JP2011240954A - 食品包装用トレー形容器及び包装食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】底板部と、該底板部の周縁から立設された側壁部と、該側壁部の先端側が外方に向けて張設されたフランジ部とを備えた合成樹脂製の食品包装用トレー形容器において、前記底板部の上面側に、多数の突起と凹部とのいずれか一方又は両方からなる食品剥離促進部が設けられたことを特徴とする食品包装用トレー形容器。
【選択図】図1
Description
また、釜炊きした米飯を容器に無菌的に充填する方法(以下、釜炊き無菌充填法とも言う)も広く実施されている。しかし、この釜炊き無菌充填法では、製品及び包材について高度な菌数管理が必要であるといった問題を抱えている。
また、この無菌包装食品の製造方法(個食トレー炊飯製法)は、米飯に限らずパスタ食品にも適用でき(例えば特許文献3)、麺類や粥等のデンプン系食品に幅広く適用可能であることが知られている。
このように容器を逆向きにして米飯等を取り出す場合、容器の内面に米飯等が強く付着していると、容器を逆向きにした時に米飯等が落下し難かったり、落下後に容器の内面に食品の一部が付着して残留する。しかし、米飯等の無菌包装食品においては、これまで容器内面に加熱調理後の食品が付着してしまうことについて、あまり注目されておらず、使用するトレー形容器の形状についても食品の付着を防ぐような特別の対策はとられておらず、底面、側面ともに単調な形状であり、容器の内面が平滑面とされたトレー形容器が主であった。
特許文献4には、へら部の地表面に高さ30〜140μ位のしぼを設け、このしぼ面にさらに高さ150〜300μ位に成る凸起を設けた凸凹面から成るダブルエンボス加工面を構成したことを特徴とする杓子が開示されている。
特許文献5には、少なくとも掬い部の両面若しくは片面に多数の微細な凹凸を設けたことを特徴とする飯べらが開示されている。
特許文献6には、基端部から分岐した弾発性のある柄杆の先端部に掬い部を構成し、この掬い部の内側縁部に掴み部を設け、前記掬い部と柄杆の一部にかけて多数の小凸起とこの小凸起およびその周囲の凹部にわたりしぼを形成したトング部材であることを特徴とする納豆撹拌具が開示されている。
特許文献7には、米飯を所定形状に成形する米飯成形機中の、米飯と接触し当該米飯を滑動させる滑動面を有する構成部品において、その滑動面に、可及的に米飯との接触面積を小さくするよう、多数の凹凸面を形成したことを特徴とする米飯成形機の構成部品における米飯付着防止機構が開示されている。
なお、特許文献4〜7に開示された従来技術は、個食トレー炊飯製法における米飯の加熱状態が不均一となる問題とは一切関係がない。
前記底板部の上面側に、多数の突起と凹部とのいずれか一方又は両方からなる食品剥離促進部が設けられたことを特徴とする食品包装用トレー形容器を提供する。
本発明の食品包装用トレー形容器において、前記底板部の上面側の少なくとも一部に、多数の突起が縦横に配列されてなる食品剥離促進部が設けられていることが好ましい。
本発明の食品包装用トレー形容器において、前記底板部の上面側の少なくとも一部に、多数の凹部が縦横に配列されてなる食品剥離促進部が設けられている構成としてもよい。
本発明の食品包装用トレー形容器において、前記側壁部に多数の縦溝状のリブが並設されていることが好ましい。
また本発明は、前述した本発明に係る食品包装用トレー形容器に食品を密封包装してなる包装食品を提供する。
前記包装食品は、食品包装用トレー形容器に米飯を無菌包装したものであることが好ましい。
また、本発明の食品包装用トレー形容器は、底板部の上面側に、多数の突起と凹部とのいずれか一方又は両方からなる食品剥離促進部が設けられた構成としたことで、個食トレー炊飯製法によってこの容器内で米飯を炊飯調理した場合に、得られる米飯は加熱状態が均一となり、上部、下部、中心部、周辺部などの各部で水分量、澱粉粒子の糊化度、テクスチャーなどにバラツキが小さくなり、食味に優れた製品を提供することができる。
図1〜図7は、本発明の一実施形態の食品包装用トレー形容器を示す図である。
本実施形態の食品包装用トレー形容器1(以下、トレー容器とも言う)は、底板部2と、該底板部2の周縁から立設された側壁部3と、該側壁部3の先端側が外方に向けて張設されたフランジ部4とからなっている。側壁部3上端の内側は、食品の取り出しを行う開口10になっている。
前記底板部2は、底板中央部6と、その周縁に連なる底板周縁部7とからなり、底板中央部6は若干上げ底状に形成されている。
本実施形態のトレー容器1において、突起5は、半球状または円柱状として形成されている。この突起5の形状は、突起底面形状が円形である本例示に限定されるものではなく、突起底面形状が楕円形、長円形、3以上の多角形などとすることもできるが、米飯等が付着し難い点から、突起底面形状が円形または楕円形であることが好ましい。
また、図7中の符号bで示される突起5の高さは、0.2〜1.0mmの範囲であることが好ましく、0.4〜0.8mmの範囲がより好ましい。
さらに、図7中の符号cで示される突起5のピッチ間は、米飯一粒が嵌らない程度の距離とし、1〜9mmの範囲が好ましく、2〜3mmの範囲がより好ましい。
また、底板部2の上面側に前記食品剥離促進部11を設けたことで、個食トレー炊飯製法によってこのトレー容器1内で米飯を炊飯調理した場合に、得られる米飯は加熱状態が均一となり、上部、下部、中心部、周辺部などの各部で水分量、澱粉粒子の糊化度、テクスチャーなどにバラツキが小さくなり、食味に優れた製品を提供することができる。
このリブ8の長さ、幅、深さ及びピッチ間は、特に限定されないが、リブ長さは浸漬米充填高さの50〜150%が好ましい。例えば、本実施例の場合、浸漬米110gの充填で米高さは11mm程度になるので、リブ高さは5.5〜16.5mmの範囲が好ましい。リブ幅は1〜4mmが好ましい。リブ深さは0.1〜10mmが好ましい。リブ8のピッチ間は1〜5mmが好ましい。
このリブ8を側壁部3に設けたことによって、リブ無しのトレー容器と比べてトレー容器の強度、特に圧縮強度を高めることができる。また、このリブ8を側壁部3に設けたことによって、前記食品剥離促進部11による米飯の付着減少の効果を強めることができる。
例えば、底板部2のエンボス加工によって突起5を形成することに代えて、予め底板部2に相当する領域に突起5が形成された原料シートを成形することで、エンボス加工せずに突起5を形成してもよい。この場合には底板部2の底面側は凹まず平滑な面とすることができる。
また、食品剥離促進部11は、底板中央部6と底板周縁部7の両方に多数の突起5を設けた構成とすること以外に、底板中央部6と底板周縁部7のいずれか一方のみに形成してもよいし、或いは、底板中央部6の一部領域と底板周縁部7の一部領域に形成した構成としてもよい。
また、食品剥離促進部11は、多数の突起5を底板部2上面に縦横に配列して構成する他に、多数の凹部、或いは多数の凹凸を底板部2上面に縦横に配列して構成することもできる。
また、トレー容器1の形状は本例示に限定されるものではなく、平面視円形、楕円形、長円形、五角以上の多角形、菱形、半円形などの種々の形状とすることができる。さらに、2つの収容凹部をミシン目によって切り離し可能に連設したタイプのトレー容器とすることもできる。
トレー容器1内に収容する食品は、特に限定されず、米飯(白米、赤飯、粥、炊き込みご飯、釜飯等)の他、パスタ類、カレー、グラタン、各種惣菜などの調理済み食品、半調理食品などを収容可能である。特に、食品剥離促進部11を設けたトレー容器1による食品取り出し時の付着防止効果及び炊飯調理時の加熱均一化の効果が得られる点から、食品として炊飯調理済みの米飯を無菌充填した包装食品(以下、包装米飯と記す。)とすることが好ましい。
トレー容器1内に炊飯した米飯を無菌包装するための方法としては、
(1)釜炊きした米飯を容器に無菌的に充填する釜炊き無菌充填法、
(2)水に浸潰済みの精米(生米)を水切りしてトレー形容器内に計量充填し、それを容器ごと高温高圧蒸気で加熱処理(殺菌工程)を行った後、容器に炊き水を充填して炊飯(炊飯工程)を行う個食トレー炊飯製法、
が挙げられる。
(1)釜炊き無菌充填法は、製品及び包材について高度な菌数管理が必要であるといった問題を抱えている。一方、(2)個食トレー炊飯製法は、例えば140〜145℃の高温で合計24〜64秒の範囲の短時間で1又は複数回の加熱処理により殺菌を完全に行うことができ、釜炊き無菌充填法に比べて大掛かりな無菌充填施設を必要とすることなく、製造ラインも省スペース化でき、より安全な包装米飯を提供できる。また、100℃程度での炊飯を行えるため食品素材の香味を損なうことがなく商品価値の高い包装米飯を製造できるといった利点がある。
しかし、平滑な容器内面を有する従来タイプのトレー容器を用いて個食トレー炊飯製法によって包装米飯を製造した場合、米飯が容器のない面に付着し易い、上部、下部、中心部、周辺部などの各部で水分量、澱粉粒子の糊化度、テクスチャーなどにバラツキを生じやすく、米飯の食味が悪くなる場合があるなどの新たに改善するべき課題があった。
また、このトレー容器1内で米飯を炊飯調理した場合に、得られる米飯は加熱状態が均一となり、上部、下部、中心部、周辺部などの各部で水分量、澱粉粒子の糊化度、テクスチャーなどにバラツキが小さくなり、食味に優れた米飯を提供することができる。
この加圧加熱工程は、例えば精米が充填された状態のトレー容器1を処理チャンバに搬入し、該処理チャンバに導入した高温高圧蒸気によって加熱する。この殺菌工程にあっては、高温高圧蒸気を用いて精米を120〜145℃で数秒程度の短時間加熱を複数回繰り返すことが好ましい。この殺菌工程では、120〜145℃の高温蒸気を用いて合計24〜64秒の範囲の短時間で1又は複数回の加熱処理を行う。これにより殺菌を完全に行うことができる。
その後、炊飯温度(調理温度)よりも若干低い温度(例えば80℃±5℃)で所定時間維持する蒸らし工程を行い、次いで精米を炊飯してなる米飯を常温まで冷却する冷却工程を行って、トレー容器1内に米飯を無菌充填してなる包装米飯を得る。
ポリプロピレンフィルム/エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム/ポリプロピレンフィルムの3層積層シート(厚み0.65mm)を成形し、図1〜図7に示す形状のトレー容器を製造した。各部寸法は以下の通りとした。
側壁部上端間の長さ:160mm
側壁部上端間の幅:97.4mm
突起の外径:1mm
突起の底面積:3.14mm2
突起の高さb:0.75mm
突起のピッチ間c:3mm
リブ高さ:0.75mm
リブ間隔(最密部):1mm
底板部上面に突起が無く、また側壁部にリブが無いこと以外は、前記実施例と同じトレー容器を製造した。
前記実施例及び比較例のトレー容器を用いて包装米飯を製造し、各包装米飯を電子レンジ加熱した後、容器内から取り出した米飯(飯塊)の付着性を測定し、比較した。
なお、以下の各実験において、実施例のトレー容器を用いて製造した包装米飯を実施例、又は実施例の包装米飯と記し、比較例のトレー容器を用いて製造した包装米飯を比較例、又は比較例の包装米飯と記す。
前記実施例及び比較例のトレー容器を用い、以下の手順(1)〜(10)により包装米飯を製造した。
(1)精米工程;国産コシヒカリを搗き精度89%となるように精米した。
(2)洗米工程;前記精米した米をザルにとって、流水で4分間洗った。
(3)浸漬工程;前記洗米を2倍質量の水に1時間浸漬した。
(4)米充填工程;前記浸漬米をザルにとり、よく水切りした後、各トレー容器に110g充填した。
(5)加圧加熱工程;シンワ社製の加圧加熱装置PS−1を用い、チャンバーを密封した状態で前記トレー容器に5秒間蒸気を供給して加圧加熱した後、蒸気を排出する操作を8回繰り返した。この時、チャンバー内の最大温度は140℃であった。
(6)炊水充填工程;各トレー容器内に水84gを入れた。
(7)蒸気炊飯工程;98〜100℃の蒸し庫で32分間炊飯した。
(8)シール工程;炊飯を終えた各トレー容器のフランジ部に、PET製の蓋フィルムを被せ、シール密封し、包装米飯とした。
(9)蒸らし工程;密封した包装米飯を75℃の蒸し庫に入れ、15分間加熱した。
(10)冷却工程;蒸らし工程の後、4℃以下の冷水で包装米飯を20分間冷却した。
実施例の包装米飯と比較例の包装米飯との蓋フィルムを一部剥がし、600Wの電子レンジで2分間加熱調理し、その後蓋フィルムを全て剥ぎ取った。加熱後、直径34mmの抜き型で米飯を厚さ方向にくり抜き、トレー容器底面の米飯が上面になるようにクリープメーター(山電社製、型番RE2−33005B)に設置した。
米飯を設置後、上面からφ20mm円柱プランジャーで歪率80%で圧縮して引き上げ、この時の引き上げ時の荷重を測定した。付着性(飯塊)は測定した荷重のグラフのうち、引き上げ時の荷重の面積から求めた(単位:J/m3)。
・測定モード;テクスチャー測定
「テクスチャー測定」は、プランジャーで一定量試料を圧縮した後、反対方向へプランジャーを引く時の荷重を測定するモードである。
・測定歪率:80%
この条件の場合、試料高さの80%だけ試料を押しつぶす(圧縮する)。
・測定速度:5mm/sec
この測定速度は、プランジャーが移動する速度である。
一方、実施例は340〜390J/m3程度の付着性であり、平均は約366J/m3であり、食品剥離促進部を設けた実施例では、米飯の付着性が減少した。
実施例と比較例の各トレー容器の表面(底板部上面)に飯粒を押し付け、引き上げる時にかかる荷重を測定した。
本実験2では、比較例のトレー容器を用い、以下の手順(1)〜(10)により比較例の包装米飯を製造し、この比較例の米飯を用いて付着性(一粒)の測定を行った。
(1)精米工程;国産コシヒカリを搗き精度89%となるように精米した。
(2)洗米工程;前記精米した米をザルにとって、流水で4分間洗った。
(3)浸漬工程;前記洗米を2倍質量の水に1時間浸漬した。
(4)米充填工程;前記浸漬米をザルにとり、よく水切りした後、比較例のトレー容器に110g充填した。
(5)加圧加熱工程;シンワ社製の加圧加熱装置PS−1を用い、チャンバーを密封した状態で前記トレー容器に5秒間蒸気を供給して加圧加熱した後、蒸気を排出する操作を8回繰り返した。この時、チャンバー内の最大温度は140℃であった。
(6)炊水充填工程;各トレー容器内に水84gを入れた。
(7)蒸気炊飯工程;98〜100℃の蒸し庫で32分間炊飯した。
(8)シール工程;炊飯を終えた各トレー容器のフランジ部に、PET製の蓋フィルムを被せ、シール密封し、包装米飯とした。
(9)蒸らし工程;密封した包装米飯を75℃の蒸し庫に入れ、15分間加熱した。
(10)冷却工程;蒸らし工程の後、4℃以下の冷水で包装米飯を20分間冷却した。
前記方法で得た包装米飯の蓋フィルムを一部剥がし、600Wの電子レンジで2分間加熱調理し、その後蓋フィルムを全て剥ぎ取った。
実施例のトレー容器をクリープメーター(山電社製、型番RE2−33005B)に設置した。
加熱した飯一粒を実施例のトレー容器の表面(底板部上面)上に設置し、上面側からφ20mmの円柱プランジャーを用いて250gfの力で押し付けた。
トレー容器の表面に張り付いた飯粒をシート状引張チャック(型式P−15)で挟み、このチャックを引き上げて飯粒を引き剥がした。この時の荷重を測定し、面積から付着性(一粒)を測定した(単位:J/m3)。
・測定モード;引張り試験
・測定速度;5mm/sec
この付着性(一粒)の測定は、実施例、比較例ともに3つの検体について行った。測定結果を表2に示す。
実施例と比較例の各トレー容器を用いて包装米飯を製造し、各包装米飯を電子レンジ加熱した後、容器を逆向きにして米飯を落下させ、容器内に付着して残った米飯の質量を測定し、比較した。
前記実施例及び比較例のトレー容器を用い、以下の手順(1)〜(10)により包装米飯を製造した。
(1)精米工程;国産コシヒカリを搗き精度89%となるように精米した。
(2)洗米工程;前記精米した米をザルにとって、流水で4分間洗った。
(3)浸漬工程;前記洗米を2倍質量の水に1時間浸漬した。
(4)米充填工程;前記浸漬米をザルにとり、よく水切りした後、各トレー容器に110g充填した。
(5)加圧加熱工程;シンワ社製の加圧加熱装置PS−1を用い、チャンバーを密封した状態で前記トレー容器に5秒間蒸気を供給して加圧加熱した後、蒸気を排出する操作を8回繰り返した。この時、チャンバー内の最大温度は140℃であった。
(6)炊水充填工程;各トレー容器内に水84gを入れた。
(7)蒸気炊飯工程;98〜100℃の蒸し庫で32分間炊飯した。
(8)シール工程;炊飯を終えた各トレー容器のフランジ部に、PET製の蓋フィルムを被せ、シール密封し、包装米飯とした。
(9)蒸らし工程;密封した包装米飯を75℃の蒸し庫に入れ、15分間加熱した。
(10)冷却工程;蒸らし工程の後、4℃以下の冷水で包装米飯を20分間冷却した。
実施例の包装米飯と比較例の包装米飯との蓋フィルムを一部剥がし、600Wの電子レンジで2分間加熱調理し、その後蓋フィルムを全て剥ぎ取り、トレー容器を逆向き(開口を下向き)にして米飯を落下させた。その後、トレー容器に付着残留している米飯を集め、付着質量を測定した(単位:g)。
この付着質量の測定は、実施例、比較例ともに4つの検体について行った。測定結果を表3に示す。
実施例と比較例の各トレー容器を用い、各トレー容器別に米の加圧加熱を行い、米の糊化度を測定し、比較した。
前記実施例及び比較例のトレー容器を用い、以下の手順(1)〜(7)により米の加圧加熱を行い、糊化度を測定した。
(1)精米工程;国産コシヒカリを搗き精度89%となるように精米した。
(2)洗米工程;前記精米した米をザルにとって、流水で4分間洗った。
(3)浸漬工程;前記洗米を2倍質量の水に1時間浸漬した。
(4)米充填工程;前記浸漬米をザルにとり、よく水切りした後、各トレー容器に110g充填した。
(5)加圧加熱工程;シンワ社製の加圧加熱装置PS−1を用い、チャンバーを密封した状態で前記トレー容器に5秒間蒸気を供給して加圧加熱した後、蒸気を排出する操作を8回繰り返した。この時、チャンバー内の最大温度は140℃であった。
(6)乾燥;アルコール脱水してβ−アミラーゼ・プルラナーゼ法(以下、BAP法と記す)による糊化度測定用の試料とした。
(7)糊化度測定
BAP法による糊化度測定を実施する場合、水分の多い試料は脱水した方が操作・貯蔵が容易なため、前記(6)乾燥を行って脱水試料を調製した。
加圧加熱工程を終えた各試料約1gを乳鉢にとり、すり潰した。次に、試料の3倍量の無水エタノールを添加し、さらにすり潰しながら脱水し、試料が沈降したら上澄みを捨てる操作を3回繰り返した。次に、エタノールごと試料を減圧濾過し、試料をエタノールでとも洗いした。次に、ドラフト内で試料にアセトン1mLを添加した。アセトンを揮発させ、脱水粉末試料とした。
前記試験原液2mLを25mL容メスフラスコにとった。0.8M酢酸緩衝液(pH6.0)で25mLにメスアップした(これを試験希釈液という)。
前記試験希釈液4mLを試験管にとり、失活酵素溶液1mLを添加した。次に、これを蒸留水で5倍希釈し、処理糖液1とした。
前記試験希釈液4mLを試験管にとり、酵素溶液1mLを加え、40℃の恒温槽内で30分間反応させた。反応終了後、試験管を沸騰浴中に入れて加熱し、酵素を失活させた。その後、蒸留水で5倍希釈し、処理糖液2とした。
前記試験原液2mLを25mL容メスフラスコにとった。8N-NaOH溶液を0.25mLを加え、55℃の恒温槽内に3分間入れた。2N-酢酸を、混合液がpH6.0になるように0.96mL添加した。次に、0.8M酢酸緩衝液(pH6.0)で25mLにメスアップした。
メスアップ後の液4mLを試験管にとり、酵素溶液1mLを加え、40℃の恒温槽内で30分間反応させた。反応終了後、試験管を沸騰浴中に入れて加熱し、酵素を失活させた。その後、蒸留水で5倍希釈し、処理糖液3とした。
前記処理糖液2について、改変Somogyi法で還元糖量を測定し、その値をAとした。また、フェノール硫酸法で全糖量を測定し、その値をBとした。
前記処理糖液3について、改変Somogyi法で還元糖量を測定し、その値をA’とした。また、フェノール硫酸法で全糖量を測定し、その値をB’とした。
試料液(処理糖液1,2又は3)0.5mLを試験管に採取し、銅試薬0.5mLを添加し、静かに混合した。ガラス玉で蓋をし、沸騰浴中で20分間煮沸し、その後流水中で冷却した。これにFolin試薬2mLを添加し撹拌して酸化第一銅の沈殿を素早く溶かした。十分呈色後、蒸留水5.0mLを添加して希釈した。その後、波長660nmで吸光度を測定した。ブランクとして同時進行で蒸留水を用いて同操作を行った液を用いた。そして、既知濃度のグルコース溶液を用いて予め作成した検量線から試料液中の還元糖濃度を求めた。
試料液(処理糖液1,2又は3)1.0mLを大きめの試験管に採取し、5%フェノール液を加え、さらに濃硫酸5mLを直接液面に当たるように添加した。これを室温で30分間放置し、次に25℃で10分間放置し、さらに室温で20分間放置した。これを波長490nmで吸光度を測定した。ブランクとして同時進行でフェノールを加えず同操作を行った液を用いた。そして、既知濃度のグルコース溶液を用いて予め作成した検量線から試料液中の還元糖濃度を求めた。
糊化度%=(試料の分解度/完全糊化試料の分解度)×100={(A−a)/2B}÷{(A’−a)/2B’}×100 ・・・(1)
なお、試料の分散が均一に行われている場合はB≒B’となり、糊化度%=(A−a)÷(A’−a)×100となる。
この糊化度の測定は、実施例、比較例とも4つの検体について行った。その結果を表4に記す。
7名のパネラーによって実施例、比較例の米飯の官能評価を行った。
実験1での<包装米飯の製造方法>と同じ手順で製造した実施例、比較例の各包装米飯を用いた。
実施例の包装米飯と比較例の包装米飯との蓋フィルムを一部剥がし、600Wの電子レンジで2分間加熱調理し、その後蓋フィルムを全て剥ぎ取り、米飯を取り出して厚み方向で2分割し、包装状態の厚み方向上半分に相当する上部と、下半分に相当する下部とに分けた。
実施例の上部と下部、比較例の上部と下部のそれぞれの米飯について、粒感、ふっくら感、粘り、硬さ、好ましさについて、比較例の上部を3点としてこれを基準として1点〜5点で評価した。評価基準を表5に記す。また、7名のパネラーの評価の平均値を表6に記す。
ふっくら感は、上下で差が小さいが、トレー容器によって差があり、実施例の方がふっくらしている。
粘りは、上部に比べて下部の方が粘り強い傾向にある。比較例よりも実施例の方が全体的に粘りが強い。
比較例の硬さを見ると、上部より下部の方が柔らかく、差が大きい。実施例は比較例に比べてやや柔らかく、上下の硬さの差が小さい。
全体的な好ましさを見ると、比較例は下部の評価が低い。実施例は下部の評価も高く、上下ともに比較例より好ましい食感となった。
実施例のトレー容器で炊飯すると、下部の粒感や硬さが増し(米飯一粒一粒がしっかり炊けている)で、上部に近い食感となり、上下の差が小さい。さらに実施例ではふっくら感が増し、適度な粘りによって、好ましい食感になっている。
これは、実施例のトレー容器に多数の突起からなる食品剥離促進部を設けたことによって加圧加熱時の熱効率が向上し、より均一に米粒表面がα化されたことによるものと思われる。
又、実施例では付着性(米飯の付着量)は低いが、官能評価の粘りが強い理由として、米粒の状態(潰れの有無)の差が考えられる。比較例は米粒が潰れて容器内面への接触面積が大きいので付着量が多いと思われる。
前述した実施例のトレー容器において、食品剥離促進部およびリブの構造、寸法を表7,8に記した通り変更したトレー容器1〜3を作製した。
トレー容器2…表7中の「トレー容器2」に記した突起5を設けた食品剥離促進部11を有する底板部2と、表8中の「トレー容器2」に記したリブ8を有する側壁部3とを形成したトレー容器。
トレー容器3…表7中の「トレー容器3」に記した凹部を設けた食品剥離促進部を有する底板部と、表8中の「トレー容器3」に記したリブ8を有する側壁部3とを形成したトレー容器。
また、表7中の「設計半径」、「円半径」、「凹凸高さ」は、図8に示すように、底板部2の表面と、突起5(又は凹部12)との位置関係において、突起5(又は凹部12)の設計上の曲率半径を「設計半径」とし、底板部2に形成された突起5(又は凹部12)の半径を「円半径」とし、底板部2表面から突起5(又は凹部12)の高さ(又は深さ)を「凹凸高さ」としている。
「ピッチ間」は、前記実施例の場合と同じく、図7中の符号cで表される寸法とした。但し、凹部12の場合も突起5と同様とする。
「凹凸数」は、底板部2の面積に対する突起5(又は凹部12)の形成個数の割合を、底板部2の面積1mm2当たりで換算した値である。
「接地面積」は、図9に示すように、底板部2に凹部12(又は突起5の裏面である「1裏」と「2裏」)が設けられている場合に、底板部2の面積に対する凹部12でない部分(平滑面)の面積の割合を、底板部2の面積1mm2当たりで換算した値である。
「底面積に占める凹凸比」は、(突起又は凹部の合計面積)/(底板部2の面積)で計算される値である。
表8のリブ長さ(高さ)、リブ幅、リブ深さおよびリブ間隔は、前記実施例の場合と同じである。
1.付着質量の測定
2.付着性(一粒)の測定
3.付着性(飯塊)の測定
4.官能評価の各試験を行い、比較した。
前記トレー容器1〜3と、前記比較例のトレー容器について、前記[実験3:付着質量の測定]と同じ条件で米飯の付着質量を測定した。但し、付着した米飯を底板部内面に付着した米飯質量(以下、底面付着と記す)と、側壁部内面に付着した米飯質量(以下、側面付着と記す)に分けて測定し、その合計も求めた。この付着質量の測定は、トレー容器1〜3、比較例ともに4つの検体について行った。その結果を表9に記す。
側面付着が最も少なかったのはトレー容器2であった。
トレー容器1〜3の米飯付着状況を詳細に観察すると、トレー容器1では、リブ加工していない部分(側壁部上部内面)に多く米飯が付着していた。また、トレー容器3は、リブ加工部分にも米飯が付着していた。トレー容器1,3に比べてトレー容器2はリブが長く、深いため、側面付着が少なくなり、合計の付着質量も少なくなった。
前記トレー容器1〜3と、前記比較例のトレー容器について、前記[実験2:付着性(一粒)の測定]と同じ条件で測定した。この付着性(一粒)の測定は、トレー容器1〜3トレー容器1裏〜3裏、比較例ともに5つの検体について行った。その結果を表10に記す。
トレー容器2の突起は、凸高さ0.4mm、ピッチ間2.5mmに対して、トレー容器1は凸高さ0.75mm、ピッチ間2mmである。凸高さが低い場合、米飯を押し付けた際に、突起に米飯がめり込み、未加工の平滑面に米飯が接触した。平滑面に米飯が接触すると、接触面積の増加になり、付着性が増加したと思われる。
また、突起のピッチ間が小さいほど、より多くの突起で米飯を受けることができるので、付着性は小さくなる。トレー容器3裏とトレー容器2とは、突起の凸高さがほぼ同じであるにもかかわらず(0.3mmと0.4mm)、トレー容器3裏の付着性が低いのは、ピッチ間が小さいからであると思われる。
このように、凸加工の場合、凸高さが高く、ピッチ間が小さいほど付着性が小さくなる傾向であった。
最も付着性が低いトレー容器3を見ると、凹部の円半径が大きく(2mm)、ピッチ間が小さい(1mm)。凹加工の場合、凹部以外の平滑面に米飯が接触し、接触面積に比例して付着性が大きくなる。底板部面積に占める凹部の合計面積の割合を見ると、トレー容器3が57%であるのに対し、トレー容器1裏は12%、トレー容器2裏は9%である。このようにトレー容器3は凹加工面積が大きいため、付着性が小さくなったものと思われる。
前記トレー容器1〜3と、前記比較例のトレー容器について、前記[実験1:付着性(飯塊)の測定]と同じ条件で測定した。この付着性(飯塊)の測定は、トレー容器1〜3、比較例ともに4つの検体について行った。その結果を表11に記す。
凹加工したトレー容器3は、炊飯時に米飯から溶出した粘り成分が凹部に入り込み、米飯と接触しないため付着性が小さくなったものと思われる。炊飯後のトレー容器3の凹部を観察すると、粘り成分が凹部内に多く見られた。
また、凸加工したトレー容器1,2は、前述したように、加圧加熱効果がよくなったため付着性が小さくなったものと思われる。
前記トレー容器1〜3と、前記比較例のトレー容器について、前記[実験5:官能試験]と同じ条件で米飯を官能評価した。その結果を表12に記す。
ふっくら感も同様であり、トレー容器1〜3の下部の食感が上部の食感に近づいており、良好であった。
トレー容器1〜3の下部の粘りは、トレー容器1,2では比較例に比べて大きく増加していたのに対し、トレー容器3では大きな向上は見られない。これはトレー容器3では米飯の粘り成分が凹部内に落ち込むためであるが、適度な粘り(3点)は保持されていることがわかる。
硬さ、好ましさも同様に、比較例に比べトレー容器1〜3では向上し、トレー容器1〜3を使って炊飯した場合、通常水っぽく粒感のない食感となる下部の食味が向上し、上下均一の食感に近づくことが分かる。
また、トレーに入っている米飯を箸で集めると、トレー容器1,2では箸が突起に引っ掛かり、集め難かったが、トレー容器3の場合はスムーズな箸通りで好ましかった。
Claims (6)
- 底板部と、該底板部の周縁から立設された側壁部と、該側壁部の先端側が外方に向けて張設されたフランジ部とを備えた合成樹脂製の食品包装用トレー形容器において、
前記底板部の上面側に、多数の突起と凹部とのいずれか一方又は両方からなる食品剥離促進部が設けられたことを特徴とする食品包装用トレー形容器。 - 前記底板部の上面側の少なくとも一部に、多数の突起が縦横に配列されてなる食品剥離促進部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の食品包装用トレー形容器。
- 前記底板部の上面側の少なくとも一部に、多数の凹部が縦横に配列されてなる食品剥離促進部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の食品包装用トレー形容器。
- 前記側壁部に多数の縦溝状のリブが並設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品包装用トレー形容器。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品包装用トレー形容器に食品を密封包装してなることを特徴とする包装食品。
- 前記食品包装用トレー形容器に米飯を無菌包装してなることを特徴とする請求項5に記載の包装食品。
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