JP6303778B2 - 光硬化樹脂の形成方法、転写部材の製造方法および転写部材 - Google Patents

光硬化樹脂の形成方法、転写部材の製造方法および転写部材 Download PDF

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本発明は、光硬化型樹脂組成物を硬化して形成される光硬化樹脂の形成方法、およびこの光硬化樹脂の形成方法を採用した転写部材の製造方法並びにこの製造方法によって得られる転写部材に関する。
電子写真方式の画像形成装置においては、例えば、像担持体(感光体)上に形成された潜像をトナーにより現像し、得られたトナー像を無端ベルト状の転写部材(以下、「中間転写部材」ともいう。)に一時的に保持させ、中間転写部材上のトナー像を紙などの記録媒体上に転写することが行われている。
このような中間転写部材としては、種々の用紙においても高い転写機能を付与するため、例えばポリイミド樹脂などを基体層とし、その表面にクロロプレンゴム(CR)などの弾性体を形成した構成が採用されている。
このような中間転写部材は、弾性体の表面がゴム状態のままでは異物が付着しやすいという問題があるため、弾性体上に表面層を形成することが行われている(特許文献1〜6参照)。
しかしながら、表面層を形成すると、弾性体と表面層とに追随性が得られず、表面層が割れたり、剥がれたりして高い耐久性が得られないという問題がある。
高い耐久性を得るために、紫外線硬化樹脂の薄膜よりなる表面層を形成する技術が知られている。
しかしながら、このような中間転写部材においては、表面層の形成において、紫外線照射によって下層の弾性体層が劣化して、割れが生じるという問題がある。一方、弾性体層の紫外線劣化を抑制するために、例えば320nm以下の紫外線波長領域の光をフィルターなどで遮断し、光照射すると、樹脂組成物の硬化反応を十分に進行させることができず、強固な光硬化樹脂が形成されないという問題がある。
特開2000−310912号公報 特開2004−334029号公報 特開2003−131492号公報 特開2007−25288号公報 特開平11−267583号公報 特開平10−207242号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、第1の目的は、光硬化型樹脂組成物に対して、紫外線波長領域を含む波長領域の光を遮断した照射光を照射することにより、当該光硬化型樹脂組成物の硬化反応を進めることのできる光硬化樹脂の形成方法を提供することにある。また、第2の目的は、優れた転写機能を有しながらも、高い耐久性を有する転写部材が得られる転写部材の製造方法および転写部材を提供することにある。
本発明の光硬化樹脂の形成方法は、紫外線波長領域に吸収感度を有する光重合開始剤と、
当該光重合開始剤の作用によって重合するラジカル重合性モノマーと、
波長320nm〜350nmの範囲内において選択される特定波長よりも短波長側領域に、前記光重合開始剤の吸収感度の波長領域と重なる第1の吸収感度を有し、前記特定波長よりも長波長側領域に第2の吸収感度を有する増感剤と
を含有してなる光硬化型樹脂組成物に、前記特定波長よりも短波長側領域の光を含まず、前記増感剤の前記第2の吸収感度の波長領域の光を含む照射光を照射することにより、前記光硬化型樹脂組成物を硬化する光硬化樹脂の形成方法であって、
前記光重合開始剤は、前記増感剤の前記第1の吸収感度の波長領域内の吸収ピーク波長における吸光係数が3.5×10 4 ml/gcm以上のものであることを特徴とする。
本発明の光硬化樹脂の形成方法においては、前記光重合開始剤は、ヒドロキシケトン構造を有する化合物であることが好ましい。
本発明の転写部材の製造方法は、電子写真方式の画像形成装置を構成する無端ベルト状の転写部材を製造する方法であって、
前記転写部材が、基体上に弾性体層を介して、光硬化樹脂よりなる表面層が形成されてなるものであり、
前記表面層を構成する光硬化樹脂が、上記の光硬化樹脂の形成方法により形成されたものであることを特徴とする。
本発明の転写部材の製造方法においては、前記光硬化樹脂を形成するための光硬化型樹脂組成物を構成するラジカル重合性モノマーが、多官能(メタ)アクリレート、ポリウレタンアクリレートおよび低表面エネルギー基を有する重合性成分を含むことが好ましい。
本発明の転写部材は、上記の転写部材の製造方法によって得られることを特徴とする。
本発明の光硬化樹脂の形成方法によれば、特定の吸収感度特性を有する光重合開始剤および増感剤が用いられ、光硬化型樹脂組成物に対して、紫外線波長領域を含む波長領域の光を遮断した照射光を照射することにより、紫外線による弊害を伴わずに光硬化樹脂を形成することができる。
本発明の転写部材の製造方法においては、表面層の形成において、上記の光硬化樹脂の形成方法が採用される。従って、光硬化型樹脂組成物に対して、紫外線波長領域を含む波長領域の光を遮断した照射光を照射することにより、当該光硬化型樹脂組成物の硬化反応を進めることができるので、下層の弾性体層の紫外線劣化を抑制することができると共に、高い硬度を有する光硬化樹脂を形成することができる。その結果、弾性体層に割れを生じさせることなく、高い膜強度の表面層が得られるので、優れた転写機能を有しながらも、高い耐久性を有する転写部材が得られる。
本発明の転写部材の構成の一例を示す説明用断面図である。 本発明の転写部材を備えた画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔光硬化樹脂の形成方法〕
本発明の光硬化樹脂の形成方法は、紫外線波長領域に吸収感度を有する光重合開始剤と、当該光重合開始剤の作用によって重合するラジカル重合性モノマーと、波長320nm〜350nmの範囲内において選択される特定波長よりも短波長側領域に、光重合開始剤の吸収感度の波長領域と重なる第1の吸収感度を有し、特定波長よりも長波長側領域に第2の吸収感度を有する増感剤とを含有してなる光硬化型樹脂組成物に、特定波長よりも短波長側領域の光を含まず、増感剤の第2の吸収感度の波長領域の光を含む照射光を照射することにより、当該光硬化型樹脂組成物を硬化し、光硬化樹脂を形成する方法である。
本発明の光硬化樹脂の形成方法によれば、特定の吸収感度特性を有する光重合開始剤および増感剤が用いられ、光硬化型樹脂組成物に対して、紫外線波長領域を含む波長領域の光を遮断した照射光を照射することにより、紫外線による弊害を伴わずに光硬化樹脂を形成することができる。これは、光重合開始剤が、その吸収感度領域において、増感剤が吸収した光エネルギーによる活性化エネルギーが授受されることにより、活性化されるからと推測される。従って、光硬化型樹脂組成物に対して、紫外線波長領域を含む波長領域の光を遮断して光照射しても、当該光硬化型樹脂組成物の硬化反応が進むものと考えられる。
本発明において、特定波長は、320nm〜350nmの範囲内において選択される一の波長である。本発明においては、特定波長としては、例えば320nmが選択される。
光硬化型樹脂組成物に対して、特定波長よりも短波長側領域の光を含まず、特定波長よりも長波長側領域における増感剤の第2の吸収感度の波長領域の光を含む照射光を照射する方法としては、特に限定されないが、例えば、光源として水銀ランプを用い、PETフィルターによって特定波長よりも短波長側領域の光を遮断する方法が挙げられる。ここで、PETフィルターは、波長320nm以下の光を遮断する機能を有している。
光照射条件は、光源などによって異なるが、照射光量は、硬化ムラ、硬度、硬化時間、硬化速度などを考慮し、0.5J/cm2 以上が好ましく、より好ましくは1〜5J/cm2 である。
照射光量は、UIT250(ウシオ電機(株)製)で測定した値を示す。
光照射時間は、5秒間から7分間が好ましく、硬化効率、作業効率などからより好ましくは10秒間から5分間である。
光照射時の雰囲気は、空気雰囲気で問題なく硬化可能であるが、硬化ムラ、硬化時間などを考慮すると雰囲気中の酸素濃度は、5%以下、特に1%以下であることが好ましい。該雰囲気にするには窒素ガスなどを導入することが有効である。
酸素濃度は、雰囲気ガス管理用酸素濃度計「OX100」(横河電機(株)製)で測定した値を示す。
(増感剤)
光硬化型樹脂組成物を構成する増感剤は、特定波長よりも短波長側領域に、後述の光重合開始剤の吸収感度の波長領域と重なる第1の吸収感度を有し、特定波長よりも長波長側領域に第2の吸収感度を有するものである。
ここで、本発明において、増感剤の第1の吸収感度の波長領域が、「光重合開始剤の吸収感度の波長領域と重なる」とは、同じ濃度で溶媒(具体的にはアセトニトリル)に増感剤と光重合開始剤とをそれぞれ溶解したときの吸収スペクトルにおいて、増感剤の第1の吸収感度の波長領域の吸収ピーク波長における吸光度と、当該増感剤の吸収ピーク波長における光重合開始剤の吸光度とが、(光重合開始剤の吸光度)/(増感剤の吸光度)≧0.1を満たすことを意味する。
なお、本発明において、吸収スペクトルは、分光光度計「U−3500」(日立製作所社製)により測定される。
増感剤は、光硬化型樹脂組成物中0.1〜5質量%の割合で含有されていることが好ましく、より好ましくは0.2〜3質量%である。
(光重合開始剤)
光硬化型樹脂組成物を構成する光重合開始剤は、紫外線波長領域に吸収感度を有するものである。
本発明においては、光重合開始剤としては、紫外線波長領域、例えば波長10nm〜400nmの範囲内において、増感剤の吸収感度との関係から、特定波長よりも短波長側領域であって、増感剤の第1の吸収感度の波長領域と重なる領域に吸収感度を有するものが用いられる。
光重合開始剤としては、増感剤の第1の吸収感度の波長領域内の吸収ピーク波長における吸光係数が、3.5×104 ml/gcm以上のものが、当該光重合開始剤の吸収ピーク波長と増感剤の吸収ピーク波長とが重複することとなり、光重合開始剤としての機能を高く発揮することができるため特に好ましい。
また、光重合開始剤としては、特定波長よりも長波長側領域の吸収感度が低いものが好ましい。具体的には、例えば、波長405nmにおける吸光係数が、3.5×102 ml/gcm未満のものであることが好ましい。これは、特定波長よりも長波長側領域における増感剤の第2の吸収感度の波長領域の光を含む照射光を光硬化型樹脂組成物に照射した場合に、特定波長よりも長波長側領域における増感剤の光吸収を阻害することを防止するためである。
また、光重合開始剤としては、ヒドロキシケトン構造を有する化合物が酸素による重合阻害を受けにくいという観点から好ましい。
本発明において、光重合開始剤の吸光係数は、メタノールよりなる溶媒中に、光重合開始剤を溶解した溶液を、分光光度計「U−3500」(日立製作所社製)を用いて測定して求められる値である。
ここで、吸収ピーク波長とは、波長200nm〜350nmの吸収スペクトルにおいて、最大の吸光度を示す波長、すなわち吸収ピークの頂点の波長をいう。本発明においては、吸収ピークは、その半値幅が60nm以内のものとされる。
本発明において、吸収スペクトルは、分光光度計「U−3500」(日立製作所社製)により測定される。
光重合開始剤は、光硬化型樹脂組成物中1〜10質量%の割合で含有されていることが好ましく、より好ましくは2〜5質量%である。
以下、特定の吸収感度特性を有する光重合開始剤と増感剤との組み合わせの具体例を表1および表2に示す。
表1においては、増感剤と光重合開始剤との吸収スペクトルにおいて、増感剤の第1の吸収感度の波長領域の吸収ピーク波長における吸光度と、当該増感剤の吸収ピーク波長における光重合開始剤の吸光度との比(光重合開始剤の吸光度/増感剤の吸光度)(以下、単に「吸光度比」ともいう。)を示す。また、表2においては、光重合開始剤と増感剤との好適な組み合わせの具体例を示し、光重合開始剤の各波長における吸光係数も示す。
Figure 0006303778
Figure 0006303778
(ラジカル重合性モノマー)
光硬化型樹脂組成物を構成するラジカル重合性モノマーは、光重合開始剤の作用によって重合するものである。
ラジカル重合性モノマーとしては、2個以上のラジカル重合性官能基を有する化合物(以下、「多官能ラジカル重合性化合物」ともいう。)を用いることが好ましい。また、ラジカル重合性モノマーとしては、多官能ラジカル重合性化合物と共に、ラジカル重合性官能基を1個有する化合物(以下、「単官能ラジカル重合性化合物」ともいう。)を併用することもできる。単官能ラジカル重合性化合物を用いる場合においては、その割合は、モノマー全量に対して10質量%以下が好ましい。
ラジカル重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
ラジカル重合性モノマーは、光硬化型樹脂組成物中20〜80質量%の割合で含有されていることが好ましく、より好ましくは25〜75質量%である。
〔転写部材の製造方法〕
本発明の転写部材の製造方法は、電子写真方式の画像形成装置を構成する無端ベルト状の転写部材を製造する方法であって、光硬化樹脂を含む表面層の形成において、本発明の光硬化樹脂の形成方法が採用される方法である。
本発明の転写部材の製造方法においては、表面層の形成において、本発明の光硬化樹脂の形成方法が採用される。従って、紫外線波長領域を含む波長領域の光を遮断した照射光を照射することにより、当該光硬化型樹脂組成物の硬化反応を進めることができるので、下層の弾性体層の紫外線劣化を抑制することができると共に、高い硬度を有する光硬化樹脂を形成することができる。その結果、弾性体層に割れを生じさせることなく、高い膜強度の表面層が得られるので、優れた転写機能を有しながらも、高い耐久性を有する転写部材が得られる。
本発明の製造方法により得られる転写部材は、基体上に弾性体層を介して、光硬化型樹脂を含む表面層が形成されてなるものである。具体的には、図1に示すように、転写部材1は、基体2上に弾性体層3が形成され、この弾性体層3上に表面層4が形成されてなるものである。
本発明の転写部材の製造方法は、具体的には、基体を作製し、作製された基体上に弾性体層を形成するための弾性体層形成用塗布液を塗布して、塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させることにより、弾性体層を形成し、形成された弾性体層上に表面層を形成するための表面層形成用塗布液を塗布して、塗膜を形成し、この塗膜に対して硬化処理を行うことにより、表面層を形成することが行われる。
(基体)
基体は、無端ベルト状のものであり、単層構成であっても、2層以上の複数層構成であってもよい。
基体の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アセテート樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などよりなるものを用いることでき、ポリイミド樹脂よりなるものを用いることが好ましい。また、基体は、上記のような樹脂に導電剤を分散させ、導電性を有するものであることが好ましい。
基体の作製方法としては、構成材料としてポリイミド樹脂を用いる場合においては、例えば、ポリアミド酸溶液を円筒状金型の外周面に浸漬する方式や、内周面に塗布する方式やさらに遠心する方式、または注形型に充填する方式などの適宜な方式でリング状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベル卜形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する方法などの従来に準じた適宜な方法により行うことができる(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報など)。無端ベルト状の基体の製造に際しては、型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことができる。
基体の層厚は、機械的強度、画質、製造コストなどを考慮し、50〜250μmであることが好ましい。
(弾性体層)
弾性体層は、弾性体よりなり、その構成材料としては、例えば、ゴム、エラストマー、樹脂などが挙げられる。特に、架橋系のゴム材料が含有されることが、圧縮永久歪みなどの観点から好ましい。
架橋系のゴム材料としては、例えば、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)などが挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
弾性体層の形成方法としては、例えば、弾性体層形成用塗布液を調製し、これを基体上に塗布して、塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させる方法が挙げられる。
弾性体層形成用塗布液の調製方法としては、例えば、弾性体層を形成する構成材料を溶剤に固形分濃度20〜30質量%の割合で添加する方法が挙げられる。
弾性体層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、ノズルによるスパイラル塗布法などが挙げられる。
弾性体層の層厚は、機械的強度、画質、製造コストなどを考慮し、200〜500μmであることが好ましい。
(表面層)
表面層は、少なくとも光硬化樹脂を含み、必要に応じて金属酸化物微粒子などの他の成分などを含んでいてもよい。
表面層を構成する光硬化樹脂は、本発明の光硬化樹脂の形成方法によって形成されたものである。
表面層の形成方法としては、例えば、表面層形成用塗布液を調製し、これを弾性体層上に塗布して、塗膜を形成し、この塗膜に対して硬化処理を行う方法が挙げられる。そして、この硬化処理において、本発明の光硬化樹脂の形成方法が採用される。
表面層形成用塗布液には、ラジカル重合性モノマー、増感剤および光重合開始剤からなる光硬化型樹脂組成物と、必要に応じて溶剤や金属酸化物微粒子などの他の成分とが含まれる。
本発明の転写部材の製造方法においては、光硬化型樹脂組成物を構成するラジカル重合性モノマーとしては、多官能(メタ)アクリレート、ポリウレタンアクリレートおよび低表面エネルギー基を有する重合性成分の少なくとも3種を含有することが好ましい。
〔多官能(メタ)アクリレート〕
多官能(メタ)アクリレートは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するもので、転写部材の表面層の耐摩耗性、強靱性、密着性を発現させるために用いられる。具体的には、ビス(2−アクリロキシエチル)−ヒドロキシエチル−イソシアヌレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ウレタンアクリレートなどの2官能性単量体;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ウレタンアクリレート、多価アルコールと多塩基酸および(メタ)アクリル酸とから合成されるエステル化合物、例えばトリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸=2/1/4モルから合成されるエステル化合物などの3官能以上の多官能単量体などが挙げられる。塗膜にハードコート性を持たせるためには、3官能以上の多官能アクリレートを使用することが望ましい。
多官能(メタ)アクリレートは、数平均分子量が1,000以下であることが好ましく、より好ましくは200以上600以下である。
多官能(メタ)アクリレートの数平均分子量が上記範囲であることにより、光硬化型樹脂の密度を向上させることができ、高い強度が得られる。
本発明において、多官能(メタ)アクリレートの数平均分子量は、測定試料を多官能(メタ)アクリレートとし、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)法により測定される値である。
多官能(メタ)アクリレートは、ラジカル重合性モノマー中20〜60質量%の割合で含有されることが好ましい。
〔ポリウレタンアクリレート〕
ポリウレタンアクリレートは、ウレタン結合を有し、かつ、1分子中に1個以上のアクリロイルオキシ基を有する重合体である。
ポリウレタンアクリレートとしては、例えば、主鎖にウレタン結合を有し、1個以上のアクリロイルオキシ基が主鎖の末端または側鎖に結合しているものが挙げられる。
本発明において、ポリウレタンアクリレートは、表面層の弾性体層に対する追随性を付与する機能を有する。
ポリウレタンアクリレートの数平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、特に好ましくは10,000以上20,000以下である。
また、ポリウレタンアクリレートの伸び率は250%以上であることが好ましく、特に好ましくは250%以上400%以下であり、引張強度が200kg/cm2 以上であることが好ましく、特に好ましくは250kg/cm2 以上350kg/cm2 以下である。
ポリウレタンアクリレートが上記物性のものであることにより、表面層を構成する光硬化型樹脂が下層の弾性体層と追随性を有すると共に、耐傷性を有する。
本発明において、ポリウレタンアクリレートの数平均分子量は、上述した多官能(メタ)アクリレートの分子量の測定方法において、測定試料をポリウレタンアクリレートに変更することの他は同様にして測定される。
本発明において、ポリウレタンアクリレートの伸び率および引張強度は、「オートグラフAGS−J」(島津製作所社製)を用いて測定される値である。なお、この伸び率および引張強度は、ポリウレタンアクリレート単体の試料を厚み30±10μm、幅15mmで測定した際の値である。
ポリウレタンアクリレートは、ラジカル重合性モノマー中30〜70質量%の割合で含有されることが好ましい。
〔低表面エネルギー基を有する重合性成分〕
低表面エネルギー基を有する重合性成分において、低表面エネルギー基とは、表面層の表面自由エネルギーを低減する機能を有する官能基をいい、具体的には、シリコーン変性またはフッ素変性されたアクリレート基のことをいう。このようなシリコーン変性部位としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどが挙げられ、フッ素変性部位としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
低表面エネルギー基を有する重合性成分としては、具体的には、1つ以上のポリオルガノシロキサン鎖またはポリフルオロアルキル鎖、および、3つ以上のラジカル重合性二重結合を有する数平均分子量5,000以上100,000以下のビニル共重合体(以下、「特定のビニル共重合体」ともいう。)が挙げられる。
特定のビニル共重合体は、例えば、ラジカル重合性二重結合とポリオルガノシロキサン基またはポリフルオロアルキル基とを有する単量体(a)と、ラジカル重合性二重結合および反応性官能基を有する、単量体(a)以外の単量体(b)と、さらに必要に応じて単量体(a)および単量体(b)以外のラジカル重合性二重結合を有する単量体(c)をラジカル重合してなるビニル重合体(A)に、前記反応性官能基と反応可能な官能基およびラジカル重合性二重結合を有する化合物(B)を反応させることにより得られる。
特定のビニル共重合体は、単量体(a)と、ラジカル重合性二重結合を2つ以上有する単量体(c′)と、必要に応じて単量体(c)とを重合させて得ることもできる。単量体(c′)が少量の場合、ゲル化することなく所期のビニル共重合体を得ることができる。また、単量体(c′)の一部または全部を、ラジカル重合性二重結合の一部をブロック基として付加させて保護することにより、よりゲル化し難くすることもできる。
特定のビニル共重合体の数平均分子量が5,000未満である場合においては、結晶化しやすい構成となり、生産性が著しく低下するため好ましくない。ビニル共重合体の数平均分子量が、100,000を超える場合においては、表面層とした場合の表面硬度が低下し、転写部材としての機能が低下するため好ましくない。
本発明において、特定のビニル共重合体の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)島津製作所(株)製で測定される値である。
単量体(a)は、表面層の表面自由エネルギーを低くするためのものである。
ラジカル重合性二重結合とポリオルガノシロキサン基とを有する単量体(a)としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006303778
〔一般式(1)中、R1 はCH2 =CHCH2 −COO−(CH2 )m−、CH2 =C(CH3 )−COO−(CH2 )m−、CH2 =CH−(CH2 )m−、または、CH2 =C(CH3 )−(CH2 )m−、(mは0から10の整数)を示し、R2 は水素原子、メチル基、またはR1と同じ官能基を示し、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 およびR8 は、各々独立に、アルキル基またはフェニル基を示し、nは正の整数を示す。〕
なお、R1 〜R8 で示された基における水素原子は、本発明の効果を逸しない範囲で、水素原子以外の公知の置換基に置換されていてもよい。
ラジカル重合性二重結合とポリオルガノシロキサン基とを有する単量体(a)としては、具体的には、例えば、東芝シリコーン(株)製のTSL9705などの片末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサン化合物、チッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725などの片末端(メタ)アクリロキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物などが挙げられる。
ラジカル重合性二重結合とポリフルオロアルキル基とを有する単量体(a)としては、例えば、パーフルオロアルキルエチルアクリレートなどが挙げられる。
これら単量体(a)は、要求性能に応じて1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
ビニル重合体(A)における単量体(a)の共重合比率は、中間転写ベルトの表面層の表面の表面自由エネルギー、光硬化型樹脂組成物に含まれる他の成分との相溶性、弾性体層との密着性、強靭性などの塗膜性能、および重合体の溶媒への溶解性などを考慮し、重合体を構成する単量体の総質量を基準として1〜80質量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜45質量%である。
ラジカル重合性二重結合および反応性官能基を有する、単量体(a)以外の単量体(b)は、一段目に重合したビニル重合体(A)にラジカル重合性二重結合を導入する起点となり、導入されたラジカル重合性二重結合が活性エネルギー線で架橋させてセットすることにより、ビニル重合体のブリードを抑制し、強靭な隔壁を形成させるためのものである。
反応性官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、エポキシ基などが挙げられる。
ヒドロキシ基を有する単量体(b)としては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。
カルボキシル基を有する単量体(b)としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。
イソシアネート基を有する単量体(b)としては、具体的には、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートなどや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネートとを反応させて得られるものが挙げられる。
エポキシ基を有する単量体(b)としては、具体的には、グリシジルメタクリレート、グリシジルシンナメート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ビニルシクロヘキサンモノエポキサイド、1,3−ブタジエンモノエポキサイドなどが挙げられる。単量体(b)は、要求性能に応じて1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
ビニル重合体(A)における単量体(b)の共重合比率は、中間転写ベルトの表面層の耐擦傷性、硬度、表面自由エネルギーなどを考慮し、重合体を構成する単量体の総質量を基準として10〜90質量%であることが好ましく、さらに好ましくは30〜90質量%、特に好ましくは40〜85質量%である。
単量体(a)および単量体(b)以外のラジカル重合性二重結合を有する単量体(c)は、ビニル重合体と光硬化型樹脂組成物に含まれる他の成分との相溶性の向上、および中間転写ベルトの表面層の硬度、強靭性、耐擦傷性などの物性を付与するために用いられる。
単量体(c)としては、(I)アクリル酸誘導体、(II)芳香族ビニル単量体、(III )オレフィン系炭化水素単量体、(IV)ビニルエステル単量体、(V)ビニルハライド単量体、(VI)ビニルエーテル単量体などが挙げられる。
(I)(メタ)アクリル酸誘導体としては、具体的には、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(II)芳香族ビニル単量体としては、具体的には、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、モノフルオロメチルスチレン、ジフルオロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレンなどのスチレン類が挙げられる。
(III )オレフィン系炭化水素単量体としては、具体的には、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、1,4−ペンタジエンなどが挙げられる。
(IV)ビニルエステル単量体としては、具体的には、酢酸ビニルなどが挙げられる。
(V)ビニルハライド単量体としては、具体的には、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが挙げられる。
(VI)ビニルエーテル単量体としては、具体的には、ビニルメチルエーテルなどが挙げられる。これらの単量体は、2種以上を混合して用いても良い。
ビニル重合体(A)における単量体(c)の共重合比率は、ビニル重合体と光硬化型樹脂組成物に含まれる他の成分との相溶性の向上を考慮し、重合体を構成する単量体の総質量を基準として0質量%から89質量%であることが好ましい。
ビニル重合体(A)は、公知の方法、例えば、溶液重合で合成することができる。重合時の溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエチル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。溶媒は、2種以上を混合して用いてもよい。重合時の単量体の仕込み濃度は、0〜80質量%が好ましい。
重合開始剤としては、通常の過酸化物またはアゾ化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチルバレノニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオクトエート、クメンヒドロキシペルオキシドなどが用いられ、重合温度は、好ましくは50〜140℃、さらに好ましくは70〜140℃である。
得られるビニル重合体(A)の好ましい数平均分子量は、5,000〜100,000である。
このようにして得られた反応性官能基およびポリオルガノシロキサン鎖またはポリフルオロアルキル鎖を有するビニル重合体(A)に、反応性官能基と反応可能な官能基およびラジカル重合性二重結合を有する化合物(B)を反応させることにより、ラジカル重合性二重結合およびポリオルガノシロキサン鎖またはポリフルオロアルキル鎖を有するビニル共重合体が得られる。
ビニル重合体(A)と化合物(B)とは、ビニル重合体(A)が有する反応性官能基の数に対し、該反応性官能基と反応可能な官能基の数が100%となる割合で反応させることが好ましい。光反応性を損なわない範囲であれば100%未満となる割合で反応させても良い。
反応性官能基と、該反応性官能基と反応可能な官能基との組み合わせとしては、以下に示すような公知の種々の組み合わせと反応方法を採用することができる。
1)反応性官能基がヒドロキシ基である場合、代表的な反応可能な官能基は、酸ハロゲン基、イソシアネート基が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸クロライドまたはメタクリロキシエチルイソシアネートとの反応により、ラジカル重合性二重結合を導入することができる。(メタ)アクリル酸クロライドとの反応は、ポリオルガノシロキサン鎖またはポリフルオロアルキル鎖およびヒドロキシル基を有するポリマーの溶液に触媒を添加し、(メタ)アクリル酸クロライドを加え加熱することにより進められる。溶媒としては、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキソランなどのエーテル溶液を用いることができる。触媒としてはトリエチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどが好ましく、触媒量は固形分に対し0.1質量%から1質量%である。反応はゲル化抑制のため空気下で行い、反応温度は80℃から120℃で反応時間は1時間から24時間である。
メタクリロキシエチルイソシアネートとの反応は、ポリオルガノシロキサン鎖またはポリフルオロアルキル鎖およびヒドロキシル基を有するポリマーの溶液に触媒としてオクチル酸スズ、ジブチルジラウリン酸錫、オクチル酸亜鉛などの金属化合物、あるいはトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどの3級アミンを0.05PHRから1PHR(Per Hundred Resin)触媒として添加し、加熱下メタクリロキシエチルメタクリレートを加えることにより進められる。溶媒としては、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキソランなどのエーテル溶液を用いることができる。
2)反応性官能基がエポキシ基である場合、代表的な反応可能な官能基は、カルボキシル基が挙げられ、具体的には(メタ)アクリル酸との反応により、ラジカル重合性二重結合を導入できる。(メタ)アクリル酸との反応は、ポリオルガノシロキサン鎖またはポリフルオロアルキル鎖およびエポキシ基を有するポリマーの溶液に触媒を添加し、(メタ)アクリル酸を添加して加熱することにより進められる。反応条件としては、上記、1)反応性官能基がヒドロキシ基である場合と同様の条件が勧められるが、触媒としては、3級アミンが最も好ましい。カルボキシル基とラジカル重合性二重結合を持つ化合物としては、(メタ)アクリル酸の他に、ペンタエリスリトールトリアクリレート無水コハク酸付加物、(メタ)アクリロキシエチルフタレートが挙げられる。
3)反応性官能基がイソシアネート基である場合、代表的な反応可能な官能基は水酸基が挙げられ、具体的にはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン付加物などが挙げられ、反応条件としては、上記、1)反応性官能基がヒドロキシ基である場合と同様の条件が好ましい。
光硬化型樹脂組成物の不揮発分質量全体を基準として、ポリオルガノシロキサン鎖またはポリフルオロアルキル鎖を有する単量体(a)の含有量は、0.01〜10質量%とすることができる。1つのポリオルガノシロキサン鎖またはポリフルオロアルキル鎖、および3つ以上のラジカル重合性二重結合を持つ数平均分子量5,000から100,000のビニル共重合体は、光硬化型樹脂組成物が弾性体層に塗布された時に表面に濃縮される性質があるため、単量体(a)の量が少なくても十分に低い表面自由エネルギーを発現することができる。
以上のような低表面エネルギー基を有する重合性成分としての、1つ以上のポリオルガノシロキサン鎖またはポリフルオロアルキル鎖、および、3つ以上のラジカル重合性二重結合を有する数平均分子量5,000以上100,000以下のビニル共重合体としては、市販品の「メガファック」(DIC社製)、「フルシェード」(東洋インキ社製)を用いることもできる。
低表面エネルギー基を有する重合性成分は、ラジカル重合性モノマー中5〜40質量%の割合で含有されることが好ましい。
〔金属酸化物微粒子〕
表面層には、金属酸化物微粒子を含有させることができる。表面層に金属酸化物微粒子が含有されていることにより、表面層に強靱性が得られ、高い耐久性が得られる。
金属酸化物微粒子は、未処理の金属酸化物微粒子(以下、「未処理金属酸化物微粒子」という。)を、表面処理剤によって表面処理することが好ましい。
本発明に用いられる未処理金属酸化物微粒子は、遷移金属も含めた金属の酸化物であればよく、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどが例示されるが、中でも、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫などが好ましく、特にアルミナ、酸化錫が好ましい。
これらの未処理金属酸化物微粒子は、気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法、電解法などの一般的な製造法で作製されたものを用いることができる。
未処理金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、1nm以上300nm以下の範囲が好ましい。特に好ましくは3〜100nmである。粒径が小さい場合は耐摩耗性が十分でなく、また、粒径が大きい場合には書き込み光を散乱させたり、粒子が光硬化を阻害し耐摩耗性が十分でなくなる可能性がある。
未処理金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)ソフトウェアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した値とする。
未処理金属酸化物微粒子の表面処理に用いる表面処理剤としては、例えば、ラジカル重合性官能基を有する化合物などが挙げられる。このラジカル重合性官能基としては、アクリロイル基やメタクリロイル基などが挙げられる。
また、低表面エネルギー性を付与するため、シリコーンオイルやポリフルオロアルキル基を有する化合物などを表面処理剤として用いることもできる。シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル(例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)など)、変性シリコーンオイルなどを用いることができる。
本発明においては、金属酸化物微粒子は、その表面が少なくともラジカル重合性官能基および低表面エネルギー官能基のいずれかが導入されたものであることが好ましい。ここで、低表面エネルギー官能基とは、低表面エネルギー性を付与するために用いる表面処理剤によって導入された官能基であって、例えば、シランカップリングされた、シリコーンオイル基やポリフルオロアルキル基などである。両者を導入する場合においては、ラジカル重合性官能基と低表面エネルギー官能基との比率は2:1〜1:2であることが好ましい。
未処理金属酸化物微粒子の表面処理に用いるラジカル重合性官能基を有する表面処理剤としては、炭素・炭素二重結合を有する官能基と、未処理金属酸化物微粒子表面の水酸基とカップリングするアルコキシ基などの極性基を同一分子中に有する化合物が好ましい。
ラジカル重合性官能基を有する表面処理剤は、光照射により重合(硬化)して、ポリスチレン、ポリアクリレートなどの樹脂となる官能基を有する化合物が好適であり、中でも、少ない光量または短い時間での硬化が可能であることから反応性アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するシラン化合物が特に好ましい。
ラジカル重合性官能基を有する表面処理剤としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006303778
〔一般式(2)中、R9 は水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアラルキル基、R10は反応性二重結合を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基を示し、mは1から3の整数である。)
上記一般式(2)で表わされる化合物として、下記S−1〜S−30が挙げられる。
S−1 CH2 =CHSi(CH3 )(OCH3 2
S−2 CH2 =CHSi(OCH3 3
S−3 CH2 =CHSiCl3
S−4 CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )(OCH3 2
S−5 CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(OCH3 3
S−6 CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(OC2 5 )(OCH3 2
S−7 CH2 =CHCOO(CH2 3 Si(OCH3 3
S−8 CH2 =CHCOO(CH2 2 Si(CH3 )Cl2
S−9 CH2 =CHCOO(CH2 2 SiCl3
S−10 CH2 =CHCOO(CH2 3 Si(CH3 )Cl2
S−11 CH2 =CHCOO(CH2 3 SiCl3
S−12 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(CH3 )(OCH3 2
S−13 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(OCH3 3
S−14 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(CH3 )(OCH3 2
S−15 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(OCH3 3
S−16 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 Si(CH3 )Cl2
S−17 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 2 SiCl3
S−18 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(CH3 )Cl2
S−19 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 SiCl3
S−20 CH2 =CHSi(C2 5 )(OCH3 2
S−21 CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 3
S−22 CH2 =C(CH3 )Si(OC2 5 3
S−23 CH2 =CHSi(OCH3 3
S−24 CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 2
S−25 CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
S−26 CH2 =CHCOOSi(OCH3 3
S−27 CH2 =CHCOOSi(OC2 5 3
S−28 CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 3
S−29 CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 5 3
S−30 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 3 Si(OC2 5 3
また、上記一般式(2)で表わされる化合物以外でも、ラジカル重合性官能基を有する化合物として、下記S−31〜S−33を用いてもよい。
Figure 0006303778
上記化合物は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、表面処理剤として、下記S−35〜S−37で示されるエポキシ系化合物を使用することもできる。
Figure 0006303778
金属酸化物微粒子の製造方法としては、例えば、未処理金属酸化物微粒子100質量部に対し、表面処理剤0.1〜200質量部、溶媒50〜5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用した方法が挙げられる。
また、未処理金属酸化物微粒子および表面処理剤を含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式分散することにより、未処理金属酸化物微粒子の凝集体を解砕すると同時に未処理金属酸化物微粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化するので、均一でより微細な表面処理剤により表面処理された金属酸化物微粒子を得ることもできる。
表面処理剤の表面処理量(表面処理剤の被覆量)は、金属酸化物微粒子に対し0.1質量%以上60質量%以下であることが好ましい。特に好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
この表面処理剤の表面処理量は、表面処理後の金属酸化物微粒子を550℃で3時間熱処理し、その強熱残分を蛍光X線にて定量分析し、Si量から分子量換算で求めたものである。
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物微粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、未処理金属酸化物微粒子に表面処理を行う際に未処理金属酸化物微粒子を十分に分散させ、且つ表面処理できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどが使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、せん断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1mmから2mm程度のものを使用するが、本発明では0.3mmから1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特にジルコニアまたはシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
以上のような湿式処理により、表面処理剤により表面処理された金属酸化物微粒子を得ることができる。
以上のような金属酸化物微粒子は、光硬化型樹脂組成物に対して4〜40質量%の割合で含有されることが好ましい。
〔その他添加剤〕
表面層には、必要に応じて、有機溶剤、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤、表面改質剤などの添加成分を含ませることができる。
表面層形成用塗布液の調製方法としては、例えば、ラジカル重合性モノマーおよび必要に応じて金属酸化物微粒子を溶剤に固形分濃度3〜10質量%の割合で添加し、例えば湿式メディア分散型装置により分散し、その後、増感剤および光重合開始剤を添加する方法が挙げられる。湿式メディア分散型装置としては、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどが使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、せん断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。
分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1mmから2mm程度のものを使用するが、本発明では0.3mmから1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特にジルコニアまたはシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
分散の終点は、分散液を、PETフィルム上にワイヤーバーで塗布した液を自然乾燥後、405nmの光透過率の1時間前との変化率が3%以下となる分散状態が好ましい。さらに望ましくは、1%以下が好ましい。
表面層形成用塗布液は、塗布性(作業性)が良好となるという理由から、溶剤を含有することが好ましい。
溶剤としては、具体的には、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
表面層形成用塗布液における光重合開始剤の含有割合は、1〜10質量%であることが好ましく、2〜5質量%であることがより好ましい。また、表面層形成用塗布液における増感剤の含有割合は、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.2〜3質量%であることがより好ましい。さらに、表面層形成用塗布液における光硬化型樹脂組成物の含有割合は、5〜20質量%であることが好ましく、7〜15質量%であることがより好ましい。
表面層形成用塗布液の粘度は、10〜100cPであることが好ましい。
表面層形成用塗布液の固形分濃度は、3〜10質量%であることが好ましい。
表面層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬塗布法やスプレー塗布法などが挙げられる。
表面層の形成においては、表面層形成用塗布液を弾性体層上に塗布した後、乾燥させることが好ましい。これにより溶剤が除去される。
塗膜の乾燥は、光硬化型樹脂組成物の硬化処理の前後、およびその硬化処理中のいずれにおいて行われてもよく、これらを組み合わせて適宜選択することができるが、具体的には、塗膜の流動性がなくなる程度まで一次乾燥した後、光硬化型樹脂組成物の硬化処理を行い、その後、さらに表面層中の揮発性物質の量を規定量にするために二次乾燥を行うことが好ましい。
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、形成すべき表面層の層厚などよって適宜選択することができるが、乾燥温度は、例えば40〜100℃であることが好ましく、より好ましくは60℃程度である。乾燥時間は、例えば1〜5分間であることが好ましく、より好ましくは3分間程度である。
光硬化型樹脂組成物を含む表面層形成用塗布液によって形成された塗膜を硬化処理する方法としては、本発明の光硬化樹脂の形成方法が採用される。具体的には、光硬化型樹脂組成物を含む表面層形成用塗布液によって形成された塗膜を、特定波長よりも短波長側領域の光を遮断し、増感剤の第2の吸収感度の波長領域の光を含む照射光を照射することにより、光硬化型樹脂組成物を硬化して光硬化樹脂を形成し、表面層が形成される。
光源としては、高圧水銀ランプなどの水銀ランプを用いることができる。また、特定波長よりも短波長側領域の光を遮断する方法としては、光源の光照射方向前方にフィルターなどを配置する方法が挙げられる。
照射条件は光源などによって異なるが、照射光量は、硬化ムラ、硬度、硬化時間、硬化速度などを考慮し、0.5J/cm2 以上が好ましく、より好ましくは、1〜5J/cm2 である。
照射光量は、UIT250(ウシオ電機(株)製)で測定した値を示す。
光照射時間は、5秒間から7分間が好ましく、硬化効率、作業効率などからより好ましくは10秒間から5分間である。
光照射時の雰囲気は、空気雰囲気で問題なく硬化可能であるが、硬化ムラ、硬化時間などを考慮すると雰囲気中の酸素濃度は、5%以下、特に1%以下であることが好ましい。該雰囲気にするには窒素ガスなどを導入することが有効である。
酸素濃度は、雰囲気ガス管理用酸素濃度計「OX100」(横河電機(株)製)で測定した値を示す。
表面層の層厚は、機械的強度、画質、製造コストなどを考慮し、1〜5μmであることが好ましい。
〔画像形成装置〕
以上のようにして得られた転写部材は、モノクロの画像形成装置やフルカラーの画像形成装置など電子写真方式の公知の種々の画像形成装置における、中間転写ベルトとして好適に用いることができる。
図2は、本発明の転写部材を備えた画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
この画像形成装置は、複数組の画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Bkと、これらの画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Bkにおいて形成されたトナー像を画像支持体P上に転写する中間転写部10と、画像支持体Pに対して加熱しながら加圧してトナー像を定着させてトナー層を得る定着処理を行う定着装置30とを有する。
画像形成ユニット20Yにおいてはイエローのトナー像形成が行われ、画像形成ユニット20Mにおいてはマゼンタ色のトナー像形成が行われ、画像形成ユニット20Cにおいてはシアン色のトナー像形成が行われ、画像形成ユニット20Bkにおいては黒色のトナー像形成が行われる。
画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Bkは、静電潜像担持体である感光体11Y,11M,11C,11Bkと、当該感光体11Y,11M,11C,11Bkの表面に一様な電位を与える帯電手段23Y,23M,23C,23Bkと、一様に帯電された感光体11Y,11M,11C,11Bk上に所望の形状の静電潜像を形成する露光手段22Y,22M,22C,22Bkと、トナーを感光体11Y,11M,11C,11Bk上に搬送して静電潜像を顕像化する現像手段21Y,21M,21C,21Bkと、一次転写後に感光体11Y,11M,11C,11Bk上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段25Y,25M,25C,25Bkとを備えるものである。
中間転写部10は、循環移動する中間転写ベルト16と、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Bkによって形成されたトナー像を中間転写ベルト16に転写する、一次転写手段としての一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkと、一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkによって中間転写ベルト16上に転写された有彩色トナー像を画像支持体P上に転写する、二次転写手段としての二次転写ローラ13Aと、中間転写ベルト16上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段12とを有する。
中間転写ベルト16として本発明の製造方法により得られた転写部材が用いられている。
この中間転写ベルト16は、複数の支持ローラ16a〜16dにより張架され、回動可能に支持された無端ベルト状のものである。
画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Bkにより形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkにより、回動する無端の中間転写ベルト16上に逐次転写されて、重畳されたカラー像が形成される。給紙カセット41内に収容された画像支持体Pは、給紙搬送手段42により給紙され、複数の中間ローラ44a〜44d、レジストローラ46を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ13Aに搬送され、画像支持体P上にカラー像が一括転写される。
カラー像が転写された画像支持体Pは、熱ローラ定着器が装着された定着装置30により定着処理され、排紙ローラに挟持されて機外の排紙トレイ上に載置される。
一方、二次転写ローラ13Aにより画像支持体Pにカラー像を転写した後、画像支持体Pを曲率分離した無端の中間転写ベルト16は、クリーニング手段12により残留トナーが除去される。
〔現像剤〕
以上のような画像形成装置において用いられる現像剤は、磁性または非磁性のトナーによる一成分現像剤であってもよく、トナーとキャリアとが混合された二成分現像剤であってもよい。
現像剤を構成するトナーとしては、特に限定されずに公知の種々のものを使用することができるが、例えば体積基準のメジアン径が3〜9μmであり、重合法によって得られたいわゆる重合トナーを用いることが好ましい。重合トナーを用いることにより、形成される画像において高い解像力および安定した画像濃度が得られると共に画像カブリの発生が極めて抑制される。
二成分現像剤を構成する場合のキャリアとしては、特に限定されずに公知の種々のものを使用することができるが、例えば体積基準のメジアン径が30〜65μmであり、磁化量が20〜70emu/gの磁性粒子からなるフェライトキャリアが好ましい。体積基準のメジアン径が30μm未満のキャリアを用いた場合は、キャリア付着が発生して白抜け画像が生じるおそれがあり、また、体積基準のメジアン径が65μmよりも大きなキャリアを用いた場合は、均一な画像濃度の画像が形成されない場合が生じうる。
〔画像支持体〕
以上のような画像形成装置に使用される画像支持体Pとしては、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
〔転写部材の製造例1:実施例1〕
(1)無端ベルト状基体の作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液「ユーワニスS(固形分18質量%)」(宇部興産製)に、乾燥した酸化処理カーボンブラック「SPECIAL BLACK4」(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%)をポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して、23質量部になるよう添加して、衝突型分散機「GeanusPY」(シーナス製)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mm2 で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を得た。
このカーボンブラック入りポリアミド酸溶液を、円筒状金型の内周面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱した。その後、360℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に360℃で30分間加熱して溶媒の除去、脱水閉環水の除去、およびイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、円筒状金型から剥離することにより、厚み0.1mmの無端ベルト状基体〔1〕を作製した。
(2)弾性体層の形成
ファーネスブラック(旭カーボン社製)をクロロプレンゴム(電気化学社製)に30質量部にて混錬し、そのコンパウンドを、固形分濃度が20質量%となるよう、溶剤:トルエン中に溶解、分散させることにより、弾性体層形成用塗布液〔1〕を調製した。
無端ベルト状基体〔1〕上に、ノズルを使用したスパイラル塗布により、弾性体層形成用塗布液〔1〕を塗布して、乾燥膜厚が200μmの弾性体層〔1〕を形成した。
(3)表面層の形成
(3−1)低表面エネルギー基を有する重合体の合成
(IPDIアダクトの合成)
イソホロンジイソシアネート(IPDI)222質量部を、空気下、1Lの4つ口フラスコ内で80℃に加熱後、2−ヒドロキシエチルアクリレート116質量部およびハイドロキノン0.13質量部を2時間かけて滴下し、さらに80℃で3時間反応させて、イソシアネート基1個とビニル基1個を有する化合物(IPDIアダクト)を得た。
(重合体〔1〕の合成)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物「サイラプレーンFM−0721」(チッソ社製)15質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート70質量部、ブチルメタクリレート15質量部およびメチルイソブチルケトン(MIBK)200質量部を、冷却管、撹拌装置および温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1質量部を加えて2時間重合を行った。次いで、IPDIアダクト204質量部およびオクチル酸錫1質量部をメチルエチルケトン(MEK)20質量部に溶かした溶液を約10分間で滴下し、滴下後2時間反応させた。得られた溶液に、不揮発分が10質量%となるようにシクロヘキサノンを添加して、重合体〔1〕の溶液を得た。重合体〔1〕の重量平均分子量は約20,000であった。
(3−2)表面処理された金属酸化物微粒子の作製
平均粒径34nmのアルミナ微粒子100体積部に対し、表面処理剤である片末端カルビノール変性シリコーンオイル「X−22−170DX」(信越シリコーン社製)15体積部、および溶媒(トルエン:イソプロピルアルコール=1:1(体積比)の混合溶媒)400体積部を混合し、湿式メディア分散型装置を使用して分散、溶媒を除去し、150℃で30分間乾燥して、表面処理された金属酸化物微粒子〔1〕を作製した。
(3−3)表面層形成用塗布液の調製
ポリウレタンアクリレート「UV−3000B」(日本合成化学社製)50体積部、多官能(メタ)アクリレートとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)25体積部、低表面エネルギー基を有する重合性成分として重合体〔1〕25体積部および表面処理された金属酸化物微粒子〔1〕5体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤:プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)中に溶解、分散させ、分散後、増感剤としてITX(イソプロピルチオキサントン)を固形分の2質量%、光重合開始剤として「イルガキュア127」(BASF社製)を固形分の0.25質量%加えて溶解し、表面層形成用塗布液〔1〕を調製した。
ここで、本発明においては、表面層の各成分の比重を、有機物が1.1程度、具体的には、DPHAが1.18、ポリウレタンアクリレートが1.1、低表面エネルギー基を有する重合性成分が1.1、金属酸化物微粒子としてアルミナが3.5として換算することができる。
(3−4)表面層の形成
上記の弾性体層〔1〕の外周面上に、表面層形成用塗布液〔1〕を、塗布装置を使用して浸漬塗布方法によって下記の塗布条件で乾燥膜厚が5μmとなるように塗膜を形成し、この塗膜に下記の光照射条件で光照射することにより、塗膜を硬化して表面層を形成し、これにより、転写部材〔1〕を得た。紫外線の照射は、光源を固定し、当該光源の光照射方向前方にフィルターを配置し、弾性体層の外周面上に塗膜が形成された基材を周速度60mm/sで回転しながら行った。
なお、この表面層の形成で利用される光硬化樹脂の形成方法においては、特定波長は320nmが選択される。
−塗布条件−
塗布液供給量:1L/min
−紫外線の照射条件−
光源の種類:高圧水銀ランプ「H04−L41」(アイグラフィックス社製)
照射口から塗膜の表面までの距離:100mm
照射光量:1J/cm2
照射時間(基材を回転させている時間):240秒間
フィルター:PETフィルター
〔転写部材の製造例2〜9:実施例2,3、参考例1,2、比較例1〜4〕
転写部材の製造例1において、表面層形成用塗布液の調製において表3に示す種類の増感剤および光重合開始剤を用いて表面層形成用塗布液を調製し、表面層の形成においてそれぞれこれらを用いたことの他は同様にして、転写部材〔2〕〜〔9〕を製造した。なお、転写部材〔9〕の製造においては、表面層の形成において、光源の光照射方向前方にフィルターを配置しなかった。
Figure 0006303778
〔評価1:割れ〕
以上のようにして得られた転写部材〔1〕〜〔9〕を、画像形成装置「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)にそれぞれ搭載し、温度20℃、湿度50%RHの環境下において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の各色の印字率が2.5%である画像を、中性紙に1000万枚印刷した。印刷前後の転写部材の表面状態(割れや傷の有無)を観察し、100mm×100mmの領域内にある割れや傷の有無を確認した。結果を表4に示す。
なお、転写部材の表面の割れや傷は、弾性体層が紫外線劣化によって亀裂が生じ、これに起因して亀裂が表面(表面層)にまで及ぶものと推定される。
〔評価2:凹凸紙転写性〕
以上のようにして得られた転写部材〔1〕〜〔9〕を、画像形成装置「C6000」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ製)の中間転写体としてそれぞれ搭載した。凹凸紙(レザック紙)を用いて、トナー濃度100%画像(ベタ画像)を出力し画像濃度を測定し、下記評価基準によって評価した。結果を表3に示す。なお、画像濃度はスキャナーを用いて、画像を取り込み、フォトショップ(Adobe製)を用い、画像処理により平均濃度を算出した。平均濃度90%以下が3%以下であれば合格とする。結果を表4に示す。
Figure 0006303778
1 転写部材
2 基体
3 弾性体層
4 表面層
10 中間転写部
11Y,11M,11C,11Bk 感光体
12 クリーニング手段
13Y,13M,13C,13Bk 一次転写ローラ
13A 二次転写ローラ
16 中間転写ベルト
16a〜16d 支持ローラ
20Y,20M,20C,20Bk 画像形成ユニット
21Y,21M,21C,21Bk 現像手段
22Y,22M,22C,22Bk 露光手段
23Y,23M,23C,23Bk 帯電手段
25Y,25M,25C,25Bk クリーニング手段
30 定着装置
41 給紙カセット
42 給紙搬送手段
44a,44b,44c,44d 中間ローラ
46 レジストローラ
P 画像支持体

Claims (5)

  1. 紫外線波長領域に吸収感度を有する光重合開始剤と、
    当該光重合開始剤の作用によって重合するラジカル重合性モノマーと、
    波長320nm〜350nmの範囲内において選択される特定波長よりも短波長側領域に、前記光重合開始剤の吸収感度の波長領域と重なる第1の吸収感度を有し、前記特定波長よりも長波長側領域に第2の吸収感度を有する増感剤と
    を含有してなる光硬化型樹脂組成物に、前記特定波長よりも短波長側領域の光を含まず、前記増感剤の前記第2の吸収感度の波長領域の光を含む照射光を照射することにより、前記光硬化型樹脂組成物を硬化する光硬化樹脂の形成方法であって、
    前記光重合開始剤は、前記増感剤の前記第1の吸収感度の波長領域内の吸収ピーク波長における吸光係数が3.5×10 4 ml/gcm以上のものであることを特徴とする光硬化樹脂の形成方法。
  2. 前記光重合開始剤は、ヒドロキシケトン構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化樹脂の形成方法。
  3. 電子写真方式の画像形成装置を構成する無端ベルト状の転写部材を製造する方法であって、
    前記転写部材が、基体上に弾性体層を介して、光硬化樹脂よりなる表面層が形成されてなるものであり、
    前記表面層を構成する光硬化樹脂が、請求項1または請求項2に記載の光硬化樹脂の形成方法により形成されたものであることを特徴とする転写部材の製造方法。
  4. 前記光硬化樹脂を形成するための光硬化型樹脂組成物を構成するラジカル重合性モノマーが、多官能(メタ)アクリレート、ポリウレタンアクリレートおよび低表面エネルギー基を有する重合性成分を含むことを特徴とする請求項3に記載の転写部材の製造方法。
  5. 請求項3または請求項4に記載の転写部材の製造方法によって得られることを特徴とする転写部材。
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