JP4770144B2 - 記憶素子 - Google Patents

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Description

本発明は、記憶素子に係わり、不揮発性メモリ等に用いて好適なものである。
コンピュータ等の情報機器では、ランダム・アクセス・メモリとして、動作が高速で、高密度なDRAMが広く使われている。
しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。
そして、不揮発メモリの候補として、磁性体の磁化で情報を記録する磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)が注目され、開発が進められている(例えば非特許文献1参照)。
MRAMは直交する2種類のアドレス配線(ワード線、ビット線)にそれぞれ電流を流して、各アドレス配線から発生する電流磁場によって、アドレス配線の交点にある磁気記憶素子の磁性層の磁化を反転して情報の記録を行うものである。
しかしながら、記録した情報を安定に保持するためには、情報を記録する磁性層(記憶層)において一定の保磁力が必要である。
一方、記録された情報を書き換えるためには、アドレス配線にある程度の電流を流さなければならない。
そして、MRAMを構成する素子の微細化に従い、アドレス配線も細くなるため、充分な電流が流せなくなってくる。
そこで、より少ない電流で磁化反転が可能な構成として、スピン注入による磁化反転を利用する構成の磁気メモリが注目されている(例えば、特許文献1参照)。
スピン注入による磁化反転とは、磁性体の中を通過してスピン偏極した電子を、他の磁性体に注入することにより、他の磁性体において磁化反転を起こさせるものである。
そして、スピン注入による磁化反転は、素子が微細化されても、少ない電流で磁化反転を実現することができる利点を有している。
日経エレクトロニクス 2001.2.12号(第164頁−171頁) 特開2003−17782号公報
しかしながら、スピン注入による磁化反転を行うためには、記憶素子に直接電流を流すことから、記録電流による記憶素子の破壊や劣化が起こらないように、なるべく記録電流を小さくする必要がある。
記録電流を小さくするためには、記憶層の体積を小さくすることが有効であるが、記憶層の体積を小さくすると、熱ゆらぎの影響で情報の保持が困難となる。
このため、不揮発性を維持したまま、記録電流の低減を実現することが難しかった。
上述した問題の解決のために、本発明においては、小さい電流で情報を記録することができ、かつ記録された情報を長期間保持することができる記憶素子を提供するものである。
本発明の記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、この記憶層に対してトンネル絶縁層を介して設けられ、磁化の向きが固定された磁化固定層とを少なくとも有し、トンネル絶縁層を通じて、記憶層と磁化固定層との間に電流を流すことにより情報の記録が行われ、記憶層が、Fe,Co,Niから選ばれる少なくとも1種の元素と、Gdとを含有し、記憶層のFe,Co,Niの含有量が、トンネル絶縁層側界面で他の部分よりも多くなっているものである。
上述の本発明の記憶素子の構成によれば、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、この記憶層に対してトンネル絶縁層を介して設けられ、磁化の向きが固定された磁化固定層とを少なくとも有し、トンネル絶縁層を通じて、記憶層と磁化固定層との間に電流を流すことにより情報の記録が行われることから、記憶層と磁化固定層との間に電流を流すことにより、いわゆるスピン注入により記憶層の磁化状態(磁化の向き)を変化させて、情報の記録を行うことができる。
このとき、記憶層の磁化状態を変化させて情報を記録するために必要となる電流量は、記憶層の体積、飽和磁束密度、並びに制動定数に比例し、分極率に反比例する。
そして、記憶層が、Fe,Co,Niの3d遷移金属元素とGdとを含有する構成となっていることにより、Gdによって飽和磁束密度を低減することができ、制動定数の増加が少なく、分極率の低下が飽和磁束密度の低下と比較して少ないため、情報を記録するための電流を低減させることができる。
上述の本発明の記憶素子は、例えば、記憶層・トンネル絶縁層・磁化固定層を含む各層を同じ平面パターンで積層した積層体から成る構成とすることにより、微細化することが比較的容易である。
そして、磁場を印加して磁化状態を変化させる、従来のMRAM用の磁気記憶素子と比較して、磁場を印加するための配線が不要となるため、記憶素子の占める体積を低減することができる。
また、上記本発明の記憶素子は、トンネル絶縁層の抵抗が大きいため、記憶層と磁化固定層との間に電流を流して情報の読み出しを行う際の出力電圧を大きくすることができる。
また、上記本発明の記憶素子は、記憶層のFe,Co,Niの含有量が、トンネル絶縁層側界面で他の部分よりも多くなっている構成であることにより、記憶層のトンネル絶縁層側界面の分極率を大きくすることができることから、情報を記録するための電流を低減させることができると共に、情報の読み出しを行う際の抵抗変化を大きくすることができる。
また、上記本発明の記憶素子において、記憶層に含まれるGd以外の希土類元素が1原子%以下である構成としたときには、Gdに付随して含有される他の希土類元素による、情報を記録するための電流の増大作用を抑えることができる。
上述の本発明の記憶素子によれば、記録電流を低減させることができ、少ない電流量で情報の記録を行うことが可能である。
これにより、消費電力を低減することができる。
また、記憶層の体積を小さくしなくても記録電流を低減させることが可能になるため、記憶層の体積を小さくすることによる熱ゆらぎの影響を抑制し、記録された情報を長期間安定に保持することができる。
さらに、記憶素子を、微細化することが比較的容易な構成とすることができ、従来のMRAM用の磁気記憶素子と比較して記憶素子の占める体積を低減することができる。
これにより、本発明の記憶素子をメモリセルに用いてメモリを構成すれば、メモリを小型化したり、高密度化して記憶容量を大きくしたりすることが容易に可能になる。
従って、本発明によれば、省電力動作可能な高密度の不揮発性メモリを実現することができる。
まず、本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要について説明する。
前述した目的、即ち低い電流で情報を記録することができ、かつ情報を長期間保持することができることを達成するために最適な構造を検討した結果、磁化の向き(磁化状態)を情報として保持する記憶層と磁化の向きが固定された磁化固定層(情報の基準となる参照層を有する)との少なくとも2つの磁性層とそれらに挟まれた非磁性層からなり、非磁性層を介して流れる電流により情報の記録と読み出しを行う記憶素子において、記憶層をFe,Co,Niの少なくとも1種の元素とGdとを含む構成とすることにより、情報の不揮発性を維持しながら記録電流を低減することが可能であることを見い出した。
即ち、本発明では、磁化の向き(磁化状態)を情報として保持する記憶層と、磁化の向きが固定された磁化固定層とを有し、記憶層と磁化固定層との間に非磁性層(絶縁層又は非磁性導電層)を設けて、記憶素子を構成する。
また、記憶層に対して、前述したスピン注入による磁化反転を用いて、記憶層を構成する磁性層の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行う。
さらに、本発明では、記憶層をFe,Co,Niから選ばれる少なくとも1種の元素とGdとを含む構成とする。
スピン注入による磁化反転においては、参照層から記憶層に偏極電子を注入する、即ち記憶層から参照層に向けて電流を流すと、記憶層は参照層と磁化の向きが平行になり、逆向きに電流を流すと記憶層は参照層と磁化の向きが反平行になり、流す電流の向きによって記録する情報を選択することができる。
スピン注入により記憶層の磁化の向きを反転させるために必要となる電流(反転電流)Icは、大まかには、記憶層の体積、飽和磁束密度、制動定数に比例し、分極率に反比例する。
一方、熱ゆらぎに対する情報保持特性は、記憶層の体積及び磁気異方性エネルギーが大きいほど良好になる。
従って、熱に対する情報保持特性を維持しながら記録電流を下げるには、飽和磁束密度と制動定数を下げ、磁気異方性エネルギーと分極率を上げればよい。
Fe,Co,Niの3d遷移金属元素は、制動定数が比較的小さい。この3d遷移金属元素に重金属元素を添加すると制動定数が大きくなり、分極率も添加元素を加えると低下する傾向がある。
また、Fe,Co,Niの3d遷移金属元素の飽和磁束密度を効果的に下げるには、Gd,Tb,Dy,Ho等の重希土類元素を添加すると効果的である。
しかし、Gd以外の重希土類元素を添加した場合には、制動定数の増加が著しく、記録電流の低減には効果がない。
一方、Gdを添加した場合には、分極率が低下するものの、分極率の低下が飽和磁束密度の低下よりもずっと少なくなる。
従って、Fe,Co,Niの3d遷移金属元素(磁性元素)を基本とする磁性体に、Gdを添加することにより、制動定数の増加を抑えながら飽和磁束密度を効果的に低減することができ、効果的に記録電流を低減することが可能である。
このように記録電流を低下させることができるのは、Gdを添加したときのみである。
記憶層中のGdの含有率は、好ましくは20%(原子%)以下、より好ましくは10〜20%(原子%)とする。10〜20%とすると、記録電流の低減効果が大きい。一方、Gdの含有量が多くなり過ぎると、分極率が大きく低下するので好ましくない。
そして、Gd以外の希土類元素が含まれると、記録電流が増加するため、Gd以外の希土類元素の含有量は1原子%以下にするのが好ましい。
なお、3d遷移金属元素(磁性元素)とGd以外の元素も、飽和磁束密度の調整や耐食性改善等の目的のために添加することが可能であるが、重元素は制動定数を増加させるため、記録電流が増加するので、Al,Si,B,C,N,O,Cr,V,Ti,Cu等の軽元素の添加が適当である。
記憶層は合金として形成しても良いし、各元素又はそれらの合金を適当な周期で積層して形成しても良い。
また、記録電流に相関のある分極率は、記憶層の非磁性層側界面の分極率である。
そのため、記憶層全体の組成(Gdの含有比率)が同一であっても、記憶層の非磁性層側界面で3d磁性金属(Fe,Co,Ni)の含有量を増やすことにより、飽和磁束密度を減らしながら、分極率の低下を抑えることができる。
そして、非磁性層に酸化物を用いた場合には、記憶層の非磁性層側界面のGdが選択的に酸化し、記憶層の非磁性層側界面の分極率が大きくなるので、好ましい。
上述のように、記憶層の非磁性層側界面の分極率を大きくすることによって、磁化反転に必要な電流量を低減することができると共に、読み出し時の抵抗変化が大きくなり容易に読み出しが可能となる。
記憶層と磁化固定層(参照層)との間の非磁性層には、酸化アルミニウム等の絶縁体を用いても良く、Cu等の非磁性金属を用いても良く、Si等の半導体を用いても良い。
非磁性層に絶縁体を用いた場合は、記録された情報を読み出す際の信号出力が大きくなるが、素子の絶縁破壊を防ぐために流せる記録電流には制限がある。
非磁性層に金属等の導電体を用いた場合は、多くの電流を流すことができるが、情報を読み出す際の信号は小さくなる。
続いて、上述した本発明の構成を満足する具体的な本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態として、記憶素子の概略構成図(断面図)を示す。
この記憶素子10は、下層から、下部電極11、反強磁性層12、磁性層13、非磁性層14、磁性層(参照層)15、トンネル絶縁層16、記憶層17、保護層18、上部電極19が積層されて成る。
記憶層17は、磁性体から成り、情報を磁化状態(磁化の向き)で保持することができるように構成される。
磁性層13・非磁性層14・磁性層(参照層)15の3層により、積層フェリ構造の磁化固定層21が構成される。このうち、磁性層13は反強磁性層12により磁化の向きが固定される。磁性層(参照層)15は、磁性層13とは磁化の向きが反平行になり、また記憶層17に対する磁化の向きの基準となるものである。
そして、下部電極11及び上部電極19の間に電流を流すことにより、スピン注入による記憶層17の磁化の向きの反転を行うことができる。
上部電極19から下部電極11に向けて、即ち記憶層17から磁性層(参照層)15に向けて電流を流すと、磁性層(参照層)15から記憶層17に偏極電子が注入され、記憶層17の磁化の向きが参照層15の磁化の向きと平行になる。
下部電極11から上部電極19に向けて、即ち参照層15から記憶層17に向けて電流を流すと、記憶層17から参照層15に偏極電子が注入され、記憶層17の磁化の向きが参照層15の磁化の向きと反平行になる。
このようにして、電流を流す向きによって、記録する情報を選択することができる。
そして、磁性層(参照層)15の磁化の向きと記憶層17の磁化の向きが、平行の状態ではトンネル絶縁層16を通る電流の抵抗が小さくなり、反平行の状態ではトンネル絶縁層16を通る電流の抵抗が大きくなる。このことを利用して、抵抗値から記憶層17に記録された情報の内容を読み出すことができる。
なお、読み出し時に流す電流は、スピン注入による記憶層17の磁化反転が生じないように、反転電流よりも小さくする。
本実施の形態では、特に、記憶層17が、Fe,Co,Niから選ばれる少なくとも1種の元素(3d遷移金属元素)と、Gdとを含有する構成とする。
記憶層17のGdの含有量は、好ましくは全体の20%(原子%)以下、より好ましくは全体の10〜20%(原子%)とする。
記憶層17の組成は、Fe,Co,NiとGdとが均一な合金膜となっていてもよく、また上部と下部でFe,Co,NiとGdとの組成が異なるように組成分布を有していてもよい。
組成分布を有している場合には、特に、記憶層17のトンネル絶縁層16側界面において、他の部分よりもFe,Co,Niの含有量が多くなっていることが好ましい。このようにトンネル絶縁層16側界面においてFe,Co,Niの含有量が多くなっていることにより、この界面の分極率を上げて、情報を記録するための電流を低減させることができ、また情報の読み出しの際の抵抗変化も大きくすることができる。
そして、本実施の形態の記憶素子10によってメモリセルを構成し、このメモリセルを多数、列状やマトリクス状に配置することにより、メモリを構成することができる。
このようなメモリにおいては、各メモリセルの記憶素子10に対して、電流を流すために、下部電極11及び上部電極19に、それぞれ配線等を接続する。そして、情報の記録や読み出しを行う際には、駆動回路から配線等を通して対象となるメモリセルの記憶素子10に電流を供給する。
上述の本実施の形態の記憶素子10の構成によれば、記憶層17が、Fe,Co,Niから選ばれる少なくとも1種の元素(3d遷移金属元素)と、Gdとを含有することにより、Gdの作用により飽和磁束密度を低減することができる。また、制動定数の増加が少なく、分極率の低下が飽和磁束密度の低下と比較して少ないため、情報を記録するための電流を低減させることができる。
このように情報を記録するための電流を低減させることができるため、少ない電流量で情報の記録を行うことが可能である。
これにより、消費電力を低減することができる。
また、記憶層17の体積を小さくしなくても、記録電流を低減させることが可能になるため、記憶層の体積を小さくすることによる熱ゆらぎの影響を抑制し、記憶層17に記録された情報を長期間安定に保持することができる。
また、記憶層17と磁化固定層21の参照層15との間にトンネル絶縁層16が設けられていることにより、トンネル絶縁層16の抵抗が大きいため、記憶層17と参照層15との間に電流を流して情報の読み出しを行う際の出力電圧を大きくすることができる。
また、上述の本実施の形態の記憶素子10は、例えば、記憶層17・トンネル絶縁層16・磁化固定層21を含む各層を同じ平面パターンで積層した積層体から成る構成とすることにより、微細化することが比較的容易である。
そして、磁場を印加して磁化状態を変化させる、従来のMRAM用の磁気記憶素子と比較して、磁場を印加するための配線が不要となるため、記憶素子10の占める体積を低減することができる。
これにより、本実施の形態の記憶素子10によりメモリセルを構成したメモリを小型化したり、高密度化して記憶容量を大きくしたりすることが容易に可能になる。
従って、本実施の形態の記憶素子10を備えてメモリを構成すれば、省電力動作可能な高密度の不揮発性メモリを実現することができる。
(実施例)
ここで、本発明の記憶素子の構成において、具体的に記憶層の寸法や組成等を設定して、特性がどのようになるか検討を行った。
そして、各層の材料及び膜厚を、次のように設定して、図1に示した構成の記憶素子10を作製した。
即ち、膜厚10nmのTa膜から成る下部電極11の上に、膜厚30nmのPtMn膜から成る反強磁性層12、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層13、膜厚0.8nmのRu膜から成る非磁性層14、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層(参照層)15、膜厚0.9nmの酸化アルミニウム膜から成るトンネル絶縁層16、膜厚3nmの記憶層17、膜厚10nmのTa膜から成る保護層18を、順次積層形成した。このうち、磁性層13、非磁性層14、磁性層(参照層)15の3層の積層により、磁化固定層21が構成される。なお、トンネル絶縁層16は、Al膜を成膜した後に、Al膜を酸化処理して酸化アルミニウム膜(AlO膜)とした。
次に、磁性層13から保護層18までの各層をパターニングして、長軸約200nm・短軸約150nmの楕円形状のパターンとした。
さらに、パターニングされた保護層18の上に、膜厚50nmのCu膜から成る上部電極19を形成した。
その後に、磁場中熱処理炉で、370℃・10時間の熱処理を行い、反強磁性層12のPtMn膜の規則化熱処理を行った。
このようにして、図1に示した構成の記憶素子10を作製した。
(反転電流Icの測定)
下部電極11と上部電極19との間に流す電流量を掃引しながら記憶素子10の抵抗を測定し、抵抗が変化したときの電流値から、反転電流Icを求めた。
そして、記憶層17の磁化の向きが、参照層15の磁化の向きに対して、平行状態から反平行状態に変化する電流値と、反平行状態から平行状態に変化する電流値とをそれぞれ測定し、これら電流値の絶対値の平均を反転電流Icの値とした。
(添加元素の種類及び添加量と特性の変化)
まず、CoFe(組成比Co:Fe=1:1)に各種元素M(M=Si,Tb,Ho,Gd)をそれぞれ添加した合金膜により記憶層17を構成し、各添加元素Mについてそれぞれ添加量を変えて、添加量(原子%)に対する反転電流Icの変化を調べた。
結果を図2に示す。図2の横軸は、組成(Co50Fe50100−x中の添加元素Mの含有量x(原子%)を示している。
図2より、Siを添加した場合には、添加量を変えても反転電流Icに大きな変化はないことがわかり、またTb,Hoを添加した場合には、僅かな添加量で反転電流Icが大きく増加してしまうことがわかる。
これに対して、Gdを添加した場合には、反転電流Icの減少が見られる。
即ち、記録電流を低減するためには、記憶層へのGdの添加が有効であることが確認できる。
また、Gdの含有量xが2%程度でも反転電流Icを低減する効果があるが、特に含有量xが10〜20%のときに、充分な低減効果が得られることがわかる。なお、含有量xが20%を超えてさらに多くなると、スピン分極率が小さくなるため、反転電流Icの低減効果も小さくなっていく。
次に、CoFe(組成比Co:Fe=1:1)に図2と同じ各種元素Mをそれぞれ添加した合金膜により記憶層を構成し、各添加元素Mについてそれぞれ添加量を変えて、添加量に対する、熱安定性の指標であるKuV/kT(ただし、Kuは磁性膜の磁気異方性エネルギー、Vは磁性体の体積、kはボルツマン定数、Tは絶対温度)の変化を調べた。なお、温度T=300Kとした。
各種添加元素Mの含有量x(原子%)とKuV/kTとの関係を図3に示す。
図3より、Tb,Hoを添加した場合には、磁気異方性エネルギーKuが大きくなるため、KuV/kTは大きくなり、Siを添加した場合には、飽和磁束密度と磁気異方性エネルギーの低下によりKuV/kTは小さくなることがわかる。
これに対して、Gdを添加した場合には、飽和磁束密度が小さくなるが、磁気異方性エネルギーKuが大きくなるので、KuV/kTの値は添加量に大きく依存はしない。
また、Siを添加した場合には、添加量を増やすと、KuV/kTが小さくなり記憶の保持特性が低下するが、Gdを添加した場合には添加量によるKuV/kTの変化が少ないため、記憶の保持特性の大きな低下は見られない。
次に、CoFe(組成比Co:Fe=1:1)に図2と同じ各種元素Mをそれぞれ添加して記憶層を構成し、各添加元素Mについてそれぞれ添加量を変えて、添加量に対するMR比の変化を調べた。
各種添加元素Mの含有量(原子%)とMR比の大きさとの関係を図4に示す。
図4より、Siを添加した場合と比較して、希土類元素Tb,Ho,Gdを添加した場合には、添加量の増加に伴うMR比の低下が少ないことがわかる。
従って、図2〜図4の結果から、希土類元素を添加しても、電子のスピン分極率の低下が少なく、特にGdを添加することが、記録電流の低下及び保存特性の向上に、共に有効であることが確認できる。
次に、CoFeGdに対して、さらに各種希土類元素を加えた場合の反転電流Icの変化を調べた。
希土類元素M(M=Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho)の添加量と反転電流Icとの関係を図5に示す。図5の横軸は、(Co50Fe5090Gd10に対して、10%のGdの一部をx(原子%)の希土類元素Mで置き換えた場合の希土類元素Mの添加量x(原子%)を示している。また、比較対照として、(Co50Fe5090Gd10の場合をGdとして示している。
図5より、Gdに対して他の希土類元素Mを僅かでも添加すると、反転電流Icが大きく増加してしまうことから、Gd以外の希土類元素は含まれない方が良い。
しかしながら、Gdには完全に取り除くのが難しい希土類元素が不純物として含まれやすい。
そこで、反転電流Icを大きく増加させないために、Gd以外の希土類元素の含有量を1原子%以下にすることが望ましい。
(記憶層の組成分布と特性)
次に、CoFeGdから成る記憶層17の構成を変更して、反転電流Icや特性の違いを調べた。具体的には、均一な組成のCoFeGd合金により記憶層17を構成した場合と、CoFeとGdに組成分布をもたせて記憶層17を構成した。
まず、図6Aに示すように、CoFeGdから成る記憶層17を、単層のCoFe−Gd合金膜(組成Co40Fe40Gd20、膜厚3nm)により形成し、記憶素子10を作製して、試料1の記憶素子とした。
次に、非磁性層16の上に、膜厚1.5nmのGd膜と膜厚1.5nmのCoFe膜とを順次積層して記憶層を形成し、記憶素子10を作製して試料2の記憶素子とした。この試料2の記憶素子は、図6Bに示すように、記憶層17が、下側のGdを多く含む部分22と上側のCoFeを多く含む部分23とを有する組成分布となっている。
次に、非磁性層16の上に、膜厚1.5nmのCoFe膜と膜厚1.5nmのGd膜とを順次積層して記憶層を形成し、記憶素子10を作製して試料3の記憶素子とした。この試料3の記憶素子は、図6Cに示すように、記憶層17が、下側のCoFeを多く含む部分23と上側のGdを多く含む部分22とを有する組成分布となっている。
これら試料1〜試料3の記憶素子について、それぞれ反転電流IcとMR比の大きさを調べた。結果を表1に示す。
Figure 0004770144
表1より、単層の合金膜により記憶層17を形成した場合には、反転電流Icを0.35mAと比較的小さくすることができ、またMR比を33%と充分確保することができることがわかる。
次に、Gd膜とCoFe膜とを積層して記憶層を形成した場合のうち、Gd膜を参照層15側に積層した試料2はMR比が小さく、また1mA以下(素子が破壊しない範囲)の電流では磁化反転の動作を確認できなかった。
一方、CoFe膜を参照層15側に積層した試料3は、合金膜とした試料1よりもさらに反転電流Icが小さく、MR比も大きくなる。これは、CoFeの方がGdよりも分極率が大きいため、CoFe膜を参照層15側に積層することにより、反転電流Icの低減及びMR比の向上に効果があるためである。
従って、単層のCoFeGd合金膜により記憶層17を構成した場合と、参照層15側にCoFeが多い組成分布の記憶層17を構成した場合は、反転電流Icの低減及びMR比の向上に効果が大きい。
上述の実施の形態では、反強磁性層12と参照層15を含む磁化固定層21とを記憶層17に対して下層に設けた場合であったが、記憶層に対して、磁化固定層及び反強磁性層を上層に設けて記憶素子を構成してもよい。
また、磁化固定層を単層の磁性層(参照層)のみにより構成してもよく、また各磁性層を材料や組成の異なる複数の磁性層の積層により構成してもよい。
また、記憶層と磁化固定層との間に、トンネル絶縁層16の代わりに非磁性導電層を設けて記憶素子を構成してもよい。
また、記憶層が組成分布を有する構成としては、図6Cに示したように、Gdが多い部分22と3d遷移金属元素が多い部分23とが比較的明確に分かれている構成に限らず、Gdと3d遷移金属元素との組成比が膜厚方向に緩やかに変化する構成としてもよい。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
本発明の一実施の形態の記憶素子の概略構成図(断面図)である。 記憶層をCoFeと各種添加元素の合金で構成したときの添加量と反転電流Icとの関係を示す図である。 記憶層をCoFeと各種添加元素の合金で構成したときの添加量と熱安定性の指標KuV/kTとの関係を示す図である。 記憶層をCoFeと各種添加元素の合金で構成したときの添加量とMR比との関係を示す図である。 CoFeGdに希土類元素を添加して記憶層を構成したときの添加元素の種類と添加量による反転電流Icとの変化を示す図である。 A〜C 記憶素子の各試料の記憶層付近の断面図である。
符号の説明
10 記憶素子、12 反強磁性層、13,15 磁性層、14 非磁性層、16 トンネル絶縁層、17 記憶層、21 磁化固定層

Claims (2)

  1. 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、
    前記記憶層に対してトンネル絶縁層を介して設けられ、磁化の向きが固定された磁化固定層とを少なくとも有し、
    前記トンネル絶縁層を通じて、前記記憶層と前記磁化固定層との間に電流を流すことにより情報の記録が行われる記憶素子であって、
    前記記憶層が、Fe,Co,Niから選ばれる少なくとも1種の元素と、Gdとを含有し、
    前記記憶層のFe,Co,Niの含有量が、前記トンネル絶縁層側界面で他の部分よりも多くなっている
    記憶素子。
  2. 前記記憶層に含まれるGd以外の希土類元素が1原子%以下である請求項1に記載の記憶素子。
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