JP2012083715A - 二成分現像剤用キャリア、それを用いた静電潜像現像剤、カラートナー現像剤、補給用現像剤、画像形成方法、静電潜像現像剤を備えるプロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

二成分現像剤用キャリア、それを用いた静電潜像現像剤、カラートナー現像剤、補給用現像剤、画像形成方法、静電潜像現像剤を備えるプロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】キャリア抵抗、芯材磁化を大きく変えることなく、従来の現像装置をそのまま使用でき、キャリア付着がなく、高画質・高耐久な二成分現像剤に用いられる静電潜像現像用キャリア、該キャリアを用いた静電潜像現像剤、画像形成方法、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】磁性を有する芯材粒子とその表面を被覆する樹脂層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、該芯材粒子の形状係数SF2が130以上160以下であり、該樹脂層は導電性微粒子を含み、かつトリシロキシルシリル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとモノアルキルジアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレートモノマーの共重合体を、加熱処理して得られた樹脂を含有することを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法に使用される二成分現像剤に用いられる静電潜像現像用キャリア、それを用いた静電潜像現像剤、カラートナー現像剤、補給用現像剤、画像形成方法、静電潜像現像剤を備えるプロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式による画像形成では、光導電性物質等の静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナーを付着させてトナー像を形成した後、トナー像を記録媒体に転写し、定着して出力画像となる。近年、電子写真方式を用いた複写機やプリンタの技術は、モノクロからフルカラーへの展開が急速になりつつあり、フルカラーの市場は拡大する傾向にある。
フルカラー画像形成では、一般に、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラートナー又はこれに黒色を加えた4色のカラートナーを積層させて全ての色の再現を行う。
したがって、色再現性に優れ、鮮明なフルカラー画像を得るためには、定着されたトナー像の表面を平滑にして光散乱を減少させる必要がある。このような理由から、従来のフルカラー複写機等の画像光沢は、10〜50%の中〜高光沢のものが多かった。
一般に、乾式のトナー像を記録媒体に定着させる方法としては、平滑な表面を持ったローラやベルトを加熱し、トナーと圧着する接触加熱定着方法が多用されている。このような方法は、熱効率が高く、高速定着が可能であり、カラートナーに光沢や透明性を与えることが可能である反面、加熱定着部材の表面と溶融状態のトナーとを加圧下で接触させた後、剥離するために、トナー像の一部が定着ローラ表面に付着して別の画像上に転移する、いわゆるオフセット現象が生じる。
このようなオフセット現象を防止することを目的として、離型性に優れたシリコーンゴムやフッ素樹脂で定着ローラの表面を形成し、さらにその定着ローラ表面にシリコーンオイル等のトナー固着防止用オイルを塗布する方法が一般に採用されている。しかしながら、このような方法は、トナーのオフセットを防止する点では極めて有効であるが、オイルを供給するための装置が必要であり、定着装置が大型化するという問題がある。
このため、モノクロ画像形成では、溶融したトナーが内部破断しないように、溶融時の粘弾性が大きく、離型剤を含有するトナーを用いることにより、定着ローラにオイルを塗布しないオイルレスシステム、或いはオイルの塗布量を微量とするシステムが採用される傾向にある。
一方、フルカラー画像形成においても、モノクロ画像形成と同様に、定着装置の小型化、構成の簡素化の目的で、オイルレスシステムが採用される傾向がある。しかしながら、フルカラー画像形成では、定着されたトナー像の表面を平滑にするために、溶融時のトナーの粘弾性を低下させる必要があるため、光沢のないモノクロ画像形成の場合よりもオフセットが発生しやすく、オイルレスシステムの採用が困難になる。また、離型剤を含有するトナーを用いると、トナーの付着性が高まり、記録媒体への転写性が低下する。さらに、トナーのフィルミングが発生して、帯電性が低下することにより、耐久性が低下するという問題がある。
一方、キャリアとしては、トナーのフィルミングの防止、均一な表面の形成、表面の酸化の防止、感湿性の低下の防止、現像剤の寿命の延長、感光体の表面への付着の防止、感光体のキズあるいは摩耗からの保護、帯電極性の制御、帯電量の調節等の目的で、キャリア芯材表面に、表面エネルギーの低い樹脂、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂などをコートすることによりキャリアの長寿命化がはかられてきた。
低表面エネルギーの樹脂を被覆したキャリアの例としては、特許文献1の特開昭55−127569号公報:常温硬化型シリコーン樹脂と正帯電性窒素樹脂で被覆したキャリア、特許文献2の特開昭55−157751号公報:変性シリコーン樹脂を少なくとも1種含有した被覆材をコートしたキャリア、特許文献3の特開昭56−140358号公報:常温硬化型シリコーン樹脂およびスチレン・アクリル樹脂を含有した樹脂被覆層を有するキャリア、特許文献4の特開昭57−96355号公報:核粒子表面を2層以上のシリコーン樹脂でコートし、層間に接着性がないようにしたキャリア、特許文献5の特開昭57−96356号公報:核粒子表面にシリコーン樹脂を多層塗布したキャリア、特許文献6の特開昭58−207054号公報:炭化ケイ素を含有するシリコーン樹脂で表面を被覆したキャリア、特許文献7の特開昭61−110161号公報:20dyn/cm以下の臨界表面張力を示す材料で被覆した正帯電性キャリア、特許文献8の特開昭62−273576号公報:フッ素アルキルアクリレートを含有する被覆材でコートしたキャリアと、含クロムアゾ染料を含くむトナーからなる現像剤のようなものがあげられる。
また、縮合反応性のシラノール基又はその前駆体(例えばハロシリル基、アルコキシシリル基等の加水分解性基等)を有するシロキサン系材料を含む塗工液を、チタン系触媒を用いてポリシロキサン材料に縮合させてなる被覆層をキャリア芯材粒子表面に設けることは従来公知であり、例えば、特許文献9の特開2001−92189号公報には、有機チタン系触媒を含有するシリコーン系樹脂を芯材粒子の周囲に被覆してなるものが開示されており、チタン系触媒の例としてジイソプロポキシビス(アセチルアセトンネート)が、テトライソプロポキシチタン、イソプロポキシ(2−エチルヘキサンジオラト)チタン、ビス(アクリロイルオキシ)イソプロポキシイソステアロイルオキシチタン、ビス(2,4−ペンタンジオナト)(1,3−プロパンジオナト)チタン等と同効なものとして羅列されている。また、特許文献10の特開平06−222621号公報には、オルガノポリシロキサンと、オルガノシランと、チタン(例えば前記テトライソプロポキシチタン)、錫、亜鉛、コバルト、鉄、アルミニウム系化合物及びアミン類からなる群の中から選択される少なくとも1種である硬化触媒からなる被覆性組成物を主成分とするコーティング剤を、芯材粒子の表面に被覆してなるものが開示されている。さらに、特許文献11の特開2006−337828号公報には、芯材粒子の表面が、4級アンモニウム塩触媒、アルミニウム触媒又はチタン触媒(具体的には前記ジイソプロポキシビス(アセチルアセトンネート))を含有するシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂で被覆されているものが開示されている。
しかしながら、近年は高画質化のためにトナーが小粒径化する傾向にあり、また、プリント速度の高速化も相まって、キャリアへのトナースペントが一段と生じ易くなっている。更にトナー粒子にワックスを含有させてメンテナンスを容易にした現像剤の場合には、トナースペント量が非常に多くなり、トナー帯電量の低下、トナー飛散および地肌汚れに対する余裕度が低下している。
特に、フルカラー電子写真システムでは、キャリアのトナースペントやコート被膜削れ・剥がれが起こると、キャリア抵抗や現像剤の汲み上げ量が変化し、画像濃度、特にハイライト部の濃度が変化し、また、被膜の削れによるフィラーの離脱などによって、カラートナー(特にイエロートナー)が色汚れし、高画質が維持できない。
キャリアが直接画像品質に関わる項目としては、キャリアが静電潜像担持体上に付着することによって発生する画像抜けの問題(キャリア付着)がある。
キャリア付着は、大きく、出力画全面に発生するキャリア付着と、背景部に発生するキャリア付着と、像中に発生するキャリア付着の3種類に分けられる。
全面に発生するキャリア付着は、主として低磁力が原因に挙げられる。背景部に発生するキャリア付着は、通常高抵抗、大粒径が原因であり、トナーにより逆極に帯電したキャリアが逆現像する現象である。像中に発生するキャリア付着は、主に低抵抗が原因であり、トナーあるいは現像電荷がキャリアに注入され、トナーと一緒に正現像することが原因である。
キャリア粒子もトナー粒子の小粒径化に伴っても小粒径化する方向にあり、これはキャリア付着が悪化する方向と一致しており、高画質化実現のためにはキャリア抵抗、芯材磁化の設計が重要であるが、現像装置とのマッチングやキャリア付着防止のため、キャリア抵抗、磁化を大きく変えることができない。
このため、キャリアを低抵抗にすると、画質は良化するが、電荷注入による像中へのキャリア付着が生じるため、芯材形状によるキャリア付着抑制が必要である。
芯材粒子の形状によるキャリア付着防止に関しては、例えば特許文献12の特許3726592号公報、特許文献13の特開2007−58124号公報のように形状を真球に近い形にして、キャリア付着を抑制する例がある。
しかし、被覆層を形成する際にブロッキングが発生したり、耐久性が低下したりするという問題があり、また、抵抗の調節が充分でなく、芯材粒子の形状のみでは充分高画質・高耐久化することができない。
本発明は、キャリア抵抗、芯材磁化を大きく変えることなく、従来の現像装置をそのまま用いることができ、キャリア付着がなく、高画質・高耐久な、電子写真法・静電記録法に使用される二成分現像剤に用いられる静電潜像現像用キャリア、該キャリアを用いた静電潜像現像剤、カラートナー現像剤、補給用現像剤、画像形成方法、静電潜像現像剤を備えるプロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、表面エネルギーが小さく、かつ強靭な被膜を形成できる、シラン系の架橋樹脂及び導電性微粒子を含む被覆層と、形状係数SF2が130以上160以下の芯材粒子とを組合せることにより、該被覆層を有するキャリアの抵抗を調節できることを見出し、本発明をするに至ったものである。
上記課題は、本発明の下記(1)〜(13)によって解決される。
(1)磁性を有する芯材粒子とその表面を被覆する樹脂層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、該芯材粒子の形状係数SF2が130以上160以下であり、該樹脂層は、導電性微粒子を含み、かつ少なくとも下記一般式(1)で表されるモノマーA成分由来のA部位と下記一般式(2)で表されるモノマーB成分由来のB部位とを含む共重合体を加熱処理して得られた樹脂を含有することを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
Figure 2012083715
Figure 2012083715

(式中において、R1、m、R2、R3、X、及びYは以下に該当するものを示す。)
R1:水素原子、またはメチル基
m:炭素原子数1〜8のアルキレン基
R2:炭素原子数1〜4のアルキル基
R3は、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基
X:10〜90モル%
Y:10〜90モル%
(2)前記共重合体は、下記一般式(5)で表される共重合体を含むことを特徴とする前記(1)に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
Figure 2012083715
(式中において、R1、m、R2、R3、X、Y、及びZは以下に該当するものを示す。)
R1:水素原子、またはメチル基
m :炭素原子数1〜8のアルキレン基
R2:炭素原子数1〜4のアルキル基
R3: 炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基
X:10〜40モル%
Y:10〜40モル%
Z:30〜80モル%
60モル%<Y+Z<90モル%
(3)前記加熱処理時の熱処理温度が80〜400℃であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
(4)体積固有抵抗が1×10Ω・cm以上1×1017Ω・cm以下であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
(5)前記樹脂層は、平均膜厚が0.05μm以上0.50μm以下であることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
(6)前記芯材粒子は、重量平均粒径が20μm以上65μm以下であることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
(7)1kOeの磁場における磁化が40Am/kg以上90Am/kg以下であることを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。(8)前記(1)乃至(7)のいずれかに記載のキャリア及びトナーを有することを特徴とする二成分現像剤。
(9)前記トナーは、カラートナーであることを特徴とする前記(8)に記載の現像剤。
(10)キャリア及びトナーを含む補給用現像剤であって、キャリア1質量部に対してトナーを2〜50重量部含有し、前記キャリアが前記(1)乃至(7)のいずれかに記載のキャリアであることを特徴とする補給用現像剤。
(11)静電潜像担持体と、該潜像担持体を帯電させる帯電手段と、該潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、前記(8)乃至(10)のいずれかに記載の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
(12)静電潜像担持体、該感光体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を前記(8)乃至(10)のいずれかに記載の現像剤を用いて現像する現像部と、前記静電潜像担持体をクリーニングするクリーニング部材を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
(13)静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、前記(8)乃至(10)のいずれかに記載の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、芯材粒子の形状係数SF2が130以上160以下であり、本発明の前記数種のラジカル重合性モノマーをラジカル共重合して得られたアクリル系共重合体をキャリア芯材に塗布した後、さらに加熱処理によりシラン系の架橋成分を縮重合させて得られたキャリアが提供される。
本発明のキャリアは、表面エネルギーが小さいシラン系の架橋成分、及び前記導電性微粒子により強靭な被膜が形成され、かつ、抵抗が調節されて長期間帯電安定性に優れ、キャリア抵抗や現像剤の汲み上げ量が変化し難く、被膜削れ/剥がれが少なく、かつトナースペントが少ない、かつキャリア付着を抑制できる高耐久キャリア、および現像剤を得ることができる。
さらに、帯電の環境変動を抑制し、さまざまな使用環境においても画像濃度変動、地肌汚れ、トナー飛散による機内汚染などを生じない。
加えて、信頼性の高い現像方法、画像形成装置を提供することができる、という極めて優れた効果を奏するものである。
本発明のキャリアの体積固有抵抗を測定する際に用いられるセルの一例を示す図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す図である。
本発明のキャリアについて詳細に説明する。
本発明の静電潜像現像剤用キャリアは、磁性を有する芯材粒子とその表面を被覆する樹脂層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、該芯材粒子の形状係数SF2が130以上160以下であり、該樹脂層は、導電性微粒子を含み、かつ少なくとも下記一般式(1)で表されるモノマー成分(A成分)由来の部位と下記一般式(2)で表されるモノマー成分(B成分)由来の部位とを含む共重合体を加熱処理して得られる樹脂を含有する静電潜像現像剤用キャリア、即ち、形状係数SF2が130以上160以下の芯材粒子を、後述のモノマーA成分、モノマーB成分をラジカル共重合して得られるアクリル系共重合体を加水分解し、シラノール基を生成し、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)触媒を用いて縮合させ、架橋、被覆した後、加熱処理して得られる静電潜像現像用キャリアである。
被覆層用組成物について説明する。
(被覆樹脂モノマー成分)
A成分(及びそのためのモノマーA成分):
Figure 2012083715
前記一般式(1)中、
R1: 水素原子、またはメチル基
m:メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素原子数1〜8のアルキレン基、
R2:炭素原子数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基
A成分において、X=10〜90モル% であり、より好ましくは、30〜70モル%で
ある。
A成分は、側鎖にメチル基が多数存在する原子団・トリス(トリメチルシロキシ)シランを有しており、樹脂全体に対してA成分の比率が高くなると表面エネルギーが小さくなり、トナーの樹脂成分、ワックス成分などの付着が少なくなる。A成分が10モル%未満だと十分な効果が得られず、トナー成分の付着が急増する。また、90モル%より多くなると、成分B、および成分Cが減り、架橋が進まず、強靭性が不足すると共に、芯材と被覆層の接着性が低下し、キャリア被膜の耐久性が悪くなる。
このような一般式(1)であらわされるモノマー成分としては、次式で示されるトリス(トリアルキルシロキシ)シラン化合物が例示される。
下式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基である。
CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe
CH=CH−COO−C−Si(OSiMe
CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe
CH=CMe−COO−C−Si(OSiEt
CH=CH−COO−C−Si(OSiEt
CH=CMe−COO−C−Si(OSiEt
CH=CMe−COO−C−Si(OSiPr
CH=CH−COO−C−Si(OSiPr
CH=CMe−COO−C−Si(OSiPr
A成分の製造方法は特に限定されないが、トリス(トリアルキルシロキシ)シランを白金触媒の存在下にアリルアクリレートまたはアリルメタクリレートと反応させる方法や、特開平11−217389号公報に記載されている、カルボン酸と酸触媒の存在下で、メタクリロキシアルキルトリアルコキシシランとヘキサアルキルジシロキサンとを反応させる方法などにより得られる。
B成分(及びモノマーB成分/前駆体モノマーB):(架橋成分)
Figure 2012083715

前記一般式(2)中、
R1: 水素原子、またはメチル基
m:メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素原子数1〜8のアルキレン基。
R2:炭素原子数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基
R3:炭素数1〜8のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など )、又は炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基)。
Y=10〜90モル%であるが、より好ましくは30〜70モル%である。
B成分が10モル%未満だと、強靭さが十分得られない。一方、90モル%より多いと、被膜は固くて脆くなり、膜削れが発生し易くなる。また、環境特性が悪化する。加水分解した架橋成分がシラノール基として多数残り、環境特性(湿度依存性)を悪化させていることも考えられる。
B成分は、ラジカル重合性の2官能、又は3官能性のシラン化合物であり、このようなB成分としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリトキシプロピルトリ(イソプロペキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリ(イソプロペキシ)シランが例示される。
また、架橋成分Bの縮重合触媒としては、チタン系触媒、スズ系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒が揚げられるが、本発明では、これら各種触媒のうち、優れた結果を齎らすチタン系触媒の中でも、特にチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)が触媒として最も好ましい。これは、シラノール基の縮合反応を促進する効果が大きく、且つ触媒が失活しにくいためであると考えられる。チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)の化学式は構造式1のとおりである。
Figure 2012083715
ここで、被膜の架橋による高耐久化技術としては、特許第3691115号公報に開示があり、磁性粒子表面を、少なくとも末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンとヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびイミド基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するラジカル共重合性単量体との共重合体をイソシアネート系化合物により架橋させた熱硬化性樹脂で被覆した静電荷像現像用キャリアが提案されているが、被膜の剥がれ・削れにおいて十分な耐久性が得られていないのが現状である。
その理由は十分明らかになっているとは言えないが、前述の共重合体をイソシアネート系化合物により架橋させた熱硬化性樹脂の場合、構造式からも分かるように、共重合体樹脂中のイソシアネート化合物と反応(架橋)する単位重量当りの官能基が少なく、架橋点において、ニ次元、あるいは三次元的な緻密な架橋構造を形成することができない。その為に長時間使用すると、被膜剥がれ・削れなどが生じ(被膜の耐磨耗性が小さく)易く、十分な耐久性が得られていないと推察される。
被膜の剥がれ・削れが生じると、キャリア抵抗低下による画像品質の変化、キャリア付着が起こる。また、被膜の剥がれ・削れは、現像剤の流動性を低下させ、汲み上げ量低下を引き起こし、画像濃度低下、TCアップに伴う時汚れ、トナー飛散の原因となっている。
本発明の被覆樹脂は樹脂単位重量当たりでみても、二官能、あるいは三官能の架橋可能な官能基(点)を多数(単位重量当り、2倍〜3倍多い)有した共重合樹脂であり、これを更に、縮重合により架橋させたものであるため、被膜が極めて強靭で削れ難く、高耐久化がはかれていると考えられ、被覆層を薄くしても、使用により芯材が露出し難いものである。
また、イソシアネート化合物による架橋より、本願のシロキサン結合による架橋の方が、結合エネルギーが大きく熱ストレスに対しても安定しているため、被膜の経時安定性が保たれていると推察される。
このような、本発明のキャリアの被覆樹脂を一般式(3)に示す。
Figure 2012083715

(一般式(3)中において、R1、m、R2、R3、X、Yは以下に該当するものを示す。)
R1: 水素原子、またはメチル基、
m:炭素原子数1〜8のメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、
R2:炭素原子数1〜4のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、及びブチル基等のアルキル基、
R3は、炭素数1〜8のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、及びブチル基等のアルキル基、または炭素数1〜4のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、それぞれを表わす。
X=10〜90モル%、Y=10〜90モル%
本発明においては、十分なに可とう性を付与し、かつ、芯材と被覆層、及び被覆層と導電性微粒子との接着性を良好にするため、さらに下記一般式4で表されるC成分を含むことができる。
C部分(及びモノマーC成分):(アクリル成分)
Figure 2012083715
前記一般式(4)中、
R1: 水素原子、またはメチル基
R2:炭素原子数1〜4のアルキル基である。
前記C成分を含む場合の前記A成分及び前記B成分の含有量としては、X=10〜40モル%、Y=10〜40モル%であり、C成分の含有量は、Z=30〜80モル%、好ましくは、35〜75モル%であり、かつ、60モル%<Y+Z<90モル%であり、更に好ましくは、70モル%<Y+Z<85モル%である。
C部分(モノマーC成分)が80モル%より大きくなると、X、およびYのいずれかが10以下となるため、キャリア被膜の撥水性、硬さと可とう性(膜削れ)を両立させることが難しくなる。
C部分のためのモノマーC成分のアクリル系化合物(モノマー)としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが好ましく、具体的には、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレートが例示される。これらの内ではアルキルメタクリレートが好ましく、特にメチルメタクリレートが好ましい。また、これらの化合物の1種類を単独で使用してもよく、2種類以上の混合物を使用してもよい。
なお、被覆層は、シラノール基及び/又は加水分解性官能基を有するシリコーン樹脂、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)触媒、必要に応じて、シラノール基及び/又は加水分解性官能基を有するシリコーン樹脂以外の樹脂、溶媒を含む被覆層用組成物を用いて形成することができる。
具体的には、被覆層用組成物で芯材粒子を被覆しながら、シラノール基を縮合させることにより形成してもよいし、被覆層用組成物で芯材粒子を被覆した後に、シラノール基を縮合させることにより形成してもよい。
被覆層用組成物で芯材粒子を被覆しながら、シラノール基を縮合させる方法としては、特に限定されないが、熱、光等を付与しながら、被覆層用組成物で芯材粒子を被覆する方法等が挙げられる。また、被覆層用組成物で芯材粒子を被覆した後に、シラノール基を縮合させる方法としては、特に限定されないが、被覆層用組成物で芯材粒子を被覆した後に加熱する方法等が挙げられる。
前記熱処理時の熱処理温度は、80〜400℃であることが好ましい。
前記シラノール基及び/又は加水分解性官能基を有するシリコーン樹脂以外の樹脂としては、特に限定されないが、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体のターポリマー等のフルオロターポリマー、シラノール基又は加水分解性官能基を有さないシリコーン樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、芯材粒子及び導電性微粒子との密着性が強く、脆性が低いことから、アクリル樹脂が好ましい。
アクリル樹脂は、ガラス転移点が20〜100℃であることが好ましく、25〜80℃がさらに好ましい。このようなアクリル樹脂は、適度な弾性を有しているため、現像剤を摩擦帯電させる際に、トナーとキャリアの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦による被覆層への強い衝撃を伴う場合に、衝撃を吸収することができ、被覆層を薄くしても被覆層を破損することなく、維持することができる。
また、被覆層は、アクリル樹脂とアミノ樹脂の架橋物を含有することがさらに好ましい。これにより、適度な弾性を維持したまま、被覆層同士の融着を抑制することができる。
アミノ樹脂としては、特に限定されないが、キャリアの帯電付与能力を向上させることができるため、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂が好ましい。また、適度にキャリアの帯電付与能力を制御する必要がある場合には、メラミン樹脂及び/又はベンゾグアナミン樹脂と、他のアミノ樹脂を併用してもよい。
アミノ樹脂と架橋し得るアクリル樹脂としては、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有するものが好ましく、ヒドロキシル基を有するものがさらに好ましい。これにより、芯材粒子や導電性微粒子との密着性をさらに向上させることができ、導電性微粒子の分散安定性も向上させることができる。このとき、アクリル樹脂は、水酸基価が10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上がさらに好ましい。

このような本発明のモノマーC成分を含む被覆樹脂を一般式(5)に示す。
Figure 2012083715
一般式(5)中において、R1、m、R2、R3、X、Y、及びZは以下に該当するものを示す。
R1: 水素原子、またはメチル基、
m:炭素原子数1〜8のメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、
R2:炭素原子数1〜4のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、及びブチル基等のアルキル基、
R3は、炭素数1〜8のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、及びブチル基等のアルキル基、または炭素数1〜4のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、それぞれを表わす。
X=10〜40モル%、Y=10〜40モル%、Z=30〜80モル%
60モル%<Y+Z<90モル%
(導電性微粒子)
また、本発明の被覆層用組成物は、導電性微粒子を含有するものであり、該導電性微粒子としてはカーボンブラック、ITO(酸化インジウムスズ) 、酸化錫、酸化亜鉛等を用いることができ、これらを併用しても良い。
中でもITOが好ましい。ITOを用いることで経時の抵抗、帯電が安定する理由は現在解明中であるが、酸化亜鉛の表面に導電性被覆層を有する導電性微粒子は、キャリアの体積固有抵抗を調節する機能が高く、前記表面エネルギーが小さく強靭な共重合体との親和性が相俟って、長期間キャリア抵抗や現像剤の汲み上げ量が変化せず、画像濃度の変化を防止でき、長期にわたって高品質な画像を形成できると考えられる。
導電性微粒子の添加量は、導電性微粒子の種類にもよるが、シリコーン樹脂に対して、0.1〜1000質量%であることが好ましい。導電性微粒子の添加量が0.1質量%未満であると、キャリアの体積固有抵抗を調整する効果が不十分となることがあり、1000質量%を超えると、導電性微粒子を保持することが難しくなり、キャリアの表面層が破壊され易くなる。
(その他の成分)
本発明において、被覆層用組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。これにより、導電性微粒子を安定に分散させることができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、r−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−r−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、r−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、r−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、r−クロルプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、r−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、r−クロルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
シランカップリング剤の市販品としては、AY43−059、SR6020、SZ6023、SH6026、SZ6032、SZ6050、AY43−310M、SZ6030、SH6040、AY43−026、AY43−031、sh6062、Z−6911、sz6300、sz6075、sz6079、sz6083、sz6070、sz6072、Z−6721、AY43−004、Z−6187、AY43−021、AY43−043、AY43−040、AY43−047、Z−6265、AY43−204M、AY43−048、Z−6403、AY43−206M、AY43−206E、Z6341、AY43−210MC、AY43−083、AY43−101、AY43−013、AY43−158E、Z−6920、Z−6940(東レ・シリコーン社製)等が挙げられる。
シランカップリング剤の添加量は、シリコーン樹脂に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。シランカップリング剤の添加量が0.1質量%未満であると、芯材粒子や導電性微粒子とシリコーン樹脂の接着性が低下して、長期間の使用中に被覆層が脱落することがあり、10質量%を超えると、長期間の使用中にトナーのフィルミングが発生することがある。
本発明において、被覆層は、膜の欠損箇所がないものであり、平均膜厚は0.05〜0.50μmであることが好ましい。平均膜厚が0.05μm未満であると、使用により被覆層が破壊されやすくなり、膜が削れてしまうことがあり、0.50μmを超えると、被覆服層は磁性体でないため、画像にキャリア付着が発生する虞があり、また後述する抵抗調節効果が充分発揮され難くなる。
(芯材粒子)
本発明において、芯材粒子としては、磁性体であれば、特に限定されないが、鉄、コバルト等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;各種合金や化合物;これらの磁性体を樹脂中に分散させた樹脂粒子等が挙げられる。中でも、環境面への配慮から、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Srフェライト等が好ましい。
前記導電性微粒子と前記表面エネルギーが小さく、かつ強靭なシラン系の架橋された被覆樹脂により強靭な被膜が形成され、かつ、抵抗が調節されて長期間帯電安定性に優れ、キャリア抵抗や現像剤の汲み上げ量が変化し難く、被膜削れ/剥がれが少なく、かつトナースペントが少ない、かつキャリア付着を抑制できる高耐久キャリア、および現像剤を得ることができる。
本発明において、課題達成のために芯材粒子の形状係数SF2が130以上160以下であることが重要であり、135〜145であることが好ましい。形状係数が130以下では、耐久性は経時でも問題ないが、高抵抗になり、エッジ部キャリア付着が発生し高画質化が達成できない。形状係数が160以上の場合は、主にキャリア同士の凸部での接触による膜削れの程度が大きく、耐久性が劣る。
詳細なメカニズムは検討中であるが、芯材表面に凹凸を有するため、一つのキャリア粒子内で被覆膜の薄い箇所ができ、芯材の抵抗調整が作用し、キャリア全体の抵抗調節が可能になり、前記樹脂を芯材粒子にコーティングすることで、強靭でかつ表面エネルギーが小さな皮膜が形成され、芯材粒子の形状係数が前記範囲であると前記被覆膜の薄い箇所においても経時での膜削れが少なく、長期間での帯電安定性が優れ、高画質化ならびにキャリア付着抑制にも寄与していると考えられる。
ここで、前記芯材粒子の形状係数SF2は、芯材粒子の表面凹凸と粒子全体の丸さを表し、真球では100となり、凹凸が大きくなるほど大きな値をとるパラメータであり、下記式1で表される。
Figure 2012083715
式1中、MLはキャリア粒子の周囲長を表し、Aはキャリア粒子の投影面積を表す。
本発明においては、前記磁性粒子、又は被覆層で被覆された磁性粒子を光学顕微鏡で1000倍に拡大した50個以上の粒子の画像をスキャナー解像度200dpiで画像解析装置(LUZEX III、ニレコ社製)に取り込み、その周囲長及び投影面積から、個々の粒子について形状係数の値を求め平均したものである。
芯材粒子の形状は製造工程において調整できる。芯材の製造工程において、原材料の分散が不均一であった場合、造粒した時に内部構造も不均一になり、焼成によって粒界の大きさに分布をもち、それが形状に影響を与える。
また、焼成工程でも焼成温度を精密に制御しなければ、粒界成長が不均一になり、上記と同様に形状に影響を与える。造粒工程においても、2 〜 3 個の粒子が合体した状態になるものがあり、これが焼成によって球から逸脱した形状になる。これらのコア製造工程を最適化することにより、コア粒子の表面構造を制御することができる。
より詳細には、芯材粒子のSF2は、焼成温度、焼成時間によって制御できる。焼成温度を高く、かつ焼成時間を長くするとコアの粒界が成長し、表面が滑らかになる為SF2は小さくなる。逆に焼成温度を低く、かつ焼成時間を短くするとコア表面が凸凹になりSF2は大きくなる。
芯材粒子は、重量平均粒径が20μm以上65μm以下であることが好ましい。キャリア芯材の重量平均粒径が20μm未満であると、キャリア付着が発生することがあり、65μmを超えると、画像細部の再現性が低下し、精細な画像を形成できなくなることがある。
なお、重量平均粒径は、マイクロトラック粒度分布計モデルHRA9320―X100(日機装社製)を用いて測定することができる。
また、本発明のキャリアは、1kOe(10/4π[A/m])の磁場における磁化が、40〜90Am/kgであることが好ましい。この磁化が40Am/kg未満であると、画像にキャリアが付着することがあり、90Am/kgを超えると、磁性穂が硬くなり、画像カスレが発生することがある。
なお、磁化は、VSM−P7−15(東英工業社製)を用いて測定することができる。
本発明のキャリアは、体積固有抵抗が1×10〜1×1017Ω・cmであることが好ましい。体積固有抵抗が1×10Ω・cm未満であると、非画像部でキャリア付着が発生することがあり、1×1017Ω・cmを超えると、エッジ効果が許容できないレベルになることがある。
なお、体積固有抵抗は、図1に示すセルを用いて測定することができる。具体的には、まず、表面積2.5cm×4cmの電極(1a)及び電極(1b)を、0.2cmの距離を隔てて収容したフッ素樹脂製容器(2)からなるセルに、キャリア(3)を充填し、落下高さ1cm、タッピングスピード30回/分で、10回のタッピングを行う。次に、電極(1a)及び(1b)の間に1000Vの直流電圧を印加して30秒後の抵抗値r[Ω]を、ハイレジスタンスメーター4329A(横河ヒューレットパッカード社製)を用いて測定し、下記式2から、体積固有抵抗[Ω・cm]を算出することができる。
Figure 2012083715
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明のキャリア及びトナーを有する。
トナーは、結着樹脂と着色剤を含有するが、モノクロトナー及びカラートナーのいずれであってもよい。また、定着ローラにトナー固着防止用オイルを塗布しないオイルレスシステムに適用するために、トナー粒子は、離型剤を含有してもよい。このようなトナーは、一般に、フィルミングが発生しやすいが、本発明のキャリアは、フィルミングを抑制することができるため、本発明の現像剤は、長期に亘り、良好な品質を維持することができる。さらに、カラートナー、特に、イエロートナーは、一般に、キャリアの被覆層の削れによる色汚れが発生するという問題があるが、本発明の現像剤は、色汚れの発生を抑制することができる。
トナーは、粉砕法、重合法等の公知の方法を用いて製造することができる。例えば、粉砕法を用いてトナーを製造する場合、まず、トナー材料を混練することにより得られる溶融混練物を冷却した後、粉砕し、分級して、母体粒子を作製する。次に、転写性、耐久性をさらに向上させるために、母体粒子に外添剤を添加し、トナーを作製する。
このとき、トナー材料を混練する装置としては、特に限定されないが、バッチ式の2本ロール;バンバリーミキサー;KTK型2軸押出し機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出し機(東芝機械社製)、2軸押出し機(KCK社製)、PCM型2軸押出し機(池貝鉄工社製)、KEX型2軸押出し機(栗本鉄工所社製)等の連続式の2軸押出し機;コ・ニーダ(ブッス社製)等の連続式の1軸混練機等が挙げられる。
また、冷却した溶融混練物を粉砕する際には、ハンマーミル、ロートプレックス等を用いて粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機、機械式の微粉砕機等を用いて微粉砕することができる。なお、平均粒径が3〜15μmとなるように粉砕することが好ましい。
さらに、粉砕された溶融混練物を分級する際には、風力式分級機等を用いることができる。なお、母体粒子の平均粒径が5〜20μmとなるように分級することが好ましい。
また、母体粒子に外添剤を添加する際には、ミキサー類を用いて混合攪拌することにより、外添剤が解砕されながら母体粒子の表面に付着する。
結着樹脂としては、特に限定されないが、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単独重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
圧力定着用の結着樹脂としては、特に限定されないが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂等のオレフィン共重合体;エポキシ樹脂、ポリエステル、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、マレイン酸変性フェノール樹脂、フェノール変性テルペン樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
着色剤(顔料又は染料)としては、特に限定されないが、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料;モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等の赤色顔料;ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料;コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等の青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等の緑色顔料;カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物等の黒色顔料等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
離型剤としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、アミド系ワックス、多価アルコールワックス、シリコーンワニス、カルナウバワックス、エステルワックス等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
また、トナーは、帯電制御剤をさらに含有してもよい。帯電制御剤としては、特に限定されないが、ニグロシン;炭素数が2〜16のアルキル基を有するアジン系染料(特公昭42−1627号公報参照);C.I.Basic Yello 2(C.I.41000)、C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.Basic Red 9(C.I.42500)、C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.Basic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.Basic Blue 3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.I.42140)、C.I.Basic Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blue 9(C.I.52015)、C.I.Basic Blue 24(C.I.52030)、C.I.Basic Blue25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.Basic Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Green 4(C.I.42000)等の塩基性染料;これらの塩基性染料のレーキ顔料;C.I.Solvent Black 8(C.I.26150)、ベンゾイルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライド等の4級アンモニウム塩;ジブチル、ジオクチル等のジアルキルスズ化合物;ジアルキルスズボレート化合物;グアニジン誘導体;アミノ基を有するビニル系ポリマー、アミノ基を有する縮合系ポリマー等のポリアミン樹脂;特公昭41−20153号公報、特公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号公報、特公昭45−26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属錯塩;特公昭55−42752号公報、特公昭59−7385号公報に記載されているサルチル酸;ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体;スルホン化した銅フタロシアニン顔料;有機ホウ素塩類;含フッ素4級アンモニウム塩;カリックスアレン系化合物等が挙げられるが、二種以上併用してもよい。なお、ブラック以外のカラートナーにおいては、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好ましい。
外添剤としては、特に限定されないが、シリカ、酸化チタン、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素等の無機粒子;ソープフリー乳化重合法により得られる平均粒径が0.05〜1μmのポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子等の樹脂粒子が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、表面が疎水化処理されているシリカ、酸化チタン等の金属酸化物粒子が好ましい。さらに、疎水化処理されているシリカ及び疎水化処理されている酸化チタンを併用し、疎水化処理されているシリカよりも疎水化処理されている酸化チタンの添加量を多くすることにより、湿度に対する帯電安定性に優れるトナーが得られる。
本願発明のキャリアを、キャリアとトナーから成る補給用現像剤とし、現像装置内の余剰の現像剤を排出しながら画像形成を行う画像形成装置に適用することで、極めて長期に渡って安定した画像品質が得られる。つまり、現像装置内の劣化したキャリアと、補給用現像剤中の劣化していないキャリアを入れ替え、長期間に渡って帯電量を安定に保ち、安定した画像が得られる。本方式は、特に高画像面積印字時に有効である。高画像面積印字時は、キャリアへのトナースペントによるキャリア帯電劣化が主なキャリア劣化であるが、本方式を用いることで、高画像面積時には、キャリア補給量も多くなるため、劣化したキャリアが入れ替わる頻度があがる。これにより、極めて長期間に渡って安定した画像を得られる。
補給用現像剤の混合比率は、キャリア1質量部に対してトナーを2〜50質量部の配合割合とすることが好ましい。トナーが2質量部未満の場合には、補給キャリア量が多すぎ、キャリア供給過多となり現像装置中のキャリア濃度が高くなりすぎるため、現像剤の帯電量が増加しやすい。又、現像剤帯電量が上がる事により、現像能力が下がり画像濃度が低下してしまう。また50質量部を超えると、補給用現像剤中のキャリア割合が少なくなるため、画像形成装置中のキャリアの入れ替わりが少なくなり、キャリア劣化に対する効果が期待できなくなる。
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程と、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、本発明の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する工程と、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを有する。
(プロセスカートリッジ)
図2に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。
プロセスカートリッジ(10)は、感光体(11)、感光体(11)を帯電する帯電装置(12)、感光体(11)上に形成された静電潜像を本発明の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像装置(13)及び感光体(11)上に形成されたトナー像を記録媒体に転写した後、感光体(11)上に残留したトナーを除去するクリーニング装置(14)が一体に支持されており、プロセスカートリッジ(10)は、複写機、プリンター等の画像形成装置の本体に対して着脱可能である。
以下、プロセスカートリッジ(10)を搭載した画像形成装置を用いて画像を形成する方法について説明する。
まず、感光体(11)が所定の周速度で回転駆動され、帯電装置(12)により、感光体(11)の周面が正又は負の所定電位に均一に帯電される。次に、スリット露光方式の露光装置、レーザービームで走査露光する露光装置等の露光装置(不図示)から感光体(11)の周面に露光光が照射され、静電潜像が順次形成される。さらに、感光体(11)の周面に形成された静電潜像は、現像装置(13)により、本発明の現像剤を用いて現像され、トナー像が形成される。次に、感光体(11)の周面に形成されたトナー像は、感光体(11)の回転と同期されて、給紙部(不図示)から感光体(11)と転写装置(不図示)の間に給紙された転写紙に、順次転写される。さらに、トナー像が転写された転写紙は、感光体(11)の周面から分離されて定着装置(不図示)に導入されて定着された後、複写物(コピー)として、画像形成装置の外部へプリントアウトされる。一方、トナー像が転写された後の感光体(11)の表面は、クリーニング装置(14)により、残留したトナーが除去されて清浄化された後、除電装置(不図示)により除電され、繰り返し画像形成に使用される。
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該潜像担持体を帯電させる帯電手段と、該潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを有しており、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなるものであり、現像剤として本発明の現像剤を用いるものである。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、「部」は、重量部を表わす。
<芯材の製造例>
(芯材製造例1)
Fe 73 部、MnO 3部、Mg(OH) 4部を混合し、湿式ボールミルで24 時間混合/ 粉砕して、スプレードライヤーにより造粒・乾燥した後、ロータリーキルンを用いて900℃ 、23 時間の焼成を行い、解砕工程、分級工程を経て、芯材粒子C1を調製した。
(芯材製造例2)
芯材粒子C1の調製において、ボールミルで19時間混合/ 粉砕した以外はC1 と全く同様にして芯材粒子C2を調製した。
(芯材製造例3)
芯材粒子C1の調製において、ボールミルで10時間混合/ 粉砕した以外はC1 と全く同様にして芯材粒子C3を調製した。
(芯材製造例4)
芯材粒子C1の調製において、ボールミルで25時間混合/ 粉砕した以外はC1 と全く同様にして芯材粒子C4を調製した。
(芯材製造例5)
芯材粒子C1の調製において、ボールミルで9時間混合/ 粉砕した以外はC1 と全く同様にして芯材粒子C5を調製した。
<共重合体の合成>
以下、本発明に使用する樹脂の合成例を示す。
(樹脂合成例1)(A成分:B成分=90:10)
撹拌機付きフラスコにトルエン500gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。
次いでこれに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン379.8g(900ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン24.8g(100ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。
得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は37,000であった。
次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。
このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.4mm/sであり、比重は0.92であった。
(樹脂合成例2)(A成分:B成分=10:90)
撹拌機付きフラスコにトルエン500gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。
次いでこれに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン42.2g(100ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン223.2g(900ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は34,000であった。
次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.7mm/sであり、比重は0.90であった。
(樹脂合成例3)(A成分:B成分:C成分=20:15:65)
撹拌機付きフラスコにトルエン300gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。
次いでこれに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン84.4g(200ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン 39g(150ミリモル)、メタクリル酸メチル65.0g(650ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。
得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は33,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。 このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.8mm/sであり、比重は0.91であった。
(樹脂合成例4)(A成分:B成分:C成分=20:15:65)
3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン 39g(150ミリモル)を3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン37.2g(150ミリモル)に替える以外は、樹脂合成例3と全く同じようにして、ラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。
得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は34,000であった。
次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.7mm/sであり、比重は0.91であった。
(樹脂合成例5)(A成分:B成分:C成分=25:15:60)
3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン105.5g(250ミリモル)をメタクリル酸メチル60.0g(600ミリモル)に替える以外は、樹脂合成例3と全く同じようにして、ラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。
得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は34,000であった。
次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.6mm/sであり、比重は0.91であった。
(樹脂合成例6)(A成分:B成分:C成分=15:15:70)
3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン63.3g(150ミリモル)をメタクリル酸メチル70.0g(700ミリモル)に替える以外は、樹脂合成例3と全く同じようにして、ラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。
得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は34,000であった。
次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.9mm/sであり、比重は0.92であった。
(樹脂合成例7)(A成分:B成分=100:0)
撹拌機付きフラスコにトルエン500gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。
次いでこれに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン422g(500ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。
得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は37,000であった。
次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.4mm/sであり、比重は0.91であった。
(樹脂合成例8)(A成分:B成分=0:100)
撹拌機付きフラスコにトルエン500gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。
次いでこれに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン248.0g(1000ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は33,000であった。
次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.7mm/sであり、比重は0.90であった。
(樹脂合成例9)
攪拌器、コンデンサー、温度計、窒素導入管、滴下装置を備えた容量500mlのフラスコにMEK(メチルエチルケトン)100部を仕込んだ。別に窒素雰囲気下80℃でMMA(メチルメタクリレート)を32.6部、HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)を2.5部、MPTS(オルガノポリシロキサン−1:3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン)を64.9部、V−40(1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル))1部を MEK100部に溶解させて得られた溶液を2時間にわたり反応容器中に滴下し、5時間熟成させた。
この共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにMEK(メチルエチルケトン)で希釈した。
(導電性微粒子の製造方法)
酸化アルミニウム(住友化学製AKP−30)100gを水1リットルに分散させ懸濁液とし、この液を70℃に加温した。その懸濁液に塩化第二錫11.6gを2N塩酸1リットルに溶かした溶液と12重量%アンモニア水とを懸濁液のPHが7〜8になるように40分かけて滴下した。引き続き塩化インジウム36.7gと塩化第二スズ5.4gを2N塩酸450ミリリットルに溶かした溶液と12重量%アンモニア水とを懸濁液のpHが7〜8になるように1時間かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥した。次にこの乾燥粉末を窒素気流中で500℃1時間処理し導電性粒子を得た。
得られた導電性粒子の体積固有抵抗は4Ω・cmであった。
<キャリア製造例>
(実施例1)
(キャリア製造例1)
樹脂合成例1で得られた重量平均分子量35,000のメタクリル系共重合体(100部)、触媒としてチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)TC−750(マツモトファインケミカル社製)4部、上記導電性微粒子2部を、トルエンで希釈して、固形分10wt%の樹脂溶液を得た。
芯材として芯材粒子C1を用いて、芯材表面において平均膜厚が0.30μmになるように、流動床型コーティング装置を使用して、流動槽内の温度を各70℃に制御して塗布・乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃/2時間焼成し、キャリアAを得た。
(実施例2)
(キャリア製造例2)
樹脂を合成例2の樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアBを得た。
(実施例3)
(キャリア製造例3)
樹脂を合成例3の樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアCを得た。
(実施例4)
(キャリア製造例4)
樹脂を合成例4の樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアDを得た。
(実施例5)
(キャリア製造例5)
樹脂を合成例5の樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアEを得た。
(実施例6)
(キャリア製造例6)
樹脂を合成例6の樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリア製造例6にあたるキャリアFを得た。
(実施例7)
(キャリア製造例7)
芯材粒子をC2に替える以外はキャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアGを得た。
(実施例8)
(キャリア製造例8)
芯材粒子をC2に替える以外はキャリア製造例2と全く同じ方法で、キャリアHを得た。
(実施例9)
(キャリア製造例9)
芯材粒子をC2に替える以外はキャリア製造例3と全く同じ方法で、キャリアIを得た。
(実施例10)
(キャリア製造例10)
芯材粒子をC2に替える以外はキャリア製造例4と全く同じ方法で、キャリアJを得た。
(実施例11)
(キャリア製造例11)
芯材粒子をC2に替える以外はキャリア製造例5と全く同じ方法で、キャリアKを得た。
(実施例12)
(キャリア製造例12)
芯材粒子をC2に替える以外はキャリア製造例6と全く同じ方法で、キャリアLを得た。
(実施例13)
(キャリア製造例13)
芯材粒子をC3に替える以外はキャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアMを得た。
(実施例14)
(キャリア製造例14)
芯材粒子をC3に替える以外はキャリア製造例2と全く同じ方法で、キャリアNを得た。
(実施例15)
(キャリア製造例15)
芯材粒子をC3に替える以外はキャリア製造例3と全く同じ方法で、キャリアOを得た。
(実施例16)
(キャリア製造例16)
芯材粒子をC3に替える以外はキャリア製造例4と全く同じ方法で、キャリアPを得た。
(実施例17)
(キャリア製造例17)
芯材粒子をC3に替える以外はキャリア製造例5と全く同じ方法で、キャリアQを得た。
(実施例18)
(キャリア製造例18)
芯材粒子をC3に替える以外はキャリア製造例6と全く同じ方法で、キャリアRを得た。
(比較例1)
(キャリア製造比較例1)
樹脂を合成例7の樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアaを得た。
(比較例2)
(キャリア製造比較例2)
樹脂を合成例8の樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアbを得た。
(比較例3)
(キャリア製造比較例3)
樹脂を合成例9の樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアcを得た。
(比較例4)
(キャリア製造比較例4)
2官能または3官能のモノマーから作成された重量平均分子量15,000のメチルシリコーンレジン(固形分25%)30部を加える以外はキャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアdを得た。
(比較例5)
(キャリア製造比較例5)
樹脂を合成例7の樹脂に替える以外は、キャリア製造例7と全く同じ方法で、キャリアeを得た。
(比較例6)
(キャリア製造比較例6)
樹脂を合成例8の樹脂に替える以外は、キャリア製造例7と全く同じ方法で、キャリアfを得た。
(比較例7)
(キャリア製造比較例7)
樹脂を合成例9の樹脂に替える以外は、キャリア製造例7と全く同じ方法で、キャリアgを得た。
(比較例8)
(キャリア製造比較例8)
2官能または3官能のモノマーから作成された重量平均分子量15,000のメチルシリコーンレジン(固形分25%)30部を加える以外はキャリア製造例7と全く同じ方法で、キャリアhを得た。
(比較例9)
(キャリア製造比較例9)
樹脂を合成例7の樹脂に替える以外は、キャリア製造例13と全く同じ方法で、キャリアiを得た。
(比較例10)
(キャリア製造比較例10)
樹脂を合成例8の樹脂に替える以外は、キャリア製造例13と全く同じ方法で、キャリアjを得た。
(比較例11)
(キャリア製造比較例11)
樹脂を合成例9の樹脂に替える以外は、キャリア製造例13と全く同じ方法で、キャリアkを得た。
(比較例12)
(キャリア製造比較例12)
2官能または3官能のモノマーから作成された重量平均分子量15,000のメチルシリコーンレジン(固形分25%)30部を加える以外はキャリア製造例13と全く同じ方法で、キャリアlを得た。
(比較例13)
(キャリア製造比較例13)
芯材粒子をC4に替える以外はキャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアmを得た。
(実施例14)
(キャリア製造比較例14)
芯材粒子をC4に替える以外はキャリア製造例2と全く同じ方法で、キャリアnを得た。
(実施例15)
(キャリア製造比較例15)
芯材粒子をC4に替える以外はキャリア製造例3と全く同じ方法で、キャリアoを得た。
(比較例16)
(キャリア製造比較例16)
芯材粒子をC5に替える以外はキャリア製造例1と全く同じ方法で、キャリアpを得た。
(比較例17)
(キャリア製造比較例17)
芯材粒子をC5に替える以外はキャリア製造例2と全く同じ方法で、キャリアqを得た。
(比較例18)
(キャリア製造比較例18)
芯材粒子をC5に替える以外はキャリア製造例3と全く同じ方法で、キャリアrを得た。
<芯材、キャリア特性評価>
得られた芯材及びキャリアの特性を各々表1、2に示す。
(芯材特性)
Figure 2012083715

(キャリア特性)
Figure 2012083715

以下、芯材キャリアの特性の評価方法を示す。
[芯材粒子の形状係数]
画像解析装置(LUZEX III、ニレコ社製)を用いて形状係数の値を求めた。
[芯材、キャリア粒子の重量平均粒径]
マイクロトラック粒度分布計モデルHRA9320−X100(日機装社製)を用いて、キャリア粒子の粒度分布を測定した。
[芯材、キャリア粒子の1kOeの磁場における磁化]
キャリア約0.15gを、内径が2.4mm、高さが8.5mmのセルに充填した後、VSM−P7−15(東英工業社製)を用いて、1kOeの磁場において、磁化を測定した。
[キャリア粒子の体積固有抵抗]
体積固有抵抗は、図1に示すセルを用いて測定した。具体的には、まず、表面積2.5cm×4cmの電極1a及び電極1bを、0.2cmの距離を隔てて収容したフッ素樹脂製容器2からなるセルに、キャリア3を充填し、落下高さ1cm、タッピングスピード30回/分で、10回のタッピングを行った。次に、電極1a及び1bの間に1000Vの直流電圧を印加して30秒後の抵抗r[Ω]を、ハイレジスタンスメーター4329A(横川ヒューレットパッカード社製)を用いて測定し、下記式2から、体積固有抵抗[Ωcm]を算出した。
Figure 2012083715
[被覆層の平均膜厚]
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリアの断面を観察して、被覆層の平均膜厚を測定した。
[被覆層樹脂の重量平均分子量]
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて標準ポリスチレン換算で求めた。粘度は25℃でJIS−K2283に準じて測定した。また、不揮発分はコーティング剤組成物1gをアルミ皿に秤取り、150℃で1時間加熱した後の重量を測定して、次式に従って算出した。
不揮発分(%)=(加熱前の重量−加熱後の重量)×100/加熱前の重量
<トナー製造例>
(ポリエステル樹脂Aの合成例)
温度計、攪拌機、冷却器および窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールAのPO付加物(水酸基価 320)443部、ジエチレングリコール135部、テレフタル酸422部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れて、200℃で酸価が10になるまで反応させて、[ポリエステル樹脂A]を得た。本樹脂のTgは63℃、ピーク個数平均分子量6000であった。
(ポリエステル樹脂Bの合成例)
温度計、攪拌機、冷却器および窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールAのPO付加物(水酸基価 320)443部、ジエチレングリコール135部、テレフタル酸422部およびジブチルチンオキサイド2.5部を入れて、230℃で酸価が7になるまで反応させて、[ポリエステル樹脂B]を得た。本樹脂のTgは65℃、ピーク個数平均分子量16000であった。

ポリエステル樹脂A ・・・・ 40部
ポリエステル樹脂B ・・・・ 60部
カルナバワックス ・・・・1部
カーボンブラック(#44 三菱化学社製)・・・・ 15部

上記のトナー構成材料を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製のヘンシェル20Bで1500rpmで3分間)で混合し、一軸混練機(Buss社製の小型ブス・コ・ニーダー)にて以下の条件で混練を行い(設定温度:入口部100℃、出口部50℃で、フィード量:2kg/Hr)、[母体トナーA1]を得た。
更に、[母体トナーA1]を混練後圧延冷却し、パルペライザーで粉砕し、更に、I式ミル(日本ニューマチック社製IDS−2型にて、平面型衝突板を用い、エアー圧力:6.8atm/cm2、フィード量:0.5kg/hrの条件)にて微粉砕を行い、更に分級を行って(アルピネ社製の132MP)、[母体トナー粒子1]を得た。
(外添剤処理)
「母体トナー粒子1」100部に対し、外添剤として疎水性シリカ微粒子(R972:日本アエロジル社製)を1.0部添加し、ヘンシェルミキサーで混合してトナー粒子を得た(以下「トナー1」という)。
<現像剤の作成>
キャリア製造例で得られたキャリアA〜R、a〜r(93部)に対して、トナー製造例で得られたトナー1(7.2μm)を7.0部加えて、ボールミルで20分攪拌して、現像剤A〜R、及び現像剤a〜rを作成した。
<現像剤特性評価>
得られた現像剤を用いて、リコー社製 イマジオカラー4000(リコー製デジタルカラー複写機・プリンタ複合機)を用いて画像評価を実施した。具体的には、まず、実施例及び比較例の現像剤A〜R、a〜rを用いて、画像面積率20%で、初期及び30万枚のランニング後のキャリアの帯電量及び体積固有抵抗を測定し、帯電量の低下量及び体積固有抵抗の変化量を算出した。
なお、初期のキャリアの帯電量(Q1)は、キャリアA〜R、a〜rと、トナー1を、質量比93:7で混合し、摩擦帯電させたサンプルを、ブローオフ装置TB−200(東芝ケミカル社製)を用いて測定した。
また、ランニング後のキャリアの帯電量(Q2)は、ブローオフ装置を用いてランニング後の現像剤中の各色のトナーを除去したキャリアを用いた以外は、上記と同様にして測定した。なお、帯電量の変化量の目標値は10μC/g以下である。
一方、初期のキャリアの体積固有抵抗(LogR1)は、上記[体積固有抵抗]と同様にして測定したキャリアの体積固有抵抗の常用対数値である。ランニング後のキャリアの体積固有抵抗(LogR2)は、ブローオフ装置を用いてランニング後の現像剤中の各色のトナーを除去したキャリアを用いた以外は、上記と同様にして測定した。なお、体積固有抵抗の目標値は絶対値で1.5[Log(Ωcm)]以下である。
現像剤評価結果を表3に示す。
Figure 2012083715
(実機品質評価)
なお、画像品質確認および信頼性試験等の特性試験は、リコー社製 イマジオカラー4000(リコー製デジタルカラー複写機・プリンタ複合機)を使用し、次の現像条件で作成した。
・現像ギャップ(感光体−現像スリーブ):0.3mm
・ドクターギャップ(現像スリーブ−ドクター):0.65mm
・感光体線速度:200mm/sec
・(現像スリーブ線速度)/(感光体線速度):1.80
・書込み密度:600dpi
・帯電電位(Vd):−600V
・画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V
・現像バイアス:DC −500V /交流バイアス成分:2KHz、−100V〜−900V、50%duty
品質評価は転写紙上で実施、但しキャリア付着は現像後転写前の状態を感光体上から粘着テープに転写して観察した。
(実機品質評価項目)
(現像剤の物性変動)
(1)現像剤汲み上げ量の変動率(%)
={(初期における現像剤汲み上げ量−30万枚ランニング後の現像剤汲み上げ量)/初期における現像剤汲み上げ量}×100

但し、現像スリーブ上の現像剤汲み上げ量=mg/cm2
±5%未満 : ◎大変良好
±5以上〜±10%未満 : ○良好
±10以上〜±20%未満 : △使用可能
±20%以上 : ×不良
(2)スペントトナー量:30万枚ランニングしたキャリアと初期キャリアについて、トナー成分をメチルエチルケトンで抽出し、その差をスペントトナー量(キャリア重量に対するwt%で表示)する。
0以上〜0.03Wt%未満 : ◎大変良好
0.03Wt%以上 〜0.07t%未満 : ○良好
0.07Wt%以上 〜0.15Wt%未満 : △使用可能
0.15Wt%以上 : ×不良
(3)トナー帯電量(Q/M)環境変動率(%)=2×{(10℃15%におけるトナー帯電量−30℃90%におけるトナー帯電量)/(10℃15%におけるトナー帯電量+30℃90%におけるトナー帯電量)}×100
0以上〜10%未満 : ◎大変良好
10以上〜30%未満 : ○良好
30以上〜70%未満 : △使用可能
70%以上 : ×不良
現像剤の帯電量は以下の方法で測定することができる。
一定量の現像剤を、両端に金属メッシュを備えた導体容器(ケージ)に入れる。メッシュ(ステンレス製)の目開きはトナーとキャリアの粒径の中間のもの(目開き20μm)選び、トナーがメッシュの間を通過するように設定する。ノズルから圧縮窒素ガス(1kgf/cm2)を60秒間吹き付けて、トナーをゲージの外へ飛び出させると、ケージ内にトナーの電荷と逆極性を持ったキャリアが残される。
その電荷量Qと、飛び出したトナーの質量Mを測定し、単位質量当たりの電荷量を帯電量Q/Mとして算出する。トナー帯電量はμc/gで表示される。
(画像品質評価)
上記の画像形成において画像の評価に採用した試験方法および評価基準は以下のとおりである。
画像品質評価は転写紙上で実施、但しキャリア付着は現像後、転写前の状態を感光体上から粘着テープに転写して観察した。
(4)ベタ部画像濃度:上記現像条件における、30mm×30mmのベタ部(注1)の中心をX−Rite938分光測色濃度計で、5個所測定し平均値を出した。
注1;現像ポテンシャル400V相当箇所=(露光部電位−現像バイアスDC)
=-100V-(-500V)
(5)ハイライト部画像濃度:上記現像条件における、30mm×30mmのハイライト部(注2)の中心をX−Rite938分光測色濃度計で、5個所測定し平均値を出した。
注2;現像ポテンシャル150V相当箇所=(ハイライト部電位−現像バイアスDC)=-350V-(-500V)
(6)粒状度:下記の式で定義された粒状度(明度範囲:50〜80)を測定し、その数値を下記のようにランクに置き換えて評価した。
粒状度=exp(aL+b)∫(WS(f))1/2・VTF(f)df
L:平均明度
f:空間周波数(cycle/mm)
WS(f):明度変動のパワースペクトラム
VTF(f):視覚の空間周波数特性
a,b:係数
0以上〜0.2未満 : ◎(大変良好)
0.2以上〜0.3未満 : ○(良好)
0.3以上〜0.4未満 : △(使用可能)
0.4以上 : ×(不良)
(7)地汚れは画像上の地肌部の汚れを目視で評価した。表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、△:使用可能 ×:不良 とした。
(8)キャリア付着(ベタ部)
キャリア付着が発生すると、感光体ドラムや定着ローラーの傷の原因となり、画像品質の低下を招く。感光体上にキャリア付着が発生しても、一部のキャリアしか紙に転写しないため、以下の方法で評価した。
前述の現像条件(帯電電位(Vd):−600V、画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V、現像バイアス:DC −500V)における、イマジオカラー4000のベタ画像(30mm×30mm)に付着したキャリアの個数を、感光体上でカウントしてベタキャリア付着の評価を行った。
表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、△:使用可能、×:不良とした。
(9)キャリア付着(エッジ)
キャリア付着が発生すると、感光体ドラムや定着ローラーの傷の原因となり、画像品質の低下を招く。感光体上にキャリア付着が発生しても、一部のキャリアしか紙に転写しないため、以下の方法で評価した。
帯電電位(Vd)を−600V、露光部電位-100V、現像バイアス(Vb)DC−400Vの現像条件で、即ち、地肌ポテンシャル200Vの条件で、感光体上の副走査方向に2ドットライン(100lpi/inch)の画像を形成した。
次に、感光体上に現像された2ドットラインを粘着テープ(面積100cm2)で転写し、その個数をカウントしてキャリア付着の評価を行った。
表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、△:使用可能、×:不良(×は許容不可のレベル)とした。
(10)環境ID変動
ΔID= 30℃90%と10℃15%のベタ部の画像濃度の差
0以上〜0.05未満 : ◎(大変良好)
0.05以上〜0.15未満 : ○(良好)
0.15以上〜0.25未満 : △(使用可能)
0.25以上 : ×(不良)
(11)トナー飛散
30万枚ランニング後の現像装置周辺のトナの飛散状態を以下の基準で評価した。
表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、△:使用可能、×:不良(×は許容不可のレベル)とした。
以上の結果をまとめて、初期の印刷品質を表4に、また30万枚ランニング後の印刷品質を表5に示す。
(初期の印刷品質)
Figure 2012083715

(30万枚ランニング後の印刷品質)
Figure 2012083715
(図1について)
1a 電極
1b 電極
2 フッ素樹脂製
3 キャリア
(図2について)
10 プロセスカートリッジ
11 感光体
12 帯電装置
13 現像装置
14 クリーニング装置
特開昭55−127569号公報 特開昭55−157751号公報 特開昭56−140358号公報 特開昭57−96355号公報 特開昭57−96356号公報 特開昭58−207054号公報 特開昭61−110161号公報 特開昭62−273576号公報 特開2001−92189号公報 特開平06−222621号公報 特開2006−337828号公報 特許3726592号公報 特開2007−58124号公報

Claims (13)

  1. 磁性を有する芯材粒子とその表面を被覆する樹脂層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、該芯材粒子の形状係数SF2が130以上160以下であり、該樹脂層は、導電性微粒子を含み、かつ少なくとも下記一般式(1)で表されるモノマーA成分由来のA部位と下記一般式(2)で表されるモノマーB成分由来のB部位とを含む共重合体を、加熱処理して得られた樹脂を含有することを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
    Figure 2012083715
    Figure 2012083715
    (式中において、R1、m、R2、R3、X、及びYは以下に該当するものを示す。)
    R1:水素原子、またはメチル基
    m:炭素原子数1〜8のアルキレン基
    R2:炭素原子数1〜4のアルキル基
    R3は、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基
    X:10〜90モル%
    Y:10〜90モル%
  2. 前記共重合体は、下記一般式(5)で表される共重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
    Figure 2012083715

    (式中において、R1、m、R2、R3、X、Y、及びZは以下に該当するものを示す。)
    R1:水素原子、またはメチル基
    m :炭素原子数1〜8のアルキレン基
    R2:炭素原子数1〜4のアルキル基
    R3: 炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基
    X:10〜40モル%
    Y:10〜40モル%
    Z:30〜80モル%
    60モル%<Y+Z<90モル%
  3. 前記加熱処理時の熱処理温度が80〜400℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
  4. 体積固有抵抗が1×10Ω・cm以上1×1017Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
  5. 前記樹脂層は、平均膜厚が0.05μm以上0.50μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
  6. 前記芯材粒子は、重量平均粒径が20μm以上65μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
  7. 1kOeの磁場における磁化が40Am/kg以上90Am/kg以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のキャリア及びトナーを有することを特徴とする二成分現像剤。
  9. 前記トナーは、カラートナーであることを特徴とする請求項8に記載の現像剤。
  10. キャリア及びトナーを含む補給用現像剤であって、キャリア1質量部に対してトナーを2〜50重量部含有し、前記キャリアが請求項1乃至7のいずれかに記載のキャリアであることを特徴とする補給用現像剤。
  11. 静電潜像担持体と、該潜像担持体を帯電させる帯電手段と、該潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項8乃至10のいずれかに記載の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  12. 静電潜像担持体、該感光体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を請求項8乃至10のいずれかに記載の現像剤を用いて現像する現像部と、前記静電潜像担持体をクリーニングするクリーニング部材を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  13. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項8乃至10のいずれかに記載の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
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