JP2012001160A - ダンパ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車体に車輪を支持するサスペンション装置に備わる減衰力可変ダンパ1を制御し、ダンパ変位が所定の閾値を超えたときに、フルリバウンドやフルバンプなどダンパ変位が伸縮の限界に達することを防止するようにダンパの減衰力を設定する第1目標減衰力設定部20aと、ダンパがフルリバウンドしやすい状態、またはダンパがフルバンプしやすい状態となって車両が走行する特定走行状態であることを判定する走行状態判定部21bと、を備えるダンパ制御装置20とする。そして、第1目標減衰力設定部20aは、車両が特定走行状態で走行していると走行状態判定部21bが判定したときに閾値を小さくすることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
特許文献1に開示される技術によると、車両の走行状態を検出するとともに検出した走行状態に応じて車両の姿勢変化を予測し、予測した姿勢変化に応じて減衰力可変式ショックアブソーバの減衰係数を変化して乗心地を向上することができる。
例えば、伸び側のショックアブソーバが路面等の状態によってさらに伸びる状態になるとショックアブソーバが伸縮の限界まで伸びてフルリバウンドする場合がある。同様に、縮み側のショックアブソーバは伸縮の限界まで縮んでフルバンプする場合がある。そして、ショックアブソーバがフルリバウンドやフルバンプするとショックアブソーバを構成するシリンダとピストンが衝突して衝撃が発生し、搭乗者が衝撃によるショックや衝撃音を感じて乗心地が悪化するという問題がある。
以下、本発明を実施するための第1の実施形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、車両100の車輪101はサスペンション装置102によって車体2に弾性支持され、第1の実施形態に係るサスペンション装置102には減衰力可変ダンパ1が備わる。
減衰力可変ダンパ1は、ナックル4を支持するサスペンションアーム3と車体2を接続するように備わり、サスペンションアーム3に下端を支持されるシリンダ8と、シリンダ8の内部で摺動するピストンヘッド9と、ピストンヘッド9の上方に延伸するピストンロッド10を含んで構成される。なお、シリンダ8の内部には減衰力を発生させるオイルが封入され、シリンダ8とピストンヘッド9とピストンロッド10を含んでダンパ1aが構成される。そして、ダンパ1aはサスペンションアーム3の振動によって伸縮し、シリンダ8に封入されるオイルの抵抗で発生する減衰力でサスペンションアーム3の振動を吸収する。
また、アクチュエータ5は、コイル12に供給される制御電流Icontの大きさによってダンパ1aの減衰力の大きさを調節可能に構成されることが好ましい。
また、車体2に発生する横加速度は横加速度検出手段である横加速度センサ15が計測し、車体2に発生する前後方向の加速度は前後加速度センサ16が計測するように構成されている。
減衰力可変ダンパ1は、上方となる車体2(図1参照)側の質量であるバネ上質量Wt2と、下方で接地側となる車輪101側の質量であるバネ下質量Wt1の間でコイルバネ7とともにバネ上質量Wt2を弾性支持するように備わり、コイルバネ7が弾性要素となって減衰力可変ダンパ1が粘性要素となる。そして、粘性要素である減衰力可変ダンパ1の減衰力がアクチュエータ5(図1参照)によって変化可能に構成される。
また、バネ下質量Wt1は車輪101と仮想的な弾性部材(仮想バネSP1)を介して接続される。仮想バネSP1はサスペンションアーム3の弾性等を含んだものである。
したがって、ダンパ変位センサ14(図1参照)は、変位差dXを計測してその計測値を変位計測値STsnsとして出力する。
また、バネ上質量Wt2の上下方向の加速度は、バネ上加速度センサ13(図1参照)によって計測される。
また、図1のように構成されるダンパ1aの減衰力を高める場合、アクチュエータ5のコイル12(図1参照)に制御電流Icontとしての励磁電流を供給する必要があり、ダンパ1aの減衰力を常に高い状態に維持すると消費電力が増える。
例えば車両100が旋回する場合、車両100はロールして旋回内側の車輪101(図1参照)を支持するサスペンション装置102(図1参照)に備わる減衰力可変ダンパ1のダンパ1a(図1参照)は伸びてフルリバウンドしやすい状態になり、旋回外側の車輪101を支持するサスペンション装置102に備わる減衰力可変ダンパ1のダンパ1aは縮んでフルバンプしやすい状態になる。
なお、第1の実施形態において、ダンパのフルリバウンドおよびフルバンプを防止するようにダンパ1aの減衰力を設定することは、ダンパ1aの減衰力を高めることである。
微分器20bは変位計測値STsnsを微分して変位速度SVを算出し、第1目標減衰力設定部20aには、変位計測値STsns、変位速度SV、および横加速度計測値G1snsを入力する構成とする。
例えば第1目標減衰力設定部20aは、変位計測値STsnsと変位速度SVの少なくとも一方が所定の閾値を超えたときに制御電流Icontを設定する。
また、変位計測値STsnsと変位速度SVがともに正の象限(図中右上の象限)は伸び側の減衰力可変ダンパ1に設定する電流値を示し、変位計測値STsnsと変位速度SVがともに負の象限(図中左下の象限)は縮み側の減衰力可変ダンパ1に設定する電流値を示す。
制御信号設定部21aは、車両100が旋回しているときには減衰力可変ダンパ1のダンパ1a(図1参照)がフルリバウンドおよびフルバンプしやすい状態と判定し、図4の(a)に示す電流設定マップMP1と異なる旋回時電流設定マップMP2を、入力される変位計測値STsnsと変位速度SVに応じて参照して制御電流Icontを設定するように構成される。
旋回時電流設定マップMP2は、電流設定マップMP1に比べて変位計測値STsnsに対する電流値が大きく設定されるマップである。
電流・ゲイン設定マップMP3は、旋回時電流設定マップMP2と同様に、電流設定マップMP1に比べて制御電流Icontを設定する変位計測値STsnsの閾値を小さくして変位計測値STsnsに対する電流値を大きく設定するとともに、変位計測値STsnsの増加に対する電流値の増加率が電流設定マップMP1より大きく設定されるマップである。
つまり、電流・ゲイン設定マップMP3は、ダンパ1aの、変位(変位計測値STsns)の変化に対する減衰力の変化率を大きくして減衰力を設定するマップである。
また、第2のマップとして電流・ゲイン設定マップMP3が備わる場合、制御信号設定部21aは車両100が特定走行状態で走行しているときは、車両100が特定走行状態で走行していないとき(車両100が特定走行状態で走行していないと走行状態判定部21bが判定するとき)より、変位計測値STsnsの変化に対する減衰力の変化率(制御電流Icontの電流値の変化率)を大きくできる。
例えば図5の(a)に示すように車両100がレーンチェンジする場合、車両100は左右に旋回して車両100に発生する横加速度(横G)の計測値(横加速度計測値G1sns)が図5の(b)に示すように変化する。図5の(b)に記載される(1)〜(5)は、図5の(a)に示す状態(1)〜状態(5)に対応している。
そこで、ダンパ1aが最もフルリバウンドおよびフルバンプしやすい状態のときを車両100の旋回状態と判定する構成がより好ましい。この構成によってダンパ1aの減衰力が高くなっている状態を短くすることができ乗心地が悪化する状態を短くできる。したがって、乗心地の悪化を軽減できる。
そこで、第1の実施形態に係る走行状態判定部21bは、旋回する車両100のロール角が最大の状態を検出し、ロール角が最大になるときを車両100の旋回状態と判定するように構成することが好適である。
さらに、ロール角が最大となる状態のときに限定してダンパ1aの減衰力を高めることができ、乗心地が悪化する状態の継続時間を短くできる。したがって、乗心地の悪化を軽減できる。
また、電流値I1を示す実線と電流値I2を示す破線の間の領域は、電流値I1を示す領域であってもよいし、電流値I1から電流値I2に向かって徐々に高くなる領域であってもよい。電流値I1を示す実線と電流値I2を示す破線の間の領域が電流値I1から電流値I2に向かって徐々に高くなる領域を示す場合、例えば図4の(a)に示す点P1が電流値I1を示す実線と電流値I2を示す破線の間にあるときに制御信号設定部21aは、比例配分等によって制御電流Icontの電流値を設定することができる。電流値I2を示す破線と電流値I3を示す一点鎖線の間の領域も同様である。
本発明の第2の実施形態は、減衰力可変ダンパ1(図1参照)を制御するダンパ制御装置の構成が第1の実施形態に係るダンパ制御装置20と異なっている。
図6に示すように、第2の実施形態に係るダンパ制御装置30は、第1目標減衰力設定部30a、微分器30bに加えて、バネ下目標減衰力設定部30cとハイレベルセレクタ30dを備え、図1に示すダンパ制御装置20に替わって減衰力可変ダンパ1を制御する。
第1目標減衰力設定部30a、微分器30bは、図3に示すダンパ制御装置20の第1目標減衰力設定部20a、微分器20bと同等に機能する。
バネ下目標減衰力設定部30cは、図2に示すバネ下質量Wt1の振動を制御(制振)してバネ下質量Wt1の共振を抑える制御信号を設定するために設けられる第2目標減衰力設定部であり、ゲイン発生器31aと、乗算器31bと、出力補正器31cと、を含んで構成される。ゲイン発生器31aは予め設定される制御ゲインK1を発生し、乗算器31bは、変位計測値STsnsと変位速度SVと制御ゲインK1を乗算して補正前制御信号(電流)を生成して出力補正器31cに入力する。
なお、制御ゲインK1は、減衰力可変ダンパ1に要求される仕様や構成によって予め決定される特性値である。また、バネ下目標減衰力設定部30cは、第1目標減衰力設定部20a(図3参照)と同様、アクチュエータ5のコイル12(図1参照)に供給する制御信号を設定することでバネ下質量Wt1を制振する減衰力を設定することになる。
バネ下制御電流Ibはバネ下目標減衰力設定部30cが設定する減衰力に相当し、減衰力制御電流Iaは第1目標減衰力設定部30aが設定する減衰力に相当することから、ハイレベルセレクタ30dは、バネ下目標減衰力設定部30cが設定する減衰力と第1目標減衰力設定部30aが設定する減衰力の大きな一方を選択してダンパ1a(図1参照)の減衰力とする選択手段になる。
さらに、スカイフック制御やロール/ピッチ制御の要素を加えることができ乗心地を向上できる。
1a ダンパ
2 車体
5 アクチュエータ(減衰力変更装置)
8 シリンダ
9 ピストンヘッド
15 横加速度センサ(横加速度検出手段)
20,30 ダンパ制御装置
20a,30a 第1目標減衰力設定部
21b 走行状態判定部
30c バネ下目標減衰力設定部(第2目標減衰力設定部)
30d ハイレベルセレクタ(選択手段)
31c 出力補正器
100 車両
101 車輪
102 サスペンション装置
Wt1 バネ下質量
Wt2 バネ上質量
Claims (5)
- 車体に車輪を支持するサスペンション装置に備わって伸縮して振動を減衰するダンパと、
前記ダンパの減衰力を変更可能な減衰力変更装置と、を含んで構成される減衰力可変ダンパを制御し、
前記ダンパの定常状態からの変位であるダンパ変位が所定の閾値を超えたときに、前記ダンパのフルリバウンドおよびフルバンプを防止するように前記ダンパの減衰力を設定する第1目標減衰力設定部と、
前記ダンパが前記定常状態から伸びてフルリバウンドしやすい状態、または前記ダンパが前記定常状態から縮んでフルバンプしやすい状態となって車両が走行する特定走行状態であることを判定する走行状態判定部と、を備えるダンパ制御装置であって、
前記第1目標減衰力設定部は、前記車両が前記特定走行状態で走行していると前記走行状態判定部が判定したときに前記閾値を小さくすることを特徴とするダンパ制御装置。 - 前記第1目標減衰力設定部は、前記ダンパが変位するときの速度および前記ダンパ変位に基づいて前記ダンパの減衰力を設定し、
前記車両が前記特定走行状態で走行していると前記走行状態判定部が判定した場合に前記ダンパ変位が前記閾値を超えたときは、
前記車両が前記特定走行状態で走行していないと前記走行状態判定部が判定するときよりも、前記ダンパ変位の変化に対する前記ダンパの減衰力の変化率を大きくして前記ダンパの減衰力を設定することを特徴とする請求項1に記載のダンパ制御装置。 - 前記走行状態判定部は、
前記車両が旋回するときに前記車両が前記特定走行状態で走行していると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のダンパ制御装置。 - 前記走行状態判定部は、
横加速度検出手段が検出する前記車両の横加速度を時間微分して横加速度微分値を算出し、
前記横加速度微分値の絶対値が減少し始めてからゼロになるまでの間、前記車両が前記特定走行状態で走行していると判定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のダンパ制御装置。 - 前記ダンパの接地側を制振する減衰力を設定する第2目標減衰力設定部と、
前記第1目標減衰力設定部が設定する減衰力と前記第2目標減衰力設定部が設定する減衰力の大きな一方を選択して前記ダンパの減衰力とする選択手段と、をさらに備え、
前記第2目標減衰力設定部は、前記ダンパ変位の変化および前記ダンパが変位するときの速度の変化に対して対数変化するように減衰力を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のダンパ制御装置。
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