JP2008207191A - 熱間押出し加工用ダイおよび熱間押出し加工材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】難加工材の熱間押出し加工において発生する押出管の表面欠陥を、生産性および製造コストを阻害することなく効果的に防止できる熱間押出し加工用ダイを提供する。
【解決手段】難加工材を押出し素材とする熱間押出し加工に際し、アプローチ部およびベアリング部の表面粗さがRzで20〜80μmの熱間押出し加工用ダイを用いる。これにより、被加工材とダイの間に介すべき溶融ガラス皮膜が局所的に形成されない場合でも、ダイと被加工材の接触面積を減少させることができるとともに、高加工度で押出し加工する場合でも、溶融ガラスのミクロメタルプールを形成することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、難加工材を素材とする熱間押出し加工に用いられるダイおよびそれを用いた熱間押出し加工材の製造方法に関し、さらに詳しくは、難加工材を熱間押出し加工する場合でも、生産性の低下および製造コストの上昇を招くことなく、得られる加工材の表面欠陥を効果的に防止できる熱間押出し加工用ダイおよびそれを用いた熱間押出し加工材の製造方法に関する。
熱間押出し法は、管材、棒材等の加工材の製造に際して、高加工度の押出し加工が可能であること、さらに速い加工であり被加工材の温度低下が少なく、加工温度範囲の狭いステンレス鋼などの加工に適していることから、熱間加工として広く採用されている。なかでも、ガラス潤滑を特徴とするユジーンセジュルネ押出し法は、難加工材の熱間押出し加工に好適である。
図1は、ユジーンセジュルネ押出し法による継目無鋼管の製造方法(以下、「ユジーン製管法」という)を模式的に説明する図である。継目無鋼管の代表的な製造方法の一つであるユジーン製管法では、所定の押出し温度に加熱された中空円筒形の被加工材Bをコンテナ1内に収容し、その被加工材Bの中空部にマンドレル2を挿入した状態でダミーブロック3を介してステム4により被加工材Bを押出して押出管Pを得る。
このとき、コンテナ1の前方にはダイスタンド6が設置され、ダイバッカ7に保持されたダイ5が配されており、ダイ5の内部には前記マンドレル2の先端部が挿入される。ダイ5とマンドレル2は所定の環状隙間を有しており、その隙間からステム4を押す方向に被加工材Bが管状に押し出される。
ユジーン製管法では潤滑剤としてガラスが用いられ、被加工材Bをコンテナ1内に収容する前に、加熱された被加工材Bの外表面および内表面に粉末ガラスを散布し、溶融ガラスの皮膜を形成する。また、被加工材Bとダイ5の間に、粉末ガラスをガラス繊維や水ガラスと混合させて環状に成形したガラスディスク8を挿入する。このガラスディスク8が、押出し加工の過程で被加工材Bの加工熱により徐々に溶融し、溶融ガラスの皮膜を形成して被加工材Bの外表面とダイ5との潤滑を担う。
しかし、押出し加工の過程において、被加工材Bとダイ5の間で溶融ガラス皮膜が形成されない部分が全体または局部的に生じると、被加工材Bがダイ5に焼き付き、押出し加工で製管された継目無管に表面欠陥が発生し易くなる。
このような被加工材の焼き付きを防止する技術として、例えば、特許文献1には、アルミ合金の高温潤滑押出しを対象として、押出し方向に順次その内径が小さくなるアプローチ部のベアリング部側端に幅0.2〜5.0mmの平滑部分を残して、アプローチ部に5〜50μの凹凸面を形成した押出し用ダイが開示されている。
すなわち、アルミ合金の高温潤滑押出しでは、冷間の潤滑押出しに比べダイ域での焼き付き頻度が高く、製品表面に縦傷が発生し、安定した製品が得られないことから、特許文献1の押出し用ダイは、アプローチ部に適度の粗さ(最大粗さで5〜50μ)の凹凸面を形成して、潤滑剤のトラッピング効果を保持させることにより焼き付きを防止している。
したがって、特許文献1の焼き付き防止技術は、アルミ合金の熱間押出し加工に関するものであり、ステンレス鋼や高Ni合金といった難加工性の材料(以下、「難加工材」という)の焼き付き防止については検討がなされていない。そのため、特許文献1の押出し用ダイでは、アプローチ部のみ表面粗さを粗くし、ベアリング部は潤滑材の過剰な巻き込みによる表面欠陥の発生を防止するため平滑にしている。通常、難加工材の熱間押出し加工を行う場合に、ダイのベアリング部が平滑な場合には、ベアリング部で焼き付きが発生するという問題がある。
また、炭素鋼やステンレス鋼の熱間押出し製管におけるダイの焼き付きによる表面欠陥の発生を防止する技術として、特許文献2には、押出し素材として表面粗さがRmax(JIS B0601−1982)で30〜100μの中空ビレットを用いる継目無管の熱間押出し製管方法が提案されている。
すなわち、従来では、ビレットの表面粗さが粗いと押出管の表面欠陥の発生原因となると考えられており、可及的に平滑な表面(例えば、上記Rmaxで10μm以下)にしたビレットを用いて30以下の押出比(被加工材の断面積/押出管の断面積)で加工していた。ところが、押出比が40以上の高加工度で押出し加工を行うと、押出管に付着する潤滑ガラス皮膜の膜厚が極端に薄くなり、この部分で焼き付き疵を発生することになる。
このため、特許文献2の製管方法では、ビレットの表面粗さを上記Rmaxで30〜100μmとすることで、中空ビレットの内外全表面に均一かつ微細に形成されたミクロプールにガラスが密封貯留され、そのまま加工部に導入されるため、加工部においてガラスが潤滑皮膜として確実に働くことができ、高加工度となる押出し加工でも焼き付き疵の発生を防止できるとしている。
しかし、特許文献2の製管方法では、ビレットの表面粗さを上記Rmaxで30〜100μmとするために、被加工材となるビレットを切削した後に、ショットブラスト加工法等により表面処理を行うことから、生産性が低下するとともに、製造コストが上昇するという問題がある。
さらに、被加工材の加熱過程で、被加工材の表面に生成される酸化皮膜の厚みは加熱時間の長短により異なり表面粗さが変動する、また被加工材の表面の微細な凹凸の凸部は凹部と比較して酸化され易く、凸部が集中的に酸化されてスケールが生成されることから、表面粗さが小さくなる。
すなわち、被加工材であるビレットの加熱条件によって、加工直前のビレットの表面粗さが変化することから、特許文献2の製管方法で必須とする、均一かつ微細な溶融ガラスのミクロプールをビレット表面に安定して形成することが困難になる。このため、特許文献2の製管方法では、安定的して押出管の焼き付き発生および寸法精度の低下を抑制することができない。
特公昭59−13287号公報 特開平9−192724号公報
図2は、熱間押出し加工に用いられるダイの断面構成を示す図である。ダイ断面は、押出し方向に内径が順次小さくなるアプローチ部5aと、被加工材の押出し寸法を規定するベアリング部5bとで構成される。図2に示したダイ5を用いた押出し加工では、被加工材の外表面とアプローチ部5aの内面とによってくさび状の環状空間が形成され潤滑剤が供給されるため、アプローチ部5aでは良好な潤滑状態が保たれる。
前述の通り、難加工材の熱間押出しでは、押出し加工の過程においてベアリング部で焼き付きが発生し易くなる。さらに、難加工材の熱間押出しでは、後述する加工メカニズムにより、押出し加工の開始直後に、被加工材がダイのベアリング部に焼き付く現象が顕著になる。このように、ベアリング部で焼き付きが発生すると、例えば、図3に示すように、ベアリング部の焼き付き箇所を起点として、押出管Pの軸方向に外面凹み筋状欠陥が生じ、押出管の歩留まりや工具寿命を低下させることから、生産性および製造コストに影響を及ぼすことになる。
本発明は、上述した熱間押出し加工における問題に鑑みてなされたものであり、難加工材の熱間押出し加工において、被加工材がダイのベアリング部に焼き付くことにより発生する押出加工材の表面欠陥(例えば、押出管の外面凹み筋状欠陥を含む)を、生産性および製造コストを阻害することなく効果的に防止できる熱間押出し加工用ダイおよびそれを用いた熱間押出し加工材の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上述した課題を解決するため、焼き付きが発生し易い難加工材を用いた熱間押出し加工でのメカニズムを検討した結果、押出し加工の開始直後に発生する焼き付きに影響を及ぼす、被加工材の加工挙動を明らかにした。
図4は、ユジーン製管法による押出し加工の開始前後における被加工材の挙動を説明する図であり、(a)は押出し加工前の被加工材の構成を示し、(b)は押出し加工の開始直後の被加工材の挙動を示している。すなわち、図4(a)、(b)は前記図1のA部における構成を示している。
図4(a)に示すように、押出し加工前には、被加工材Bは中空部にマンドレル2を挿入し、ダイ5に対向するように配置されるが、被加工材Bのダイ側端面の中心部はガラスディスク8と接触することがない。このような状態で押出し加工が開始されると、図4(b)に示すように、被加工材Bのダイ側端面の中心部はガラスディスク8と接しないため、ガラス潤滑は殆ど行われない。しかも、被加工材Bは加熱されているため、変形能に優れ、ダイ5と密着するので、ダイ5のベアリング部で焼き付きを生じ易い。
このような被加工材Bの加工挙動により、押出し加工の開始時にベアリング部で焼き付きが発生すると、これを起点として加工材に外面凹み筋状欠陥などの表面欠陥を生じることになる。
図4に示すような被加工材の加工挙動に対し、前記特許文献2の製管方法では、焼き付き防止対策として対応することができない。すなわち、被加工材であるビレットの表面粗さRmax(JIS B0601−1982)で30〜100μになるように表面処理を施しても、ビレットBとダイ5が溶融ガラス皮膜を介して接触する前に、ビレットBのダイ側端面の中心部が塑性流動するため溶融ガラス皮膜を形成することができず、また、ビレットBのダイ側端面がガラスディスク8と接触したとしても僅かな時間に制限されるため、溶融ガラス皮膜が形成されない箇所が生じ、ビレットBがダイ5に焼き付き易い状態になる。
このようなことから、難加工材の熱間押出し加工において、焼き付きが生じ易い押出し開始直後を含むいずれの箇所においても、被加工材がダイに焼き付き易い状態を回避すること、すなわち、被加工材とダイとの接触面積を減少させ、かつ確実に微細な溶融ガラスのミクロプールを維持することが必要になる。このためには、ダイのアプローチ部およびベアリング部の表面粗さを最適な粗さに加工処理することが必要であり、これにより、被加工材およびダイの材質や押出しの加工度(押出比)に関係無く焼き付きを防止でき、これに起因する外面凹み筋状欠陥を含む加工材(例えば、押出管)の表面欠陥の発生を防止できることを知見した。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されてものであり、下記(1)の熱間押出し加工用ダイ、および(2)の熱間押出し加工材の製造方法を要旨としている。
(1)難加工材を押出し素材とする熱間押出し加工に用いられるダイであって、アプローチ部およびベアリング部の表面粗さがRz(JIS B0601−2001)で20〜80μmであることを特徴とする熱間押出し加工用ダイである。
本発明の熱間押出し加工用ダイが対象とする難加工材として、熱間加工時に変形抵抗の大きいステンレス鋼、ニッケルクロム鉄合金およびNi基合金等が例示される。また、熱間押出しされる加工材は特定の鋼形状に限定されず、管材や棒材等が挙げられる。
本発明の熱間押出し加工用ダイは、難加工材を押出し素材とする継目無管の熱間押出し製管に用いるのが望ましく、さらに、潤滑剤がガラス質潤滑剤である熱間押出し加工に用いるのがより望ましい。
(2)上記(1)に記載のダイを用いて熱間押出し加工を行うことを特徴とする熱間押出し加工材の製造方法である。本発明の製造方法では、加工材が継目無管である熱間押出し加工に用いることが望ましい。
本発明の熱間押出し加工用ダイによれば、被加工材が難加工材であっても、いずれの箇所においても焼き付きを防止し、これに起因する外面凹み筋状欠陥を含む、押出し加工材の表面欠陥の発生を効果的に抑制することができる。また、本発明の熱間押出し加工材の製造方法によれば、難加工材を熱間押出し加工する場合でも、生産性の低下および製造コストの上昇を招くことなく、焼き付きを防止できるので、高品質の押出製品を安定して製造できる。
本発明の熱間押出し加工用ダイは、難加工材を押出し素材とする熱間押出し加工に用いられるダイであり、アプローチ部およびベアリング部の表面粗さがRzで20〜80μmであることを特徴とする。このように、ダイのベアリング部とアプローチ部について、表面粗さをJIS B0601(2001年版)で規定される最大高さRzで20〜80μmとなるよう加工処理するのは、難加工材の熱間押出し加工で必要とされる2つの機能を両立させるためである。
第1の機能は、押出し加工の開始直後における被加工材の加工挙動に起因し、被加工材とダイの間に介すべき溶融ガラス皮膜が局所的に形成されない場合でも、被加工材とダイとの接触面積を減少させることである。次に、第2の機能は、被加工材とダイの間に溶融ガラス皮膜が形成されている場合でも、高加工度で押出し加工する際に、溶融ガラス皮膜が極端に薄くなることを防止できるように、溶融ガラスのミクロメタルプールを形成させることである。
第1の機能を発揮し、ダイと被加工材の接触面積を減少させるには、ダイのアプローチ部およびベアリング部の表面粗さを粗くすればよい。しかし、ダイの表面粗さを過度に粗くすると、ダイ表面に施した凹凸の凸部により、被加工材とダイの間に形成されている溶融ガラス皮膜が削ぎ取られ、ダイと被加工材が直接接触することになる。このように、ダイと被加工材が接触すると、ダイ表面の凸部の温度が局所的に上昇し、その部位で焼き付きが発生し易くなる。
第2の機能を発揮し、ダイ表面に溶融ガラスのミクロメタルプールを形成するには、ダイのアプローチ部およびベアリング部の表面粗さを小さくすればよい。ダイの表面粗さを小さくすれば、凹凸の凹部が浅くなるので、僅かな量の溶融ガラスでも凹部を充満させてミクロメタルプールを形成することができる。しかし、溶融ガラス皮膜が局所的に形成されない場合には、ダイと被加工材との接触面積が大きくなることから、焼き付きが発生し易くなる。
本発明者らは、上述した第1および第2の機能を同時に発揮できる表面粗さを見出すため、下記の試験を行った。
図5は、ダイの表面粗さとそれに伴う摩擦係数の関係を調査するための試験方法を説明する図である。試験方法は、白抜き矢印の方向に回転可能な支持軸9の上端に、ステンレス製ディスク10を固定し、表面粗さを変化させた4種類(Rz:4.7μm、19.8μm、58.2μmおよび85.1μm)の供試工具11を黒抜き矢印の方向から押し付け、支持軸9のトルクを測定した。
被加工材に相当するステンレス製ディスク10は、材質としてSUS304を用い、1100℃に加熱した状態で表面にガラスを塗布した。供試工具11の材質としてSKD61を用い、200kgfの負荷を加えてステンレス製ディスク10に押し付け、測定されたトルク値から摩擦係数を調査した。
図6は、供試工具の表面粗さRzと摩擦係数の関係を示す図である。本発明者らは、図6に示す結果から、表面粗さRzが60μm程度で摩擦係数が最も低くなることを見出した。さらに、図6に示すように、表面粗さRzが60μm以下では、粗さが小さいほど摩擦係数は高くなるが、表面粗さRzが20μm以下ではRzが少し小さくなるだけでも摩擦係数が急激に高くなる。そこで、押出し中にダイに付与した凹凸の凸部の損耗による摩擦係数の急激な上昇による焼き付きを避けるため、表面粗さの下限を20μmとした。
一方、表面粗さRzが大きすぎると、ダイに付与した凹凸の凸部の温度上昇や損耗による接触面積の増大で摩擦係数が高くなり焼き付きが発生するが、凹部での溶融ガラスによるミクロプールの形成により焼き付きの発生が緩和されることから、上限を80μmとした。
上記の理由から、表面粗さがRzで20〜80μmの範囲であれば、第1および第2の機能を両立できる。より好ましい表面粗さRzは30〜70μmである。
したがって、本発明の熱間押出し加工材の製造方法は、アプローチ部およびベアリング部の表面粗さがRzで20〜80μmであるダイを用いることにより、焼き付きが生じ易い押出し開始直後を含むいずれの箇所においても、ダイと被加工材の接触面積を低減させると同時に、確実に微細な溶融ガラスのミクロプールを維持することが可能となり、被加工材がダイに焼き付くことが防止でき、焼き付きに起因する加工材の外面欠陥を防止することができる。
また、本発明の熱間押出し加工用ダイは、熱間加工時の変形抵抗が大きいステンレス鋼、ニッケルクロム鉄合金およびNi基合金等の難加工材の加工に適用でき、継目無管の熱間押出し製管に採用するのが望ましい。特にガラス潤滑を特徴とするユジーン製管に用いることにより顕著な効果を発揮することができる。
本発明の熱間押出し加工用ダイの効果を確認するため、ユジーン製管による継目無鋼管の熱間押出し製管を行い、得られた押出管の表面欠陥の発生状況を調べた。
押出し加工には、SKD61、SKD4およびSKD8の3種類の材質からなるダイを用いた。さらに、3種類の材質のダイそれぞれにつき、アプローチ部およびベアリング部の表面粗さをRzで5μmから150μmまで段階的に変化させた11種類のダイを作製し、これを用いて熱間押出し加工を行った。
また、被加工材としては、SUS304、SUS316、SUS329J2L(二相ステンレス鋼)および75%Ni基合金の4種類の材質のものを用いた。さらに、被加工材とダイの間に介在させるガラスディスクとしては、粉末ガラスをガラス繊維および水ガラスと混合させて環状に成形したものを用いた。
3種類の材質および11種類の表面粗さのダイと、4種類の材質の被加工材を組み合わせた132通りの試験のうち、アプローチ部およびベアリング部の表面粗さがRzで20μm未満または80μmを超えるダイを用いた試験を比較例とし、アプローチ部およびベアリング部の表面粗さがRzで20〜80μmのダイを用いた試験を本発明例とした。
被加工材の材質としてSUS304、SUS316およびSUS329J2Lを用いた場合には、その押出比を5から50まで6段階に変化させて、また被加工材の材質として75%Ni基合金を用いた場合には、その押出比を5から45まで5段階に変化させてユジーン製管を実施した。
本発明例および比較例とも、各押出比ごとにそれぞれ10本ずつ熱間押出し加工を行い、焼き付きに起因する表面欠陥が発生した押出管の本数を調べた。その結果を、被加工材の材質がSUS304である実施例については表1に、同じくSUS316については表2に、SUS329J2Lについては表3に、75%Ni基合金については表4にそれぞれ示す。
Figure 2008207191
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表1〜4に示す結果から明らかなように、アプローチ部およびベアリング部の表面粗さがRzで20μm未満であるダイを用いて製造した比較例では、4種類の被加工材と3種類のダイを組み合わせたいずれの組合せでも焼き付きに起因する表面欠陥の発生が確認された。さらに、比較例のうち、表面粗さがRzで5μmのダイを用いて製造した押出管では、表面粗さがRzで10μmのダイを用いて製造した押出管に比べて、表面欠陥の発生が多くなる傾向が認められた。
また、アプローチ部およびベアリング部の表面粗さがRzで80μmを超えるダイを用いて製造した比較例でも、4種類の被加工材と3種類のダイを組み合わせたいずれの場合でも、焼き付きに起因する表面欠陥の発生が確認された。さらに、表面粗さがRzで20μm未満であるダイを用いる場合とは逆に、表面粗さが粗くなるほど、表面欠陥の発生が多くなる傾向が認められた。
これに対し、アプローチ部およびベアリング部の表面粗さがRzで20〜80μmであるダイを用いて製造した本発明例では、焼き付きに起因する表面欠陥は全く発生しなかった。
以上の結果から、本発明で規定する熱間押出し加工用ダイを用いれば、ダイの材質、被加工材の材質、または押出比に拘わらず、ダイと被加工材との焼き付きに起因する表面欠陥の発生を効果的に防止できることが確認できた。
本発明の熱間押出し加工用ダイによれば、被加工材が難加工材であっても、いずれの箇所においても焼き付きを防止し、これに起因する外面凹み筋状欠陥を含む、押出し加工材の表面欠陥の発生を効果的に抑制することができる。また、本発明の熱間押出し加工材の製造方法によれば、難加工材を熱間押出し加工する場合でも、生産性の低下および製造コストの上昇を招くことなく、焼き付きを防止できるので、高品質の押出製品を安定して製造できる。
これらにより、本発明の熱間押出し加工用ダイおよびそれを用いた熱間押出し加工材の製造方法は、難加工材を押出し素材とする熱間押出し加工に広く適用できる。
ユジーン製管法を模式的に説明する図である。 熱間押出し加工に用いられるダイの断面構成を示す図である。 押出管に発生する外面凹み筋状欠陥を説明する図である。 ユジーン製管法による押出し加工の開始前後における被加工材の挙動を説明する図であり、(a)は押出し加工前の被加工材の構成を示し、(b)は押出し加工の開始直後の被加工材の挙動を示している。 ダイの表面粗さとそれに伴う摩擦係数の関係を調査するための試験方法を説明する図である。 供試工具の表面粗さRzと摩擦係数の関係を示す図である。
符号の説明
1.コンテナ、 2.マンドレル
3.ダミーブロック、 4.ステム
5.ダイ、 5a.アプローチ部、
5b.ベアリング部、 6.ダイスタンド
7.ダイバッカ、 8.ガラスディスク
9.支持軸、 10.ステンレス製ディスク、
11.供試工具、
B.被加工材、ビレット、P.押出管

Claims (6)

  1. 難加工材を押出し素材とする熱間押出し加工に用いられるダイであって、アプローチ部およびベアリング部の表面粗さがRz(JIS B0601−2001)で20〜80μmであることを特徴とする熱間押出し加工用ダイ。
  2. 前記熱間押出し加工が継目無管の熱間押出し製管であることを特徴とする熱間押出し加工用ダイ。
  3. 前記難加工材がステンレス鋼またはNi基合金であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱間押出し加工用ダイ。
  4. 前記熱間押出し加工に用いる潤滑剤がガラス潤滑剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱間押出し加工用ダイ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のダイを用いて熱間押出し加工を行うことを特徴とする熱間押出し加工材の製造方法。
  6. 前記加工材が継目無管であることを特徴とする請求項5に記載の熱間押出し加工材の製造方法。
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