JP2015218392A - 溶銑脱硫方法 - Google Patents
溶銑脱硫方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015218392A JP2015218392A JP2014105387A JP2014105387A JP2015218392A JP 2015218392 A JP2015218392 A JP 2015218392A JP 2014105387 A JP2014105387 A JP 2014105387A JP 2014105387 A JP2014105387 A JP 2014105387A JP 2015218392 A JP2015218392 A JP 2015218392A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hot metal
- desulfurization
- flux
- aln
- stirring
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【解決手段】高炉より出銑された溶銑を、転炉での脱炭工程前の溶銑段階で機械式攪拌により脱硫処理を実施するにあたり、以下に示す条件を満たす組成のフラックスを用いる。
【数1】
【選択図】図1
Description
特許文献1に開示の溶銑の脱硫方法は、CaO及びMgOを主成分とする精錬剤を用いて溶銑の脱硫を行う方法において、溶銑のAl濃度を0.005〜0.1質量%に調整して、カルシューム−アルミネートの生成を抑制することを特徴とする。これは、浸漬させたランスからフラックスをインジェクションする方法(所謂インジェクション脱硫)である。
このような脱硫処理の技術に加えて、特許文献4に開示されるように、容器に収容された溶銑にフラックスを上置きし、耐火物の攪拌羽(インペラ)を浸漬及び回転させて、上置きされたフラックスを溶銑中に巻き込むことにより脱硫する機械式脱硫方法(所謂KR脱硫)も存在する。
Alについてしか記述されておらず、同様の脱酸効果を持つ安価なAlNを考慮していないために、脱硫剤としては高価なものとなるという欠点がある。さらに、機械式脱硫方法を前提とした場合、特許文献1及び特許文献2の技術は、インジェクション/ブラスティング脱硫を前提としているため、機械攪拌式脱硫方法によって溶銑を効率良く極低硫化するための指針とすることは困難である。
即ち、本発明の溶銑脱硫方法は、高炉より出銑された溶銑を、転炉での脱炭工程前の溶銑段階で機械式攪拌により脱硫処理を実施するにあたり、以下に示す条件を満たす組成のフラックスを用いることを特徴とする。
図1は、高炉1から出銑された溶銑の精錬工程の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、高炉1から出銑された溶銑は、混銑車3にて受銑された後、製鋼工場に運搬され、そこで混銑車3から溶銑鍋4へ払い出される。この溶銑鍋4は、クレーンによって除滓位置に移され、鍋中の溶銑表面に存在する高炉スラグが除去(除滓)された後、クレーンによって転炉正面に運ばれる。除滓されて転炉正面に運ばれた溶銑は、溶銑鍋4から転炉へ装入される。転炉への溶銑の装入を終了した空の溶銑鍋4は、再びクレーンによって払出位置に戻され、混銑車3から溶銑鍋4へ次チャージの溶銑が払い出される。
図2は、溶銑を貯留する溶銑鍋4、及び溶銑鍋4に貯留された溶銑に浸漬されたインペラ5の構成を示す図である。この図2に示す構成によって機械式攪拌を行えば、溶銑中の硫黄は脱硫剤へと効果的に移行して脱硫スラグが形成され、形成された脱硫スラグを取り除くことで「硫黄分が除かれた溶銑」を得ることができる。
攪拌動力Pは、以下に示す永田の式(例えば、化学工学便覧、丸善(1998),P893-897)などを参照)を用いて得られる。
上述のように、本実施形態による上述の脱硫処理は、溶銑鍋4に、脱硫剤であるフラックスを添加する添加処理と、フラックスが添加された溶銑鍋4内の溶銑に対して機械式攪拌を施す攪拌処理とを有している。具体的に、本実施形態による脱硫処理は、添加処理に用いられるフラックスの成分の規定に特徴を有すると共に、攪拌処理における攪拌動力密度εの規定に特徴を有する。
上述の脱硫処理における脱硫反応は吸熱反応であるため、高温の方が進みやすく低温では進みにくいという、溶銑の温度に依存した特性がある。従って、フラックスに必要とされる条件が溶銑温度に依存して異なり、溶銑温度によって同一フラックスによる脱硫効率が大きく変化する。
尚、本実施形態においては溶銑温度の下限を定めないが、溶銑の温度があまりにも低いと脱硫以前に溶銑鍋4への地金の付着が顕著となるため、1250℃程度を溶銑温度の下限と考えることができる。
まず、フラックスは、換算M.Alについて以下の式(1)に示す条件を満足する。
ここで、脱硫反応は、[S]+(O)=(S)+[O]・・式(ア)で表される。なお、記号[ ]は溶銑中に溶解していることを示し、記号( )は、スラグ中に溶解していることを示す。この式(ア)から分かるように、脱硫反応を効率良く進めるためには、第1に、溶銑中の酸素ポテンシャルを低減させる必要があり(第1の条件)、第2に、スラグ中の硫黄の活量を低下させる必要がある(第2の条件)。
上述したように、脱硫反応は吸熱反応であるため、低温ほど反応しにくいという特徴がある。このため、溶銑が低温になるほど、より投入Al量を増やし溶銑の酸素ポテンシャルを低下させる必要があり、上記式(1)による換算M.Alについての条件は、溶銑温度に基づいて必要となる換算M.Al量を規定するものである。
このため、脱硫処理の前に脱りん処理を行う場合、脱硫処理開始時には溶銑中のSi濃度が大きく低下しているため、酸素ポテンシャルが高くなりやすく、脱りん処理を事前に実施していない溶銑と比較して、より多くの換算Al量が必要となる。
以下に、式(1)の算出経緯を示す。
I.300kg溶銑の脱硫実験を実施し、図3に示すような、脱硫率を従属変数、溶銑温度と換算M.Alを独立変数として重回帰を実施し、以下の式(A)を得た。図3は、溶銑の脱硫実験について、脱硫率を従属変数、溶銑温度と換算M.Alを独立変数とした重回帰分析の結果を表すグラフを示す図である。
−(A)
なお、溶銑の脱硫実験において、脱硫率[%]を次の式によって求めた。
脱硫率[%] = 126.7×換算M.Al[kg/t]+0.189×T[℃]+8.44×[Si][wt%]-228.77
≧90 −(B)
III. 上記式(B)を変形することで、脱硫処理前の溶銑温度T及び溶銑Si濃度を勘案した換算M.Al量を定義する上記式(1)が導かれる。つまり、効果的に極低硫溶銑を製造するためには、式(1)で計算される量よりも多くの換算M.Al量を溶銑に投入すれば良い。
尚、式(2)中、CaO及びMgOの含有量の単位は [kg/t]で、溶銑1t(トン)あたりのCaO及びMgOの重量(kg)を表す。
上記式(1)及び式(2)を満たすフラックスとしては、例えば、生石灰、金属Al粒、及び2種類のアルミ灰の計4種の原料を混合して使用することができる。このうち、金属Al粒は実質的に100%M.Alであり、残り3種の原料の組成は、夫々下に示す表の通りである。
まず、被検体であるフラックスのM.Al[wt%]を、臭素メタノール分解−ICP発光分析法により測定する。ここで、単位[wt%]は、重量パーセントを示す。
た窒素量N[wt%]は、全て窒化アルミニウム(AlN)由来としてAlN[wt%]を算出する。
さらに、この残渣をICP発光分析によりアルミニウム(Al)の総量T.Al[wt%]を測定し、下式(3)に示すように、アルミニウム(Al)の総量T.Al[wt%]からAlN中のAl量を除いたものがAl2O3中のAlの量であるとしてAl2O3[wt%]を計算した。
本実施形態による攪拌処理では、攪拌動力密度ε[kw/t]を以下の式(4)に示すように用いる。
一方、M.Alを用いず全量AlNを用いた場合、脱酸反応の進行が遅いため、添加後すぐには酸素ポテンシャルが下がらず脱硫能を低下させるため、M.AlとAlNの比率には最適範囲が存在すると考えられ、効率良く脱硫反応を進行させるためには、M.AlとAlNの比率を最適範囲に調整した上で操業する必要がある。
つまり、攪拌動力が大きい場合は巻き込み大気量(巻き込み酸素量)が多いため、遅効性の(脱酸反応の進行が遅い)AlNの比率が高い必要があるし、また攪拌動力が小さい場合は即効性の(脱酸反応の進行が速い)M.Alの比率が高い必要がある。
さに対するAlNの量が多すぎるので、脱酸反応の進行が遅くなりすぎ、脱硫能が低下する。
以上に説明したとおり、上述の式(1),(2)及び(4)を満たすフラックスの組成及び攪拌動力密度εによる脱硫処理を行うことで、脱硫処理前の溶銑温度に合わせて溶銑を効果的に脱硫することができる。
まず、実験条件について述べる。実験には高周波溶解炉を用いた。炉の内径(D)は400mm、浴深さ(Z)は340mm、溶銑量は300kgである。また、処理時間は攪拌開始より10分(min)とし、フラックスは、炉上方より攪拌開始直前に一括投入した。フラックスとしては、粒径が全て3mm未満である3mmアンダー品を用いた。
溶銑成分について、溶銑中の炭素Cの含有量である溶銑[C]は3.77〜4.67重量%、同じく硫黄Sの含有量である溶銑[S]は0.019〜0.029重量%、ケイ素Siの含有量である溶銑[Si]は0.01〜0.46重量%であった。
以下の表3は、上記式(1)で規定する換算M.Al、式(2)で規定する塩基度、及び式(4)で規定する脱酸パラメータZの3つの条件を全て満たした場合の脱硫処理の結果(実験結果)を実施例として示している。
以下の表4は、式(2)で規定する塩基度、及び式(4)で規定する脱酸パラメータZの2つの条件を満たしているが、上記式(1)で規定する換算M.Alを満たしていない
場合の脱硫処理の結果(実験結果)を比較例1として示している。
図4は、表3に示す実施例の結果と表4に示す比較例1の結果を表すグラフである。図
3に示すグラフによると、式(1)で規定する換算M.Alを満たしていない場合、つまり換算M.Alの下限値を下回っている場合は、脱硫率が90%未満となっているので、式(1)で規定する換算M.Alが下限値を下回らない成分のフラックスを用いて脱硫処理を行うことが望まれる。
式(4)で規定する脱酸パラメータZを満たしていない場合、つまり、脱酸パラメータ
Zである、M.Al及びAlNによる比X(=AlN/(AlN+M.Al))と攪拌動力密度εとの商(X/ε)が、0.5以上0.8以下の範囲にない場合は、脱硫率が90%未満となっている。従って、0.5以上0.8以下の脱酸パラメータZにおいて脱硫処理を行うことが望まれる。
式(2)で規定する塩基度を満たしていない場合、つまり、SiO2やAl2O3の含有量に対するCaOやMgOの含有量の比が大きい場合は、脱硫率が90%未満となって
いる。従って、式(2)で規定する塩基度が8(kg/t)以上となる成分のフラックスを用いて脱硫処理を行うことが望まれる。
3 混銑車
4 溶銑鍋
5 インペラ
Claims (1)
- 高炉より出銑された溶銑を、転炉での脱炭工程前の溶銑段階で機械式攪拌により脱硫処理を実施するにあたり、
以下に示す条件を満たす組成のフラックスを用いることを特徴とする溶銑脱硫方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014105387A JP2015218392A (ja) | 2014-05-21 | 2014-05-21 | 溶銑脱硫方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014105387A JP2015218392A (ja) | 2014-05-21 | 2014-05-21 | 溶銑脱硫方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015218392A true JP2015218392A (ja) | 2015-12-07 |
Family
ID=54778027
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014105387A Pending JP2015218392A (ja) | 2014-05-21 | 2014-05-21 | 溶銑脱硫方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015218392A (ja) |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH093515A (ja) * | 1995-06-14 | 1997-01-07 | Nippon Steel Corp | 低珪素濃度溶銑の脱硫方法 |
JP2005146359A (ja) * | 2003-11-17 | 2005-06-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 溶銑の予備処理方法 |
JP2005290434A (ja) * | 2004-03-31 | 2005-10-20 | Jfe Steel Kk | 溶銑の脱硫方法 |
JP2011256445A (ja) * | 2010-06-10 | 2011-12-22 | Kobe Steel Ltd | 溶銑の脱硫方法 |
JP2012026012A (ja) * | 2010-07-26 | 2012-02-09 | Nippon Steel Corp | 溶銑の脱硫方法 |
JP2013023738A (ja) * | 2011-07-22 | 2013-02-04 | Jfe Steel Corp | 取鍋内スラグの再利用方法 |
JP2013151725A (ja) * | 2012-01-25 | 2013-08-08 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 溶銑の脱硫処理方法 |
-
2014
- 2014-05-21 JP JP2014105387A patent/JP2015218392A/ja active Pending
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH093515A (ja) * | 1995-06-14 | 1997-01-07 | Nippon Steel Corp | 低珪素濃度溶銑の脱硫方法 |
JP2005146359A (ja) * | 2003-11-17 | 2005-06-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 溶銑の予備処理方法 |
JP2005290434A (ja) * | 2004-03-31 | 2005-10-20 | Jfe Steel Kk | 溶銑の脱硫方法 |
JP2011256445A (ja) * | 2010-06-10 | 2011-12-22 | Kobe Steel Ltd | 溶銑の脱硫方法 |
JP2012026012A (ja) * | 2010-07-26 | 2012-02-09 | Nippon Steel Corp | 溶銑の脱硫方法 |
JP2013023738A (ja) * | 2011-07-22 | 2013-02-04 | Jfe Steel Corp | 取鍋内スラグの再利用方法 |
JP2013151725A (ja) * | 2012-01-25 | 2013-08-08 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 溶銑の脱硫処理方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5438527B2 (ja) | 極低りん鋼溶製のための脱りん方法 | |
JP5895887B2 (ja) | 溶鋼の脱硫処理方法 | |
JP5408379B2 (ja) | 溶銑の予備処理方法 | |
JP2013064188A (ja) | 製鋼スラグの資源化方法 | |
JP4894325B2 (ja) | 溶銑の脱燐処理方法 | |
JP5888194B2 (ja) | 溶鋼の脱硫方法 | |
JP5333542B2 (ja) | 溶鋼ならびに溶融鉄合金の脱硫方法 | |
JP6223247B2 (ja) | 溶銑脱硫方法 | |
JP6223246B2 (ja) | 溶銑脱硫方法 | |
JP2015218392A (ja) | 溶銑脱硫方法 | |
JP2015218391A (ja) | 溶銑脱硫方法 | |
JP5438543B2 (ja) | 脱りん方法 | |
JP5689024B2 (ja) | ダストを使用した溶銑の脱りん方法 | |
JP4984928B2 (ja) | 溶銑の脱硫方法 | |
JP2008063600A (ja) | 含クロム溶鉄の脱硫方法 | |
JP6443192B2 (ja) | FeSi合金粒を用いたスラグの改質方法 | |
JP2006083421A (ja) | 鋼の製造方法 | |
JP7167704B2 (ja) | 溶銑脱硫方法 | |
JP5447554B2 (ja) | 溶銑の脱りん処理方法 | |
JP5404269B2 (ja) | 脱りん方法 | |
JP6375822B2 (ja) | 溶銑の脱珪処理方法 | |
JP5388805B2 (ja) | 脱炭スラグを用いた脱りん方法 | |
JP6627642B2 (ja) | 鉄鉱石の還元方法 | |
JP2023170932A (ja) | 溶銑の脱硫方法 | |
JP5453794B2 (ja) | 溶銑の脱燐処理方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160901 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170612 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170704 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170831 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171003 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20180313 |