周面の焼入れ層を説明するための一体型出力側ディスクを示す要部断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
なお、本発明の特徴は、出力側ディスクの焼入れ層の構造にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、説明を省略する。
図1に示すように、この実施形態の一体型出力側ディスク71の内側面の高周波焼入れによる有効硬化層(焼入れ層)74は、内側面71a、71aのロー側(大径部71c側)からハイ側(小径部71d)側に向って浅くされている。すなわち、内側面71aのロー(Low)側からハイ(High)側に向うほど有効硬化層74の深さが徐々に浅くなるようになっている。
ここで、内側面71aにおいては、小径部71d側がハイ側になり、大径部71c側がロー側になる。
この実施形態においては、一体型出力側ディスク71の内周面71bに、内側面71aとは別の段階で、高周波焼入れが行われ、従来と同様の有効硬化層(焼入れ層)73が形成されている。
一体型出力側ディスク71の内側面71aの小径部71d側においては、内周面71b側の有効硬化層73と、内側面71a側の浅くされた有効硬化層74とが重なることなく、離れた状態となっている。すなわち、この一体型出力側ディスク71においては、内周面71b側の有効硬化層73と、内側面71a側の有効硬化層74とが重なる部分がなく、離れた状態となっている。
なお、内側面71aの有効硬化層74の深さは、ハイ側である小径部71dにおいて、内周面71bの有効硬化層73と重ならない深さとなっていればよいので、それよりロー側においては、有効硬化層74の深さに多少の誤差があってもよく、例えば、一部で他の部分より深くなっているような部分があってもよい。
また、ロー側からハイ側に向って、ほぼ同様の割合で、徐々に有効硬化層74が浅くなっていく構成となっている必要はなく、たとえば、一体型出力側ディスク71の内側面71aのロー側から径方向の略中央になる部分まで、有効硬化層74が同じ深さとされ、それよりハイ側で有効硬化層74が徐々に浅くなる構成であってもよい。
また、内側面71aの大径部71c近傍は、基本的にパワーローラ11がトラクション油を介して接触することがなく高い表面硬度を必要としないので、高周波焼入れが行われず、有効硬化層74が無い状態となっている。また、有効硬化層74の大径部71c側の端部においては、大径部71cに向って有効硬化層74の深さが薄くなる傾向となっているが、この部分も基本的にパワーローラ11がトラクション油を介して接触することがない部分、すなわち、最もローになる部分より外側になり、変速比のハイやローに関係しない部分である。
このような一体型出力側ディスク71の内側面71aの高周波焼入れの方法を説明する。
図2に示すように、例えば、一体型出力側ディスク71をその内周面71b側で固定し、内側面71aに対向する位置にコイル(高周波誘導加熱コイル)76を径方向に間隔をあけて複数段に配置する。この際に、コイル76は、正面視して円形状の内側面71aに対応して例えば渦巻き状に配置される。なお、コイルを同芯円状に複数配置してもよい。
また、内側面71aからのコイル76の各段(各部分)の距離は、内側面71aのロー側からハイ側に向うにつれて、長くなるようになっている。すなわち、内側面71aの外周(大径部71c)側から内周(小径部71d)側に向うにつれて、内側面71aからコイル76までの距離が長くなっている。
これにより、コイル76に一定の時間だけ高周波電流(交流電流)を流した場合に、有効硬化層74の深さがロー側からハイ側に向うにつれて浅くなる。
なお、内側面71aのロー側とハイ側とで異なるタイミングで交流電流を流せるようにした複数のコイル76を内側面71aから略等距離に配置し、ハイ側よりロー側の方が交流電流を流す時間を長くするものとしてもよい。この場合も、有効硬化層74の深さがロー側からハイ側に向うにつれて浅くなる。
このトロイダル型無段変速機にあっては、一体型出力側ディスク71の内周面71b側の高周波焼入れによる有効硬化層(焼入れ層)73と、一体型出力側ディスク71の内側面71a側の高周波焼入れによる有効硬化層(焼入れ層)74とを重ならずに離れた状態とすることができる。したがって、一体型出力側ディスク71において、内側面71aと、内周面71bとを別々に高周波焼入れするものとしても、焼入れ層が重なることによる焼割れの発生を防止することができる。これにより、一体型出力側ディスク71の製造の歩留まりの向上を図ることができる。
また、一体型出力側ディスク71の内周面71bと内側面71aとを別々に高周波焼入れすることから、高周波焼入れに際して、一体型出力側ディスク71を容易に支持可能になり、高周波焼入れの装置を簡単な構造として、コストの低減を図ることができる。
また、図3のグラフには、一定の所定条件で作動中のトロイダル型無段変速機において、出力側ディスクにおけるせん断応力の深さ方向の分布をロー側の場合とハイ側の場合に分けて示されている。せん断応力分布の深さのピークは、ロー側よりハイ側の方が浅くなっている。また、ロー側のピーク以降の深さにおいて、同じ深さならばハイ側のせん断応力の方がロー側のせん断応力より低くなっている。
したがって、ロー側よりハイ側の有効硬化層74の深さを浅くしても、硬度不足になる可能性が低い。すなわち、ハイ側に向うにつれて有効硬化層74の深さを浅くしても、必要な表面硬度を満たしていることになり、一体型出力側ディスク71の耐久性を維持することができる。
なお、この実施形態では、一体型出力側ディスク71の軸方向の荷重を支持しながら一体型出力側ディスク71を回転自在に支持する軸受を配置するために、内周面71bの小径部71d側に、内径が大きい拡径部71gを配置しているが、拡径部71gを備えないものとしてもよい。この場合も拡径部71gを備える場合と同様の作用効果を奏することができる。
また、一体型出力側ディスク71ではなく、一対の出力側ディスクを別体とした場合や、シングルキャビティ型のトロイダル型無段変速機で、出力側ディスクを一つしか持たない場合の出力側ディスクに対して、本発明を適用するものとしてもよい。単体の出力側ディスクにおいても、出力側ディスクの内側面と、内周面とで別々に高周波焼入れを行う場合に、上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なハーフトロイダル型無段変速機に適用することができる。
2 入力側ディスク
11 パワーローラ
71 一体型出力側ディスク(出力側ディスク)
71a 内側面
71b 内周面
71e 転動面
71g 拡径部
74 内周面の有効硬化層(焼入れ層)

Claims (3)

  1. それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラとを備え、
    前記出力側ディスクの内側面に高周波焼入れが施され、かつ、前記出力側ディスクの内側面にトラクション油を介して前記パワーローラが接触した場合に、変速比がロー側になる前記内側面の部位側からハイ側になる前記内側面の部位側に向って、高周波焼入れの焼入れ深さを浅くしていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとを一対ずつ備え、一対の前記出力側ディスクが一体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  3. 前記出力側ディスクに貫通孔が形成され、前記貫通孔の内周面に前記一体型出力側ディスクを放射方向の力を受けつつ回転自在に支持する軸受の転動体が転動する転動面が形成され、前記転動面より前記貫通孔の開口部側に、前記転動面が形成された部分より内径が大きくされ、かつ、前記一体型出力側ディスクを軸方向の力を受けつつ回転自在に支持する軸受が設けられる拡径部を備えていることを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。
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