JP2012078801A - 中間転写ベルト、画像形成装置、及び中間転写ベルトの製造方法 - Google Patents

中間転写ベルト、画像形成装置、及び中間転写ベルトの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二次転写時における転写率及び、二次転写後のクリーニング部材によるトナーの除去に対す、耐摩耗性、耐キズ性等の耐久性、及び耐フィルミング性に優れた表面層を有する中間転写ベルト、画像形成装置、及び中間転写ベルトを製造する中間転写ベルトの製造方法の提供。
【解決手段】電子写真方式の画像形成装置に使用される中間転写ベルトであって、基体と、前記基体上に設けられた表面硬化層とを有し、前記表面硬化層は、少なくとも活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、重合性フッ素樹脂と、重合性シロキサンのグラフト型樹脂共重合体との反応物を含むことを特徴とする中間転写ベルト。
【選択図】図4

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に使用する中間転写ベルト、画像形成装置及び中間転写ベルトの製造方法に関するものである。
複写機、レーザープリンタなどの電子写真方式の画像形成装置は、近年では高画質フルカラー化、高品質化の要求が強く求められている。電子写真方式の画像形成装置は、従来から知られている様に、感光体を一様に帯電する帯電部材、感光体上に静電潜像を形成する露光部材、静電潜像をトナー像で現像する現像部材、転写体に転写する転写部材、トナー像を転写体上に定着させる定着部材、感光体上の残留トナーをクリーニングするクリーニング部材、感光体上の静電潜像を除去する除電部材等の構成部材を有している。電子写真方式の画像形成装置は、帯電したトナーを感光体上の静電潜像に接触或いは非接触で供給し、静電潜像を顕像にする現像過程を経て形成したトナー像を転写工程で感光体から中間転写体に一次転写した後、中間転写体から転写材(例えば紙)に二次転写し、更に定着して最終画像を形成するものである。中間転写体としては、基体に無端のベルトを使用した中間転写体ベルト及び、基体に金属ロールを使用した中間転写体ロールが知られている。
転写工程では中間転写体にトナー像を一次転写するための転写帯電と除電、転写後の中間転写体に残ったトナーを除去するためのブレードによるクリーニング等の様々な機械的及び電気的外力が中間転写体に加えられる。
このため、中間転写体として中間転写ベルトを使用した場合、中間転写ベルトには高画質化、高速化を達成するための代表的な項目として以下に示す項目が知られている。
1)中間転写体の表面に感光体から転写されて形成されたトナー画像の転写材(例えば紙)への高転写率が要求されている。
転写率とは、中間転写体の表面に形成されたトナー画像の転写材(例えば紙)への転写の割合を言う。転写率が低いと転写材(例えば紙)へ転写された画像に抜けが生じ、濃度ムラが発生し高画質化が出来ない。
2)中間転写体の高耐久性が要求されている。
耐久性とは、長時間の転写材への転写を可能とする性能を言う。中間転写体の表面は転写材(例えば、紙等)へ二次転写した後、残存するトナーを除去するためクリーニングブレードで擦すられるため、クリーニングブレードとの接触で表面の平滑性がなくなり、ヒビ割れが発生し感光体からの安定したトナー画像の転写が出来なくなる。又、中間転写体が無端のベルトの場合は、ベルト回転でクラック(ヒビ割れ)が発生する。
3)フィルミングが発生しないことが要求されている。
フィルミングとは、転写材(例えば紙)へ二次転写した後、中間転写体の表面をクリーニングブレードでクリーニングを行う時に、除去されずに残るトナーが徐々に集積されてフィルム状になる現象を言う。トナーが残る原因としては、1)中間転写体の表面に発生したクラックにトナーが入り込む、2)クリーニングブレードとの接触等で表面に出来た凹部にトナーが残る等が挙げられる。フィルミングが発生した場所では転写率が低下し、画像にスジやムラが発生し高画質化が出来ない。中間転写ベルトへの1)から3)の要求に対してこれまでに多くの検討が成されて来た。
中間転写ベルトに使用する材料としては、ポリカーボネート樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリアルキレンフタレート、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂にカーボンブラック等の導電性材料を分散させた材料等が知られている。上記1)から3)の要求に対してこれらの熱可塑性樹脂を使用する場合、単独では、滑り性、耐キズ性、クリーニング性に劣るため、これらの性能を補うために表面層を設けて使用することが知られている。
一方、トナーには、転写率を向上させるために無機微粒子、磁性粉、フェライト等を混入して使用されている。この様なトナーを使用し、表面層に熱可塑性樹脂を使用した中間転写ベルトでも、二次転写後に中間転写ベルトの上に残ったトナーをブレードにより除去する際、トナーによる引っ掻きキズが発生し、中間転写ベルトの耐久性を低下させる原因の1つになっている。
このため、表面層の耐久性を向上させる対策が検討されてきた。
例えば、安定したトナークリーニンク性能を発現するため、基体上に塗布により設けられた、導電性粒子を含む厚さ0.5μmから3μmの樹脂硬化膜とを具備する中間ベルトが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、ブレードによる耐摩耗性、擦りキズに対する耐久性は確かに向上するが、転写率、クリーニング性が劣ることが判った。
耐摩耗性、フィルミング現象等の問題の対策として、(a)樹脂製の基体、(b)ゴム弾性樹脂を含む弾性層、及び(c)フッ素樹脂及び層状粘土鉱物を含む表面層であって、層状粘土鉱物の配合割合が0.1質量%から5質量%であり、表面層の厚みが0.5μmから4μmである3層構成の中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献2に記載の技術は、表面層の樹脂が架橋されておらず、更に層状粘土鉱物が化学的に結合していないため強度が低く、耐久性に劣ることが判った。
基体、弾性層及び表面層の少なくとも3層構成を有し、表面層が、フッ素樹脂1質量部に対してフッ素ゴムを1質量部より多く、5質量部以下の割合で含むゴムラテックスと、硬化剤とを有するか、又は、フッ素樹脂とシリコーン成分とを含有する水系ウレタン樹脂と、硬化剤とを有し、又、その表面層における表面エネルギーが20mN/mから40mN/mであり、且つ、ナノインデンターで測定した、3μm押し込み時の硬度が0.1MPaから1.5MPaの中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、特許文献3に記載の技術は、表面層が樹脂成分のみで構成されているため物理的な耐キズ性が劣り、比較的強い応力が加わった際は耐久性が低いことが判った。
この様な状況から、二次転写後のブレードによるトナーの除去に対す、耐摩耗性、耐キズ性等の耐久性に優れた表面層を有する中間転写ベルト、画像形成装置及び前記中間転写ベルトを製造する中間転写ベルトの製造方法の開発が望まれている。
特開2007−183401号公報 特開2009−258715号公報 特開2010−15143号公報
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、二次転写時における転写率及び、二次転写後のクリーニング部材によるトナーの除去に対す、耐摩耗性、耐キズ性等の耐久性、及び耐フィルミング性に優れた表面層を有する中間転写ベルト、画像形成装置、及び中間転写ベルトを製造する中間転写ベルトの製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は下記の構成により達成できる。
1.電子写真方式の画像形成装置に使用される中間転写ベルトであって、基体と、前記基体上に設けられた表面硬化層とを有し、前記表面硬化層は、少なくとも活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、重合性フッ素樹脂と、重合性シロキサンのグラフト型樹脂共重合体との反応物を含むことを特徴とする中間転写ベルト。
2.前記表面硬化層のナノインデンテーション法による硬度が0.5GPaから2.5GPaであることを特徴とする前記1に記載の中間転写ベルト。
3.前記表面硬化層の厚みが0.5μmから5.0μmであることを特徴とする前記1又は2に記載の中間転写ベルト。
4.前記表面硬化層の摩擦係数が0.25以下であることを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の中間転写ベルト。
5.前記表面硬化層は、記活性エネルギー線硬化型モノマー100体積部に対して、前記反応性金属酸化物微粒子を12.5体積部から400体積部有し、前記重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂を25体積部から300体積部含むことを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の中間転写ベルト。
6.電子写真方式の画像形成装置に使用される中間転写ベルトの製造方法であって、前記中間転写ベルトは、基材と、前記基材の上に表面硬化層とを有し、前記表面硬化層は、活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、重合性フッ素樹脂と、重合性シロキサングラフト型樹脂とを有する表面層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し形成することを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。
7.前記表面硬化層のナノインデンテーション法による硬度が0.5GPaから2.5GPaであることを特徴とする前記6に記載の中間転写ベルトの製造方法。
8.前記表面硬化層の厚みが0.5μmから5.0μmであることを特徴とする前記6又は7に記載の中間転写ベルトの製造方法。
9.前記表面層形成用塗布液は、記活性エネルギー線硬化型モノマー100体積部に対して、前記反応性金属酸化物微粒子を12.5体積部から400体積部と、前記重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂を25体積部から300体積部とを含むことを特徴とする前記6から8の何れか1項に記載の中間転写ベルトの製造方法。
10.前記1から5の何れか1項に記載の中間転写ベルトを使用したことを特徴とする画像形成装置。
本発明者は、中間転写ベルトの表面にフッ素樹脂を含む表面層を設けても、何故、ブレード、によるトナーの除去に対し、耐摩耗性、耐キズ性等の耐久性が劣るかを検討した結果、以下のことが判明した。
1.ブレード、ブラシ等のクリーニング部材によりトナーを除去する際、クリーニング部材により表面層が擦れることで摩耗する、押圧が掛けられた状態でブレードと表面層の間にトナーが挟まり、相対的に表面層が移動することで、トナーにより表面層が削られキズが発生する。
2.ブレードやブラシによりトナーを除去する際、クリーニング部材を中間転写ベルトの表面に押圧することで中間転写ベルトの表面とブレードの接触箇所には応力が集中した状態となる。この時、中間転写ベルトのトナーの離型性が悪いと、トナーやトナーの外添剤が中間転写ベルトに押し当てられることで、それらが中間転写ベルトを局所的に被覆するフィルミングが発生する。
3.トナーが中間転写ベルトから紙等の転写体に二次転写される際、トナーと中間転写ベルト間の付着力が強いとトナーが転写体に転写されず中間転写ベルト上に残存してしまい、転写率が低下する。
上記1から3に示す現象は、長時間の使用に伴い表面層の滑り性が低下しているためと推定した。
何故、長時間の使用に伴い表面層の滑り性が低下するのか更に検討した結果、表面層に掛けられる負荷(上記1から3参照)により、表面層を構成しているフッ素樹脂の1部が離脱するためによるものと推定した。
これらのことから、転写時のブレードに対す、摩耗耐性を上げ、トナーに対す、擦りキズ耐性を同時に上げ、中間転写ベルトの離型性を上げて耐フィルミング性を上げ、トナーと中間転写ベルト間の付着力を低下させ転写率を上げるには、表面層を次の構成にすることが重要であることが判った。
1.摩耗耐性を上げるには、表面層の滑り性、及び、硬さを上げる。
2.滑り性を上げるためにはフッ素系樹脂の使用が効果的である。
3.フッ素系樹脂の脱落を抑える。
更に検討した結果、表面層の耐久性に一番影響を及ぼす要因として、表面層の硬さ不足と、フッ素樹脂の離脱とが挙げられ、ブレードに対す摩耗耐性を上げ、トナーに対す擦りキズ耐性を上げ、フッ素樹脂の離脱が発生しない様に、硬さと摩擦係数のバランスを取り、表面層を構成している各材料が一体構造となる様に、フッ素樹脂を固定することで本発明の目的を達成出来ることが判り、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明の中間転写ベルトは基体上に表面硬化層を有し、該表面硬化層は、少なくとも、活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、重合性フッ素樹脂と重合性シロキサンのグラフト型樹脂共重合体との反応物により構成される。
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、二次転写時における転写率及び、二次転写後のクリーニング部材によるトナーの除去に対す、耐摩耗性、耐キズ性等の耐久性、及び耐フィルミング性に優れた表面層を有する中間転写ベルト、画像形成装置、及び中間転写ベルトを製造する中間転写ベルトの製造方法を提供することが出来た。
中間転写体として中間転写ベルトを使用した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。 図1に示す中間転写体の中間転写ベルトの部分拡大概略断面図である。 図2に示す中間転写ベルトを製造する概略製造工程図である。 図3に示す硬化処理工程で使用している表面層(保護層)の硬化処理装置の一例を示す概略図である。
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
次に、本発明の実施の形態を図1から図4を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、中間転写体として中間転写ベルトを使用した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。尚、本図はフルカラー画像形成装置の場合を示している。
図中、1はフルカラー画像形成装置を示す。フルカラー画像形成装置1は、複数組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体形成ユニット7と、記録媒体Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としてのベルト式定着装置24とを有する。フルカラー画像形成装置1の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体1Y、1M、1C、1Kに形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Y、感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。
又、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。
又、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。
又、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成ユニット10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写手段としての一次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体として無端の中間転写ベルト70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端の中間転写ベルト70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体として用紙等の記録媒体Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aに搬送され、記録媒体(転写材)P上にカラー画像が一括転写される。
カラー画像が転写された記録媒体(転写材)Pは、熱ローラ定着器270が装着された定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、二次転写ローラ5Aにより記録媒体(転写材)Pにカラー画像を転写した後、記録媒体(転写材)Pを曲率分離した無端の中間転写ベルト70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
二次転写ローラ5Aは、ここを記録媒体(転写材)Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、中間転写ベルト70に圧接する。
又、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。筐体8は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体形成ユニット7とを有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端の中間転写ベルト70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとを有している。
筐体8の引き出し操作により、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
この様に感光体1Y、1M、1C、1Kの外周面上を帯電、露光し外周面上に潜像を形成した後、現像によりトナー像(顕像)を形成し、無端ベルト状の中間転写ベルト70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録媒体(転写材)Pに転写し、ベルト式定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。尚、本発明で像形成時とは潜像形成、トナー像(顕像)を記録媒体Pに転写し最終画像を形成することを含む。
トナー像を記録媒体Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、各感光体1Y、1M、1C、1Kに配設されたクリーニング手段6Y、6M、6C、6Kで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
上記カラー画像形成装置では、中間転写体をクリーニングするクリーニング手段6Aのクリーニング部材として、弾性ブレードを用いる。又、各感光体に脂肪酸金属塩を塗布する手段(11Y、11M、11C、11K)を設けている。尚、脂肪酸金属塩としては、トナーで用いたと同じものを用いることが出来る。
本発明は、図1に1例として示す電子写真方式の画像形成装置に使用される中間転写ベルト、及びこの中間転写ベルトの製造方法に関するものである。
図2は図1に示す中間転写体の中間転写ベルトの部分拡大概略断面図である。
図中、70は中間転写ベルトを示す。中間転写ベルトは、無端ベルト状基体70aの上に表面層70bを有する構成を有している。
無端ベルト状基体70aの硬度は、機械的強度、画質、製造コスト等を考慮し、20MPaから200MPaであることが好ましい。
無端ベルト状基体70aの厚さEは、機械的強度、画質、製造コスト等を考慮し、50μmから250μmが好ましい。
表面層70bの硬度はユニバーサル硬度(HU)(DIN 50359)で、ブレードによる擦りキズ、摩耗、耐久性、転写率、フィルミング、画像品質等を考慮し、200MPaから1200MPaが好ましい。
硬度は、超微小硬度計「H−100V(フィッシャー・インストルメンツ(株))」を用いて下記条件で測定した値を示す。
測定条件
測定機:微小硬度計「H−100V(フィッシャー・インストルメンツ(株)製)」
圧子形状:ビッカース圧子(a=136°)
測定環境:20℃、60%RH
最大試験荷重:2mN
荷重速度:2mN/10sec
最大荷重クリープ時間:5秒
除荷速度:2mN/10sec
尚、測定は表面層70bと無端ベルト状基体70aで異なる方法で行った。表面層70bについては厚み1mmのアルミニウム板上に厚さ2μmとなる様に塗布・硬化し、ランダムに10点から30点測定した。又、無端ベルト状基体70aについては厚み1mmのアルミニウム板上に設置し、軸方向に均等間隔で5点、周方向に10点から30点測定した。各々それらの平均値をユニバーサル硬度(HU)とする。
中間転写ベルトについては、周方向における場所によるユニバーサル硬度(HU)のムラは、ベルト1本当たりの平均値に対し最大値、最小値の値の差がユニバーサル硬度(HU)で、感光体上のトナー像を中間転写ベルトに転写する時の転写ムラ、画像濃度ムラ、画像品質等を考慮し、20%以下が好ましい。尚、ユニバーサル硬度のムラは下記式より求めた値である。
ユニバーサル硬度のムラ=(同一軸上の周方向の最大硬度−同一軸上の周方向の最小硬度)/同一軸上の周方向の最大硬度
表面層70bの厚さFは、転写率、耐久性、フィルミング、画質を考慮し、0.5μmから5μmが好ましい。
表面層の厚さは、Fischer Instrumens社製のフィッシャースコープ(登録商標)mmsにて測定した。
ところで、表面層の厚さが1μm以下の場合、そのような薄膜層の硬度は、基体の物性の影響を受けやすく、また、圧子を押し込んだ際に薄膜層に割れが発生するおそれがある。そこで、表面層の厚さが1μm以下の薄膜層の硬度はナノインデンテーション法により測定するのが好ましい。ナノインデンテーション法による硬度の測定は、トランスデューサーと先端形状が正三角形のダイヤモンドBerkovich圧子を用いて、μNオーダーの荷重を加えながらナノメートルの精度で変位量を測定するもので、この測定には例えば市販の「NANO Indenter XP/DCM」(MTS Systems社/MST NANO Insturuments社製)を用いることができる。また、ナノインデンテーション法による硬度の測定は、特開2007−212921号広報に開示されている。
本発明の硬化表面層のナノインデンテーション法による硬度は、下記測定条件で、0.5GPaから2.5GPaであることが好ましい。
測定条件
圧子:cube corner Tip(90°)
最大荷重:20μN
荷重速度:20μN/5sec
無端ベルト状基体70aの構成は特に限定はなく、1層であってもよく、2層から構成されていても構わない。本図では1層で構成されている場合を示している。
表面層70bの構成は特に限定はなく、1層であってもよく、2層から構成されていても構わない。本図では1層で構成されている場合を示している。
表面層70bの摩擦係数は、耐フィルミング性、転写性等を考慮し、0.25以下であることが好ましい。
摩擦係数は、ポータブル摩擦計「ミューズ TIPE:94i−II(新東科学株式会社製)」を用いて測定した値を示す。
尚、測定は表面層70b上を、ランダムに10点から30点行い、それらの平均値を摩擦係数(μ)とする。
図3は図2に示す中間転写ベルトを製造する概略製造工程図である。図3(a)は図2に示す中間転写ベルトを製造する概略フロー図である。図3(b)は図3(a)に示される塗布工程で使用する基体の表面に表面層形成用塗布液を塗布する塗布装置の一例を示す概略図である。
本発明の表面層を有する中間転写ベルトの製造工程9は、基体としての無端ベルト状基体を製造する基体製造工程9aと、製造された無端ベルト状基体の表面に表面層形成用塗布液を塗布する塗布工程9bと、表面層形成用塗布液調製工程9cと、表面層形成用塗布液塗布工程で形成された表面層形成用塗布膜を硬化する硬化処理工程9dとを有している。
基体製造工程9aでは図2に示す無端ベルト状基体70aが、従来公知の一般的な製造方法により製造される。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイを使用したインフレーション法により筒状に成形した後、筒状層を輪切りにすることで環状の無端ベルト状の基体を作製することが出来る。又、ポリアミド酸溶液を、円筒状金型の外周面に塗布する方式や、内周面に塗布する方式や更に遠心する方式、或いは注形型に充填する方式などの適宜な方式でリング状に展開し、そのリング状層を乾燥製膜してベル卜形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する方法などの従来に準じた適宜な方法により行うことが出来る(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)。無端ベルトの製造に際しては、型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことが出来る。無端ベルト状の基体70a(図2参照)としては、樹脂に導電剤を分散させ、導電性を有することが好ましい。
表面層形成用塗布液調製工程9cは、表面層形成用塗布液調製容器9c1と、攪拌機9c2と、調製された表面層形成用塗布液を浸漬塗布装置9b1の塗布液供給タンク9b5に送る送液管9c3とを使用している。
表面層形成用塗布液調製工程9cで調製される表面層形成用塗布液は、活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂とを有する組成となっている。表面層形成用塗布液に付いての詳細の説明は後述する。
9b1は塗布工程9bで使用している浸漬塗布装置を示す。浸漬塗布装置9b1は、塗布部9b2と、中間転写ベルト用の基体の供給部9b3とを有している。塗布部9b2は塗布槽9b2aと、塗布槽9b2aの開口部9b2a1から溢れる塗布液を受けるため塗布槽9b2aの上部に配設されたオーバーフロー液の受け槽9b4と、塗布液供給タンク9b5と、送液ポンプ9b6とを有している。
塗布槽9b2aは底部9b2a2と、底部9b2a2の周面から立ち上げられ側壁9b2a3を有し、上部が開口部9b2a1となった構造となっている。9b2a4は塗布槽9b2aの底部9b2a2に設けられた送液ポンプ9b6から送られてくる表面層形成用塗布液Sの塗布液供給口を示す。塗布槽9b2aは開口部9b2a1の径と底部9b2a2の径とが同じ円筒の形状をしている。
9b41はオーバーフロー液の受け槽9b4の蓋を示し、中央に孔9b42を有している。9b43はオーバーフロー液の受け槽9b4の塗布液を塗布液供給タンク9b5に戻す塗布液戻し口を示す。Sは表面層形成用塗布液を示す。9b8は塗布液供給タンク9b5に設けられた攪拌用の羽根を示す。
供給部9b3は、ボールネジ9b3aと、ボールネジ9b3aを回転させる駆動部9b3bと、ボールネジ9b3aの回転速度を制御する制御部9b3cと、ボールネジ9b3aに螺合されている昇降部材9b3dと、ボールネジ9b3aの回転に伴い昇降部材9b3dを上下方向(図中の矢印方向)に移動させるガイド部材9b3eとを有している。9b3fは昇降部材9b3dに取り付けられた中間ベルトの無端ベルト状基体の保持部材を示す。尚、無端ベルト状基体70aは無端ベルト状基体の直径に合わせた円筒状又は円柱状部材3(図4参照)の表面に保持した状態となっている。保持部材9b3fは、保持された中間ベルトの無端ベルト状基体70aが塗布槽9b2aのほぼ中央に位置する様に昇降部材9b3dに取り付けられている。
ボールネジ9b3aの回転に伴い、昇降部材9b3dが上下方向に移動することで、昇降部材9b3dに取り付けられた保持部材9b3fに保持された中間ベルトの無端ベルト状基体70aは、塗布槽9b2aの中の表面層形成用塗布液Sに浸漬され、その後引き上げられることで中間ベルトの無端ベルト状基体70aの表面に塗布液が塗布される。
無端ベルト状基体70aの引き上げる速度は、使用する表面層形成用塗布液Sの粘度により適宜変更する必要があり、例えば塗布液の粘度が10mPa・sから200mPa・sの場合は、塗布均一性、塗布膜厚、乾燥等を考慮し、0.5mm/secから15mm/secが好ましい。図3に示す浸漬塗布装置を使用し、中間ベルトの無端ベルト状基体70aの表面に表面層形成用塗布液Sを塗布した後は、硬化処理工程9dで活性エネルギー線を照射することで表面層形成用塗膜を硬化することで硬化表面層が形成される。硬化する前に塗膜を加熱乾燥してもよい。乾燥温度は60℃から150℃が望ましい。
本実施形態では、浸漬塗布方法について説明したものであるが、中間ベルトの無端ベルト状基体70aの表面に表面層形成用塗布液Sを塗布する方法は特に限定はなく公知の塗布方法適用することが出来る。例えば、環状塗布槽を使用した環状塗布方法、スプレイ塗布方法、超音波アトマイザーによる塗布方法等が挙げられる。
硬化処理工程9dは硬化処理装置2(図4参照)を使用している。硬化処理工程9dで表面層形成用塗膜に活性エネルギー線を照射することで硬化処理が行われ、図2に示す表面層70bが形成される。硬化処理装置2に付いては図4で説明する。
図4は図3に示す硬化処理工程で使用している表面層(保護層)の硬化処理装置の一例を示す概略図である。図4(a)は図3に示す硬化処理工程で使用している表面層(保護層)の硬化処理装置の一例を示す概略斜視図である。図4(b)は図4(a)に示すA−A′に沿った概略拡大断面図である。
図中、2は無端ベルト状基体70aの表面層の硬化処理装置を示す。硬化処理装置は活性エネルギー線照射装置201と、表面に形成された表面層形成用塗布膜を有する無端ベルト状の基体70a(図2参照)を保持した円筒状又は円柱状部材3の保持装置202とを有している。活性エネルギー線照射装置201は円筒状又は円柱状部材3と対向する位置に配設されており、保持装置202に保持され無端ベルト状基体70aを保持した円筒状又は円柱状部材3上の表面層形成用塗膜に対して活性エネルギー線を照射する様になっている。表面層形成用塗膜に活性エネルギー線を照射することで硬化処理が行われ、図2に示す表面層70bが形成される。
活性エネルギー線照射装置201は筐体201aと、筐体201aの内部に納められた活性エネルギー線源201bと、活性エネルギー線源201bのエネルギー制御装置(不図示)とを有している。活性エネルギー線照射装置201は硬化処理装置2のフレーム(不図示)に固定して配設されている。201cは筐体201aの底部(無端ベルト状基体70aの表面と対向する面)に設けられた活性エネルギー線の照射口を示す。
Lは照射口201cと無端ベルト状基体70aの表面層形成用塗膜表面までの距離を示す。距離Lは、活性エネルギー線の強度、表面層形成用塗膜の種類等により適宜設定することが可能となっている。
保持装置202は第1保持台202aと、第2保持台202bと、駆動用モーター202cとを有している。
駆動用モーター202cは第1保持台202a上に配設されており、円筒状又は円柱状部材3は、円筒状又は円柱状部材3の取り付け軸と接続部材を介して駆動用モーター202cの回転軸に接続されている。
第2保持台202bには円筒状又は円柱状部材3の他方の取り付け軸を受ける軸受け部202dが配設されており、これにより、活性エネルギー線照射装置201により活性エネルギー線を照射する時、駆動用モーター202cの回転により円筒状又は円柱状部材3を回転させながら保持することが可能となっている。
活性エネルギー線を照射する時の円筒状又は円柱状部材3の回転速度(周速度)は、硬化ムラ、硬度、硬化時間等を考慮し、10mm/sから300mm/sが好ましい。
本図は活性エネルギー線照射装置201を固定し、円筒状又は円柱状部材3を回転させ活性エネルギー線を照射する場合を示しているが、円筒状又は円柱状部材3を固定し、感円筒状又は円柱状部材3の周囲に沿って活性エネルギー線照射装置201を移動させる方式で合ってもよい。又、本図は円筒状又は円柱状部材3を横置きにした場合を示しているが、円筒状又は円柱状部材3を縦置きにしても勿論構わない。
本発明に使用することが出来る活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、γ線等で、形成された活性エネルギー線硬化型樹脂を活性化させるエネルギー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましい。特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。又、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることが出来る。スポット状の活性エネルギー線を照射するには紫外線レーザーを使用することが好ましい。
又、電子線も同様に使用出来る。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50keVから1000keV、好ましくは100keVから300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることが出来る。
照射条件はそれぞれの光源によって異なるが、照射光量は、硬化ムラ、硬度、硬化時間、硬化速度等を考慮し、100mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、120mJ/cmから200mJ/cmであり、特に好ましくは、150mJ/cmから180mJ/cmである。照射光量は、UIT250(ウシオ電機(株)製)で測定した値を示す。
活性エネルギー線の照射時間は0.5秒から5分が好ましく、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率等から更に好ましくは、3秒から2分である。
本発明においては、活性エネルギー線照射の時の雰囲気は、空気雰囲気で問題なく硬化可能であるが、硬化ムラ、硬化時間等を考慮すると雰囲気中の酸素濃度は、5%以下、特に1%以下であることが好ましい。該雰囲気にするには窒素ガス等を導入することが有効である。
酸素濃度は、雰囲気ガス管理用酸素濃度計OX100(横河電機(株)製)で測定した値を示す。
又、本発明においては、活性エネルギー線の硬化反応を効率的に進めるため、表面層形成用塗膜を加熱することも出来る。加熱方法としては、特に制限はないが、例えば加熱風の吹き付けが挙げられる。加熱温度としては、使用する活性エネルギー線硬化型樹脂の種類により一概には規定出来ないが、表面層形成用塗膜へ影響を与えない温度範囲であることが好ましく、40℃から100℃が好ましく、更に40℃から80℃が好ましく、特に好ましくは40℃から60℃である。
次に表面層形成用塗布液について説明する。本発明に使用する表面層形成用塗布液は、活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂とを有する組成となっている。
表面層形成用塗布液は、転写率、耐キズ性、耐摩耗性、離型性、耐フィルミング性等を考慮し、活性エネルギー線硬化型モノマー100体積部に対して、反応性金属酸化物微粒子12.5体積部から400体積部と、重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂25体積部から300体積部から構成されており、且つ、反応性金属酸化物微粒子の量が、活性エネルギー線硬化型モノマーと重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂と反応性金属酸化物微粒子の合計に対して、10体積%以上50体積%以下であることが好ましい。
〔活性エネルギー線硬化型モノマー〕
活性エネルギー線硬化型モノマーは、金属酸化物微粒子のラジカル重合性官能基と反応するモノマーであり、炭素・炭素二重結合を有する各種モノマーを用いることが出来る。
活性エネルギー線硬化型モノマーは、紫外線や電子線等の活性エネルギー線照射により重合(硬化)し樹脂となるラジカル重合性モノマーが好適であり、ラジカル重合性モノマーでは特に、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーが好ましい。中でも、少ない光量或いは短い時間での硬化が可能であることからアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するアクリル系モノマーが特に好ましい。
本発明においては、これらのラジカル重合性モノマーを単独で用いても、混合して用いてもよい。
以下にラジカル重合性モノマーの内、アクリル系モノマーの一例を示す。アクリル系モノマーとは、アクリロイル基(CH=CHCO−)又はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を有する化合物である。又、以下に言うAc基数(アクリロイル基数)とはアクリロイル基又はメタクリロイル基の数を表す。
Figure 2012078801
Figure 2012078801
Figure 2012078801
Figure 2012078801
Figure 2012078801
Figure 2012078801
Figure 2012078801
但し、上記においてR及びR′はそれぞれ下記で示される。
Figure 2012078801
尚、本発明外の化合物ではあるが、従来よく知られているオキセタン化合物としては、下記のものがある。
Figure 2012078801
Figure 2012078801
本発明においては、アクリル系モノマーは官能基が2以上であること好ましく、4以上が特に好ましい。又、前記アクリル系モノマーでは、前記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物の分子量Mと該アクリロイル基又はメタクリロイル基数Acの比(Ac/M、アクリロイル基又はメタクリロイル基数/分子量)が0.005より大きい化合物が好ましい。その様な化合物を用いた構成とし、重合反応率を上げることによりAc/Mを大きくすると、膜密度の高い中間転写ベルトの表面層を形成することが出来る。
Ac/Mが0.005より大きい化合物としては、例えば例示化合物中、No.1から19、21、23、26、28、30、31から33、35、37、40から44が挙げられる。
更に、前記アクリル系モノマーが、反応性アクリロイル基を有し、且つ、そのAc/Mが、0.005より大きく、0.012より小さい範囲が特に好ましい。
この範囲で用いることにより、架橋密度が高くなり、中間転写ベルトの表面層の耐摩耗性が向上する。
尚、本発明においては、官能基密度の異なる2種類以上の硬化性化合物を混合して使用してもよい。
〔反応性金属酸化物微粒子〕
本願発明に使用する反応性金属酸化物微粒子とは、ラジカル重合性官能基を有する化合物により表面処理された金属酸化物微粒子を言い、金属酸化物微粒子がラジカル重合性官能基を有する化合物で表面処理することにより得ることが出来る。
〔金属酸化物微粒子〕
本願発明に用いられる金属酸化物微粒子は、遷移金属も含めた金属酸化物微粒子であればよく、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム等の金属酸化物微粒子が例示されるが、中でも、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫等の粒子が好ましく、特にアルミナ、酸化錫が好ましい。
これらの金属酸化物微粒子は、気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法、電解法等の一般的な製造法で作製されたものが用いられる。
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は1nmから300nmの範囲が好ましい。特に好ましくは3nmから100nmである。粒径が小さい場合は耐摩耗性が十分でなく、又粒径が大きい場合には書き込み光を散乱させたり、粒子が光硬化を阻害し耐摩耗性が十分でなくなる可能性がある。
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)ソフトウェアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した値を示す。
金属酸化物微粒子の表面処理に用いるラジカル重合性官能基を有する化合物について説明する。
金属酸化物微粒子の表面処理に用いるラジカル重合性官能基を有する化合物としては、炭素・炭素二重結合を有する官能基と、金属酸化物微粒子表面の水酸基とカップリングするアルコキシ基等の極性基を同一分子中に有する化合物が好ましい。
ラジカル重合性官能基を有する化合物は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線照射により重合(硬化)して、ポリスチレン、ポリアクリレート等の樹脂となる官能基を有する化合物が好適であり、中でも、少ない光量或いは短い時間での硬化が可能であることから反応性アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するシラン化合物が特に好ましい。
本発明で用いられるラジカル重合性官能基を有する化合物により表面処理された金属酸化物微粒子は、例えば、下記式(1)として表される化合物を、金属酸化物微粒子と反応させて製造することが出来る。
Figure 2012078801
(式中、Rは水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアラルキル基、Rは反応性二重結合を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基を示し、nは1から3の整数である。)
以下に、上記式(1)で示される化合物例を挙げる。
S−1 CH=CHSi(CH)(OCH
S−2 CH=CHSi(OCH
S−3 CH=CHSiCl
S−4 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6 CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9 CH=CHCOO(CHSiCl
S−10 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11 CH=CHCOO(CHSiCl
S−12 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl2
S−19 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20 CH=CHSi(C)(OCH
S−21 CH=C(CH)Si(OCH
S−22 CH=C(CH)Si(OC
S−23 CH=CHSi(OCH
S−24 CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25 CH=CHSi(CH)Cl
S−26 CH=CHCOOSi(OCH
S−27 CH=CHCOOSi(OC
S−28 CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29 CH=C(CH)COOSi(OC
S−30 CH=C(CH)COO(CHSi(OC
又、前記式(1)の化合物以外でも、下記のラジカル重合性官能基を有するシラン化合物を用いてもよい。
Figure 2012078801
尚、本発明外の化合物ではあるが、従来よく用いられてきたエポキシ系化合物として、下記のものがある。
Figure 2012078801
これらのシラン化合物は単独で又は2種以上を混合して使用することが出来る。
〔反応性金属酸化物微粒子の製法〕
次に、ラジカル重合性官能基を有する化合物により表面処理された金属酸化物微粒子(反応性金属酸化物微粒子)の製法を、式(1)等で表されるシラン化合物を用いた場合を例に説明する。表面処理するに際し、金属酸化物微粒子100質量部に対し、シラン化合物を表面処理剤として0.1質量部から200質量部、溶媒50質量部から5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。
又、金属酸化物微粒子とシラン化合物を含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式分散することにより、金属酸化物微粒子の凝集体を解砕すると同時に金属酸化物微粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化するので、均一でより微細なシラン化合物により表面処理された金属酸化物微粒子を得ることも出来る。
ラジカル重合性官能基を有する化合物の表面処理量(ラジカル重合性官能基を有する化合物の被覆量)は、金属酸化物微粒子に対し0.1質量%以上60質量%以下であることが好ましい。特に好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
このラジカル重合性官能基を有する化合物の表面処理量は、表面処理後の金属酸化物微粒子を550℃で3時間熱処理し、その強熱残分を蛍光X線にて定量分析し、Si量から分子量換算で求めたものである。
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、更に回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物微粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、金属酸化物微粒子に表面処理を行う際に金属酸化物微粒子を十分に分散させ、且つ表面処理出来る形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式等、種々の様式が採用出来る。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用出来る。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、専断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
サンドグラインダーミルで用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。又、ビーズの大きさとしては、通常、直径1mmから2mm程度のものを使用するが、本発明では0.3mmから1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用出来るが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
以上の様な湿式処理により、ラジカル重合性官能基を有する式(1)のシラン化合物により表面処理された金属酸化物微粒子を得ることが出来る。
〔ラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂〕
ラジカル重合性不飽和結合部とは、炭素原子・炭素原子間の不飽和結合を意味する。本発明に用いられるラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂とは、少なくともフッ素原子を含有する繰り返し単位とシロキサン構造を有する繰り返し単位を有する共重合体を言う。例えば、ウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A)(以下、単に、ラジカル重合性フッ素樹脂と称することがある)2質量%から70質量%と、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)2質量%から40質量%、ラジカル重合反応条件下において、ウレタン結合を介してラジカル重合性フッ素樹脂(A)と、二重結合による重合反応のみをするラジカル重合性単量体(C)(以下、非反応性ラジカル重合性単量体と称することがある)15質量%から94質量%を共重合してなるグラフト共重合体が挙げられる。
グラフト共重合体の分子量は特に限定されるものではないが、その重量平均分子量は、成膜性、耐候性、架橋密度等を考慮し、ポリスチレン換算のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、好ましくは約5,000から2,000,000(より好ましくは約10,000から1,000,000)の範囲である。
Figure 2012078801
〔式中、Rは水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基であり、R、R、R、R、及びRは互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基であり、nは2以上の整数である〕
Figure 2012078801
〔式中、Rは水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基であり、R、R、R10、R11、及びR12は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基であり、pは0から10の整数であり、qは2以上の整数である〕
本発明に用いられるウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A)は、例えば、水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)とイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)とを反応させることによって得ることが出来る。
水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は、その構成成分として少なくとも水酸基含有単量体部分とポリフルオロパラフィン部分とを含むものであれば特に限定されるものではないが、例えば、繰り返し単位として、一般式(3)、一般式(4)で表される繰り返し単位を含むものが挙げられる。
Figure 2012078801
〔式中、R21及びR22は、各繰り返し単位毎に独立して、且つ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、又は塩素原子)、炭素数1から10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6から8のアリール基(例えば、フェニル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1から10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、或いはハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6から8のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、xは2以上の整数である〕
Figure 2012078801
〔式中、R23は、繰り返し単位毎に独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)、炭素数1から10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6から8のアリール基(例えば、フェニル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1から10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、或いはハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6から8のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、R24は、繰り返し単位毎に独立して、OR25a基、CHOR25b基、及びCOOR25c基から選択した2価の基であり、R25a、R25b、及びR25cは、炭素数1から10のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、又はヘキサメチレン基)、炭素数6から10のシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基)、炭素数2から10のアルキリデン基(例えば、イソプロピリデン基)、から選択した2価の基であり、yは2以上の整数である〕
更に、水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は、その構成成分として場合により、例えば、一般式(5)で表される繰り返し単位を含むことが出来る。この一般式(5)で表される繰り返し単位を含むことにより、有機溶剤に対する溶解性を向上することが出来る。
Figure 2012078801
〔式中、R26は、各繰り返し単位毎に独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、又は塩素原子)、炭素数1から10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6から10のアリール基(例えば、フェニル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1から10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、或いはハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6から10のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、R27は、繰り返し単位毎に独立して、OR28a基又はOCOR28b基であり、R28a及びR28bは、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)、炭素数1から10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6から10のアリール基(例えば、フェニル基)、炭素数6から10のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1から10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、或いはハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6から10のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、zは2以上の整数である〕
有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は、単独で使用するか又は2種類以上を混合して使用することが出来る。
イソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)は、イソシアネート基とラジカル重合性を有する部分とを含む単量体であれば特に限定されるものではないが、イソシアネート基を有し、それ以外の官能基(例えば、水酸基又はポリシロキサン鎖)を有していないラジカル重合体単量体を用いるのが好ましい。好適なイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)としては、例えば一般式(6)、一般式(7)で表されるラジカル重合性単量体が挙げられる。
Figure 2012078801
〔式中、R31は水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基、例えば、炭素原子数1から10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基)、炭素原子数6から10のアリール基(例えば、フェニル基)、又は炭素原子数3から10のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基であり、R32は酸素原子又は炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基、例えば、炭素原子数1から10のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、又はテトラメチレン基)、炭素原子数2から10のアルキリデン基(例えば、イソプロピリデン基)、又は炭素原子数6から10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、又はキシリレン基)、又は炭素原子数3から10のシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基)である〕
Figure 2012078801
〔式中、R41は水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基、例えば、炭素原子数1から10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基)、炭素原子数6から10のアリール基(例えば、フェニル基)、又は炭素原子数3から10のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基であり、R42は酸素原子又は炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基、例えば、炭素原子数1から10のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、又はテトラメチレン基)、炭素原子数2から10のアルキリデン基(例えば、イソプロピリデン基)、又は炭素原子数6から10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、又はキシリレン基)、又は炭素原子数3から10のシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基)である〕
上記、一般式(1)から一般式(7)に記載の化合物は、特開2000−119354号公報に記載の化合物であり、これらの化合物を使用して、ラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂の製造も特開2000−119354号公報に記載の方法により製造される。
市販されている重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂としては、富士化成工業(株)製ZXシリーズが挙げられる。例えば、ZX−001、ZX−007−C、ZX−017、ZX−022、ZX−022−H、ZX−212、ZX−201、ZX−202、ZX−214−A、ZX−101、ZX−058−A等が挙げられる。
上記重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂には溶剤が含まれることがあるが、以降の「部」及び「%」は、特に示さない限り不揮発分に関するものであり、溶剤(揮発分)は除くものとする。
次に本発明の中間転写ベルトの基体について説明する。
例えば、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテル・エーテルケトン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフロロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。更に、これらの樹脂材料と弾性材料とをブレンドした材料を使用することも可能である。
弾性材料としては、例えば、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂材料の中でも機械特性の点からポリイミド樹脂が好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂材料として、DuPont(株)のカプトンHA等のポリピロメリット酸イミド系のイミド樹脂材料、宇部興産(株)のユーピレックスS等のポリビフェニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料、宇部興産(株)のユーピレックスR、三井東圧化学工業(株)のLARC−TPI(熱可塑性ポリイミド樹脂)等のポリベンゾフェノンテトラカルボン酸イミド酸系樹脂材料等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂とを有する表面層形成用塗布液には、必要に応じて通常使用されている重合開始剤、連鎖移動剤を使用することも可能である。
活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂とを有する表面層形成用塗布液は、以下に示す方法で調製することが出来る。
(表面層形成用塗布液の調製方法)
次に、表面層形成用塗布液の調製方法を説明する。表面層形成用塗布液は、活性エネルギー線硬化型モノマー100体積部に対して、反応性金属酸化物微粒子12.5体積部から400体積部と、重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂25体積部から300体積部を含有し、更に、反応性金属酸化物微粒子が、活性エネルギー線硬化型モノマーと重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂と反応性金属酸化物微粒子の合計に対して、10体積%以上50体積%以下になるよう調製した後、湿式メディア分散型装置で分散することで、表面層形成用塗布液を調製することが可能である。
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、更に回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物微粒子の凝集粒子を砕いて解砕・分散する工程を有する装置であり、例えば、縦型・横型、連続式・回分式等、種々の様式が採用出来る。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用出来る。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、専断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
サンドグラインダーミルで用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。又、ビーズの大きさとしては、通常、直径1mmから2mm程度のものを使用するが、本発明では0.3mmから1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用出来るが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
分散の終点は、分散液を、PETフィルム上にワイヤーバーで塗布した液を自然乾燥後、405nmの光透過率の1時間前後での変化率が3%以下となる分散状態が好ましい。更に望ましくは、1%以下が好ましい。
以上の様な分散処理により、表面層形成用塗布液を得ることが出来る。
活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂とを有する表面層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し表面層を形成することで次の効果が挙げられる。
1.活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂の3つを含有すると、反応性金属酸化物微粒子、活性エネルギー線硬化型モノマー、ラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂のそれぞれが、反応して結合しあうことにより、架橋密度が高くなり、高硬度、高架橋密度、高靱性な硬化表面層を形成出来る。その結果、長期間使用してもフッ素樹脂の脱落に伴うと推定される滑り性の減少がなく耐摩耗性が向上し、削れ、やキズが低減出来る。
2.ラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂を含有することで、中間転写ベルトの表面エネルギーが小さくなり、摩擦係数が低減出来るため、トナーの離型性が向上する。その結果、耐フィルミング性が向上する。
3.高硬度で、且つトナーの離型性が向上した結果、高硬度によりトナーが中間転写ベルトに対して押し込まれた時の中間転写ベルト表面層の変形が小さくなり、トナーとの接触面積が小さくなることと、トナーの離型性が向上することにより、トナーと中間転写ベルト間の付着力が低減出来るため、二次転写において転写率が向上する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図2に示す基体/表面層の構成を有する中間転写ベルトを以下に示す方法で作製した。
(無端ベルト状基体の準備)
3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18質量%))に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%))をポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して、23質量部になるよう添加して、得られた混合物を、衝突型分散機(シーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mmで2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を得た。
カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する円筒状層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱した。その後、360℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に360℃で30分加熱して溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、円筒状層を金型から剥離し、総厚0.1mmの無端ベルト状基体を作製した。
(金属酸化物微粒子の準備)
表1に示す金属酸化物微粒子を準備した。金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)ソフトウェアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した値を示す。
Figure 2012078801
(反応性金属酸化物微粒子の準備)
表1に示す様に、金属酸化物微粒子の種類を変え金属酸化物微粒子No.aからeを準備した。準備した金属酸化物微粒子No.aからeの表面を処理するラジカル重合性官能基を有する化合物して表2に示す化合物No.AからHを準備した。
Figure 2012078801
準備したラジカル重合性官能基を有する化合物No.AからHを使用し、準備した金属酸化物微粒子No.aからeの表面処理を行い、表3に示す反応性金属酸化物微粒子No.1−Aから1−Qを準備した。
Figure 2012078801
〔反応性金属酸化物微粒子の製造〕
金属酸化物微粒子100質量部に対し、ラジカル重合性官能基を有する化合物を表面処理剤として15質量部、溶媒(トルエン:イソプロピルアルコール=1:1の混合溶媒)400質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して分散した後、溶媒を除去してラジカル重合性官能基を有する化合物で表面を処理した反応性金属酸化物微粒子を製造した。
製造された反応性金属酸化物微粒子のラジカル重合性官能基を有する化合物の表面処理量(ラジカル重合性官能基を有する化合物の被覆量)は、金属酸化物微粒子に対し12質量%であった。
ラジカル重合性官能基を有する化合物の表面処理量は、表面処理後の金属酸化物微粒子を550℃で3時間熱処理し、その強熱残分を蛍光X線にて定量分析し、Si量から分子量換算で求めた値を示す。
〔重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂の調製〕
<ラジカル重合性フッ素樹脂A1の合成>
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー、及び乾燥窒素導入口を備えたガラス製反応器に、セフラルコートA690X(不揮発分55%、セントラル硝子(株)製)181質量部(固形分換算99.6質量部)、及び2−イソシアナトエチルメタクリレート0.4質量部を入れ、乾燥窒素雰囲気下で80℃に加熱した。80℃で2時間反応し、サンプリング物の赤外吸収スペクトルによりイソシアネートの吸収が消失したことを確認した後、反応混合物を取り出し、ラジカル重合性フッ素樹脂A1(不揮発分55.1%)を得た。
<ラジカル重合性フッ素樹脂A2の合成>
ラジカル重合性フッ素樹脂A1の合成例に記載のセフラルコートA690Xに代えて、ルミフロンLF710F(旭硝子(株)製)99.6質量部及び溶剤としての酢酸ブチル81.4質量部を用いる他は製造例1と同様にして、ラジカル重合性フッ素樹脂A2(固形分の水酸基価48、不揮発分55.1%)を得た。
<重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂溶液No.G−1の調製>
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー、及び乾燥窒素導入口を備えたガラス製反応器に、ラジカル重合性フッ素樹脂A1 45質量部(固形分換算24.8質量部)、t−ブチルメタクリレート 60質量部、2−エチルヘキシルアクリレート 10質量部、サイラプレーンFM−0721 5質量部、パーブチルO 5質量部、酢酸ブチル 80質量部を入れ、窒素雰囲気中で90℃まで加熱した後、90℃で8時間保持することによって、不揮発分が50%である重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂溶液を得た。
<重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂溶液No.G−2から4の調整>
ラジカル重合性フッ素樹脂、溶剤、ラジカル重合性単量体及びラジカル重合性ポリシロキサンの仕込み量及び種類を表4に記載のように変更したこと以外はS−1と同様にして、重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂溶液を得た。
Figure 2012078801
a*サイラプレーンFM−0721:チッソ(株)製、b*MMA:メチルメタクリレート、c*TBMA:t−ブチルメタクリレート、d*EHA:2−エチルヘキシルアクリレート、e*HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、f*パーブチルO:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製)、g*酢酸ブチル
<市販の重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂の準備>
又、市販の重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂、ZX−212(不揮発分47%、富士化成工業(株)製)を準備した。
(表面層形成用塗布液の調製)
準備した反応性金属酸化物微粒子No.1−Aから1−Qと、活性エネルギー線硬化型モノマーと、重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂溶液No.G−1からG−4及びZX−212とを表5、表6に示す組み合わせで、溶媒(メチルイソブチルケトン)と混合し、横型循環分散機(ディスパーマット:英弘精機)にて、φ0.5mmのジルコニアビーズを充填率80%となるように仕込み、1000rpmで分散を行った。分散液に、光重合開始剤(イルガキュアー379:BASFジャパン)を混合し、表5、表6に示すNo.1−1から1−63の表面層形成用塗布液を調製した。
Figure 2012078801
Figure 2012078801
(表面層形成用塗布液の塗布)
準備した無端ベルト状基体の表面に図3に示す塗布装置を使用し、浸漬塗布方法で調製した各表面層形成用塗布液No.1−1から1−63を乾燥膜厚が2μmとなる様に表面層形成用塗布膜を形成した後、活性エネルギー線として紫外線を使用し、図4に示す硬化処理装置で表面層形成用塗布膜を硬化し表面層を形成し中間転写ベルトを作製し試料No.101から163とした。尚、紫外線を照射する時、光源を固定し、中間転写ベルトを保持した円筒状基体を60mm/sで回転しながら行った。
塗布条件
塗布液供給量:1l/min
引き上げ速度:4.5mm/min
紫外線照射条件
光源の種類:高圧水銀ランプ(H04−L41:アイグラフィックス(株)製)
照射口から表面層形成用塗膜の表面までの距離:100mm
照射光量:1J/cm
照射時間(基体を回転させている時間):240秒
評価
作製した試料No.101から163について、耐久性の代用特性として転写率、耐キズ性、耐摩耗性、耐フィルミング性について以下に示す方法で評価し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表7、表8に示す。
転写率の評価方法
作製した中間転写ベルトを、コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRO C6500(レーザー露光・反転現像・中間転写体のタンデムカラー複合機)を評価が行えるように改造し、露光量を適正化した評価機に搭載し、(20℃、50%RH)でシアン印字率100%のA4画像を中性紙に出力した。
吸引装置を用いて中間転写ベルト上の所定面積(10mm×50mmを3点)のトナーを採取し、転写前トナー質量(A)を測定した。
次に、中間転写ベルト上の転写残トナーをブッカーテープにより採取し白色用紙に貼り付け、分光測色計(コニカミノルタセンシング(株)製、CM−2002)を用い転写残トナーを測色し、予め検量していたトナー質量と測色値の関係から、転写残トナー質量(B)を求めた。
転写率(η)は、η=(1−B/A)×100(%)として求めた。
転写率の評価ランク
◎:転写率が98%以上から100%
○:転写率が95%以上から98%未満
△:転写率が90%以上から95%未満
×:転写率が90%未満
耐キズ性の評価方法
作製した中間転写ベルトをコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRO C6500(レーザー露光・反転現像・中間転写体のタンデムカラー複合機)を評価が行える様に改造し、露光量を適正化した評価機に搭載し、(20℃、50%RH)でYMCK各色印字率2.5%のA4画像を中性紙に100万枚印刷出力前後に中間転写ベルトの表面状態を観察し、100mm×100mmの範囲内に発生したキズの状態を評価した。
耐キズ性の評価ランク
◎:100万枚印字後に表面キズ発生なし
○:100万枚印字後に表面キズ1箇所以上から6箇所未満発生
△:100万枚印字後に表面キズ6箇所以上から11箇所未満発生
×:100万枚印字後に表面キズ11箇所以上発生
耐摩耗性の評価方法
耐キズ性の評価と同じ方法で100万枚の画出しを行い、初期の中間転写ベルトの膜厚と100万枚後の中間転写ベルトの膜厚さで評価した。中間転写ベルトの膜厚は均一膜厚部分(両端は膜厚が不均一になりやすいので、少なくとも両端3cmは除く)をランダムに10ヶ所測定し、その平均値を中間転写ベルトの膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて行い、実写試験前後の中間転写ベルト膜厚の差を膜厚減耗量とする。
耐摩耗性の評価ランク
◎:膜厚減耗量が0.5μm未満
○:膜厚減耗量が0.5μm以上から1μm未満
△:膜厚減耗量が1μm以上から2μm未満
×:膜厚減耗量が2μm以上
耐フィルミング性の評価方法
耐キズ性の評価と同じ方法で100万枚の画出しを行い、初期と100万枚後の色差ΔEで評価した。中間転写ベルトを、分光測色計(コニカミノルタセンシング(株)製、CM−2002)で測色し、ΔEを算出した。
耐フィルミング性の評価ランク
◎:ΔEが、0以上から1未満
○:ΔEが、1以上から4未満
△:ΔEが、4以上から6未満
×:ΔEが、6以上
Figure 2012078801
Figure 2012078801
活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有する重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂とを有する表面層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し表面層形成用活性エネルギー線硬化型モノマーと、塗膜を硬化し表面層を形成した試料No.101から121は、転写率、耐摩耗性、耐キズ性何れも優れた性能を有することを確認した。
活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子とで構成される表面層を有する試料No.158、160、163は耐フィルミング性とが本発明の試料No.111、130、136に比べ劣ることを確認した。
反応性金属酸化物微粒子と、重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂とで構成される表面層を有する試料No.157、159、161は、本発明の試料No.130、138、154に比べ耐キズ性、耐摩耗性とが劣ることを確認した。
活性エネルギー線硬化型モノマーと、重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂とで構成される表面層を有する試料No.155、156、162は本発明の試料No.101から130、136、138、144、146、152に比べ耐キズ性、耐摩耗性とが劣ることを確認した。本発明の有効性が確認された。
1 フルカラー画像形成装置
2 硬化処理装置
201 活性エネルギー線照射装置
201b 活性エネルギー線源
202 保持装置
3 円筒状又は円柱状部材
7 無端ベルト状中間転写体形成ユニット
70 中間転写ベルト
70a 基体
70b 表面層
9 製造工程
9a 基体製造工程
9b 塗布工程
9b1 浸漬塗布装置
9b2 塗布部
9b2a 塗布槽
9c 表面層形成用塗布液調製工程
9d 硬化処理工程

Claims (10)

  1. 電子写真方式の画像形成装置に使用される中間転写ベルトであって、
    基体と、前記基体上に設けられた表面硬化層とを有し、
    前記表面硬化層は、少なくとも活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、重合性フッ素樹脂と、重合性シロキサンのグラフト型樹脂共重合体との反応物を含むことを特徴とする中間転写ベルト。
  2. 前記表面硬化層のナノインデンテーション法による硬度が0.5GPaから2.5GPaであることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
  3. 前記表面硬化層の厚みが0.5μmから5.0μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の中間転写ベルト。
  4. 前記表面硬化層の摩擦係数が0.25以下であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の中間転写ベルト。
  5. 前記表面硬化層は、記活性エネルギー線硬化型モノマー100体積部に対して、前記反応性金属酸化物微粒子を12.5体積部から400体積部有し、前記重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂を25体積部から300体積部含むことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の中間転写ベルト。
  6. 電子写真方式の画像形成装置に使用される中間転写ベルトの製造方法であって、
    前記中間転写ベルトは、基材と、前記基材の上に表面硬化層とを有し、
    前記表面硬化層は、活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、重合性フッ素樹脂と、重合性シロキサングラフト型樹脂とを有する表面層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し形成することを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。
  7. 前記表面硬化層のナノインデンテーション法による硬度が0.5GPaから2.5GPaであることを特徴とする請求項6に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  8. 前記表面硬化層の厚みが0.5μmから5.0μmであることを特徴とする請求項6又は7に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  9. 前記表面層形成用塗布液は、記活性エネルギー線硬化型モノマー100体積部に対して、前記反応性金属酸化物微粒子を12.5体積部から400体積部と、前記重合性フッ素樹脂/重合性シロキサングラフト型樹脂を25体積部から300体積部とを含むことを特徴とする請求項6から8の何れか1項に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  10. 請求項1から5の何れか1項に記載の中間転写ベルトを使用したことを特徴とする画像形成装置。
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