JP5594040B2 - インクジェット記録用インク、カートリッジ、インクジェット記録装置、画像形成物 - Google Patents
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Description
インクジェット記録方式は、熱により発生する泡、あるいはピエゾや静電等を利用し発生した圧力により少量のインクを飛翔させ、紙など被画像形成体に付着させた後、素早く乾燥させて(あるいは被画像形成体に浸透させて)画像を形成する画像形成方式であり、パーソナルを始め産業用としてのプリンターや、印刷用途まで拡大してきている。
近年、特に産業用途としての需要が高まり、高速化印字や様々な被記録媒体(紙等のメディア)に対する適応性が望まれている。特に高速化に伴いラインヘッドを搭載したインクジェットプリンターも必要となってきている。また近年、環境面や安全性の面から水系インクの要望が高くなっている。
特に近年、高速印字化が進むにつれて、メディアに付着したインクの乾燥速度を早めるために、インクに浸透剤を添加し溶媒である水をメディアに浸透させることで乾燥を早める手段がとられている。しかしながら、塗料やボールペンに使用されるインクと異なり、浸透剤を含有させると水だけでなく色材のメディアへの浸透性が向上してしまい、一層画像濃度が低下してしまうという問題が顕著に発生する。
また、特許文献2には、高分子化合物で表面を被覆した顔料を含有するインクに係る発明が、特許文献3には、ポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料を含有するインクに係る発明が、それぞれ開示されており、高分子化合物又はポリマー分散剤としてスチレン−無水マレイン酸共重合体又は水溶性スチレン−マレイン酸樹脂が例示されているが、本願発明で用いる3元系共重合体に関する記載はない。また、これらの発明では、非平滑紙に画像形成した場合、顔料が紙表面にそれほど留まらず、充分な画像濃度は得られない。
1) 顔料、分散剤、及び水を含有する顔料分散体と、水溶性有機溶媒を含有するインクジェット記録用インクであって、該分散剤として、スチレン−無水マレイン酸−アクリルアミド共重合体塩を含有し、かつpHが8.0以上であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
2) 前記共重合体塩がNa塩であることを特徴とする1)に記載のインクジェット記録用インク。
3) 1)又は2)に記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容したことを特徴とするカートリッジ。
4) 3)に記載のカートリッジを搭載したことを特徴とするインクジェット記録装置。
5) 1)又は2)に記載のインクジェット記録用インクを用いて印字されたことを特徴とする画像形成物。
本発明のインクジェット記録用インク(以下、単にインクということもある)は、顔料分散剤としてスチレン−無水マレイン酸−アクリルアミド共重合体塩(3元共重合体塩)を用いることを特徴とする。該3種類のモノマーの共重合体(3元共重合体)であることが重要であり、特にカルボキシル基を2個有するマレイン酸を用いることが重要である。
無水マレイン酸とアクリルアミドの共重合体は、無水マレイン酸由来のカルボン酸基とアクリルアミドの間に水素結合を形成しやすい。そこで該共重合体を水系インクに用いると、インクが紙等の画像形成媒体に接触し、水分蒸発等で固形分の割合が上昇した際に、共重合体分子同士の分子間距離が小さくなり、水素結合が発生して凝集・増粘することにより、顔料が紙表面に留まるため、高画像濃度になることが予想される。
しかしながら実際は、画像濃度を上げる効果はそれ程でもなく、インクを長期保存すると増粘してしまい、保存安定性に欠けることが分かった。
保存安定性向上及び高画像濃度の効果が得られる理由は定かではないが、画像濃度向上については、カルボキシル基を2個有する無水マレイン酸を用いることにより、画像形成時にインクが紙に接触した際に、アクリルアミドとの水素結合だけでなく、多くの紙が含有する炭酸カルシウムのカルシウムイオンと、カルボキシル基を2個有する無水マレイン酸が錯体を形成することで不溶化し凝集性が高くなること、及び、スチレンを加えると共重合体の顔料への吸着が強くなり、共重合体が顔料粒子の周りを覆うことが出来、紙面上で顔料を効率よく巻き込んで凝集する機能が付加されるため、顔料が紙面上に多く留まるようになることによると推測される。
保存安定性向上については、カルボキシル基を2個有する無水マレイン酸を用いることにより、固形分の割合が高くない状態での水溶性が向上し、不必要な水素結合を阻害し、また芳香族環を有するスチレンを加えることにより、共重合体が顔料表面に局在化しやすくなり、共重合体分子同士での接触が少なくなることによるのではないかと推測される。
pH調整剤としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、などが挙げられる。
アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
アンモニウム水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。
ホスホニウム水酸化物としては(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、(1−ナフチルメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(2,4−ジクロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロリドなどが挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
ビーズミルの具体例としては、ダイノーミルKDL型(シンマルエンタープライゼス社製)、アジテーターミルLMZ(アシザワ・ファインテック社製)、SCミル(三井鉱山社製)等が挙げられる。ビーズレスミルの具体例としては、高速せん断力タイプのCLEAR SS5(エム・テクニック社製)、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)、モジュールDR2000(シンマルエンタープライゼス社製)、薄膜旋回タイプのT.K.フィルミックス(特殊機化工業社製)、超高圧衝突タイプのアルテマイザー(スギノマシン社製)、ナノマイザー(吉田機械興業社製)等が挙げられる。
また、前記分散機の前工程で、ホモジナイザー等で粗大粒子を前処理することにより、一層粒度分布をシャープにすることが出来、画像濃度、吐出安定性等の改善に繋がる。
ビーズミルで用いるビーズは通常セラミックビーズであり、一般的にはジルコニアボールを用いる。ビーズ径は0.05mmφ以下がましく、更に好ましくは0.03mmφ以下である。
モノマーの組成比は、スチレンが20モル%以上、無水マレイン酸が10〜75モル%、アクリルアミドが70モル%以下の範囲が好ましい。
また重量平均分子量で500〜20000(GPC法、プルラン換算)の範囲のものが好ましく、インク粘度や顔料の吸着の面で1000〜10000がより好ましい。
黒色顔料としてカーボンブラックが好ましく、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
また、カーボンブラック表面を酸化処理やアルカリ処理したものや、各種の界面活性剤や樹脂で被覆したり、グラフト処理やカプセル化処理したものも使用可能である。
特にカーボンブラック表面を酸化処理した酸性カーボンを用いると、乾燥性が向上すると共に画像濃度の向上効果が大きい。
また、スルホン酸基やカルボキシル基を有する樹脂でコーティングしたり、これらの官能基をグラフト処理により付与したカーボンブラックも使用可能である。
これらの中でも特にpHが5以下で揮発分が3.5〜8.0重量%のカーボンブラックが好ましく、また乾燥性や画像濃度の面でガスブラックが望ましい。
シアン顔料の例としては、ピグメントブルー1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントブルー22、ピグメントブルー60、バットブルー4、バットブルー60等が挙げられる。
イエロー顔料の例としては、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー2、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー129、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー180等が挙げられる。
なお、マゼンタ顔料としてピグメントレッド122、ピグメントバイオレット19、シアン顔料としてピグメントブルー15、イエロー顔料としてピグメントイエロー74を用いることにより、色調、耐光性が優れ、バランスの取れたインクを得ることができる。
顔料分散体中における顔料濃度は、0.1〜50重量%が好ましく、特に0.1〜30重量%が好ましい。
前記3元共重合体は顔料としてカーボンブラックを用いた場合に画像濃度向上効果が最も顕著に現れる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の公知の分散剤との併用も可能である。このような分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の種々の界面活性剤や高分子型の分散剤が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ−4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミド、プロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、及び、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシアリルアルキルエーテル等のエーテル系;
ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート及びポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系。
湿潤剤の例としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物類、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、その他の湿潤剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペトリオール、などが挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、などが挙げられる。
含窒素複素環化合物類としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン、などが挙げられる。
アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、などが挙げられる。
アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、などが挙げられる。
上記湿潤剤の中でも、保存安定性、吐出安定性の点から、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
インク中の湿潤剤の含有量は20〜35重量%程度であるが、22.5〜32.5重量%がより好ましい。この範囲であれば、インクの乾燥性、保存試験、信頼性試験などの結果が非常に良好である。含有量が20重量%未満では、ノズル面上でインクが乾燥し易くなって吐出不良が生じることがあり、35重量%を超えると、紙面上での乾燥性に劣るため普通紙上の文字品位が低下することがある。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素が置換した炭素数が2〜16のものが好ましく、4〜16のものがより好ましい。フッ素置換炭素数が2未満では、フッ素の効果が得られないことがあり、16を超えると、インク保存性などの問題が生じることがある。
フッ素系界面活性剤の例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、特に好ましい。
パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては適宜合成したものを用いても市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー社、信越シリコーン社、東レ・ダウコーニング・シリコーン社などから容易に入手できる。
このようなポリオール化合物としては、例えば、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどの脂肪族ジオールが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが特に好ましい。
浸透剤のインク中の含有量は、0.1〜4.0重量%が好ましい。含有量が0.1重量%未満では、速乾性が得られず滲んだ画像となることがあり、4.0重量%を超えると着色剤の分散安定性が損なわれ、ノズルが目詰まりしやすくなり、また記録媒体への浸透性が必要以上に高くなって、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−β,β′−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイドなどが挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイトなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどが挙げられる。
ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)などが挙げられる。
インク中の顔料の濃度はインク全量に対して1〜20重量%が好ましい。1重量%未満では画像濃度が低いため印字の鮮明さに欠け、20重量%より多いとインクの粘度が高くなる傾向があるばかりでなく、ノズルの目詰まりが発生しやすくなる。
水溶性有機溶剤の含有量は、インク全量に対して50重量%以下、好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは10〜35重量%である。
前処理液としては水溶性金属塩を含んだものが好ましく、中でも酸性を示すものが好ましい。
水溶性金属塩を形成する金属イオンの例としては、アルカリ金属イオン、Ca、Cu、Ni、Mg、Zn、Ba等の2価金属イオン、Al、Fe、Cr等の3価金属イオンが挙げられる。
水溶性金属塩を構成する陰イオンとしては、クエン酸、酒石酸、酢酸、乳酸、シュウ酸、炭酸,フマル酸、サリチル酸、安息香酸等の有機酸イオンやOH、Cl、NO3、I、Br、ClO3の無機イオンが挙げられる。また硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム等も挙げられる。
前処理剤に対する水溶性金属塩の添加量は、1〜10重量%が好ましい。
また、インクの凝集剤として水溶性金属塩(CaCl2等)、アルキレンアミン(長鎖アルキルイソシアネート変成ポリエチレンイミン等)、酸(乳酸やマレイン酸)等を使用することも可能である。
前処理液による記録媒体表面の処理方法は、インクジェット方式、スプレー、ロールコート、ワイヤ−バーなどの公知の方法を利用できる。
本発明のインクジェット記録装置は、上記カートリッジを搭載したものであり、インクを吐出させて記録を行う方式のヘッドを備えている。
印字(吐出)する方法としては、連続噴射型やオンデマンド型が挙げられる。またオンデマンド型としては、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
ここで、本発明のカートリッジ及びインクジェット記録装置について、図1を参照して説明する。
キャリッジ18に搭載された液滴吐出ヘッド18aは、主走査モータ26で駆動される
タイミングベルト23によって、ガイドシャフト21、22にガイドされて移動する。
一方、特定のコート紙(画像支持体)はプラテン19によって液滴吐出ヘッド18aと
対面する位置に置かれる。なお、図1中、1はインクジェット記録装置、2は本体筐体、
16はギア機構、17は副走査モータ、25、27はギア機構をそれぞれ示す。
前記画像支持体としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例え
ば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシートなどが挙げられる。これらの
中でも紙が特に好ましい。
<化合物1の作成>
四口フラスコに温度計、攪拌機、還流冷却機を設置し、水500g及び過硫酸アンモニウム15gを仕込み、80〜90℃の加熱条件下で、スチレン100g、無水マレイン酸130g、50%アクリルアミド水溶液140gを、それぞれ攪拌しながらゆっくり滴下した。スチレン、無水マレイン酸、アクリルアミドの比(%)は、33:43:23である。
続いて4時間反応させた後、冷却し、NaOH20%水溶液を用いて中和し、さらに蒸留水を加えて固形分を20%に調整して、スチレン−無水マレイン酸−アクリルアミド共重合体Na塩(化合物1)の水溶液を得た。
下記処方の材料をプレミックスした後、ビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製ダイノーミルKDL型バッチ式、径が0.05mmのジルコニアビーズ使用)を用いて、10分間ミリングした後、pH測定した。尚、pH測定はpHメーター(METTER TOLEDO社製MP220)により測定した。
次いで、遠心分離機(久保田商事社製Model−3600)により粗大粒子を分離し、体積平均粒子径約120nm、標準偏差51.2nmの顔料分散体1を得た。
(顔料分散体処方)
・カーボンブラック NIPEX150 20.0部
(degussa社製:ガスブラック)
・化合物1の水溶液(固形分20%) 18.8部
・NaOH20%水溶液 1.2部
・蒸留水 60.0部
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インク1を作成した。
(インク処方)
・顔料分散体1(顔料濃度20%) 40.0部
・グリセリン 5.5部
・1,3−ブタンジオール 16.5部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0部
・フッ素系界面活性剤(固形分40%) 2.5部
(DuPont社製:Zonyl FS−300)
・フルオロエチレン/ビニルエーテル交互共重合体(固形分50%) 6.0部
(旭硝子社製:ルミフロンFE4300、平均粒子径150nm、
MFT30℃以下)
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール水溶液(固形分40%)
1.5部
・蒸留水 26.0部
実施例1の<化合物1の作成>におけるモノマー比を表1の実施例2〜4に記載のモノマー比に変えた点以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4の化合物2〜4を作成した。
次いで、<顔料分散体1の作成>における化合物1の水溶液(固形分20%)に代えて化合物2〜4の水溶液(固形分20%)を用いた点以外は、実施例1と同様にして顔料分散体2〜4を作成し、これらを用いて<インク1の作成>と同様にして、実施例2〜4のインクを作成した。
実施例1の<化合物1の作成>で用いたNaOH20%水溶液の配合量を1.2部から0.8部に変え、蒸留水の配合量を60.0部から60.4部に変えた点以外は実施例1と同様にして顔料分散体5を作成し、これを用いて<インク1の作成>と同様にして、実施例5のインクを作成した。
実施例1の<化合物1の作成>で用いたNaOH20%水溶液の配合量を1.2部から0.5部に変え、蒸留水の配合量を60.0部から60.7部に変えた点以外は実施例1と同様にして顔料分散体6を作成し、これを用いて<インク1の作成>と同様にして、実施例6のインクを作成した。
実施例1の<化合物1の作成>で用いた中和用NaOH20%水溶液をLiOH(実施例7)、ジメチルエタノールアミン(実施例8)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、実施例7、8の化合物7、8を作成した。
次いで、<顔料分散体1の作成>における化合物1の水溶液(固形分20%)に代えて化合物7、8の水溶液(固形分20%)を用い、NaOH20%水溶液をLiOH20%水溶液(実施例7)、又はジメチルエタノールアミン20%水溶液(実施例8)に変えた点以外は、実施例1と同様にして顔料分散体7、8を作成し、これらを用いて<インク1の作成>と同様にして、実施例7、8のインクを作成した。
<比較例1の化合物の作成>
四口フラスコに温度計、攪拌機、還流冷却機を設置し、水500g及び過硫酸アニモニウム15gを仕込み、80〜90℃の加熱条件下で、スチレン129g、アクリル酸171gを、それぞれ攪拌しながらゆっくり滴下した。スチレン、アクリル酸の比(%)は43:57ある。
続いて4時間反応させた後、冷却し、NaOH20%水溶液を用いて中和し、更に蒸留水を加えて固形分を20%に調整して、スチレン−アクリル酸共重合体Na塩(比較例1の化合物)の水溶液を得た。
<比較例2の化合物の作成>
比較例1のアクリル酸をマレイン酸に変えた点以外は、比較例1と同様にしてスチレン−マレイン酸共重合体Na塩(比較例2の化合物)の水溶液を得た。
<比較例3の化合物の作成>
実施例1の化合物1の作成において、無水マレイン酸をアクリル酸に変えた点以外は、実施例1と同様にして、スチレン−アクリル酸−アクリルアミド共重合体Na塩(比較例3の化合物)の水溶液を得た。
次いで、<顔料分散体1の作成>における化合物1の水溶液(固形分20%)に代えて上記比較例1〜3の化合物の水溶液(固形分20%)を用いた点以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜3の顔料分散体及びインクを作成した。
化合物1をナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物に変えた点以外は、実施例1と同様にして、比較例4の顔料分散体及びインクを作成した。
顔料分散体1のpH調整をしなかった(NaOH20%水溶液を加えなかった)点以外は、実施例1と同様にして、比較例5の顔料分散体及びインクを作成した。
<保存安定性>
各インク液の初期粘度を測定した。次いで各インク液50gを日電理化社性サンプル瓶SV−50に入れて密閉し、70℃の環境下で2週間保管した後、保管後の粘度を測定した。そして、下記式に従って変化率を計算し、下記基準によりランク分けを行った。粘度計には東洋精機社製のRE500を用いた。結果を表1に示す。
変化率(%)=〔(保管後の粘度−初期粘度)/初期粘度〕×100
〔ランク分けの基準〕
◎:変化率が10%未満 (良好)
○:変化率が10%以上15%未満 (実用上問題ないレベル)
△:変化率が15%以上20%未満 (問題あるレベル)
×:変化率が20%以上 (非常に問題あるレベル)
上記実施例1〜8及び比較例1〜5の各インクを、リコー社製インクジェットプリンタIPSiO GX5000用インクパックに充填してカートリッジを作製し、プリンタに装着した。このプリンタは図1の構成を有するものである。
次いで、ゼロックス社製PPC用紙:XEROX4200(非平滑紙)に印字し、印字画像をXrite濃度計938で測定した。結果を表1に示す。数値が大きい方が良好である。
2 本体筐体
16 ギア機構
17 副走査モータ
18 キャリッジ
18a 液滴吐出ヘッド
19 プラテン
20 カートリッジ
21 ガイドシャフト
22 ガイドシャフト
23 タイミングベルト
25 ギア機構
26 主走査モータ
27 ギア機構
Claims (5)
- 顔料、分散剤及び水を含有する顔料分散体と、水溶性有機溶媒を含有するインクジェット記録用インクであって、該分散剤として、スチレン−無水マレイン酸−アクリルアミド共重合体塩を含有し、かつpHが8.0以上であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
- 前記共重合体塩がNa塩であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容したことを特徴とするカートリッジ。
- 請求項3に記載のカートリッジを搭載したことを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクを用いて印字されたことを特徴とする画像形成物。
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