JP6303778B2 - 光硬化樹脂の形成方法、転写部材の製造方法および転写部材 - Google Patents
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Description
このような中間転写部材としては、種々の用紙においても高い転写機能を付与するため、例えばポリイミド樹脂などを基体層とし、その表面にクロロプレンゴム(CR)などの弾性体を形成した構成が採用されている。
しかしながら、表面層を形成すると、弾性体と表面層とに追随性が得られず、表面層が割れたり、剥がれたりして高い耐久性が得られないという問題がある。
しかしながら、このような中間転写部材においては、表面層の形成において、紫外線照射によって下層の弾性体層が劣化して、割れが生じるという問題がある。一方、弾性体層の紫外線劣化を抑制するために、例えば320nm以下の紫外線波長領域の光をフィルターなどで遮断し、光照射すると、樹脂組成物の硬化反応を十分に進行させることができず、強固な光硬化樹脂が形成されないという問題がある。
当該光重合開始剤の作用によって重合するラジカル重合性モノマーと、
波長320nm〜350nmの範囲内において選択される特定波長よりも短波長側領域に、前記光重合開始剤の吸収感度の波長領域と重なる第1の吸収感度を有し、前記特定波長よりも長波長側領域に第2の吸収感度を有する増感剤と
を含有してなる光硬化型樹脂組成物に、前記特定波長よりも短波長側領域の光を含まず、前記増感剤の前記第2の吸収感度の波長領域の光を含む照射光を照射することにより、前記光硬化型樹脂組成物を硬化する光硬化樹脂の形成方法であって、
前記光重合開始剤は、前記増感剤の前記第1の吸収感度の波長領域内の吸収ピーク波長における吸光係数が3.5×10 4 ml/gcm以上のものであることを特徴とする。
前記転写部材が、基体上に弾性体層を介して、光硬化樹脂よりなる表面層が形成されてなるものであり、
前記表面層を構成する光硬化樹脂が、上記の光硬化樹脂の形成方法により形成されたものであることを特徴とする。
本発明の光硬化樹脂の形成方法は、紫外線波長領域に吸収感度を有する光重合開始剤と、当該光重合開始剤の作用によって重合するラジカル重合性モノマーと、波長320nm〜350nmの範囲内において選択される特定波長よりも短波長側領域に、光重合開始剤の吸収感度の波長領域と重なる第1の吸収感度を有し、特定波長よりも長波長側領域に第2の吸収感度を有する増感剤とを含有してなる光硬化型樹脂組成物に、特定波長よりも短波長側領域の光を含まず、増感剤の第2の吸収感度の波長領域の光を含む照射光を照射することにより、当該光硬化型樹脂組成物を硬化し、光硬化樹脂を形成する方法である。
照射光量は、UIT250(ウシオ電機(株)製)で測定した値を示す。
光照射時間は、5秒間から7分間が好ましく、硬化効率、作業効率などからより好ましくは10秒間から5分間である。
酸素濃度は、雰囲気ガス管理用酸素濃度計「OX100」(横河電機(株)製)で測定した値を示す。
光硬化型樹脂組成物を構成する増感剤は、特定波長よりも短波長側領域に、後述の光重合開始剤の吸収感度の波長領域と重なる第1の吸収感度を有し、特定波長よりも長波長側領域に第2の吸収感度を有するものである。
ここで、本発明において、増感剤の第1の吸収感度の波長領域が、「光重合開始剤の吸収感度の波長領域と重なる」とは、同じ濃度で溶媒(具体的にはアセトニトリル)に増感剤と光重合開始剤とをそれぞれ溶解したときの吸収スペクトルにおいて、増感剤の第1の吸収感度の波長領域の吸収ピーク波長における吸光度と、当該増感剤の吸収ピーク波長における光重合開始剤の吸光度とが、(光重合開始剤の吸光度)/(増感剤の吸光度)≧0.1を満たすことを意味する。
なお、本発明において、吸収スペクトルは、分光光度計「U−3500」(日立製作所社製)により測定される。
光硬化型樹脂組成物を構成する光重合開始剤は、紫外線波長領域に吸収感度を有するものである。
光重合開始剤としては、増感剤の第1の吸収感度の波長領域内の吸収ピーク波長における吸光係数が、3.5×104 ml/gcm以上のものが、当該光重合開始剤の吸収ピーク波長と増感剤の吸収ピーク波長とが重複することとなり、光重合開始剤としての機能を高く発揮することができるため特に好ましい。
本発明において、吸収スペクトルは、分光光度計「U−3500」(日立製作所社製)により測定される。
表1においては、増感剤と光重合開始剤との吸収スペクトルにおいて、増感剤の第1の吸収感度の波長領域の吸収ピーク波長における吸光度と、当該増感剤の吸収ピーク波長における光重合開始剤の吸光度との比(光重合開始剤の吸光度/増感剤の吸光度)(以下、単に「吸光度比」ともいう。)を示す。また、表2においては、光重合開始剤と増感剤との好適な組み合わせの具体例を示し、光重合開始剤の各波長における吸光係数も示す。
光硬化型樹脂組成物を構成するラジカル重合性モノマーは、光重合開始剤の作用によって重合するものである。
ラジカル重合性モノマーとしては、2個以上のラジカル重合性官能基を有する化合物(以下、「多官能ラジカル重合性化合物」ともいう。)を用いることが好ましい。また、ラジカル重合性モノマーとしては、多官能ラジカル重合性化合物と共に、ラジカル重合性官能基を1個有する化合物(以下、「単官能ラジカル重合性化合物」ともいう。)を併用することもできる。単官能ラジカル重合性化合物を用いる場合においては、その割合は、モノマー全量に対して10質量%以下が好ましい。
ラジカル重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
本発明の転写部材の製造方法は、電子写真方式の画像形成装置を構成する無端ベルト状の転写部材を製造する方法であって、光硬化樹脂を含む表面層の形成において、本発明の光硬化樹脂の形成方法が採用される方法である。
基体は、無端ベルト状のものであり、単層構成であっても、2層以上の複数層構成であってもよい。
基体の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アセテート樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などよりなるものを用いることでき、ポリイミド樹脂よりなるものを用いることが好ましい。また、基体は、上記のような樹脂に導電剤を分散させ、導電性を有するものであることが好ましい。
弾性体層は、弾性体よりなり、その構成材料としては、例えば、ゴム、エラストマー、樹脂などが挙げられる。特に、架橋系のゴム材料が含有されることが、圧縮永久歪みなどの観点から好ましい。
架橋系のゴム材料としては、例えば、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)などが挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
弾性体層形成用塗布液の調製方法としては、例えば、弾性体層を形成する構成材料を溶剤に固形分濃度20〜30質量%の割合で添加する方法が挙げられる。
弾性体層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、ノズルによるスパイラル塗布法などが挙げられる。
表面層は、少なくとも光硬化樹脂を含み、必要に応じて金属酸化物微粒子などの他の成分などを含んでいてもよい。
表面層を構成する光硬化樹脂は、本発明の光硬化樹脂の形成方法によって形成されたものである。
本発明の転写部材の製造方法においては、光硬化型樹脂組成物を構成するラジカル重合性モノマーとしては、多官能(メタ)アクリレート、ポリウレタンアクリレートおよび低表面エネルギー基を有する重合性成分の少なくとも3種を含有することが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するもので、転写部材の表面層の耐摩耗性、強靱性、密着性を発現させるために用いられる。具体的には、ビス(2−アクリロキシエチル)−ヒドロキシエチル−イソシアヌレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ウレタンアクリレートなどの2官能性単量体;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ウレタンアクリレート、多価アルコールと多塩基酸および(メタ)アクリル酸とから合成されるエステル化合物、例えばトリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸=2/1/4モルから合成されるエステル化合物などの3官能以上の多官能単量体などが挙げられる。塗膜にハードコート性を持たせるためには、3官能以上の多官能アクリレートを使用することが望ましい。
多官能(メタ)アクリレートの数平均分子量が上記範囲であることにより、光硬化型樹脂の密度を向上させることができ、高い強度が得られる。
ポリウレタンアクリレートは、ウレタン結合を有し、かつ、1分子中に1個以上のアクリロイルオキシ基を有する重合体である。
ポリウレタンアクリレートとしては、例えば、主鎖にウレタン結合を有し、1個以上のアクリロイルオキシ基が主鎖の末端または側鎖に結合しているものが挙げられる。
本発明において、ポリウレタンアクリレートは、表面層の弾性体層に対する追随性を付与する機能を有する。
また、ポリウレタンアクリレートの伸び率は250%以上であることが好ましく、特に好ましくは250%以上400%以下であり、引張強度が200kg/cm2 以上であることが好ましく、特に好ましくは250kg/cm2 以上350kg/cm2 以下である。
ポリウレタンアクリレートが上記物性のものであることにより、表面層を構成する光硬化型樹脂が下層の弾性体層と追随性を有すると共に、耐傷性を有する。
低表面エネルギー基を有する重合性成分において、低表面エネルギー基とは、表面層の表面自由エネルギーを低減する機能を有する官能基をいい、具体的には、シリコーン変性またはフッ素変性されたアクリレート基のことをいう。このようなシリコーン変性部位としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどが挙げられ、フッ素変性部位としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
低表面エネルギー基を有する重合性成分としては、具体的には、1つ以上のポリオルガノシロキサン鎖またはポリフルオロアルキル鎖、および、3つ以上のラジカル重合性二重結合を有する数平均分子量5,000以上100,000以下のビニル共重合体(以下、「特定のビニル共重合体」ともいう。)が挙げられる。
ラジカル重合性二重結合とポリオルガノシロキサン基とを有する単量体(a)としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
なお、R1 〜R8 で示された基における水素原子は、本発明の効果を逸しない範囲で、水素原子以外の公知の置換基に置換されていてもよい。
表面層には、金属酸化物微粒子を含有させることができる。表面層に金属酸化物微粒子が含有されていることにより、表面層に強靱性が得られ、高い耐久性が得られる。
金属酸化物微粒子は、未処理の金属酸化物微粒子(以下、「未処理金属酸化物微粒子」という。)を、表面処理剤によって表面処理することが好ましい。
また、低表面エネルギー性を付与するため、シリコーンオイルやポリフルオロアルキル基を有する化合物などを表面処理剤として用いることもできる。シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル(例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)など)、変性シリコーンオイルなどを用いることができる。
本発明においては、金属酸化物微粒子は、その表面が少なくともラジカル重合性官能基および低表面エネルギー官能基のいずれかが導入されたものであることが好ましい。ここで、低表面エネルギー官能基とは、低表面エネルギー性を付与するために用いる表面処理剤によって導入された官能基であって、例えば、シランカップリングされた、シリコーンオイル基やポリフルオロアルキル基などである。両者を導入する場合においては、ラジカル重合性官能基と低表面エネルギー官能基との比率は2:1〜1:2であることが好ましい。
上記一般式(2)で表わされる化合物として、下記S−1〜S−30が挙げられる。
S−2 CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−3 CH2 =CHSiCl3
S−4 CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−5 CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−6 CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OC2 H5 )(OCH3 )2
S−7 CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−8 CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−9 CH2 =CHCOO(CH2 )2 SiCl3
S−10 CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−11 CH2 =CHCOO(CH2 )3 SiCl3
S−12 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−13 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−14 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−15 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−16 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−17 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 SiCl3
S−18 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−19 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 SiCl3
S−20 CH2 =CHSi(C2 H5 )(OCH3 )2
S−21 CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 )3
S−22 CH2 =C(CH3 )Si(OC2 H5 )3
S−23 CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−24 CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 )2
S−25 CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
S−26 CH2 =CHCOOSi(OCH3 )3
S−27 CH2 =CHCOOSi(OC2 H5 )3
S−28 CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 )3
S−29 CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 H5 )3
S−30 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OC2 H5 )3
また、上記一般式(2)で表わされる化合物以外でも、ラジカル重合性官能基を有する化合物として、下記S−31〜S−33を用いてもよい。
表面層には、必要に応じて、有機溶剤、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤、表面改質剤などの添加成分を含ませることができる。
溶剤としては、具体的には、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
表面層形成用塗布液の固形分濃度は、3〜10質量%であることが好ましい。
塗膜の乾燥は、光硬化型樹脂組成物の硬化処理の前後、およびその硬化処理中のいずれにおいて行われてもよく、これらを組み合わせて適宜選択することができるが、具体的には、塗膜の流動性がなくなる程度まで一次乾燥した後、光硬化型樹脂組成物の硬化処理を行い、その後、さらに表面層中の揮発性物質の量を規定量にするために二次乾燥を行うことが好ましい。
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、形成すべき表面層の層厚などよって適宜選択することができるが、乾燥温度は、例えば40〜100℃であることが好ましく、より好ましくは60℃程度である。乾燥時間は、例えば1〜5分間であることが好ましく、より好ましくは3分間程度である。
照射条件は光源などによって異なるが、照射光量は、硬化ムラ、硬度、硬化時間、硬化速度などを考慮し、0.5J/cm2 以上が好ましく、より好ましくは、1〜5J/cm2 である。
照射光量は、UIT250(ウシオ電機(株)製)で測定した値を示す。
光照射時間は、5秒間から7分間が好ましく、硬化効率、作業効率などからより好ましくは10秒間から5分間である。
酸素濃度は、雰囲気ガス管理用酸素濃度計「OX100」(横河電機(株)製)で測定した値を示す。
以上のようにして得られた転写部材は、モノクロの画像形成装置やフルカラーの画像形成装置など電子写真方式の公知の種々の画像形成装置における、中間転写ベルトとして好適に用いることができる。
この中間転写ベルト16は、複数の支持ローラ16a〜16dにより張架され、回動可能に支持された無端ベルト状のものである。
カラー像が転写された画像支持体Pは、熱ローラ定着器が装着された定着装置30により定着処理され、排紙ローラに挟持されて機外の排紙トレイ上に載置される。
一方、二次転写ローラ13Aにより画像支持体Pにカラー像を転写した後、画像支持体Pを曲率分離した無端の中間転写ベルト16は、クリーニング手段12により残留トナーが除去される。
以上のような画像形成装置において用いられる現像剤は、磁性または非磁性のトナーによる一成分現像剤であってもよく、トナーとキャリアとが混合された二成分現像剤であってもよい。
現像剤を構成するトナーとしては、特に限定されずに公知の種々のものを使用することができるが、例えば体積基準のメジアン径が3〜9μmであり、重合法によって得られたいわゆる重合トナーを用いることが好ましい。重合トナーを用いることにより、形成される画像において高い解像力および安定した画像濃度が得られると共に画像カブリの発生が極めて抑制される。
以上のような画像形成装置に使用される画像支持体Pとしては、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)無端ベルト状基体の作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液「ユーワニスS(固形分18質量%)」(宇部興産製)に、乾燥した酸化処理カーボンブラック「SPECIAL BLACK4」(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%)をポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して、23質量部になるよう添加して、衝突型分散機「GeanusPY」(シーナス製)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mm2 で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を得た。
このカーボンブラック入りポリアミド酸溶液を、円筒状金型の内周面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱した。その後、360℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に360℃で30分間加熱して溶媒の除去、脱水閉環水の除去、およびイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、円筒状金型から剥離することにより、厚み0.1mmの無端ベルト状基体〔1〕を作製した。
ファーネスブラック(旭カーボン社製)をクロロプレンゴム(電気化学社製)に30質量部にて混錬し、そのコンパウンドを、固形分濃度が20質量%となるよう、溶剤:トルエン中に溶解、分散させることにより、弾性体層形成用塗布液〔1〕を調製した。
無端ベルト状基体〔1〕上に、ノズルを使用したスパイラル塗布により、弾性体層形成用塗布液〔1〕を塗布して、乾燥膜厚が200μmの弾性体層〔1〕を形成した。
(3−1)低表面エネルギー基を有する重合体の合成
(IPDIアダクトの合成)
イソホロンジイソシアネート(IPDI)222質量部を、空気下、1Lの4つ口フラスコ内で80℃に加熱後、2−ヒドロキシエチルアクリレート116質量部およびハイドロキノン0.13質量部を2時間かけて滴下し、さらに80℃で3時間反応させて、イソシアネート基1個とビニル基1個を有する化合物(IPDIアダクト)を得た。
(重合体〔1〕の合成)
片末端メタクリロキシ基含有ポリシロキサン化合物「サイラプレーンFM−0721」(チッソ社製)15質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート70質量部、ブチルメタクリレート15質量部およびメチルイソブチルケトン(MIBK)200質量部を、冷却管、撹拌装置および温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素気流下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えて2時間重合反応を行い、さらにアゾビスイソブチロニトリル1質量部を加えて2時間重合を行った。次いで、IPDIアダクト204質量部およびオクチル酸錫1質量部をメチルエチルケトン(MEK)20質量部に溶かした溶液を約10分間で滴下し、滴下後2時間反応させた。得られた溶液に、不揮発分が10質量%となるようにシクロヘキサノンを添加して、重合体〔1〕の溶液を得た。重合体〔1〕の重量平均分子量は約20,000であった。
平均粒径34nmのアルミナ微粒子100体積部に対し、表面処理剤である片末端カルビノール変性シリコーンオイル「X−22−170DX」(信越シリコーン社製)15体積部、および溶媒(トルエン:イソプロピルアルコール=1:1(体積比)の混合溶媒)400体積部を混合し、湿式メディア分散型装置を使用して分散、溶媒を除去し、150℃で30分間乾燥して、表面処理された金属酸化物微粒子〔1〕を作製した。
ポリウレタンアクリレート「UV−3000B」(日本合成化学社製)50体積部、多官能(メタ)アクリレートとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)25体積部、低表面エネルギー基を有する重合性成分として重合体〔1〕25体積部および表面処理された金属酸化物微粒子〔1〕5体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤:プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)中に溶解、分散させ、分散後、増感剤としてITX(イソプロピルチオキサントン)を固形分の2質量%、光重合開始剤として「イルガキュア127」(BASF社製)を固形分の0.25質量%加えて溶解し、表面層形成用塗布液〔1〕を調製した。
ここで、本発明においては、表面層の各成分の比重を、有機物が1.1程度、具体的には、DPHAが1.18、ポリウレタンアクリレートが1.1、低表面エネルギー基を有する重合性成分が1.1、金属酸化物微粒子としてアルミナが3.5として換算することができる。
上記の弾性体層〔1〕の外周面上に、表面層形成用塗布液〔1〕を、塗布装置を使用して浸漬塗布方法によって下記の塗布条件で乾燥膜厚が5μmとなるように塗膜を形成し、この塗膜に下記の光照射条件で光照射することにより、塗膜を硬化して表面層を形成し、これにより、転写部材〔1〕を得た。紫外線の照射は、光源を固定し、当該光源の光照射方向前方にフィルターを配置し、弾性体層の外周面上に塗膜が形成された基材を周速度60mm/sで回転しながら行った。
なお、この表面層の形成で利用される光硬化樹脂の形成方法においては、特定波長は320nmが選択される。
−塗布条件−
塗布液供給量:1L/min
−紫外線の照射条件−
光源の種類:高圧水銀ランプ「H04−L41」(アイグラフィックス社製)
照射口から塗膜の表面までの距離:100mm
照射光量:1J/cm2
照射時間(基材を回転させている時間):240秒間
フィルター:PETフィルター
転写部材の製造例1において、表面層形成用塗布液の調製において表3に示す種類の増感剤および光重合開始剤を用いて表面層形成用塗布液を調製し、表面層の形成においてそれぞれこれらを用いたことの他は同様にして、転写部材〔2〕〜〔9〕を製造した。なお、転写部材〔9〕の製造においては、表面層の形成において、光源の光照射方向前方にフィルターを配置しなかった。
以上のようにして得られた転写部材〔1〕〜〔9〕を、画像形成装置「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)にそれぞれ搭載し、温度20℃、湿度50%RHの環境下において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の各色の印字率が2.5%である画像を、中性紙に1000万枚印刷した。印刷前後の転写部材の表面状態(割れや傷の有無)を観察し、100mm×100mmの領域内にある割れや傷の有無を確認した。結果を表4に示す。
なお、転写部材の表面の割れや傷は、弾性体層が紫外線劣化によって亀裂が生じ、これに起因して亀裂が表面(表面層)にまで及ぶものと推定される。
以上のようにして得られた転写部材〔1〕〜〔9〕を、画像形成装置「C6000」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ製)の中間転写体としてそれぞれ搭載した。凹凸紙(レザック紙)を用いて、トナー濃度100%画像(ベタ画像)を出力し画像濃度を測定し、下記評価基準によって評価した。結果を表3に示す。なお、画像濃度はスキャナーを用いて、画像を取り込み、フォトショップ(Adobe製)を用い、画像処理により平均濃度を算出した。平均濃度90%以下が3%以下であれば合格とする。結果を表4に示す。
2 基体
3 弾性体層
4 表面層
10 中間転写部
11Y,11M,11C,11Bk 感光体
12 クリーニング手段
13Y,13M,13C,13Bk 一次転写ローラ
13A 二次転写ローラ
16 中間転写ベルト
16a〜16d 支持ローラ
20Y,20M,20C,20Bk 画像形成ユニット
21Y,21M,21C,21Bk 現像手段
22Y,22M,22C,22Bk 露光手段
23Y,23M,23C,23Bk 帯電手段
25Y,25M,25C,25Bk クリーニング手段
30 定着装置
41 給紙カセット
42 給紙搬送手段
44a,44b,44c,44d 中間ローラ
46 レジストローラ
P 画像支持体
Claims (5)
- 紫外線波長領域に吸収感度を有する光重合開始剤と、
当該光重合開始剤の作用によって重合するラジカル重合性モノマーと、
波長320nm〜350nmの範囲内において選択される特定波長よりも短波長側領域に、前記光重合開始剤の吸収感度の波長領域と重なる第1の吸収感度を有し、前記特定波長よりも長波長側領域に第2の吸収感度を有する増感剤と
を含有してなる光硬化型樹脂組成物に、前記特定波長よりも短波長側領域の光を含まず、前記増感剤の前記第2の吸収感度の波長領域の光を含む照射光を照射することにより、前記光硬化型樹脂組成物を硬化する光硬化樹脂の形成方法であって、
前記光重合開始剤は、前記増感剤の前記第1の吸収感度の波長領域内の吸収ピーク波長における吸光係数が3.5×10 4 ml/gcm以上のものであることを特徴とする光硬化樹脂の形成方法。 - 前記光重合開始剤は、ヒドロキシケトン構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化樹脂の形成方法。
- 電子写真方式の画像形成装置を構成する無端ベルト状の転写部材を製造する方法であって、
前記転写部材が、基体上に弾性体層を介して、光硬化樹脂よりなる表面層が形成されてなるものであり、
前記表面層を構成する光硬化樹脂が、請求項1または請求項2に記載の光硬化樹脂の形成方法により形成されたものであることを特徴とする転写部材の製造方法。 - 前記光硬化樹脂を形成するための光硬化型樹脂組成物を構成するラジカル重合性モノマーが、多官能(メタ)アクリレート、ポリウレタンアクリレートおよび低表面エネルギー基を有する重合性成分を含むことを特徴とする請求項3に記載の転写部材の製造方法。
- 請求項3または請求項4に記載の転写部材の製造方法によって得られることを特徴とする転写部材。
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