JP2011509070A - ハンドヘルドマイクロpcr装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ヒータ及びリアクションチャンバを含むLTCCマイクロPCRチップを備えたハンドヘルドマイクロPCR装置である。それは、また、温度センサから受け取った入力値に基づいてヒータを制御するためのヒータ制御手段を備える。それは、さらに、試料からの蛍光シグナルを検出するための光ファイバを有する光学システム、並びに、他の装置と通信するための少なくとも一の通信インターフェースをを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスポーザブルの低温同時焼成セラミクス(LTCC)マイクロPCRチップを持ったポータブルリアルタイムPCRシステムに関する。本発明は、さらに、マイクロPCRを制御及び監視する方法、並びにPCRに関連する装置に言及する。
過去5年間にわたって、ラボオンチップ(lab−on−a−chip)技術に基づいた臨床診断システムの研究開発が非常に増加している。そのようなシステムは、臨床診断への多大な期待を抱えている。それらは、極めて小容積内で試料材料及び試薬を消費する。個々の微小チップは、安価でディスポーザブルであり得る。サンプリングから結果までの時間が極めて短くなる傾向にある。最も進化したチップの設計では、全ての分析機能−サンプリング、試料前処理;分離、希釈混合工程;化学反応;並びに検出−を単一の集積マイクロ流体回路内で実行することができる。ラボオンチップシステムでは、設計者が、微小、ポータブル、過酷、安価、かつ利用し易い診断器具を作製することができ、それは高レベルの能力及び多用途性を提供する。マイクロ流体(流体がマイクロチャンネルを流れる)は、大きなスケールでは機能しないであろう分析装置及び測定フォーマットの設計を可能にする。
ラボオンチップ技術は、マイクロ加工構造内の試料上で行われるであろう実験手順をエミュレートすることを企図する。最も成功した装置は、流動体試料上で作動するものであった。大多数の化学処理、精製、及び反応手順が、これらの装置で実証されている。化学プロセスのある程度のモノリシック集積化が、完全な化学測定手順を実行する装置を作るのに実証されている。これらの装置は、認められた分析実験手順をベースとし、したがって、汎用の化学的検出よりも複雑な試料マトリックスに適応できる。
分子及び細胞生物学の大部分での最近の進歩は、迅速かつ効率的な分析技術に発達の結果としてなされている。小型化及び多重化のために、遺伝子チップやバイオチップのような技術では、単一実験構成で全ゲノムの特徴付けを可能である。PCR(ポリメラーゼチェインリアクション)は、核酸分子のin−vivo増幅のための分子生物学方法である。法医学、環境、臨床及び工業試料中の生物学的種及び病原体の同定について、PCR技術は、時間を要し感度の低い他の技術と迅速に置き換わっている。バイオ技術の中でも、PCRは、大多数の分子及び臨床診断の際にライフサイエンス研究室内の最も重要な分析工程となっている。リアルタイムPCRのようなPCR技術でなされた重要な発展は、従来方法と比べて迅速な反応工程を導いてきた。ここ数年の間に、微細加工テクノロジーが、分析時間と試薬の消費のさらなる削減の意図をもってPCR分析のような反応及び分析システムの小型化を拡張している。
現在入手可能なほとんどのPCRでは、試料、容器及びサイクルラーの熱容量のために瞬時の温度変更ができず、その結果、2〜6時間という長期の増幅時間になる。試料温度が一の温度から別の温度へ移る間に、無関係で不所望な反応が生じ、貴重な試薬を消費し、かつ不所望な妨害化合物を生成する。
LTCCは、半導体素子のパッケージングに使用されている。このシステムでは、電気的及び構造的な機能の集積が可能である。LTCC製作過程での各層毎(layer by layer)の製作シーケンスでは、電気的素子を集積した3次元構造の作製が容易である。さらに、加工がシリコン加工と比べてより安価である。LTCC(低温同時焼成セラミクス)のようなセラミクス基板上にチップが製作されることで、機械的及び電気的素子の集積を簡単かつ容易にできる。
PDAのようなポータブル計算プラットフォームの使用により、エレクトロニクスを制御し、そしてデータをディスプレイする豊富で簡単なユーザーインターフェースを提供するための十分な計算力のシステムが提供される。それは、また、全システムをモジュール化し、したがって、ユーザに対して最小コストでシステムを簡単にアップグレードすることを可能にする。
本発明の主要な目的は、ハンドヘルドマイクロPCR装置を開発することである。
本発明のさらに別の目的は、ハンドヘルドマイクロPCR装置をモニタ及び制御する方法を開発することである。
したがって、本発明は、ヒータ、試料を装填するリアクションチャンバを含むLTCCマイクロPCRチップ、温度センサから受け取った入力情報に基づいて該ヒータを制御するためのヒータ制御手段、該試料からの蛍光シグナルを検出するため光学検知システム、並びに他の装置と通信するための少なくとも一の通信インターフェースを含むハンドヘルドマイクロPCR装置;並びに、ハンドヘルドマイクロPCR装置をモニタ及び制御する方法であって、ハンドヘルドマイクロPCR装置と他の装置との間の通信を、通信インターフェースを介して確立し、LTCCマイクロPCRチップを制御するために他の装置から受け取った熱プロファイル値に基づいて熱サイクリング工程を開始し、並びに、光学システムによって検知された光シグナルを他の装置へ送る工程を含む前記方法を提供する。
以下に、添付の図面を参照して本発明を説明する。
本発明に従う一実施態様のLTCCマイクロPCR装置の概略を示す。 一実施態様のLTCCマイクロPCRチップの正投影図を示す。 一実施態様のLTCCマイクロPCRチップの断面図を示す。 一実施態様のLTCCマイクロPCRチップの各層毎の設計を示す。 製作されたチップリアクションチャンバ設計の一モデルを示す。 分岐光ファイバを用いた分岐光学検知システム示す。 ヒータ及び温度センサを制御する回路のブロック図を示す。 ハンドヘルドユニットによって制御された集積ヒータ/サーミスタを用いたチップ上のλ−636DNA断片の熔解を示す。 チップ上のλ−311DNA断片のPCR増幅であって、(a)チップからのリアルタイム蛍光シグナル;(b)増幅産物を識別するゲル写真を示す。 処理された血液及び血漿(processed blood and plasma)のサルモネラ菌の16SリボソームユニットについてのPCR増幅のゲル写真を示す。 全血(direct blood)のサルモネラ菌の16Sリボソーム単位についてのPCR増幅のゲル写真を示す。 直接血漿(direct plasma)のサルモネラ菌の16SリボソームユニットについてのPCR増幅のゲル写真を示す。 マイクロチップを用いたサルモネラ菌遺伝子のPCR増幅であって;(a)チップからのリアルタイム蛍光シグナル、(b)増幅産物を識別するゲル写真を示す。 LTCCチップを用いてB型肝炎ウイルスDNAを増幅するのにかかった時間を示す。 ハンドヘルドユニットと通信する携帯情報端末(PDA)アプリケーションの概略を示す。 λ−311DNA溶解のための蛍光シグナルの微分(derivative)について、LTCCチップを用いて得られた溶解曲線を示す。 PDA内で実行されるサーマルサイクリングプログラムのフローチャートを示す。 マイクロチップを用いて増幅されたHBV DNAのリアルタイム蛍光シグナルを示す。 ビームスプリッタを用いたビームスプリッタ光学検知システムを示す。 ハイブリッド光学検知システムを示す。
本発明は、
a)ヒータ、及び試料を装填するリアクションチャンバを含むLTCCマイクロPCRチップ、
b)温度センサから受け取った入力情報に基づいて、該ヒータを制御するためのヒータ制御手段、
c)該試料からの蛍光シグナルを検出するための光学検知システム、並びに
d)他の装置と通信するための少なくとも一の通信インターフェース
を含むハンドヘルドマイクロPCR装置に関する。
本発明の一実施態様では、該ヒータと該リアクションチャンバとの間に少なくとも一のコンダクタ層(conductor layer)が設けられる。
本発明の一実施態様では、該リアクションチャンバは、コンダクタリング(conductor rings)によって囲まれている。
本発明の一実施態様では、該コンダクタリングは、該コンダクタ層にポスト(posts)で結合されている。
本発明の一実施態様では、該コンダクタは、金、銀、白金及びパラジウム又はこれらの合金を含む群から選択される材料でできている。
本発明の一実施態様では、該温度センサは、チップの温度を測定するために該チップの外部に置かれている。
本発明の一実施態様では、該温度センサは、該チップの少なくとも一の層の中に埋設されている。
本発明の一実施態様では、該温度センサは、サーミスタである。
本発明の一実施態様では、該温度センサは、ブリッジ回路の一のアームに結合されている。
本発明の一実施態様では、該ブリッジ回路出力は、ヒータを制御するためのヒータ制御手段に供給される前に増幅される。
本発明の一実施態様では、該チップは、リアクションチャンバにカバーをするための透明シーリングキャップを含む。
本発明の一実施態様では、該チップは、ディスポーザブルである。
本発明の一実施態様では、該光学検知システムは、ビームスプリッタ光学検知システム、ハイブリッド光学検知システム及び分岐光学検知システムを含む群から選択される。
本発明の一実施態様では、該光学システムは、光源、及び、該試料からの蛍光シグナルを検出するための光検出器を含む。
本発明の一実施態様では、ロックインアンプが、該検出シグナルを増幅する。
本発明の一実施態様では、該分岐光学システムは、光ファイバの一つの分岐端(605a)に置かれた光源を、及び、該光ファイバのもう一つの端(605a)に置かれた光検出器を有する分岐光ファイバを使用する。
本発明の一実施態様では、該分岐光ファイバの共通端(605b)が、該試料に向いている。
本発明の一実施態様では、該ハイブリッド光学検知システムは、該試料上に光を向けるために光ファイバを使用する。
本発明の一実施態様では、該ハイブリッド光学検知システムは、該試料から放出されたビームを焦点に合わせるためのレンズを使用する。
本発明の一実施態様では、該通信インターフェースは、シリアルインターフェース、USB、ブルートゥース又はこれらの組み合わせを含む群から選択される。
本発明の一実施態様では、他の装置は、ハンドヘルド装置からチップ温度及び増幅シグナルを収集する。
本発明の一実施態様では、他の装置は、スマートフォン、PDA及びプログラマブルデバイスを含む群から選択される。
本発明は、また、ハンドヘルドマイクロPCR装置をモニタ及び制御する方法であって、
a)ハンドヘルドマイクロPCR装置と他の装置との間の通信を、通信インターフェースを介して確立し、
b)LTCCマイクロPCRチップを制御するために他の装置から受け取った熱プロファイル値に基づいて熱サイクリング工程を開始し、
並びに
c)光学システムによって検知された光シグナルを他の装置へ送る
工程を含む前記方法に関する。
本発明の一実施態様では、該熱プロファイル値を、他の装置へユーザによってユーザーインターフェースを介して供給する。
本発明の一実施態様では、該熱プロファイルを、ユーザーインターフェースを介して生成、修正又は削除する。
本発明の一実施態様では、前記他の装置は、ユーザ認証を備える。
本発明の一実施態様では、前記他の装置は、複数の熱プロファイルを記憶する。
本発明の一実施態様では、該熱プロファイルは、セットポイント値及びサイクル数を提供する。
本発明の一実施態様では、セットポイント値により決められた温度と時間にチップを維持する。
本発明の一実施態様では、熱サイクリング工程を止めることによって、マイクロPCRチップ温度を室温までもってゆく。
本発明の一実施態様では、熱サイクルをポーズ(peusing)するとき、マイクロPCRチップの温度を一定に維持する。
本発明の一実施態様では、モバイルブルートゥースシリアルポートプロファイルスタックを用いて前記他の装置と通信する。
本発明の一実施態様では、熱及び光学データを、前記他の装置の表示装置上にプロットする。
他の装置(101)は、例えば有線(RS232シリアルポート、USB)又は無線(シリアルポートプロファイルを実行するブルートゥース)などのようなすべての標準通信インターフェース(107)を介してハンドヘルド装置と通信できるものである。
LTCCマイクロPCRチップは、LTCC 層でできたPCRチップである。このチップは、ハンドヘルドユニットに簡便に脱着可能である。
熱プロファイルは、セットポイント値である温度及び時間と熱サイクル工程を完了するためのサイクル数のカウントを有する。
ポリメラーゼチェインリアクション(PCR)は、テンプレートから特定DNA断片の多重コピーを合成するために開発された技術である。初期のPCR法は、Thermus属由来の熱安定性DNAポリメラーゼ酵素(Taq)に基づき、これは、4つのDNA塩基及びターゲット配列の側面に配置する二つのプライマ断片を含む混合物中で所定のDNAストランドと相補なストランドを合成することができる。該混合物を加熱して該ターゲット配列を含有する二重鎖DNAストランドを分離し、次いで、冷却して、プライマが分離ストランド上でその相補配列を見つけて結合できるようにし、Taqポリメラーゼがプライマに新しい相補ストランドを伸長させる。繰り返される加熱及び冷却サイクルは、新しい二重ストランドのそれぞれが分離してさらなる合成のための二個のテンプレートになるため、ターゲットDNAを指数関数的に増殖させる。
ポリメラーゼチェインリアクションの典型的な温度プロファイルは、以下のとおりである:
1.93℃、15〜30秒間での変性
2.55℃、15〜30秒間でのプライマのアニーリング
3.72℃、30〜60秒間でのプライマの伸長
一例として、最初の工程において、溶液を90〜95℃に加熱して、二重ストランドのテンプレートを溶解(”変性”)して二個の単一ストランドを形成するようにする。次の工程では、それを50〜55℃へ冷却して、特別に合成した短いDNA断片(”プライマ”)がテンプレートの適切な相補部位と結合するようにする(”アニーリング”)。最後に、溶液を72℃に加熱し、その時、特別な酵素(”DNAポリメラーゼ”)が、溶液からの相補塩基を結合させることでプライマを伸長させる。こうして、二個の同一の二重ストランドが、単一の二重ストランドから合成される。
数百塩基よりも長い産物を生成させるために、プライマ伸長工程を概ね60秒/kbaseまで増大しなけければならない。上記は、典型的な装置時間であり、実際、変性及びアニーリング工程は、ほとんど瞬時に起きる。しかし、メタルブロック又は水が温度平衡に用いられ、試料がプラスチック製微量遠心チューブに入れられる場合、市販装置の温度速度は、通常、1℃/秒以下である。
断熱低質量PCRチャンバをマイクロ加工することにより、もっと速く、エネルギー効率的で特殊なPCR装置を量産することが可能である。さらに、一の温度から別の温度への迅速な遷移によれば、試料が不所望な中間温度に費やす時間が最小になり、その結果、増幅したDNAは最良の忠実度及び純度を有するようになる。
低温同時焼成セラミクス(LTCC)は、自動車、防衛、航空機及び通信業界の電気部品のパッケージングに使用される厚膜テクノロジーの最新版である。それは、アルミナをベースとするガラスセラミクス材料であり、化学的安定、生体適合性、熱安定性(>600℃)であり、低い熱伝導度(<3W/mK)、良好な機械強度を有し、かつ良好なエルミート性(hermiticity)を有する。それは、従来、チップレベルの電気素子のパッケージングに使用され、そこで、構造及び電気機能の両方を担う。本発明者らの認識では、LTCCの適合性はマイクロPCRチップ用途に使用されるべきであり、そして、本発明者らの最高の知識では、LTCCはそのような目的には使用されていなかった。LTCCテクノロジーでの基礎の基板(basic substrates)は、好ましくは、ポリマー結合材の付いたガラスセラミクス材料の未焼成(グリーン)層である。これらの層をカッティング/パンチング/ドリリングして多層に積み重ねることにより、構造的特徴が形成される。各層毎の工程により、MEMS(Micro Electro Mechanical System)にとって重要な3次元構造を作製することができる。50ミクロンを下回る特徴がLTCC上に容易に作り上げられる。電気回路は、各層上に導電及び抵抗ペーストをスクリーン印刷することにより製作される。多層は、ビアの穴あけを行って(punching vias)、そこに導電ペーストを充填することにより相互に連結される。これらの層が積み重ねられ、加圧され、そして焼成される。最高80層の積み重ね工程が、文献で報告されている。焼成された材料は、緻密かつ、良好な機械強度を有する。
図1に、さまざまな部品及びそれらの機能を示す一実施態様のマイクロPCR装置の概略を示す。この装置は、ディスポーザブルLTCCマイクロPCRチップ(103)を含み、これは、試料を保持するためのリアクションチャンバを、サーマルサイクリングのための埋設ヒータ及び埋設温度センサとともに有する。温度センサは、サーミスタである。温度センサは、また、チップ内部に埋め込まれる代わりにチップの外部に置くこともできる。温度センサは、温度を測定可能ないかなるセンサでもよい。LTCCマイクロPCRチップ(103)は、温度センサ値に基づいてヒータを制御するヒータ制御手段及びドライバ回路を有する制御回路構成(102)を含むハンドヘルドエレクトロニクスユニット(109)に接続される。温度センサ値は、温度センサ回路(107)を介して前記ヒータ制御手段へ供給される。ヒータ制御手段はチップ温度を設定し、マイクロコントローラ(106)によりセットポイント値として設けられた期間、その温度を維持する。ハンドヘルド装置(109)のすべての部品は、バッテリーパック(108)によって動力が供給される。
ハンドヘルド装置(109)は、また、マイクロPCRチップ(103)からの蛍光シグナルを検出する光学システム(104)を収容する。これは、光源、光源を制御する回路、試料からの放出光を検出するための検出器、(試料からの)シグナルを増幅するための回路を含む。ハンドヘルド装置(109)は、USB/ブルートゥースのような他の処理装置(101)でデータ取得及び制御のためのスマートフォン/PDAやあらゆる処理装置と接続され得る。
バッテリは、外部源から再充電するために設けられたポートを有する再充電可能なバッテリであり得る。例えば、バッテリは、1Aを越えるピークカレントを供給可能なニッケルカドミウム、リチウムイオンや、ポリマーであり得る。
ハンドヘルド装置は、また、他の装置(101)と通信するための少なくとも一の通信インターフェース(107)を含む。通信インターフェース(107)は、有線をベースとするもの(RS232シリアルポート、USB)や無線(シリアルポートプロファイルを実行するブルートゥース)であり得る。典型的には、シリアルポートプロファイルが、そのスピードと実行し易さのために通信用に使用される。インターフェースは、他の装置(101)とマイクロコントローラ(106)との間のデータ及び指令を伝達する。
他の装置(101)は、本明細書では、ハンドヘルド装置を制御及びモニタすることの可能なものである。例えば、他の装置は、PDA、スマートフォン、コンピュータ、マイクロコントローラや、ハンドヘルド装置と通信可能なあらゆる処理装置である。他の装置は、また、ユーザによってデータをインプットし、視るためのユーザーインターフェースを提供する。他の装置は、本明細書では、ハンドヘルド装置(109)と通信、制御及びモニタするために適当なソフトウエアを実行する能力を有する意味である。
マイクロコントローラ(106)は、ハンドヘルド装置(109)上のエレクトロニクスを制御し、インターフェースを介して他の装置(101)と通信する。マイクロコントローラは、他のアナログ回路、すなわち、制御回路(102)、温度センサ回路(107)及び光学回路(105)と通信するためのアナログ/デジタル及びデジタル/アナログコンバータを有する。マイクロコントローラ(106)は、他の装置からセットポイント値を収集し、それを制御回路(102)へ提供する。マイクロコントローラは、また、温度センサ回路(107)で検知した温度及び光学回路(105)により供給された光学データを他の装置へ提供する。光学データは、本明細書では、光学システム(105)によって検知されたシグナルである。
図2に、リアクションチャンバ(201)又はウエルを示す一実施態様のマイクロPCRチップの正投影図を示す。図は、LTCCマイクロPCRチップ内部のヒータ(201)及び温度センササーミスタ(203)のアセンブリを示している。ヒータコンダクタライン(205)及びサーミスタコンダクタライン(204)もまた示す。これらのコンダクタラインは、ヒップ(hip)内に埋設されたヒータ及びサーミスタと外部回路構成とを連結するのを助ける。
一実施態様のLTCCマイクロPCRチップの断面図である図3を参照すると、206a及び206bは、ヒータ(202)のためのコンタクトパッド(contact pad)を示し、207a及び207bは、サーミスタ(203)のためのコンタクトパッドを示す。
一実施態様のLTCCマイクロPCRチップの各層毎の設計を示す図4を参照すると、チップは12層のLTCCテープからなる。2個のベース層(401)、ヒータ層(402)、コンダクタ層(403)及びサーミスタ(404)を有する層を有する3個のミッド層が存在し、一方、405がリアクションチャンバ(201)へのインターフェース層を形成する。リアクションチャンバ層は、図示のとおり、6層の406からなる。また、コンダクタ層(403)が、ヒータ層とサーミスタ層との間に設けられる。ヒータコンダクタライン(205)及びサーミスタコンダクタライン(204)もまた示す。図では、コンダクタライン(204)がサーミスタ層(404)のいずれかの側に置かれる。ヒータデザインは、”梯子”、”蛇行(serpentine)”、”線”、”板”などのようなあらゆる形状でよく、サイズは、0.2mm x 3mm〜2mm x 2mmの間で変更される。ヒータのサイズ及び形状は、要求に基づいて選択され得る。その要求は、リアクションチャンバ、試験される試料やコンダクタ層として使用される材料の大きさに依存する。
LTCCチップは、1〜25μlのウエル容積を有する。ヒータは、汎用のLTCCパッケージに採用される厚膜抵抗素子をベースとする。アルミナを用いたサーミスタ系が、埋設される温度センサの製作のために使用される。チップのTCR測定値は、1〜2Ω/℃の間であった。チップは、デュポン951グリーンシステム上に作製された。サーミスタ層は、チップ内のどこに置いてもよく、温度センサは、チップ内部のサーミスタの代わりにチップ外部に置かれ得る。
チップ内部の温度プロファイルの均一性を測定した後、PCR反応をこれらのチップ上で行った。λDNA断片、サルモネラ菌DNA及びB型肝炎DNAは、これらのチップを用いて上首尾に増幅される。図5に、ヒータ、コンダクタリング、サーミスタ、及びコンダクタリング(502)との様々な結合を示す三次元表示のマイクロチップを示す。それは、また、コンダクタリング(502)をコンダクタプレート(403)へ結合するポスト(501)を示す。
埋設されたヒータは、LTCCと適合するデュポン製CFシリーズのような抵抗ペースト(resistor paste)でできている。デュポン95、ESL(41XXXシリーズ)、Ferro(A6システム)やHaraeusのようなあらゆるグリーンセラミクステープ系を使用可能である。埋設された温度センサは、アルミナ基板のたためのPTC(Positive Temperature Coefficient)抵抗サーミスタペースト(例えば509X Dは、ESLエレクトロサイエンス製のESL2612である)を用いて作製されたサーミスタである。NTC4993(EMCA Remex製)のような抵抗ペーストのNTC(Negative Temperature Coefficient)もまた使用可能である。
透明(波長300〜1000nm)なシーリングキャップは、試料のリアクションチャンバからの蒸発を防ぐためにあり、ポリマー材料でできている。
光学検知システム(104,105)
光学(蛍光)検知システムは、照明源(典型的にはLED)、適合な波長の光を選択するためのフィルタ、試料から光を回収し運ぶための光学部品、及び光センサ(光ダイオード、光電子増倍管、光トランジスタ、イメージセンサなど)を含む。それは、また、光源を駆動し、光センサからのシグナルを検出する回路構成(105)を含む。ポータブル用途では、低消費電力(<1ミリW)のために光ダイオードや光トランジスタあるいはイメージセンサが好ましい。PCR産物のリアルタイム検知には蛍光技術を採用し、ここで、PCR混合物内に存在する感光性染料(SYBRグリーンのようなフルオロフォア)が一定波長の光を吸収し、高波長を放出する(SYBRグリーンの場合、470nm及び520nm)。典型的には、放出光強度は、PCRの上首尾な進行とともに徐々に増減する。放出強度の変化のモニタリングは、PCR装置のリアルタイム検知能力を与える。PCR試料からの光のカップリング及び採集は、いろいろな方法で達成することができる。以下の方法が、本システムに採用可能である:
・分岐端部(605a)及び共通端部(605b)を有する分岐光ファイバ(605)(マルチモードプラスチック又はシリカファイバもしくはファイバ束)を用いた分岐の光学検知システム。一の分岐端部(605a)は、LED(601)からの光を試料上へ入射し、他の端部が光を光学検知器(602)へ入射するためにある。共通端部(605b)は、光を試料上へ指し向ける。この方法は、波長選択のためのフィルタに加えて、光をファイバへ向けて、あるいは光をファイバからカップリングするための光学部品を採用する。
・ビームスプリッタ、レンズ、及び、光を試料に焦点を合わせ検出するためのフィルタを用いたビームスプリッタ光学検知システム。図19
・焦点レンズ、フィルタ及び検知器を用いた照明及び検知用光ファイバを採用したハイブリッド光学検知システム。図20
図6に、本発明に従うPCR装置の好ましい一実施態様の光学システムを示す。図は、分岐端部(605a)の一端にLED(601)の励起源、及び、もう一つの分岐端部(605a)に光学検知器(602)によって検出された蛍光を含む分岐光ファイバ(605)を持った配置を示す。LED(601)及び光学検知器(602)は、光ファイバの分岐端部(605a)及び、LTCCチップ(200)のリアクションチャンバ(201)を覗き込む共通端部(605b)と結合する。図は、また、カプラ(603a及び603b)で、それぞれ、LED(601)に結合したフィルタ(604a)及び光学検知器(602)に結合したフィルタ(604b)を示す。
検出器(602)からの出力シグナルは、ヒータコントローラに送られる前に、図7に示すような増幅器回路(701)を用いて増幅される(光電子増倍管、アバランシェ光ダイオードにおけるin−situ)。増幅器回路の一例は、位相ロックループ(PLL)回路(ロックインアンプ)である。この回路では、照明は、所定波長(典型的には10Hz〜500kHzのレンジ内)でパルスされる。出力シグナル(蛍光シグナル)を処理する回路が同一波長をロックオンし、及び、増幅され電圧に変換されさらにマイクロコントローラ(106)へ送られる比例した直流(DC)を生成する。この回路は、シグナルのSN比を高め、シグナル中のノイズに関連する波長を消去する。ロックイン回路は、平衡変調器/復調器(例えばAD630JN(Analog Devices製))に基づく。
図7は、ヒータ及びサーミスタを制御する回路のブロック図を示し、ここで、LTCCマイクロPCRチップ(200)内のサーミスタが、ブリッジ回路(706)のアームの一つとして作用する。温度センサがチップの外部に置かれた場合でも、それは、ブリッジ回路のアームの一つに結合することができる。ブリッジ増幅器(701)からのブリッジの増幅出力は、PIDコントローラ(703)への入力として与えられ、ここで、デジタル化され、そして、PIDアルゴリズムは、制御されたデジタル出力を与える。出力は、再び、アナログ電圧に再変換され、そして、これが、ヒータドライバ(704)内に在るパワートランジスタを用いたヒータを駆動する。
ヒータ制御手段(703)のために実行されるアナログ回路は、P又はPI又はPD又はPID(Proportional Integral Derivative)を採用し、あるいは、サーミスタからの出力に基づいた簡単なオン/オフ制御であり得る。温度センサは、温度変化を検知する回路の一部である。この図では、サーミスタの一例が、温度センサのために考慮され、ここで、これは、ホイートストンブリッジ回路(706)の一部でできている。加熱又は冷却によるサーミスタ抵抗の変化が、回路からの限界出力電圧(finite output voltage)を生じる。この電圧は、LTCCチップ上のウエルの温度と関係する。測定された電圧は、ヒータをオンオフするかどうかを決定するのに使用される。ヒータは、(LTCCチップ上)のウエル内で達成される最高温度によって決定される事前設定のパワーで供給される。ヒータ及びサーミスタ内の抵抗変動を考慮に入れて(最適なチップの〜20%)、自己較正回路が開発されており、ハンドヘルド内に具備されている。この回路は、外気に曝された市販のサーミスタ(PT100)を用いたことによる抵抗変化を補償する。
ヒータ制御回路は、マイクロコントローラによって管理される。マイクロコントローラは、所望の熱プロファイルを、通信インターフェースを介して実行するようにプログラムされる。プログラムは、LTCCチップ上の所望のプロファイルを実行するようにヒータ制御回路(102)を制御する。ブルートゥースインターフェイスが、PDAを動かすソフトウエアを用いたマイクロコントローラを制御するために試験されている(iPaqが動くWincowsCE)。ブルートゥース通信用ソフトウエアの進歩及びGUI(Graphical User Interface)の進歩が、ハンドヘルド装置(109)内に具備される。ここに開示したヒータを制御し、そして温度センサ値を読み取る方法は、ほんの一例である。これを、コントローラや限定への唯一の方法ととらえるべきではない。ヒータを制御し、そしてサーミスタ値を読み取るための他の手段や方法は、本開示に十分に適用可能である。
他の装置は、ユーザがPCR用熱プロファイルをGUI(Graphical User Interface)を介して作成することを可能にする。熱プロファイルは、マイクロコントローラへ通信インターフェース(107)を介して伝達される。熱プロファイルは、セットポイント値(温度及び時間)並びにサイクル数を含む。マイクロコントローラからの温度センサデータ及び光学検知データが、他の装置に送られ、そしてそこに表示される。コンピュータは、また、データを評価し、そして、反応の結果を表示する。ポータブルコンピュータは、Windows CE/Mobile、Palm OS、Symbian、Linuxのようなオペレーティングシステムを実行する。別の実施態様では、セットポイント値のみをハンドヘルド装置へ送り、そして、サイクル数を他の装置でモニタすることが可能である。マイクロコントローラは、他の装置によって熱プロファイルから送られたセットポイント値を達成する。
PCR産物は、典型的には、ゲル電気泳動を用いて分析される。この技術では、PCR後のDNA断片が電場内で分離され、蛍光染料で着色することにより観測される。より適したスキームは、二重ストランドDNAに特異的に結合して反応を継続的にモニタする蛍光染料を使用することである(リアルタイムPCR)。そのような染料の例は、490nmの青色光によって励起し、DNAと結合したときに520nmの緑色光を放出するSYBRグリーンである。蛍光強度は、PCR中に形成された二重ストランド産物の量に比例するので、サイクル数とともに増大する。
以下の実施例は、ハンドヘルド装置(109)を他の装置とともに用いて達成できる別の可能性を説明する。この実施例で検討される他の装置は、PDA/スマートフォンである。
ターゲットのPDA/スマートフォンアプリケーションは、Windows mobile 5プラットフォーム上で実行される。それは、ウインドウズモバイルブルートゥースシリアルポートプロファイル(SPP)スタックを、ハンドヘルドユニットと通信するのに使用する。ハンドヘルドユニットは、マイクロコントローラとデータ通信用UART(Universal asynchronous receive and transmit)ポートを介してインターフェースするブルートゥースモジュールを含む。アプリケーションのコア機能は、ハンドヘルドユニットの熱サイクリング工程をさまざまな記憶された熱プロファイルを介して制御及びモニタすることである。それは、また、2レベルアクセス制御;データプロッティング、熱プロファイル作成などのような機能を有する。図15は、をアプリケーションとハンドヘルド装置との間の通信方法を示している。
PDAアプリケーション
PDAアプリケーションプログラムは、セットポイント値(温度及び時間)並びにサイクル数を含むインプットデータを許可する。セットポイント値は、ハンドヘルドユニットへブルートゥースコネクションを介して伝達され、そして、ハンドヘルドユニットの応答を待つ。セットポイント値に達すると、ハンドヘルドユニットは、同じものをPDAへ通信し、PDAは次のインストラクションセットを送る(図17)。PDAは、また、ハンドヘルドからデータ(温度及び光学データ)を受け取り、それを表示する。PDAによって送られるインストラクションを通信し、そして実行するため、ハンドヘルドは、ブルートゥース通信及びアナログ回路の制御を可能にする埋め込まれたプログラムを持つマイクロコントローラを有する。さらに、マイクロコントローラ上のプログラムは、継続的に温度及び光学データをPDAへ送る。PDAアプリケーションは、4つのモジュールを有する:
1.アクセス制御
2.GUI
3.データ処理及び通信
アクセス制御:
1.このモジュールは、ユーザにアプリケーションへのログインを許可する
2.それは、ユーザネーム及びパスワードを持ったログインスクリーンを有する
3.二つのレベルのアクセス制御を有する
a.管理
b.ユーザ
4.管理者は、以下の権限を有する:
a.ユーザ及びユーザフォルダを作成する
b.熱プロファイルを作成する
c.ハンドヘルド装置(109)を結合/変更する
5.ユーザネーム及びパスワードで一度ログインしたユーザは、アプリケーションを実行し、セッションに関係するデータを見、記憶する権限を有する。
GUI
1.GUIモジュールは、以下のためのスクリーンを提供する:
a.管理者が、異なるセットポイント値(温度及び時間)を入力し、及び熱プロファイルを作成/削除/修正する
b.ユーザ及びユーザフォルダを作成/削除する
c.ハンドヘルド装置を変更する
i.アプリケーションは、レンジ内のブルートゥース装置検出するためにブルートゥーススタックを使用する。検出後、それは、レンジ内のすべての使用可能な装置を表示する。管理者は、ハンドヘルド装置を選択し、アプリケーションがブルートゥーススタックにハンドヘルド装置(109)との提携(pair)を要求する。提携後、提携装置情報を将来の使用のために記憶する
d.アプリケーションのスタート、ストップ、リスタート及びポーズ
e.伝達され及びアプリケーションによって受け取られたデータを示すログウインドウ
2.GUIモジュールは、ハンドヘルドユニットから収集した熱及び光学的データをプロットするスクリーンを有する。
データ処理モジュール
データ処理モジュールは、以下の機能を有する:
1.データ変換
2.通信アルゴリズム
データ変換:
1.データは、ユーザにより選択された熱プロファイルから収集する。
2.以下は典型的な熱プロファイルである:
3.セットポイント値が温度及び時間を含むので、温度値は、次いで、下式を用いて電圧値に変換される:
ここで、Vは電圧、tは温度、x及びyは、予め決められた定数である。
4.こうして得られた電圧値は、下式を用いて10ビット16進数値(ベース16)に変換される:
ここで、Vは電圧である。
5.時間値(秒)は、16進数(hex)に変換される。
6.ハンドヘルドユニットから収集した熱データは、下式を用いて16進数値からプロット用電圧に変換される。
7.電圧は再び、温度に逆変換される。
8.収集された光学データは、電圧に変換され、プロッティングへ直接送られる。
データ通信:
データ通信モジュールは、ウインドウズモバイルブルートゥーススタックと通話する。以下のプロトコルが通信の間、フォローされる:
スタート:
アプリケーションプログラムによって設けられたスタートボタンが熱サイクリング工程を開始する。アプリケーションは、ブルートゥーススタックにハンドヘルドユニットとの無線シリアルポートコネクションを確立するよう要求する。認識を受けとった後、PDAは、ハンドヘルドユニットとの通信を開始する。
スタート/ポーズ/続行
ストップコマンドは、サーマルサイクリングをストップし、ハンドヘルドユニットにチップ温度を室温へ下げるよう指示する−この工程は、再スタートされない。ポーズは、チップ温度を現在のランニング温度に維持する。これは、続行コマンドにより取り消すことができる。
PDAのようなポータブル計算プラットフォームを使用することで、システムに電子機器を制御し、そしてデータを表示するために豊富だがシンプルなユーザーインターフェースを提供するための十分な計算力が与えられる。それは、また、全体のシステムモジュラーを作り、最小コストでユーザにシステムのアップグレードが可能になる。
本発明は、特定の診断用途のための市場性のあるハンドヘルドPCR装置を提供する。他の装置上で実行するプログラムは、リアルタイム検出とソフトウエア制御をもった完全なハンドヘルドPCRシステムを提供する。
本装置を用いて熱容積を減少し、加熱/冷却速度を改善することにより、5〜25μlの適度な試料容積の場合でも30〜40サイクルの反応を終了するためにかかる2〜3時間の時間を、30分以下に削減した。図14は、本発明のLTCCチップを用いてB型肝炎ウイルス性DNAを増幅するのにかかる時間を示す。図14の(1)に示すように、PCRを45サイクル実行し、そして、45分以内に増幅を達成できた。さらに、増幅は、PCRを20分(2)及び15分(3)で45サイクル行った場合にも観測された。HBV(45サイクル)のための汎用のPCR期間は、約2時間要する。
ミニチュア化では、より小さい試料サイズでの正確な読み取りと、コスト高な試薬のより小容積の消費が可能になる。マイクロシステムの小さい熱容積及び小さい試料サイズによれば、迅速で低出力の熱サイクルが可能で、マイクロPCRを介するDNA複製のような多くのプロセスのスピードをアップする。さらに、マイクロスケールでの利用可能な表面対容積比の増大により、表面化学に依存する化学プロセスを大いに高める。マイクロ流体の利点が、化学分析のための集積マイクロシステムの開発の要望を促している。
ハンドヘルド装置(109)内に移されたマイクロチップは、これにより、高度な研究室からPCR機械装置を除去し、それによりこの極めて強力な技術の範囲を増大させ、臨床診断、食品検査、血液バンクでの血液スクリーニング、他の用途分野でのホスト(host)のためなる。
多数のリアクションチャンバを有する既存のPCR装置は、すべてが同一のサーマルプロトコルを実行し、したがって時間的に非能率的な多数のDNA実験サイトを提供する。反応時間及び試料容積の摂取量を最小化する必要がでてくる。
本PCRは、将来設計されるが、極めて迅速な熱応答を持つ装置のアレイを有し得、そして、多重反応を異なるサーマルプロトコロルを最小の混信をもって効率的かつ独立に実行し得るように隣接するPCRチップと高度に孤立している。
PCR産物の分析又は定量化は、リアルタイム蛍光検出システムの実用的集積化によって実現する。このシステムは、また、B型肝炎(図12)、AIDS、結核などのような疾患を検出するための定量化及びセンサシステムを用いて集積化される。他の市場には、食品モニタリング、DNA分析、法科学及び環境モニタリングが含まれる。
図8は、集積化ヒータ及びサーミスタを用いたチップ上のλ−636DNA断片の溶解の比較プロットを示す。
図9は、λ−311DNAの増幅に伴う蛍光シグナルの増大を示す。熱プロファイルは、ハンドヘルドユニットにより制御され、反応は、チップ上(3μlの反応混合物及び6μlのオイル)で行われた。蛍光を汎用のロックインアンプを用いてモニタした。
本発明は、また、診断システムを提供する。診断システムを開発するために採用された手順は、初期には、二三の問題のためにサーマルプロトコルを規格化し、そして同一物をチップ上で機能化させるべきものであった。16SリボソームDNAのために設計されたプライマは、E.coli及びサルモネラ菌から〜300−400bp断片を増幅し、一方、サチライシン遺伝子(stn gene)についてのプライマは、Salmonella typhiから〜200bp断片を増幅した。得られた産物を、SYBRグリーン蛍光検出とアガロースゲル電気泳動で確認した。図9及び13に、マイクロチップを用いて増幅したλ−311DNA及びサルモネラ菌遺伝子のゲル写真を示す。
λ−311DNA増幅のための熱プロファイル:
変性:94℃(90秒)
94℃(30秒) − 50℃(30秒) − 72℃(45秒)
伸長:72℃(120秒)
サルモネラ菌遺伝子増幅のための熱プロファイル:
変性:94℃(90秒)
94℃(30秒) − 55℃(30秒) − 72℃(30秒)
伸長:72℃(300秒)
処理血液及び血漿を用いたPCR
血液又は血漿を、試料から主要なPCR阻害物質を沈殿させることのできる沈殿剤で処理した。透明な上清を、テンプレートとして用いた。このプロトコルを用いて、Salmonella typhiから〜200bp断片の増幅を得た(図10)。図10に、ゲル電気泳動写真を示す。
1.コントロール反応、
2.PCR産物−血液(未処理)、
3.PCR産物−処理血液、
4.PCR産物−処理血漿
血液直接PCRバッファ
血液又は血漿試料を用いた直接PCRのためにユニークバッファを配合した。このユニークバッファシステムを用いて、血液及び血漿を用いた直接PCR増幅を達成した。本発明のLTCCチップを用いてこのバッファシステムを用いると、最高50%の血液、及び40%の血漿で増幅が達成された(図11及び12参照)。
図11にゲル電気泳動写真を示す。
1.PCR産物−20%血液、
2.PCR産物−30%血液、
3.PCR産物−40%血液、
4.PCR産物−50%血液、及び
図12にゲル電気泳動写真を示す。
1.PCR産物−20%血漿、
2.PCR産物−30%血漿、
3.PCR産物−40%血漿、
4.PCR産物−50%血漿、
5.コントロール反応
ユニークバッファは、バッファの塩、二価イオンを含有する塩化物又は硫酸塩、非イオン性界面活性剤、安定剤及び糖アルコールを含む。
図16は、λ−311DNAの溶解のための蛍光シグナルの微分のためのLTCCチップの溶解曲線を示す。図は、また、本発明(161)と汎用のPCR装置(162)との比較を提供する。
より鋭いピーク:ピーク値/幅(x軸)@ハーフピーク値=1.2/43
より浅いピーク:ピーク値/幅(x軸)@ハーフピーク値=0.7/63
高い比率はより鋭いピークを示す。また、グラフにおいて、y軸は、微分(溶解曲線の傾き)であり、より高い傾きは、より急峻な溶解を示す。
図19は、ハンドヘルド装置に採用し得るビームスプリッタ付き光学システムの一実施態様の説明を示す。蛍光検出システムは、LED光源(193)、光を焦点に合わせるレンズ(196)、特定波長の光を選択するためのバンドパスフィルタ(195)、ビームスプリッタ(191)、入射ビーム及びチップ(200)上に投入された試料からのシグナルを集光するためのレンズ(198)、特定波長の光を選択するためのバンドパスフィルタ(194)、集光レンズ(197)及び光学検知器(192)を含む。
図20は、光ファイバ及びレンズを組み込んだハイブリッド光学システムの一実施態様の説明を示す。この蛍光検出システムは、図に記載されていないLED光源を、光ファイバ(213)に結合した特定波長の光を選択するためのバンドパスフィルタを含む。光ファイバは、光を試料に指し向ける。光学的に好適なレンズは、光ファイバから出てくる光を試料上で焦点を合わせるために使用することができる。レンズ(212)は、チップ(200)上に投入された試料からの放出ビームを阻害(calumniate)するのに使用することができる。放出光の特定波長を選択するためのバンドパスフィルタ(214)及びそれを光学検知器に焦点を合わせる集光レンズ(212)。

Claims (33)

  1. a)ヒータ、及び試料を装填するリアクションチャンバを含むLTCCマイクロPCRチップ、
    b)温度センサから受け取った入力情報に基づいて、該ヒータを制御するためのヒータ制御手段、
    c)該試料からの蛍光シグナルを検出するための光学検知システム、並びに
    d)他の装置と通信するための少なくとも一の通信インターフェース
    を含むハンドヘルドマイクロPCR装置。
  2. 該ヒータと該リアクションチャンバとの間に少なくとも一のコンダクタ層が設けられる、請求項1に記載の装置。
  3. 該リアクションチャンバは、コンダクタリングによって囲まれている、請求項1に記載の装置。
  4. 該コンダクタリングは、該コンダクタ層にポストで結合されている、請求項2及び3に記載の装置。
  5. 該コンダクタは、金、銀、白金及びパラジウム又はこれらの合金を含む群から選択される材料でできている、請求項2、3及び4に記載の装置。
  6. 該温度センサは、チップの温度を測定するために該チップの外部に置かれている、請求項1に記載の装置。
  7. 該温度センサは、該チップの少なくとも一の層の中に埋設されている、請求項1に記載の装置。
  8. 該温度センサは、サーミスタである、請求項7に記載の装置。
  9. 該温度センサは、ブリッジ回路の一のアームに結合されている、請求項1に記載の装置。
  10. 該ブリッジ回路出力は、ヒータを制御するためのヒータ制御手段に供給される前に増幅される、請求項1及び9に記載の装置。
  11. 該チップは、該リアクションチャンバにカバーをするための透明シーリングキャップを含む、請求項1に記載の装置。
  12. 該チップは、ディスポーザブルである、請求項1に記載の装置。
  13. 該光学検知システムは、ビームスプリッタ光学検知システム、ハイブリッド光学検知システム及び分岐光学検知システムを含む群から選択される、請求項1に記載の装置。
  14. 該光学システムは、光源、及び、該試料からの蛍光シグナルを検出するための光検出器を含む、請求項1に記載の装置。
  15. 該検出シグナルをロックインアンプが増幅する、請求項14に記載の装置。
  16. 該分岐光学システムは、光ファイバの一つの分岐端(605a)に置かれた光源、及び、該光ファイバのもう一つの端(605a)に置かれた光検出器を有する分岐光ファイバを使用する、請求項13及び14に記載の装置。
  17. 該分岐光ファイバの共通端(605b)が、該試料に向いている、請求項1及び16に記載の装置。
  18. 該ハイブリッド光学検知システムは、該試料上に光を向けるために光ファイバを使用する、請求項1及び13に記載の装置。
  19. 該ハイブリッド光学検知システムは、該試料からの散乱ビームを焦点に合わせるためのレンズを使用する、請求項1及び13に記載の装置。
  20. 該通信インターフェースは、シリアルインターフェース、USB、ブルートゥース又はこれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載の装置。
  21. 他の装置は、ハンドヘルド装置からチップ温度及び増幅したシグナルを収集する、請求項1及び15に記載の装置。
  22. 他の装置は、スマートフォン、PDA及びプログラマブルデバイスを含む群から選択される、請求項1に記載の装置。
  23. ハンドヘルドマイクロPCR装置をモニタ及び制御する方法であって、
    a)ハンドヘルドマイクロPCR装置と他の装置との間の通信を、通信インターフェースを介して確立し、
    b) LTCCマイクロPCRチップを制御するために他の装置から受け取った熱プロファイル値に基づいて熱サイクリング工程を開始し、
    並びに
    c)光学システムによって検知された光シグナルを他の装置へ送る
    工程を含む前記方法。
  24. 該熱プロファイル値を他の装置へユーザによってユーザーインターフェースを介して供給する、請求項23に記載の方法。
  25. 該熱プロファイルを、ユーザーインターフェースを介して生成、修正又は削除する、請求項23及び24に記載の方法。
  26. 他の装置は、ユーザの認証を備える、請求項23及び25に記載の方法。
  27. 他の装置は、複数の熱プロファイルを記憶する、請求項23に記載の方法。
  28. 該熱プロファイルは、セットポイント値及びサイクル数を提供する、請求項23に記載の方法。
  29. セットポイント値により決められた温度と時間にチップを維持する、請求項23に記載の方法。
  30. 熱サイクリング工程をストップすることによって、マイクロPCRチップ温度を室温までもってゆく、請求項23及び28のいずれかに記載の方法。
  31. 熱サイクルをポーズするとき、マイクロPCRチップの温度を一定に維持する、請求項23に記載の方法。
  32. モバイルブルートゥースシリアルポートプロファイルスタックを用いて他の装置と通信する、請求項23に記載の方法。
  33. 熱及び光学データを他の装置の表示装置上にプロットする、請求項23に記載の方法。
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