JP2011235312A - 押出ダイス - Google Patents

押出ダイス Download PDF

Info

Publication number
JP2011235312A
JP2011235312A JP2010108994A JP2010108994A JP2011235312A JP 2011235312 A JP2011235312 A JP 2011235312A JP 2010108994 A JP2010108994 A JP 2010108994A JP 2010108994 A JP2010108994 A JP 2010108994A JP 2011235312 A JP2011235312 A JP 2011235312A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mandrel
ring
spacer
mandrel ring
extrusion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010108994A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidekazu Sakihama
秀和 崎浜
Koichi Tanaka
幸一 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2010108994A priority Critical patent/JP2011235312A/ja
Publication of JP2011235312A publication Critical patent/JP2011235312A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Extrusion Of Metal (AREA)

Abstract

【課題】心棒にマンドレルリングを外嵌めする押出ダイスにおいて、マンドレルリングを軸線方向に安定して固定できる押出ダイスの提供を目的とする。
【解決手段】押出材の内面を成形するマンドレル(30)が、心棒(32)と、マンドレルリング(40)と、該マンドレルリング(40)の上流側または上流側の少なくとも一方に配置されるリング形のスペーサー(50)と、前記心棒(32)の先端に配置される抑え部材(37)とを有し、心棒(32)の熱膨張係数(α)、マンドレルリング(40)の熱膨張係数(α)およびスペーサー(50)の熱膨張係数(α)がα<α<αの関係にあり、常温時に心棒とマンドレルリング(40)との間に隙間(S1)があるように設定され、前記心棒(32)、マンドレルリング(40)およびスペーサー(50)の軸線方向の合計寸法が、押出時のダイス温度時に、心棒(32)の寸法と同一または心棒(32)の寸法を超えるように設定されている。
【選択図】 図3

Description

この発明は、中空材の押出加工に用いる押出ダイスに関する。
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、押出材および押出材料の進む方向を下流または下流側と称し、逆方向を上流または上流側と称する。
押出ダイスにおいては、ベアリング部に耐摩耗性を与えるために、ベアリング部を含むダイスの一部に超硬合金やセラミック等の超硬材料が用いられている(特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、工具鋼からなるダイケースの凹部内に超硬材料からなるリング状ダイスを焼嵌めしたダイスが記載されている。特許文献2には、マンドレルの心棒を工具鋼で形成し、この心棒に超硬材料からなるマンドレルリングを外嵌めし、心棒の先端に抜け止め用ナットを取り付けてマンドレルリングを心棒に固定するように構成したポートホールダイスの雄型が記載されている。また、特許文献3に記載されているダイスは、心棒とマンドレルリングとの間に心棒よりも軟らかいスリーブを介在させてマンドレルリングを焼嵌めしたものである。
特開平6−15348号公報 特開2003−181525号公報 特公平4−69009号公報
しかし、超硬材料を焼嵌めするタイプのダイスは、押出の準備工程やメンテナンスに手間がかかるという問題点がある。
また、超硬材料は工具鋼よりも熱膨張係数が小さく、かつ工具鋼よりも引張力に弱いという特性がある。このため、工具鋼からなる心棒に超硬材料からなるマンドレルリングを外嵌めする場合、熱間押出時に心棒が膨張し、径方向におけるマンドレルリングに対する締め付け力が強すぎると破損するおそれがある。逆に、締め付け力が弱すぎると、マンドレルリングがしっかりと固定されず、押出材の押継ぎ部に波打ちが発生したり、偏肉するおそれがある。
また、軸線方向においては、心棒の熱膨張によって心棒の下流側に取り付けたナットとマンドレルリングとの間に隙間が生じ、ナットが緩んでマンドレルリングに対する締め付け力が利かなくなるおそれがある。ナットが緩むと、マンドレルリングの位置安定性が低下し、ひいては押出材の品質を低下させる原因となる。
さらに、マンドレルリングを心棒に焼嵌めする取り付け方法では軸線方向におけるベアリング部の位置を調節することができないので、ダイスの経年劣化によってマンドレルの脚部が撓むとベアリング部の位置にもずれが生じる。
本発明は、上述した技術背景に鑑み、心棒にマンドレルリングを外嵌めする押出ダイスにおいて、マンドレルリングを軸線方向に安定して固定できる押出ダイスの提供を目的とする。
即ち、本発明は下記[1]〜[8]に記載の構成を有する。
[1]押出材の内面を成形するマンドレルが、心棒と、該心棒に外嵌めされるマンドレルリングと、該マンドレルリングの上流側または上流側の少なくとも一方において心棒に外嵌めされるリング形のスペーサーと、前記心棒の先端に配置されてマンドレルリングおよびスペーサーの抜け落ちを防止する抑え部材とを有し、
前記マンドレルリングが心棒よりも熱膨張係数の小さい材料で構成され、かつ前記スペーサーは心棒よりも熱膨張係数の大きい材料で構成され、
前記心棒の外周面およびマンドレルリングの内周面が、前記心棒にマンドレルリングを外嵌めした状態において、常温時に心棒とマンドレルリングとの間に隙間があるように設定され、
前記心棒、マンドレルリングおよびスペーサーの軸線方向の合計寸法が、押出時のダイス温度時に、心棒の寸法と同一または心棒の寸法を超えるように設定されていることを特徴とする押出ダイス。
[2]前記心棒の外周面およびマンドレルリングの内周面が、押出時のダイス温度時に、常温時に心棒とマンドレルリングとの間に形成される隙間がマンドレルの軸線方向の少なくとも一部において無くなって両者が接触するように設定されている前項1に記載の押出ダイス。
[3]押出時のダイス温度時におけるスペーサーの外径が、マンドレルリングの逃がし径を超えないように設定されている前項1または2に記載の押出ダイス。
[4]前記スペーサーはマンドレルリングの上流側に配置される前項1〜3のいずれかに記載の押出ダイス。
[5]前記スペーサーはマンドレルリングの下流側に配置される前項1〜3のいずれかに記載の押出ダイス。
[6]前記スペーサーはマンドレルリングの上流側および下流側に配置される前項1〜3のいずれかに記載の押出ダイス。
[7]前記スペーサーは軸線方向に弾性力を有する前項1〜6のいずれかに記載の押出ダイス。
[8]前項1〜7のいずれかに記載の押出ダイスを用い、
心棒、マンドレルリングおよびスペーサーの軸線方向の合計寸法が、心棒の寸法と同一または心棒の寸法を超える温度で押出を行うことを特徴とする押出方法。
[1]に記載の押出ダイスは、心棒の熱膨張係数(α)、マンドレルリングの熱膨張係数(α)およびスペーサーの熱膨張係数(α)がα<α<αの関係にあり、常温から押出時にダイス温度に上昇すると、それぞれの熱膨張係数(α、α、α)に基づいて熱膨張する。また、軸線方向における心棒、マンドレルリングおよびスペーサーの合計寸法が、押出時のダイス温度時に、心棒の寸法と同一または心棒の寸法を超えるように設定されている。このため、ダイスが常温から押出時の温度に上昇すると、心棒とマンドレルリングの熱膨張係数(α、α)の差によってマンドレルリングは軸線方向に緩みを生じるが、この緩みは心棒とスペーサーの熱膨張係数(α、α)の差によって吸収され、熱膨張によるスペーサーの寸法拡大がマンドレルリングを軸線方向に押し付ける力として作用し、マンドレルリングは軸線方向において固定される。また、径方向においては、心棒とマンドレルリングとの間の隙間が狭くなり、心棒に対してマンドレルリングが締まる方向に変化するので位置安定性が高まる。このように、マンドレルリングが心棒に固定された状態で押出を行うと、押出材の偏肉が抑制されて高品質の押出材を製造することができる。
また、スペーサーの熱膨張を利用してマンドレルリングを軸線方向に固定するので、マンドレルリングに対して抑え部材による常温時の締め付け量を増大させることなく押出時のダイス温度時に拘束力を加えることができる。
また、心棒の外周面およびマンドレルリングの内周面が、常温時に心棒とマンドレルリングとの間に隙間があるように設定されているので、マンドレルリングは心棒に対して着脱可能であり、マンドレルリングの交換が可能である。また、押出ダイスは、押出が終わって常温に冷却されると常温時の隙間に戻って緩みが生じるので、押出後のメンテナンスも容易である。
上記[2]に記載の発明によれば、押出時のダイス温度において、常温時に心棒の外周面とマンドレルリングの内周面との間にあった隙間が無くなって心棒とマンドレルリング接触するので、マンドレル径方向においてもマンドレルリングが固定される。これにより、マンドレルリングの位置安定性がさらに高まる。
上記[3]に記載の発明によれば、マンドレルリングの上流側に配置したスペーサーについては押出材料の流動性を妨げず、マンドレルリングの下流側に配置したスペーサーについては押出材との接触を回避することができる。
上記[4]に記載の発明によれば、スペーサーの軸線方向の寸法を変更することによってマンドレルリングの位置を変更することができる。従って、一つのマンドレルリングに対してその位置を任意に再設定することができる。また、ダイスの経年劣化によってマンドレルの脚部が撓んでマンドレルリングのベアリング部の位置がずれた場合にも、スペーサーの交換によってマンドレルリングを適正位置に戻すことが調節できる。
上記[5]に記載の発明によれば、押出時のダイス温度において、熱膨張したスペーサーがマンドレルリングを上流側に押し付けるので、マンドレルリングの位置精度が高くなる。
上記[6]に記載の発明によれば、上流側のスペーサーと下流側のスペーサーの軸線方向の寸法の組み合わせを変更することにより、下流側のみにスペーサーを配置した場合よりもマンドレルリングの位置を広範囲に調節することができる。
上記[7]に記載の発明によれば、スペーサーの熱膨張と弾性力とにより、二重の押し付け力が発生するのでマンドレルリングに対する拘束力を高めて位置安定性を高めることができる。
上記[8]に記載の発明によれば、押出は、マンドレルリングが軸線方向に固定された状態で行われているので、押出材の偏肉を抑制することができる。
本発明の一実施形態である雄型を備えるポートホールダイスを示す分解斜視図である。 図1のポートホールダイスの組み付け状態を示す断面図である。 図1のポートホールにおけるマンドレルの分解状態を示す断面図である。 図3のマンドレルの常温時の状態を示す断面図である。 図3のマンドレルの押出時のダイス温度時の状態を示す断面図である。 図3のマンドレルの常温時における他の状態を示す断面図である。 温度と、心棒の外径およびマンドレルリングの内径との関係を示す図である。 他のマンドレルの常温時の状態を示す断面図である。 図6Aのマンドレルの押出時のダイス温度時の状態を示す断面図である。 他のマンドレルの常温時の状態を示す断面図である。 スペーサーとしてスプリングワッシャーを用いたマンドレルの分解状態を示す断面図である。 スペーサーとして用いるウェーブワッシャーの斜視図である。 着脱自在の心棒を有するマンドレルの分解状態を示す断面図である。
図1および図2に示すポートホールダイス(10)は、中空押出材(1)の外周面を成形する雌型(11)と内周面を成形する雄型(20)とが組み合わされてなり、前記雄型(20)が本発明の押出ダイスの一実施形態である。
雌型(11)は、中央部にベアリング孔(12)を有し、ベアリング孔(12)の下流側にはリリーフ孔(13)が形成され、上流側には溶着室用凹部(14)が形成されている。
前記雄型(20)は、ダイス基盤(21)の中央から下流側にマンドレル(30)が突出し、このマンドレル(30)の周囲に押出方向に貫通する複数個のポートホール(22)を有している。隣接するポートホール(22)(22)間には、下流側に突出する前記マンドレル(30)をその基端部で支持する脚部(23)が形成されている。
図3に示すように、前記マンドレル(30)は、心棒(32)と、この心棒に外嵌めされるマンドレルリング(40)およびスペーサー(50)と、ナット(37)とを備えている。
前記マンドレル(30)において、ダイスの基盤部(21)から一体に続く台座(31)の先端側に径の小さい心棒(32)が一体に形成され、前記台座(31)と心棒(32)との直径差によりこれらの間には段部が形成され、この段部の下流側面(33)がマンドレルリング(40)の軸線方向における基準位置となる。以下、この面を位置基準面(33)と称する。前記心棒(32)の先端側はさらに径小となって、外周面に螺旋状のネジ溝が形成されたボルト部(34)が一体に形成されている。前記台座(31)、心棒(32)およびボルト部(34)は同軸上に形成されている。
マンドレルリング(40)は、外周面に、押出材(1)の内周面を成形するベアリング部(41)が突設された環状体である。スペーサー(50)は、心棒(32)の位置基準面(33)とマンドレルリング(40)と間に配置される環状体である。前記心棒(32)の外周面(32a)、マンドレルリング(40)の内周面(42)、スペーサー(50)の内周面(52)はいずれもマンドレル(30)の軸線に平行である。ナット(37)は心棒(32)よりも径大でマンドレルリング(40)およびスペーサー(50)の抜け落ちを防止する抑え部材であり、前記ボルト部(34)のネジ溝に螺合されるネジ孔(38)を有している。而して、前記心棒(32)にスペーサー(50)、マンドレルリング(40)の順に外嵌めしてスペーサー(50)を位置基準面(33)に当接させ、ボルト部(34)にナット(37)のネジ孔(38)を螺合させると、スペーサー(50)およびマンドレルリング(40)は位置基準面(33)とナット(37)に挟まれて、軸線方向の所定位置に配置される。前記心棒(32)、マンドレルリング(40)およびスペーサー(50)の材料特性および寸法については後に詳述する。
前記雌型(11)と雄型(20)とを組み合わせると、雌型(11)のベアリング孔(12)内に雄型(20)のマンドレルリング(40)のベアリング部(41)が嵌り込んでこれらの間に環状の成形用間隙(符号なし)が形成され、雌型(11)の溶着室用凹部(14)の一部が雄型(20)の端面で塞がれてポートホール(22)に連通する溶着室を形成する。そして、各ポートホール(22)に流入した押出材料は溶着室で合流し、成形用間隙から中空部(2)を有する押出材(1)として押出される。
本発明は、心棒(32)、マンドレルリング(40)、スペーサー(50)の3つの部材を熱膨張係数の異なる材料で構成し、常温(T)時と押出時のダイス温度(T)時の寸法差を利用して、常温(T)時に少なくともマンドレルリング(40)を心棒(32)から着脱自在とし、押出時のダイス温度(T)時にスペーサー(50)とナット(37)とによってマンドレルリング(40)を拘束してマンドレルの軸線方向の所定位置に固定し、あるいはさらに径方向にも拘束してマンドレルリング(40)を心棒(32)に固定する。
本発明における「押出時のダイス温度(T)」とは、心棒(32)、マンドレルリング(35)およびスペーサー(50)が高温押出時に所定の温度となり、そのときの温度をいう。
〔心棒、マンドレルリング、スペーサーの熱膨張係数〕
心棒(32)の熱膨張係数(α)、マンドレルリング(40)の熱膨張係数(α)およびスペーサー(50)の熱膨張係数(α)は、α<α<αの関係にある。
また、前記マンドレルリング(40)は優れた耐摩耗性が要求されることから、超硬材料を用いることが望ましい。超硬材料としては、WC−Co等の超硬合金、高速度工具鋼、粉末高速度工具鋼、セラミックス等を例示できる。表1に、これらの超硬材料および心棒(32)の材料として用いられる工具鋼の一例およびそれらの熱膨張係数、ならびに心棒よりも熱膨張係数が大きくスペーサー(50)に適した材料の一例およびそれらの熱膨張係数を示す。なお、本発明は、マンドレルリング(40)の熱膨張係数(α)<心棒(32)の熱膨張係数(α)<スペーサー(50)の熱膨張係数(α)なる条件を満足すれば良いので、例示した材料は表1に記載した用途に限定されない。例えば、粉末高速度工具鋼の心棒(32)に超硬合金やセラミックスのマンドレルリング(40)を組み合わせ、さらに表1に例示した材料のスペーサー(50)を組み合わせる場合も本発明に含まれる。
Figure 2011235312
〔マンドレルリングの着脱〕
図3および図4Aは、本実施形態のマンドレル(30)の常温(T)時における要部断面図である。このマンドレル(30)は、図1および図2に示した押出ダイス(10)の雄型(20)の一部を構成するマンドレルである。
前記マンドレル(30)は、心棒(32)の外周面(32a)、マンドレルリング(40)の内周面(42)、スペーサー(50)の内周面(52)がマンドレル(30)の軸線と平行に形成され、心棒(32)の外径(AT1)、マンドレルリング(40)の内径(BT1)、スペーサー(50)の内径(CT1)は軸線方向において一定である。前記心棒(32)にマンドレルリング(40)およびスペーサー(50)を外嵌めすると、心棒(32)との間にそれぞれ軸線に平行な一定の隙間(S)(S)が存在する。従って、常温(T)時に、マンドレルリング(40)およびスペーサー(50)は、心棒(32)に対して容易に着脱することができ、マンドレルリング(40)の交換が可能である。
なお、本発明はマンドレルリング(40)が着脱可能であれば足り、スペーサー(50)が着脱可能であることに限定するものではない。
また、常温(T)時、スペーサー(50)の外径(FT1)は、マンドレルリング(40)の逃がし径(ET1)(逃がし部(43)の直径)および台座(31)の外径(DT1)よりも小さく、FT1<ET1、FT1<DT1の関係にある。
本発明において、心棒(32)とマンドレルリング(40)との間に「隙間(S)がある」とは、心棒(32)とマンドレルリング(40)との接触の有無を意味するのではなく、常温(T)における心棒の外径(AT1)とマンドレルリングの内径(BT1)とが「BT1>AT1」なる関係を満足し、両者の間にクリアランスが存在することを意味する。また、常温(T)時の隙間(S)の大きさはマンドレルリング(40)の内径(BT1)と心棒(32)の外径(AT1)との差(BT1−AT1)で表わすものとする。
なお、図4Aはマンドレルリング(40)の内周面(42)と心棒(32)の外周面(32a)との間の距離が周方向においても一定の大きさとした状態を示しているが、常温(T)においてはマンドレルリング(40)と心棒(32)の軸合わせがなされていないので、両者間の距離は周方向で必ずしも一定にはならない。例えば、マンドレル(30)の軸線が水平となる姿勢で組み立てを行うと、図4Cに示したように、マンドレルリング(40)の内周面(42)およびの上部が心棒(32)の外周面(32a)の上部に接触して両者間の距離はゼロであり、周方向に沿って下方にいくにつれて両者間の距離が拡大し、下部において距離が最大となる。また、マンドレルリング(40)はナット(37)で締め付けられて仮止めされた状態にあるので、全周において両者は接触していないが、両者間の距離には偏りがある、という場合もある。従って、本発明において「隙間がある」とは、マンドレルリング(40)と心棒(32)との接触の有無を意味するのではなく、常温(T)における心棒(32)の外径(AT1)とマンドレルリング(40)の内径(BT1)とが「BT1>AT1」なる関係を満足し、両者の間にクリアランスが存在することを意味する。また、マンドレルリング(40)と心棒(32)とが上述したいずれの位置関係にある場合においても、本発明における隙間(S)の大きさはマンドレルリング(35)の内径(BT1)と心棒の外径(AT1)との差(BT1−AT1)で表される。スペーサー(50)も同様に、CT1>AT1なる関係を満たす状態が隙間(S)のある状態であり、隙間(S)の大きさはAT1−CT1である。
また、常温(T)時のマンドレルを示す図4Aにおいて、(DT1)は台座(31)の外径、(ET1)はマンドレルリング(40)の逃がし径(逃がし部(43)の直径)、(FT1)はスペーサー(50)の外径、(GT1)は心棒(32)の軸線方向の寸法、(HT1)はマンドレルリング(40)の軸線方向の寸法、(IT1)はスペーサー(50)の軸線方向の寸法である。
〔押出時のマンドレル〕
図4Bは押出時の温度(T)におけるマンドレル(30)の断面図である。図4Bにおいて、(AT2)は心棒(32)の外径、(BT2)はマンドレルリング(40)の内径、(CT2)はスペーサー(50)の内径、(DT2)は台座(31)の外径、(ET2)はマンドレルリング(40)の逃がし径、(FT2)はスペーサー(50)の外径、(GT2)は心棒(32)の軸線方向の寸法、(HT2)はマンドレルリング(40)の軸線方向の寸法、(IT2)はスペーサー(50)の軸線方向の寸法である。
〔軸線方向におけるマンドレルリングの固定〕
心棒(32)の熱膨張係数(α)とマンドレルリング(40)の熱膨張係数(α)はα<αの関係にある。両者の膨張係数がこのような関係にあるため、常温(T)時の心棒(32)とマンドレルリング(40)の軸線方向の寸法を同寸に設定する(GT1=HT1)と、ダイス温度の上昇に伴って、心棒(32)の寸法拡大量(GT2−GT1)がマンドレルリング(40)の寸法拡大量(HT2−HT1)を上回り、ナット(37)による締め付け力が減少してマンドレルリング(40)が緩む方向に変化する。かかる現象に対し、心棒(32)よりも熱膨張係数の大きい材料で構成されたスペーサー(50)を用い、心棒(32)を上回る比率で寸法拡大をするスペーサー(50)に心棒(32)とマンドレルリング(40)の熱膨張係数(α、α)の差による緩みを吸収させることにより、軸線方向においてマンドレルリング(40)を拘束することができる。
即ち、心棒(32)の熱膨張係数(α)とスペーサー(50)の熱膨張係数(α)とはα<αの関係にあるので、常温(T)から押出時のダイス温度(T)に上昇すると、軸線方向においてスペーサー(50)の寸法拡大量が心棒(32)の寸法拡大量を上回る。スペーサー(50)は上流側を位置基準面(33)によって拘束されているので、スペーサー(50)の熱膨張はマンドレルリング(40)をナット(37)側に押し付ける方向の力として作用する。従って、押出時のダイス温度(T)においてマンドレルリング(40)の寸法(HT2)とスペーサー(50)の寸法(IT2)の合計寸法(HT2+IT2)が心棒(32)の寸法(GT2)と同一または心棒の寸法(GT2)を超えるように、常温(T)時の各寸法(GT1、HT1、IT1)を設定することによって、マンドレルリング(40)はナット(37)とスペーサー(50)とによって拘束され、軸線方向において固定される。
このように、マンドレルリングを軸線方向に固定してマンドレルリングの位置安定性を高めることにより、押出材の肉厚を安定させることができる。そして、押出材の寸法が安定していると、後加工後の製品品質も安定したものとなる。例えば、押出後に引抜加工を行う場合、押出材に偏肉がなく肉厚が一定であれば、引抜材の肉厚も一定になる。また、押出材の肉厚が一定であれば、引抜上がりの長さも一定になる。従って、本発明の押出ダイスを用いて製造した押出材は、押出材としての品質が優れていることはもとより、後加工用素材としても品質の優れたものとなる。
また、押出時のダイス温度(T)における軸線方向の締め代(YT2)を下記(f1)式で表すと、本発明における条件はYT2≧0である。YT2=0は、マンドレルリング(40)とスペーサー(50)の合計寸法(HT2+IT2)が心棒(32)の寸法(GT2)と同一であって、マンドレルリング(40)に対して締め付け力は利いていないが緩みもない状態である。YT2>0は、マンドレルリング(40)とスペーサー(50)の合計寸法(HT2+IT2)が心棒の寸法(GT2)を超え、マンドレルリング(40)に対して締め付け力が利いている状態である。好ましい締め代(YT2)は0〜10%であり、特に3〜7%が好ましい。
T2(%)=〔(HT2+IT2)/GT2−1)×100 …(f1)
T2:Tにおける心棒の軸線方向の寸法
T2:Tにおけるマンドレルリングの軸線方向の寸法
T2:Tにおけるスペーサーの軸線方向の寸法
また、常温(T)時の組み立て状態において、軸線方向の隙間の有無は心棒、マンドレルリング、スペーサーの寸法(GT1、HT1、IT1)の設定値およびナット(37)による締め付け量によって決まるものであり、これらの設定によって、図4Aのようにナット(37)、マンドレルリング(40)、スペーサー(50)、位置基準面(33)が互いに接触して隙間が無い場合と、隙間が生じる場合とがある。
スペーサー(50)を使用せずにマンドレルリング(40)のみを心棒(32)に嵌める場合、常温(T)時にナット(37)による締め付け量をダイス温度上昇による緩み量を上回るようにしておけば、押出時の温度(T)時にもマンドレルリング(40)に軸線方向の拘束力を加えることができる。しかし、そのような押出時の拘束を実現するには常温(T)時に大きい締め付け量が必要になり、締め付け量の増大はマンドレルリング(40)に付与する圧力を増大させることであるから好ましいことではない。本発明は、スペーサー(50)を用いることによって、マンドレルリング(40)に対する常温(T)時の締め付け量を増大させることなく押出時のダイス温度(T)時に軸線方向の拘束力を加えることができる。
前記ダイス(10)を用いた押出加工において、押出材料は、台座(31)の外周面、スペーサー(50)の外周面(53)、マンドレルリング(40)の逃がし部(43)の順に接触してベアリング部(41)に達する。このとき、押出材の形状を安定させる上で押出材料を滑らかに流動させることが好ましい。このため、押出時のダイス温度(T)において、台座(31)の外周面、スペーサー(50)の外周面(53)、マンドレルリング(40)の逃がし部(43)が凹みを形成しない外径に設定することが好ましい。具体的には、スペーサー(50)の外径(FT2)がマンドレルリング(40)の逃がし径(ET2)を超えないことが好ましく、台座(31)の外径(DT2)がスペーサー(50)の外径(FT2)を超えないことが好ましい。三者の好ましい寸法関係はET2≧FT2≧DT2である。また、マンドレルリング(40)の逃がし径(ET2)を100%としたとき、スペーサー(50)の外径(FT2)が逃がし径(ET2)の99〜100%となるように設定することが好ましい。
以上より、常温(T)時のスペーサー(50)の軸線方向の寸法(IT1)および外径(ET1)は、押出時のダイス温度(T)、各材料の熱膨張係数(α、α、α)、心棒(32)の軸線方向の寸法(GT1)、台座(31)の外径(DT1)、マンドレルリング(40)の軸線方向の寸法(HT1)および逃がし径(ET1)に基づいて、上記締め代(YT2)がYT2≧0を満足するように設定し、さらに好ましくはET2≧FT2≧DT2を満足するように設定する。
〔径方向におけるマンドレルリングの固定〕
上述したように、押出時のダイス温度(T)において、マンドレルリング(40)はスペーサー(50)とナット(37)とによって軸線方向に拘束されて心棒(32)に固定される。また、ダイス温度の上昇により、常温(T)時に心棒(32)とマンドレルリング(40)との間に存在していた径方向の隙間(S)は、両者の熱膨張係数(α、α)の差に基づいて狭くなり、心棒(32)に対してマンドレルリング(40)が締まる方向に変化するので、径方向における位置安定性が高まる。
また、押出時のダイス温度(T)に、前記隙間(S)が無くなって心棒(32)の外周面(32a)とマンドレルリング(40)の内周面(42)とが接触すると、マンドレル(30)の径方向においてもマンドレルリング(40)が固定されるので、さらに位置安定性が高まる。本発明は押出時のダイス温度(T)時にマンドレルリング(40)が心棒(32)に接触することを必須要件とするものではないが、マンドレルリング(40)が軸線方向に加えて径方向にも拘束されることによってさらに位置安定性が高まるので、マンドレルリング(40)が軸線方向および径方向の両方において拘束されることを推奨し、心棒(32)の外周面(32a)とマンドレルリング(40)の内周面(42)が接触するように寸法設定がなされていることを推奨する。
また、心棒(32)の外周面(32a)およびマンドレルリング(40)の内周面(42)の形状は軸線方向に平行であることに限定されず、常温(T)時の隙間(S)が軸線方向で一定であることにも限定されない。マンドレルの軸線方向の少なくとも一部においてその隙間が無くなって両者が接触すればマンドレルリングは心棒に拘束されて固定されるからである。例えば、常温(T)時にテーパー状の隙間がある場合、ダイスの温度上昇過程で隙間の最も狭い部分が最初に接触して接触面積が次第に拡大し、押出(T)時に接触部分と未接触部分が存在することがあるが、その場合もマンドレルリングは径方向において心棒に固定された状態となる。本発明においてマンドレルリングを径方向に固定する場合、押出時のダイス温度(T)においてマンドレルの軸線方向の少なくとも一部においてその隙間が無くなって両者が接触するように設定されている限り、心棒の外周面およびマンドレルリングの内周面の形状は任意に設定することができる。
図5は、温度(T)と、心棒(32)の外径(A)およびマンドレルリング(40)の内径(B)との関係を示す図である。心棒(32)およびマンドレルリング(40)はいずれも熱膨張により寸法が拡大する。この図に示すように、常温(T)において、マンドレルリングの内径(BT1)は心棒の外径(AT1)よりも大きく、実寸としてBT1−AT1の隙間がある。温度(T)が上昇すると、心棒(32)およびマンドレルリング(40)は、それぞれの熱膨張係数(α)(α)に応じて径が大きくなる。T>Tを満足する任意の温度(T)における心棒(32)の外径(AT2)およびマンドレルリング(40)の内径(BT2)は、下記の(I)式および(II)式で表される。
T2=AT1×(T−T)×α+AT1 …(I)
T2=BT1×(T−T)×α+BT1 …(II)
ただし、α:心棒を構成する材料の熱膨張係数
α:マンドレルリングの基材を構成する材料の熱膨張係数
:常温
:高温(>T
T1:常温(T)時の心棒の外径
T1:常温(T)時のマンドレルリングの内径(>AT1
図4Aに示すように、常温(T)においてマンドレルリング(40)の内径(BT1)を心棒(32)の外径(AT1)よりも大きい寸法で製作すると、両者の寸法差により心棒(32)の外周面とマンドレルリング(40)の内周面との間には隙間(S)があるので、容易に外嵌めすることができる。
そして、図4Bに示すように、ダイス温度が上昇すると、心棒(32)の外径拡大量がマンドレルリング(40)の内径拡大量を上回るために隙間(S)は減少していき、この隙間(S)が無くなるとマンドレルリング(40)は心棒(32)に固定される。
熱膨張係数はα>αであるから、図5に参照されるように、温度上昇に伴い、温度(T)において心棒(32)の外径(ATZ)とマンドレルリング(40)の内径(BTZ)が等しくなった時点で隙間(S)が無くなり、マンドレルリング(40)は心棒(32)から外れなくなって固定された状態となる。さらに温度が上昇すると、心棒(32)の外径(A)がマンドレルリング(40)の内径(B)を上回る。心棒(32)の外径(A)がマンドレルリング(40)の内径(B)を上回る温度領域(T>T)では、心棒(32)の膨張力がマンドレルリング(40)を内側から締め付ける力として作用し、マンドレルリング(40)に周方向の引張力が付与されるので、ますます心棒(32)から外れにくくなってしっかりと固定される。
〔心棒とマンドレルリングの径方向の締め代〕
押出時、ダイスは所定温度に加熱されて常温(T)よりも高温となる。従って、図4A〜図5に示すように、押出時のダイス温度(T)において、心棒(32)の外径(AT2)がマンドレルリング(40)の内径(BT2)と等しくなるか、心棒(32)の外径(AT2)がマンドレルリング(40)の内径(BT2)を上回るように、常温(T)時の心棒(32)の外径(AT1)およびマンドレルリング(40)の内径(BT1)を設定すれば、マンドレルリング(40)を心棒(32)に固定した状態で押出を行うことができる。そして、マンドレルリング(40)が心棒(32)に固定された状態で押出を行うと、押出材(1)の偏肉が抑制されて高品質の押出材(1)を製造することができる。ただし、心棒(32)の膨張力が過剰になってマンドレルリング(40)の引張力の限界を超えるとマンドレルリング(40)が破損するので、材料の熱膨張係数(α、α)と押出時のダイス温度(T)を勘案して、高温時に適度な引張力を生じさせるように、常温(T)時の心棒(32)の外径(AT1)およびマンドレルリング(40)の内径(BT1)を設定する。
ここで、任意の温度(T)における心棒(32)とマンドレルリング(40)との締まり具合および緩み具合を、心棒(32)の外径(A)とマンドレルリング(40)の内径(B)の比率に基づいて、下記(III)式の締め代(X)として定義する。A<B、即ち両者の間には隙間がある状態ではX<0となり、締め代(X)値が小さくなるほど緩みが大きいことを示している。一方、A>B、即ち両者の間には隙間がなくマンドレルリング(40)が内側から心棒(32)に締め付けられている状態ではX>0となり、締め代(X)の値が大きくなるほど締め付け力大きいことを示している。A=B(X=0)は、両者間に隙間はないが締め付け力が利いていない状態である。
(%)=(A/B−1)×100 …(III)
さらに、(III)式により、常温(T)時および高温(T)時(押出時のダイス温度)における心棒(32)とマンドレルリング(40)との締め代(XT1)(XT2)は、それぞれ(IV)式および(V)式により表わされる。
T1(%)=(AT1/BT1−1)×100 …(IV)
T2(%)=(AT2/BT2−1)×100
={〔AT1×(T−T)×α+AT1〕/〔BT1×(T−T)×α+BT1〕−1}×100 …(V)
心棒(32)およびマンドレルリング(40)は、常温(T)時にAT1<BT1となるように製作されるのでXT1<0となり、締め代(XT1)は両者間の隙間があって緩んだ状態を示している。一方、押出時のダイス温度(T)において両者間の隙間が無くなってAT2≧BT2であるから、その締め代(XT2)は0または正値となり、締め付け力が利いている状態を示している。また、XT2<0は、押出時のダイス温度(T)においても緩みがあってマンドレルリング(40)が心棒(32)に固定されていない状態を示している。
前記締め代(XT2)が大きくなるほど締め付け力も強くなり、マンドレルリング(40)がしっかりと固定されて外れにくくなるが、上述したように締め付け力が過度に大きくなるとマンドレルリング(40)が破損するおそれがある。これらを勘案すると、前記締め代(XT2)は0.3%以下が好ましい。前記締め代(XT2)が0または正値である限り下限値は規定されないが、確実に固定するために0.05%以上が好ましい。特に好ましい締め代(XT2)は0.15〜0.25%である。なお、締め代(XT2)の適正範囲は、心棒(32)およびマンドレルリング(40)の材質、マンドレルリング(40)の厚み等によって異なる。
従って、高温(T)時の締め代(XT2)が0〜0.3%となるように心棒(32)の外径(AT1)およびマンドレルリング(40)の内径(BT1)を設定すれば良い。
なお、本発明は心棒の外周面およびマンドレルリングの内周面はマンドレルの軸線に対して平行であることを要さず、どちらか一方または両方が軸線に対して傾斜するテーパー面で形成されているマンドレル、軸線方向の一部がテーパー面で形成されているマンドレルも本発明に含まれるので、両者間の隙間の大きさが軸線方向で変化することもある。従って、本発明における隙間(S)とは、軸線方向においてマンドレルリングの内径(BT1)と心棒の外径(AT1)との差(BT1−AT1)が最小となる部分における隙間である。常温(T)時に隙間(S)が最小となり押出時のダイス温度(T)時に締め付け力が最大となる部分において、締め代(XT2)が0〜0.3%となるように心棒(32)の外径(AT1)およびマンドレルリング(40)の内径(BT1)を設定すれば良い。その他の部分における締め代は、常温(T)時の隙間(S)の大きさに応じた値となる。
また、常温(T)時の締め代(XT1)は負値である限り限定されない。心棒(32)の外径(AT1)がマンドレルリング(40)の内径(BT1)よりも小さいので、これらの組み付け作業は容易である。押出ダイスは、押出が終わって常温(T)に冷却されると常温(T)時の締め代(XT1)に戻って緩みが生じるので、心棒(32)からマンドレルリング(40)を取り外すこともできる。従って、摩耗したマンドレルリングの取り外し、新しいマンドレルリングの取り付けといったメンテナンスを容易に行える。
〔スペーサーの位置と数〕
本発明は、心棒にマンドレルリングおよびスペーサーを外嵌めし、スペーサーの熱膨張を利用してマンドレルリングを軸線方向に拘束するものである。かかる目的を実現するために、マンドレルリングおよびスペーサーは以下の3種類の配置が可能である。これらの配置によれば、押出時にマンドレルリングを軸線方向に固定できるという共通の効果に加えてそれぞれに特有の効果を奏する。
(1)マンドレルリングの上流側にスペーサーを配置する
図1〜図4Cに示したマンドレル(30)である。スペーサー(50)をマンドレルリング(40)の上流側に配置するので、スペーサー(50)の軸線方向の寸法を変更することによって位置基準面(33)からのマンドレルリング(40)の距離を変更することができる。従って、一つのマンドレルリング(40)に対してその位置を任意に再設定することができる。また、ダイスの経年劣化によってマンドレル(30)の脚部(23)が撓んでベアリング部(41)の位置がずれた場合にも、スペーサー(50)の寸法変更によってマンドレルリング(40)を適正位置に戻すことができるので、ダイス寿命を延ばすことができる。
また、マンドレルリング(40)を心棒(32)から取り外すためにスペーサー(50)を取り外す必要がないので、スペーサー(50)が心棒(32)から容易に外れない状態に予め取り付けておくこともできる。スペーサー(50)が予め心棒(32)に取り付けられている場合はダイスメンテナンスが簡単である。心棒(32)から容易に外れない状態に取り付ける方法としては、圧入または焼嵌めを例示できる。
(2)マンドレルリングの下流側にスペーサーを配置する。
図6Aおよび図6Bに示すマンドレル(60)は、心棒(32)にマンドレルリング(40)、スペーサー(50)の順に嵌め、上流側にマンドレルリング(40)、下流側にスペーサー(50)を配置したものである。
前記配置を採用する場合は、マンドレルリング(40)の着脱のためにスペーサー(50)も常温(T)時に心棒(32)に対して着脱可能な内径(CT1)に設定する。また、スペーサー(50)の常温(T)時の外径(FT1)は、押出材との接触を回避するために、押出時のダイス温度(T)における外径(FT2)がマンドレルリング(40)の逃がし径(ET2)を超えないようにFT2≦ET2の関係を満たすように設定することが好ましく、マンドレルリング(40)の逃がし径(ET2)を100%としたとき、スペーサー(50)の外径(FT2)が逃がし径(ET2)の99〜100%となるように設定することが好ましい。このとき、両者の熱膨張係数の関係(α<α)に鑑みて常温(T)時の寸法関係はFT1<ET1となる。
上記配置によれば、押出時のダイス温度(T)において、熱膨張したスペーサー(50)がマンドレルリング(40)を上流側の位置基準面(33)に押し付けるので、マンドレルリング(40)の位置精度が高くなる。
(3)マンドレルリングの上流側と下流側にスペーサーを配置する。
図7に示すマンドレル(61)は、マンドレルリング(40)の上流側と下流側にスペーサー(55)(56)を配置したものである。2つのスペーサー(55)(56)の軸線方向の寸法の組み合わせを変更することにより、下流側のみにスペーサーを配置した場合(図4Aおよび図4B参照)よりもマンドレルリング(40)の位置を広範囲に調節することができる。
なお、複数のスペーサー(55)(56)を用いる場合、同じ材料を用いることに限定されず異なる材料を用いることもできる。また、下流側のスペーサー(55)はマンドレルリング(40)の着脱のために常温(T)時に着脱可能な内径に設定しなければならないが、上流側のスペーサー(56)は予め圧入や焼嵌めによって取り付けておくことも着脱可能とすることもできる。
また、スペーサーの外径は、押出時のダイス温度(T)において、上流側では押出材料の流動性を妨げないように、下流側では押出材との接触を回避するために、それぞれマンドレルリングの逃がし径を超えないように設定することが好ましい。
〔その他のスペーサー〕
スペーサーによる押し付け力をさらに高める手段として、弾性力を有するスペーサーを用いることも好ましい。弾性力を有するスペーサーとして、平リングの切り口をねじることのよりばね作用を持たせたスプリングワッシャー(57)(図8参照)や、平リングを波型に曲げることによりばね作用を持たせたウエーブワッシャー(58)(図9参照)等を例示することができる。これらのワッシャー(57)(58)は軸線方向に弾性力を有し、ばねの復元力によってマンドレルリングを押し付ける。従って、熱膨張による押し付け力とともに二重の押し付け力が発生するのでマンドレルリングに対する拘束力を高めて固定安定性を高めることができる。
なお、図8ではマンドレルリング(40)の下流側にスプリングワッシャー(57)を配置したマンドレルを例示したが、上記の3種類のどの配置においても弾性力を有するスペーサーを用いることができる。
〔その他のマンドレル〕
マンドレルの心棒は台座に対して着脱自在とした構成にすることもできる。
図10に示すマンドレル(62)において、心棒(70)はボルト形であり、マンドレルリング(40)およびスペーサー(50)の装着部位である本体部(71)の上流側には心棒(70)を台座(31)に取り付けるための雄ねじ部(72)が設けられ、下流側にはマンドレルリング(40)およびスペーサー(50)を抑える径大の頭部(73)が設けられている。一方、台座(31)には、心棒(70)の雄ねじ部(72)に螺合する雌ねじ部(24)が設けられている。
上記マンドレル(62)は、常温(T)において、心棒(70)の上流側からマンドレルリング(40)およびスペーサー(50)を嵌め、雄ねじ部(72)を台座(31)の雌ねじ部(24)に螺合させて組み立てる。組み立てにより、マンドレルリング(40)およびスペーサー(50)は台座(31)の位置基準面(33)と頭部(73)との間に挟まれて軸線方向の所定位置に配置される。
上記のような心棒(70)を着脱自在に取り付ける構造においては、心棒(70)の交換が可能であり、またダイスメンテナンスをさらに簡単に行える。また、マンドレルリング(40)およびスペーサー(50)を上流側から嵌めるので、心棒の外周面、マンドレルリングおよびスペーサーリングの内周面を下流側に向かって外向きに傾斜させる場合にそのテーパー角度の設計の自由度が高い。このため、図1のマンドレル(30)のように台座(31)と一体に形成されて下流側からマンドレルリング(40)およびスペーサー(50)を嵌める心棒(32)では組み立てが不可能なテーパー角度の設定も可能となる。また、マンドレルリング(40)およびスペーサー(50)に付与する軸線方向の締め付け力は、組み立て時に心棒(70)の雄ねじ部(72)と台座(31)の雌ねじ部(24)の締め具合で調節することができる。さらに、着脱自在の心棒においても、図1等のマンドレル(30)のように頭部(ナット)が心棒から外れるようにすれば、心棒の上流側、下流側のどちらからでもマンドレルリングおよびスペーサーリングを嵌めることができるので、さらにマンドレル設計の自由度が高くなる。
本発明の押出ダイスは、閉じられた中空部を有する中空材の押出のみならず、中空部の一部が開口した半中空材の押出にも適用することができる。
また、本発明の押出ダイスを用いて成形する材料は金属である限り何ら限定されず、アルミニウム、銅、鉄およびこれらの合金を例示できる。
本発明の押出ダイスは、中空部または半中空部を有する各種押出材の製造に利用できる。
1…押出材
10…ポートホールダイス
11…雌型
20…雄型(押出ダイス)
30、60、61、62…マンドレル
31…台座
32…心棒
32a…外周面
33…位置基準面
34…ボルト部
37…ナット(抑え部材)
40…マンドレルリング
41…ベアリング部
42…内周面
43…逃がし部
50、55、56…スペーサー
57…スプリングワッシャー(スペーサー)
58…ウェーブワッシャー(スペーサー)
71…心棒の本体部
73…頭部(抑え部材)
…隙間
、AT1…心棒の外径
T1、BT2…マンドレルリング
T1、CT2…スペーサーの内径
T1、DT2…台座の外径
T1、ET2…マンドレルリングの逃がし径
T1、FT2…スペーサーの外径
T1、GT2…心棒の軸線方向の寸法
T1、HT2…マンドレルリングの軸線方向の寸法
T1、IT2…スペーサーの軸線方向の寸法

Claims (8)

  1. 押出材の内面を成形するマンドレルが、心棒と、該心棒に外嵌めされるマンドレルリングと、該マンドレルリングの上流側または上流側の少なくとも一方において心棒に外嵌めされるリング形のスペーサーと、前記心棒の先端に配置されてマンドレルリングおよびスペーサーの抜け落ちを防止する抑え部材とを有し、
    前記マンドレルリングが心棒よりも熱膨張係数の小さい材料で構成され、かつ前記スペーサーは心棒よりも熱膨張係数の大きい材料で構成され、
    前記心棒の外周面およびマンドレルリングの内周面が、前記心棒にマンドレルリングを外嵌めした状態において、常温時に心棒とマンドレルリングとの間に隙間があるように設定され、
    前記心棒、マンドレルリングおよびスペーサーの軸線方向の合計寸法が、押出時のダイス温度時に、心棒の寸法と同一または心棒の寸法を超えるように設定されていることを特徴とする押出ダイス。
  2. 前記心棒の外周面およびマンドレルリングの内周面が、押出時のダイス温度時に、常温時に心棒とマンドレルリングとの間に形成される隙間がマンドレルの軸線方向の少なくとも一部において無くなって両者が接触するように設定されている請求項1に記載の押出ダイス。
  3. 押出時のダイス温度時におけるスペーサーの外径が、マンドレルリングの逃がし径を超えないように設定されている請求項1または2に記載の押出ダイス。
  4. 前記スペーサーはマンドレルリングの上流側に配置される請求項1〜3のいずれかに記載の押出ダイス。
  5. 前記スペーサーはマンドレルリングの下流側に配置される請求項1〜3のいずれかに記載の押出ダイス。
  6. 前記スペーサーはマンドレルリングの上流側および下流側に配置される請求項1〜3のいずれかに記載の押出ダイス。
  7. 前記スペーサーは軸線方向に弾性力を有する請求項1〜6のいずれかに記載の押出ダイス。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の押出ダイスを用い、
    心棒、マンドレルリングおよびスペーサーの軸線方向の合計寸法が、心棒の寸法と同一または心棒の寸法を超える温度で押出を行うことを特徴とする押出方法。
JP2010108994A 2010-05-11 2010-05-11 押出ダイス Pending JP2011235312A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010108994A JP2011235312A (ja) 2010-05-11 2010-05-11 押出ダイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010108994A JP2011235312A (ja) 2010-05-11 2010-05-11 押出ダイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011235312A true JP2011235312A (ja) 2011-11-24

Family

ID=45323867

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010108994A Pending JP2011235312A (ja) 2010-05-11 2010-05-11 押出ダイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011235312A (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60112717U (ja) * 1984-01-06 1985-07-30 三菱電機株式会社 締付装置
JPH06512U (ja) * 1992-06-12 1994-01-11 日本軽金属株式会社 中空製品押出用マンドレル
JPH08200956A (ja) * 1995-01-23 1996-08-09 Sumitomo Electric Ind Ltd 気密容器のシ−ル装置
JP2003181525A (ja) * 2001-12-19 2003-07-02 Showa Denko Kk 中空材の押出ダイス及びこれを用いた中空材の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60112717U (ja) * 1984-01-06 1985-07-30 三菱電機株式会社 締付装置
JPH06512U (ja) * 1992-06-12 1994-01-11 日本軽金属株式会社 中空製品押出用マンドレル
JPH08200956A (ja) * 1995-01-23 1996-08-09 Sumitomo Electric Ind Ltd 気密容器のシ−ル装置
JP2003181525A (ja) * 2001-12-19 2003-07-02 Showa Denko Kk 中空材の押出ダイス及びこれを用いた中空材の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5350150B2 (ja) 押出ダイス
EP3170571B1 (en) Pipe expander
JPH0757367B2 (ja) セラミックスリーブ組立式圧延ロール
US4099311A (en) Composite roll with roll ring of material which is sensitive to tensile stress
JP2011235312A (ja) 押出ダイス
JP5634773B2 (ja) 押出ダイス
JP5512328B2 (ja) 押出ダイス
JP5497557B2 (ja) 押出ダイス
JP5441816B2 (ja) 押出ダイス
JP5497559B2 (ja) 押出ダイス
JP5441815B2 (ja) 押出ダイス
JP6350153B2 (ja) ダイカスト用スリーブ
JP5756209B2 (ja) 押出ダイス
JP2012011446A (ja) 押出ダイス
JP2008207191A (ja) 熱間押出し加工用ダイおよび熱間押出し加工材の製造方法
JP5497558B2 (ja) 押出ダイス
JP2014240092A (ja) 押出ダイス
JP2006334630A (ja) 成型用金型とその使用方法
JP5579425B2 (ja) 押出ダイス
JP2017074612A (ja) 拡管機
CN102537089B (zh) 一种用于不同材料之间消热应力和热间隙的轴系机械结构
JP2016223585A (ja) 皿ばね
CN213002409U (zh) 一种辗环机挡板装置
CN216464374U (zh) 一种轴承拆卸工具
JP2008105085A (ja) 搬送用ローラ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131126

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140117

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20140603