JP2012018882A - 多孔質炭素電極基材の製造方法 - Google Patents

多孔質炭素電極基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱硬化性樹脂の炭素化物が炭素短繊維に隙間や亀裂なく結着した多孔質炭素電極基材であって、ナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄の含有量が著しく少ない多孔質炭素電極基材を提供する。
【解決手段】(a)ナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む熱硬化性樹脂を水溶性有機溶剤に溶解した熱硬化性樹脂溶液に対し、塩基性水溶液を添加し攪拌した後に静置する工程;(b)前記熱硬化性樹脂溶液から沈殿物を分離して熱硬化性樹脂組成物を得る工程;(c)前記熱硬化性樹脂組成物を、炭素短繊維が平面内に分散した炭素短繊維集合体に含浸させて中間基材を得る工程;(d)前記中間基材を加熱して前記熱硬化性樹脂組成物を炭素化する工程;を有する多孔質炭素電極基材の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は固体高分子型燃料電池に用いられる多孔質炭素電極基材の製造方法に関するものである。
固体高分子型燃料電池に用いられる多孔質炭素電極基材には、固体高分子電解質膜のプロトン伝導性を低下させるアルカリ金属やアルカリ土類金属、フッ素系高分子からなる電解質膜を劣化させる鉄を可能な限り含有しないことが求められる。しかしながら、多孔質炭素電極基材の樹脂材料として用いる熱硬化性樹脂には、通常ナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄等の金属が不純物として含まれる。
前記金属の含有量が少ない多孔質炭素電極基材を製造する方法としては、例えば特許文献1に開示されるように、前記金属元素を含まない触媒を用いて得られた樹脂を使用する方法が知られている。しかしながら、使用する樹脂が製造方法により制限されるため、使用可能な樹脂の種類が限定される。また、炭素短繊維への含浸性や後の炭素化工程の条件がさらに限定される場合もある。また、金属元素を含まない触媒を用いて得られた樹脂を使用した場合であっても、長時間電池性能を維持するためにはできる限り金属の含有量を低減することが好ましい。
特開2004−288489号公報
本発明は、熱硬化性樹脂の炭素化物が炭素短繊維に隙間や亀裂なく結着した多孔質炭素電極基材であって、ナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄の含有量が著しく少ない多孔質炭素電極基材を提供することを目的とする。
本発明に係る多孔質炭素電極基材の製造方法は、
(a)ナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む熱硬化性樹脂を水溶性有機溶剤に溶解した熱硬化性樹脂溶液に対し、塩基性水溶液を添加し攪拌した後に静置する工程;
(b)前記熱硬化性樹脂溶液から沈殿物を分離して熱硬化性樹脂組成物を得る工程;
(c)前記熱硬化性樹脂組成物を、炭素短繊維が平面内に分散した炭素短繊維集合体に含浸させて中間基材を得る工程;
(d)前記中間基材を加熱して前記熱硬化性樹脂組成物を炭素化する工程;
を有する。
また、本発明に係る多孔質炭素電極基材は、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法で定量されたナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄の含有量がいずれも10ppm以下である。
本発明によれば、熱硬化性樹脂の炭素化物が炭素短繊維に隙間や亀裂なく結着した多孔質炭素電極基材であって、ナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄の含有量が著しく少ない多孔質炭素電極基材を提供できる。
本発明に係る多孔質炭素電極基材の製造方法は、
(a)ナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む熱硬化性樹脂を水溶性有機溶剤に溶解した熱硬化性樹脂溶液に対し、塩基性水溶液を添加し攪拌した後に静置する工程;
(b)前記熱硬化性樹脂溶液から沈殿物を分離して熱硬化性樹脂組成物を得る工程;
(c)前記熱硬化性樹脂組成物を、炭素短繊維が平面内に分散した炭素短繊維集合体に含浸させて中間基材を得る工程;
(d)前記中間基材を加熱して前記熱硬化性樹脂組成物を炭素化する工程;
を有する。
本発明に係る方法では、熱硬化性樹脂中に不純物として含まれるカルシウム及び鉄を工程(a)における塩基性水溶液の添加により金属水酸化物として沈殿させ、工程(b)において沈殿物を除去する。また、工程(d)における炭素化によりナトリウム及びカリウムを除去する。該方法により製造した多孔質炭素電極基材は、ナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄の含有量を著しく低減することができる。このため、該多孔質炭素電極基材を固体高分子型燃料電池に用いた場合には、ナトリウム、カリウム及びカルシウムによる固体高分子電解質膜のプロトン伝導性の低下を抑制することができる。また、鉄によるフッ素系高分子からなる電解質膜の劣化を抑制することができる。
[工程(a)]
本発明に係る方法において、工程(a)では、ナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む熱硬化性樹脂を水溶性有機溶剤に溶解した熱硬化性樹脂溶液に対し、塩基性水溶液を添加し攪拌した後に静置する。
〔熱硬化性樹脂〕
熱硬化性樹脂は、ナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含み、炭素化した段階で炭素短繊維を結着し、かつ導電性物質として残存しやすい公知の樹脂から適宜選ぶことができる。熱硬化性樹脂としては、例えばレゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、コプナ樹脂、ピッチ等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。しかしながら、前記金属を含まない触媒を用いて製造された熱硬化性樹脂を選択するのが好ましい。そのような熱硬化性樹脂としては、アンモニア、第1級アミン、第2級アミンあるいは第3級アミンを用いたレゾール型フェノール樹脂が挙げられる。
〔水溶性有機溶剤〕
水溶性有機溶剤は、水と任意の割合で混合し、かつ前記熱硬化性樹脂を溶解する公知の溶剤から適宜選ぶことができる。水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、アセトン、テトラヒドロフラン等が好ましく、アンモニアレゾール型フェノール樹脂の溶解性が高いことからメタノールがより好ましい。
〔熱硬化性樹脂溶液〕
前記熱硬化性樹脂を前記水溶性有機溶剤に溶解することで熱硬化性樹脂溶液を調製する。熱硬化性樹脂溶液中の熱硬化性樹脂の濃度は特に限定されないが、塩基性水溶液と容易に混和し、また炭素短繊維集合体への含浸量を制御するために1〜30質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、5〜15質量%が更に好ましい。
〔塩基性水溶液〕
塩基性水溶液は、熱硬化性樹脂溶液中のカルシウムイオン又は鉄イオンを難溶性水酸化物として沈殿させることができる公知の塩基性水溶液から適宜選ぶことができる。塩基性水溶液としては、例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、アンモニア水溶液等が挙げられる。水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液のような強塩基性水溶液の方が、より少量の添加で難溶性水酸化物を沈殿させることができるが、逆にナトリウムやカリウム濃度が高くなってしまうため、塩基性水溶液としては金属イオンを含まないアンモニア水溶液が好ましい。アンモニア水溶液の濃度は0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、1〜3質量%が更に好ましい。水溶液の水としては純水を用いるのが好ましい。アンモニア水溶液の添加量としては、カルシウムイオン又は鉄イオンを十分に沈殿できる量であれば特に限定されない。アンモニアは水溶液中で一部が電離して、NH3+H2O→NH4 ++OH-のように水酸化物イオンOH-を生じる。カルシウムイオンは水酸化物イオンと1:2で反応して難溶性の水酸化カルシウムとなる。同様に、鉄イオンは水酸化物イオンと1:2又は1:3で反応して難溶性の水酸化鉄(II)又は水酸化鉄(III)となる。アンモニア水溶液中の水酸化物イオン濃度は、アンモニアの濃度と電離度に依存するため一概には言えないが、熱硬化性樹脂溶液に含まれるカルシウムイオン又は鉄イオンを仮に1モルとすると、それぞれについて1〜300モルのアンモニアが含まれるようにアンモニア水溶液を添加することが好ましい。
〔攪拌〕
塩基性水溶液が添加された熱硬化性樹脂溶液の攪拌方法は、塩基性水溶液と熱硬化性樹脂溶液が十分に混ざり合う方法であればよく、特に限定されるものではない。ただし攪拌温度は、熱硬化性樹脂の硬化を抑制するために25℃以下に保つことが好ましく、一方、水を凍らせないために0℃以上であることが好ましい。1〜15℃がより好ましく、1〜10℃が更に好ましい。鉄イオンを十分に沈殿させるには、攪拌後の混合液のpHは高いほど好ましい。一方、カルシウムイオンを沈殿させるには、攪拌後の混合液のpHは10〜12であることが好ましい。
〔静置〕
塩基性水溶液を添加した後に十分に攪拌された熱硬化性樹脂溶液は、金属水酸化物が沈殿してくるまで静置することが好ましい。静置温度は、熱硬化性樹脂の硬化を抑制し、また金属水酸化物の溶解度を低く保つために15℃以下であることが好ましく、一方、水を凍らせないために0℃以上であることが好ましい。0〜10℃がより好ましく、0〜5℃が更に好ましい。静置時間は長いほどよいが実用的には1〜24時間が好ましく、2〜12時間がより好ましく、2〜6時間が更に好ましい。
[工程(b)]
本発明に係る方法において、工程(b)では、前記熱硬化性樹脂溶液から沈殿物を分離して熱硬化性樹脂組成物を得る。
〔沈殿物の分離〕
沈殿物の分離方法は、金属水酸化物やレゾール型フェノール樹脂の高分子量成分等の沈殿物を不純物として熱硬化性樹脂組成物から分離できる方法であればよく、特に限定されるものではない。例えばデカンテーションやガラスフィルターによる濾過などが好ましい。
〔熱硬化性樹脂組成物〕
熱硬化性樹脂組成物には熱硬化性樹脂の他に熱可塑性樹脂が含まれていてもよい。そのような熱硬化性樹脂は、炭素化した段階で導電性物質として残存しやすく、かつ金属を含まない触媒を用いて製造される観点から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の配合比率は、熱硬化性樹脂組成物の流動性を制御するために適宜設定することができるが、熱硬化性樹脂100質量部に対して熱可塑性樹脂30〜300質量部の範囲が好ましい。熱硬化性樹脂100質量部に対する熱可塑性樹脂の配合量を30質量部以上とすることで、熱成形時に硬化が確実に進行するため精度良く厚みを制御でき、300質量部以下とすることで、残炭率が低くならず力学的強度や導電性を維持できる。より好ましくは、熱硬化性樹脂100質量部に対して熱可塑性樹脂100〜300質量部の範囲である。なお、熱可塑性樹脂の熱硬化性樹脂への配合は、工程(a)において熱硬化性樹脂を水溶性有機溶剤に溶解させる際に同時に溶解させてもよいし、工程(b)において熱硬化性樹脂溶液から沈殿物を分離した後に混合してもよい。
[工程(c)]
本発明に係る方法において、工程(c)では、前記熱硬化性樹脂組成物を、炭素短繊維が平面内に分散した炭素短繊維集合体に含浸させて中間基材を得る。
〔炭素短繊維〕
本発明で使用する炭素短繊維の平均直径は特に限定されないが、例えば、表面平滑性、導電性の付与のためには3〜30μmが好ましく、4〜20μmがより好ましく、4〜8μmが更に好ましい。また、異なる平均直径の炭素短繊維を2種類以上用いることも、表面平滑性、導電性の両立のために好ましい。炭素短繊維の長さは特に限定されないが、抄紙時の分散性、及び機械的強度を高めるために、3mm以上、12mm以下が好ましく、3mm以上、9mm以下がより好ましい。
炭素繊維の種類は特に限定されるものでなく、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、フェノール樹脂系炭素繊維、再生セルロース系炭素繊維、セルロース系炭素繊維等を使用することができる。これらの炭素繊維を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。特に、圧縮強度や引張強度が高いことから、PAN系炭素繊維が好ましい。
〔平面内に分散した炭素短繊維集合体〕
本発明において、平面内に分散した炭素短繊維集合体は、特定の厚みや大きさに限定されず、炭素短繊維を主要構成要素とする不織布、抄紙体、フェルト、クロス等を包含する。また、それらの製造方法は特に限定されず、例えば、ウォータージェット処理やスチームジェット処理などによって繊維を交絡してもよい。特に、複数本の炭素短繊維が集合してなる抄紙体が好ましく、表面平滑性が高く、電気的接触が良好で、かつ高分子電解質膜への突き刺さりによる短絡が低減される複数本の炭素短繊維が集合してなる抄紙体がより好ましい。
〔含浸〕
炭素短繊維集合体に熱硬化性樹脂組成物を含浸する方法としては、例えばコーターを用いて炭素短繊維集合体表面に樹脂を均一にコートする方法、絞り装置を用いるdip−nip方法、もしくは炭素短繊維集合体と樹脂フィルムを重ねて樹脂フィルムを炭素短繊維集合体に転写する方法等が知られている。しかしながら、炭素短繊維集合体に熱硬化性樹脂組成物を均一に含浸する方法であればよく、特に限定されるものではない。炭素短繊維集合体に熱硬化性樹脂組成物を含浸させて得られる中間基材に含まれる熱硬化性樹脂の量としては、炭素短繊維集合体100質量部に対し70〜120質量部であることが、熱成形時の硬化を確実に進行させ、かつ精度良く厚みを制御することができるため好ましい。熱硬化性樹脂組成物の組成や炭素短繊維集合体への付着量により、最終的に多孔質炭素電極基材に炭素化物として残る割合が異なるが、炭素短繊維集合体に付着させる熱硬化性樹脂組成物の量を上記範囲とすることで、熱硬化性樹脂組成物を炭化した樹脂炭素化物の残存量が所望の値となりやすい。本発明においては、中間基材への熱硬化性樹脂の含浸量を多くしても、工程(a)、(b)によりカルシウム、鉄を除去しているため、最終的に多孔質炭素電極基材に含まれるカルシウム、鉄の含有量を少なくすることができる。
[工程(d)]
本発明に係る方法において、工程(d)では、前記中間基材を加熱して前記熱硬化性樹脂組成物を炭素化する。
〔中間基材を加熱して樹脂組成物を炭素化する工程〕
中間基材を加熱して樹脂組成物を炭素化する方法としては、室温からの連続昇温により完全に硬化し、さらに続けて炭素化するような方法であればよく、不活性雰囲気下にて800〜2400℃の温度範囲で行うことが好ましい。熱硬化性樹脂組成物の炭素化により、熱硬化性樹脂組成物に含まれるナトリウム、カリウムを除去することができる。また、不活性雰囲気下にて300〜800℃の温度範囲で前処理をしても良い。前処理を行うことで炭素化初期段階において発生する分解ガスを十分に出し切ることができ、炭素化炉内壁への分解物の付着堆積を抑制することができるため好ましい。さらに、300〜2400℃での処理前に150〜300℃の温度範囲で加熱加圧処理をしても良い。加熱加圧処理により樹脂組成物がある程度硬化するため、基材の厚み制御の観点から好ましい。加熱加圧処理は中間基材を2枚以上重ねて行ってもよい。加熱加圧処理に要する圧力や時間は、均一な厚みのシートが得られる圧力範囲や時間範囲であればよく、特に限定されるものではない。
[金属含有量測定方法]
〔高周波誘導結合プラズマ発光分析法〕
高周波誘導結合(ICP)プラズマ発光分析法とは、高周波で誘起されたアルゴンガスの高温プラズマ炎の中に試料溶液を導入し、蒸発、原子化、励起の後、発光するスペクトルの波長により元素を同定し、その強度で濃度を定量する装置である。アルゴンICPの励起温度は6000〜8000Kと高温であり、同一条件で多くの元素が効率よく励起するため、主成分元素、副成分元素、微量成分元素まで多元素同時分析が可能である。さらに不活性ガス(アルゴン)を用いるため、酸化物や窒化物が生成し難く、化学干渉、イオン化干渉の影響をあまり受けずに分析が可能である特徴も有する。また安定性に優れ、分析精度が高い等の点で、蛍光X線分析法や原子吸光法など他手法よりも好ましい。
〔ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄の含有量〕
本発明に係る方法により製造される多孔質炭素電極基材におけるICP発光分析法で定量されるナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄の含有量は、固体高分子電解質膜のプロトン伝導性低下やフッ素系高分子からなる電解質膜の劣化を抑制させるために、それぞれ10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、2ppm以下が更に好ましい。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。実施例中の各物性等は以下の方法で測定した。
[実施例1]
〔樹脂組成物の調製〕
レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライトJ−325、DIC株式会社製)の樹脂固形分を8質量%としたメタノール溶液100質量部に、1質量%アンモニア水溶液を5質量部添加し、容器を氷冷しながらマグネチックスターラーにより15分攪拌した。攪拌を止めて6時間静置した後、デカンテーションにより上澄み液を樹脂組成物Aとして採取した。なお、用いたレゾール型フェノール樹脂は、ナトリウム10ppm、カリウム13ppm、カルシウム4.1ppm、鉄4.0ppmを含有する。
〔多孔質炭素電極基材の製造〕
平均繊維径が7μmのポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維の繊維束を切断し、平均繊維長が3mmの短繊維を得た。次にこの短繊維束100質量部を純水中で開繊し、十分に分散したところに平均繊維長が3mmのポリビニルアルコール(PVA)の短繊維(商品名:VBP105−1、クラレ株式会社製)25質量部を均一に分散させた。これを、標準角形シートマシン(熊谷理機工業株式会社製)を用いて抄紙を行い、得られた抄紙体を80℃に熱したロール乾燥機で乾燥して単位面積当たりの質量が25g/m2の炭素短繊維集合体を得た。
次に、樹脂組成物Aを炭素短繊維集合体に含浸して室温でメタノールと水分を十分に乾燥させ、樹脂組成物Aの不揮発分を67質量%付着させた中間基材を得た。
前記中間基材を2枚重ねて離型紙に挟み、バッチプレス装置にて180℃、10MPaの条件下に3分間置いた後、プレス圧を解放して室温まで自然冷却してシートを得た。次いで、前記シートを窒素ガス雰囲気中において、バッチ炭素化炉により2000℃で1時間加熱し、炭素化することで多孔質炭素電極基材を得た。得られた多孔質電極基材は単位面積当たりの質量が55g/m2、厚みが160μmであった。
〔金属分析〕
多孔質炭素電極基材の金属分析は以下の手順で行った。白金製坩堝に試料0.5gを入れ、マッフル炉で700℃にて灰化した。次いで0.1mol/L塩酸に灰化した試料を溶解し、不溶物を濾過しながらポリメスフラスコに50mLだけ採取した。高周波誘導結合(ICP)プラズマ発光分析装置(商品名:IRIS−AP、日本ジャヤーレルアッシュ製)を使用し、前記塩酸溶液中の金属量を定量した。
[比較例1]
レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライトJ−325、DIC株式会社製)の樹脂固形分を8質量%としたメタノール溶液を直接、炭素短繊維集合体に含浸したこと以外は実施例1と同様にして多孔質炭素電極基材を得た。以上の多孔質炭素電極基材の金属分析の結果を表1に示す。
Figure 2012018882
残留しているナトリウムやカリウムは炭素化工程にて消失しやすく、比較例1でも1.0ppm以下となっているが、カルシウムや鉄の残留量は塩基性水溶液処理によって著しく低減されている。
本発明に係る多孔質炭素電極基材は、特に燃料電池のガス拡散体として好適であるが、これに限らず、各種電池の電極基材などにも応用することができ、さらに、その応用範囲はこれらに限られるものではない。

Claims (4)

  1. (a)ナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む熱硬化性樹脂を水溶性有機溶剤に溶解した熱硬化性樹脂溶液に対し、塩基性水溶液を添加し攪拌した後に静置する工程;
    (b)前記熱硬化性樹脂溶液から沈殿物を分離して熱硬化性樹脂組成物を得る工程;
    (c)前記熱硬化性樹脂組成物を、炭素短繊維が平面内に分散した炭素短繊維集合体に含浸させて中間基材を得る工程;
    (d)前記中間基材を加熱して前記熱硬化性樹脂組成物を炭素化する工程;
    を有する多孔質炭素電極基材の製造方法。
  2. 高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法で定量される、前記多孔質炭素電極基材のナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄の含有量がいずれも10ppm以下である請求項1に記載の多孔質炭素電極基材の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法により製造される多孔質炭素電極基材。
  4. 高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法で定量されるナトリウム、カリウム、カルシウム及び鉄の含有量がいずれも10ppm以下である多孔質炭素電極基材。
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