JP2012064623A5 - - Google Patents
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しかしながら、一方で、電流によって書き込まれた情報を記憶しなければ不揮発性メモリとはなり得ない。つまり、記憶層の熱揺らぎに対する安定性(熱安定性)の確保が必要である。
スピン注入による磁化反転を利用する記憶素子の場合、従来のMRAMと比較して、記憶層の体積が小さくなるので、単純に考えると熱安定性は低下する方向にある。
記憶層の熱安定性が確保されていないと、反転した磁化の向きが、熱により再反転してしまい、書き込みエラーとなってしまう。
そして、スピン注入による磁化反転を利用する記憶素子の大容量化を進めた場合、記憶素子の体積は一層小さくなるので、熱安定性の確保は重要な課題となる。
そのため、スピン注入による磁化反転を利用する記憶素子において、熱安定性は非常に重要な特性である。
スピン注入による磁化反転を利用する記憶素子の場合、従来のMRAMと比較して、記憶層の体積が小さくなるので、単純に考えると熱安定性は低下する方向にある。
記憶層の熱安定性が確保されていないと、反転した磁化の向きが、熱により再反転してしまい、書き込みエラーとなってしまう。
そして、スピン注入による磁化反転を利用する記憶素子の大容量化を進めた場合、記憶素子の体積は一層小さくなるので、熱安定性の確保は重要な課題となる。
そのため、スピン注入による磁化反転を利用する記憶素子において、熱安定性は非常に重要な特性である。
そこで、本願の発明者等が種々の検討を行った結果、記憶層17を構成する強磁性層として、例えばCo−Fe−Bの組成を選定することにより、記憶層17が受ける実効的な反磁界(Meffective)の大きさが、記憶層17の飽和磁化量Msよりも小さくなることを見出した。
上述の強磁性材料を用いることにより、記憶層17が受ける実効的な反磁界の大きさが、記憶層17の飽和磁化量Msよりも小さい構成となる。
これにより、記憶層17が受ける反磁界を小さくすることができるので、式(2)により表される熱安定性Δを損ねることなく、式(1)中により表される電流の閾値Icを低減する効果が得られる。
さらに、発明者らは、上記の選定されたCo−Fe−B組成の内、限られた組成範囲において、Co−Fe−Bが膜面垂直方向に磁化し、それにより、Gbitクラスの容量を実現可能な極微小記憶素子においても十分な熱安定性が確保可能であることを見出した。
従って、Gbitクラスのスピン注入型メモリにおいて熱安定性を保った状態で、低電流で情報の書き込みができる、という安定したメモリの形成を可能にする。
上述の強磁性材料を用いることにより、記憶層17が受ける実効的な反磁界の大きさが、記憶層17の飽和磁化量Msよりも小さい構成となる。
これにより、記憶層17が受ける反磁界を小さくすることができるので、式(2)により表される熱安定性Δを損ねることなく、式(1)中により表される電流の閾値Icを低減する効果が得られる。
さらに、発明者らは、上記の選定されたCo−Fe−B組成の内、限られた組成範囲において、Co−Fe−Bが膜面垂直方向に磁化し、それにより、Gbitクラスの容量を実現可能な極微小記憶素子においても十分な熱安定性が確保可能であることを見出した。
従って、Gbitクラスのスピン注入型メモリにおいて熱安定性を保った状態で、低電流で情報の書き込みができる、という安定したメモリの形成を可能にする。
また、記憶素子の膜構成は、記憶層17が磁化固定層15の下側に配置される構成でも、上側に配置される構成でも全く問題はない。さらには、磁化固定層15が記憶層17の上下に存在する、いわゆるデュアル構造でも全く問題ない。
記憶層17は、磁化M17の方向が膜面垂直方向に自由に変化する磁気モーメントを有する強磁性体から構成されている。磁化固定層15は、磁化M15が膜面垂直方向に固定された磁気モーメントを有する強磁性体から構成されている。
情報の記憶は一軸異方性を有する記憶層17の磁化の向きにより行う。書込みは、膜面垂直方向に電流を印加し、スピントルク磁化反転を起こすことにより行う。このように、スピン注入により磁化の向きが反転する記憶層17に対して、下層に磁化固定層15が設けられ、記憶層17の記憶情報(磁化方向)の基準とされる。
本実施の形態では、記憶層17、磁化固定層15としてはCo−Fe−Bを用いる。
情報の記憶は一軸異方性を有する記憶層17の磁化の向きにより行う。書込みは、膜面垂直方向に電流を印加し、スピントルク磁化反転を起こすことにより行う。このように、スピン注入により磁化の向きが反転する記憶層17に対して、下層に磁化固定層15が設けられ、記憶層17の記憶情報(磁化方向)の基準とされる。
本実施の形態では、記憶層17、磁化固定層15としてはCo−Fe−Bを用いる。
記憶素子3の各試料について、記憶層17のCo−Fe−B合金の組成と、飽和磁化量Ms及び実効的な反磁界の大きさMeffectiveの測定結果、さらに飽和磁化量と実効的な反磁界の大きさとの比Meffective/Msを表1に示す。ここで、表1に記載の記憶層17のCo−Fe−B合金のCo量xは原子%で示している。
図4より、Co量xが小さくなるにつれて、熱安定性の指標Δ(=KV/kBT)が大きくなっていき、Co量xがある程度以上小さくなると熱安定性の指標Δが大きい値で安定することが分かる。
これは、表1に示した飽和磁化量Msの測定結果と、式(2)より熱安定性の指標Δが飽和磁化量Msに比例することとから予想される変化とよく一致している。
これは、表1に示した飽和磁化量Msの測定結果と、式(2)より熱安定性の指標Δが飽和磁化量Msに比例することとから予想される変化とよく一致している。
[実験2]
上記の[実験1]により、(CoxFe100-x)80B20の場合、Co量xが70%以下の組成で高い熱安定性を有したまま、反転電流値Jc0を低減できることがわかった。
そこで、[実験2]において(Co70Fe30)80Bz、および(Co80Fe20)80Bz組成の記憶層17を用いて、B量zがCoとFeの比とMeffective/Msにどのような影響を与えるかを調べた。試料の詳細は[実験1]と同様である。
上記の[実験1]により、(CoxFe100-x)80B20の場合、Co量xが70%以下の組成で高い熱安定性を有したまま、反転電流値Jc0を低減できることがわかった。
そこで、[実験2]において(Co70Fe30)80Bz、および(Co80Fe20)80Bz組成の記憶層17を用いて、B量zがCoとFeの比とMeffective/Msにどのような影響を与えるかを調べた。試料の詳細は[実験1]と同様である。
表2の結果より、(Co70Fe30)100-zBzのようにCoとFeの比を70/30で固定した場合、B量z=40原子%以外の組成では実効的な反磁界Meffectiveが飽和磁化量Msより小さくなっていることが確認できる。
表3の結果より、(Co80Fe20)100-zBzのようにCoとFeの比を80/20で固定した場合、いずれの組成においても実効的な反磁界Meffectiveが飽和磁化量Msより大きくなっていることが確認できる。
上述の表1〜3の結果より、B量zが30原子%以下の範囲であれば、飽和磁化量Msと実効的な反磁界Meffectiveの大小関係はCoとFeの比で決定されることが明らかになった。
従って、記憶層17の実効的な反磁界Meffectiveが飽和磁化量Msより小さくなるCo−Fe−B合金の組成は、
0≦Cox≦70、
30≦Fey≦100、
0<Bz≦30において、
(Cox−Fey)100-z−Bzである。
従って、記憶層17の実効的な反磁界Meffectiveが飽和磁化量Msより小さくなるCo−Fe−B合金の組成は、
0≦Cox≦70、
30≦Fey≦100、
0<Bz≦30において、
(Cox−Fey)100-z−Bzである。
[実験3]
Gbitクラスのスピン注入型メモリでは、記憶素子のサイズが100nmφ以下になることが想定される。そこで、[実験3]において、50nmφのサイズの記録素子を用いて、熱安定性を評価した。
Co−Fe−B合金の組成は、CoFeとBとの組成比(原子%)を80:20に固定して、CoFe中のCoの組成比x(原子%)を、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、0%と変化させた。
素子サイズ以外の試料の詳細は[実験1]と同様である。
Gbitクラスのスピン注入型メモリでは、記憶素子のサイズが100nmφ以下になることが想定される。そこで、[実験3]において、50nmφのサイズの記録素子を用いて、熱安定性を評価した。
Co−Fe−B合金の組成は、CoFeとBとの組成比(原子%)を80:20に固定して、CoFe中のCoの組成比x(原子%)を、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、0%と変化させた。
素子サイズ以外の試料の詳細は[実験1]と同様である。
図5によると、Feが60原子%以上存在するCo−Fe−B合金組成の場合にのみ、高い熱安定性が保持されている。
種々の検討を行った結果、Feが60原子%以上存在するCo−Fe−B合金が極微小な記憶素子において高い熱安定性Δを示す理由は、Co−Fe−B合金の磁化が膜面面直方向を向いていることに起因していることが明らかになった。
Co−Fe−B合金の磁化が膜面面直方向になっている理由は、実効的な反磁界Meffectiveが飽和磁化量Msより著しく小さい組成であることに起因していると思われる。
また、垂直磁化膜になると極微小素子においても熱安定性が保たれる理由は、式(2)中のHk[実効的な異方性磁界]に関係しており、垂直磁化膜のHkは一般的に面内磁化膜よりも遥かに大きな値になる。つまり、垂直磁化膜では、大きなHkの効果により、面内磁化膜では十分な熱安定性Δを確保できない極微小な素子においても高い熱安定性Δを保つことが出来る。
上記の実験結果から、(CoxFe100-x)80B20という組成のCo−Fe−B合金では、Fe100-xが60以上になる場合、Gbitクラスのスピン注入を利用したメモリ装置に好適となるといえる。
種々の検討を行った結果、Feが60原子%以上存在するCo−Fe−B合金が極微小な記憶素子において高い熱安定性Δを示す理由は、Co−Fe−B合金の磁化が膜面面直方向を向いていることに起因していることが明らかになった。
Co−Fe−B合金の磁化が膜面面直方向になっている理由は、実効的な反磁界Meffectiveが飽和磁化量Msより著しく小さい組成であることに起因していると思われる。
また、垂直磁化膜になると極微小素子においても熱安定性が保たれる理由は、式(2)中のHk[実効的な異方性磁界]に関係しており、垂直磁化膜のHkは一般的に面内磁化膜よりも遥かに大きな値になる。つまり、垂直磁化膜では、大きなHkの効果により、面内磁化膜では十分な熱安定性Δを確保できない極微小な素子においても高い熱安定性Δを保つことが出来る。
上記の実験結果から、(CoxFe100-x)80B20という組成のCo−Fe−B合金では、Fe100-xが60以上になる場合、Gbitクラスのスピン注入を利用したメモリ装置に好適となるといえる。
[実験4]
上記[実験3]において、(CoxFe100-x)80B20という組成のCo−Fe−B合金では、Fe量が60以上になる場合、Gbitクラスのスピン注入を利用したメモリ装置に好適となることを示した。[実験4]では、さらに、B量を5〜30原子%の範囲のCo−Fe−B合金で50nmφのサイズの記憶素子を作製し、熱安定性を評価した。
素子サイズ以外の試料の詳細は[実験1]と同様である。
上記[実験3]において、(CoxFe100-x)80B20という組成のCo−Fe−B合金では、Fe量が60以上になる場合、Gbitクラスのスピン注入を利用したメモリ装置に好適となることを示した。[実験4]では、さらに、B量を5〜30原子%の範囲のCo−Fe−B合金で50nmφのサイズの記憶素子を作製し、熱安定性を評価した。
素子サイズ以外の試料の詳細は[実験1]と同様である。
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