JP2012087198A - インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、画像形成方法、画像形成物 - Google Patents
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Abstract
Description
インクジェット記録用インクとしては、各種の水溶性染料を水、又は水と有機溶媒との混合液に溶解させた染料系インクがあるが、色調の鮮明性は優れているものの耐光性に劣る欠点があった。
一方、カーボンブラックや各種の有機顔料を分散させた顔料系インクは染料系インクと比べて耐光性に優れるため盛んに研究されているが、ノズルの目詰まりが生じ易い傾向がある。顔料系インクは、一般に水やアルコール類等の水性溶媒中に顔料と分散剤を予備分散させた後、サンドミル等のメディア型分散機により所定の程度まで分散させて顔料分散液を調製し、次いで添加剤などの他の材料を加えて所定の濃度に希釈することにより調製されている。その際、疎水性の顔料を分散させるため一般的に界面活性剤や水溶性樹脂を使用しているが、得られる画像の信頼性は極めて悪い。
そこで、画質向上を目的として造膜性の樹脂微粒子をインクに添加する技術が開示されているが、複数の成分を微粒子のまま安定に長期分散させるのは難しく、安定な分散のために界面活性剤などの分散剤を多く使用すると、インクタンク、ヘッド内での気泡の発生、画質の劣化などの問題が生じる。また、分散性向上の目的で顔料の表面を親水基に変える方法や親水基を含有した樹脂などを用いる方法も検討されているが、それぞれ単独では安定であっても、異なる種類を混ぜた場合に、分散が不安定になり保存安定性が悪化するという問題があった。
その他に、特許文献2では、分子量が2000〜100万の水溶性高分子を、特許文献3では、分子量が8000〜10万の樹脂粒子をそれぞれ用いているが、いずれも本発明で用いる化合物とは構造が異なるし、分子量も本発明のものより小さい。
また、特許文献4には、高分子凝集剤を用いた記録液が開示されており、高分子凝集剤の分子量は一般に数百万ないし千数百万程度である旨の記載があるが、具体例として示されているのは、実施例で用いたメタクリル酸エステルのメチルクロライド4級塩ホモポリマーのみであり、本発明で用いる化合物については記載も示唆もされていない。
1) 着色剤、水、水溶性有機溶媒、及び下記一般式(1)で示されるポリアクリル酸エステル系ポリマーを含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
2) 更にアニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョンを含有することを特徴とする1)記載のインクジェット記録用インク。
3) 1)又は2)記載のインクジェット記録用インクを容器に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
4) 3)記載のインクカートリッジを搭載したことを特徴とするインクジェット記録装置。
5) 1)又は2)記載のインクジェット記録用インクを用いて印字することを特徴とする画像形成方法。
6) 5)記載の画像形成方法で作成された画像形成物。
本発明のインクジェット記録用インク(以下、単にインクということもある)は、下記一般式(1)で示されるポリアクリル酸エステル系ポリマーを用いることを特徴とする。
ポリアクリル酸エステル系ポリマーの重量平均分子量は100万〜800万程度が好ましい。100万未満では凝集効果が十分発揮できず、画像濃度や画像のシャープ性が劣る可能性がある。また、800万を超えると、インク粘度が高くなり、インク吐出安定性や保存安定性に問題が生じる可能性がある。
ポリアクリル酸エステル系ポリマーの具体例としては、第一工業製薬社製のCX−100(分子量550万)、CX−200(分子量750万)、CX−300(分子量550万)、CX−400(分子量750万)が挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックなどが挙げられる。中でもカーボンブラックが好ましい。なお、カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。なお、前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどが挙げられる。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)等の金属類、酸化チタン等の金属化合物類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
カーボンブラックの具体例としては、三菱化学社製の#10B、#20B、#30、#33、#40、#44、#45、#45L、#50、#55、#95、#260、#900、#1000、#2200B、#2300、#2350、#2400B、#2650、#2700、#4000B、CF9、MA8、MA11、MA77、MA100、MA220、MA230、MA600及びMCF88等;キャボット社製のモナーク120、モナーク700、モナーク800、モナーク880、モナーク1000、モナーク1100、モナーク1300、モナーク1400、モーガルL、リーガル99R、リーガル250R、リーガル300R、リーガル330R、リーガル400R、リーガル500R及びリーガル660R等;デグサ社製のプリンテックスA、プリンテックスG、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス55、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック4、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック5、スペシャルブラック6、スペシャルブラック100、スペシャルブラック250、カラーブラックFW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160及びカラーブラックS170等が挙げられる。
マゼンタ用では、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2〔パーマネントレッド2B(Ba)〕、48:2〔パーマネントレッド2B(Ca)〕、48:3〔パーマネントレッド2B(Sr)〕、48:4〔パーマネントレッド2B(Mn)〕、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219等が挙げられる。
シアン用では、例えばC.I.ピグメントブルー1、2、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(銅フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63等が挙げられる。
また中間色としてはレッド、グリーン、ブルー用として、C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3、19、23、37、C.I.ピグメントグリーン7、36などが挙げられる。
ビーズは通常セラミックビーズであり、一般的にはジルコニアボールが使用される。ビーズ径は0.05mmφ以下が好ましく、さらに好ましくは0.03mmφ以下である。
また、前記分散機の前工程で、ホモジナイザー等で粗大粒子を前処理することにより、一層粒度分布をシャープにすることが出来、画像濃度、吐出安定性等の改善に繋がる。
このようにして得られた顔料分散液は、特に顔料系インクジェット記録用インクの材料として好適に使用することができる。
また、分散剤が重量基準で顔料1に対し0.005〜0.5の割合で含まれるのが好ましく、さらに好ましくは、0.025〜0.12である。この範囲の使用量とすることにより、高い画像濃度、吐出安定性、液安定性の良い顔料分散液が得られる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩及びジエチルヘキシルスルホ琥珀酸ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ−4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン及びその他イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンアリルアルキルエーテル等のエーテル系;
ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート及びポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系。
ガスブラックタイプのカーボンブラッックはポリウレタン樹脂エマルジョンαの平均粒子径の小さいものと相性が良く、分散が安定するようである。特に平均粒子径を50nm以下にすることにより、印刷を継続している途中で、インクジェットプリンターが作動しているのにインクが吐出しなくなるトラブルを防止する効果が高まる。
インクが吐出しなくなった場合は、インクジェットプリンターのノズル孔を含むインク流路を掃除すれば印刷再開可能となるが、これでは実用性に問題がある。
「造膜性」とは、樹脂微粒子を水に分散させて樹脂エマルジョンの形態としたとき、この樹脂エマルジョンの連続層である水成分を蒸発させていくと、樹脂の皮膜が形成されることを意味する。この樹脂皮膜は、インク中の顔料を画像支持体表面に強固に固着する役割を担う。これによって、耐擦性及び耐水性に優れた画像が実現できると考えられる。
本発明で用いる顔料分散液中の、エーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョン粒子は分散液に予め入れておかなくてもよく、インク調製時に後添加しても良い。
なお、インクに於ける着色剤の濃度はインク全量に対して1〜20重量%が好ましい。1重量%以上であれば十分な画像濃度が得られ印字の鮮明さに欠けるようなことはなく、20重量%以下であればインクの粘度が高くなりすぎてノズルの目詰まりが発生するようなこともない。
前記湿潤剤の例としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、その他の湿潤剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペトリオール、などが挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、などが挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン、などが挙げられる。
アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、などが挙げられる。
アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、などが挙げられる。
上記湿潤剤の中でも、保存安定性、吐出安定性の点から、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
インク中の湿潤剤の含有量は20〜35重量%程度であるが、22.5〜32.5重量%がより好ましい。この範囲であれば、インクの乾燥性、保存試験、信頼性試験などの結果が非常に良好である。含有量が20重量%未満では、ノズル面上でインクが乾燥し易くなって吐出不良が生じることがあり、35重量%を超えると、紙面上での乾燥性に劣るため普通紙上の文字品位が低下することがある。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素が置換した炭素数が2〜16のものが好ましく、4〜16のものがより好ましい。フッ素置換炭素数が2未満では、フッ素の効果が得られないことがあり、16を超えると、インク保存性などの問題が生じることがある。
フッ素系界面活性剤の例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、特に好ましい。
パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては適宜合成したものを用いても市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー社、信越シリコーン社、東レ・ダウコーニング・シリコーン社などから容易に入手できる。
このようなポリオール化合物としては、例えば、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどの脂肪族ジオールが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが特に好ましい。
その他の併用できる浸透剤としては、インク中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などが挙げられる。
浸透剤のインク中の含有量は、0.1〜4.0重量%が好ましい。含有量が0.1重量%未満では、速乾性が得られず滲んだ画像となることがあり、4.0重量%を超えると着色剤の分散安定性が損なわれ、ノズルが目詰まりしやすくなり、また記録媒体への浸透性が必要以上に高くなって、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−エチル−2−アミノ−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
アンモニウム水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。
ホスホニウム水酸化物としては、(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、(1−ナフチルメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(2,4−ジクロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロリドなどが挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−β,β′−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイドなどが挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイトなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどが挙げられる。
ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)などが挙げられる。
印字(吐出)する方法としては、連続噴射型やオンデマンド型が挙げられる。またオンデマンド型としては、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
ここで、本発明のインクカートリッジ及びインクジェット記録装置について、図1を参照して説明する。
図1において、本発明のインクジェット記録用インクが収容されるインクカートリッジ20は、キャリッジ18内に収納される。ここで、インクカートリッジ20は便宜上複数設けられているが、複数である必要はない。このような状態でインクジェット記録用インクが、インクカートリッジ20からキャリッジ18に搭載された液滴吐出ヘッド18aに供給される。なお、図1において、吐出ノズル面は下方向を向いた状態であるため見えない状態であるが、この吐出ノズルからインクジェット記録用インクが吐出される。
キャリッジ18に搭載された液滴吐出ヘッド18aは、主走査モータ26で駆動される
タイミングベルト23によって、ガイドシャフト21、22にガイドされて移動する。
一方、特定のコート紙(画像支持体)はプラテン19によって液滴吐出ヘッド18aと
対面する位置に置かれる。なお、図1中、1はインクジェット記録装置、2は本体筐体、
16はギア機構、17は副走査モータ、25、27はギア機構をそれぞれ示す。
前記画像支持体としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例え
ば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシートなどが挙げられる。これらの
中でも紙が特に好ましい。
下記処方の材料を用い、ポリアクリル酸エステル系ポリマーを蒸留水に溶解した後、カーボンブラックを添加して、プレミックスした。
次いで、ビーズミル分散機(寿工業社製UAM−015)により、0.03mmジルコニアビーズ(密度6.03×10−6g/m2)を用いて、周速10m/s、液温30℃で15分間分散した後、遠心分離機(久保田商事社製Model−3600)で粗大粒子を遠心分離し、分散粒子の平均粒子径が156.8nm、標準偏差が55.9nmの分散液(A)を得た。
〔処方〕
・カーボンブラック NIPEX150−IQ 15.0部
(degussa社製:ガスブラック)
・ポリアクリル酸エステル系ポリマー 0.4部
(MTアクアポリマ―社製、アロンフロックCX−100、分子量550万)
・蒸留水 84.6部
分散液(A)のポリアクリル酸エステル系ポリマーを、下記のポリマーに変えた点以外は、分散液(A)と同様にして、分散液(B)〜(D)を得た。
分散液(B)… ポリアクリル酸エステル系ポリマー(MTアクアポリマ―社製、
アロンフロックCX−200:分子量750万)
分散液(C)… ポリアクリル酸エステル系ポリマー(MTアクアポリマ―社製、
アロンフロックCX−300:分子量550万)
分散液(D)… ポリアクリル酸エステル系ポリマー(MTアクアポリマ―社製、
アロンフロックCX−400:分子量750万)
分散液(B)のポリアクリル酸エステル系ポリマーの配合量を1.9部に、蒸留水の配合量を83.1部に変えた点以外は、分散液(B)と同様にして、分散液(E)を得た。
分散液(B)のカーボンブラックを下記の顔料に変えた点以外は、分散液(B)と同様にして、分散液(F)〜(H)を得た。
分散液(F)… ピグメントイエロー138(東洋インキ製造社製、LIONOGEN
YELLOW 1010)
分散液(G)… ピグメントレッド122(クラリアント社製トナーマゼンタE02)
分散液(H)… ピグメントブルー15:3(東洋インキ製造社製、LIONOL
BLUE FG−7351)
分散液(A)におけるポリアクリル酸エステル系ポリマーの量を0.075部に変え、蒸留水の量を84.925部に変えた点以外は、分散液(A)と同様にして分散液(I)を得た。この分散液における前記ポリマーの添加量は顔料1に対し約0.005である。
分散液(A)におけるポリアクリル酸エステル系ポリマーの量を7.5部に変え、蒸留水の量を77.5部に変えた点以外は、分散液(A)と同様にして分散液(J)を得た。この分散液における前記ポリマーの添加量は顔料1に対し約0.5である。
分散液(A)のポリアクリル酸エステル系ポリマーを、下記の材料に変えた点以外は、分散液(A)と同様にして、分散液(K)〜(M)を得た。
分散液(K)… パイオニンA−45−PN(竹本油脂社製:アニオン系界面活性剤)
分散液(L)… プライサーフA219B(第一工業製薬社製:ポリオキシエチレン
アルキルエーテルリン酸エステル)
分散液(M)… ハイテノール18E(第一工業製薬社製:アニオン系界面活性剤)
分散液(F)〜(H)のポリアクリル酸エステル系ポリマーを、ポリオキシエチレンナフチルエーテル(竹本油脂社製:パイオニンD−7240)に変えると共に配合量を2.0部に変え、蒸留水の配合量を83.0部に変えた点以外は、分散液(F)〜(H)と同様にして分散液(N)〜(P)を得た。
上記分散液(A)〜(H)を表1の実施例1〜8の各欄に示すように用い、下記インク処方1の材料を30分間混合攪拌した後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過、真空脱気して、実施例1〜8のインクを得た。
〔インク処方1〕
・分散液 40.0部
・グリセリン 15.0部
・ジエチレングリコール 15.0部
・フッ素系界面活性剤 ゾニールFS300 5.0部
(Dupon社製 有効成分40%)
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 3.0部
・アニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョン 5.0部
(有効成分35%)(三井化学ポリウレタン社製:W5661、酸価:48、
重量平均分子量:20000、平均粒子径:11.0nm)
・ポリオキシエチレン(3)アルキル(C13)エーテル酢酸ナトリウム 0.45部
・蒸留水 16.55部
上記分散液(A)〜(H)を表1の実施例9〜16の各欄に示すように用い、下記インク処方2の材料を30分間混合攪拌した後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過、真空脱気して、実施例9〜16のインクを得た。
〔インク処方2〕
・分散液 40.0部
・グリセリン 15.0部
・ジエチレングリコール 15.0部
・フッ素系界面活性剤 ゾニールFS300 5.0部
(Dupon社製 有効成分40%)
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 3.0部
・ポリオキシエチレン(3)アルキル(C13)エーテル酢酸ナトリウム 0.45部
・蒸留水 21.55部
上記分散液(I)、(J)を表1の実施例17、18の各欄に示すように用いた点以外は、実施例1〜8の場合と同様にして、実施例17、18のインクを得た。
上記分散液(I)を用い、更に分散液(A)で用いたのと同じポリアクリル酸エステル系ポリマーを1.5部添加した点以外は、実施例17の場合と同様にして、実施例19のインクを得た。
上記分散液(K)〜(P)を表1の比較例1〜6の各欄に示すように用いた点以外は、実施例9〜16の場合と同様にして、比較例1〜6のインクを得た。
各画像サンプルのベタ画像をXrite濃度計938で測定し次の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:1.30以上
△:1.20以上、1.30未満
×:1.20未満
各画像サンプルの文字部のシャープ性を目視により次の評価基準で判定した。
〔評価基準〕
◎:極めて良好
○:良好
△:普通
×:不良
印字後、プリンターヘッドにキャップした状態でプリンターを40℃の環境下、1ヶ月放置し、次いで、プリンターの吐出状態が初期の吐出状態に回復するために必要なクリーニング動作回数を調べ、次の評価基準で判定した。
〔評価基準〕
◎:1回の動作により回復した。
○:2回の動作により回復した。
△:3回の動作により回復した。
×:3回以上の動作によっても回復がみられなかった。
各インクをポリエチレン容器に入れて密封し、70℃で3週間保存した後の粒径、表面張力、粘度を測定し、それらの保存前後の変化率により下記の基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:粒径、表面張力、粘度の全ての項目で変化率が5%未満である。
○:粒径、表面張力、粘度の全ての項目で変化率が10%未満である。
△:粒径、表面張力、粘度の全ての項目で変化率が30%未満である。
×:粒径、表面張力、粘度の少なくとも一つの項目で変化率が30%以上である。
2 本体筐体
16 ギア機構
17 副走査モータ
18 キャリッジ
18a 液滴吐出ヘッド
19 プラテン
20 インクカートリッジ
21 ガイドシャフト
22 ガイドシャフト
23 タイミングベルト
25 ギア機構
26 主走査モータ
27 ギア機構
Claims (6)
- 更にアニオン性自己乳化型のエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョンを含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク。
- 請求項1又は2記載のインクジェット記録用インクを容器に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項3記載のインクカートリッジを搭載したことを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1又は2記載のインクジェット記録用インクを用いて印字することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項5記載の画像形成方法で作成された画像形成物。
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