JP2012056311A - ガスバリア性フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高分子フィルム基材の片面または両面に、XPS法により測定される膜表層のO/AL比が1.7〜2.3の範囲であって、GIXR法により測定される膜密度が2.5g/cm3〜2.8g/cm3の範囲である酸化アルミニウム層を有し、さらに前記酸化アルミニウムの上にシラン化合物を含む有機化合物層が順次積層されていることを特徴とするガスバリア性フィルム。
【選択図】図1
Description
(1)高分子フィルム基材の片面または両面に、X線光電子分光法(XPS法)により測定される膜表層のO/AL比が1.7〜2.3の範囲であって、X線反射測定法(GIXR法)により測定される膜密度が2.5g/cm3〜2.8g/cm3の範囲である酸化アルミニウム層を有し、さらに該酸化アルミニウム層の前記高分子フィルム基材と反対の面の上にシラン化合物を含む有機化合物層が配置されていることを特徴とするガスバリア性フィルム。
(2)前記酸化アルミニウム層において、蛍光X線分析により測定されるアルミニウム原子のX線強度が0.8kcps〜8kcpsの範囲である前記(1)記載のガスバリア性フィルム。
(3)前記シラン化合物が、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3−アミノプロピルトリエトキシシランの加水分解物またはその反応物である前記(1)または(2)に記載のガスバリア性フィルム。
(4)前記有機化合物層は、アクリロニトリル(単量体1)と、水酸基を有する非芳香族不飽和化合物(単量体2)と、不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びエポキシアクリレートからなる群から選択される1つ以上の不飽和化合物(単量体3)との少なくとも3成分を単量体とするアクリル系共重合体とイソシアネート化合物と前記シラン化合物との混合物を前記酸化アルミニウム層上で加熱することにより形成したものである前記(1)〜(3)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
(5)前記単量体2が、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである前記(4)に記載のガスバリア性フィルム。
(6)前記単量体3がメチルメタクリレートである、前記(4)または(5)に記載のガスバリア性フィルム。
(7)前記有機化合物層は、2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物またはその反応物を含む前記(1)〜(6)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
(8)前記2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物またはその反応物が四塩基酸無水物またはその反応物である前記(4)〜(7)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
である。
酸素透過率は、温度23℃、湿度0%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(機種名、オキシトラン(登録商標)(OXTRAN 2/20))を使用して、JIS K7126(2000年版)に記載のB法(等圧法)に基づいて測定した。また、測定は各実施例・比較例について2枚の試験片について2回ずつ行い、合計4つの測定値の平均値を各実施例、比較例における酸素透過率の値とした。
水蒸気透過率は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(機種名、パ−マトラン(登録商標)W3/31)を使用してJIS K7129(2000年版)に記載のB法(赤外センサー法)に基づいて測定した。また、測定は各実施例・比較例について2枚の試験片について2回ずつ行い、合計4つの測定値の平均値を各実施例、比較例における水蒸気透過率の値とした。
密着強度は、引っ張り試験機((株)オリエンテック製テンシロンPTM−50)を使用して評価した。実施例および比較例で作製した積層フィルムから、幅15mm、長さ100mmの短冊を切り出して評価サンプルとした。後述する実施例および比較例で作製した積層フィルム(構成:ガスバリア性フィルム/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム)のガスバリア性フィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムの間を長さ30mm分だけ剥がし、剥がした評価サンプルのガスバリア性フィルム側を引っ張り試験機の一方のフィルムチャックで固定し、さらに剥がしたもう一方側の無延伸ポリプロピレンフィルムを他方のチャックで固定し、引っ張り試験機を用いて、速度300mm/分、T型剥離(剥離界面角度90°)で引っ張り、ガスバリア性フィルムと無延伸ポリプロピレンフィルム間の密着強度を長さ40mm分測定した。この時の測定値としては長さ40mm分の測定値の平均値とした。各実施例、比較例において、5枚の評価サンプルを上記方法で評価し、その平均値を密着強度とした。
実施例および比較例で作製した積層フィルム(15cm角)をそれぞれ2枚準備した。2枚の積層フィルムをシーラントフィルム面が面するようにして重ね、ヒートシーラーを用いて3辺の端部をシール巾1cmにて熱シールした。次いで、内容物として水道水100gを入れ、残りの1辺の端部を熱シールして15cm角のパッケージを作製した。各実施例、比較例について1つのパッケージを準備した。次にそのパッケージを、株式会社トミー精工製オートクレープSR−240を用いてレトルト処理(120℃、30分間)した。処理後、パッケージを切断して水道水を抜き、シール部以外の部分から、幅15mm、長さ100mmの短冊を切り出して評価サンプルとし、剥がしたガスバリア性フィルム側と剥がしたもう一方側の無延伸ポリプロピレンフィルムとの間の密着強度の測定を(3)項に記載の方法で引っ張り試験機を用いて行い、レトルト処理後の密着強度とした。また、レトルト処理を終え、内容物としての水道水を抜いた後、一晩室温下で乾燥した試験片について前述の方法に従い酸素透過率及び水蒸気透過率を測定して、レトルト処理後のバリア性の値とした。
断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム(日立製FB−2000A)を使用してFIB法(「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118〜119)により作製した。透過型電子顕微鏡(日立製H−9000UHRII)により、加速電圧300kVとして、観察用サンプルの断面を観察し、混合薄膜層及び珪素系薄膜層の膜厚を測定した。
O/AL比率は、X線光電子分光法(XPS法)を用いることにより測定した。すなわちワイドスキャン、ナロースキャンを行い、ナロースキャンの化学シフトから元素の化学状態を判断する。次いで、ナロースキャンスペクトルをピーク分割することにより求めることができる。
・励起X線:monochromatic AlKα1,2
・X線径100μm ・光電子脱出角度:10°
・データ処理 スムージング
・横軸補正:C1sメインピークを284.6eVにした
(7)酸化アルミニウム層の膜密度測定方法
X線反射測定法(GIXR法)により、酸化アルミニウム層の膜密度を測定した。すなわち、本発明の高分子フィルム基材の上に形成された酸化アルミニウム層に斜方向からX線を照射すると、酸化アルミニウム層表層で反射したX線と高分子フィルム基材の表層で反射したX線とに別れ、両者の光路差に伴う反射波の干渉信号の解析から膜密度を求めることができる。
・測定範囲(試料表面とのなす角):0.05〜1.0°、0.01°ステップ
(8)酸化アルミニウム層のアルミニウム原子濃度測定方法
蛍光X線分析により、酸化アルミニウム層のアルミニウム原子濃度を測定した。すなわち、酸化アルミニウム層にX線を照射したときにアルミニウム原子の内殻電子が励起されて生じた空孔に、外殻の電子が遷移する際に放出されるアルミニウム原子の特性X線の強度を測定することによって、アルミニウム原子の濃度を得た。
・X線管:横型Crターゲット
・分光結晶:LIF1
(実施例1)
(酸化アルミニウム層の製造)
図2に示す装置構造の巻き取り式の真空蒸着装置を使用し、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標) 12T705)を高分子フィルム基材とし、その片面に、アルミニウムを蒸着材料に用いて抵抗加熱方式によりアルミニウムを蒸気化し、酸素ガスを導入して酸化アルミニウム層を設けた。図2は本発明のガスバリア性フィルムの製造に当たり酸化アルミニウム層を形成する工程に用いるための巻き取り式真空蒸着装置の概略図である。まず、巻き取り式真空蒸着装置4の巻き取り室5の中で、巻き出しロール6にセットされた高分子フィルム基材1を搬送速度100m/minで巻き出し、ガイドロール8,9,10を介して、クーリングドラム11に通す。ボート7上にはアルミニウム等のワイヤーが導入されていて、ボート7からアルミニウムを蒸発させ、酸素導入ノズル12から酸素ガス0.4L/minを導入し、さらにプラズマ電極13から酸素プラズマを導入することにより、このクーリングドラム11上の位置において高分子フィルム基材1の表面に酸化アルミニウム層を形成した。このとき、プラズマ電極13には、酸素ガス0.2L/minを導入し、プラズマ投入電力は3.0kwとした。その後、この酸化アルミニウム層を形成した高分子フィルム基材をガイドロール14、15、16を介して、巻き取りロール17に巻き取った。
アクリロニトリル(AN)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)及びメチルメタクリレート(MMA)の各モノマーをそれぞれ20:50:30に示す割合(質量%)で配合し、公知の技術により共重合してアクリル系共重合樹脂を得た。得られたアクリル系共重合樹脂をメチルエチルケトン(MEK)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)の混合溶剤に溶解させて固形分濃度が30質量%のアクリル系共重合樹脂の溶液(主剤)を得た。
上記アクリル系共重合樹脂の溶液 12.0部、キシレンジイソシアネートを主成分とする固形分濃度75質量%の硬化剤の溶液(DIC株式会社製 HX−75) 6.0部、メチルエチルケトン 66.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテル 5.0部、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(無水ピロメリット酸)のアセトン希釈液(5質量%)8.0部、degussa社製シリカフィラー OK412 0.01部、さらに信越化学工業製3−アミノプロピルトリエトキシシランを主成分とするシランカップリング剤 KBE903 3.75部にアセトン20.33部、水0.92部添加し、公知の技術にて2時間加水分解させたもの 3.0部(固形分濃度15質量%)を30分間密閉攪拌して固形分濃度約9.0質量%のコーティング液を調整した。
上記蒸着フィルムの酸化アルミニウム層上に、ワイヤーバーを用いて上記のコーティング液を塗布し、120℃で20秒間乾燥し、乾燥後塗布量が0.6g/m2となるように有機化合物層を設け、ガスバリア性フィルムを製造した。
東洋モートン株式会社製ドライラミネート用接着剤 AD−503 20部、東洋モートン株式会社製硬化剤 CAT−10 1部、および酢酸エチル 20部を量りとり、30分間攪拌して固形分濃度19質量%のドライラミネート用接着剤溶液を調整した。
酸化アルミニウム蒸着時のプラズマ投入電力を3.5kwにする以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
酸化アルミニウム蒸着時のプラズマ投入電力を2.0kwにする以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
フィルムの搬送速度を60m/minにする以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
酸素導入ノズル12を巻取り側へ5.5cm平行移動させて設置する以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
酸素導入ノズル12を巻出し側へ5.5cm平行移動させて設置する以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
高分子フィルム基材1を搬送速度を130m/minとし、酸素導入ノズル12から導入する酸素ガスを0.2L/minとする以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
プラズマ投入電力を投入しない(電力0kw)以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
酸化アルミニウム蒸着時のプラズマ投入電力を4.5kwにする以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
酸化アルミニウム蒸着時のフィルムの搬送速度を60m/min、プラズマ投入電力を4.5kwにする以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
酸素導入ノズル12を巻取り側へ10.0cm平行移動させて設置する以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
酸素導入ノズル12を巻出し側へ10.0cm平行移動させて設置する以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
コーティング液にシランカップリング剤を配合しない以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得、実施例1と同様にしてそれを用いた積層フィルムを得た。
2:酸化アルミニウム層
3:有機化合物層
4:巻き取り式真空蒸着装置
5:巻き取り室
6:巻き出しロール
7:ボート
8、9、10:巻き出し側ガイドロール
11:クーリングドラム
12:酸素導入ノズル
13:プラズマ電極
14、15、16:巻き取り側ガイドロール
17:巻き取りロール
Claims (8)
- 高分子フィルム基材の片面または両面に、X線光電子分光法(XPS法)により測定される膜表層のO/AL比が1.7〜2.3の範囲であって、X線反射測定法(GIXR法)により測定される膜密度が2.5g/cm3〜2.8g/cm3の範囲である酸化アルミニウム層を有し、さらに該酸化アルミニウム層の前記高分子フィルム基材と反対の面の上にシラン化合物を含む有機化合物層が配置されていることを特徴とするガスバリア性フィルム。
- 前記酸化アルミニウム層において、蛍光X線分析により測定されるアルミニウム原子のX線強度が0.8kcps〜8.0kcpsの範囲である請求項1記載のガスバリア性フィルム。
- 前記シラン化合物が、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび/または3−アミノプロピルトリエトキシシランの加水分解物またはその反応物である請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記有機化合物層は、アクリロニトリル(単量体1)と、水酸基を有する非芳香族不飽和化合物(単量体2)と、不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びエポキシアクリレートからなる群から選択される1つ以上の不飽和化合物(単量体3)との少なくとも3成分を単量体とするアクリル系共重合体とイソシアネート化合物と前記シラン化合物との混合物を前記酸化アルミニウム層上で加熱することにより形成したものである請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
- 前記単量体2が、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである請求項4に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記単量体3がメチルメタクリレートである、請求項4または5に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記有機化合物層は、2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物またはその反応物を含む請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
- 前記2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物またはその反応物が四塩基酸無水物またはその反応物である請求項7に記載のガスバリア性フィルム。
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