JP6350153B2 - ダイカスト用スリーブ - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム合金等の非鉄金属の溶湯をダイカスト金型に射出するためのダイカスト用スリーブに関する。
ダイカストマシンでは、スリーブに溶融金属(溶湯)を供給し、スリーブ内を摺動するプランジャチップによりスリーブと連通する金型キャビティに溶湯を射出し、溶湯を冷却固化させて製品を製造する。このため、スリーブの内面には、溶湯により溶損が生じたり、プランジャチップの摺動により摩耗が生じたりする。スリーブの内面が溶損や摩耗により損傷すると、スリーブとプランジャチップとの間に溶湯が侵入してスリーブの摺動抵抗が増大し、射出速度が低下するため製品品質が低下する。スリーブとプランジャチップとの摺動抵抗を低減したり焼付きを防止したりするために多量の潤滑剤を使用すると、溶湯へのガス巻込み等の不純物混入が起こり易くなり、製品品質の低下を招く。
スリーブ内面の溶損及び摩耗を低減するために、従来から高強度低熱膨張性金属からなる外筒内に、セラミックス製内筒を焼嵌めにより嵌着した複合構造のダイカスト用スリーブが提案されている。例えば、特開平7-246449号(特許文献1)は、Fe-Ni-Co系合金のような高強度低熱膨張性金属からなる外筒内に、窒化珪素、サイアロン等のセラミックスからなる内筒を焼嵌めしたダイカスト用スリーブにおいて、前記高強度低熱膨張性金属の20〜300℃の平均熱膨張係数が1×10-6/℃〜5×10-6/℃であり、20〜600℃の平均熱膨張係数が5×10-6/℃以上であるダイカスト用スリーブを開示している。セラミックス製内筒を有するダイカスト用スリーブは優れた射出安定性(耐溶損性、耐摩耗性、耐熱性、溶湯保温性及び耐焼付き性)を有するだけでなく、潤滑剤を低減できるので、溶湯にガス等の不純物が混入しにくくなり、製品品質の低下を抑制できる。
このダイカスト用スリーブでは、外筒と内筒の軸方向のずれを防止するために、先端部に設けられた固定リングを半径方向のボルトにより外筒に固定している。しかし、半径方向のボルトはプランジャチップの往復動により剪断力を受けるので、固定リングを外筒に固定する力が不十分である。その結果、プランジャチップの往復動により次第にスリーブと固定リング(特に先端の固定リング)との間に隙間が生じるおそれがあることが分った。スリーブと先端の固定リングとの隙間に侵入した溶融金属(たとえばアルミニウム)はプランジャチップに付着し、セラミック内筒の内面を荒らすだけでなく、スリーブの取付け不具合の原因にもなる。この問題を防止するには、スリーブと先端リングを強固に結合する必要がある。
特開平9-57417号(特許文献2)は、高強度低熱膨張性金属からなるスリーブ外筒内に、セラミックスからなるスリーブ内筒を焼嵌めし、スリーブ外筒の先端部に固定リングを設けたダイカスト用スリーブにおいて、先端固定リングが高強度低熱膨張性金属からなることを特徴とするダイカスト用スリーブを開示している。先端固定リングの内側にSKD61(熱間金型用鋼)からなるインサートリングが焼嵌めされており、先端固定リングは外筒にボルトで固定されている。しかし、ボルトによる固定ではダイカストの繰り返しによりスリーブと先端固定リングとの間に隙間が生じ、そこに溶融金属が侵入するおそれがある。
特開2002-283029号(特許文献3)は、高強度低熱膨張性金属からなる外筒の内面にセラミックスからなる内筒を焼嵌めした複合スリーブと、前記複合スリーブの先端部の外面に焼嵌めした先端リングとを具備し、前記先端リングが前記複合スリーブの先端部を包囲する冷却媒体通路を有するダイカスト用スリーブを開示している。先端リングは、外筒より熱膨張係数が大きい熱間工具鋼により形成されている。このため、先端リングは焼嵌めにより外筒に強固に固定される。しかし、ダイカスティング中にスリーブ全体の温度が上昇するので、先端リングの焼嵌めが緩んで、複合スリーブと先端リングとの間に隙間が生じるおそれがある。
特開平7-246449号公報 特開平9-57417号公報 特開2002-283029号公報
従って、本発明の目的は、外筒内にセラミックス製内筒が焼嵌めされたスリーブ部材と、スリーブ部材の先端部外面に焼嵌めされた先端リング部材とを具備するダイカスト用スリーブであって、ダイカスティングを繰り返してもスリーブ部材と先端リング部材との間に隙間が生じないダイカスト用スリーブを提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は、焼嵌め式のダイカスト用スリーブにおいて、(a)冷却手段を有する先端リング部材を、スリーブ部材の外筒を形成する金属より熱膨張係数が高い金属により形成し、(b)円環状支持体を外筒に係合させ、その円環状支持体に先端リング部材をスリーブの軸線方向にボルトで螺着し、(c) 先端リング部材、円環状支持体及びボルトを冷却することにより、ダイカスティング中にスリーブが昇温しても先端リング部材のスリーブ部材への固定が緩まず、もってスリーブ部材と先端リング部材との間に隙間が生じるのを抑制できることを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明のダイカスト用スリーブは、(a) 金属製の外筒内にセラミックス製の内筒を焼嵌めしてなるとともに、溶湯の供給口を有するスリーブ部材と、(b) 前記スリーブ部材の先端部の外面に焼嵌めされた先端リング部材と、(c) 前記先端リング部材の前記スリーブ部材への固定を強化するために、前記外筒に軸線方向に移動しないように係止された状態で前記先端リング部材に複数のボルトにより螺着された円環状支持体とを具備し、前記先端リング部材は、前記先端リング部材、前記円環状支持体及び前記ボルトをダイカスティング中に冷却できるような冷却手段を有しており、(1)前記ボルトが、前記円環状支持体に形成されたボルト挿通孔を通り、前記先端リング部材に形成された雌ねじ部に螺合、(2)前記ボルトが、前記先端リング部材に形成されたボルト挿通孔を通り、前記円環状支持体に形成された雌ねじ部に螺合、又は(3)前記ボルトが、前記円環状支持体及び前記先端リング部材に形成されたボルト挿通孔を通り、ナットに螺合し、ダイカスティング中の前記スリーブの温度範囲において、前記先端リング部材が前記外筒より大きな熱膨張係数を有するとともに、前記ボルト挿通孔が形成された前記円環状支持体及び/又は前記先端リング部材と前記ボルトとの20℃〜300℃における平均熱膨張係数の差が6×10-6/℃以内であることを特徴とする。
前記ボルト挿通孔が形成された前記円環状支持体及び/又は前記先端リング部材と前記ボルトとの20℃〜300℃における平均熱膨張係数の差は3×10-6/℃以内であるのが好ましい。
前記冷却手段は、前記先端リング部材、前記円環状支持体及び前記ボルトをダイカスティング中に100℃以下に冷却できるのが好ましい。
前記外筒は前記円環状支持体が嵌入する環状溝部を有するのが好ましい。
前記円環状支持体はドーナツ体を複数に分割した形状の複数のドーナツ片からなり、各ドーナツ片は複数のボルト挿通孔を有するのが好ましい。前記ボルト挿通孔は内面に雌ねじが形成されておらず、かつボルトの軸径より僅かに大きな内径を有するのが好ましい。
本発明の一実施形態では、少なくとも一つのドーナツ片に、前記先端リング部材を冷却するための冷媒を通すパイプが通る孔又は切欠き部が設けられている。
本発明の別の実施形態では、隣接するドーナツ片の間に前記先端リング部材を冷却するための冷媒を通すパイプが通る隙間が設けられている。
前記外筒を形成する金属の平均熱膨張係数は20℃〜300℃において1×10-6/℃〜5×10-6/℃であり、20℃〜600℃において5×10-6/℃以上であるのが好ましい。
前記外筒を形成する金属の20℃から500℃までの引張強さは590 MPa以上であるのが好ましい。
前記外筒を形成する金属は、Fe-Ni-Co系合金に1種以上の析出強化元素を添加したものであるのが好ましい。
前記内筒を形成するセラミックスは窒化珪素質焼結体であるのが好ましい。窒化珪素又はサイアロンであるのがより好ましい。
前記先端リング部材、前記円環状支持体及び前記ボルトの熱膨張係数は前記外筒の熱膨張係数より大きいのが好ましい。
前記先端リング部材及び前記円環状支持体は20℃〜300℃において11×10-6/℃〜18×10-6/℃の平均熱膨張係数を有する鋼材からなるのが好ましい。
前記ボルトは20℃〜300℃において11×10-6/℃〜18×10-6/℃の平均熱膨張係数を有する鋼材からなるのが好ましい。
本発明のダイカスト用スリーブは、金属製の外筒内にセラミックス製の内筒を焼嵌めしてなるスリーブ部材の先端部外面に先端リング部材を焼嵌めし、外筒に係止した円環状支持体にボルトを介して先端リング部材を固定する構造を有し、かつダイカスティング中のスリーブの温度範囲において、先端リング部材の熱膨張係数が外筒の熱膨張係数より大きく、ボルト挿通孔が形成された円環状支持体及び/又は先端リング部材とボルトとの20℃〜300℃における平均熱膨張係数の差が小さいので、ボルトの軸線方向熱膨張はボルト挿通孔が形成された円環状支持体及び/又は先端リング部材の軸線方向熱膨張により相殺され、ダイカスティング中に先端リング部材を外筒に固定する力は実質的に低下しない。そのため、ダイカスティング中にスリーブ部材と先端リング部材との間に隙間が生じることが抑制され、もって隙間に溶湯が入ることによる不具合を回避することができる。
円環状支持体を使用しないで、例えば図15に示すように、外筒110に一体的に形成されたフランジ部110aを有し、前記フランジ部110aに先端リング部材2を直接固定する構造とした場合、本発明における円環状支持体に相当するフランジ部110aを外筒110に一体的に形成しなければならない。外筒110の外面形状は削り出しにより形成するが、前記フランジ部110aの分だけ外径の最大径が大きくなるため、外筒の初期径もその分大きくなり、削り出し量の増大により材料費及び工程費の両方とも高くなる。特に、20℃から300℃までの平均熱膨張係数が1×10-6/℃〜5×10-6/℃であるような比較的低い熱膨張係数を有する金属を外筒に使用した場合コストの上昇が大きくなる。これに対して、本発明のダイカスト用スリーブでは、円環状支持体を外筒より低コストの金属材料により形成し、かつ外筒の初期径も円環状支持体の分だけ小さくできるので、ダイカスト用スリーブを低コスト化できる。
本発明のダイカスト用スリーブの一例を示す断面図である。 図1のダイカスト用スリーブを示す分解断面図である。 本発明のダイカスト用スリーブを構成するスリーブ部材の一例を示す分解断面図である。 窒化珪素及び外筒を形成する金属の20℃から各温度までの平均熱膨張係数を示すグラフである。 本発明のダイカスト用スリーブを構成する円環状支持体の一例を示す正面図である。 先端リング部材と円環状支持体とをボルトにより固定する前の状態を示す部分拡大断面図である。 先端リング部材と円環状支持体とをボルトにより固定した状態を示す部分拡大断面図である。 円環状支持体の別の例を示す正面図である。 円環状支持体のさらに別の例を示す正面図である。 図8(a) の円環状支持体を示す側面図である。 本発明のダイカスト用スリーブの別の一例を示す断面図である。 円環状支持体のさらに別の例を示す部分拡大断面図である。 先端リング部材に螺着されたボルトと、ボルトにより固定された円環状支持体との熱膨張挙動を示し、(a) は室温であり、(b) は円環状支持体に対してボルトの熱膨張係数が大きすぎる場合であり、(c) はボルトの熱膨張係数が円環状支持体の熱膨張係数に近い場合である。 先端リング部材と円環状支持体とをボルトにより固定した別の状態を示す部分拡大断面図である。 先端リング部材と円環状支持体とをボルト及びナットにより固定した状態を示す部分拡大断面図である。 先端リング部材と円環状支持体とをボルト及びナットにより固定した別の状態を示す部分拡大断面図である。 本発明のダイカスト用スリーブの製造方法の一例における主な工程を示すフローチャートである。 本発明のダイカスト用スリーブの製造方法の別の例における主な工程を示すフローチャートである。 本発明のダイカスト用スリーブの製造方法の一例における詳細な工程を示すフローチャートである。 先端リング部材をネジ止めするためのフランジ部を外筒に一体的に形成したダイカスト用スリーブの一例を示す断面図である。
本発明の実施形態を添付図面を参照して以下詳細に説明するが、本発明は勿論それらに限定されるものではない。各実施形態に関する説明は、特に断りがなければ他の実施形態にも適用できる。
[1] ダイカスト用スリーブの構造
(第1の態様)
図1〜図3は本発明のダイカスト用スリーブの一例を示す。図1及び以下の図において、直線A-Aはスリーブ部材1の中心軸線を示す。ダイカスト用スリーブは、外筒11内に内筒12が焼嵌めされた構造のスリーブ部材1と、外筒11の先端部11aの外面に焼嵌めされた先端リング部材2と、外筒11の後端面11bに複数のボルト31により固定された後端リング部材3と、外筒11の先端部11aに隣接する環状溝部11cに係止され、複数のボルト51により先端リング部材2のフランジ部2aに固定される円環状支持体5とからなる。前記円環状支持体5の固定は、前記円環状支持体5に形成されたボルト挿通孔を通った前記ボルト51を、前記先端リング部材に形成された雌ねじ部に螺合することによって行う。先端リング部材2はダイカストマシンのスプールブッシュ(図示せず)側に固定される。スリーブ部材1はダイカストマシンのプラテン(図示せず)側の保持部材30により支持される。ここで、用語「係止」は、一つの部材が別の部材に接触し、動きを止められる(位置が固定される)ことを意味する。
(1) スリーブ部材
円環状支持体5を係止する外筒11の環状溝部11cにおいて、先端側の垂直壁面111aの高さHは、円環状支持体5と螺合する先端リング部材2を強固に固定するために、3 mm以上であるのが好ましい。垂直壁面111aの高さHが3 mm未満であると、円環状支持体5と環状溝部11cの垂直壁面111aとの接触面積が不十分であり、先端リング部材2の強固な固定を確保できない。垂直壁面111aの高さHの上限は特に限定されないが、ダイカストマシンに適合し得る程度のスリーブ部材1の外径を維持するために10 mm以下が好ましい。
外筒11を形成する金属は、20℃から300℃までの平均熱膨張係数が1×10-6/℃〜5×10-6/℃であり、20℃から600℃までの平均熱膨張係数が5×10-6/℃以上であるのが好ましい。このような金属の一例は、Fe-Ni-Co系合金に1種以上の析出強化元素を添加したものであり、析出強化元素としてはAl、Ti、Nb等が挙げられる。このような金属の好ましい組成例は、Ni:30〜35質量%、Co:12〜17質量%、Al:0.5〜1.5質量%、Ti:1.5〜3質量%、残部Feである。Al及びTiは析出強化元素として作用する。
内筒12を形成するセラミックスとしては、耐溶損性、耐摩耗性、耐熱性、溶湯保温性及び耐焼付き性に優れた窒化珪素又はサイアロン等の窒化珪素質焼結体が好ましい。前記窒化珪素質焼結体の組織は、窒化珪素粒子又はサイアロン粒子と、希土類元素を含む粒界相により構成されている。例えば20℃から600℃までの窒化珪素の平均熱膨張係数は、図4にAで示されているように約3×10-6/℃である。
上記組成の金属の平均熱膨張係数は図4にBで示されている。550〜600℃の焼嵌め温度において、金属からなる外筒11と窒化珪素からなる内筒12の熱膨張係数の差が大きいので、焼嵌め作業を容易に行うことができる。また、ダイカスト用スリーブ部材1内にアルミニウム溶湯を注入した場合、外筒11の内周は約300℃(最高でも約350℃)まで加熱されることもあるが、その温度範囲では金属と窒化珪素との熱膨張係数の差が小さいので、外筒11と内筒12との間に円周方向及び径方向のずれが発生しない。
外筒11を形成する金属は、20℃から500℃までの引張強さが590 MPa以上であるのが好ましく、690 MPa以上であるのがより好ましい。これにより、スリーブ部材1内に注入された溶湯を射出する際の内部応力に対してセラミックス製の内筒12を十分に保護することができる。また、外筒11は室温で、15%以上(特に20%以上)の伸び、20W/m・K以下の熱伝導率、及び130 GPa以上のヤング率を有するのが好ましい。
外筒11は後端面11b付近に開口部11dを有し、内筒12は外筒11の開口部11dと整合する位置に開口部12aを有する。連通する両開口部11d,12aは溶湯の供給口7を構成する。外筒11の寸法は、例えば内径90〜180 mm、外径150〜300 mm、軸方向の全長600〜1300 mmとすることができる。
(2) 先端リング部材
外筒11の先端部11aに焼嵌めされる先端リング部材2は、ダイカストマシンとスリーブ部材1とを連結し、アルミニウム等の溶湯が通過するので、高強度であるとともに優れた耐熱性及び耐摩耗性を有する金属である必要がある。さらに前記金属としては、焼嵌めで高い締め付け力を確保するため、外筒11を形成する金属より大きな熱膨張係数のものを用いる。具体的には、先端リング部材2はSKD61のような熱間金型用鋼からなるのが好ましい。SKD61の平均熱膨張係数は、20℃〜300℃では11.7×10-6/℃であり、20℃〜600℃では12.8×10-6/℃である。一般に、先端リング部材2の平均熱膨張係数は、20℃〜300℃では11×10-6/℃〜18×10-6/℃であるのが好ましい。
先端リング部材2の外周面には、ダイカスティング中に先端リング部材2、円環状支持体5及びボルト51を冷却することができる冷却手段を有している。このような冷却手段により、ボルト51による螺合部分に締結力の低下が発生しない。前記冷却手段は、例えば、図1及び図2に示すように、冷媒(水など)を流すための冷却路2bを設ける方法が好ましい。前記冷却路2bは、先端リング部材2の外周面に形成した環状の溝部2cをリング状のカバー部材2dで覆うことによって形成することができる。前記冷却路2bに、先端リング部材2に設けられた流路2eから冷媒を供給し、先端リング部材2及びそれに隣接する円環状支持体5及びボルト51を冷却する。前記流路2eには、後述するように、円環状支持体5に設けられた穴又は切欠き部58(図8(a)及び図8(b)参照)を通り、冷媒の供給・排出用パイプが接続される(図示せず。)。冷媒には水や油などを用いることができる。
冷媒に水を用いる場合、ダイカスティング中に先端リング部材2、円環状支持体5及びボルト51を100℃以下に冷却することができる。ここで100℃以下に冷却される部分は、ボルト51と、先端リング部材2のボルト51に接する部分と、円環状支持体5のボルト51に接する部分とであれば良く、先端リング部材2及び円環状支持体5の全体が100℃以下に冷却される必要はない。前記冷却温度は、95℃以下であるのが好ましく、90℃以下であるのがより好ましい。
(3) 円環状支持体
外筒11の環状溝部11cに係止される円環状支持体5は、ドーナツ状金属部材(ドーナツ体)を分割してなる複数のドーナツ片からなるのが好ましい。図5に示す例では、円環状支持体5は2つのドーナツ片5a,5bからなる。環状溝部11cに半径方向に装着可能である限り、ドーナツ片5a,5bは同じ大きさでも異なる大きさでも良い。先端リング部材2との螺着を確実に行うために、各ドーナツ片5a,5bに複数のボルト挿通孔55を有するのが好ましい。ここで、用語「螺着」は「螺合」と同じ意味で、複数の部材をネジにより固定することを意味する。ボルト挿通孔55は、内面に雌ねじが形成されておらず、かつボルト51の軸径より僅かに大きな内径を有するのが好ましい。前記先端リング部材2のフランジ部2aには、ドーナツ片5a,5bに形成された各ボルト挿通孔55に対応する位置に、ボルト51を螺合させるための雌ねじ部26が形成されている。
図6(a) は円環状支持体5を受承する外筒11の環状溝部11cを詳細に示し、図6(b) は環状溝部11cの壁面と円環状支持体5との位置関係を詳細に示す。図6(a) に示すように、先端リング部材2のフランジ部2aの後端面21は環状溝部11cの先端側の垂直壁面111aと半径方向に一致している(軸線方向にずれていない)。そのため、円環状支持体5をボルト51により先端リング部材2に固定すると、円環状支持体5の前面52aは先端リング部材2のフランジ部2aの後端面21及び環状溝部11cの垂直壁面111aに隙間なく密着する。このとき、図6(b)に示すように、拡径部55aにボルト51の頭を埋めることによって、保持部材30(図1を参照)でスリーブ部材1を支持する際に、ボルトの頭が邪魔にならず好ましい。ボルト51は、例えば六角ボルトや六角孔付きボルトを用いることができる。
本発明の好ましい実施形態では円環状支持体5の熱膨張係数は外筒11の熱膨張係数より大きいので、両者の熱膨張差を考慮して、図6(b) に詳細に示すように、円環状支持体5が先端リング部材2と螺合したときに円環状支持体5の底面52bと環状溝部11cの底面111bとの間に僅かな隙間G1を設け、また円環状支持体5の後面52cと環状溝部11cの後端側の垂直壁面111cとの間に僅かな隙間G2を設けるのが好ましい。隙間G1は0.3〜3 mm程度で良く、隙間G2は5〜10 mm程度で良い。また、円環状支持体5と外筒11との熱膨張差を考慮して、円環状支持体5のボルト挿通孔55は内面に雌ねじが形成されておらず、かつその内径はボルト51の軸径より僅かに大きい。これにより、円環状支持体5が径方向に熱膨張しても、ボルト51に負荷がかからない。
先端リング部材2を冷却するために、先端リング部材2に冷媒(冷却水)を循環させなければならないので、冷却水の供給・排出用パイプ(図示せず)を配置する隙間を円環状支持体5に設ける。図7は、パイプを通すための隙間を設けた円環状支持体5の一例を示す。この例では、円環状支持体5を3つのドーナツ片5a,5b,5bにより構成し、隣接するドーナツ片5a,5bの間に隙間56を設ける。各隙間56に、先端リング部材2の冷却水循環用パイプ(図示せず)が通る。また図8(a) 及び図8(b) に示す例では、円環状支持体5を2つのドーナツ片57,57により構成し、各ドーナツ片57は厚肉部57a,57cと、薄肉部57bとを有し、薄肉部57bに冷却水の供給・排出用パイプが通る穴又は切欠き部58が設けられている(切欠き部は点線で示す)。穴又は切欠き部58を通過したパイプは薄肉部57bを通って半径方向外方に出る。図8(b) は薄肉部57bを貫通する穴又は切欠き部58、及び厚肉部57cを貫通するボルト挿通孔55を示す。
円環状支持体5は、ドーナツ状金属部材(ドーナツ体)を分割しないでリング状のまま使用することもできる。リング状の円環状支持体5は、例えば図9(a)に示すように、環状溝部11cを有さず凹凸のない形状の外筒11を用いて、外筒11の後端側から嵌めて先端リング部材2のフランジ部2aに固定する。また、図9(b)に示すように、複数のドーナツ片からなる第1の円環状支持体53aと、リング状の第2の円環状支持体53bとを組み合わせて、図1の円環状支持体5に代えて使用することも可能である。
円環状支持体5はボルト51により先端リング部材2に強固に固定されるので、先端リング部材2と同様に高強度である必要がある。また、ダイカスティング中に部分的に約300℃まで昇温するので、十分な耐熱性も必要である。従って、円環状支持体5もSKD61のような熱間金型用鋼により形成しても良いが、SUS304のような鋼材により形成しても良い。SUS304の平均熱膨張係数は、0℃〜316℃では17.8×10-6/℃であり(20℃〜300℃では17.6×10-6/℃)、0℃〜538℃では18.4×10-6/℃であり、0℃〜649℃では18.7×10-6/℃である。SKD61の平均熱膨張係数は、前述したとおり、20℃〜300℃では11.7×10-6/℃であり、20℃〜600℃では12.8×10-6/℃である。SKD61及びSUS304のような鋼材の平均熱膨張係数は、20℃〜300℃の温度範囲において外筒11を形成する金属の熱膨張係数より高い。一般に、円環状支持体5を形成する鋼材の平均熱膨張係数は、20℃〜300℃の温度範囲において11×10-6/℃〜18×10-6/℃であるのが好ましい。特に円環状支持体5とボルト51との熱膨張係数が同じであると、ボルト51に熱膨張による負荷がかからないので好ましい。円環状支持体5は、これらの他にSS400、S55C、S45C、S35C、S25C等によっても形成することができる。
ボルト51により先端リング部材2に固定される円環状支持体5の厚さ(軸線方向長さ)は、十分な剛性を確保するために一般に10 mm以上が好ましく、M12のボルト51を用いる場合には20 mm以上が好ましい。また、外筒11の外径が300 mm程度の大型のスリーブ部材1の場合、円環状支持体5の厚さは30〜50 mmが好ましい。
(4) ボルト
先端リング部材2と円環状支持体5とを強固に固定するボルト51は、十分に高い引張強度を有するとともに、約300℃までの温度範囲において円環状支持体5との20℃〜300℃における平均熱膨張係数の差が6×10-6/℃以内であることが必要である。そのため、ボルト51をSUS304、SUSXM7又はクロムモリブデン鋼により形成するのが好ましい。クロムモリブデン鋼の平均熱膨張係数は20℃〜300℃では11.9×10-6/℃である。ボルト51と円環状支持体5とに前記熱膨張係数の差がないと、熱膨張によるボルト51の締結力の低下がないので好ましい。円環状支持体5とボルト51との熱膨張係数の差は6×10-6/℃以内であるのが好ましく、3×10-6/℃以内であるのがより好ましく、1×10-6/℃以内であるのがさらに好ましく、同じであるのが最も好ましい。ボルト51は、これらの他にSCM440、S45C等によっても形成することができる。円環状支持体5をSUS304で形成した場合は、ボルト51はSUS304で形成するのが好ましく、円環状支持体5をSKD61で形成した場合は、ボルト51はSUS304、SCM440、SCM435、S45Cで形成するのが好ましい。SCM435の平均熱膨張係数は20℃〜300℃では11.9×10-6/℃であり、S45Cの平均熱膨張係数は20℃〜300℃では13.5×10-6/℃である。
図10は、円環状支持体5及びボルト51の熱膨張係数とボルト51の締結力との関係を概略的に示す。勿論図10では、説明のために、円環状支持体5及びボルト51の熱膨張を誇張してある。図10において、(a) は室温において先端リング部材2に螺着したボルト51が円環状支持体5に強固に固定されている状態を示す。この状態でダイカスティングによりスリーブ全体が昇温すると、先端リング部材2と円環状支持体5との接触面Rを基準として、円環状支持体5及びボルト51は軸線方向に熱膨張する。ボルト51の熱膨張係数に対して円環状支持体5の熱膨張係数が小さすぎる場合(円環状支持体5の20℃〜300℃における熱膨張係数に対して、ボルト51の20℃〜300℃における平均熱膨張係数が6×10-6/℃超の場合)、(b) に示すようにボルト51の方が円環状支持体5より多く伸びるので、ボルト挿通孔55の拡径部55aとボルト51の頭部51aとの間に隙間が生じ、ボルト51の締結力が低下する。
また図示はしていないが、ボルト51の熱膨張係数に対して円環状支持体5の熱膨張係数が大きすぎる場合(ボルト51の20℃〜300℃における熱膨張係数に対して、円環状支持体5の20℃〜300℃における平均熱膨張係数が6×10-6/℃超の場合)、円環状支持体5の方がボルト51より多く伸びるので、ボルト51にボルトの材料の耐力を超えた過度の引張り応力がかかってしまう場合がある。
これに対して、先端リング部材、円環状支持体及びボルト51を100℃以下に冷却し、かつボルト51の熱膨張係数が円環状支持体5の熱膨張係数に近い場合(20℃〜300℃における平均熱膨張係数の差が6×10-6/℃以内の場合)、(c) に示すようにボルト51及び円環状支持体5が同程度に熱膨張するので、ボルト51の締結力が低下することはない。
例えば、ボルト51の20℃〜300℃における平均熱膨張係数が円環状支持体5の20℃〜300℃における平均熱膨張係数よりも大きい(20℃〜300℃における平均熱膨張係数の差が6×10-6/℃)場合、20℃から100℃まで温度が上昇したときの長さ40 mmのボルト51(SUS304製の場合、20℃〜100℃における平均熱膨張係数16.8×10-6/℃)と円環状支持体5(SKD61製の場合、20℃〜100℃における平均熱膨張係数11.0×10-6/℃)との熱膨張の差は、0.023 mmと見積もることができるが、この程度の膨張であればボルト51(を十分に締結することによって吸収することが可能である。ここで、十分に締結するとは、熱膨張の差Δl'よりも締結による伸びΔlが大きい状態を指す。熱膨張の差Δl'は、ボルトの熱膨張量から円環状支持体の熱膨張量を引いた差に相当する(ボルトの熱膨張量>円環状支持体の熱膨張量の場合)。締結による伸びΔlは、ボルトを締め付けた際に発生する伸びに相当する。なお、締め付けた際にボルトに発生する引張り応力は、ボルトの材料の0.5%耐力よりも小さくする。
円環状支持体5とボルト51との熱膨張の差をできるだけ小さくするためには、冷却を行うことが最も効果がある。例えば、前述したように、ボルト51の20℃〜300℃における平均熱膨張係数が円環状支持体5の20℃〜300℃における平均熱膨張係数よりも6×10-6/℃大きい場合、20℃から100℃まで温度が上昇したときの長さ40 mmのボルト51と円環状支持体5との熱膨張の差は0.023 mmとなるが、この熱膨張の差はボルト51(例えば、SUS304製の場合)に100 MPaの引張り応力をかけることによって吸収できると見積もることができる。
このように、ボルト51の熱膨張が円環状支持体5の熱膨張により相殺されるようにするには、ボルト51の熱膨張係数は円環状支持体5の熱膨張係数に3×10-6/℃以内の差で近いのが好ましく、1×10-6/℃以内の差で近いのがより好ましい。ボルト51及び円環状支持体5は同じ熱膨張係数を有するのが特に好ましい。
ボルト51は、先端リング部材2と円環状支持体5とを強固に固定するために、 12 mm以上の軸径Dを有するのが好ましく、実用的には12〜20 mmの軸径を有するのがより好ましい。ボルト51のねじ部の長さは、一般に軸径Dの1.5倍以上であれば良い。雌ねじ部26の長さは、メートルネジのボルトの有効径×1.5以上であるのが好ましい。
(第2の態様)
第1の態様は、円環状支持体5と先端リング部材2との固定を、円環状支持体5に形成されたボルト挿通孔を通ったボルト51を、先端リング部材2に形成された雌ねじ部に螺合することによって行う例である。これに対して、第2の態様は、円環状支持体5と先端リング部材2との固定を、先端リング部材2に形成されたボルト挿通孔を通ったボルト51を、円環状支持体5に形成された雌ねじ部に螺合することによって行う以外は第1の態様と同様である。従って、第1の態様と異なる点についてのみ以下に説明する。
第2の態様において、図11に示すように、先端リング部材2のフランジ部2aに複数のボルト挿通孔25を有し、一方、円環状支持体5には、前記先端リング部材2のフランジ部2aに形成されたボルト挿通孔25に対応する位置に、ボルト21を螺合させるための雌ねじ部56が形成されている。ボルト挿通孔25は、内面に雌ねじが形成されておらず、かつボルト21の軸径より僅かに大きな内径を有するのが好ましい。先端リング部材2、円環状支持体5及びボルト21の材質、物性等については第1の実施態様における先端リング部材2、円環状支持体5及びボルト51の材質、物性等と同様である。
先端リング部材2とボルト21との熱膨張係数の差は6×10-6/℃以内であり、3×10-6/℃以内であるのが好ましく、同じであるのが最も好ましい。ボルト21と先端リング部材2とに20℃〜300℃における平均熱膨張係数の差がないと、熱膨張によるボルト21の締結力の低下がないので好ましい。先端リング部材2及びボルト21の熱膨張係数とボルト21の締結力との関係は、前述した円環状支持体5及びボルト51の熱膨張係数とボルト51の締結力との関係と同様である。雌ねじ部56の長さは、メートルネジのボルトの有効径×1.5以上であるのが好ましい。
(第3の態様)
第3の態様は、円環状支持体5と先端リング部材2との固定を、円環状支持体5及び先端リング部材2に形成されたボルト挿通孔を通ったボルト61を、ナット62に螺合することによって行う以外は第1の態様と同様である。従って、第1の態様と異なる点についてのみ以下に説明する。
第3の態様において、図12(a)及び図12(b)に示すように、先端リング部材2のフランジ部2aに複数のボルト挿通孔25を有し、一方、円環状支持体5には、前記先端リング部材2のフランジ部2aに形成されたボルト挿通孔25に対応する位置に、ボルト挿通孔55が形成されている。ボルト挿通孔25及びボルト挿通孔55は、内面に雌ねじが形成されておらず、かつボルト61の軸径より僅かに大きな内径を有するのが好ましい。先端リング部材2、円環状支持体5及びボルト61の材質、物性等についてはそれぞれ第1の実施態様における先端リング部材2、円環状支持体5及びボルト51の材質、物性等と同様であり、ナット62の材質、物性等はボルト61の材質、物性等と同様であるのが好ましい。
ボルト及びナットを用いる際にスプリングワッシャーを併用すると締結力の保持に寄与する(緩みが抑制される)ので好ましい。さらに、ナットをダブルナットにすると、締結力の保持にさらに寄与するのでより好ましい。なお、前記スプリングワッシャーの併用は、第1の態様及び第2の態様においても適用できる。
先端リング部材2とボルト61との熱膨張係数の差、及び円環状支持体5とボルト61との熱膨張係数の差はともに6×10-6/℃以内であり、3×10-6/℃以内であるのがより好ましく、同じであるのが最も好ましい。ボルト61と先端リング部材2と、及びボルト61と円環状支持体5とに20℃〜300℃における平均熱膨張係数の差がないと、熱膨張によるボルト61の締結力の低下がないので好ましい。先端リング部材2、円環状支持体5及びボルト61の熱膨張係数とボルト61の締結力との関係は、前述した円環状支持体5及びボルト51の熱膨張係数とボルト51の締結力との関係と同様である。
[2] ダイカスト用スリーブの製造方法
本発明のダイカスト用スリーブの製造方法の一例を以下詳細に説明するが、勿論他の方法でも製造可能である。なおこの例では、本発明のダイカスト用スリーブの第1の態様について述べるが、第2の態様及び第3の態様についても同様にして製造することができる。
図13(a) は本発明のダイカスト用スリーブの製造方法の一例における主な工程を示す。まず、外筒11の外面に環状溝部11cを形成し(工程S1)、外筒11内に内筒12を焼嵌めする(工程S2)。この時の焼嵌め温度は550〜600℃が好ましい。次に外筒11の先端部11aの外面に先端リング部材2を焼嵌めする(工程S3)。先端リング部材2の焼嵌め温度は300〜500℃が好ましい。さらに、外筒11の環状溝部11cに、図5に示すように複数のドーナツ片5a,5bからなる円環状支持体5を係合させ、各ドーナツ片5a,5bを複数のボルト51により先端リング部材2に固定する。なお、図13(b) に示すように、工程S1と工程S2を逆にしても良い。
図14は本発明のダイカスト用スリーブの製造方法の詳細な工程を示す。外筒11の外面に環状溝部11cを形成し(工程S1)、外筒11内に内筒12を焼嵌めした(工程S2)後、内筒12の両端面を加工し、外筒11と内筒12の端面を一致させる(工程S3)。次に、外筒11の先端部11aの外面に先端リング部材2を焼嵌めし(工程S4)、先端リング部材2の先端面を正確な寸法に加工する(工程S5)。
図6(a) に示すように、先端リング部材2の後端面21と外筒11の環状溝部11cの先端側垂直壁面111aとを同一平面状に加工する(工程S6)。外筒11の環状溝部11cに複数のドーナツ片5a,5bからなる円環状支持体5を係合させた後、各ドーナツ片5a,5bを複数のボルト51により先端リング部材2に固定する(工程S7)。内筒11と先端リング部材2の内面が同一円筒状となるように、両者の内面を加工する(工程S8)。最後に、後端リング部材3を複数のボルト31により外筒11に取り付ける(工程S9)。
1・・・スリーブ部材
11・・・外筒
11a・・・先端部
11b・・・後端面
11c・・・環状溝部
11d・・・開口部
12・・・内筒
12a・・・開口部
2・・・先端リング部材
2a・・・フランジ部
2b・・・冷却路
2c・・・溝部
2d・・・カバー部材
2e・・・流路
21・・・ボルト
25・・・ボルト挿通孔
25a・・・拡径部
26・・・雌ねじ部
3・・・後端リング部材
31・・・ボルト
5・・・円環状支持体
5a,5b・・・ドーナツ片
51・・・ボルト
53a・・・第1の円環状支持体
53b・・・第2の円環状支持体
55・・・ボルト挿通孔
55a・・・拡径部
56・・・雌ねじ部
61・・・ボルト
62・・・ナット
7・・・溶湯の供給口
110・・・外筒
110a・・・フランジ部

Claims (14)

  1. (a) 金属製の外筒内にセラミックス製の内筒を焼嵌めしてなるとともに、溶湯の供給口を有するスリーブ部材と、(b) 前記スリーブ部材の先端部の外面に焼嵌めされた先端リング部材と、(c) 前記先端リング部材の前記スリーブ部材への固定を強化するために、前記外筒に軸線方向に移動しないように係止された状態で前記先端リング部材に複数のボルトにより螺着された円環状支持体とを具備するダイカスト用スリーブであって、
    前記先端リング部材は、前記先端リング部材、前記円環状支持体及び前記ボルトをダイカスティング中に冷却できるような冷却手段を有しており、
    (1)前記ボルトが、前記円環状支持体に形成されたボルト挿通孔を通り、前記先端リング部材に形成された雌ねじ部に螺合、
    (2)前記ボルトが、前記先端リング部材に形成されたボルト挿通孔を通り、前記円環状支持体に形成された雌ねじ部に螺合、又は
    (3)前記ボルトが、前記円環状支持体及び前記先端リング部材に形成されたボルト挿通孔を通り、ナットに螺合し、
    ダイカスティング中の前記スリーブの温度範囲において、前記先端リング部材が前記外筒より大きな熱膨張係数を有するとともに、前記ボルト挿通孔が形成された前記円環状支持体及び/又は前記先端リング部材と前記ボルトとの20℃〜300℃における平均熱膨張係数の差が6×10-6/℃以内であることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  2. 請求項1に記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記ボルト挿通孔が形成された前記円環状支持体及び/又は前記先端リング部材と前記ボルトとの20℃〜300℃における平均熱膨張係数の差が3×10-6/℃以内であることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  3. 請求項1又は2に記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記冷却手段は、前記先端リング部材、前記円環状支持体及び前記ボルトをダイカスティング中に100℃以下に冷却できることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記外筒は前記円環状支持体が嵌入する環状溝部を有することを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  5. 請求項4に記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記円環状支持体がドーナツ体を複数に分割した形状の複数のドーナツ片からなり、各ドーナツ片が複数のボルト挿通孔を有することを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  6. 請求項4又は5に記載のダイカスト用スリーブにおいて、少なくとも一つのドーナツ片に、前記先端リング部材を冷却するための冷媒を通すパイプが通る孔又は切欠き部が設けられていることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  7. 請求項4又は5に記載のダイカスト用スリーブにおいて、隣接するドーナツ片の間に前記先端リング部材を冷却するための冷媒を通すパイプが通る隙間が設けられていることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記外筒を形成する金属の平均熱膨張係数が20℃〜300℃において1×10-6/℃〜5×10-6/℃であり、20℃〜600℃において5×10-6/℃以上であることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  9. 請求項8に記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記外筒を形成する金属の20℃から500℃までの引張強さが590 MPa以上であることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記外筒を形成する金属が、Fe-Ni-Co系合金に一種以上の析出強化元素を添加したものであることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記内筒を形成するセラミックスが窒化珪素質焼結体であることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記先端リング部材、前記円環状支持体及び前記ボルトの熱膨張係数が前記外筒の熱膨張係数より大きいことを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記先端リング部材及び前記円環状支持体が20℃〜300℃において11×10-6/℃〜18×10-6/℃の平均熱膨張係数を有する鋼材からなることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のダイカスト用スリーブにおいて、前記ボルトが20℃〜300℃において11×10-6/℃〜18×10-6/℃の平均熱膨張係数を有する鋼材からなることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
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