JP4706505B2 - 熱間穿孔用中空ビレットおよび熱間押出製管用ビレットの製造方法、並びに熱間押出製管用ビレットを用いた熱間押出管の製造方法。 - Google Patents

熱間穿孔用中空ビレットおよび熱間押出製管用ビレットの製造方法、並びに熱間押出製管用ビレットを用いた熱間押出管の製造方法。 Download PDF

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本発明は、ユージン・セジュルネ製管で製造される熱間押出管の素材として使用される熱間穿孔用ビレットおよびそれを用いた熱間押出製管用ビレットの製造方法、並びにそれを用いた熱間押出管の製造方法に関し、さらに詳しくは、熱間押出製管用ビレットの素材となる熱間穿孔用中空ビレットをコンテナ内に装入して熱間穿孔する際に発生する偏肉、およびそれにともなう熱間製管時の疵等の発生を防止する発明に関する。
熱間押出用の潤滑剤としてガラスを使用するユージン・セジュルネ製管法は、熱間押出製管用ビレットに比較的高加工度を加えることができ、製管性に優れることから、高合金等の難加工材を素材とする継目無管の製造に多用されている。この熱間押出に供給される製管用ビレットは、押出プレスのマンドレルが挿入できるように、予め機械加工によってガイドホールが切削され、中空形状に加工される。
ところが、大径マンドレルを用いてビレットを押出製管する場合には、それに応じて熱間押出製管用ビレットの下孔加工が必要になり、下孔加工に要する機械能率が著しく低下するとともに、歩留まり損失も増加する。
通常、この熱間製管法では、押出プレスに供給される製管用ビレットには、予備加工として中空ビレットを用いた熱間穿孔が行われる。このため、本発明では、予備加工として熱間穿孔に供される中空ビレットを「熱間穿孔用中空ビレット」、または単に「穿孔用ビレット」といい、一方、熱間穿孔後に押出製管に供される中空ビレットを「熱間押出製管用ビレット」、または単に「製管用ビレット」という。
図1は、製管用ビレットの予備加工として行われる、熱間穿孔の加工工程を説明する図である。図1(a)はコンテナ内に穿孔用ビレットを装入した状況を、同(b)は穿孔用ビレットを穿孔する過程を、同(c)は穿孔後の穿孔用ビレット(すなわち、製管用ビレット)の状況をそれぞれ示している。
図1(a)に示すように、予め機械加工された20〜30mmのガイドホール1aを持った穿孔用ビレット1を1100〜1200℃程度に加熱した後、穿孔用ビレット1の下端部(底部)がコンテナの内面に当接する状態で装入する。その後、穿孔用ビレット1の上端面、またはガイドホール1aの内面にガラス潤滑剤が施される。
次に、図1(b)、(c)に示すように、所定径のエキスパンション用のプラグ3をマンドレル4に装着し、穿孔用ビレット1の内径を押し広げながら穿孔する。その後、穿孔された穿孔用ビレット1は、下方向からエジェクタにより突き上げられてコンテナ2から抽出され、再加熱されたのち、熱間押出製管用ビレットとしてユージン・セジュルネ製管に供給される。
通常、コンテナ2には穿孔用ビレットの装入および抽出時の作業性を考慮して、その内面にテーパが設けられている。そして、コンテナ内面に設けられたテーパ角度θは、一般に0.02°〜0.10°の範囲である。このため、熱間穿孔後に得られた製管用ビレットの外径はコンテナ内径で規定され、上記のテーパ角度θの範囲内となる。
図1に示す熱間穿孔において、穿孔用ビレットの挿入が容易になるように、穿孔用ビレットとコンテナ内面にはクリアランス(隙間)が設けられており、通常は穿孔用ビレットの外径をコンテナ内径よりも、加熱された状態で5〜8mm程度小さくなるようにしている。このため、コンテナ内面は上方に向けてテーパが設けられていることから、穿孔用ビレットの上端部は下端部に比べて大きなクリアランスとなっている。
このクリアランスが大きいと熱間穿孔時に、穿孔用ビレットがコンテナ内で移動し、ビレット中心から外れた位置が穿孔中心となり、熱間穿孔後に得られた製管用ビレットに偏肉が発生する場合がある。偏肉が大きい(例えば、4mm超え)製管用ビレットを用いて、次工程の熱間押出製管を行うと、熱間押出で製管された管に穿孔時の偏肉の影響が残り、所定の肉厚公差を外れる場合がある。
また、押出し後の管表面には管長手方向に波を打ったような蛇腹状の変形が残る場合がある。さらに、製管用ビレットの偏肉は熱間押出製管用ビレット内面にマンドレルを挿入して熱間押出製管を行う際の熱間押出し後の管に内面疵が発生する原因となる。さらに、熱間押出では製管用ビレットの内面にマンドレルを挿入して製管を行うが、マンドレル挿入時に穿孔されたビレット内面にかき疵を生じたり、ビレット内面に均一に塗布された潤滑剤が削ぎ取られることから、押出し製管後に内面疵が発生することがある。
したがって、上記のような不良発生を防ぐため、製管用ビレットの偏肉が大きい場合は、機械加工等で、偏肉を除去してから熱間押出製管を行う必要があり、作業能率が低下するとともに歩留まりが悪化することから製造コストの増加要因となっている。
このため、製管用ビレットを熱間穿孔で得る際に発生する偏肉を改善する技術として、特許文献1には、穿孔用ビレットの穿孔側の中空部に予めアプセットコーンでコーン部を形成した後、プラグで穿孔することで、芯ずれが少なく偏肉率を改善した熱間押出製管用ビレットの製造方法が開示されている。
しかし、上記方法では予めアプセットコーンによりコーン部を形成する工程が必要となり作業効率が減少する。また、工程増加による穿孔加工時の熱間穿孔用中空ビレット温度低下を防ぐため、初期加熱温度をより高い温度にすることが必要なためエネルギーコストの増加という問題も生じる。
また、特許文献2には、特定形状とした穿孔用ビレットを熱間穿孔することで、ビレットの外面に発生する横切れ疵を防止する熱間押出に供される製管用ビレットの熱間穿孔方法が開示されている。しかし、ここで開示される方法では、熱間穿孔後に熱間押出に供される製管用ビレットの偏肉を抑制するための穿孔用ビレットの適正形状については検討されていない。
特開昭62−54538号公報 特開2005−59069号公報
前述の通り、熱間穿孔後に得られた製管用ビレットに偏肉が発生すると、熱間押出後の製品品質に悪影響を及ぼすことになる。そこで、製管用ビレットの偏肉が大きい場合に、製品品質を確保するため、機械加工等により偏肉を除去する対策を採用することが必要になるが、著しい製造コストの増加要因となる。
本発明は、このような熱間穿孔されて得られた熱間押出製管用ビレットの問題点に鑑みてなされたものであり、熱間穿孔に際し、穿孔用ビレット形状と装入されるコンテナとのクリアランスを適切に管理することによって、製管用ビレットの偏肉を抑制し、それにともなって生じる熱間押出後の内面疵を防止することができる、熱間穿孔用中空ビレットおよび熱間押出製管用ビレットの製造方法、並びに熱間押出製管用ビレットを用いた熱間押出管の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記の課題を解決するため、製管用ビレットの偏肉を抑制できる製造方法について、熱間穿孔に供される穿孔用ビレットの形状や装入されるコンテナとの関係等を種々検討した結果、穿孔用ビレットの形状と同時に、穿孔用ビレットを装入するコンテナとのクリアランスを適切に管理する必要があるとの知見を得た。
本発明は上記の知見に基づいて完成させたものであり、下記(1)、(2)の熱間穿孔用中空ビレットおよび(3)、(4)の熱間押出製管用ビレットの製造方法、並びに(5)の熱間押出製管用ビレットを用いた熱間押出管の製造方法を要旨としている。なお、本発明で規定する各種の寸法記号を整理すると、次の通りである。
H:穿孔用ビレットの高さ(mm)
h:穿孔用ビレット下端面からの高さ(mm)
Db:高さh(mm)の位置における熱間穿孔温度に加熱された穿孔用ビレットの直径(mm)
Dc:高さh(mm)の位置におけるコンテナ内径(mm)
Dm:穿孔用ビレットの最大径(mm)
d :穿孔用ビレットの下端部径(mm)
(1)内面が上方向に開くテーパを設けたコンテナ内に装入され、上方からプラグを用いて熱間穿孔することにより熱間押出製管用ビレットに加工される熱間穿孔用中空ビレットであって 前記熱間穿孔用中空ビレットの下端面からの高さh(mm)が、当該熱間穿孔用中空ビレットの高さH(mm)に対し下記(1)式を満足する範囲にあり、
前記高さh(mm)の位置における、熱間穿孔温度に加熱された前記熱間穿孔用中空ビレットの直径Db(mm)と前記コンテナ内径Dc(mm)との関係が下記(2)式を満足し、
かつ前記熱間穿孔用中空ビレットの最大径Dm(mm)と下端部径d(mm)との関係が下記(3)式を満足することを特徴とする熱間穿孔用中空ビレット。
2/3H≦h≦H ・・・ (1)
Dc−Db≦4mm ・・・ (2)
Dm−d≦5mm ・・・ (3)
(2)上記(1)の熱間穿孔用中空ビレットでは、さらに、前記熱間穿孔用中空ビレットの最大径Dm(mm)と下端部径d(mm)との関係が下記(4)式を満足するのが好ましい。
Dm−d ≧2mm ・・・ (4)
(3)熱間穿孔用中空ビレットの下端面からの高さh(mm)が、当該熱間穿孔用中空ビレットの高さH(mm)に対し上記(1)式を満足する範囲にあり、
前記高さh(mm)の位置における、熱間穿孔温度に加熱された前記熱間穿孔用中空ビレットの直径Db(mm)と前記コンテナ内径Dc(mm)との関係が上記(2)式を満足し、
かつ前記熱間穿孔用中空ビレットの最大径Dm(mm)と下端部径d(mm)との関係が上記(3)式を満足する熱間穿孔用中空ビレットを用い、
当該熱間穿孔用中空ビレットを内面が上方向に開くテーパを設けたコンテナ内に装入し、上方からプラグを用いて熱間穿孔することを特徴とする熱間押出製管に供される熱間押出製管用ビレットの製造方法。
(4)上記(3)の熱間押出製管用ビレットの製造方法では、さらに、前記熱間穿孔用中空ビレットにおける最大径Dm(mm)と下端部径d(mm)との関係が上記(4)式を満足するのが好ましい。
(5)上記(1)または(2)の熱間穿孔用中空ビレットを熱間穿孔して得られた熱間押出製管用ビレットを用いて、または上記(3)または(4)の方法で得られた熱間押出製管用ビレットを用いて熱間押出製管することを特徴とする熱間押出管の製造方法。
本発明の熱間穿孔用中空ビレットを熱間穿孔して得られた熱間押出製管用ビレットによれば、熱間穿孔による偏肉発生が抑制されているので、熱間押出による製管時に管表面に生じる蛇腹状の変形や内面疵の発生を防止することができる。これにより、ユージン・セジュルネ製管の熱間押出において、高い生産性でかつ良好な歩留まりを維持し押出管を効率的に製管できるとともに、優れた製品品質を確保できる。
本発明の穿孔用ビレットは、内面が上方向に開くテーパを設けたコンテナ内に装入され、上方からプラグを用いて熱間穿孔されることを前提とする。前述の通り、コンテナの内面に設けられたテーパは、コンテナへの穿孔用ビレットの装入および抽出時の作業性を考慮したものであり、その角度θは一般に0.02°〜0.10°の範囲である。
図2は、本発明における穿孔用ビレット形状とコンテナ形状との関係を示す図である。穿孔用ビレット1は穿孔プラグが挿入できるように、予め機械加工によってガイドホール1aが切削され中空形状に加工されている。そして、この穿孔用ビレットの下端部(底部)は、コンテナに装入されて穿孔加工される過程でコンテナの内面と近接する状態におかれる。図2に示す装入状態において、本発明の製管用ビレットを得るために、熱間穿孔による偏肉発生を有効に抑制するには、下記(1)〜(3)式の関係を満足することが必要になる。
まず、本発明の穿孔用ビレットは、穿孔用ビレットの下端面からの高さh(mm)が、当該穿孔用ビレットの高さH(mm)に対し下記(1)式を満足する範囲にあることが必要になる。
2/3H≦h≦H ・・・ (1)
上記(1)式は、本発明が対象とする「上方」位置を規定している。すなわち、穿孔用ビレットは上方から穿孔されることから、少なくとも穿孔用ビレットの下端面からの高さh(mm)において、後述する(2)式で規定するクリアランスが確保されていれば、熱間穿孔の開始時に穿孔用ビレット上端面における遊びが少なくなり、衝撃に対して安定するため、熱間穿孔時に生ずる芯ずれを抑制できることによる。
次に、本発明の穿孔用ビレットは、前記高さh(mm)の位置における、熱間穿孔温度に加熱された前記熱間穿孔用中空ビレットの直径Db(mm)と前記コンテナ内径Dc(mm)との関係が下記(2)式を満足することが必要になる。
Dc−Db≦4mm ・・・ (2)
上記(2)式では、コンテナ内径Dc(mm)と穿孔用ビレットの直径Db(mm)のクリアランスを4mm以下に規定している。穿孔用ビレットの「上方」位置における、これらのクリアランスを4mm以下に規定することで、安定した芯ずれのない穿孔を行うことが可能になり、特に熱間穿孔にともなう穿孔用ビレットの上方側で発生する偏肉要因を抑制することができる。
一方、熱間穿孔用中空ビレット上方側でのクリアランスが上記規定値を超える場合は、熱間穿孔時の衝撃によって穿孔用ビレットが芯ずれを起こし、熱間穿孔された製管用ビレット上方側で偏肉が発生し易くなる。より安定した偏肉の少ない熱間穿孔を行うには、クリアランスを3mm以下にするのが好ましい。
また、上記(2)式で規定するクリアランスの下限は0mmまで可能だが、内面にテーパを設けたコンテナへ、穿孔用ビレットの装入を容易に行うには、クリアランスの下限は0.5mmとするのが好ましい。
なお、上方向に開くテーパを設けたコンテナに熱間穿孔用中空ビレットを装入した状態では、前記図1(a)に示すように、穿孔用ビレットの下端部がコンテナの内面にほぼ当接するようになる場合がある。その場合に、ほぼ円筒状の穿孔用ビレットであれば、コンテナ底部の内径と穿孔用ビレットの下端部径dのクリアランス(コンテナ底部の内径−穿孔用ビレットの下端部径d)が4mm以下を満足することができるが、本発明では、コンテナ底部でのクリアランスが4mm以下であっても、穿孔用ビレットの「上方」位置におけるクリアランスが4mm以下を満足すればよい。
上記(2)式では、熱間穿孔温度に加熱された穿孔用ビレットの直径Dbを規定するものである。加熱後の穿孔用ビレットの直径Dbは、材料に応じて、下記(2−1)式で求めればよい。
Db=Dbo×[1+β×(T−To)] ・・・ (2−1)
ここで、Dbo:加熱前の穿孔用ビレットの直径(mm)、β:熱間穿孔される材料の線膨張係数(1/℃)、T:加熱後の穿孔用ビレット温度(℃)およびTo:加熱前の穿孔用ビレット温度(℃)とする。
例えば、直径が316mmのSUS304の穿孔用ビレットを用いて、熱間穿孔温度1200℃に加熱すると、SUS304の線膨張係数(1/℃)は19.4×10-6であり、加熱後の穿孔用ビレットの直径Dbは323.2mmとなる。
さらに、本発明の穿孔用ビレットは、穿孔用ビレットの最大径Dm(mm)と下端部径d(mm)との関係が下記(3)式を満足することが必要になる。
Dm−d ≦5mm ・・・ (3)
上記(3)式は、穿孔用ビレットの最大径Dm(mm)と穿孔用ビレットの下端部径d(mm)との差を規定している。
本発明では、製管用ビレットにおける偏肉の発生を抑制するため、コンテナ内面に設けられたテーパに沿い穿孔用ビレットの上端部の直径を大きくしている。しかし、穿孔用ビレットの上端部の直径、すなわち、穿孔用ビレットの最大径Dmと穿孔用ビレットの下端部径dとの差が大きいと、コンテナの底部において穿孔用ビレット下端部の遊びが大きくなる。このため、穿孔開始時に穿孔プラグを穿孔用ビレットに押し付ける衝撃により穿孔用ビレットの下端部において芯ずれを起こし易く、製管用ビレット下端部での偏肉が発生し易くなる。
そこで、本発明の穿孔用ビレットでは、穿孔用ビレットの最大径Dm(mm)と穿孔用ビレットの下端部径d(mm)との差を5mm以下とした。より好ましくは、4mm以下である。
前記(2)式では、高さh(mm)の位置における熱間穿孔温度に加熱された穿孔用ビレットの直径Dbをパラメータとして用いているが、穿孔用ビレットがテーパ状の場合は、高さh(mm)よりも「上方」位置で穿孔用ビレットの最大径Dmが存在する場合がある。そのため、上記(3)式では、コンテナの底部における遊びを制限するため、穿孔用ビレット最大径Dm(mm)と穿孔用ビレット下端部径d(mm)との差を規定した。
通常、穿孔用ビレット最大径Dmと下端部径dとの差(Dm−d)は、熱間穿孔温度に加熱される前後において同程度であるため、上記(3)式では加熱前後の条件は除いている。
上述の通り、本発明の穿孔用ビレットは、穿孔用ビレットの「上方」位置における、加熱された穿孔用ビレットの直径Dbとコンテナ内径Dc(mm)とのクリアランスが4mm以下で、かつ穿孔用ビレットの最大径Dmと下端部径dとの差が5mm以下とする必要があるが、さらに、穿孔用ビレットの最大径Dm(mm)と下端部径d(mm)との関係が下記(4)式を満足させるのが好ましい。
Dm−d ≧2mm ・・・ (4)
熱間穿孔に際して、穿孔用ビレット下端部がコンテナ底部内面に接触したり、近接する場合には、穿孔温度に加熱された穿孔用ビレットがコンテナから抜熱作用を受け、そのビレット下端部で温度低下が発生する。これにともなって穿孔用ビレットの該当箇所での熱間加工性が著しく悪化し、高Ni基合金、Cr−Ni−Fe合金やTi合金等の難加工材を穿孔すると、該当するビレット外面に横切れ疵が発生する場合がある。
そこで、上記(4)式を設けて、上記の横切れ疵の発生を防止するため、穿孔用ビレットの最大径Dm(mm)と下端部径d(mm)との差を2mm以上にするのが好ましいとした。より好ましくは3mm以上である。
本発明の熱間押出製管用ビレットの製造方法は、上記(1)〜(3)式で規定される穿孔用ビレットを内面が上方向に開くテーパを設けたコンテナ内に装入し、上方からプラグを用いて、熱間穿孔することによって熱間押出製管に供される製管用ビレットを得る方法である。
また、本発明の熱間押出管の製造方法は、本発明の熱間穿孔用中空ビレットを熱間穿孔して得られた製管用ビレットを用いて熱間押出製管する方法である。
本発明では、偏肉発生のメカニズムに基づき、穿孔温度に加熱後の穿孔用ビレットの直径をパラメータとして、上記(1)〜(3)式を規定し、その規定のなかで加熱前のビレット直径と、加熱後のビレット直径とを使い分けている。しかし、加熱後のビレット直径は、前記(2−1)式に示すように、材料の線膨張係数と加熱前後の温度差を用いて計算で求めることが可能であり、加熱後のビレット直径を考慮して、加熱前のビレット直径が所定範囲となるように形状を調整するのは極めて容易である。そのため、線膨張係数を考慮して、全て加熱前または加熱後の穿孔用ビレットの直径で本発明で規定する範囲になるように調整する場合も、本発明の規定する範囲に該当すると言える。
図3は、本発明が対象とする穿孔用ビレットの断面形状を(a)〜(d)に例示する図である。本発明に適用できる穿孔用ビレットの断面形状として、同(a)に示すような円筒形状、または同(b)に示すような上部直径を大きくした段付形状が挙げられる。さらに、同(c)に示すように、上方に向かってテーパを有する逆円錐形状や、同(d)に示すように、上部直径を大きくした段付形状と上方に向かってテーパを有する逆円錐形状とを組み合わせた形状であってもよい。
前述の通り、穿孔用ビレット下端部がコンテナ底部内面に接触したり、近接する場合には、コンテナから抜熱作用を受けるために熱間加工性が悪化し、ビレット外面に横切れ疵が発生するおそれがある。これらを防止するため、図3(a)に示す円筒形状よりも、図3(b)〜図3(d)に示すような段付形状、または逆円錐形状、さらにこれらの組み合わせからなる断面形状の穿孔用ビレットを採用するのが好ましい。
さらに、偏肉発生を抑制する観点からも、穿孔用ビレットを図3(b)〜図3(d)に示す段付形状、逆円錐形状、またはこれらの組み合わせからなる断面形状にすることにより、内面が上方向に開くテーパを設けたコンテナの内径とのクリアランスが、ビレットの高さ方向に亘り比較的変化が小さくなるため、偏肉をより抑制できることから好ましい。
本発明が対象とするビレット材質として、熱間押出製管に適用される全ての材質が適用可能であり、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、Ni基合金、Cr−Ni−Fe合金およびTi合金などが挙げられる。
本発明の穿孔用ビレットおよびそれから製造される製管用ビレットの偏肉抑制の効果を、実施例に基づいて説明する。穿孔用ビレットはSUS304材を用い、機械加工によりガイドホールと外形切削を行いビレット外面を表1に示す断面形状に加工した。表1で「円筒形状」とするのは前記図3(a)に示す断面形状であり、「段付形状」とするのは前記図3(b)に示す断面形状とし、いずれも段付部をビレット上端部から100mm設けた。さらに「テーパ形状」とするのは、前記図3(c)に示す断面形状であり、「段付+テーパ形状」とするのは、前記図3(d)に示す断面形状とした。
一方、穿孔加工に用いたコンテナは、底部径が325mmで内面にテーパ角度θとして0.05°を設けてあるものを使用した。また、穿孔プラグは穿孔径が161mmのものを使用した。
機械加工後の穿孔用ビレットの寸法は、いずれのビレットも高さHが590mm、ガイドホール径を47mmとし、本発明で規定する高さhをコンテナ底面から500mmとした。前記高さhの位置におけるコンテナ内径Dcは325.9mm(325mm+500mm×tanθ×2)であった。
得られた穿孔用ビレットに潤滑処理として、ビレットの外面および内面にガラス潤滑剤を散布した後、約1200℃まで加熱して、前記コンテナ内に装入し熱間穿孔を行った。このときの加熱された穿孔用ビレットの直径Db(加熱前のビレット直径Dbo)、穿孔用ビレットの最大径Dm(加熱前)および同下端部径d(加熱前)の測定結果を表1に示し、これらから算出される(Dc−Db)値および(Dm−d)値も同時に示した。
熱間穿孔を行った後、コンテナから取り出して、熱間穿孔後の穿孔用ビレット(すなわち、製管用ビレット)の上端部(トップ部)と下端部(ボトム部)を各々で円周方向8ヶ所での肉厚を測定し、「最大肉厚−最小肉厚」で偏肉量を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0004706505
表1に示す結果から、穿孔用ビレットの「上方」位置における、加熱された穿孔用ビレットの直径Dbとコンテナ内径Dcとのクリアランス、および穿孔用ビレットの最大径Dmと下端部径dとの差が本発明で規定する上記(2)および(3)式の条件を満足する供試No.1〜No.7材では、熱間穿孔によって得られた製管用ビレットの偏肉が抑制されることが確認された。
一方、供試No.8材は、ビレット直径Dbとコンテナ内径Dcとのクリアランスが大きくなっており、熱間穿孔によって得られた製管用ビレットの上端側で大きな偏肉が発生した。また、供試No.9材は、ビレットの最大径Dmと下端部径dとの差が大きいため、コンテナ底部でのビレットの遊びが大きくなり、熱間穿孔によって得られた製管用ビレットの下端側で大きな偏肉が発生した。
本発明の熱間穿孔用中空ビレットによれば、熱間穿孔による偏肉発生が抑制されているので、熱間押出による製管時に管表面に生じる蛇腹状の変形や内面疵の発生を防止することができる。これにより、ユージン・セジュルネ製管の熱間押出において、高い生産性でかつ良好な歩留まりを維持し押出管を効率的に製管できるとともに、優れた製品品質を確保できることから、熱間押出による製管に際し、高い信頼性を持って適用できる。
製管用ビレットの予備加工として行われる、熱間穿孔の加工工程を説明する図である。 本発明における穿孔用ビレット形状とコンテナ形状との関係を示す図である。 本発明が対象とする穿孔用ビレットの断面形状を例示する図である。
符号の説明
1:製管用ビレット、穿孔用ビレット、 2:コンテナ
3:プラグ、 4:マンドレル
1a:ガイドホール

Claims (6)

  1. 内面が上方向に開くテーパを設けたコンテナ内に装入され、上方からプラグを用いて熱間穿孔することにより熱間押出製管用ビレットに加工される熱間穿孔用中空ビレットであって、
    前記熱間穿孔用中空ビレットの下端面からの高さh(mm)が、当該熱間穿孔用中空ビレットの高さH(mm)に対し下記(1)式を満足する範囲にあり、
    前記高さh(mm)の位置における、熱間穿孔温度に加熱された前記熱間穿孔用中空ビレットの直径Db(mm)と前記コンテナ内径Dc(mm)との関係が下記(2)式を満足し、
    かつ前記熱間穿孔用中空ビレットの最大径Dm(mm)と下端部径d(mm)との関係が下記(3)式を満足することを特徴とする熱間穿孔用中空ビレット。
    2/3H≦h≦H ・・・ (1)
    Dc−Db≦4mm ・・・ (2)
    Dm−d≦5mm ・・・ (3)
  2. さらに、前記熱間穿孔用中空ビレットの最大径Dm(mm)と下端部径d(mm)との関係が下記(4)式を満足することを特徴とする請求項1に記載の熱間穿孔用中空ビレット。
    Dm−d ≧2mm ・・・ (4)
  3. 熱間穿孔用中空ビレットの下端面からの高さh(mm)が、当該熱間穿孔用中空ビレットの高さH(mm)に対し下記(1)式を満足する範囲にあり、
    前記高さh(mm)の位置における、熱間穿孔温度に加熱された前記熱間穿孔用中空ビレットの直径Db(mm)と前記コンテナ内径Dc(mm)との関係が下記(2)式を満足し、
    かつ前記熱間穿孔用中空ビレットの最大径Dm(mm)と下端部径d(mm)との関係が下記(3)式を満足する熱間穿孔用中空ビレットを用い、
    当該熱間穿孔用中空ビレットを内面が上方向に開くテーパを設けたコンテナ内に装入し、上方からプラグを用いて熱間穿孔することを特徴とする熱間押出製管に供される熱間押出製管用ビレットの製造方法。
    2/3H≦h≦H ・・・ (1)
    Dc−Db≦4mm ・・・ (2)
    Dm−d≦5mm ・・・ (3)
  4. さらに、前記熱間穿孔用中空ビレットにおける最大径Dm(mm)と下端部径d(mm)との関係が下記(4)式を満足することを特徴とする請求項3に記載の熱間押出製管に供される熱間押出製管用ビレットの製造方法。
    Dm−d ≧2mm ・・・ (4)
  5. 請求項1または2に記載の熱間穿孔用中空ビレットを熱間穿孔して得られた熱間押出製管用ビレットを用いて熱間押出製管することを特徴とする熱間押出管の製造方法。
  6. 請求項3または4に記載の製造方法で得られた熱間押出製管用ビレットを用いて熱間押出製管することを特徴とする熱間押出管の製造方法。
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