JP2012001160A - ダンパ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フルリバウンドやフルバンプによる衝撃の発生を抑えるように減衰力可変ダンパを制御するダンパ制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】車体に車輪を支持するサスペンション装置に備わる減衰力可変ダンパ1を制御し、ダンパ変位が所定の閾値を超えたときに、フルリバウンドやフルバンプなどダンパ変位が伸縮の限界に達することを防止するようにダンパの減衰力を設定する第1目標減衰力設定部20aと、ダンパがフルリバウンドしやすい状態、またはダンパがフルバンプしやすい状態となって車両が走行する特定走行状態であることを判定する走行状態判定部21bと、を備えるダンパ制御装置20とする。そして、第1目標減衰力設定部20aは、車両が特定走行状態で走行していると走行状態判定部21bが判定したときに閾値を小さくすることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両のサスペンション装置に備わる減衰力可変ダンパを制御するダンパ制御装置に関する。
車両のサスペンションに備わって振動を吸収するダンパの減衰力を可変とする技術は広く知られ、例えば特許文献1には、減衰力を変更して走行安定性や乗心地を向上させる減衰力可変式ショックアブソーバ(減衰力可変ダンパ)に関する技術が開示されている。
特許文献1に開示される技術によると、車両の走行状態を検出するとともに検出した走行状態に応じて車両の姿勢変化を予測し、予測した姿勢変化に応じて減衰力可変式ショックアブソーバの減衰係数を変化して乗心地を向上することができる。
特開平6−115335号公報
例えば特許文献1に開示される技術によると、車輪がバウンドすると推定される側のショックアブソーバ(ダンパ)の縮み側減衰係数を高くして伸び側減衰係数を低くするとともに、車輪がリバウンドすると推定される側のダンパの伸び側減衰係数を高くして縮み側減衰係数を低くすることによって、車体のロールやピッチングなどの姿勢変化を抑制できる。
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、ショックアブソーバ(ダンパ)が限界まで伸縮してフルリバウンドやフルバンプしたときの乗心地については考慮されていない。
例えば、伸び側のショックアブソーバが路面等の状態によってさらに伸びる状態になるとショックアブソーバが伸縮の限界まで伸びてフルリバウンドする場合がある。同様に、縮み側のショックアブソーバは伸縮の限界まで縮んでフルバンプする場合がある。そして、ショックアブソーバがフルリバウンドやフルバンプするとショックアブソーバを構成するシリンダとピストンが衝突して衝撃が発生し、搭乗者が衝撃によるショックや衝撃音を感じて乗心地が悪化するという問題がある。
そこで、本発明は、フルリバウンドやフルバンプによる衝撃の発生を抑えるように減衰力可変ダンパを制御するダンパ制御装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために本発明の請求項1は、車体に車輪を支持するサスペンション装置に備わって伸縮して振動を減衰するダンパと、前記ダンパの減衰力を変更可能な減衰力変更装置と、を含んで構成される減衰力可変ダンパを制御し、前記ダンパの定常状態からの変位であるダンパ変位が所定の閾値を超えたときに、前記ダンパのフルリバウンドおよびフルバンプを防止するように前記ダンパの減衰力を設定する第1目標減衰力設定部と、前記ダンパが前記定常状態から伸びてフルリバウンドしやすい状態、または前記ダンパが前記定常状態から縮んでフルバンプしやすい状態となって車両が走行する特定走行状態であることを判定する走行状態判定部と、を備えるダンパ制御装置とする。そして、前記第1目標減衰力設定部は、前記車両が前記特定走行状態で走行していると前記走行状態判定部が判定したときに前記閾値を小さくすることを特徴とする。
請求項1の発明によると、ダンパ変位が閾値を超えたときに減衰力を高めてダンパのフルリバウンドおよびフルバンプを防止するダンパ制御装置は、車両が特定走行状態で走行する場合に閾値を小さくできる。したがって、車両が特定走行状態で走行するときはダンパ変位が小さいうちに減衰力可変ダンパの減衰力を高めることができ、ダンパのフルリバウンドおよびフルバンプを好適に抑えることができる。
また本発明の請求項2は請求項1に記載のダンパ制御装置であって、前記第1目標減衰力設定部は、前記ダンパが変位するときの速度および前記ダンパ変位に基づいて前記ダンパの減衰力を設定し、前記車両が前記特定走行状態で走行していると前記走行状態判定部が判定した場合に前記ダンパ変位が前記閾値を超えたときは、前記車両が前記特定走行状態で走行していないと前記走行状態判定部が判定するときよりも、前記ダンパ変位の変化に対する前記ダンパの減衰力の変化率を大きくして前記ダンパの減衰力を設定することを特徴とする。
請求項2の発明によると、ダンパ制御装置は、車両が特定走行状態で走行するときにダンパ変位が閾値を超えた場合、ダンパ変位の変化に対する減衰力可変ダンパの減衰力の変化率を、車両が特定走行状態で走行しない場合より大きくできる。したがって、ダンパ制御装置は、小さなダンパ変位であっても速やかに減衰力可変ダンパの減衰力を高めることができる。
また本発明の請求項3は請求項1または請求項2に記載のダンパ制御装置であって、前記走行状態判定部は、前記車両が旋回するときに前記車両が前記特定走行状態で走行していると判定することを特徴とする。
請求項3の発明によると、ダンパ制御装置の走行状態判定部は旋回する車両が特定走行状態で走行していると判定することができ、旋回するときにロール状態となる車両の旋回内側の車輪を支持するサスペンション装置に備わる減衰力可変ダンパのフルリバウンド、および、旋回外側の車輪を支持するサスペンション装置に備わる減衰力可変ダンパのフルバンプを回避できる。
また本発明の請求項4は請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のダンパ制御装置であって、前記走行状態判定部は、横加速度検出手段が検出する前記車両の横加速度を時間微分して横加速度微分値を算出し、前記横加速度微分値の絶対値が減少し始めてからゼロになるまでの間、前記車両が前記特定走行状態で走行していると判定することを特徴とする。
請求項4の発明によると、ダンパ制御装置の走行状態判定部は、旋回する車両に発生する横加速度の変化率に基づいて、車両が特定走行状態で走行していると判定することができる。旋回する車両のロール角は車両に発生する横加速度に同期して変化することから、横加速度の変化率に基づいて車両が特定走行状態で走行していると判定することによって、走行状態判定部は、ロール角が最大になるときに遅れることなく、車両が特定走行状態で走行していると判定できる。
また本発明の請求項5は請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のダンパ制御装置であって、前記ダンパの接地側を制振する減衰力を設定する第2目標減衰力設定部と、前記第1目標減衰力設定部が設定する減衰力と前記第2目標減衰力設定部が設定する減衰力の大きな一方を選択して前記ダンパの減衰力とする選択手段と、をさらに備え、前記第2目標減衰力設定部は、前記ダンパ変位の変化および前記ダンパが変位するときの速度の変化に対して対数変化するように減衰力を設定することを特徴とする。
請求項5の発明によると、ダンパ制御装置は、第1目標減衰力設定部が設定する減衰力と、第2目標減衰力設定部が設定する減衰力の大きな一方を減衰力可変ダンパの減衰力に設定できる。第2目標減衰力設定部が設定する減衰力は、ダンパ変位の変化およびダンパが変位するときの速度の変化に対して対数変化するように設定されて過大な値となることが回避される。したがって、第2目標減衰力設定部が設定する減衰力が減衰力可変ダンパの減衰力に設定された場合、必要以上に大きな減衰力が減衰力可変ダンパに設定されることが回避されて乗心地の悪化を軽減できる。
本発明によると、フルリバウンドやフルバンプによる衝撃の発生を抑えるように減衰力可変ダンパを制御するダンパ制御装置を提供できる。
車両に備わる減衰力可変ダンパの構成例を示す図である。 減衰力可変ダンパをモデル化した図である。 ダンパ制御装置の機能ブロック図である。 (a)は制御電流を設定するための電流設定マップの一例を示す図、(b)は旋回時に制御電流を設定するための旋回時電流設定マップの一例を示す図、(c)は旋回時にゲインを変えて制御電流を設定するための電流・ゲイン設定マップの一例を示す図である。 (a)は、レーンチェンジする車両を示す図、(b)は、レーンチェンジする車両に発生する横加速度計測値と横加速度微分値を示すグラフである。 第2の実施形態に係るダンパ制御装置の機能ブロック図である。 第2の実施形態に係るダンパ制御装置にロール/ピッチ姿勢制御部とスカイフック乗心地制御部が備わる構成を示す機能ブロック図である。
《第1の実施形態》
以下、本発明を実施するための第1の実施形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、車両100の車輪101はサスペンション装置102によって車体2に弾性支持され、第1の実施形態に係るサスペンション装置102には減衰力可変ダンパ1が備わる。
減衰力可変ダンパ1は、ナックル4を支持するサスペンションアーム3と車体2を接続するように備わり、サスペンションアーム3に下端を支持されるシリンダ8と、シリンダ8の内部で摺動するピストンヘッド9と、ピストンヘッド9の上方に延伸するピストンロッド10を含んで構成される。なお、シリンダ8の内部には減衰力を発生させるオイルが封入され、シリンダ8とピストンヘッド9とピストンロッド10を含んでダンパ1aが構成される。そして、ダンパ1aはサスペンションアーム3の振動によって伸縮し、シリンダ8に封入されるオイルの抵抗で発生する減衰力でサスペンションアーム3の振動を吸収する。
ピストンロッド10の上端にはコア11が取り付けられ、さらに、コア11を囲むようにコイル12が配置されてコア11とコイル12とでアクチュエータ5を形成する。アクチュエータ5は、コイル12に制御電流Icontとしての励磁電流が供給されると発生する磁力を負荷としてダンパ1aの減衰力を高める装置であり、減衰力可変ダンパ1の減衰力を変更可能な減衰力変更装置として機能する。
また、アクチュエータ5は、コイル12に供給される制御電流Icontの大きさによってダンパ1aの減衰力の大きさを調節可能に構成されることが好ましい。
コア11の上部は、ダンパマウントラバー6などの弾性体を介して車体2と接続される。このように第1の実施形態に係る減衰力可変ダンパ1は、シリンダ8、ピストンヘッド9、ピストンロッド10の他にアクチュエータ5およびダンパマウントラバー6を含んで構成され、ダンパ1aの定常状態からの変移(ダンパ変位)がダンパ変位センサ14によって計測される。ここでいう定常状態は、荷重がかからずにダンパ1aが伸縮していない状態のことでありダンパ変位がゼロの状態を示す。
また、車体2に発生する横加速度は横加速度検出手段である横加速度センサ15が計測し、車体2に発生する前後方向の加速度は前後加速度センサ16が計測するように構成されている。
さらにシリンダ8の外周には外側に向かって広がるフランジ部8aが形成され、フランジ部8aと車体2の間にはコイルバネ7が配設される。コイルバネ7は、例えば車輪101に発生する上下方向の振動を弾性力で吸収するように備わっている。
なお、符号20は減衰力可変ダンパ1を制御するダンパ制御装置である。ダンパ制御装置20の構成および機能の詳細は後記する。
図1に示すように減衰力可変ダンパ1とコイルバネ7を有して構成されるサスペンション装置102は、例えば図2に示すようにモデル化することができる。なお、図2に示すモデルは上方を正とする。
減衰力可変ダンパ1は、上方となる車体2(図1参照)側の質量であるバネ上質量Wt2と、下方で接地側となる車輪101側の質量であるバネ下質量Wt1の間でコイルバネ7とともにバネ上質量Wt2を弾性支持するように備わり、コイルバネ7が弾性要素となって減衰力可変ダンパ1が粘性要素となる。そして、粘性要素である減衰力可変ダンパ1の減衰力がアクチュエータ5(図1参照)によって変化可能に構成される。
図2に示すモデルにおいて、バネ上質量Wt2は車体2(図1参照)など、減衰力可変ダンパ1とコイルバネ7で支持される要素の質量に相当し、バネ下質量Wt1は、コイルバネ7および減衰力可変ダンパ1を介して車体2と接続される車輪101、ナックル4、サスペンションアーム3等の質量に相当する。
また、バネ下質量Wt1は車輪101と仮想的な弾性部材(仮想バネSP1)を介して接続される。仮想バネSP1はサスペンションアーム3の弾性等を含んだものである。
図2に示すモデルにおいて、ダンパ1a(図1参照)のダンパ変位はバネ上質量Wt2の変位X2からバネ下質量Wt1の変位X1を減算した変位差dXで示され、ダンパ1aが伸びているとき変位差dXが正になり、ダンパ1aが縮んでいるとき変位差dXが負になる。
したがって、ダンパ変位センサ14(図1参照)は、変位差dXを計測してその計測値を変位計測値STsnsとして出力する。
また、バネ上質量Wt2の上下方向の加速度は、バネ上加速度センサ13(図1参照)によって計測される。
バネ上質量Wt2の変位X2の微分値(d・X2/dt)は、バネ上質量Wt2の上下速度を示し、変位差dXの微分値(d・dX/dt)はダンパ1a(図1参照)が変位するときの速度(変位速度SV)を示す。
このようにサスペンション装置102に備わる減衰力可変ダンパ1は、伸縮しながらダンパ1a(図1参照)の減衰力で車輪101の振動を吸収し、車輪101の振動が車体2(図1参照)に伝達されることを抑制する。このときにダンパ1aが伸びきってダンパ変位が伸縮の限界に達してフルリバウンドしたり、ダンパ1aが縮みきってダンパ変位が伸縮の限界に達してフルバンプすると、図1に示すシリンダ8とピストンヘッド9の衝突による衝撃が発生して乗心地が悪化する。したがって、ダンパ1aがフルリバウンドやフルバンプすることを回避することが好ましい。
ダンパ1a(図1参照)のフルリバウンドやフルバンプは、例えば減衰力を高めることによって回避することができるが、ダンパ1aの減衰力を常に高い状態に維持すると車輪101(図1参照)の振動が車体2(図1参照)に伝達されて乗心地が悪化する。
また、図1のように構成されるダンパ1aの減衰力を高める場合、アクチュエータ5のコイル12(図1参照)に制御電流Icontとしての励磁電流を供給する必要があり、ダンパ1aの減衰力を常に高い状態に維持すると消費電力が増える。
そこで、第1の実施形態においては、ダンパ1a(図1参照)がフルリバウンドおよびフルバンプしやすい状態で車両100(図1参照)が走行するときの走行状態を特定走行状態とし、車両100が特定走行状態で走行するときのみダンパ1aの減衰力を高める構成とする。
例えば車両100が旋回する場合、車両100はロールして旋回内側の車輪101(図1参照)を支持するサスペンション装置102(図1参照)に備わる減衰力可変ダンパ1のダンパ1a(図1参照)は伸びてフルリバウンドしやすい状態になり、旋回外側の車輪101を支持するサスペンション装置102に備わる減衰力可変ダンパ1のダンパ1aは縮んでフルバンプしやすい状態になる。
そこで、第1の実施形態においては、車両100(図1参照)が旋回する状態を、ダンパ1aがフルリバウンドおよびフルバンプしやすい特定走行状態とする。そして、車両100が旋回するときにダンパ1aの減衰力を高めて、ダンパ1aが伸びてフルリバウンドすること、およびダンパ1aが縮んでフルバンプすることを回避する。
なお、第1の実施形態において、ダンパのフルリバウンドおよびフルバンプを防止するようにダンパ1aの減衰力を設定することは、ダンパ1aの減衰力を高めることである。
そこで、第1の実施形態に係る減衰力可変ダンパ1を、例えば図3に示すように、主に第1目標減衰力設定部20a、微分器20bを含んで構成されるダンパ制御装置20で制御するように構成する。そしてダンパ制御装置20には、ダンパ変位センサ14が計測するダンパ1a(図1参照)のダンパ変位の計測値(変位計測値STsns)と、横加速度センサ15が計測する横加速度の計測値(横加速度計測値G1sns)を入力する。
微分器20bは変位計測値STsnsを微分して変位速度SVを算出し、第1目標減衰力設定部20aには、変位計測値STsns、変位速度SV、および横加速度計測値G1snsを入力する構成とする。
第1目標減衰力設定部20aは、変位計測値STsns、変位速度SV、および横加速度計測値G1snsに基づいてダンパ1a(図1参照)の減衰力を設定するとともに、設定した減衰力をダンパ1aに発生させるためにアクチュエータ5のコイル12(図1参照)に供給する制御電流Icontを制御信号として設定する。
例えば第1目標減衰力設定部20aは、変位計測値STsnsと変位速度SVの少なくとも一方が所定の閾値を超えたときに制御電流Icontを設定する。
なお、減衰力可変ダンパ1は車両100(図1参照)に備わる4つの車輪101(図1参照)ごとに備わるため、車両100には4つの減衰力可変ダンパ1が備わる。したがって、ダンパ制御装置20には4つの第1目標減衰力設定部20aが備わり、減衰力可変ダンパ1のそれぞれに対する制御電流Icontを設定する構成となる。
図1に示すダンパ1aの減衰力は、アクチュエータ5のコイル12に供給される制御電流Icontによって設定されることから、第1目標減衰力設定部20aは変位計測値STsnsと変位速度SVに基づいてダンパ1aに設定する減衰力を決定し、さらに、決定した減衰力をダンパ1aに設定するためにアクチュエータ5のコイル12に供給する制御電流Icontを設定する。
このため第1目標減衰力設定部20aは、図3に示すように制御信号設定部21aと走行状態判定部21bとを有し、制御信号設定部21aは、例えば、変位計測値STsnsと変位速度SVに基づいて、予め設定されるマップを参照して制御信号(制御電流Icont)を設定する。また、走行状態判定部21bは、横加速度計測値G1snsに基づいて車両100(図1参照)が旋回しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて車両状態信号Vsigを発生する。車両状態信号Vsigは、少なくとも、車両100が旋回しているか否かの2現象を示すことが可能な信号であればよい。
また制御信号設定部21aは、図4の(a)に示すように変位計測値STsnsと変位速度SVとアクチュエータ5を制御する制御信号(制御電流IcontI1〜I3)の関係を示す第1のマップ(電流設定マップMP1)を備える。
図4の(a)に示す電流設定マップMP1は、変位計測値STsnsが等しい場合は変位速度SVが高いほど設定される制御電流Icontが高く、変位速度SVが等しい場合は変位計測値STsnsが高いほど設定される制御電流Icontが高いことを示す。つまり、電流設定マップMP1のI1(実線)〜I3(一点鎖線)は制御電流Icontに設定される電流値を示し、「I1<I2<I3」の関係がある。そして、電流値I1より小さい領域(原点0と電流値I1を示す実線の間の領域)は電流値がゼロの領域を示す。
また、変位計測値STsnsと変位速度SVがともに正の象限(図中右上の象限)は伸び側の減衰力可変ダンパ1に設定する電流値を示し、変位計測値STsnsと変位速度SVがともに負の象限(図中左下の象限)は縮み側の減衰力可変ダンパ1に設定する電流値を示す。
図3に示す制御信号設定部21aは、ダンパ変位センサ14から入力される変位計測値STsnsと微分器20bから入力される変位速度SVに応じて電流設定マップMP1を参照して制御電流Icontを設定する。例えば図4の(a)に示すように変位速度SVがSV1の場合に変位計測値STsnsがST1であれば(点P1)、制御信号設定部21aは制御電流Icontを電流値I1に設定する。また、変位速度SVがSV1の場合に変位計測値STsnsがST1より小さいST3であれば(点P3)、制御信号設定部21aは制御電流Icontをゼロに設定する。そして、変位速度SVがSV1の場合に変位計測値STsnsがST1より大きければ制御信号設定部21aは、電流設定マップMP1上で変位計測値STsns対する電流値を制御電流Icontに設定する。例えば、変位計測値STsnsがST2であれば(点P2)、制御信号設定部21aは制御電流Icontを電流値I2に設定する。
つまり、電流設定マップMP1で電流値I1を示す実線は、変位速度SVに応じて制御電流Icontを設定する閾値を示す線であり、変位計測値STsnsが実線で示される閾値を超えた場合、電流値I1以上の制御電流Icontが設定される。
さらに第1の実施形態に係る制御信号設定部21aは、走行状態判定部21bが車両100(図1参照)が旋回していると判定したときに参照して制御電流Icontを設定する第2のマップとして、図4の(b)に示す旋回時電流設定マップMP2を備える。
制御信号設定部21aは、車両100が旋回しているときには減衰力可変ダンパ1のダンパ1a(図1参照)がフルリバウンドおよびフルバンプしやすい状態と判定し、図4の(a)に示す電流設定マップMP1と異なる旋回時電流設定マップMP2を、入力される変位計測値STsnsと変位速度SVに応じて参照して制御電流Icontを設定するように構成される。
旋回時電流設定マップMP2は、電流設定マップMP1に比べて変位計測値STsnsに対する電流値が大きく設定されるマップである。
したがって、変位速度SVがSV1で変位計測値STsnsがST1である点P1の場合、制御信号設定部21aが電流設定マップMP1を参照すると制御電流Icontとして電流値I1が設定されるが、制御信号設定部21aが旋回時電流設定マップMP2を参照すると制御電流Icontとして電流値I2が設定される。このように旋回時電流設定マップMP2は電流設定マップMP1に比べて同じ変位計測値STsnsで大きな制御電流Icontが設定される。また、変位速度SVがSV1で変位計測値STsnsがST1より小さいST3である点P3の場合、制御信号設定部21aが旋回時電流設定マップMP2を参照すると制御電流Icontとして電流値I1が設定されるが、制御信号設定部21aが電流設定マップMP1を参照すると制御電流Icontがゼロになる。すなわち、制御電流Icontが設定されない。
このことから旋回時電流設定マップMP2は、制御信号設定部21aが制御電流Icontを設定する変位計測値STsnsの閾値を小さくするマップといえる。そして、制御信号設定部21aは旋回時電流設定マップMP2を参照することによって、制御電流Icontを設定する変位計測値STsnsの閾値を小さくすることになる。
また、第2のマップとして、図4の(b)に示す旋回時電流設定マップMP2に替えて、図4の(c)に示す電流・ゲイン設定マップMP3を備える構成としてもよい。
電流・ゲイン設定マップMP3は、旋回時電流設定マップMP2と同様に、電流設定マップMP1に比べて制御電流Icontを設定する変位計測値STsnsの閾値を小さくして変位計測値STsnsに対する電流値を大きく設定するとともに、変位計測値STsnsの増加に対する電流値の増加率が電流設定マップMP1より大きく設定されるマップである。
例えば、変位速度SVがSV1で変位計測値STsnsがST1である点P1の場合、制御信号設定部21aが旋回時電流設定マップMP2を参照すると制御電流Icontとして電流値I2が設定されるが、制御信号設定部21aが電流・ゲイン設定マップMP3を参照すると制御電流Icontとして電流値I3が設定される。
このように、電流・ゲイン設定マップMP3は、変位計測値STsnsが閾値より大きな領域では、変位計測値STsnsの増加に対する制御電流Icontの電流値の増加率が電流設定マップMP1や旋回時電流設定マップMP2より大きく、変位計測値STsnsの増加にともなって速やかに制御電流Icontの電流値を高め、ダンパ1aの減衰力を高めることができる。
つまり、電流・ゲイン設定マップMP3は、ダンパ1aの、変位(変位計測値STsns)の変化に対する減衰力の変化率を大きくして減衰力を設定するマップである。
一方、図4の(b)に示す旋回時電流設定マップMP2は、変位計測値STsnsの増加に対する制御電流Icontの電流値の増加率を変えることなく、制御電流Icontを設定する変位計測値STsnsの閾値のみを電流設定マップMP1より小さくするマップであり、ダンパ1aの、変位(変位計測値STsns)の変化に対する減衰力の変化率を変えることなく減衰力を設定するマップである。
このような構成によって、制御信号設定部21a(図3参照)は、車両100(図1参照)が旋回しているとき、すなわち、車両100が特定走行状態で走行していると走行状態判定部21bが判定したとき、旋回時電流設定マップMP2(図4の(b)参照)または電流・ゲイン設定マップMP3(図4の(c)参照)を参照することによって制御電流Icontを設定する閾値を小さくすることができる。
また、第2のマップとして電流・ゲイン設定マップMP3が備わる場合、制御信号設定部21aは車両100が特定走行状態で走行しているときは、車両100が特定走行状態で走行していないとき(車両100が特定走行状態で走行していないと走行状態判定部21bが判定するとき)より、変位計測値STsnsの変化に対する減衰力の変化率(制御電流Icontの電流値の変化率)を大きくできる。
第1の実施形態に係る制御信号設定部21a(図3参照)は、走行状態判定部21b(図3参照)から入力される車両状態信号Vsigに応じて、参照するマップを電流設定マップMP1(図4の(a)参照)と旋回時電流設定マップMP2(図4の(b)参照)または電流・ゲイン設定マップMP3(図4の(c)参照)とで切り替えて制御電流Icontを設定する。具体的に制御信号設定部21aは、車両状態信号Vsigが旋回中を示す場合、入力される変位計測値STsnsと変位速度SVに応じて旋回時電流設定マップMP2または電流・ゲイン設定マップMP3を参照して制御電流Icontを設定し、車両状態信号Vsigが旋回中以外を示す場合は、入力される変位計測値STsnsと変位速度SVに応じて電流設定マップMP1を参照して制御電流Icontを設定する。
また、第1の実施形態に係る走行状態判定部21b(図3参照)は、横加速度センサ15(図3参照)から入力される横加速度計測値G1snsに基づいて車両100(図1参照)が旋回していることを判定する。
例えば図5の(a)に示すように車両100がレーンチェンジする場合、車両100は左右に旋回して車両100に発生する横加速度(横G)の計測値(横加速度計測値G1sns)が図5の(b)に示すように変化する。図5の(b)に記載される(1)〜(5)は、図5の(a)に示す状態(1)〜状態(5)に対応している。
車両100が直進している状態(1)の場合、車両100に横Gは発生せず横加速度センサ15が計測する横加速度計測値G1snsはゼロになる。そして車両100が右方向に旋回する状態(2)では車両100に横Gが発生して横加速度計測値G1snsが横Gの値を示す。その後車両100が直進する状態(3)では車両100の横Gと横加速度計測値G1snsがゼロになる。そして、車両100が左方向に旋回する状態(4)では車両100に状態(2)と逆方向の横Gが発生して横加速度計測値G1snsが横Gの値を示し、車両100が直進する状態(5)では車両100の横Gと横加速度計測値G1snsがゼロになる。
例えば走行状態判定部21bは、車両100がレーンチェンジする間、すなわち図5の(b)に(1)〜(5)で示される期間を、車両100が旋回している状態と判定する構成としてもよい。しかしながら、車両100が旋回している状態はダンパ1a(図1参照)の減衰力が高くなっている状態であって乗心地が悪化する状態である。したがって、この状態は短いほうが好ましい。
そこで、ダンパ1aが最もフルリバウンドおよびフルバンプしやすい状態のときを車両100の旋回状態と判定する構成がより好ましい。この構成によってダンパ1aの減衰力が高くなっている状態を短くすることができ乗心地が悪化する状態を短くできる。したがって、乗心地の悪化を軽減できる。
旋回する車両100においては、車両100のロール角が最大のときに旋回内側の車輪101(図1参照)に備わる減衰力可変ダンパ1のダンパ1a(図1参照)が最も伸びてフルリバウンドしやすい状態になり、旋回外側の車輪101に備わる減衰力可変ダンパ1のダンパ1aが最も縮んでフルバンプしやすい状態になることがわかっている。
そこで、第1の実施形態に係る走行状態判定部21bは、旋回する車両100のロール角が最大の状態を検出し、ロール角が最大になるときを車両100の旋回状態と判定するように構成することが好適である。
旋回する車両100のロール角は、車両100に発生する横Gと同じ位相で発生することから、車両100に発生する横Gが最大のときにロール角が最大となる。したがって、図5の(b)に実線で示すように横加速度計測値G1snsが変化する場合、横加速度計測値G1snsが最大となる点で車両100のロール角が最大になる。
しかしながら、横加速度計測値G1snsが最大になったときに走行状態判定部21bが車両100の旋回を判定する構成とすると、走行状態判定部21bが車両100の旋回を判定した時点でロール角が最大になっているため、制御信号設定部21aが走行状態判定部21bの判定に基づいてアクチュエータ5のコイル12(図1参照)に制御電流Icontを供給しても、ロール角が最大のときにダンパ1aの減衰力を高くできない。
そこで、第1の実施形態に係る走行状態判定部21bは、横加速度計測値G1snsを時間微分した微分値(横加速度微分値(d・G1sns/dt))を算出し、横加速微分値の絶対値が減少し始めてからゼロになるまでの間、車両100が旋回していると判定する。例えば、図5の(b)に示すas点からae点まで、および、bs点からbe点までの間、走行状態判定部21bは車両100が旋回していると判定し、車両100が旋回していることを示す車両状態信号Vsigを出力する。つまり、走行状態判定部21bは、横加速度計測値G1snsの微分値の絶対値が減少し始めてからゼロになるまでの間、車両100が旋回(特定走行状態で走行)していると判定する。
この構成によって、横加速度計測値G1snsが最大でロール角が最大となる状態に先んじて制御信号設定部21aがアクチュエータ5のコイル12(図1参照)に制御電流Icontを供給することができ、ロール角が最大となる状態のときにダンパ1a(図1参照)の減衰力を高めることができる。したがって、ダンパ1aが最もフルリバウンドやフルバンプしやすい状態のときにダンパ1aの減衰力を高めることができ、ダンパ1aがフルリバウンドやフルバンプすることを回避できる。
さらに、ロール角が最大となる状態のときに限定してダンパ1aの減衰力を高めることができ、乗心地が悪化する状態の継続時間を短くできる。したがって、乗心地の悪化を軽減できる。
このように第1の実施形態に係る減衰力可変ダンパ1(図1参照)は、車両100(図1参照)が旋回しているときには、アクチュエータ5のコイル12(図1参照)に供給する制御電流Icontを設定する閾値を小さくして、ダンパ1aのダンパ変位が小さい状態でダンパ1aの減衰力を高めることができる。したがって、ダンパ1aがフルリバウンドやフルバンプすることを回避できる。
また、車両100(図1参照)が旋回しているときにダンパ1a(図1参照)のダンパ変位が閾値より大きな場合は、車両100が旋回していないときに比べて、ダンパ変位の増加に対する電流値の増加率を大きくすることができ、ダンパ変位の増加にともなって速やかにダンパ1aの減衰力を高めることができる。したがって、ダンパ1aがフルリバウンドやフルバンプすることを回避できる。
さらに、車両100(図1参照)が旋回するなどしてダンパ1a(図1参照)のダンパ変位が最大になるときのみダンパ1aの減衰力を高めることができ、ダンパ1aがフルリバウンドやフルバンプすることを回避できるとともに、ダンパ1aの減衰力を高めることによって乗心地が悪化する状態を短くできる。したがって、乗心地の悪化を好適に軽減できる。
なお、図4の(a)に示す電流設定マップMP1、図4の(b)に示す旋回時電流設定マップMP2および図4の(c)に示す電流・ゲイン設定マップMP3は一例を示したものであって、電流値をI1〜I3の3段階で設定することに限定するものではない。例えば電流値を4段階以上で設定する電流設定マップMP1、旋回時電流設定マップMP2、電流・ゲイン設定マップMP3であってもよいし、電流値を2段階以下で設定する電流設定マップMP1、旋回時電流設定マップMP2、電流・ゲイン設定マップMP3であってもよい。
また、電流値I1を示す実線と電流値I2を示す破線の間の領域は、電流値I1を示す領域であってもよいし、電流値I1から電流値I2に向かって徐々に高くなる領域であってもよい。電流値I1を示す実線と電流値I2を示す破線の間の領域が電流値I1から電流値I2に向かって徐々に高くなる領域を示す場合、例えば図4の(a)に示す点P1が電流値I1を示す実線と電流値I2を示す破線の間にあるときに制御信号設定部21aは、比例配分等によって制御電流Icontの電流値を設定することができる。電流値I2を示す破線と電流値I3を示す一点鎖線の間の領域も同様である。
《第2の実施形態》
本発明の第2の実施形態は、減衰力可変ダンパ1(図1参照)を制御するダンパ制御装置の構成が第1の実施形態に係るダンパ制御装置20と異なっている。
図6に示すように、第2の実施形態に係るダンパ制御装置30は、第1目標減衰力設定部30a、微分器30bに加えて、バネ下目標減衰力設定部30cとハイレベルセレクタ30dを備え、図1に示すダンパ制御装置20に替わって減衰力可変ダンパ1を制御する。
第1目標減衰力設定部30a、微分器30bは、図3に示すダンパ制御装置20の第1目標減衰力設定部20a、微分器20bと同等に機能する。
また、バネ下目標減衰力設定部30cには、ダンパ変位センサ14が計測する変位計測値STsnsと、微分器30bが変位計測値STsnsを微分して算出する変位速度SVが入力される。
バネ下目標減衰力設定部30cは、図2に示すバネ下質量Wt1の振動を制御(制振)してバネ下質量Wt1の共振を抑える制御信号を設定するために設けられる第2目標減衰力設定部であり、ゲイン発生器31aと、乗算器31bと、出力補正器31cと、を含んで構成される。ゲイン発生器31aは予め設定される制御ゲインK1を発生し、乗算器31bは、変位計測値STsnsと変位速度SVと制御ゲインK1を乗算して補正前制御信号(電流)を生成して出力補正器31cに入力する。
なお、制御ゲインK1は、減衰力可変ダンパ1に要求される仕様や構成によって予め決定される特性値である。また、バネ下目標減衰力設定部30cは、第1目標減衰力設定部20a(図3参照)と同様、アクチュエータ5のコイル12(図1参照)に供給する制御信号を設定することでバネ下質量Wt1を制振する減衰力を設定することになる。
出力補正器31cは、過大な制御信号がバネ下目標減衰力設定部30cから出力されないように補正前制御信号(電流)を補正する機能を有し、第2の実施形態においては、入力値の対数を出力するように構成される。すなわち、入力信号INに対してlog(IN)に比例した値を出力する。なお、出力補正器31cが出力する制御信号は、アクチュエータ5のコイル12(図1参照)に供給するバネ下制御電流Ibである。
このようにバネ下目標減衰力設定部30cは、入力値の対数を出力する出力補正器31cを備えることによって、乗算器31bが出力する補正前制御信号の変化に対して対数変化するようにバネ下制御電流Ibを設定できる。そして、この構成によって、乗算器31bが出力する補正前制御信号が過大な値になった場合であってもバネ下制御電流Ibが過大になることを防止できる。
第1目標減衰力設定部30aは、図3に示す、第1の実施形態に係る第1目標減衰力設定部20aと同じ構成であり、変位計測値STsns、変位速度SV、および横加速度計測値G1snsに基づいて、減衰力可変ダンパ1を制御する制御信号として減衰力制御電流Iaを出力する。
そして、バネ下目標減衰力設定部30cが設定して出力するバネ下制御電流Ibと第1目標減衰力設定部30aが設定して出力する減衰力制御電流Iaはハイレベルセレクタ30dに入力される。ハイレベルセレクタ30dは、入力されたバネ下制御電流Ibと減衰力制御電流Iaの大きな一方を選択して制御電流Icontとして出力し、アクチュエータ5のコイル12(図1参照)に供給する選択手段である。
バネ下制御電流Ibはバネ下目標減衰力設定部30cが設定する減衰力に相当し、減衰力制御電流Iaは第1目標減衰力設定部30aが設定する減衰力に相当することから、ハイレベルセレクタ30dは、バネ下目標減衰力設定部30cが設定する減衰力と第1目標減衰力設定部30aが設定する減衰力の大きな一方を選択してダンパ1a(図1参照)の減衰力とする選択手段になる。
このように構成されるダンパ制御装置30は、バネ下目標減衰力設定部30cが出力するバネ下制御電流Ibが第1目標減衰力設定部30aが出力する減衰力制御電流Iaより大きい場合、アクチュエータ5のコイル12(図1参照)に供給される制御電流Icontとしてバネ下制御電流Ibを選択する。したがって、車両100(図1参照)が旋回中など、ダンパ1a(図1参照)がフルリバウンドやフルバンプしやすい特定走行状態のときに第1目標減衰力設定部30aが出力する減衰力制御電流Iaより大きなバネ下制御電流Ibがアクチュエータ5のコイル12に供給されることから、ダンパ1aの減衰力を好適に高めることができ、ダンパ1aがフルリバウンドやフルバンプすることを回避できる。
さらに、乗算器31b(図6参照)で算出される補正前制御信号の変化に対して制御電流Icontが対数変化するため、ダンパ1a(図1参照)がフルリバウンドやフルバンプすることを回避するのに必要な電流値より高い範囲で電流値を小さく抑えることができ、ダンパ1aの減衰力の高まりを必要最低限に抑えることができる。したがって搭乗者の乗心地の悪化を軽減できる。
なお、第2の実施形態の変形例として、図7に示すように、ロール姿勢制御部およびピッチ姿勢制御部を含んだロール/ピッチ姿勢制御部30eとスカイフック乗心地制御部30fを備え、第1目標減衰力設定部30aが出力する減衰力制御電流Iaと、バネ下目標減衰力設定部30cが出力するバネ下制御電流Ibと、ロール/ピッチ姿勢制御部30eが出力するロール/ピッチ制御電流Icと、スカイフック乗心地制御部30fが出力するスカイフック制御電流Idと、のうちで最大の電流を制御電流Icontとして出力する構成としてもよい。
スカイフック乗心地制御部30fの構成およびスカイフック制御電流Idの算出方法と、ロール姿勢制御部やピッチ姿勢制御部の構成およびロール/ピッチ制御電流Icの算出方法は、例えば本願出願人が先に出願した特開2006−69527号公報に記載された技術を利用することができる。
このように構成されるダンパ制御装置30であっても、車両100(図1参照)が旋回中などダンパ1a(図1参照)がフルリバウンドやフルバンプしやすい特定走行状態にあるときに第1目標減衰力設定部30aが出力する減衰力制御電流Ia以上の制御電流Icontをアクチュエータ5のコイル12(図1参照)に供給することができ、ダンパ1aがフルリバウンドやフルバンプすることを回避できる。
さらに、スカイフック制御やロール/ピッチ制御の要素を加えることができ乗心地を向上できる。
なお、本発明は発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。図2に示す走行状態判定部21bは横加速度センサ15から入力される横加速度計測値G1snsに基づいて車両100(図1参照)の旋回を判定する構成としたが、例えば図示しない操向ハンドルの舵角に基づいて車両100の旋回を判定する構成としてもよいし、車両100に発生するヨーレートに基づいて車両100の旋回を判定する構成としてもよい。
また、図1に示すダンパ1aの減衰力を変更する減衰力変更装置も、コイル12とコア11を有するアクチュエータ5を備える構成に限定するものではない。例えば、シリンダ8内に備わってシリンダ8に封入されているオイルが流通するオリフィスの径を変化させ、オイルの抵抗を変化させて減衰力を変更する構成であってもよい。
1 減衰力可変ダンパ
1a ダンパ
2 車体
5 アクチュエータ(減衰力変更装置)
8 シリンダ
9 ピストンヘッド
15 横加速度センサ(横加速度検出手段)
20,30 ダンパ制御装置
20a,30a 第1目標減衰力設定部
21b 走行状態判定部
30c バネ下目標減衰力設定部(第2目標減衰力設定部)
30d ハイレベルセレクタ(選択手段)
31c 出力補正器
100 車両
101 車輪
102 サスペンション装置
Wt1 バネ下質量
Wt2 バネ上質量

Claims (5)

  1. 車体に車輪を支持するサスペンション装置に備わって伸縮して振動を減衰するダンパと、
    前記ダンパの減衰力を変更可能な減衰力変更装置と、を含んで構成される減衰力可変ダンパを制御し、
    前記ダンパの定常状態からの変位であるダンパ変位が所定の閾値を超えたときに、前記ダンパのフルリバウンドおよびフルバンプを防止するように前記ダンパの減衰力を設定する第1目標減衰力設定部と、
    前記ダンパが前記定常状態から伸びてフルリバウンドしやすい状態、または前記ダンパが前記定常状態から縮んでフルバンプしやすい状態となって車両が走行する特定走行状態であることを判定する走行状態判定部と、を備えるダンパ制御装置であって、
    前記第1目標減衰力設定部は、前記車両が前記特定走行状態で走行していると前記走行状態判定部が判定したときに前記閾値を小さくすることを特徴とするダンパ制御装置。
  2. 前記第1目標減衰力設定部は、前記ダンパが変位するときの速度および前記ダンパ変位に基づいて前記ダンパの減衰力を設定し、
    前記車両が前記特定走行状態で走行していると前記走行状態判定部が判定した場合に前記ダンパ変位が前記閾値を超えたときは、
    前記車両が前記特定走行状態で走行していないと前記走行状態判定部が判定するときよりも、前記ダンパ変位の変化に対する前記ダンパの減衰力の変化率を大きくして前記ダンパの減衰力を設定することを特徴とする請求項1に記載のダンパ制御装置。
  3. 前記走行状態判定部は、
    前記車両が旋回するときに前記車両が前記特定走行状態で走行していると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のダンパ制御装置。
  4. 前記走行状態判定部は、
    横加速度検出手段が検出する前記車両の横加速度を時間微分して横加速度微分値を算出し、
    前記横加速度微分値の絶対値が減少し始めてからゼロになるまでの間、前記車両が前記特定走行状態で走行していると判定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のダンパ制御装置。
  5. 前記ダンパの接地側を制振する減衰力を設定する第2目標減衰力設定部と、
    前記第1目標減衰力設定部が設定する減衰力と前記第2目標減衰力設定部が設定する減衰力の大きな一方を選択して前記ダンパの減衰力とする選択手段と、をさらに備え、
    前記第2目標減衰力設定部は、前記ダンパ変位の変化および前記ダンパが変位するときの速度の変化に対して対数変化するように減衰力を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のダンパ制御装置。
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