JP2012064542A - 電池用活物質ペースト、電池用活物質ペーストの分散性評価方法、電池用活物質ペーストの分散性の管理方法、及び、電極板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 活物質粒子、結着剤及び導電剤を均一に分散させた電池用活物質ペーストを提供する。電池用活物質ペーストの分散性評価方法、電池用活物質ペーストの分散性の管理方法、及び、電極板の製造方法を提供する。
【解決手段】 電池用活物質ペースト21Pは、分散媒26と、この分散媒中に分散して含まれる活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24と、を有し、電池用活物質ペーストについての、ずり速度γ(s-1)の定常流粘度測定における粘度の収束値をη(Pa・s)、角周波数ω(rad/s)の動的粘弾性測定における複素粘度をη*(Pa)としたとき、ずり速度γがγ=0.02s-1であり、角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の、粘度の収束値ηと複素粘度η*との比RがR≦20である物性を有する。
【選択図】 図6
【解決手段】 電池用活物質ペースト21Pは、分散媒26と、この分散媒中に分散して含まれる活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24と、を有し、電池用活物質ペーストについての、ずり速度γ(s-1)の定常流粘度測定における粘度の収束値をη(Pa・s)、角周波数ω(rad/s)の動的粘弾性測定における複素粘度をη*(Pa)としたとき、ずり速度γがγ=0.02s-1であり、角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の、粘度の収束値ηと複素粘度η*との比RがR≦20である物性を有する。
【選択図】 図6
Description
本発明は、液状の分散媒と、この分散媒中に分散して含まれる活物質粒子、結着剤及び導電剤とを有する電池用活物質ペーストに関する。また、この電池用活物質ペーストの分散性評価方法、電池用活物質ペーストの分散性の管理方法、及び、電極板の製造方法に関する。
近年、ハイブリッド自動車やノート型パソコン、ビデオカムコーダなどのポータブル電子機器の駆動用電源に、充放電可能なリチウムイオン二次電池(以下、単に電池ともいう)が利用されている。
このような電池に使用される電極板(正電極板,負電極板)は、例えば、分散媒と、この分散媒に分散して含まれる活物質粒子、結着剤及び導電剤とを備える電池用活物質ペースト(以下、単にペーストともいう)を、導電性を有する集電板上に塗布し、乾燥・プレスして製造される。
そのようなペーストについて、例えば、特許文献1には、正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)の製造工程において、この正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)の分散性について、この正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)の凝集量を指標として管理する、正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)の管理方法が挙げられている。なお、凝集量は、剪断速度を一定の割合で上げていく場合の応力変化挙動と、逆に下げていく場合の応力変化挙動とが、ヒステリシスを描くときのヒステリシスカーブの内部の面積で与えられる。
このような電池に使用される電極板(正電極板,負電極板)は、例えば、分散媒と、この分散媒に分散して含まれる活物質粒子、結着剤及び導電剤とを備える電池用活物質ペースト(以下、単にペーストともいう)を、導電性を有する集電板上に塗布し、乾燥・プレスして製造される。
そのようなペーストについて、例えば、特許文献1には、正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)の製造工程において、この正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)の分散性について、この正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)の凝集量を指標として管理する、正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)の管理方法が挙げられている。なお、凝集量は、剪断速度を一定の割合で上げていく場合の応力変化挙動と、逆に下げていく場合の応力変化挙動とが、ヒステリシスを描くときのヒステリシスカーブの内部の面積で与えられる。
ところで、図1は、電池用活物質ペーストのような流体について、粘度計を用いて粘度を測定した場合の、測定時間と粘度との関係を示したグラフである。このグラフによれば、測定を開始してから粘度の大きさが安定(収束)するまでに、一旦大きくなる期間があることが判る。これは、流体に生じるストレスオーバーシュートのために、粘度が一旦高くなり、その後、安定となるためである。また、ずり速度γが変化する場合には、そのたびに、ストレスオーバーシュートが生じ、その後、粘度が安定する。
しかるに、特許文献1に記載の手法では、正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)のせん断速度(ずり速度)γを変動させるので、得られる粘度には上述のストレスオーバーシュートの影響が含まれていることになる。従って、この手法では、正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)の分散状態を精度良く評価することはできない。
しかるに、特許文献1に記載の手法では、正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)のせん断速度(ずり速度)γを変動させるので、得られる粘度には上述のストレスオーバーシュートの影響が含まれていることになる。従って、この手法では、正極合剤ペースト(電池用活物質ペースト)の分散状態を精度良く評価することはできない。
これに対し、本発明者らの研究によれば、ペーストについて、定常流粘度測定による、ずり速度γ(s-1)における粘度の収束値η(Pa・s)と、動的粘弾性測定による、角周波数ω(rad/s)における複素粘度η*(Pa)との比R(=η/η*)の値は、ペースト内の活物質粒子、結着剤及び導電剤などの固形分の分散性との間に相関を有することが判ってきた。即ち、ずり速度γ及び角周波数ωが比較的小さいとき(例えば、ずり速度γがγ=0.02s-1程度、及び、角周波数ωがω=0.02rad/s程度のとき)の比Rが小さいほど、塗工時の寸法安定性が高く、ペーストの分散性が高いことが判ってきた。
さらに、具体的には、ずり速度γがγ=0.02s-1であり、角周波数ωがω=0.02rad/sであるときの比Rで評価すると、比RがR≦20であれば、ペースト内の活物質粒子、結着剤及び導電剤等の固形分の分散性が良好であると言えることが判ってきた。
一方、この比Rが20よりも大きいペーストは、分散性が低く、このペーストを用いて製造した電極板を電池に使用した場合、その電極板における充放電の電池反応にムラが生じがちになり、電池の充放電の繰り返しに伴って、その電極板の抵抗が増大してしまうことが判ってきた。
さらに、具体的には、ずり速度γがγ=0.02s-1であり、角周波数ωがω=0.02rad/sであるときの比Rで評価すると、比RがR≦20であれば、ペースト内の活物質粒子、結着剤及び導電剤等の固形分の分散性が良好であると言えることが判ってきた。
一方、この比Rが20よりも大きいペーストは、分散性が低く、このペーストを用いて製造した電極板を電池に使用した場合、その電極板における充放電の電池反応にムラが生じがちになり、電池の充放電の繰り返しに伴って、その電極板の抵抗が増大してしまうことが判ってきた。
本発明は、かかる知見を鑑みてなされたものであって、活物質粒子、結着剤及び導電剤を均一に分散させた電池用活物質ペーストを提供することを目的とする。さらに、電池用活物質ペーストの分散性評価方法、電池用活物質ペーストの分散性の管理方法、及び、電極板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、液状の分散媒と、上記分散媒中に分散して含まれる活物質粒子、結着剤及び導電剤と、を有する電池用活物質ペーストであって、上記電池用活物質ペーストについての、ずり速度γ(s-1)の定常流粘度測定における粘度の収束値をη(Pa・s)、角周波数ω(rad/s)の動的粘弾性測定における複素粘度をη*(Pa)としたとき、上記ずり速度γがγ=0.02s-1であり、上記角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の、上記粘度の収束値ηと上記複素粘度η*との比R(=η/η*)が、R≦20である物性を有する電池用活物質ペーストである。
上述の電池用活物質ペーストは、ずり速度γがγ=0.02s-1のときの粘度の収束値ηと、角周波数ωがω=0.02rad/sであるときの複素粘度η*との比Rが、R≦20となる物性を有する。そして、このようなペーストは、塗工時の寸法安定性が高く、また、活物質粒子、結着剤及び導電剤が分散媒に均一に分散したもの、即ち、分散性の良好なペーストと言うことができる。
また、このような物性を有するペーストを用いて形成した活物質層を有する電極板を電池に使用した場合には、この電池の充放電の繰り返しに伴う電極板の抵抗の増大を抑制することができる。
また、このような物性を有するペーストを用いて形成した活物質層を有する電極板を電池に使用した場合には、この電池の充放電の繰り返しに伴う電極板の抵抗の増大を抑制することができる。
なお、ペーストにおける比RをR≦20にする手法としては、例えば、活物質粒子、結着剤及び導電剤を、混練前に予め脱水(乾燥)したり、混練時に、活物質粒子、結着剤及び導電剤と共に、有機酸を添加したり、ペーストを製造する際の全ての材料、及び、設備内の湿度を5%以下に管理したり、混練時間を調整する手法が挙げられる。これらの手法によって、粘度ηを小さく、かつ、複素粘度η*を大きくすることができるため、比RをR≦20にすることができる。
さらに、上述の電池用活物質ペーストであって、前記活物質粒子は、Li1+α(NixCoyMn1-x-y-zMz)O2(但し、MはF,B,Al,W,Mo,Cr,Ta,Nb,V,Zr,Ti,Yの元素から1種類以上含み、0≦α≦1.2、x+y+z=1、0.3≦x≦1、0≦y≦0.5、かつ、0≦z≦0.2)からなる電池用活物質ペーストとすると良い。
Li1+α(NixCoyMn1-x-y-zMz)O2(但し、MはF,B,Al,W,Mo,Cr,Ta,Nb,V,Zr,Ti,Yの元素から1種類以上含み、0≦α≦1.2、x+y+z=1、0.3≦x≦1、0≦y≦0.5、かつ、0≦z≦0.2)からなる活物質粒子を用いたペーストでは、Ni、Co、Mn及びMに占めるNiの割合が大きいほど、つまりxの値が1に近づくほどアルカリ性が強くなる。このため、ペーストにおいて、活物質粒子、結着剤及び導電剤が凝集しがちになる。
これに対し、上述のペーストでは、活物質粒子として、x=0.3〜1のLi(NixCoyMn1-x-y-zMz)O2を用いながらも、ペーストの比Rが20以下としており、ペースト中に、活物質粒子、結着剤及び導電剤が均一に分散したものとなっている。
さらに、上述のいずれかの電池用活物質ペーストであって、前記結着剤は、分子量が10万以上のポリフッ化ビニリデンを含むポリマーからなり、前記活物質粒子、上記結着剤及び前記導電剤を合わせた固形分に占める上記結着剤の割合が1重量%以上である電池用活物質ペーストとすると良い。
分子量が10万以上のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むポリマーからなる結着剤は、分子量が10万以下のPVDFを含むポリマーからなる結着剤や、エマルジョンタイプの結着剤に比して、ペースト化し難い。これは、分子量が10万以上のPVDF分子の方が、分子の絡み合いによって粘度が増加したり、アルカリの影響によってゲル化しやすいためである。
また、活物質粒子、結着剤及び導電剤を合わせた固形分に占める結着剤の割合が1重量%以上であるものは、結着剤の割合が1重量%より小さいものに比して、ペースト化し難い。これは、結着剤の割合が1重量%以上のものでは、結着剤同士が絡み合いやすく、この絡み合いによりペーストの粘度が増加しやすいためである。
また、活物質粒子、結着剤及び導電剤を合わせた固形分に占める結着剤の割合が1重量%以上であるものは、結着剤の割合が1重量%より小さいものに比して、ペースト化し難い。これは、結着剤の割合が1重量%以上のものでは、結着剤同士が絡み合いやすく、この絡み合いによりペーストの粘度が増加しやすいためである。
これに対し、上述のペーストでは、分子量が10万以上のPVDFを含むポリマーからなり、固形分に占める結着剤の割合が1重量%以上でありながらも、そのペーストの比Rが20以下となっており、ペースト中に、活物質粒子、結着剤及び導電剤が均一に分散したものとなっている。
さらに、上述のいずれかの電池用活物質ペーストであって、前記導電剤は、かさ密度が0.2g/cc以下で、前記活物質粒子、前記結着剤及び上記導電剤を合わせた固形分に占める上記導電剤の割合が5重量%以上である電池用活物質ペーストとすると良い。
かさ密度が0.2g/cc以下の導電剤は、0.2g/ccより大きなかさ密度の導電剤に比して、ペースト化し難い。かさ密度の小さい導電剤は、比表面積が大きく、隣りあう複数の粒子の間に多くの空孔を形成する。溶媒に活物質粒子、導電剤及び結着剤を分散してペースト化する際、溶媒が、複数の導電剤間の空孔に入り込んでしまうため、活物質粒子及び結着剤が十分に分散できないと考えられる。
また、活物質粒子、結着剤及び導電剤を合わせた固形分に占める導電剤の割合が5重量%以上のものは、導電剤の割合が5重量%より小さいものに比して、ペースト化し難い。これは、導電剤の比表面積が活物質粒子及び結着剤に比して大きいので、その導電剤の割合が5重量%以上では、多くの溶媒がその導電剤の近傍に取り込まれる。このため、ペースト中を自由に流動できる溶媒が減少するので、粘度が増加しやすいからである。
また、活物質粒子、結着剤及び導電剤を合わせた固形分に占める導電剤の割合が5重量%以上のものは、導電剤の割合が5重量%より小さいものに比して、ペースト化し難い。これは、導電剤の比表面積が活物質粒子及び結着剤に比して大きいので、その導電剤の割合が5重量%以上では、多くの溶媒がその導電剤の近傍に取り込まれる。このため、ペースト中を自由に流動できる溶媒が減少するので、粘度が増加しやすいからである。
これに対し、上述のペーストでは、導電剤のかさ密度が0.2g/cc以下で、固形分に占める導電剤の割合が5重量%以上でありながらも、そのペーストの比Rが20以下となっており、ペースト中に、活物質粒子、結着剤及び導電剤が均一に分散したものとなっている。
なお、かさ密度とは、体積が既知の容器に粉体を充填して、その質量を測定し、測定した質量を体積(容器の体積のうち、粉体が充填されている体積)で割った値である。
或いは、本発明の他の態様は、液状の分散媒と、上記分散媒中に分散して含まれる活物質粒子、結着剤及び導電剤と、を有する電池用活物質ペーストについて、ずり速度γ(s-1)の定常流粘度測定における粘度の収束値をη(Pa・s)、角周波数ω(rad/s)の動的粘弾性測定における複素粘度をη*(Pa)としたとき、上記ずり速度γがγ=0.02s-1であり、上記角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の、上記粘度の収束値ηと上記複素粘度η*との比R(=η/η*)が、R≦20であるか否かにより、分散性を評価する電池用活物質ペーストの分散性評価方法である。
上述の電池用活物質ペーストの分散性評価方法では、ペーストの比RがR≦20であるか否かにより、ペーストの分散性を評価する。これにより、ストレスオーバーシュートの影響を受けることがなく、前述の特許文献1に記載の手法に比して、ペーストの分散性を適切に評価できる。
或いは、本発明の他の態様は、液状の分散媒と、上記分散媒中に分散して含まれる活物質粒子、結着剤及び導電剤と、を有する電池用活物質ペーストについて、ずり速度γ(s-1)の定常流粘度測定における粘度の収束値をη(Pa・s)、角周波数ω(rad/s)の動的粘弾性測定における複素粘度をη*(Pa)としたとき、上記ずり速度γがγ=0.02s-1であり、上記角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の、上記粘度の収束値ηと上記複素粘度η*との比R(=η/η*)を、R≦20の範囲内に管理する電池用活物質ペーストの分散性の管理方法である。
上述の電池用活物質ペーストの分散性の管理方法では、ペーストの比RをR≦20に管理する。これにより、ストレスオーバーシュートの影響を受けることがなく、ペーストの分散性を適切に管理できる。
或いは、本発明の他の態様は、集電板と、上記集電板上に配置された活物質層と、を備える電極板の製造方法であって、液状の分散媒と、上記分散媒中に分散して含まれる活物質粒子、結着剤及び導電剤と、を有する電池用活物質ペーストを上記集電板上に塗布する塗布工程であって、上記電池用活物質ペーストについての、ずり速度γ(s-1)の定常流粘度測定における粘度の収束値をη(Pa・s)、角周波数ω(rad/s)の動的粘弾性測定における複素粘度をη*(Pa)としたとき、上記電池用活物質ペーストを、上記ずり速度γがγ=0.02s-1であり、上記角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の、上記粘度の収束値ηと上記複素粘度η*との比R(=η/η*)が、R≦20に管理された状態で、塗布する塗布工程を備える電極板の製造方法である。
上述の電極板の製造方法は、ペーストを、粘度の収束値ηと複素粘度η*との比RがR≦20に管理された状態で、塗布する塗布工程を備える。これにより、活物質粒子、結着剤及び導電剤が均一に分散したペーストを確実に集電板上に塗布することができる。かくして、集電板上に活物質層がムラなく形成された電極板を製造できる。さらに、この電極板を電池に使用することで、繰り返し充放電に伴う電極板の抵抗増大を抑制した電池とすることができる。
(実施形態)
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、本実施形態にかかる電池用活物質ペースト(正極ペースト21P)を用いて製造された電極板(正電極板20)を備える電池1について、図2,3を参照しつつ説明する。
この電池1は、いずれも長手方向DAに延びる帯状の正電極板20、負電極板30及びセパレータ40を備え、これらを捲回した捲回型の電極体10をなすリチウムイオン二次電池である(図2参照)。なお、電池1は、図1に示すように、電極体10を電池ケース80に収容してなる。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、本実施形態にかかる電池用活物質ペースト(正極ペースト21P)を用いて製造された電極板(正電極板20)を備える電池1について、図2,3を参照しつつ説明する。
この電池1は、いずれも長手方向DAに延びる帯状の正電極板20、負電極板30及びセパレータ40を備え、これらを捲回した捲回型の電極体10をなすリチウムイオン二次電池である(図2参照)。なお、電池1は、図1に示すように、電極体10を電池ケース80に収容してなる。
この電池ケース80は、共にアルミニウム製の電池ケース本体81及び封口蓋82を有する。このうち電池ケース本体81は有底矩形箱形であり、この電池ケース80と電極体10との間には、樹脂からなり、箱状に折り曲げた絶縁フィルム(図示しない)が介在させてある。また、封口蓋82は矩形板状であり、電池ケース本体81の開口を閉塞して、この電池ケース本体81に溶接されている。この封口蓋82には、電極体10と接続している正極集電部材91及び負極集電部材92のうち、それぞれ先端に位置する正極端子部91A及び負極端子部92Aが貫通しており、図2中、上方に向く蓋表面82aから突出している。これら正極端子部91A及び負極端子部92Aと封口蓋82との間には、それぞれ絶縁性の樹脂からなる絶縁部材95が介在し、互いを絶縁している。さらに、この封口蓋82には矩形板状の安全弁97も封着されている。
また、電極体10は、帯状の正電極板20及び負電極板30が、帯状のセパレータ40を介して扁平形状に捲回されてなる捲回型である(図2参照)。この電極体10の最外側及び最内側には、セパレータ40のみが捲回されている。なお、この電極体10の正電極板20及び負電極板30はそれぞれ、クランク状に屈曲した板状の正極集電部材91又は負極集電部材92と接合している(図2参照)。このうち、ポリエチレンからなるセパレータ40には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合有機溶媒に溶質(LiPF6)を添加してなる電解液(図示しない)が含浸されている。
また、薄板形状の負電極板30は、帯状で銅製の負極集電箔(図示しない)と、この負極集電箔の両主面上に、それぞれ帯状に形成・配置された2つの負極活物質層(図示しない)とを有している。
このうち負極活物質層は、グラファイトからなる負極活物質粒子、PVDFからなる結着剤(いずれも図示しない)を含む。
このうち負極活物質層は、グラファイトからなる負極活物質粒子、PVDFからなる結着剤(いずれも図示しない)を含む。
一方、薄板形状の正電極板20は、図3に示すように、長手方向DAに延びる帯状でアルミニウム製の正極集電箔28と、この正極集電箔28の両主面28A,28B上に、それぞれ長手方向DAに帯状に形成・配置された2つの正極活物質層21,21とを有している。
このうち、正極活物質層21は、Li(Ni0.5Co0.2Mn0.3)O2からなる正極活物質粒子22、分子量が約50万のポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる結着剤23、及び、アセチレンブラックからなる導電剤24を含む。この正極活物質層21内における、これらの重量比は、正極活物質粒子22:結着剤23:導電剤24=85:3:12とした。また、正極活物質粒子22のTAP密度は1.5g/cc、導電剤24のかさ密度は0.2g/ccである。
なお、この正極活物質層21は、正極活物質粒子22と結着剤23と導電剤24と後述する分散媒26とを備える正極ペースト21P(後述)を乾燥してなる。
また、正極活物質層21のうちの正極活物質粒子22は、Li1+α(NixCoyMn1-x-y-zMz)O2で示すリチウム遷移金属複合酸化物において、αをα=0、xをx=0.5、yをy=0.2、かつ、zをz=0としてなる物質である。
このうち、正極活物質層21は、Li(Ni0.5Co0.2Mn0.3)O2からなる正極活物質粒子22、分子量が約50万のポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる結着剤23、及び、アセチレンブラックからなる導電剤24を含む。この正極活物質層21内における、これらの重量比は、正極活物質粒子22:結着剤23:導電剤24=85:3:12とした。また、正極活物質粒子22のTAP密度は1.5g/cc、導電剤24のかさ密度は0.2g/ccである。
なお、この正極活物質層21は、正極活物質粒子22と結着剤23と導電剤24と後述する分散媒26とを備える正極ペースト21P(後述)を乾燥してなる。
また、正極活物質層21のうちの正極活物質粒子22は、Li1+α(NixCoyMn1-x-y-zMz)O2で示すリチウム遷移金属複合酸化物において、αをα=0、xをx=0.5、yをy=0.2、かつ、zをz=0としてなる物質である。
次に、本実施形態にかかる正電極板20を用いた電池1の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
この製造方法には、正極ペースト21Pを正極集電箔28に塗布する塗布工程の他、正極ペースト21Pを形成するペースト形成工程、及び、塗布した正極ペースト21Pを乾燥させる乾燥工程が含まれる。
この製造方法には、正極ペースト21Pを正極集電箔28に塗布する塗布工程の他、正極ペースト21Pを形成するペースト形成工程、及び、塗布した正極ペースト21Pを乾燥させる乾燥工程が含まれる。
まず、ペースト形成工程について説明する。
このペースト形成工程では、具体的には、正極活物質粒子22を85重量部と、結着剤23を3重量部と、導電剤24を12重量部とを乾式混合した後、その混合物にn−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなる液状の分散媒26を25重量部加え、30分間混練した(1次混練)。
上述の1次混練の後、45重量部の分散媒26をさらに加えて、10分間混練した(2次混練)。
2次混練の後に、さらに、ホモディスパー(高速分散器)を用いて、30分間分散した(3次混練)。
以上により、分散媒26中に、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24を均一に分散させた正極ペースト21Pができあがる。なお、この正極ペースト21Pは、この正極ペースト21P全体に占める、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24を合わせた固形分の割合が52.6重量%で、密度が1.65g/ccである。また、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24を合わせた固形分に占める結着剤23の割合は3重量%で、その固形分に占める導電剤24の割合が12重量%である。
このペースト形成工程では、具体的には、正極活物質粒子22を85重量部と、結着剤23を3重量部と、導電剤24を12重量部とを乾式混合した後、その混合物にn−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなる液状の分散媒26を25重量部加え、30分間混練した(1次混練)。
上述の1次混練の後、45重量部の分散媒26をさらに加えて、10分間混練した(2次混練)。
2次混練の後に、さらに、ホモディスパー(高速分散器)を用いて、30分間分散した(3次混練)。
以上により、分散媒26中に、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24を均一に分散させた正極ペースト21Pができあがる。なお、この正極ペースト21Pは、この正極ペースト21P全体に占める、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24を合わせた固形分の割合が52.6重量%で、密度が1.65g/ccである。また、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24を合わせた固形分に占める結着剤23の割合は3重量%で、その固形分に占める導電剤24の割合が12重量%である。
上述のペースト形成工程でできた正極ペースト21Pについて、図5に概略図を示す回転レオメータVM(TA instruments社製ARシリーズ)を用いて、ずり速度γがγ=0.02s-1の定常流粘度測定、及び、角周波数ωがω=0.02rad/sの動的粘弾性測定をそれぞれ行った。なお、回転レオメータVMでは、軸芯AXを中心に回転可能な、片面が円錐形状のコーンプレートVMCと、軸芯AXに垂直な平面を持つ基盤VMBとを用いて測定を行った(図5参照)。
このような回転レオメータVMを用いた、ずり速度γがγ=0.02s-1の定常流粘度測定における粘度の収束値ηは1240Pa・s、一方、角周波数ωがω=0.02rad/sの動的粘弾性測定における複素粘度η*は230Paであった。従って、本実施形態の正極ペースト21Pにおける粘度の収束値ηと複素粘度η*との比Rは、R=5.39である。これはR≦20を満たす。
このような回転レオメータVMを用いた、ずり速度γがγ=0.02s-1の定常流粘度測定における粘度の収束値ηは1240Pa・s、一方、角周波数ωがω=0.02rad/sの動的粘弾性測定における複素粘度η*は230Paであった。従って、本実施形態の正極ペースト21Pにおける粘度の収束値ηと複素粘度η*との比Rは、R=5.39である。これはR≦20を満たす。
なお、上述のペースト形成工程でできた正極ペーストの比Rが、R≦20であるときには、その正極ペーストを混練して、比Rが上述の範囲となるように調整したり、その正極ペーストを廃棄するなどして、比Rが上記範囲外の正極ペーストを次述する塗布工程で用いないようにして、正極ペースト21Pの分散性の管理、及び、正電極板20の製造方法(次述する塗布工程)の管理を行う。
次に、図4に示す、塗布乾燥装置100を用いて、正極ペースト21Pを正極集電箔28に塗布する塗布工程、及び、塗布した正極ペースト21Pを乾燥させる乾燥工程について説明する。
この塗布乾燥装置100は、巻出し部101、フィルタ110、ダイ120、ヒータ130、巻取り部102、及び、複数の補助ローラ140,140を備えている。
この塗布乾燥装置100は、巻出し部101、フィルタ110、ダイ120、ヒータ130、巻取り部102、及び、複数の補助ローラ140,140を備えている。
このうち、フィルタ110は、孔を複数有するメッシュ形状をなしており、正極ペースト21P内に存在する、孔よりも大きな凝集物を除去する。
また、ダイ120は、フィルタ110を通過した正極ペースト21Pを内部に貯留するペースト保持部121と、このペースト保持部121に保持した正極ペースト21Pを正極集電箔28に向かって連続的に吐出する吐出口122とを有する。
この吐出口122は、スリット状で、長手方向DAに移動する正極集電箔28の主面28A上に、帯状に正極ペースト21Pを吐出するべく、正極集電箔28の幅方向(図4中、奥行き方向)に平行に開口している。
また、ダイ120は、フィルタ110を通過した正極ペースト21Pを内部に貯留するペースト保持部121と、このペースト保持部121に保持した正極ペースト21Pを正極集電箔28に向かって連続的に吐出する吐出口122とを有する。
この吐出口122は、スリット状で、長手方向DAに移動する正極集電箔28の主面28A上に、帯状に正極ペースト21Pを吐出するべく、正極集電箔28の幅方向(図4中、奥行き方向)に平行に開口している。
また、ヒータ130は、正極集電箔28、及び、この正極集電箔28に塗布された正極ペースト21Pを加熱する。これにより、2つのヒータ130,130の間を移動している間に、正極ペースト21Pの乾燥が徐々に進み、ヒータ130を通過し終えたときには、正極ペースト21Pは全乾燥、即ち、正極ペースト21P内の分散媒26が全て蒸発している。
次いで、塗布工程及び乾燥工程について説明する。
まず、巻出し部101にセットされたロール状の正極集電箔28を、長手方向DAに引き出す。そして、ダイ120を用いて、この正極集電箔28の主面28Aに、正極ペースト21Pを塗布する(図4参照)。
その後、この正極ペースト21Pをヒータ130で乾燥させ未圧縮活物質層21Bとした。そして、この未圧縮活物質層21Bを片側の主面28A上に担持した片面担持集電箔28Kを、一旦巻取り部102に巻き取る。
まず、巻出し部101にセットされたロール状の正極集電箔28を、長手方向DAに引き出す。そして、ダイ120を用いて、この正極集電箔28の主面28Aに、正極ペースト21Pを塗布する(図4参照)。
その後、この正極ペースト21Pをヒータ130で乾燥させ未圧縮活物質層21Bとした。そして、この未圧縮活物質層21Bを片側の主面28A上に担持した片面担持集電箔28Kを、一旦巻取り部102に巻き取る。
なお、未圧縮活物質層21Bにおけるムラの発生の有無について、目視で判定した。具体的には、未圧縮活物質層21Bの表面にスジ(正極集電箔28の搬送方向(長手方向DA)に伸びる、厚みの不均一な凸凹形状)が生じたか否かを判定した。
ペーストの分散性が高く、ペースト内で活物質粒子、結着剤及び導電剤は凝集していない場合には、未圧縮活物質層の表面は滑らかでスジは生じない。逆に、その分散性が低く、ペースト内には活物質粒子等が凝集した凝集物が存在していると、ペーストが不均質となって、ダイの先端と正極集電箔28との間にその凝集物が挟まるなど、塗布条件の局所的な不均一により、未圧縮活物質層の表面にスジが生じるものと考えられる。
これに対し、目視による判定の結果、正極ペースト21Pを塗布した未圧縮活物質層21Bには、スジが存在せず、ムラの発生は無いことが判った。つまり、比Rを5.39とした正極ペースト21Pは、分散性が高いことが判る。
ペーストの分散性が高く、ペースト内で活物質粒子、結着剤及び導電剤は凝集していない場合には、未圧縮活物質層の表面は滑らかでスジは生じない。逆に、その分散性が低く、ペースト内には活物質粒子等が凝集した凝集物が存在していると、ペーストが不均質となって、ダイの先端と正極集電箔28との間にその凝集物が挟まるなど、塗布条件の局所的な不均一により、未圧縮活物質層の表面にスジが生じるものと考えられる。
これに対し、目視による判定の結果、正極ペースト21Pを塗布した未圧縮活物質層21Bには、スジが存在せず、ムラの発生は無いことが判った。つまり、比Rを5.39とした正極ペースト21Pは、分散性が高いことが判る。
次いで、塗布乾燥装置100を再度用いて、上述の片面担持銅箔28K(正極集電箔28)の、未圧縮活物質層21Bを担持していない側の主面28B(主面28Aと逆側の面)に、正極ペースト21Pを塗布する。そして、この正極ペースト21Pをヒータ130で全乾燥させる。かくして、正極集電箔28の両主面28A,28B上に未圧縮活物質層21B,21Bをそれぞれ積層配置した、プレス前の正極活物質積層板20Bが作製される。
その後、図示しないロールプレスで、未圧縮活物質層21Bを正極集電箔28と共に、その厚み方向にプレスし、正電極板20を作製した(図3参照)。
その後、図示しないロールプレスで、未圧縮活物質層21Bを正極集電箔28と共に、その厚み方向にプレスし、正電極板20を作製した(図3参照)。
一方、グラファイトからなる負極活物質粒子、及び、PVDFからなる結着剤を、有機溶媒中にそれぞれ投入し混練してできた負極ペースト(図示しない)を、長手方向DAに延びる帯状の負極集電箔(図示しない)に塗布した。塗布後、負極集電箔上の負極ペーストを乾燥させた。負極集電箔の裏側についても、同様に負極ペーストを塗布し、乾燥させた。その後、図示しないロールプレスで、負極集電箔の両主面上で乾燥させた負極ペーストを厚み方向に圧縮して負電極板30を作製した。
上述のように作製した正電極板20と負電極板30との間に、セパレータ40を介在させて捲回し、電極体10とする。さらに、正電極板20(正極集電箔28)及び負電極板30(負極集電箔)にそれぞれ正極集電部材91及び負極集電部材92を溶接し、電池ケース本体81に挿入し、図示しない電解液を注入後、封口蓋82で電池ケース本体81を溶接で封口する。かくして、電池1が完成する(図2参照)。
ところで、本発明者らは、上述した電池1の特性(電池抵抗)について評価すべく、電池1と同様の正極活物質層、負極活物質層、セパレータ及び電解液を用いた試料電池T1を用意した。
まず、試料電池T1のうち、製造して間もない新品(初期)の電池について試験を行った。具体的には、電池抵抗の評価試験では、1Cの電流値で、端子間電圧が3.7V(充電状態(SOC)60%に相当(2.5〜4.1Vの電圧範囲における電池容量を100%としたとき))になるまで充電し、その後、その電圧を一定に保ちつつ電流値を1Cから0.02Cまで徐々に小さくしながら充電を行った(定電圧充電)。10秒間の休止の後、0.3Cの電流値で定電流放電し、放電開始後10秒目の電圧の値を測定した。
その後、同様にして、SOCが60%における、1C及び3Cでの定電流放電をそれぞれ行い、放電開始後10秒目の各電圧の値を測定した。そして、これら各電流値と各電圧の値からこの時点での電池抵抗値を算出した。
まず、試料電池T1のうち、製造して間もない新品(初期)の電池について試験を行った。具体的には、電池抵抗の評価試験では、1Cの電流値で、端子間電圧が3.7V(充電状態(SOC)60%に相当(2.5〜4.1Vの電圧範囲における電池容量を100%としたとき))になるまで充電し、その後、その電圧を一定に保ちつつ電流値を1Cから0.02Cまで徐々に小さくしながら充電を行った(定電圧充電)。10秒間の休止の後、0.3Cの電流値で定電流放電し、放電開始後10秒目の電圧の値を測定した。
その後、同様にして、SOCが60%における、1C及び3Cでの定電流放電をそれぞれ行い、放電開始後10秒目の各電圧の値を測定した。そして、これら各電流値と各電圧の値からこの時点での電池抵抗値を算出した。
上述の評価試験を行った試料電池T1について、10秒間、20Cでの定電流放電と、50秒間、4Cでの定電流充電とを繰り返すサイクル試験を実施した。具体的には、上述の放電と充電とを1サイクルとして、5000サイクルを連続して繰り返した。
その後、上述のサイクル試験を施した試料電池T1の電池抵抗値を、前述と同様にして測定した。そして、サイクル試験前後における試料電池T1の電池抵抗変化率を算出した。この電池抵抗変化率は、サイクル試験後の電池抵抗値を、サイクル試験前の、新品(初期)時の電池抵抗値で割ったものである。
その後、上述のサイクル試験を施した試料電池T1の電池抵抗値を、前述と同様にして測定した。そして、サイクル試験前後における試料電池T1の電池抵抗変化率を算出した。この電池抵抗変化率は、サイクル試験後の電池抵抗値を、サイクル試験前の、新品(初期)時の電池抵抗値で割ったものである。
また、上述の試料電池T1の他に、実施例である試料電池T2,T3,T4、及び、比較例である比較電池C1,C2を用意し、これらの特性(電池抵抗)についての評価試験を、試料電池T1と同様に行った。
このうち、試料電池T2に用いた試料ペーストT2Pは、ペースト形成工程における、1次混練で、20重量部の分散媒26を加え、40分間混練し、2次混練で、50重量部の分散媒26を加え、10分間混練した点で、試料電池T1に用いた正極ペースト21Pと異なる(つまり、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24を合わせた固形分に占める結着剤23及び導電剤24の各割合はそれぞれ3重量%及び12重量%であり、正極ペースト21Pと同様である)。
この試料ペーストT2Pの粘度の収束値ηは8500Pa・s、複素粘度η*は955Paであった。このことから、この試料ペーストT2Pにおける粘度の収束値ηと複素粘度η*との比Rは、R=8.90である。
また、試料電池T2を製造する際、未圧縮活物質層におけるムラの発生の有無について、電池1(試料電池T1)と同様にして、目視で判定したところ、この未圧縮活物質層には、スジが存在せず、ムラの発生は無いことが判った。つまり、比Rが8.90の試料ペーストT2Pは、良好な分散性を有していた。
このうち、試料電池T2に用いた試料ペーストT2Pは、ペースト形成工程における、1次混練で、20重量部の分散媒26を加え、40分間混練し、2次混練で、50重量部の分散媒26を加え、10分間混練した点で、試料電池T1に用いた正極ペースト21Pと異なる(つまり、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24を合わせた固形分に占める結着剤23及び導電剤24の各割合はそれぞれ3重量%及び12重量%であり、正極ペースト21Pと同様である)。
この試料ペーストT2Pの粘度の収束値ηは8500Pa・s、複素粘度η*は955Paであった。このことから、この試料ペーストT2Pにおける粘度の収束値ηと複素粘度η*との比Rは、R=8.90である。
また、試料電池T2を製造する際、未圧縮活物質層におけるムラの発生の有無について、電池1(試料電池T1)と同様にして、目視で判定したところ、この未圧縮活物質層には、スジが存在せず、ムラの発生は無いことが判った。つまり、比Rが8.90の試料ペーストT2Pは、良好な分散性を有していた。
また、試料電池T3に用いた試料ペーストT3Pは、正電極板を製造する際のペースト形成工程における、1次混練で、20重量部の分散媒26を加え、30分間混練し、2次混練で、45重量部の分散媒26を加え、10分間混練した点で、正極ペースト21Pと異なる(つまり、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24を合わせた固形分に占める結着剤23及び導電剤24の各割合はそれぞれ3重量%及び12重量%であり、正極ペースト21Pと同様である)。
この試料ペーストT3Pの粘度の収束値ηは15400Pa・s、複素粘度η*は850Paであった。このことから、この試料ペーストT3Pにおける粘度の収束値ηと複素粘度η*との比Rは、R=18.12である。
また、試料電池T3を製造する際、未圧縮活物質層におけるムラの発生の有無について目視で判定したところ、この未圧縮活物質層には、スジが存在せず、ムラの発生は無いことが判った。つまり、比Rが18.12の試料ペーストT3Pは、良好な分散性を有していた。
この試料ペーストT3Pの粘度の収束値ηは15400Pa・s、複素粘度η*は850Paであった。このことから、この試料ペーストT3Pにおける粘度の収束値ηと複素粘度η*との比Rは、R=18.12である。
また、試料電池T3を製造する際、未圧縮活物質層におけるムラの発生の有無について目視で判定したところ、この未圧縮活物質層には、スジが存在せず、ムラの発生は無いことが判った。つまり、比Rが18.12の試料ペーストT3Pは、良好な分散性を有していた。
また、試料電池T4に用いた試料ペーストT4Pは、正電極板を製造する際のペースト形成工程における、1次混練で、23重量部の分散媒26を加え、20分間混練し、2次混練で、50重量部の分散媒26を加え、30分間混練した点で、正極ペースト21Pと異なる(つまり、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24を合わせた固形分に占める結着剤23及び導電剤24の各割合はそれぞれ3重量%及び12重量%であり、正極ペースト21Pと同様である)。
この試料ペーストT4Pの粘度の収束値ηは12500Pa・s、複素粘度η*は1230Paであった。このことから、この試料ペーストT4Pにおける粘度の収束値ηと複素粘度η*との比Rは、R=10.16である。
また、試料電池T4を製造する際、未圧縮活物質層におけるムラの発生の有無について目視で判定したところ、この未圧縮活物質層には、スジが存在せず、ムラの発生は無いことが判った。つまり、比Rが10.16の試料ペーストT4Pは、良好な分散性を有していた。
この試料ペーストT4Pの粘度の収束値ηは12500Pa・s、複素粘度η*は1230Paであった。このことから、この試料ペーストT4Pにおける粘度の収束値ηと複素粘度η*との比Rは、R=10.16である。
また、試料電池T4を製造する際、未圧縮活物質層におけるムラの発生の有無について目視で判定したところ、この未圧縮活物質層には、スジが存在せず、ムラの発生は無いことが判った。つまり、比Rが10.16の試料ペーストT4Pは、良好な分散性を有していた。
一方、比較電池C1に用いた比較ペーストC1Pは、正電極板を製造する際のペースト形成工程における、1次混練で、30重量部の分散媒26を加え、30分間混練し、2次混練で、50重量部の分散媒26を加え、10分間混練した点で、正極ペースト21Pと異なる。この比較ペーストC1Pの粘度の収束値ηは95500Pa・s、複素粘度η*は3500Paであった。このことから、この比較ペーストC1Pにおける粘度の収束値ηと複素粘度η*との比Rは、R=27.29である。
また、比較電池C1を製造する際、未圧縮活物質層におけるムラの発生の有無について目視で判定したところ、この未圧縮活物質層には、スジが発生しており、ムラが生じていることが判った。これから、比Rが27.29の比較ペーストC1Pは、分散性が低いと考えられる。
また、比較電池C1を製造する際、未圧縮活物質層におけるムラの発生の有無について目視で判定したところ、この未圧縮活物質層には、スジが発生しており、ムラが生じていることが判った。これから、比Rが27.29の比較ペーストC1Pは、分散性が低いと考えられる。
また、比較電池C2に用いた比較ペーストC2Pは、正電極板を製造する際のペースト形成工程における、1次混練で、15重量部の分散媒26を加え、30分間混練し、2次混練で、55重量部の分散媒26を加え、10分間混練した点で、正極ペースト21Pと異なる。この比較ペーストC2Pの粘度の収束値ηは3500Pa・s、複素粘度η*は120Paであった。このことから、この比較ペーストC2Pにおける粘度の収束値ηと複素粘度η*との比Rは、R=29.17である。
また、比較電池C2を製造する際、未圧縮活物質層におけるムラの発生の有無について目視で判定したところ、この未圧縮活物質層には、スジが発生しており、ムラが生じていることが判った。これから、比Rが29.17の比較ペーストC2Pは、分散性が低いと考えられる。
これら試料電池T1〜T4及び比較電池C1,C2の評価試験の結果を図6に示す。
また、比較電池C2を製造する際、未圧縮活物質層におけるムラの発生の有無について目視で判定したところ、この未圧縮活物質層には、スジが発生しており、ムラが生じていることが判った。これから、比Rが29.17の比較ペーストC2Pは、分散性が低いと考えられる。
これら試料電池T1〜T4及び比較電池C1,C2の評価試験の結果を図6に示す。
図6のグラフは、各ペースト(正極ペースト21P、試料ペーストT2P,T3P,T4P及び比較ペーストC1P,C2P)における比Rと、そのペーストを用いた各電池(試料電池T1,T2,T3,T4及び比較電池C1,C2)の電池抵抗変化率との関係を示す。なお、グラフ中の曲線は、各ペーストの比Rと各電池の電池抵抗変化率との関係に適合した近似曲線である。
このグラフから、比Rが大きくなると共に、電池の電池抵抗変化率が指数関数的に大きくなっていることが判る。つまり、比Rが20までは、電池抵抗変化率が比較的小さい値(1.0〜1.1程度)で推移しているのに対し、比Rが20を超えると、電池抵抗変化率が著しく大きくなっていることが判る。
このグラフから、比Rが大きくなると共に、電池の電池抵抗変化率が指数関数的に大きくなっていることが判る。つまり、比Rが20までは、電池抵抗変化率が比較的小さい値(1.0〜1.1程度)で推移しているのに対し、比Rが20を超えると、電池抵抗変化率が著しく大きくなっていることが判る。
なお、電池を製造する際に行った、未圧縮活物質層におけるムラの発生の有無についての判定結果を考慮すると、比Rが20以下の、正極ペースト21P及び試料ペーストT2P,T3P,T4Pを用いた未圧縮活物質層では、ムラがなく、かつ、それら正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pを用いた試料電池T1〜T4の電池抵抗変化率は比較的小さい。このことから、比Rが、R≦20のペースト(例えば、正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4P)は、その分散性が高いため、集電箔上に形成された活物質層にムラがなく、このために電池に充放電を繰り返しても、その電池の電極板では抵抗が増大し難いと言える。
逆に、比Rが20を超えたペースト(例えば、比較ペーストC1P,C2P)を用いた未圧縮活物質層ではムラが生じ、かつ、これを用いた電池の電池抵抗変化率が、比Rが20以下のペーストを用いた場合に比して著しく大きくなる。このことから、比Rが20を超えるペーストでは分散性が低いため、集電箔に形成された活物質層にムラが生じてしまい、その結果、電池に充放電を繰り返すと、その電池の電極板では抵抗が増大してしまうと考えられる。
以上により、ずり速度γがγ=0.02s-1であり、角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の比Rを評価することにより、ペーストの分散性を評価できる。具体的には、比RがR≦20であるペーストの分散性は良好である一方、比RがR>20であるペーストの分散性は低いことが判る。
逆に、比Rが20を超えたペースト(例えば、比較ペーストC1P,C2P)を用いた未圧縮活物質層ではムラが生じ、かつ、これを用いた電池の電池抵抗変化率が、比Rが20以下のペーストを用いた場合に比して著しく大きくなる。このことから、比Rが20を超えるペーストでは分散性が低いため、集電箔に形成された活物質層にムラが生じてしまい、その結果、電池に充放電を繰り返すと、その電池の電極板では抵抗が増大してしまうと考えられる。
以上により、ずり速度γがγ=0.02s-1であり、角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の比Rを評価することにより、ペーストの分散性を評価できる。具体的には、比RがR≦20であるペーストの分散性は良好である一方、比RがR>20であるペーストの分散性は低いことが判る。
本実施形態の正極ペースト21P、及び、試料ペーストT2P,T3P,T4Pは、ずり速度γがγ=0.02s-1のときの粘度の収束値ηと、角周波数ωがω=0.02rad/sであるときの複素粘度η*との比Rが、R≦20となる物性を有する。そして、このような正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pは、塗工時の寸法安定性が高く、また、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24が分散媒26に均一に分散したもの、即ち、分散性の良好な正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pと言うことができる。
また、このような物性を有する正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pを用いて形成した正極活物質層を有する正電極板を電池1(試料電池T1)及び試料電池T2,T3,T4に使用した場合には、これら電池1(試料電池T1)及び試料電池T2〜T4の充放電の繰り返しに伴う正電極板の抵抗の増大を抑制することができる。
また、このような物性を有する正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pを用いて形成した正極活物質層を有する正電極板を電池1(試料電池T1)及び試料電池T2,T3,T4に使用した場合には、これら電池1(試料電池T1)及び試料電池T2〜T4の充放電の繰り返しに伴う正電極板の抵抗の増大を抑制することができる。
また、Li(Ni0.5Co0.2Mn0.3)O2からなる正極活物質粒子22を用いた正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pでは、Ni、Co及びMnに占めるNiの割合が大きいほど、つまりxの値が1に近づくほどアルカリ性が強くなる。このため、正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pにおいて、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24が凝集しがちになる。
これに対し、正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pでは、正極活物質粒子22として、x=0.3〜1の範囲内のx=0.5のLi(Ni0.5Co0.2Mn0.3)O2を用いながらも、正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pの比Rが20以下としている。従って、正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4P中に、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24が均一に分散したものとなっている。
また、正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pでは、分子量が10万以上の範囲に入る約50万のPVDFからなり、固形分に占める結着剤23の割合を1重量%以上の3重量%としながらも、その正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pの比Rが20以下となっいる。従って、正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4P中に、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24が均一に分散したものとなっている。
また、正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pでは、導電剤24のかさ密度が0.2g/cc以下の範囲に入る0.2g/ccで、固形分に占める導電剤24の割合を5重量%以上の範囲に入る12重量%としながらも、その正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4Pの比Rが20以下となっている。従って、正極ペースト21P及び試料ペーストT2P〜T4P中に、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24が均一に分散したものとなっている。
また、正極ペースト21Pの分散性評価方法として、比RがR≦20であるか否かにより分散性を評価した。これにより、ストレスオーバーシュートの影響を受けることなく、正極ペースト21Pの分散性を適切に評価できる。
また、前述の通り、本実施形態にかかる電池1における、正電極板20の製造方法では、正極ペースト21Pの分散性の管理を、正極ペースト21Pにおける比RをR≦20に管理することで行っている。これにより、ストレスオーバーシュートの影響を受けることなく、正極ペースト21Pの分散性を適切に管理できる。
また、本実施形態にかかる電池1における、正電極板20の製造方法では、正極ペースト21Pの比RがR≦20に管理された状態で、正極ペースト21Pを塗布する塗布工程を備える。これにより、正極活物質粒子22、結着剤23及び導電剤24が均一に分散した正極ペースト21Pを確実に正極集電箔28上に塗布することができる。かくして、正極集電箔28上に正極活物質層21がムラなく形成された正電極板20を製造できる。さらに、この正電極板20を電池1に使用することで、繰り返し充放電に伴う正電極板20の抵抗増大を抑制した電池1とすることができる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態では、製造方法のうちの確認工程において、コーンプレートを有する回転レオメータを用いて、粘度の収束値η及び複素粘度η*を取得したが、例えば、それに代えて、パラレルプレートや共軸二重円筒のジオメトリを有する回転レオメータを用いて取得することができる。また、実施形態では、混練時間を調整する手法を用いてペーストの比RをR≦20にしたが、例えば、活物質粒子、結着剤及び導電剤を、混練前に予め脱水(乾燥)したり、混練時に、活物質粒子、結着剤及び導電剤と共に、有機酸を添加したり、ペーストを製造する際の全ての材料、及び、設備内の湿度を5%以下に管理する手法が挙げられる。
また、実施形態では、正極活物質粒子に、Li(Ni0.5Co0.2Mn0.3)O2、即ち、Li1+α(NixCoyMn1-x-y-zMz)O2で示すリチウム遷移金属複合酸化物において、αをα=0、xをx=0.5、yをy=0.2、かつ、zをz=0としてなる物質を用いた。しかし、例えば、Li1+α(NixCoyMn1-x-y-zMz)O2で示すリチウム遷移金属複合酸化物において、αを0≦α≦1.2、xを0.3≦x≦1、yを0≦y≦0.5、zを0より大きく0.2以下、x+y+z=1、かつ、MをF,B,Al,W,Mo,Cr,Ta,Nb,V,Zr,Ti,Yの元素から1種類以上含むとしても良い。
例えば、実施形態では、製造方法のうちの確認工程において、コーンプレートを有する回転レオメータを用いて、粘度の収束値η及び複素粘度η*を取得したが、例えば、それに代えて、パラレルプレートや共軸二重円筒のジオメトリを有する回転レオメータを用いて取得することができる。また、実施形態では、混練時間を調整する手法を用いてペーストの比RをR≦20にしたが、例えば、活物質粒子、結着剤及び導電剤を、混練前に予め脱水(乾燥)したり、混練時に、活物質粒子、結着剤及び導電剤と共に、有機酸を添加したり、ペーストを製造する際の全ての材料、及び、設備内の湿度を5%以下に管理する手法が挙げられる。
また、実施形態では、正極活物質粒子に、Li(Ni0.5Co0.2Mn0.3)O2、即ち、Li1+α(NixCoyMn1-x-y-zMz)O2で示すリチウム遷移金属複合酸化物において、αをα=0、xをx=0.5、yをy=0.2、かつ、zをz=0としてなる物質を用いた。しかし、例えば、Li1+α(NixCoyMn1-x-y-zMz)O2で示すリチウム遷移金属複合酸化物において、αを0≦α≦1.2、xを0.3≦x≦1、yを0≦y≦0.5、zを0より大きく0.2以下、x+y+z=1、かつ、MをF,B,Al,W,Mo,Cr,Ta,Nb,V,Zr,Ti,Yの元素から1種類以上含むとしても良い。
20 正電極板(電極板)
21 正極活物質層(活物質層)
21P 正極ペースト(電池用活物質ペースト)
22 正極活物質粒子(活物質粒子)
23 結着剤
24 導電剤
26 分散媒
28 正極集電箔(集電板)
21 正極活物質層(活物質層)
21P 正極ペースト(電池用活物質ペースト)
22 正極活物質粒子(活物質粒子)
23 結着剤
24 導電剤
26 分散媒
28 正極集電箔(集電板)
Claims (7)
- 液状の分散媒と、上記分散媒中に分散して含まれる活物質粒子、結着剤及び導電剤と、を有する
電池用活物質ペーストであって、
上記電池用活物質ペーストについての、ずり速度γ(s-1)の定常流粘度測定における粘度の収束値をη(Pa・s)、角周波数ω(rad/s)の動的粘弾性測定における複素粘度をη*(Pa)としたとき、
上記ずり速度γがγ=0.02s-1であり、上記角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の、上記粘度の収束値ηと上記複素粘度η*との比R(=η/η*)が、R≦20である物性を有する
電池用活物質ペースト。 - 請求項1に記載の電池用活物質ペーストであって、
前記活物質粒子は、
Li1+α(NixCoyMn1-x-y-zMz)O2(但し、MはF,B,Al,W,Mo,Cr,Ta,Nb,V,Zr,Ti,Yの元素から1種類以上含み、0≦α≦1.2、x+y+z=1、0.3≦x≦1、0≦y≦0.5、かつ、0≦z≦0.2)からなる
電池用活物質ペースト。 - 請求項1または請求項2に記載の電池用活物質ペーストであって、
前記結着剤は、
分子量が10万以上のポリフッ化ビニリデンを含むポリマーからなり、
前記活物質粒子、上記結着剤及び前記導電剤を合わせた固形分に占める上記結着剤の割合が1重量%以上である
電池用活物質ペースト。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電池用活物質ペーストであって、
前記導電剤は、
かさ密度が0.2g/cc以下で、
前記活物質粒子、前記結着剤及び上記導電剤を合わせた固形分に占める上記導電剤の割合が5重量%以上である
電池用活物質ペースト。 - 液状の分散媒と、上記分散媒中に分散して含まれる活物質粒子、結着剤及び導電剤と、を有する
電池用活物質ペーストについて、
ずり速度γ(s-1)の定常流粘度測定における粘度の収束値をη(Pa・s)、角周波数ω(rad/s)の動的粘弾性測定における複素粘度をη*(Pa)としたとき、
上記ずり速度γがγ=0.02s-1であり、上記角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の、上記粘度の収束値ηと上記複素粘度η*との比R(=η/η*)が、R≦20であるか否かにより、分散性を評価する
電池用活物質ペーストの分散性評価方法。 - 液状の分散媒と、上記分散媒中に分散して含まれる活物質粒子、結着剤及び導電剤と、を有する
電池用活物質ペーストについて、
ずり速度γ(s-1)の定常流粘度測定における粘度の収束値をη(Pa・s)、角周波数ω(rad/s)の動的粘弾性測定における複素粘度をη*(Pa)としたとき、
上記ずり速度γがγ=0.02s-1であり、上記角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の、上記粘度の収束値ηと上記複素粘度η*との比R(=η/η*)を、R≦20の範囲内に管理する
電池用活物質ペーストの分散性の管理方法。 - 集電板と、上記集電板上に配置された活物質層と、を備える
電極板の製造方法であって、
液状の分散媒と、上記分散媒中に分散して含まれる活物質粒子、結着剤及び導電剤と、を有する電池用活物質ペーストを上記集電板上に塗布する塗布工程であって、
上記電池用活物質ペーストについての、ずり速度γ(s-1)の定常流粘度測定における粘度の収束値をη(Pa・s)、角周波数ω(rad/s)の動的粘弾性測定における複素粘度をη*(Pa)としたとき、
上記電池用活物質ペーストを、上記ずり速度γがγ=0.02s-1であり、上記角周波数ωがω=0.02rad/sである場合の、上記粘度の収束値ηと上記複素粘度η*との比R(=η/η*)が、R≦20に管理された状態で、塗布する塗布工程を備える
電極板の製造方法。
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-
2010
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