JP2011256445A - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硫黄濃度が10ppm以下である低硫溶銑を確実に製造することができ、後工程で復硫が生じても改めて脱硫処理を行う必要がなく、後工程における脱硫処理を省略することができる。
【解決手段】脱硫剤の有効石灰原単位を8.7以上とし、脱硫剤の硫黄濃度を3質量%未満とし、脱硫処理後の温度を1330℃以上とし、脱硫処理の際に持ち込まれる前処理スラグの組成のCaO/SiO2を0.5以上で且つFeOを20%以上する。前処理スラグの原単位bと脱硫剤の原単位aとの関係をa/b>20とし、攪拌動力密度εと脱硫剤の原単位aとの関係をε>40×aとし、インペラの位置を示す(h2+h3)/Zを0.2以上0.5以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶銑の脱硫方法に関する。
高炉から出銑した溶銑に対して脱硫処理を行う技術として特許文献1〜特許文献5に示すものがある。
特許文献1では、脱珪、脱燐処理後の溶銑の脱硫方法において、Mg−CaO−CaF2混合物80〜90%にAl23を10〜20%添加した脱硫剤を用い、該脱硫剤を搬送ガスと共に溶銑中にインジェクションするか、もしくは上添加後あるいは上添加しながら溶銑中に気体吹込みによるバブリング撹拌をして脱硫処理を行っている。
特許文献2では、脱燐炉精錬終了後に脱燐炉から取鍋を経て脱炭炉に溶銑を注入する際に、脱燐炉から取鍋への溶銑出湯中にCaO-Al23系、CaO−CaF2系、およびNa2CO3から成る群から選ばれた少なくとも1種の脱硫剤を添加して脱硫を行っている。
特許文献1は、硫黄濃度が10ppm以下である低硫溶銑を溶製することができるものの溶銑に脱硫剤をインジェクションを行うことにより溶銑の脱硫を行うものであって、Mg−CaO−CaF2を含む脱硫剤を用いているため耐火物の溶損が進み易い技術である。特許文献2は、インジェクションによる脱硫方法ではないが、溶銑脱硫との組合せでなければ、硫黄濃度[S]を10ppm以下にすることができない。
さて、特許文献1や特許文献2のような方法ではなく、溶銑を機械式攪拌装置にて攪拌して溶銑の脱硫処理を行う技術が、特許文献3〜特許文献5に開示されている。
特許文献3では、溶銑を処理容器内で攪拌下、脱珪剤を添加して脱珪処理を行う第一工程と、その後、固化剤を添加しスラグを固化する第二工程と、その後、中間除滓を行なわずに脱硫剤を添加して脱硫処理を行う第三工程を含み、処理容器として溶銑鍋を用いインペラーで機械攪拌を行っている。
特許文献4では、 CaOなる主剤に質量比でNa2CO3を3〜15%含有する脱硫剤を添加するとともに、機械的に攪拌し、脱硫処理を行っている。
特許文献5では、容器に溶銑を装入し、回転軸の下端部に開口する脱硫剤の噴出口を備えたインペラーを浸漬、回転させて溶銑を攪拌しながら、前記噴出口から脱硫剤粉末を溶銑中に吹き込んで脱硫を行っている。
また、溶銑を脱硫する技術として、上述した特許文献以外に、特許文献6〜特許文献12に示すものがある。
特許第2856106号公報 特許第2842248号公報 特開2005−48268号公報 特開2002−266013号公報 特開2005−68506号公報 特開2005−272883号公報 特開2007−31810号公報 特開2004−204303号公報 特開2003−147423号公報 特開2007−262465号公報 特開2007−332403号公報 特開2005−240145号公報
上述したように、特許文献3〜特許文献5のように機械式攪拌装置(インペラ)によって溶銑の脱硫処理を行うものがあるが、従来の技術では、硫黄濃度[S]を10ppm以下に確実にすることができないのが実情である。即ち、インペラを用いて溶銑の脱硫処理を行って硫黄濃度[S]を10ppm以下にする技術は未だ確立されていない。なお、溶銑の脱硫処理の技術は、特許文献6〜特許文献12に示すように数多く見受けられるが、これらの技術を用いても、硫黄濃度が10ppm以下である低硫溶銑を確実に製造することが困難であった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、インペラを用いて溶銑の脱硫処理を行うことで硫黄濃度[S]が10ppm以下である低硫溶銑を確実に製造することができ、後工程で復硫が生じても改めて脱硫処理を行う必要がなく、後工程における脱硫処理を省略することができる溶銑の脱硫方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、硫黄濃度[S]が300ppm以下の溶銑から硫黄濃度[S]が50ppm以下の鋼を溶製するにあたって脱硫処理の際にインペラを回転させることにより脱硫を行う溶銑の脱硫方法において、石灰系を含む脱硫剤の石灰原単位を式(1)を満たすようにし、前記脱硫剤の硫黄濃度を3質量%未満とし、脱硫処理後の温度を1330℃以上とし、脱硫処理の際に持ち込まれる前処理スラグの組成を式(2)及び式(3)を満たすようにし、前処理スラグの使用量bと脱硫剤の使用量aとの関係を式(4)を満たすようにし、攪拌動力密度εと脱硫剤の使用量aとの関係を式(5)を満たすようにし、前記インペラの位置を式(6)を満たすようにしている点にある。
Figure 2011256445
本発明によれば、硫黄濃度が10ppm以下である低硫溶銑を確実に製造することができ、後工程で復硫が生じても改めて脱硫処理を行う必要がなく、後工程における脱硫処理を省略することができる。
脱硫処理を行う機械式攪拌装置の概略を示したもので、a)側部の断面図であり、b)平面図である。 有効石灰原単位と処理後Sの濃度との関係図である。 脱硫剤原単位と攪拌動力密度εとの関係図である。 インペラの位置と処理後Sの濃度との関係図である。
以下、本発明の溶銑の脱硫方法について説明する。
本発明の溶銑の脱硫方法は、図1に示すように、高炉から出銑されて先に脱珪処理を行った溶銑1を取鍋2に装入し、取鍋2内の溶銑を機械式攪拌装置3を用いて攪拌しながら脱硫剤を供給することにより処理を行うバッチ式のものを対象としている。溶銑1を脱硫するにあたって、脱硫剤をインジェクションにより吹き込むものがあるが、これは対象としていない。
図1(a)、(b)に示すように、機械式攪拌装置3は、回転自在なインペラで構成されている。このインペラ3は、回転軸6の下部に矩形状の複数(例えば、4枚)の羽根部7を設けることにより構成されている。各羽根部7は、回転軸6を中心として、互いの開き角度が90degとなるように配置されている。
以下、本発明の溶銑の脱硫方法(脱硫処理)について詳しく説明する。
高炉から出銑した溶銑1の硫黄濃度[S]は300ppm以下であり、溶銑の硫黄濃度[S]を低下させるために脱硫処理を行うこととしている。なお、溶融還元法などによって作製した鉄源を用いると溶銑の硫黄濃度[S]が300ppm以上になることがあるが、このような溶銑に対しては処理を行うものは対象外である。
本発明の脱硫処理は、このように高炉から出銑して硫黄濃度[S]が300ppm以下となっている溶銑を用いて、硫黄濃度[S]が50ppm以下の鋼を溶製するために行うものである。
この脱硫処理では、後工程の復硫を考慮して処理後の硫黄濃度[S]を10ppm以下にしている。即ち、鋼を製造するにあたっては、転炉にて炭素濃度[C]を低下させる脱炭処理を行うことが必要である。溶銑を転炉に装入する際に不可避的に溶銑上のスラグが入ってしまったり、転炉内にも不可避的に残留するスラグが存在するため、脱炭処理の際に復硫が発生する。
本発明では、このように復硫が発生しても、再度、脱硫処理を行うことなく規定の鋼を製造するために、脱硫処理にて硫黄濃度[S]を10ppm以下にすることによって、最終的に鋼であるときの硫黄濃度[S]が50ppm以下になるようにしている。
様々な鋼種では、硫黄濃度[S]を50ppm以下(0.005質量%以下)にすることが必要である。例えば、特開2009−30092号公報では、「Sは、MnSを形成し、破壊の発生起点となるため0.005%以下とする」ことが記載されており、特開2009−161824号公報では、「Sは鋼中に不可避的不純物として存在する。特に、中心偏析部での偏析が著しい元素であり、母材の偏析部起因の靱性劣化を助長する。従って、Sはできるだけ低減することが望ましいが、製鋼プロセス上の制約から0.005%までは許容する」ことが記載されている。
また、この他に、特開2009−144239号公報では「Sも不純物元素として不可避的に存在し、MnS介在物を形成し、穴拡げ時に亀裂の起点となることで伸びフランジ性を低下させるので、0.005%以下とする」が記載されており、特開2009−46737号公報や特開2007−204816号公報には、「Sは熱間加工性低下および靭性低下を防止する面からその含有量は少ないほど望ましく、0.005%を上限とする」ことや「S量が少なければ少ないほど深絞り性は向上し、0.005%以下であれば1.2以上のr値が得られる」ことが記載されている。
さて、溶銑の脱硫処理を行うにあたっては、脱硫剤を用いるが、この脱硫剤はCaO系のものである。CaO系の脱硫剤は一般的なものであり、CaO系の脱硫剤として、例えば、特開2002−266013号公報には、「質量比でCaO:93〜65%、SiO2:3〜20%、Al23:1〜10%、Na2CO3:3〜15%を含む」ものが開示されており、特開2007−031810号公報には、「 CaOが90質量%、CaF2が7質量%、アルミドロスが3質量%」のものが開示されており、特開2002−327208号公報には、「CaO:7kg/Al滓原単位3kg/t」のものが開示されている。
本発明では、脱硫剤の有効石灰原単位(有効石灰比率)が式(1)を満たすようにしている。有効石灰原単位とは脱硫反応の際に有効に働く(脱硫に寄与する)石灰の原単位を表すものである。
Figure 2011256445
脱硫処理に使用する脱硫剤は、焼石灰や蛍石などが含まれるもの(新規脱硫剤)であったり、脱硫処理で発生した脱硫スラグを再び用いるもの(再生脱硫剤)であったり、新規脱硫剤と再生脱硫剤とを混合したもの(混合脱硫剤)である。
本発明では、脱硫処理の際に脱硫剤として新規脱硫剤のみを使用した場合であっても、再生脱硫剤を使用した場合であっても、或いは、混合脱硫剤であっても有効石灰原単位が式(1)を満たすようにしている。式(1)のCaO、SiO2は使用する脱硫剤に含まれる成分量(質量%)である。
有効石灰原単位が8.7未満では脱硫に使用されるCaO成分が少なく、溶銑の脱硫処理後に硫黄濃度[S]を10ppm以下にすることができない。一方、有効石灰原単位が8.7以上であると、溶銑の脱硫処理後に硫黄濃度[S]を10ppm以下にすることができる。なお、式(1)で示される有効石灰原単位は、「Steel Res Int 80(2009)727」に示されている。
また、本発明の脱硫処理では、脱硫剤の硫黄濃度[S]を3質量%未満とすると共に、脱硫処理後の温度、即ち、処理直後の溶銑の温度を1330℃以上にしている。脱硫剤の硫黄濃度[S]が3質量%以上であると、十分に脱硫反応が進まなくなる。また、脱硫処理は吸熱反応であるため高温である方が脱硫反応が進むが、脱硫処理後の温度が1330℃未満であると、脱硫反応が余り進まず、脱硫処理後に硫黄濃度[S]を10ppm以下にすることができない。
そのため、本発明では、上述したように、脱硫剤の硫黄濃度[S]を3質量%未満とし、脱硫処理後の温度を1330℃以上としている。
本発明の脱硫処理を行う前の溶銑は、前処理にて脱珪処理がなされたものである。脱硫処理を行うために脱珪処理を行った溶銑を取鍋2に装入すると、脱珪処理にて生成したスラグ(前処理スラグ)は、不可避的に取鍋2内に入ってしまうことになる。このような状況下で、脱硫処理を行うにあたっては、脱硫処理の際に持ち込まれる前処理スラグの組成を式(2)及び式(3)を満たすようにし、前処理スラグの原単位bと脱硫剤の原単位aとの関係を式(4)を満たすようにしている。
Figure 2011256445
脱珪スラグの塩基度やスラグ中のFeO量は、特開2006−328453号公報、2000−178627号公報に示されているように、式(2)や式(3)を満たすものであるが、脱珪スラグの塩基度や(FeO)が式(2)や式(3)を満たすものでなければ、脱硫処理後の硫黄濃度[S]を10ppm以下にすることは困難である。そのため、本発明では、脱硫処理を行うにあたって、持ち込まれてしまう脱珪スラグの組成が式(2)や式(3)を満たすことを条件(前提条件)としている。なお、上記では、前処理スラグとして脱珪スラグを示したが、これに代えて、高炉にて発生した高炉スラグであってもよい。
前処理スラグは、脱硫剤に比べて比較的FeOの濃度が高く、脱硫剤に比べて持ち込まれる前処理スラグが多くなると酸素ポテンシャルが増加するため脱硫効率が低下する。また、前処理スラグにもSiO2が含まれ、脱硫効率に影響を与える。そこで、本発明では、脱硫剤の原単位と前処理スラグの原単位との関係が式(4)を満たすようにしている。
即ち、脱硫反応は、一般的に、[S]+(O2-)→(S2-)+[O]により進むことになるが、a/bが20以下であり、前処理スラグが脱硫剤に比べて多すぎてFeOが増加してしまうと脱硫反応が進みにくくなる。また、a/bが20以下であり、SiO2が増加してしまうと、CaOからの(O2-)とSiO2が反応し(SiO4 2-)となる反応が優先してしまうため、脱硫反応が進みにくくなる。
一方、a/bが20よりも大きいと、FeOの増加にともなって酸素ポテンシャルが増加したとしても、CaOを含む脱硫剤の脱硫能力が向上するため脱硫効率が低下してしまうことはない(FeOの増加による悪影響が相殺されるため脱硫に影響しない)。
加えて、脱珪スラグのように液相率の高いスラグが前処理スラグで多量に存在すると、処理開始初期は固体石灰に比べ、脱硫に寄与しない液相率の高い脱珪スラグが優先的に巻き込まれる。その結果、処理開始時の脱硫効率が悪化し、処理時間の延長となる。この点からの、前処理スラグの原単位bと脱硫剤の原単位aとの関係は、a/b>20を満たすようにする必要がある。
なお、前処理スラグの原単位は、脱硫剤を添加する前に予めスラグの厚みを測定して求めることができる。具体的には、前処理スラグの原単位は、[πr2×計測スラグの厚み(m)×スラグ嵩密度(kg/m3)]/溶銑量(t)で求めることができる。rは取鍋2の半径(m)であり、スラグ嵩密度は、過去の実績からスラグ量が分かるため、そのときのスラグの厚みから求めることができる。スラグ嵩密度は、例えば、2500kg/m3として考えることができる。
さて、機械攪拌を用いて行う脱硫処理では、インペラ3を回転させて溶銑を攪拌することは一般的なことであり、溶銑の攪拌と脱硫効率との関係について様々な技術が開示されている。例えば、特開2007−262501号公報では、「インペラ3の攪拌はインペラ3の上端より渦の凹み深さを深くすることで脱硫剤を効率よく溶銑に分散できる」ことが記載されている。
しかしながら、このような従来の技術を用いても、十分に脱硫処理を行うことができないのが実情であるため、本発明では、攪拌の強さを示す攪拌動力密度εと脱硫剤の原単位aとの関係を式(5)を満たすようにしている。
Figure 2011256445
攪拌動力密度εが式(5)を満たさず、脱硫剤の量に比べて攪拌動力密度εが小さいと、全ての脱硫剤(スラグ)が溶銑に巻き込まれにくく、全ての脱硫剤が巻き込まれたとしても巻き込まれるまでの時間が非常に長くなる虞がある。なお、攪拌動力密度εを大きくすると、スラグを効率良く巻き込むことができるが、攪拌動力密度εが1500W/t以上としても、スラグを巻き込む効率について変化がなく、攪拌動力密度εの増加による効果が享受出来にくくなる。また、攪拌動力密度εが1500W/t以上となると、耐火物の溶損が進みやすく、溶銑等の飛散も考えられる。これらのことから、攪拌動力密度εの上限値は1500W/tであることが好ましい。
なお、攪拌動力密度εは、「化学工学便覧、丸善発行、1998年、p893-897」に記載されている式(a)により求めることができる。
Figure 2011256445
表1は、攪拌動力密度εを求めるにあたっての式(a)のパラメータをまとめたものである。溶銑密度や溶銑の粘性係数は、『Handbook of Physico-chemical Properties at High Temperatures, ed. by The 140th、Committee of Japan Society for Promotion of Science, ISIJ, Tokyo, (1988), p.11, 96』に開示されている値を用いた。
Figure 2011256445
さらに、本発明の脱硫処理では、インペラ3の位置を式(6)を満たすようにしている。式(6)のインペラ上端の深さh2は、溶銑の湯面とインペラ3の上端との距離(m)であり、式(6)のスラグの厚みh3は、脱硫剤が入っている状態であって攪拌していないときのスラグの厚み(m)である。溶銑の深さZは、Z=[溶銑重量(kg)/溶銑の密度(kg/m3)]/πr2で求めることができる。なお、溶銑の深さZやスラグの厚みh3は実測してもよい。
Figure 2011256445
式(6)に示すように、(h2+h3)/Zが0.2未満であるときはインペラ3の浸漬深さが小さすぎるため、脱硫剤を浴深くまで潜り込ませることができない。そのため、脱硫剤と溶銑が接触する時間が短く、脱硫処理後に溶銑の硫黄濃度[S]を10ppm以下にすることができない。一方、(h2+h3)/Zが0.5よりも大きいときは、インペラ3浸漬深さが大きすぎるために、脱硫剤とインペラ3の接触機会が減少し、溶銑中に分散される脱硫剤が減少する。そのため、脱硫処理後に溶銑の硫黄濃度[S]を10ppm以下にすることができない。
つまり、脱硫処理を行うにあたって、インペラ3の浸漬深さは、大きすぎても小さすぎても良くなく、インペラ3の位置は式(6)を満たすようにする必要がある。なお、インペラ3を溶銑に浸漬させたときに、インペラ3の下端が取鍋2の底に接触しないように、当業者常法通り、インペラ3の高さは設定されている。
表2は、脱硫処理を行う実施条件を示したものである。
Figure 2011256445
この実施条件では、取鍋2の代わりに高周波溶解炉(坩堝)を用いた。また、脱硫剤は、高周波溶解炉の上方から一括して添加を行った。さらに、インペラ3を高周波溶解炉には挿入してインペラ3を回転させることにより溶銑の攪拌を行った。
Figure 2011256445
Figure 2011256445
表3、4は、表2の実施条件に基づいて本発明の脱硫方法により処理を行った実施例と、本発明の脱硫方法とは異なる方法にて処理を行った比較例とを示したものである。
実施例及び比較例において、処理後[S](処理後の硫黄濃度)が10ppm以下であると、良好「○」とし、この値を外れると不良「×」として評価した。
また、混合脱硫剤の欄は、新規脱硫剤と再生脱硫剤との両方を使用した場合は、両者を混合した組成(%:質量%のこと)を記載し、新規脱硫剤又は再生脱硫剤のいずれか一方を使用した場合は、使用した脱硫剤の組成を記載した。
実施例1〜実施例12では、脱硫剤の有効石灰原単位が8.7以上であり(有効石灰原単位の欄)、脱硫剤の硫黄濃度を3質量%未満とし(混合脱硫剤のSの欄)、脱硫処理後の温度を1330℃以上とし(処理温度の欄)、脱硫処理の際に持ち込まれる前処理スラグの組成のCaO/SiO2を0.5以上で且つFeOを20%以上としている(前処理スラグのC/Sの欄及びFeOの欄)。
また、実施例1〜実施例12では、前処理スラグの原単位bと脱硫剤の原単位aとの関係をa/b>20とし(前処理スラグとの割合の欄)、攪拌動力密度εと脱硫剤の原単位aとの関係をε>40×aとし(攪拌動力の欄)、インペラ3の位置である(h2+h3)/Zを0.2以上0.5以下としている(インペラ3の欄)。
したがって、実施例では、硫黄濃度[S]が300ppm以下の溶銑(初期[S]の欄)を脱硫処理するにあたって、脱硫処理後の硫黄濃度[S]を確実に10ppm以下にすることができた。
一方、比較例14〜比較例18では、脱硫剤の有効石灰原単位が8.7未満であり、比較例19〜比較例22では、攪拌動力密度εと脱硫剤の原単位aとの関係がε>40×aを満たしていない。また、比較例23、24では、前処理スラグの原単位bと脱硫剤の原単位aとの関係がa/b>20満たしておらず、比較例25、26では、インペラ3の位置である(h2+h3)/Zが0.2未満又は0.5よりも大である。
さらに、比較例27、28では、脱硫処理後の温度が1330℃未満であり、比較例29〜比較例31では、脱硫剤の硫黄濃度が3質量%よりも大である。
したがって、比較例では、本発明に示したいずれかの条件が外れているため、脱硫処理後の硫黄濃度[S]が10ppmよりも大きくなった。
図2〜図4は、実施例及び比較例をまとめたものである。
図2に示すように、有効石灰原単位と処理後Sの濃度との関係を見ても、実施例のように有効石灰原単位を8.7以上とすれば処理後Sを10ppm以下に確実にすることができることが分かる。
図3に示すように、脱硫剤原単位と攪拌動力密度εとの関係を見ても、実施例のように、ラインL(40×a)よりも大きくすれば処理後Sを10ppm以下に確実にすることができることが分かる。
図4に示すように、インペラ3の位置(h2+h3)/Zと処理後Sの濃度との関係を見ても、実施例のように、(h2+h3)/Z>0.2、(h2+h3)/Z<0.5とすれば処理後Sを10ppm以下に確実にすることができることが分かる。
以上、本発明によれば、硫黄濃度が10ppm以下である低硫溶銑を確実に製造することができ、後工程で復硫が生じても改めて脱硫処理を行う必要がなく、後工程における脱硫処理を省略することができる。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 溶銑
2 取鍋
3 機械式攪拌装置(インペラ)
6 回転軸
7 羽根部

Claims (1)

  1. 硫黄濃度[S]が300ppm以下の溶銑から硫黄濃度[S]が50ppm以下の鋼を溶製するにあたって取鍋内の溶銑に脱硫剤を供給すると共にインペラを回転させることにより脱硫を行う溶銑の脱硫方法において、
    前記脱硫剤の有効石灰原単位が式(1)を満たすようにし、前記脱硫剤の硫黄濃度を3質量%未満とし、脱硫処理後の温度を1330℃以上とし、脱硫処理の際に持ち込まれる前処理スラグの組成を式(2)及び式(3)を満たすようにし、前処理スラグの原単位bと脱硫剤の原単位aとの関係を式(4)を満たすようにし、攪拌動力密度εと脱硫剤の原単位aとの関係を式(5)を満たすようにし、前記インペラの位置を式(6)を満たすようにしていることを特徴とする溶銑の脱硫方法。
    Figure 2011256445
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