JP5609923B2 - 中間転写体及びそれを有する画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、中間転写体及びそれを有する画像形成装置に関する。
フルカラー画像形成装置のように、複数種のトナーからなる画像を形成する画像形成装置には、中間転写体を有するものがある。中間転写体は、各トナーによるトナー像を、それぞれが重なるように受け取り、そして普通紙等の記録媒体に転写する。中間転写体の表面は、一般に、トナー像が繰り返し担持、転写される。このため、中間転写体は、その表面が所望の表面特性を有するように構成されている。また中間転写体には、ドラム型の中間転写体と、無端ベルト型の中間転写体(以下、「中間転写ベルト」とも言う)とが知られている。
従来より、ペンタエリスリトールヘキサアクリレートと導電性粒子とを含む塗工液の硬化膜からなる表面層であって、所定の表面粗さを有する表面層、を有する中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、フッ素樹脂及びフッ素ゴムの組成物を硬化剤で硬化させてなる表面層や、或いは、トナー離れを良くするための指標として表面層の表面自由エネルギーと表面層の押し込み時の硬度とが特定されている表面層、を有する中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
前者の中間転写ベルトは、長期の使用に伴って、トナー中のワックスや外添剤による被膜が表面に形成される現象、いわゆるフィルミング、が生じやすい。後者の中間転写ベルトは、硬度が低いため、摩耗やキズが生じやすく、またブレードによるクリーニングが困難である。
特開2007−183401号公報 特開2010−15143号公報
中間転写体の表面における耐久性と電気特性は、中間転写体の表面層中に導電性粒子等の無機粒子を均一に分散させることで得ることができる。また、例えば、中間転写体の表面における表面自由エネルギーを低くするためには、表面層の樹脂成分中にシリコーン成分を配合することによって行われる。しかしながら、シリコーン成分は、そのままでは表面層の表面に偏在しやすい。このため、表面層の表面がわずかに摩耗しただけで、所望の低表面自由エネルギー特性が大きく損なわれることがある。このため、表面の削れの有無に関わらずに中間転写体の所望の表面特性が得られる技術が求められている。
本発明は、長期に使用しても、フィルミングの発生を抑制することができ、かつ低い表面自由エネルギーが維持される中間転写体を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するための手段として、以下の中間転写体を提供する。
[1] 基体と、前記基体の表面を覆う表面層とを有する、電子写真方式の画像形成装置に使用する中間転写体において、
前記表面層が、活性エネルギー線硬化型組成物と、金属酸化物微粒子と、を含む表面層形成用塗布液の塗布膜に、活性エネルギー線を照射して形成され、
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、1つ以上のポリオルガノシロキサン鎖A、及び3つ以上のラジカル重合性二重結合を含む、重量平均分子量5,000〜100,000のビニル共重合体と、多官能(メタ)アクリレートと、を含み、
前記金属酸化物微粒子は、ポリオルガノシロキサン鎖Bを含む表面処理剤により表面処理されている、中間転写体。
[2] 前記表面層の表面から前記表面層の総厚に対して2〜5%の深さのSi濃度が1〜10%であることを特徴とする[1]に記載の中間転写体。
[3] 前記金属酸化物微粒子の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型組成物100体積部に対して、10〜100体積部であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の中間転写体。
[4] 前記ビニル共重合体の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型組成物100体積部に対して1〜10体積部であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の中間転写体。
[5] 前記基体が無端ベルトである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の中間転写体。
また、本発明は、前記の中間転写体を有する画像形成装置を提供する。
本発明は、長期に使用しても、フィルミングの発生を抑制することができ、かつ低い表面エネルギーが維持される中間転写体を提供することができる。
本発明の中間転写体が搭載されるカラー画像形成装置の一例の構成を概略的に示す図である。 本発明の中間転写体の一実施形態の断面構造を部分的に拡大して示す図である。 本発明の中間転写体の一実施形態を製造する製造工程及びそれに用いられる塗布装置を概略的に示す図である。 本発明の中間転写体の一実施形態の製造における硬化処理工程で使用される、表面層の硬化処理装置を概略的に示す図である。
1.中間転写体
本発明の中間転写体は、基体と、前記基体の表面を覆う表面層とを有する。
前記基体には、通常の中間転写体の基体を使用することができる。前記基体には、例えば導電性を有するスリーブや、導電性と可撓性とを有する、樹脂製の無端ベルトが挙げられる。前記樹脂には、ポリイミドなどの耐熱性樹脂が挙げられる。
前記表面層は、中間転写体の表面を構成する。前記表面層は、前記基体の表面を直接覆う層であってもよいし、他の層を介して前記基体の表面を覆う層であってもよい。
前記表面層の厚さは、表面層の所望の特性が得られる範囲で適宜に決めることができる。例えば1〜10μmである。好ましくは1〜5μmである。表面層の厚さは、例えば、後述の表面層形成用塗布液の濃度や塗布回数によって調整することができる。
前記表面層の表面から前記表面層の総厚に対して2〜5%の深さの表面層におけるSi濃度が1〜10%であることが、耐フィルミング性、転写率、及び耐キズ性をより高める観点から好ましく、4〜10%であることがより好ましい。前記Si濃度は、例えば、X線光電子分光法(ESCA)における、アルゴンイオンを用いるデプスプロファイル測定によって測定することができる。また、前記Si濃度は、例えば、前記表面層形成用塗布液における後述のビニル共重合体の含有量によって調整することができる。
前記表面層は、表面層形成用塗布液の塗布膜に、活性エネルギー線を照射することで形成される。前記表面層形成用塗布液の塗布膜は、浸漬や噴霧、塗布等の、前記基体における塗布膜の形成に通常使用される方法によって形成することができる。活性エネルギー線は、後述の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるエネルギー線である。例えば波長が400nm以下の紫外線である。活性エネルギー線は、後述の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるのに十分な線量で、前記塗布膜に照射される。
前記表面層形成用塗布液は、活性エネルギー線硬化型組成物と、金属酸化物微粒子と、を含む。
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、ビニル共重合体と、多官能(メタ)アクリレートとを含む。「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及びアクリレートの総称であり、メタクリレート及びアクリレートの一方又は両方を意味する。
前記ビニル共重合体は、重量平均分子量が5,000〜100,000である。ビニル共重合体の重量平均分子量が前記の範囲にあることは、前記活性エネルギー線硬化型組成物中における前記ビニル共重合体の相溶性を高める観点から好ましい。前記ビニル共重合体の重量平均分子量が5,000未満の場合は、前記ビニル共重合体が結晶化しやすく、生産性を著しく悪くすることがある。前記ビニル共重合体の重量平均分子量が100,000を超える場合は、表面層の硬度が低下し、中間転写体の機能が損なわれることがある。
前記ビニル共重合体は、1つ以上のポリオルガノシロキサン鎖A、及び3つ以上のラジカル重合性二重結合を含む。このようなビニル共重合体は、例えば、下記単量体(a)及び下記単量体(b)、さらに必要に応じて下記単量体(c)をラジカル重合させて中間共重合体を得て、この中間共重合体に下記化合物(d)をさらに反応させることによって得られる。
単量体(a)は、ラジカル重合性二重結合と、ポリオルガノシロキサン鎖Aと、を有する単量体である。
単量体(b)は、ラジカル重合性二重結合と、反応性官能基と、を有するラジカル重合性単量体である。
単量体(c)は、単量体(a)及び単量体、(b)以外の単量体であって、ラジカル重合性二重結合を有する単量体である。
化合物(d)は、前記反応性官能基と反応可能な官能基Dと、ラジカル重合性二重結合と、を有する化合物である。
前記ポリオルガノシロキサン鎖Aの分子量は、例えば、単量体(a)の重量平均分子量1,000〜10,000の範囲内である。
また、「ラジカル重合性二重結合」とは、例えばビニル基における炭素間二重結合である。
単量体(a)は一種でも二種以上でもよい。単量体(a)が有する前記ポリオルガノシロキサン鎖Aの数、及び前記ラジカル重合性二重結合の数は、一以上であればよい。単量体(a)としては、例えば、片末端(メタ)アクリロキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物が挙げられる。市販されている単量体(a)としては、東芝シリコーン(株)製のTSL9705;チッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、及びFM−0725;及び、信越化学工業(株)製のX−22−174DX、X−22−2426、及びX−22−2475;等が挙げられる。前記中間共重合体における単量体(a)の共重合比率は、前記中間共重合体を構成する単量体の総量に対して、1〜80質量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜45質量%である。
単量体(b)は一種でも二種以上でもよい。単量体(b)が有する前記ラジカル重合性二重結合の数、及び前記反応性官能基の数は、一以上であればよい。単量体(b)が有する前記反応性官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、エポキシ基等が挙げられる。
ヒドロキシル基を有する単量体(b)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
カルボキシル基を有する単量体(b)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
イソシアネート基を有する単量体(b)としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート;(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート;及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとの反応生成物;が挙げられる。前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。前記ポリイソシアネートとしては、例えばトルエンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートが挙げられる。
エポキシ基を有する単量体(b)としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルシンナメート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ビニルシクロヘキサンモノエポキサイド、1,3−ブタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
前記中間共重合体における単量体(b)の共重合比率は、前記中間共重合体を構成する単量体の総量に対して、10〜95質量%であることが好ましく、さらに好ましくは30〜90質量%、特に好ましくは40〜85質量%である。
単量体(c)は、単量体(a)及び単量体(b)以外の単量体である。単量体(c)は一種でも二種以上でもよい。単量体(c)が有する前記ラジカル重合性二重結合の数は、一以上であればよい。単量体(c)としては、(i)(メタ)アクリル酸誘導体、(ii)芳香族ビニル単量体、(iii)オレフィン系炭化水素単量体、(iv)ビニルエステル単量体、(v)ビニルハライド単量体、(vi)ビニルエーテル単量体等が挙げられる。
(i)(メタ)アクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
(ii)芳香族ビニル単量体としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、モノフルオロメチルスチレン、ジフルオロ−メチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン等のスチレン類が挙げられる。
(iii)オレフィン系炭化水素単量体としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、1、4−ペンタジエン等が挙げられる。
(iv)ビニルエステル単量体としては、酢酸ビニル等が挙げられる。
(v)ビニルハライド単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
(vi)ビニルエーテル単量体としては、ビニルメチルエーテル等が挙げられる。
前記中間共重合体における単量体(c)の共重合比率は、前記中間共重合体を構成する単量体の総量に対して、0〜89質量%であることが好ましい。
化合物(d)は、単量体(b)における前記反応性官能基に反応することができる官能基Dを有する。化合物(d)は一種でも二種以上でもよい。官能基Dも一種でも二種以上でもよい。化合物(d)が有するラジカル重合性二重結合の数及び官能基Dの数は、それぞれ一以上であればよい。例えば単量体(b)の前記反応性官能基がヒドロキシ基である場合、官能基Dとしては、例えば酸ハロゲン基及びイソシアネート基が挙げられる。このような化合物(d)としては、例えば(メタ)アクリル酸クロライド、及びメタクリロキシエチルイソシアネートが挙げられる。
単量体(b)の前記反応性官能基がカルボキシル基である場合、官能基Dとしては、例えばエポキシ基が挙げられる。このような化合物(d)としては、例えばグリシジルビニルエーテル、ビニルシクロヘキサンモノエポキサイド、及び1,3−ブタジエンモノエポキサイドが挙げられる。
単量体(b)の前記反応性官能基がイソシアネート基である場合、官能基Dとしては、例えば水酸基が挙げられる。このような化合物(d)としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物、及び、イソホロンジイソシアネート(IPDI)の2−ヒドロキシエチルアクリレート付加体が挙げられる。
単量体(b)の前記反応性官能基がエポキシ基である場合、官能基Dとしては、例えばカルボキシル基が挙げられる。このような化合物(d)としては、例えば(メタ)アクリル酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート無水コハク酸付加物、及び(メタ)アクリロキシエチルフタレートが挙げられる。
化合物(d)は、前記中間共重合体が有する前記反応性官能基の数に対し、官能基Dの数が100%となる割合で前記中間共重合体と反応させることが好ましい。もちろん、前記ビニル共重合体の活性エネルギー線に対する反応性を損なわない範囲であれば、100%未満となる割合で反応させてもよい。
その他にも、前記ビニル共重合体には、特開2007−77188号公報に記載のビニル共重合体を用いることができる。
前記活性エネルギー線硬化型組成物における前記ビニル共重合体の含有量は、表面層における低表面自由エネルギー特性の維持の観点から、前記活性エネルギー線硬化型組成物100体積部に対して5〜75体積部であることが好ましく、5〜50体積部であることがより好ましい。前記ビニル共重合体の含有量が5体積部未満であると、表面層における低表面自由エネルギー特性を十分に得られない場合がある。前記ビニル共重合体の含有量が75体積部よりも多いと、表面層において十分な膜強度や硬度が得られない場合がある。
前記多官能(メタ)アクリレートは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する。前記多官能(メタ)アクリレートは一種でも二種以上でもよい。前記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビス(2−アクリロキシエチル)−ヒドロキシエチル−イソシアヌレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ウレタンアクリレートなどの2官能性単量体;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ウレタンアクリレート、多価アルコールと多塩基酸及び(メタ)アクリル酸とから合成されるエステル化合物(例えばトリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸=2/1/4モルから合成されるエステル化合物)等の3官能以上の多官能単量体;が挙げられる。前記多官能(メタ)アクリレートは、表面層の硬度を高める観点から、3官能以上の多官能アクリレートであることが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型組成物における前記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、前記活性エネルギー線硬化型組成物100体積部に対して25〜95体積部であることが、表面層の硬度を高める観点から好ましく、50〜95体積部であることがより好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、他の成分をさらに含んでいてもよい。このような他の成分としては、例えば有機溶剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
前記有機溶剤は、例えば溶質の溶解や均一な分散、表面層形成時における塗布性の向上、の観点から用いることができる。前記有機溶剤は、単独で、或いは二種以上の混合溶剤として用いることができる。前記有機溶剤としては、例えば、アルコール系、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、エーテル系、ケトン系、エステル系、及び、多価アルコール誘導体が挙げられる。
前記光重合開始剤は一種でも二種以上でもよい。前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエール、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジターシャリーブチルパーオキシド等のパーオキシド化合物;及び、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物;が挙げられる。前記光重合開始剤の含有量は、例えば、前記活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して0.1〜20質量%であり、好ましくは1〜10質量%である。
前記金属酸化物微粒子は、表面層中にあって、表面層の摩耗を防止し、表面層を補強する。金属酸化物微粒子の粒子形状は特に限定されない。金属酸化物微粒子のサイズは、平均粒子径で1〜100nmであることが好ましい。この平均粒子径は、例えば数平均粒子径であってもよいし、カタログ値であってもよい。前記金属酸化物微粒子のコア粒子としては、例えば、アルミナ、酸化スズ、及びチタニアが挙げられる。より好ましくはアルミナである。
前記金属酸化物微粒子は、前記コア粒子が表面処理剤によって表面処理されてなる。前記表面処理剤は、少なくとも、ポリオルガノシロキサン鎖Bを有する化合物を含む。ポリオルガノシロキサン鎖Bは、前記ビニル共重合体に含まれるポリオルガノシロキサン鎖Aと、同じ構造を有していてもよいし、異なる構造を有していてもよい。また、ポリオルガノシロキサン鎖Bを有する化合物におけるポリオルガノシロキサン鎖Bの数は、一以上であればよい。
ポリオルガノシロキサン鎖Bを有する化合物としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン及び変性シリコーンオイルが挙げられる。これらの化合物の分子量は、前記コア粒子の表面の処理による所望の特性の発現と表面処理時の取り扱いの容易さの観点から、例えば300〜20,000である。変性シリコーンオイルは、ポリオルガノシロキサン鎖に有機基が導入されてなる。前記有機基は、ポリオルガノシロキサン鎖における側鎖、片末端、両末端のいずれの位置にあってもよい。変性シリコーンオイルとしては、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、及びカルボキシル変性シリコーンが挙げられる。ポリオルガノシロキサン鎖Bを有する化合物は、より好ましくはメチルハイドロジェンポリシロキサン、カルビノール変性シリコーンである。
前記金属酸化物微粒子は、例えば、前記表面処理剤そのもの、又は前記表面処理剤と有機溶媒との混合溶液に、前記コア粒子を分散し、回収し、乾燥することによって得られる。前記金属酸化物微粒子の表面における前記表面処理剤の量は、コア粒子の分散時における表面処理剤の濃度や、分散する工程の繰り返し回数によって調整することができる。
前記表面層形成用塗布液における前記金属酸化物微粒子の含有量は、前記活性エネルギー線硬化型組成物100体積部に対して、10〜100体積部であることが好ましい。前記金属酸化物微粒子の含有量が少なすぎると、得られる表面層の硬度が小さくなり、多すぎると表面層が脆くなる。前記表面層形成用塗布液における前記金属酸化物微粒子の含有量は、多すぎると前記金属酸化物微粒子の分散状態を保つことができず、前記金属酸化物微粒子が沈降してしまうことから、前記活性エネルギー線硬化型組成物100体積部に対して、10〜70体積部であることがより好ましく、10〜50体積部であることがさらに好ましい。
前記表面層形成溶塗布液は、前記活性エネルギー線硬化型組成物が前記ビニル共重合体と前記多官能(メタ)アクリレートからなり、かつ、前記金属酸化物微粒子の含有量が前記活性エネルギー線硬化型組成物100体積部に対して10〜100体積部であることが好ましい。前記活性エネルギー線硬化型組成物中の前記ビニル共重合体の含有量は、前述したように、前記活性エネルギー線硬化型組成物100体積部に対して5〜75体積部であることが好ましく、5〜50体積部であることがより好ましい。また、前記活性エネルギー線硬化型組成物中の前記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、前述したように、前記活性エネルギー線硬化型組成物100体積部に対して25〜95体積部であることが、表面層の硬度を高める観点から好ましく、50〜95体積部であることがより好ましい。
前記表面層形成用塗布液は、本発明の効果が得られる範囲において、他の成分、例えば前述した有機溶剤、をさらに含んでいてもよい。
前記表面層形成用塗布液は、前記活性エネルギー線硬化型組成物に、前記金属酸化物微粒子を分散させることによって得られる。このような分散は、通常の分散装置を用いて行うことができる。前記分散装置は、可能な範囲において分散時のシェアが小さいことが、前記金属酸化物微粒子表面の前記表面処理による被膜が分散時のシェアによって剥離することを防止する観点から好ましい。このような分散装置には、超音波ホモジナイザーを利用することができる。超音波ホモジナイザーとは、超音波によるキャビテーションの発生により、粒子が振動することで凝集粒子を解し微細化する装置である。さらに前記分散装置には、ディスパーマット等のビーズミルが挙げられる。この場合、粒径がより小さいビーズの利用や、低回転数(例えば、500〜1,000rpm)での分散が好ましい。
前記金属酸化物微粒子は、前記ポリオルガノシロキサン鎖Bを含む表面処理剤によって表面が処理されている。よって、前記金属酸化物微粒子は、前記表面層形成用塗布液の塗布膜中に均一に分散する。一方、前記活性エネルギー線硬化型組成物中の前記ビニル共重合体に含まれる前記ポリオルガノシロキサン鎖Aは、前記ポリオルガノシロキサン鎖Bに対する親和性を有している。このため、前記塗布膜中に均一に分散する前記金属酸化物微粒子の周囲に、前記ポリオルガノシロキサン鎖Aを含む前記ビニル共重合体が配向する。その結果、前記塗布膜中に前記ビニル共重合体が均一に分散する。したがって、前記中間転写体の表面層は、摩耗の有無に関わらず、所望の低い表面自由エネルギーと耐久性とを発現する。
2.画像形成装置
本発明の画像形成装置は、前述した本発明の中間転写体を有する以外は、中間転写体を使用する通常の電子写真方式の画像形成装置と同様に構成することができる。このような通常の画像形成装置としては、例えば、複数の現像装置と、各現像装置によって形成された各トナー像が重ねて転写される中間転写体と、を有する画像形成装置が挙げられる。
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいてさらに説明する。
図1に示すフルカラー画像形成装置1は、支持レール82L、82Rを介して装置本体Aから引き出し可能な筐体8と、複数組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体ユニット7と、記録媒体Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としてのベルト式定着装置24とを有する。フルカラー画像形成装置1の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
筐体8は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とを有する。筐体8の引き出し操作により、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に一列に配置されている。画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、収容しているトナーの色が異なる以外は同じ構造を有している。Yはイエロー、Mはマゼンタ、Cはシアン、Kはブラックを表している。例えば画像形成ユニット10Yは、ドラム状の感光体1Y、感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Y、及び感光体1Yに脂肪酸金属塩を塗布する手段11Yを有する。脂肪酸金属塩は、例えばトナー中に含まれる脂肪酸金属塩と同じである。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、感光体1Y、1M、1C、1Kの、図1の紙面に対して左側に配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74、76、77によって回動可能に張設されている無端の中間転写ベルト70と、感光体1Y、1M、1C、1Kに担持されたトナー像を中間転写ベルト70に転写するための一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kと、クリーニング手段6Aと、を有している。中間転写ベルト70は、本発明の中間転写体に相当する。クリーニング手段6Aのクリーニング部材は、弾性ブレードである。
中間転写ベルト70は、図2に示すように、無端ベルト状基体70aの上に表面層70bを有する構成を有している。表面層70bの構成は特に限定はなく、1層であってもよく、2層から構成されていても構わない。本図では1層で構成されている場合を示している。
無端ベルト状基体70aの厚さEは、機械的強度、画質、製造コスト等を考慮し、50〜250μmが好ましい。
表面層70bの厚さFは、転写率、耐久性、フィルミング、画質を考慮し、0.5〜5μmが好ましい。表面層の厚さは、FischerInstrumens社製のフィッシャースコープ(登録商標)mmsにて測定することができる。
フルカラー画像形成装置1では、まず、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kで各色のトナー像が形成される。感光体1Y、1M、1C、1Kの外周面上が帯電、露光されて、前記外周面上に潜像が形成される。その後、現像によりトナー像(顕像)を前記外周面上に形成する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kにより形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する中間転写ベルト70上に逐次転写される。これにより、各色のトナー像が重ね合わせられてなるカラートナー像が中間転写ベルト70上に形成される。
中間転写ベルト70上のカラートナー像は、記録媒体(転写材)Pに転写される。給紙カセット20内に収容された用紙等の記録媒体Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写ローラ5Aに搬送される。そして、中間転写ベルト70上のカラートナー像が、二次転写ローラ5Aによって記録媒体P上に転写される。
記録媒体P上に転写されたカラートナー像は、熱ローラ定着器270が装着されたベルト式の定着装置24で、加圧及び加熱により記録媒体Pに固定され定着する。カラートナー像が定着された記録媒体Pは、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
各色のトナー像を中間転写ベルト70に転写した後の感光体1Y、1M、1C、1Kに残されたトナーは、クリーニング手段6Y、6M、6C、6Kによって除去される。その後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。中間転写ベルト70に残留したトナーは、クリーニング手段6Aにより除去される。
本実施形態の中間転写体は、中間転写体の表面層中に、金属酸化物微粒子と樹脂成分中のシリコーン成分とが均一に分布している。したがって、長期に使用しても、フィルミングの発生を抑制することができ、かつ低い表面エネルギーを維持することができる。
次に、本実施の形態における中間転写体の製造を説明する。
図3Aは図2に示す中間転写ベルトを製造する概略フロー図である。図3Bは図3Aに示される塗布工程で使用する基体の表面に表面層形成用塗布液を塗布する浸漬塗布装置の一例を示す概略図である。
中間転写ベルト70の製造工程9は、基体としての無端ベルト状基体を製造する基体製造工程9aと、表面層形成用塗布液を調製する表面層形成用塗布液調製工程9cと、製造された無端ベルト状基体の表面に表面層形成用塗布液を塗布する塗布工程9bと、表面層形成用塗布液塗布工程で形成された表面層形成用塗布膜を硬化する硬化処理工程9dとを含む。
基体製造工程9aでは、図2に示す無端ベルト状基体70aが、従来公知の一般的な製造方法により製造される。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイを使用したインフレーション法により筒状に成形し、得られた筒状成形物を輪切りにすることによって、環状の無端ベルト状の基体を作製することができる。
前記筒状成形物は、例えばポリアミド酸のリング状の塗布膜を乾燥してベル卜形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化し、得られた生成物を回収する方法によっても得ることができる(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)。ポリアミド酸のリング状の塗布膜としては、例えば、ポリアミド酸の溶液を円筒状金型の外周面に塗布する方式、円筒状金型の内周面に前記溶液を塗布する方式、円筒状金型の内周面の前記溶液の塗布膜に遠心力をかける方式、及び前記溶液を注形型に充填する方式、が挙げられる。
無端ベルトの製造に際しては、型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことができる。無端ベルト状基体70aは、導電性を有することが好ましい。無端ベルト状基体70aの導電性は、樹脂に導電剤を分散させることによって、発現させることができ、また調整することができる。
表面層形成用塗布液調製工程9cは、表面層形成用塗布液調製容器9c1と、攪拌機9c2と、調製された表面層形成用塗布液を浸漬塗布装置9b1の塗布液供給タンク9b5に送る送液管9c3とを用いて行うことができる。表面層形成用塗布液調製工程9cで調製される表面層形成用塗布液は、前記活性エネルギー線硬化型組成物と、前記金属酸化物微粒子とを含む。前記金属酸化物微粒子は、前述したポリオルガノシロキサン鎖を含む表面処理剤により表面処理されている。
塗布工程9bは、浸漬塗布装置9b1を用いて行うことができる。浸漬塗布装置9b1は、塗布部9b2と、中間転写ベルト用の基体の供給部9b3とを有している。塗布部9b2は、塗布槽9b2aと、塗布槽9b2aの開口部9b2a1から溢れる表面層形成用塗布液を受けるため塗布槽9b2aの上部に配設されたオーバーフロー液の受け槽9b4と、塗布液供給タンク9b5と、送液ポンプ9b6とを有している。Sは表面層形成用塗布液を示す。
塗布槽9b2aは、底部9b2a2と、底部9b2a2の周面から立ち上げられ側壁9b2a3を有し、上部が開口部9b2a1となっている。塗布槽9b2aは円筒の形状をしている。開口部9b2a1の径と底部9b2a2の径とは同じである。9b2a4は、塗布槽9b2aの底部9b2a2に設けられた塗布液供給口を示す。表面層形成用塗布液Sは、送液ポンプ9b6から塗布液供給口9b2a4を介して塗布槽9b2aに送られる。
9b41は、オーバーフロー液の受け槽9b4の蓋を示す、蓋9b41は、中央に孔9b42を有している。9b43は、オーバーフロー液の受け槽9b4の表面層形成用塗布液Sを塗布液供給タンク9b5に戻す塗布液戻し口を示す。9b8は、塗布液供給タンク9b5に設けられた攪拌用の羽根を示す。
供給部9b3は、ボールネジ9b3aと、ボールネジ9b3aを回転させる駆動部9b3bと、ボールネジ9b3aの回転速度を制御する制御部9b3cと、ボールネジ9b3aに螺合されている昇降部材9b3dと、ボールネジ9b3aの回転に伴い昇降部材9b3dを上下方向(図中の矢印方向)に移動させるガイド部材9b3eとを有している。9b3fは、昇降部材9b3dに取り付けられた無端ベルト状基体70aの保持部材を示す。尚、無端ベルト状基体70aは、無端ベルト状基体70aの直径に合わせた円筒状又は円柱状部材203(図4参照)の表面に保持されている。保持部材9b3fは、保持された無端ベルト状基体70aが塗布槽9b2aのほぼ中央に位置する様に、昇降部材9b3dに取り付けられている。
無端ベルト状基体70aは、昇降部材9b3dに取り付けられた保持部材9b3fに保持される。中間ベルトのボールネジ9b3aの回転に伴い、昇降部材9b3dが上下方向に移動する。これにより、保持部材9b3fに保持された無端ベルト状基体70aは、塗布槽9b2aの中の表面層形成用塗布液Sに浸漬され、その後引き上げられる。こうして、無端ベルト状基体70aの表面に表面層形成用塗布液Sが塗布され、塗布膜が形成される。
無端ベルト状基体70aを引き上げる速度は、使用する表面層形成用塗布液Sの粘度により適宜変更する必要がある。例えば表面層形成用塗布液Sの粘度が10〜200mPa・sの場合は、塗布均一性、塗布膜厚、乾燥等を考慮し、無端ベルト状基体70aを引き上げる速度は、0.5〜15mm/secが好ましい。
活性エネルギー線の硬化反応を効率的に進めるため、前記塗布膜を硬化する前に前記塗布膜を加熱乾燥してもよい。加熱方法としては、特に制限はないが、例えば温風の吹き付けが挙げられる。加熱温度としては、使用する活性エネルギー線硬化型樹脂の種類により一概には規定できないが、表面層形成用塗膜へ影響を与えない温度範囲であることが好ましく、40〜100℃が好ましく、更に40〜80℃が好ましく、特に好ましくは40〜60℃である。
なお、本発明における無端ベルト状基体70aの表面への表面層形成用塗布液Sの塗布には、他の公知の塗布方法を適用することができる。他の方法としては、例えば、環状塗布槽を使用した環状塗布方法、スプレイ塗布方法、超音波アトマイザーによる塗布方法等が挙げられる。
硬化処理工程9dは、図4に示す硬化処理装置200を用いて行うことができる。
図4は、図3に示す硬化処理工程で使用している表面層の硬化処理装置の一例を示す概略図である。図4Aは、図3Aに示す硬化処理工程で使用している表面層(保護層)の硬化処理装置の一例を概略的に示す斜視図である。図4Bは、図4Aに示すA−A’に沿って硬化処理装置を切断したときの断面を示す図である。
硬化処理装置200は、活性エネルギー線照射装置201と、表面層形成用塗布膜を表面に有する無端ベルト状基体70aを保持する円筒状又は円柱状部材203と、円筒状又は円柱状部材203を回転自在に保持する保持装置202とを有している。
活性エネルギー線照射装置201は、硬化処理装置200のフレーム(不図示)に固定されている。活性エネルギー線照射装置201は、円筒状又は円柱状部材203に向けて活性エネルギー線を照射するように、円筒状又は円柱状部材203と対向する位置に配設されている。活性エネルギー線照射装置201は、筐体201aと、筐体201aの内部に納められた活性エネルギー線源201bと、活性エネルギー線源201bのエネルギー制御装置(不図示)とを有している。
201cは、筐体201aの底部(無端ベルト状基体70aの表面と対向する面)に設けられた活性エネルギー線の照射口を示す。Lは、照射口201cと無端ベルト状基体70aの表面までの距離を示す。距離Lは、活性エネルギー線の強度、前記塗布膜中の硬化成分の種類等により適宜設定することが可能となっている。
保持装置202は、第1保持台202aと、第2保持台202bと、駆動用モーター202cと、軸受け部202dとを有している。駆動用モーター202cは第1保持台202a上に配設されており、軸受け部202dは第2保持台202b上に配設されている。
円筒状又は円柱状部材203は、円筒状又は円柱状部材203の一方の取り付け軸と接続部材を介して駆動用モーター202cの回転軸に接続されている。また、円筒状又は円柱状部材203は、円筒状又は円柱状部材203の他方の取り付け軸を介して軸受け部202dに接続されている。これにより、円筒状又は円柱状部材203は、駆動用モーター202cの駆動により回転可能に保持される。
駆動用モーター202cを駆動させることによって、円筒状又は円柱状部材203が回動する。そして活性エネルギー線照射装置201から活性エネルギー線を照射する。これにより、無端ベルト状基体70aの表面の表面層形成用塗布膜が硬化し、表面層70bが形成される。
活性エネルギー線を照射する時の円筒状又は円柱状部材203の回転速度(周速度)は、硬化ムラ、硬度、硬化時間等を考慮し、10〜300mm/sが好ましい。
本発明に使用することができる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、γ線等で、形成された活性エネルギー線硬化型樹脂を活性化させるエネルギー源であれば制限なく使用できるが、紫外線、電子線が好ましい。特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。又、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。スポット状の活性エネルギー線を照射するには紫外線レーザーを使用することが好ましい。
又、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件はそれぞれの光源によって異なるが、照射光量は、硬化ムラ、硬度、硬化時間、硬化速度等を考慮し、100mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、120〜200mJ/cmであり、特に好ましくは、150〜180mJ/cmである。照射光量は、UIT250(ウシオ電機(株)製)で測定した値を示す。
活性エネルギー線の照射時間は0.5秒から5分が好ましく、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率等から、更に好ましくは3秒から2分である。
活性エネルギー線照射の時の雰囲気は、空気雰囲気で問題なく硬化可能であるが、硬化ムラ、硬化時間等を考慮すると雰囲気中の酸素濃度は、5%以下、特に1%以下であることが好ましい。該雰囲気にするには窒素ガス等を導入することが有効である。酸素濃度は、雰囲気ガス管理用酸素濃度計OX100(横河電機(株)製)で測定することができる。
図4に示す形態では、活性エネルギー線照射装置201を固定し、円筒状又は円柱状部材203を回転させ活性エネルギー線を照射する場合を示しているが、円筒状又は円柱状部材203を固定し、円筒状又は円柱状部材203の周囲に沿って活性エネルギー線照射装置201を移動させる方式で合ってもよい。又、図4に示す形態では、円筒状又は円柱状部材203を横置きにした場合を示しているが、円筒状又は円柱状部材203を縦置きにしても勿論構わない。
1.ラジカル反応性シロキサングラフトポリマーの合成
(IPDIアダクトの合成)
イソホロンジイソシアネート(IPDI)222質量部を、空気下、1Lの4つ口フラスコ内で80℃に加熱後、2−ヒドロキシエチルアクリレート116質量部およびハイドロキノン0.13質量部を2時間かけて滴下し、さらに80℃で3時間反応させて、イソシアネート基1個とビニル基1個を有する化合物(IPDIアダクト)を得た。
(重合体A−1の合成)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ社製「サイラプレーンFM−0721」)15質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート70質量部、ブチルメタクリレート15質量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)200質量部を冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1質量部を加えて2時間重合を行った。次いで、IDPIアダクト204質量部、とオクチル酸錫1質量部をメチルエチルケトン(MEK)20質量部で溶かした溶液を約10分間で滴下し、滴下後2時間反応させた。得られた溶液に、不揮発分が10質量%となるようにシクロヘキサノンを添加して、重合体A−1の溶液を得た。重合体A−1の重量平均分子量は約20,000であった。
(重合体A−2の合成)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ社製「サイラプレーンFM−0721」)20質量部、グリシジルメタクリレート70質量部、ブチルメタクリレート10質量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)200質量部を冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら90℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1質量部を加えて2時間重合を行った。次いで、100℃まで昇温し、流入ガスを窒素から空気に変更し、ジメチルベンジルアミン0.7質量部を加え、その後、アクリル酸35質量部を約10分間で滴下し、滴下後10時間反応させた。得られた溶液に、不揮発分が10質量%となるようにシクロヘキサノンを添加して、重合体A−2の溶液を得た。重合体A−2の重量平均分子量は約17,000であった。
(重合体A−3の合成)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ社製「サイラプレーンFM−0721」)25質量部、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート30質量部、ブチルメタクリレート45質量部、メチルエチルケトン(MEK)200質量部を冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリル1.6質量部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル0.4質量部を加えて2時間重合を行った。次いで、2−ヒドロキシエチルメタクリレート25.2質量部とオクチル酸錫0.6質量部とをメチルエチルケトン(MEK)20質量部で溶解した溶液を約10分間で滴下し、滴下後2時間反応させた。得られた溶液に不揮発分が20質量%となるようにシクロヘキサノンを添加して、重合体A−3の溶液を得た。重合体A−3の重量平均分子量は約24,000であった。
(重合体A−4の合成)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ社製「サイラプレーンFM−0711」)20質量部、グリシジルメタクリレート70質量部、ブチルメタクリレート10質量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)200質量部を冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら90℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1質量部を加えて2時間重合を行った。次いで、100℃まで昇温し、流入ガスを窒素から空気に変更し、ジメチルベンジルアミン0.7質量部を加え、その後にアクリル酸35質量部を約10分間で滴下し、滴下後10時間反応させた。得られた溶液に不揮発分が10質量%となるようにシクロヘキサノンを添加して、重合体A−4の溶液を得た。重合体A−4の重量平均分子量は約15,000であった。
(重合体A−5の合成)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ社製「サイラプレーンFM−0725」)20質量部、グリシジルメタクリレート70質量部、ブチルメタクリレート10質量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)200質量部を冷却管、攪拌装置、温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら90℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1質量部を加えて2時間重合を行った。次いで、100℃まで昇温し、流入ガスを窒素から空気に変更し、ジメチルベンジルアミン0.7質量部を加え、その後にアクリル酸35質量部を約10分間で滴下し、滴下後10時間反応させた。得られた溶液に不揮発分が10質量%となるようにシクロヘキサノンを添加して、重合体A−5の溶液を得た。重合体A−5の重量平均分子量は約30,000であった。
(重合体A−6の調整)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物(チッソ社製「サイラプレーンFM−0721」)をシクロヘキサノンに溶解し、濃度が20質量%の重合体(ポリシロキサン化合物)A−6の溶液を得た。重合体A−6の重量平均分子量は約5,000であった。
重合体A−1〜A−6の原料を下記表1に示す。
Figure 0005609923
2.表面処理された金属酸化物微粒子の調製
(微粒子P−1の調製)
フィラーである平均粒子径34nmのアルミナ微粒子100体積部に対し、表面処理剤であるメチルハイドロジェンポリシロキサン(共重合型)を15体積部、溶媒(トルエン:イソプロピルアルコール=1:1(体積比)の混合溶媒)400体積部を混合し、湿式メディア分散型装置を使用して分散し、溶媒を除去し、150℃で30分間乾燥して、メチルハイドロジェンポリシロキサンにより表面処理されたアルミナ微粒子P−1を得た。
(微粒子P−2〜P−12の調製)
フィラー及び表面処理剤を下記表2に示すように変更する以外は、微粒子P−1の調製と同様の操作を行い、微粒子P−2〜P−12をそれぞれ得た。微粒子P−1〜P−12の原料を下記表2に示す。
Figure 0005609923
なお、表2中、「メチルハイドロジェンポリシロキサン(共重合型)」とは、ケイ素原子とそれに結合する二つの置換基がメチル基と水素原子とからなるモノマー単位Aと、ケイ素原子とそれに結合する二つのメチル基とからなるモノマー単位Bとを含むシリコーン鎖からなるメチルハイドロジェンポリシロキサンである。例えば信越化学(株)社製、KF−9901等が挙げられる。
また、表2中、「メチルハイドロジェンポリシロキサン(単一型)」とは、前記モノマー単位Aのみからなるシリコーン鎖からなるメチルハイドロジェンポリシロキサンである。例えば信越化学(株)社製、KF−99等が挙げられる。
3.表面層形成用塗布液の調製
(表面層形成用塗布液1の調製)
重合体A−1を25体積部(固形分として)と、微粒子P−1を20体積部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、「M−1」とも表記する)を75体積部と、を、メチルイソプロピルケトン800体積部に混合、溶解し、横型循環分散機(ディスパーマット:英弘精機)に仕込み、またφ0.3mmのジルコニアビーズを充填率80体積%となるように仕込み、1,000rpmで分散を行った。
その後、固形分濃度が5質量%となるようにメチルイソプロピルケトンで希釈し、該希釈液100質量部に対して、光重合開始剤(イルガキュアー379:チバガイギー)0.25質量部を混合した。こうして、表面層形成用塗布液1を調製した。
(表面層形成用塗布液2〜20の調製)
重合体、微粒子、及びモノマーをそれぞれ下記表3に示すように変えた以外は、表面層形成用塗布液1の調製と同様の操作を行い、表面層形成用塗布液2〜20をそれぞれ得た。なお、表3中、「M−2」は、「ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PTA)」である。
[実施例1]
(中間転写ベルトの作製)
準備した無端ベルト状の基体(PIベルト)の表面に、図3に示す浸漬塗布装置を使用し、浸漬塗布方法で、乾燥膜厚が2μmとなるように下記塗布条件によって表面層形成用塗布液1を塗布して塗布膜を形成した。その後、図4に示す硬化処理装置を使用し、活性エネルギー線として紫外線を、下記紫外線照射条件によって前記塗布膜に照射し、前記塗布膜を硬化して表面層を形成した。こうして、中間転写ベルト1を作製した。なお、前記塗布膜への紫外線の照射は、光源を固定し、前記塗布膜が表面に形成されたPIベルトを円筒上基体で保持し、この円筒状基体を60mm/sで回転することによって行った。
(塗布条件)
塗布液供給量:1L/min
引き上げ速度:4.5mm/min
(紫外線照射条件)
光源の種類:高圧水銀ランプ(H04−L41:アイグラフィックス(株)製)
照射口からPIベルトの表面までの距離:100mm
照射光量:1J/cm
照射時間(円筒状基体を回転させている時間):240秒
(評価)
中間転写ベルト1の実際の耐久性に代わる特性として、中間転写ベルト1の転写率、耐キズ性、耐フィルミング性、及び、中間転写ベルト1の表面からの特定の深さにおけるSi濃度を測定した。
(1)転写率
図1に示すフルカラー画像形成装置に中間転写ベルト1を搭載し、露光量を適正化し、20℃、50%RHで、シアン印字率100%のA4画像を中性紙に出力した。図1に示すフルカラー画像形成装置として、本実施例では、コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRO C6500(レーザー露光、反転現像、中間転写体のタンデムカラー複合機)を、実施例の中間転写ベルトの評価用に改造した装置を用いた。
前記評価機における露光量を適正化し、前記評価機に中間転写ベルト1を搭載し、20℃、50%RHで、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(Bk)の各色の印字率が2.5%の画像を、中性紙に100万枚印刷した。この印刷後の中間転写ベルト1の転写率を下記方法で求めた。
吸引装置を用いて、一次転写後であって二次転写前の中間転写ベルト1上の所定の面積の領域(10mm×50mmを三点)のトナーを採取し、二次転写前のトナーの重量(A)を測定した。
次に、二次転写後の中間転写ベルト1上の転写残トナーを、ブッカーテープにより採取し、白色用紙に貼り付け、分光測色計(コニカミノルタセンシング(株)製、CM−2002)を用い、白色用紙を測色し、予め検量していたトナー重量と測色値の関係から、転写残トナーの重量(B)を求めた。
転写率(η)は、下記式
η=(1−B/A)×100(%)
から求めた。
そして下記の基準に基づいて、中間転写ベルト1の転写率を評価した。
(転写率の評価基準)
◎:転写率が98%以上100%以下
〇:転写率が95%以上98%未満
△:転写率が90%以上95%未満
×:転写率が90%未満
(2)耐キズ性
転写率の評価と同じ方法で100万枚の印刷を行い、印刷前後に中間転写ベルト1の表面状態を観察し、100mm×100mmの領域内にあるキズを数えた。そして、下記の基準に基づいて、中間転写ベルト1の耐キズ性を評価した。
(耐キズ性の評価基準)
◎:100万枚印字後にキズの発生なし
〇:100万枚印字後にキズの発生数が1以上6未満
△:100万枚印字後にキズの発生数が6以上11未満
×:100万枚印字後にキズの発生数が11以上
(3)耐フィルミング性
転写率の評価と同じ方法で100万枚の印刷を行い、印刷前後の中間転写ベルト1の色差ΔEを求めた。中間転写ベルト1の色は、分光測色計(コニカミノルタセンシング(株)製。CM−2002)を用いて測定した。そして、印刷前後の色の値の差ΔEを算出した。下記の基準に基づいて、中間転写ベルト1の耐フィルミング性を評価した。耐フィルミング性が良好であることは、低表面自由エネルギー特性を有することを意味する。
(耐フィルミング性の評価基準)
◎:ΔEが0以上1未満
〇:ΔEが1以上4未満
△:ΔEが4以上6未満
×:ΔEが6以上
(4)Si濃度
中間転写ベルト1を、1辺がおよそ10mmとなるように切り出して試料を用意する。Arイオンを用いた下記デプスプロファイル測定条件にて、前記試料の表面を1回に50秒間ずつ掘削する。
(デプスプロファイル測定条件(Arイオン))
掘削時間:50秒/回
加速電圧:1,000eV
電流:LOW
掘削深度:0.13nm/秒
T秒間掘削した時の前記試料の表面のナロースペクトル測定(検出元素、C、O、Si)を、X線光電子分光法(ESCA)により、以下に示す分析条件で行い、試料の総厚に対して2%の深さまで試料を掘削したときの前記試料の掘削表面のケイ素元素の含有率A2%と、試料の総厚に対して5%の深さまで掘削したときの前記試料の掘削表面のケイ素元素の含有率A5%とを求める。なお、ケイ素元素の含有率とは、測定する対象物に含まれる全原子の原子数に対するケイ素の原子数の百分率である。
<ESCA分析条件>
測定装置:K−Alpha(サーモサイエンティフィック社製)
測定光源:Al(モノクロメータ)
ビーム径:400μm
中和銃:ON
スペクトル:Narrowモード
測定元素:C、O、Si
パスエネルギー:50eV
ステップサイズ:0.1eV
掘削時間Tは、前記掘削深度から求められる。例えば、上記に示すデプスプロファイル測定条件で、試料の総厚が2μmの場合、総厚に対して2%の深さは0.04μmであり、5%の深さは0.10μmの深さとなる。掘削深度が0.13nm/秒の場合では、総厚に対して2%の深さまで掘削する時間Tは、307.7秒(50秒間の掘削を約6回分)である。
中間転写ベルト1の表面層を形成する表面層形成用塗布液1の材料、及び中間転写ベルト1の評価結果を、それぞれ下記表3に示す。
[実施例2〜16]
下記表3に示すように、表面層形成用塗布液1に変えて表面層形成用塗布液2〜16をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、中間転写ベルト2〜16を作製した。そして中間転写ベルト2〜16を、中間転写ベルト1と同様に評価した。中間転写ベルト2〜16の表面層形成用塗布液の種類とその材料、及び中間転写ベルトの評価結果を、それぞれ下記表3に示す。
[比較例1及び4]
下記表3に示すように、表面層形成用塗布液1に変えて表面層形成用塗布液17、20をそれぞれ調製した。表面層形成用塗布液17及び表面層形成用塗布液20では微粒子P−1が分散しなかった。よって、これらの表面層形成用塗布液による表面層の作製と、中間転写ベルトの評価を行わなかった。比較例1、4における表面層形成用塗布液の種類とその材料をそれぞれ下記表3に示す。
[比較例2及び3]
下記表3に示すように、表面層形成用塗布液1に変えて表面層形成用塗布液18、19をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、中間転写ベルト18、19を作製した。そして中間転写ベルト18、19を、中間転写ベルト1と同様に評価した。比較例2、3における表面層形成用塗布液の種類とその材料、及び中間転写ベルトの評価結果を、それぞれ下記表3に示す。
Figure 0005609923
実施例1〜16の中間転写ベルト1〜16は、いずれも、高い転写率を有し、耐キズ性において優れている。これは、微粒子Pの添加によって表面層の硬度が高められているため、と考えられる。さらには、100万枚のフルカラー印刷によっても、耐フィルミング性が保たれている。これは、シリコーン成分を含む重合体Aによって、表面層の表面自由エネルギーが低くなっているため、と考えられる。
さらに、中間転写ベルト1〜16では、表面層の表面から表面層の厚さの2%の深さにおけるケイ素濃度A2%と、表面層の表面から表面層の厚さの5%の深さにおけるケイ素濃度A5%とが、いずれも数%の値である。そして同一の中間転写ベルトにおいて、A2%とA5%とがほぼ同じ値である。このケイ素濃度の結果が得られる理由は以下のように考えられる。
微粒子Pは、前記ポリオルガノシロキサン鎖Bを含む表面処理剤で表面処理されている。よって、微粒子Pは、表面層の全体に均一に分散する。そして、前記表面処理剤のSP値と重合体A中のシリコーン成分のSP値とは近い。このため、表面層形成用塗布液中で重合体A中のシリコーン成分が微粒子Pの表面を被覆する。よって、重合体A中のシリコーン成分は、表面層の全体に均一に分散される。
このように、表面層において、前記表面処理剤で表面処理された微粒子Pを重合体Aが被覆している、と考えられる。このため、表面層の表面が摩耗しても、低表面自由エネルギー特性と耐フィルミング特性とが消失せず、長期にわたり維持される、と考えられる。
一方、微粒子P−11、P−12を用いた比較例2、3の中間転写ベルト18、19では、いずれも、転写率及び耐キズ性では概ね良好な結果が得られている。しかしながら、耐フィルミング性は不十分であった。また、A2%及びA5%は、いずれも、前述の実施例に比べて1/50〜1/8であった。
一般に、表面層形成用塗布液中のシリコーン成分は、塗布膜の表面に偏在しやすい。しかしながら、本発明における前述の重合体A中のシリコーン成分は、表面処理フィラーの表面処理剤として用いられているシリコーン成分との親和性に優れている。このため、前記ポリオルガノシロキサン鎖Bを含む表面処理剤により表面処理されたフィラーの表面に重合体A中のシリコーン成分が配向し、表面処理フィラーと共に重合体A中のシリコーン成分が表面層中に均一に分散する。このように、本発明の中間転写ベルトは、表面処理フィラーと樹脂成分中のシリコーン成分との両方を表面層中に均一に分散させることができることから、表面における高硬度と低表面エネルギーとが長期に保たれ、転写率、耐キズ性、及び耐フィルミング性を高いレベルで達成することができる。よって、本発明の中間転写ベルトは、長期にわたり高画質の画像を形成する、電子写真方式の画像形成装置の開発、普及、及び発展に寄与することが期待される。
1 フルカラー画像形成装置
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電手段
3Y、3M、3C、3K 露光手段
4Y、4M、4C、4K 現像手段
5A 二次転写ローラ
5Y、5M、5C、5K 一次転写ローラ
6A、6Y、6M、6C、6K クリーニング手段
7 無端ベルト状中間転写体ユニット
8 筐体
9 中間転写ベルトの製造工程
9a 基体製造工程
9b 塗布工程
9b1 浸漬塗布装置
9b2a 塗布槽
9b2a1 開口部
9b2a2 底部
9b2a3 側壁
9b2a4 塗布液供給口
9b3 供給部
9b3a ボールネジ
9b3b 駆動部
9b3c 制御部
9b3d 昇降部材
9b3e ガイド部材
9b3f 保持部材
9b4 オーバーフロー液の受け槽
9b41 蓋
9b42 孔
9b43 塗布液戻し口
9b5 塗布液供給タンク
9b6 送液ポンプ
9b8 攪拌用の羽根
9c 表面層形成用塗布液調製工程
9c1 表面層形成用塗布液調製容器
9c2 攪拌機
9c3 送液管
9d 硬化処理工程
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
11Y、11M、11C、11K 脂肪酸金属塩を塗布する手段
20 給紙カセット
21 給紙搬送手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラ
23 レジストローラ
24 定着装置
25 排紙ローラ
26 排紙トレイ
70 中間転写ベルト
70a 無端ベルト状基体
70b 表面層
71、72、73、74、76、77 ローラ
82L、82R 支持レール
200 硬化処理装置
201 活性エネルギー線照射装置
201a 筐体
201b 活性エネルギー線源
201c 照射口
202 保持装置
202a 第1保持台
202b 第2保持台
202c 駆動用モーター
202d 軸受け部
203 円筒状又は円柱状部材
270 熱ローラ定着器
A 装置本体
E 無端ベルト状基体70aの厚さ
F 表面層70bの厚さ
L 照射口201cと無端ベルト状基体70aの表面層形成用塗膜表面までの距離
P 記録媒体
S 表面層形成用塗布液
SC 原稿画像読み取り装置

Claims (6)

  1. 基体と、前記基体の表面を覆う表面層とを有する、電子写真方式の画像形成装置に使用する中間転写体において、
    前記表面層が、活性エネルギー線硬化型組成物と、金属酸化物微粒子と、を含む表面層形成用塗布液の塗布膜に、活性エネルギー線を照射して形成され、
    前記活性エネルギー線硬化型組成物は、1つ以上のポリオルガノシロキサン鎖A、及び3つ以上のラジカル重合性二重結合を含む、重量平均分子量5,000〜100,000のビニル共重合体と、多官能(メタ)アクリレートと、を含み、
    前記金属酸化物微粒子は、ポリオルガノシロキサン鎖Bを含む表面処理剤により表面処理されている、中間転写体。
  2. 前記表面層の表面から前記表面層の総厚に対して2〜5%の深さのSi濃度が1〜10%であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記金属酸化物微粒子の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型組成物100体積部に対して、10〜100体積部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の中間転写体。
  4. 前記ビニル共重合体の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型組成物100体積部に対して1〜10体積部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の中間転写体。
  5. 前記基体が無端ベルトである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中間転写体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の中間転写体を有することを特徴とする画像形成装置。
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