JP2012110237A - フスマ粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 食物繊維を豊富に含み、健康食品素材として有用であるが、組織が固く、不快臭もあり、雑菌も多い穀物フスマから、ざらつきの少ない食感で、香ばしく、除菌されており、様々な用途に適用しやすい粉末を簡便に効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 穀物フスマを一旦100℃以上で加熱、混練、剪断、造粒を行い、それを粉砕し、篩機にかける穀物フスマ粉末の製造方法を提供することによって解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】 穀物フスマを一旦100℃以上で加熱、混練、剪断、造粒を行い、それを粉砕し、篩機にかける穀物フスマ粉末の製造方法を提供することによって解決する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、穀物フスマから、食べやすい食物繊維豊富な健康食品素材として有用なフスマ粉末を製造するフスマ粉末の製造方法に関する。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられ、前者は血糖値上昇抑制作用、血中コレステロール低下作用、中性脂肪低下作用、後者は便通を良くし、結果、宿便に起因すると考えられる大腸がんの予防などの効果が言われている。穀物フスマはこれら両方の食物繊維を多く含み、かつ、鉄分、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅などの栄養成分が豊富に含まれている。
しかし、穀物フスマは、元来は小麦等を製粉する際の副産物であり、そのままでは組織は強靭で、食感も悪く、特有の不快臭もあり、その上雑菌も非常に多く、食用には適さない。小麦粉などの食品原料に混ぜて使用するのが一般的であるが、混ぜるフスマの含量が多くなるにつれて、パンや菓子は膨らみが悪く、ソフト感がない目の詰まったものとなり、ボリューム感が劣るとともに、食味が悪くなるという欠点がある。特許文献1や特許文献2ではパンの食感がざらつくという欠点を解消するために、穀物フスマ粉末の粒径を細かくして微粉末とすることが提案されている。しかしながら、特許文献1のように小麦フスマを直径90μm以下に微粉砕するには手間がかかり、さらに、特許文献2のように小麦フスマの平均粒径を50μm以下とするには、小麦フスマを脱脂する必要があり、さらには脱脂に要した溶剤を完全に除去する工程も必要となり、極めて煩雑である。
穀物フスマは穀物表皮部分であり、従ってもともと菌が大量に付着している部分である。生めんや冷蔵・冷凍のめんやパン生地などのように加熱しないまま保存するような食品にフスマを使用するような場合、フスマ中に含まれる菌が原因で品質劣化が起こる場合も考えられる。それを防ぐためにフスマを加熱殺菌する工程が必要となるが、単に焙煎機等にかけただけでは十分な除菌効果は得られない。
エクストルーダーは加熱、混練、剪断、造粒ができることから穀類、蛋白、畜肉、魚肉など様々な食品原料加工に応用されている。特許文献3では米ヌカ、小麦フスマ、トウモロコシ外皮等をエクストルーダーでせん断・抽出処理を行い、食物繊維素材製造に応用している。特許文献4及び5では、フスマに含まれるフィチン酸を酵素処理で除去した後、エクストルーダー処理により加圧、加熱している。また、特許文献6ではエクストルーダーを用いて製造された、ベーカリー製品や菓子類などに配合する穀物フスマ造粒物について記載されている。しかしこれらはエクストルーダーの加熱、混練、剪断、造粒等の加工機能を活用した例を示すのみであり、フスマに含まれる雑菌の除菌、異臭除去、その後の粉末化への製造上のメリットについては何ら示唆されていない。特許文献7ではエクストルーダー処理により、付着微生物が殺菌され、かつ破断強度が低減された発芽玄米加工食品について記載されているが、フスマそのものへの効果は開示されていない。
本発明は、穀物フスマの強靭な組織をほぐし、剪断し、特有の不快臭や雑菌を抑え、良好な食感をもつ適度な粒径のフスマ粉末を収率よく、簡便に製造する方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、穀物フスマをエクストルーダーを用いて、一旦100℃以上で加熱、混練、剪断した後、造粒したものを粉砕し、篩機にかけることで簡便に収率よく、上記課題が達成できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、フスマを、100℃以上で加熱、混練、剪断、造粒した後、粉砕することを特徴とする穀物フスマ粉末の製造方法を提供することによって上記の課題を解決するものである。
フスマを100℃以上で加熱、混練、剪断、造粒するには、エクストルーダーを用いるのが望ましい。エクストルーダーには1軸式と2軸式があり、どちらを用いても良いが、混練、剪断、造粒といった性能面からは2軸式のエクストルーダーを用いるのが望ましい。
本発明に使用し得る穀物フスマとしては、小麦フスマ、オート麦フスマ、大麦フスマから選ばれる1種または2種以上が用いられる。小麦フスマは40質量%もの食物繊維を含み、その内訳は、水溶性食物繊維が約3質量%、不溶性食物繊維が約37質量%である。オート麦フスマは、食物繊維含有量はやや少なくて26.5質量%であるが、その内訳は、水溶性食物繊維が8.5質量%、不溶性食物繊維が18.0質量%(日本食品分析センター第206020347−001号)であり、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスが良い。また、大麦フスマは、品種によって食物繊維の含有量にかなりのばらつきがあるけれども、総じて、水溶性食物繊維に富んでいる。本発明においては、これらの穀物フスマを、含まれている食物繊維の量やバランスを考えて、適宜組み合わせて用いることができる。1種類の穀物フスマだけを用いてもよいことは勿論である。
なお、フスマを加熱、混練、剪断、造粒する温度、すなわち加熱、混練、剪断、造粒時の品温は、100℃以上であるのが好ましい。100℃未満では、得られる穀物フスマ粉末における雑菌の減少程度が十分でない。また、加熱、混練、剪断、造粒の温度は100℃以上であれば何度でも良いが、余りに高くしても、得られる効果にそれほどの違いがなくエネルギー的に無駄であるので、通常は200℃以下が好ましい。
食物繊維が豊富であり、近年健康食品素材として関心が高まってきているが、そのままでは食べづらい穀物フスマから、本発明の製造方法によって、一旦100℃以上で加熱、混練、剪断した後、造粒したものを粉砕、篩にかけることで、ザラツキや不快臭が少なくて食べやすく、かつ腐敗や賞味期限短縮の原因となる生菌数が抑えられた穀物フスマ加工粉末を簡便に、しかも効率良く製造できるという利点が得られる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下に示された実施例の範囲内に限定されるものではない。
原料として、400KgのWW(ウエスタンホワイト)小麦フスマ(水分13.8%)を用いた。この原料として用いた小麦フスマの一般生菌数(標準寒天培地で35℃、48時間培養;食品衛生検査指針(1990))は8850/gであった。これをDAYI machinery社製2軸式エクストルーダー(中心バレル温度130℃)にかけ、造粒物369Kg(水分6.5%)を得たが、この造粒物1g当たりの一般生菌数は100/g未満に減少していた。次に、この造粒物を西村機械製粉砕機にかけたところ、65Kg/hrの処理速度で、粉砕物(水分5.2%)358Kgを得た。この粉砕物の一般生菌数は100/gであった。これを篩機にかけ、粒径180μm未満の粉末265Kg、180μm以上の粉末80Kgを得た。この粒径180μm未満の粉末はザラツキの少ない舌触りで、フスマ特有の不快臭の代わりに香ばしさも感じられ、食品素材としても満足できるものであった。この粒径180μm未満の粉末のみかけの収率は66%、水分ロスを考慮した収率は72%であった。因みに、みかけの収率は、得られた小麦フスマ粉末の質量が265kg、原料として用いた小麦フスマのが質量400kgであるので、(265kg/400kg)×100=66%として求めた。また、みかけの収率は、原料として用いた小麦フスマの水分が13.8%、得られた小麦フスマ粉末の水分が5.2%であるから、水分ロスは34.4kg(=400kg×(0.138−0.052))となるので、この水分ロスを原料として用いた小麦フスマの質量から減算して、72%(={265kg/(400kg−34.4kg)}×100)として求めた。
(比較例1)
400KgのWW小麦フスマ(水分13.4%、一般生菌数19600/g)を焙煎機(ヒーター温度160℃)にかけ、小麦フスマ焙煎物367Kg(水分5.6%)を得た。この小麦フスマ焙煎物の一般生菌数は2400/gであった。これを実施例1と同様に粉砕機にかけたところ、処理速度は30Kg/hrであり、粉砕物は354Kg、水分4.3%であった。この粉砕物の一般生菌数は2600/gであり、実施例1で得られた小麦フスマ粉末の一般生菌数100/gよりもはるかに多かった。これを篩機に通したところ、粒径180μm未満の粉末は226Kg、粒径180μm以上の粉末は113Kgであった。この粒径180μm未満の粉末のみかけの収率は57%、水分ロスを考慮した収率は62%であった。
400KgのWW小麦フスマ(水分13.4%、一般生菌数19600/g)を焙煎機(ヒーター温度160℃)にかけ、小麦フスマ焙煎物367Kg(水分5.6%)を得た。この小麦フスマ焙煎物の一般生菌数は2400/gであった。これを実施例1と同様に粉砕機にかけたところ、処理速度は30Kg/hrであり、粉砕物は354Kg、水分4.3%であった。この粉砕物の一般生菌数は2600/gであり、実施例1で得られた小麦フスマ粉末の一般生菌数100/gよりもはるかに多かった。これを篩機に通したところ、粒径180μm未満の粉末は226Kg、粒径180μm以上の粉末は113Kgであった。この粒径180μm未満の粉末のみかけの収率は57%、水分ロスを考慮した収率は62%であった。
本発明の製造方法により製造された穀物フスマ粉末は、食物繊維豊富で食感も良く、雑菌数も少ないことから、ベーカリー食品や焼き菓子類のほか、麺類(生めんも含む)等の食品、健康食品、ペットフードなど様々な分野に応用可能である。
Claims (2)
- フスマを、100℃以上で加熱、混練、剪断、造粒した後、粉砕することを特徴とする穀物フスマ粉末の製造方法。
- 加熱、混練、剪断、造粒をエクストルーダーを用いて行うことを特徴とする請求項1記載の穀物フスマ粉末の製造方法。
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