JP3790539B2 - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、各種の包装材として好適に使用できる、ガスバリア性に優れたガスバリア性フィルムに関する。
従来より、プラスチックフィルムを基材とし、その表面に酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機薄膜を形成したガスバリア性プラスチックフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、例えば、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装に広く利用されている。また、このガスバリア性プラスチックフィルムについては、包装用途以外にも、近年、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、EL用基板、カラーフィルター等で使用する透明導電シートとしての新しい用途にも注目されている。
そして、このような無機薄膜を形成してなるガスバリア性プラスチックフィルム(以下「無機薄膜ガスバリア性フィルム」ということがある)に関しては、ガスバリア性の低下防止を目的とした種々の改良が検討されており、その一つとして各種ポリウレタン、各種ポリエステル、又は、ポリウレタンとポリエステルの混合物からなる塗布層を無機薄膜面に設ける方法(例えば特許文献1参照)が知られている。また、無機薄膜面上に水溶性高分子と金属アルコキシドの混合物をコーティングしたガスバリア性フィルム(例えば特許文献2参照)、水溶性高分子と無機粒子の混合物をコーティングしたガスバリア性フィルム(例えば特許文献3参照)、塩化ビニリデン系共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等のガスバリア性樹脂をコーティングしたガスバリア性フィルム(例えば特許文献4参照)等も知られている。
しかしながら、上記のいずれの方法も、無機薄膜ガスバリア性フィルムが元来保持するガスバリア性を二次加工等の使用時に低下するのを防止する手段であり、無機薄膜を形成してなるフィルムのガスバリア性自体を改良しうる手段は未だ開示されていない。
一方で、無機薄膜ガスバリア性フィルムは、一般に製造後、経時変化により無機薄膜の状態が安定し、ガスバリア性が良くなる特徴がある。したがって、製造直後の状態から、更にガスバリア性を高める余地がある。ガスバリア性を向上させる手段として、珪素酸化物の薄膜に水分の付着を行い熱処理する方法が提案されている(例えば特許文献5参照)。しかし、この方法は工程が2段階からなり、且つ得られるガスバリア性も近年の包装用フィルムへの要求特性レベルに対して十分ではない。また、アルミナ膜の表面にポリビニルアルコールなどの非電解質水溶性物質を保護膜として設ける提案(例えば特許文献6参照)もなされているが、水蒸気バリア性のレベルは依然として不十分である。更に、金属酸化物からなるガスバリア層上に吸湿性材料を含有する水蒸気トラップ層を設ける方法(例えば特許文献7)、及び珪酸縮合物を含む層及び高水素結合性樹脂と酸性物質を含む層からなるガスバリア層を設ける方法(例えば特許文献8)などが提案されているが、いずれも水蒸気バリア性のレベルは依然として不十分である。
特開平2−50837号公報 特開平8−267637号公報 特開平11−151786号公報 特開平7−80986号公報 特許第2674827号公報 特開平10−100301号公報 特開平10−329256号公報 特開2003−170522号公報
本発明が解決しようとする課題は、製造直後から高いガスバリア性を示し、更に従来より高いガスバリア性を示すフィルムを、最小限の工程及び低いコストで提供することにある。
本発明の上記課題は、熱可塑性高分子フィルムの少なくとも一方の面に無機薄膜を設け、該無機薄膜の側に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含み、該イオンの総和濃度が1×10-5mol/L以上、乃至10mol/L未満且つ飽和溶液濃度未満の溶液を塗布してなるガスバリア性フィルム、又は熱可塑性高分子フィルムの少なくとも一方の面に無機薄膜を設け、該無機薄膜の側に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含む溶液を、フィルム面積1.00m2あたりの上記イオンの総重量が1.0μg以上、乃至30g以下となるように塗布してなるガスバリア性フィルム、によって解決される。
本発明のガスバリア性フィルムは、従来のものに比べ、工程及びコスト増を最小限に抑えつつ高いガスバリア性能を示すことができ、且つ製造直後から十分なガスバリア性能を発揮することができるものであることから、近年の各種包装材への要求特性を満足させるものとして、その価値が大きい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる熱可塑性高分子フィルムは、本発明のガスバリア性フィルムの基材として用いられるものであり、その原料としては、通常の包装材料に使用しうる樹脂であれば特に制限なく用いられる。具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体などのポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリレート樹脂、生分解性樹脂などが挙げられる。これらの中では、フィルム強度、コストなどの点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、生分解性樹脂が好ましい。
また、上記熱可塑性高分子フィルムは、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
上記熱可塑性高分子フィルムは、上記の原料を用いて成形してなるものであるが、基材として用いる際は、未延伸であってもよいし延伸したものであってもよい。また、他のプラスチック基材と積層されていてもよい。かかる熱可塑性高分子フィルムは、薄膜形成や生産性の点からフィルム化したものであり、従来公知の方法により製造することができる。例えば、原料樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸することにより、少なくとも一軸方向に延伸したフィルムを製造することができる。
熱可塑性高分子フィルムの厚さは、本発明のガスバリア性フィルムの基材としての機械強度、可撓性、透明性等の点から、その用途に応じ、通常5〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲で選択され、厚さが大きいシート状のものも含む。また、フィルムの幅や長さについては特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。
なお、上記熱可塑性高分子フィルムには、無機薄膜との密着性向上のため、アンカーコート剤を塗布することが好ましい。アンカーコート剤としては、溶剤性又は水溶性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂及びアルキルチタネート等を単独、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂及びオキサゾリン基含有樹脂が好ましい。
アンカーコート層の厚さは0.005〜5μm、更に0.01〜1μmであることが好ましい。5μm以下の厚さであれば、滑り性が良好であり、アンカーコート層自体の内部応力による基材フィルムからの剥離もほとんどなく、また、0.005μm以上の厚さであれば、均一な厚さを保つことができ好ましい。
また、基材フィルムへのアンカーコート剤の塗布性、接着性を改良するため、アンカーコート剤の塗布前にフィルムに通常の化学処理、放電処理などの表面処理を施してもよい。
熱可塑性高分子フィルムの少なくとも一方の面に形成する無機薄膜を構成する無機物質としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、炭化水素等、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物が挙げられるが、好ましくは酸化珪素、酸化アルミニウム、炭化水素を主体としたダイアモンドライクカーボンである。特に、酸化珪素は、後述の熱処理の効果が顕著であること、また、高いガスバリア性が安定に維持できる点で最も好ましい。
無機薄膜の形成方法としては、蒸着法、コーテイング法などの方法がいずれも使用でき、特に制限はないが、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。この蒸着法には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD等の方法が含まれる。
無機薄膜の厚さは、一般に0.1〜500nmであるが、好ましくは0.5〜40nmである。上記範囲内であれば、十分なガスバリア性が得られ、また、蒸着膜に亀裂や剥離を発生させることなく、透明性にも優れている。
上記の無機薄膜の側に塗布するアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種以上を含む溶液(以下、「本発明の溶液」ということがある)としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びアンモニウムの各々の塩化物、水酸化物、酸化物、炭酸塩、次亜塩素酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩等の無機塩や、酢酸塩、脂肪酸塩、(メタ)アクリル酸塩等の有機酸塩や、多価アルコール硫酸エステル塩、脂肪族アミン硫酸塩、脂肪族アマイド硫酸塩、脂肪族アミドスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、脂肪アルコールリン酸エステル塩等を、水や各種有機溶剤等の溶液に溶解させた水性溶液又は非水性溶液が挙げられる。本発明においては、上記物質に代表される低分子量電解質由来のイオンであれば、本発明の効果を有効に奏することができるが、特に、これらのイオンが溶液中に遊離したイオンであることが好ましい。分子量1000以下の低分子量電解質としては、ガスバリア性等の観点から分子量が750以下、更に500以下である低分子量電解質が好ましい。
また、これらの化合物は互いに化学反応しなければ、2種類以上を混合して用いても良い。コストや取り扱いの容易さの点では、上記塩化物を水に溶解させた溶液が好ましく使用できる。
使用できる有機溶剤としては、労働安全衛生法施行令別表第6の2の各有機溶剤等が挙げられる。その中では、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン類、及びそれらの混合物、また、上記別表外としては酢酸セロソルブ等が、汎用性の点から好ましく使用できる。
本発明の溶液中のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンの総和イオン濃度は、1×10-5mol/L以上、乃至10mol/L未満である。物質によっては10mol/Lに達する以前に溶解度を超え飽和溶液となるので、その場合の上限は飽和溶液濃度未満となる。上記総和イオン濃度は、好ましくは、1×10-4mol/L以上、乃至1×10-1mol/L以下、更に好ましくは1×10-3mol/L以上、乃至1×10-1mol/L以下である。
また、本発明の溶液の塗布量は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンから選ばれる分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの総イオン重量が、フィルム面積1.00m2あたり1.0μg以上、乃至30g以下となるような量、好ましくは、15μg以上、乃至3.0g以下、更に好ましくは150μg以上、乃至300mg以下となるような量である。
本発明の溶液中の上記総和イオン濃度が1×10-5mol/L未満、又は総和イオン塗布量がフィルム1.00m2あたり1.0μg未満では、濃度が薄く本発明の効果が得られない。また、10mol/Lを超える場合、又は総和イオン塗布量がフィルム1m2あたり30gを超える場合は、乾燥時に析出して外観不良となったり、積層体において密着不良を引き起こしたりする。本発明において、溶液中で解離したアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンあるいはアンモニウムイオンは、無機薄膜に浸透して吸着し、水蒸気の蒸着膜への浸入、透過を著しく阻害し、顕著なガスバリア効果を示す。また、本発明においては、その優れた効果は、製造直後から発現し、ガスバリア性フィルムとしての性能を十分に発揮する。
なお、本発明においては、用途によっては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンの吸着後に上記溶液の塗布面を該イオンを含まない溶液や純水で洗浄することもできる。
本発明の溶液は、無機薄膜の保護機能を兼ね備える点から、樹脂溶液及び金属酸化物ゾル溶液から選ばれる少なくとも一種の溶液と混合して用いることができる。このような態様としては、本発明の溶液が水性溶液の場合は、水性樹脂溶液との組み合わせ、本発明の溶液が非水性溶液の場合は、非水性樹脂溶液との組み合わせなどが、好ましく例示される。
上記樹脂溶液に用いる樹脂としては、溶媒溶解性及び/又は溶媒分散性の樹脂を使用することができる。このような樹脂としては、高分子電解質、高分子非電解質、イオン架橋性高分子等をいずれも含むことができ、具体的には、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エチレン−(メタ)アクリル共重合体樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、酢酸ビニル部分鹸化物樹脂、エチレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、セルロース(誘導体)樹脂、変性シリコン樹脂及びアルキルチタネート等が挙げられ、これらを単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明においては、上記樹脂の使用により、耐印刷性、耐折り曲げ性などの二次加工特性の向上を図ることが出来る。この観点から、本発明において上記樹脂を用いる場合は、その塗布液中の含有量は、固形分量として50重量%以下、更に30重量%以下であることが好ましい。
本発明においては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量が1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含む溶液に上記樹脂溶液を混合した場合においても、混合液中の上記低分子量電解質のイオンの総和イオン濃度は、樹脂溶液を混合しない場合のイオン濃度と同一範囲内であることが好ましい。
上記樹脂を含む溶液を塗布した場合、得られる層の厚みは0.01〜2μm程度であることが望ましい。
また、本発明においては、上述のように本発明の溶液に樹脂溶液を混合することができるが、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量が1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含み、樹脂を含まない溶液を塗布した後に、その上に上記樹脂を含む溶液を塗布することもできる。得られる層の厚みは0.01〜2μm程度であることが望ましい。この樹脂溶液に用いられる樹脂としては、上記水性樹脂、あるいは非水性、活性エネルギー線硬化性等の樹脂を使用することができる。
本発明の溶液と混合することができる金属酸化物ゾルとしては、シリカ、アンチモン、ジルコニウム、アルミニウム、セリウム、チタン等の金属酸化物又はそれらの混合物からなるゾルが挙げられる。上記金属酸化物の粒径には限定はないが、4〜10nmの範囲であることが好ましい。金属酸化物ゾルは、通常10〜90質量%の水性液として用いるが、適宜、アルコール類のような水性溶媒、ポリビニルアルコール等の水性高分子類等で希釈して使用してもよい。
本発明の溶液に上記ゾルを含む水性溶液を混合する場合においても、その総和イオン濃度は、ゾル溶液を混合しない場合のイオン濃度と同一範囲内であることが好ましい。また、上記ゾルを含まない本発明の溶液を塗布した後、その上に該ゾルを塗布することもできる。上記ゾルを塗布した場合、得られる層の厚みは0.01〜2μm程度であることが望ましい。
また、本発明の溶液は、上述のように樹脂溶液及び/又は金属酸化物ゾル溶液と混合することができるが、更にガスバリア性フィルムあるいは各用途に一般に用いられる添加剤を含有することもできる。
上述したアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンを含む溶液、樹脂溶液又は金属酸化物ゾル溶液を塗布する方法としては、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター等、公知の方法が使用できる。塗布後の溶媒の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線乾燥などの公知の乾燥方法が使用できる。
本発明のガスバリア性フィルムとしては、上述の構成層に必要に応じ更に追加の構成層を積層した各種ガスバリア性積層体が用途に応じて使用できる。
通常の実施態様としては、ガスバリア性層の塗布面上にプラスチックフィルムを設けたガスバリア性積層体が各種用途に使用される。上記プラスチックフィルムの厚さは、積層構造体の基材としての機械強度、可撓性、透明性等の点から、用途に応じ、通常5〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲で選択される。また、フィルムの幅や長さは特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。例えば、ガスバリア性層の塗布面上にヒートシールが可能な樹脂を使用することにより、ヒートシールが可能となり、種々の容器として使用できる。ヒートシールが可能な樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、生分解性樹脂等の公知の樹脂が例示される。
また、上記以外のガスバリア性積層体の実施態様としては、本発明のガスバリア性フィルムのガスバリア性層の塗布面上に印刷層を形成し、更にその上にヒートシール層を積層するものが挙げられる。印刷層を形成する印刷インクとしては、水性及び溶媒系の樹脂含有印刷インクが使用できる。ここで、印刷インクに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂又はこれらの混合物が例示される。更に、印刷インクには、帯電防止剤、光線遮光剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
印刷層を設けるための印刷方法としては特に限定されないが、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の公知の印刷方法が使用できる。印刷後の溶媒の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法が使用できる。
また、印刷層とヒートシール層との間に紙又はプラスチックフィルムを少なくとも1層積層することが可能である。プラスチックフィルムとしては、本発明のガスバリア性フィルムに用いられる熱可塑性高分子フィルムと同様のものが使用できる。中でも、十分な積層体の剛性及び強度を得る観点から、紙、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又は生分解性樹脂が好ましい。
本発明においては、無機薄膜を形成した後、或いはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含む溶液を塗布した後、或いは樹脂溶液及び/又は金属酸化物ゾル溶液を塗布した後に、ガスバリア性、膜質及び塗布層質の安定化等の点から加熱処理を施すことが好ましい。
加熱処理は、ガスバリア性フィルムを構成する要素の種類や厚さなどによりその条件が異なるが、必要な温度、時間を維持できる方法であれば特に限定されない。例えば、必要な温度に設定したオーブンや恒温室で保管する方法、熱風を吹き付ける方法、赤外線ヒーターで加熱する方法、ランプで光を照射する方法、熱ロールや熱版と接触させて直接的に熱を付与する方法、マイクロ波を照射する方法などが使用できる。また、取り扱いが容易な大きさにフィルムを切断してから加熱処理しても、フィルムロールのままで加熱処理してもよい。更に必要な時間と温度が得られる限りにおいては、コーター、スリッター等のフィルム製造装置の一部分に加熱装置を組み込み、製造過程で加熱を行うこともできる。
加熱処理の温度は、使用する基材、プラスチックフィルム等の融点以下の温度であれば特に限定されないが、熱処理の効果が発現するために必要な処理時間を適度に設定できることから60℃以上であることが好ましく、更に70℃以上で行うことが好ましい。加熱処理温度の上限は、ガスバリア性フィルムを構成する要素の熱分解によるガスバリア性の低下を防止する観点から、通常200℃、好ましくは160℃である。処理時間は、加熱処理温度に依存し、処理温度が高い程、短くすることが好ましい。例えば、加熱処理温度が60℃の場合、処理時間は3日〜6ヶ月程度、80℃の場合、処理時間は3時間〜10日程度、120℃の場合、処理時間は1時間から1日程度、150℃の場合、処理時間は3〜60分程度であるが、これらは単なる目安であって、ガスバリア性フィルムを構成する要素の種類や厚さ等により適宜調整することができる。
本発明のガスバリア性フィルムにおいては、優れたガスバリア性効果を発現する点から、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)を用いて測定した、フィルム面積1.00m2における無機薄膜中、好ましくは酸化珪素を含む無機薄膜中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の総濃度が、2.0μg以上乃至1000μg以下、更に2.0μg以上乃至500μg以下、特に5.0μg以上乃至200μg以下であることが好ましい。
また、本発明のガスバリア性フィルムにおける酸化珪素を含む無機薄膜は、飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)による該薄膜中のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンの総和イオン強度Aが、30Siイオン強度Bに対し、0.20≦A/B≦100であり、更に0.25≦A/B≦10であることが好ましい。
更に、本発明のガスバリア性フィルムの酸化珪素を含む薄膜は、TOF−SIMSによる該薄膜中の30SiOHイオン強度Cが、30Siイオン強度Bに対し、0.040≦C/B≦0.50であり、更に0.050≦C/B≦0.10であることが好ましい。
尚、TOF−SIMSにおけるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンの総和イオン強度、或いは30Siイオン強度とは、無機薄膜中にそれらが分析上、イオン化されて検出されるという意味で用いられる。
本発明においては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンは、無機薄膜中に浸透すると、その空隙(空孔、ナノポア)を埋め、ガス透過を阻害する。また、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンは、水分子のクラスターをモノマー化させる働きをし、無機薄膜中に水分子を浸透させ易くする。無機薄膜中に浸透した水分子は、薄膜成分と結合しシラノール化したり、又は無機薄膜中の空隙(空孔、ナノポア)表面に吸着し、空隙を埋めガス透過を阻害する。従って、無機薄膜中のイオン強度比A/BやC/Bが上記量比であると、高いガスバリア性効果を発現することができる。
上記TOF−SIMSによる測定は、フィルムをスパッタして深さ方向分析を行う。無機薄膜中とは、該薄膜の最表面に物理吸着したアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンを最初のスパッタにより除去してから基材が出現するまでの深さ領域を意味し、その何れかの深さ領域において、上記A/B範囲値をとることが本発明のガスバリア性フィルムにおいて好ましい。
同様に、30SiOHイオンについても、最初のスパッタの後から基材が出現するまでの無機薄膜中の何れかの深さ領域において、上記C/B範囲値をとることが本発明のガスバリア性フィルムにおいて好ましい。イオン強度Bに30Siイオン強度を用いる理由は、酸化珪素を含む薄膜の構成元素Siのうち、30Siは他の同位体28Si、29Siに比べ検出強度が飽和する可能性がなく、ピーク干渉の影響の受け難いからである。
本発明においては、上記A/Bが100以下である場合は、析出による外観不良や薄膜にダメージが生じにくく、一方、0.20以上であれば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンの薄膜への吸着が十分になされ、優れたガスバリア性効果が得られる。また、C/Bが0.50以下であれば、薄膜中の酸化珪素においてSi−O鎖が十分に存在し、薄膜の機械強度に優れることから好ましく、一方、C/Bが0.04以上であれば、従来の無機薄膜ガスバリア性フィルムに比べ特性上ガス透過を阻害する点において優れる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、以下の実施例におけるフィルムの評価方法は、次の通りである。
<薄膜中の金属元素分析(ICP)>
前処理は、面積1.00m2分の薄膜フィルムを、長さ50cm幅5cm毎に切り、プラスチックボトル中でイオン交換水で洗浄する。そして、そのフィルムを別のプラスチックボトル中でフッ酸15mLと硝酸5mLとイオン交換水30mLの混合溶液に入れ薄膜を溶解し(溶解後の液を溶液(ア)とする)、次いでそのフィルムを別のプラスチックボトル中でイオン交換水で洗浄する(洗浄後の液を溶液(イ)とする)。溶液(ア)、(イ)を共に硫酸1mLを添加した白金坩堝中でドライアップし、その後塩酸2mLを添加、加温して白金坩堝中の析出した無機物を溶解する(溶解後の液を溶液(ウ)とする)。溶液(ウ)を25mLポリメスフラスコでイオン交換水で定容し、試料溶液とし分析した。フッ酸、硝酸、硫酸、塩酸は、電子工業用EL試薬または原子吸光用試薬を用いた。プラスチックボトルは、金属元素が溶出しないものを用いた。
分析は、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)で行い、装置はNIPPON JARRELL−ASH社製「ICAP−55型」を用いた。測定値を表1−1及び表1−2に示す。
<TOF−SIMS;飛行時間型二次イオン質量分析>
ION−TOF製「TOF−SIMS IV機」を用い、一次イオン条件として、Au+、25kV、1.0pA、100μm角走査、二次イオン収集条件として、正イオン収集、2scan/cycle、スパッタ条件として、Ar+、2kV、17nA、300μm角走査、30sec/cycle、帯電補正としてフラットガンを使用し、分析した。
TOF−SIMSイオン強度比A/B及びC/Bの薄膜中最大値を表1−1及び表1−2に示した。
<水蒸気透過率>
JIS Z0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じ、次の手法で評価した。
透湿面積10.0cm×10.0cm角の各ガスバリア性積層フィルムを2枚用い、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、48時間以上間隔で重量増加がほぼ一定になる目安として14日間まで、重量測定(0.1mg単位)し、水蒸気透過率を下記式から算出した。
水蒸気透過率(g/m2/24h)=(m/s)/t
m; 試験期間最後2回の秤量間隔の増加質量(g)
s; 透湿面積(m2
t; 試験期間最後2回の秤量間隔の時間(h)/24(h)
結果を表1−1及び表1−2に示す。
実施例1
ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下PETと略す。三菱化学(株)製「ノバペックス」)を通常の方法で溶融押出してシートを形成し、延伸温度95℃、延伸比3.3で長手方向に延伸した後、延伸温度110℃、延伸比3.3で横方向に延伸することにより、二軸延伸PETフィルム厚さ12μmを得た。そのフィルムの片側表面に、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業製「コロネートL」)と飽和ポリエステル(東洋紡績製「バイロン300」)とを1:1重量比で配合した混合物を塗布乾燥して厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成した。
真空蒸着装置を使用して1×10-5Torrの真空下でSiOを高周波加熱方式で蒸発させ、アンカーコート層上に薄膜厚さ約30nmを形成した無機薄膜ガスバリア性フィルムを得た。
この無機薄膜ガスバリア性フィルムの無機薄膜面上に、塩化カリウム水溶液1×10-3mol/Lを用い、カリウムイオン塗布量約890μg/m2となるようバーコーターで塗布し、80℃3分間送風乾燥させ、ガスバリア性フィルムを得た。透明性は、未塗布の無機薄膜ガスバリア性フィルムと同等であった。
該ガスバリア性フィルムの塗布面側を未延伸ポリプロピレンフィルム厚さ60μm(東洋紡績(株)製「パイレンフィルム−CT P1146」)をドライラミネートし、積層フィルムを得て、水蒸気透過率を測定した。
実施例2
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、塩化ナトリウム水溶液1×10-3mol/Lを用い、ナトリウムイオン塗布量約530μg/m2となるよう塗布した他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例3
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、塩化アンモニウム水溶液1×10-3mol/Lを用い、アンモニウムイオン塗布量約410μg/m2となるよう塗布した他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例4
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、ポリビニルアルコール(PVA、日本合成化学工業(株)製「ポバールN−300」)10%水性液と、シリカゾル溶液(日産化学工業(株)製「スノーテックスXS」、固形分20重量%)と、塩化カリウム水溶液1×10-1mol/Lを混合し(塩化カリウム濃度8.3×10-2mol/L)、カリウムイオン塗布量約74mg/m2、固形分重量比率PVA:シリカ=8:2、固形分厚さ0.2μmとなるように塗布した他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例5
実施例1において、塩化カリウム水溶液を塗布、乾燥した後、その面上に、塗布液として、オキサゾリン基含有ポリマー(日本触媒社製「エポクロスWS−500」)60重量%、水性アクリル樹脂(以下に示す樹脂A)20重量%、水性ウレタン樹脂(以下に示す樹脂B)20重量%の混合樹脂水性液を用い、固形分厚さ0.2μmに塗布した他は、同様にして積層フィルムを得た。
樹脂A(水性アクリル樹脂)の製造:
アクリル酸エチル40重量部、メタクリル酸メチル30重量部、メタクリル酸20重量部、グリシジルメタクリレート10重量部の混合物をエチルアルコール中で溶液重合し、重合後水を加えつつ加熱しエチルアルコールを除去した。アンモニア水でpH7.5に調節し、水性アクリル系樹脂水性塗料を得た。
樹脂B(水性ポリウレタン樹脂)の製造:
まず、テレフタル酸664部、イソフタル酸631部、1,4−ブタンジオール472部、ネオペンチルグリコール447部からなるポリエステルポリオールを得た。次いで、得られたポリエステルポリオールに、アジピン酸321部、ジメチロールプロピオン酸268部を加え、ペンダントカルボキシル基含有ポリエステルポリオールAを得た。更に、該ポリエステルポリオールA1880部にヘキサメチレンジイソシアネート160部を加えて水性ポリウレタン系樹脂水性塗料を得た。
実施例6
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、塩化カリウム水溶液1×10-2mol/Lを用い、カリウムイオン塗布量約8.9mg/m2とした以外は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例7
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、塩化カリウム水溶液1×10-4mol/Lを用い、カリウムイオン塗布量約89μg/m2とした他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例8
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、塩化リチウム水溶液1×10-3mol/Lを用い、リチウムイオン塗布量約160μg/m2とした他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例9
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、塩化セシウム水溶液1×10-3mol/Lを用い、セシウムイオン塗布量約3.0mg/m2とした他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例10
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、塩化カルシウム水溶液1×10-3mol/Lを用い、カルシウムイオン塗布量約920μg/m2とした他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例11
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、塩化マグネシウム水溶液1×10-3mol/Lを用い、マグネシウムイオン塗布量約560μg/m2とした他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例12
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、塩化バリウム水溶液1×10-3mol/Lを用い、バリウムイオン塗布量約3.1mg/m2とした他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例13
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、ジトリデシルスルホサクシネートナトリウム(分子量:584)のトルエン溶液1×10-3mol/Lを用い、ナトリウムイオン塗布量530μg/m2とした他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例14
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、酸化カルシウム水溶液1×10-3mol/Lを用い、カルシウムイオン塗布量約910μg/m2とし、塗布後イオン交換水で洗い流した他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例15
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、塩化ナトリウム水溶液1×10-3mol/Lを用い、ナトリウムイオン塗布量約530μg/m2とし、塗布後、120℃で1時間加熱した他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例16
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、アイオノマー型ウレタン樹脂水性液(大日本インキ製「AP−40N」)と塩化カリウム水溶液1×10-2mol/Lとを混合し(塩化カリウム濃度9.8×10-3mol/L)、カリウムイオン塗布量約8.8mg/m2、固形分厚さ0.2μmとなるように塗布した他は、同様にして積層フィルムを得た。

実施例17
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、アクリル樹脂水性液(ジョンソンポリマー製「ジョンクリル840」)と塩化カリウム水溶液1×10-2mol/Lとを混合し(塩化カリウム濃度9.8×10-3mol/L)、カリウムイオン塗布量約8.8mg/m2、固形分厚さ0.2μmとなるように塗布した他は、同様にして積層フィルムを得た。
実施例18
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、ポリエステル樹脂水性液(高松油脂製「ペスレジンA−120」)と塩化カリウム水溶液1×10-2mol/Lとを混合し(塩化カリウム濃度9.7×10-3mol/L)、カリウムイオン塗布量約8.7mg/m2、固形分厚さ0.2μmとなるように塗布した他は、同様にして積層フィルムを得た。
比較例1
実施例1において、金属塩水溶液を塗布せず、そのままドライラミネートし、積層フィルムを得た。
比較例2
実施例1において、金属塩水溶液の代わりにイオン交換水比抵抗率18Ω/cmを塗布した他は、同様にして積層フィルムを得た。
比較例3
実施例1において、塩化カリウム水溶液濃度を1×10-6mol/L、カリウムイオン塗布量約0.9μg/m2にした他は、同様にして積層フィルムを得た。
比較例4
実施例1において、塩化カリウムの飽和水溶液約2.7mol/Lを塗布したところ、乾燥時に塩が析出し外観不良となり、包装フィルムとしての価値を損じた。
比較例5
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、塩化鉄水溶液1×10-3mol/Lを用い、鉄イオン塗布量約1.3mg/m2に塗布した他は、同様にして積層フィルムを得た。
比較例6
実施例1において、無機薄膜面上に塗布する塗布液として、アイオノマー型ウレタン樹脂水性液(大日本インキ製「AP−40N」を塗布した他は、同様にして積層フィルムを得た。
Figure 0003790539
Figure 0003790539
本発明のガスバリア性フィルムは、工程及びコスト増を最小限に抑えつつ高いガスバリア性能を示し、且つ製造直後から十分なガスバリア性能を発揮することから、各種の包装材への要求特性を満足させるものとして好適に使用できる。

Claims (12)

  1. 熱可塑性高分子フィルムの少なくとも一方の面に蒸着法により無機薄膜を設け、該無機薄膜の側に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含み、該イオンの総和濃度が1×10-5mol/L以上、乃至10mol/L未満且つ飽和溶液濃度未満の溶液を塗布してなるガスバリア性フィルム。
  2. アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種のイオンの総和濃度が、1×10-4mol/L以上、乃至1×10-1mol/L未満且つ飽和溶液濃度未満である請求項1記載のガスバリア性フィルム。
  3. 熱可塑性高分子フィルムの少なくとも一方の面に蒸着法により無機薄膜を設け、該無機薄膜の側に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含む溶液を、フィルム面積1.00m2あたりの上記イオンの総重量が1.0μg以上、乃至30g以下となるように塗布してなるガスバリア性フィルム。
  4. 無機薄膜が酸化珪素を含む薄膜である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 熱可塑性高分子フィルムの少なくとも一方の面に蒸着法により形成された無機薄膜を有し、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)を用いて測定した、フィルム面積1.00m2における上記薄膜中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の総濃度が、2.0μg以上、乃至1000μg以下である請求項1記載のガスバリア性フィルム。
  6. 飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)による酸化珪素を含む薄膜中のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンの総和イオン強度Aが、30Siイオン強度Bに対し、0.20≦A/B≦100である請求項4記載のガスバリア性フィルム。
  7. 飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)による酸化珪素を含む薄膜中の30SiOHイオン強度Cが、30Siイオン強度Bに対し、0.04≦C/B≦0.50である請求項4記載のガスバリア性フィルム。
  8. アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含む溶液に、樹脂及び金属酸化物ゾルから選ばれる少なくとも一種を含む溶液を混合してなる溶液を塗布した請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  9. アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含む溶液を塗布した層の上に、樹脂溶液の塗布層を設けてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  10. アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含む溶液を塗布した後に、60℃以上の加熱処理を施してなる請求項1乃至9のいずれか1 項に記載のガスバリア性フィルム。
  11. 熱可塑性高分子フィルムの少なくとも一方の面に蒸着法により無機薄膜を設け、ついで該無機薄膜の側に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量が1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含み、該イオンの総和濃度が1×10-5mol/L以上、乃至10mol/L未満且つ飽和溶液濃度未満の溶液を塗布するガスバリア性フィルムの製造方法。
  12. 熱可塑性高分子フィルムの少なくとも一方の面に蒸着法により無機薄膜を設け、該無機薄膜の側に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれた分子量1000以下の低分子量電解質のイオンの少なくとも1種を含む溶液を、フィルム面積1.00m2あたりの上記イオンの総重量が1.0μg以上、乃至30g以下となるように塗布するガスバリア性フィルムの製造方法。
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