以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここでは、本発明にかかる遊技機の適例としてのパチンコ遊技機について説明を行う。
図1から4に示すように、本実施形態の遊技機100は、矩形枠状に構成された本体枠110を備えている。この矩形枠状の本体枠110は、図3に示すように、前面側から見て右側の一辺が金属製とされ、その他の辺は木製となっている。これによって、前面側から見て右側の一辺においては、強度を保ったまま厚みを薄くできるようになっている。また、この金属製の一辺の内周には、係合手段をなす施錠装置160により前面枠120を本体枠110に対して回動できない状態に施錠するための被係合部材111が設けられている。このような本体枠110に、矩形枠状の前面枠120が前面側から見て左側の側部が該本体枠110に対して前方向へ扉状に回動可能となるように軸着されている。
図1,2に示すように、前面枠120は、当該前面枠120に備えられる各種部材等の取付用のベースとなる前面枠本体130と、当該前面枠本体130に対して、その前面側に回動可能に軸支されたクリア部材保持枠140と、クリア部材保持枠の下側に取り付けられた発射操作を行うための発射操作ユニット150とを有する。
前面枠本体130は、矩形枠状の本体枠110の前面側をちょうど覆うような概略矩形板状に構成され、裏面側から見た右側の側部が本体枠110に対して前方向へ扉状に回動可能となるように軸着されている。また、図4に示すように、このように軸着される前面枠本体130の開放端側となる裏面側から見た左側の側部には施錠装置160が設けられている。また、前面枠本体130の中央から上端部にわたる部分には、図示しない遊技盤を嵌め込んで収容するための方形状の開口部131が形成されている。そして、前面枠本体130に収容された遊技盤の前面が前面枠本体130の開口部から前側に臨むようになっている。すなわち遊技盤は、前面枠本体130に嵌め込まれることで前面枠120に取り付けられている。
この前面枠本体130の遊技盤が嵌め込まれる開口部131、すなわち、前面枠本体130の中央より少し下側から上端部にわたる部分には、図2に示すように、前面枠本体130の前側を覆うようにクリア部材保持枠140が配置されている。そして、遊技盤の前面とクリア部材保持枠140に嵌め込まれたクリア部材としてのガラス板141との間であって、図示しない遊技盤の前面に設けられたガイドレールに囲まれた部分が、遊技球が発射されて流下する遊技領域とされ、この遊技領域内に遊技球(打球;遊技媒体)を発射して遊技を行うようになっている。すなわち、クリア部材保持枠140において、遊技機100の前側からガラス板141を介して遊技盤の前面側の少なくとも遊技領域の部分が視認可能となっている。
図1,2に示すように、クリア部材保持枠140は、一方の側部(遊技機100の前面側から見て左側の側部)が前面枠本体130の一方の側部に回動可能に軸支されて扉状に開閉自在とされ、クリア部材保持枠140を開くことにより、遊技盤の前面側の遊技領域の前側を開放可能となっている。また、クリア部材保持枠140の前面であって、ガラス板141が固定されて遊技領域を視認可能とする部分の周囲には、枠装飾装置としての装飾ランプ・LED144、音声を出力するスピーカ145,145などが設けられている。また、前面枠本体130に軸着されたクリア部材保持枠140の開放端側となる前面側から見て右側の端部の前面には、施錠装置160の錠175の前端が配され、この前端には鍵穴が形成されている。
また、前面枠本体130の前面側のクリア部材保持枠140の下側には、発射操作ユニット150が取り付けられている。発射操作ユニット150は、左右側部のうちの一側部となる左側部を前面枠本体130に軸着されて、左右方向に回動して開閉自在な開閉パネル151とその下の下部パネル152とからなる。開閉パネル151は、排出された遊技球を貯留するとともに、遊技球を発射する発射装置に遊技球を送る上皿153を有している。この上皿153の周囲には、遊技者が操作可能な演出用ボタン(図示略)が設けられている。また、開閉パネル151の下側の下部パネル152には、上皿153に収容しきれない遊技球を収容する下皿154が設けられている。また灰皿155や、遊技領域に向けての遊技球の発射操作を行うとともに、発射勢を調節するための操作ハンドル156、音声を出力するスピーカ157などが設けられている。
また、図2に示すように、前面枠本体130の裏面側には、遊技機100としての諸機能を実現するための機構として、例えば、島設備より供給される遊技球を貯留する貯留タンク(図示略)や、球貸要求に応じた球排出や賞球排出を行う排出装置102や、遊技盤に設けられた各種入賞口へ入賞して回収された遊技球や何れの入賞口にも入賞せずにアウト口から回収された遊技球を機外の回収球搬送路へ導く遊技球回収機構などが設けられている。また、球排出や打球の発射制御を行う排出・発射制御装置103、各部へ所定の電源を供給する電源装置104等が設けられている。なお、遊技盤に設けた遊技装置の動作制御などを行うことで遊技の進行を統括的に制御する遊技制御装置は、遊技盤の裏面に取り付けられている。
図2,4に示すように、前面枠本体130の裏面の開放端側に取り付けられる施錠装置160は、図5から8に示すように、前面枠本体130に固定されるベース部材161と、該ベース部材161に取り付けられた機構部170、不正防止カバー190とを備える。この施錠装置160は、本体枠110に対する前面枠120の施錠、解錠や、前面枠本体130に対するクリア部材保持枠140の施錠、解錠を行うためのものである。
図7に示すように、ベース部材161は、前壁部161aと、該前壁部161aの側端に垂直に形成された側壁部161bとを備えるL字状の部材で、機構部170や不正防止カバー190を所定の位置に取り付けるための位置決め部や固定部などが多数形成されている。このL字状のベース部材161は、前壁部161aにおける、側壁部161bが延出する面の裏面が左右方向に沿うように前面枠本体130の裏面に密着するように配されて、側壁部161bが前壁部161aにおける前面枠本体130の中央側の側端から、前後方向に沿って後方に延出するようになっている。また、前壁部161aと側壁部161bの接合部分が上下方向に沿って配されるようになっており、前壁部161a及び側壁部161bは垂直に配されるようになっている。
機構部170は、該機構部170をベース部材161に固定する上部支持部材171、下部支持部材172と、本体枠110に対して前面枠120を施錠する前面枠施錠部180と、前面枠本体130に対してクリア部材保持枠140を施錠するクリア部材保持枠施錠部174と、前面枠施錠部180及びクリア部材保持枠施錠部174の施錠を解除するための錠175とを備える。
上部支持部材171は機構部170の上端部に設けられており、前壁部161aの裏面に固定する固定部171aを備えるとともに、側壁部161bに沿って配されて後述する上係合部材181を支持する支持部171bを備える。また、下部支持部材172は、機構部170の下端部に設けられており、前壁部161aの裏面に固定する固定部172aを備えるとともに、側壁部161bに沿って配されて後述する下係合部材182を支持する支持部172bを備える。
前面枠施錠部180は、本体枠110に設けられた被係合部材111に係合する上係合部材181及び下係合部材182と、上係合部材181及び下係合部材182を連動して解錠動作するための連動部183とを備える。上係合部材181は、本体枠110に設けられた被係合部材111に係合する切欠き状の係合凹部181aと、上部支持部材171により回動可能に軸支される軸支部181b、該軸支部181bを軸支する軸と平行な軸を介して連動部183の上側部分をなす上連動部184の上端と回動可能に接続される接続部181cとを備える。
図8に示すように、この上係合部材181は、上部支持部材171がベース部材161に固定された状態では、ベース部材161の側壁部161bに沿って前方から軸支部181b、接続部181c、係合凹部181aの順に並ぶように配されている。そして、接続部181cに接続した上連動部184を動作することで、軸支部181bを中心に上下に回動可能となっている。この上係合部材181に形成された係合凹部181aは、上係合部材181の一側端である下端部に、被係合部材111を受け入れる受入開口部181dが開口する凹部で、側壁部161bの後端よりも後方に位置するように配される。このような係合凹部181aを備えることで上係合部材181は、本体枠110に設けられた被係合部材111に対して上側から係合可能となっている。なお、被係合部材111のうち、上係合部材181が係合する被係合部材111が上被係合部材111aをなす。
また、軸支部181bを中心に上下に回動可能となっている上係合部材181の回動範囲は、係合凹部181aが上被係合部材111aと係合可能な係合可能位置と、係合凹部181aが上被係合部材111aと係合不能な非係合位置との間とされている。係合可能位置は、上下の回動範囲における下端の位置であって、係合凹部181aの受入開口部181dが、上被係合部材111aの上端部よりも下側となるような位置である。また、非係合位置は、上下の回動範囲における上端の位置であって、係合凹部181aの受入開口部181dにおける上被係合部材111aに近い側の端部である後端181eが、上被係合部材111aの上端部よりも上側となるような位置である。
また、上係合部材181の後端部には、前方に向かって下る傾斜面である後端傾斜部181fが形成されている。この後端傾斜部181fの上端(後端)は、上係合部材181が係合可能位置にある状態で、上被係合部材111aの上端よりも上側に位置し、後端傾斜部181fの下端(前端)は受入開口部181dの後端181eに接続するように形成されている。この後端傾斜部181fによって、後述するように、前面枠120の閉鎖時において受入開口部181dの後端181eが上被係合部材111aを乗り越えるように案内され、上係合部材181と上被係合部材111aとが係合するようになる。
また、下係合部材182は上係合部材181と同様の構成を有しており、本体枠110に設けられた被係合部材111に係合する切欠き状の係合凹部182aと、下部支持部材172により回動可能に軸支される軸支部182b、該軸支部182bを軸支する軸と平行な軸を介して連動部183の下側部分をなす下連動部186の下端と回動可能に接続される接続部182cとを備える。
この下係合部材182は、下部支持部材172がベース部材161に固定された状態では、ベース部材161の側壁部161bに沿って前方から軸支部182b、接続部182c、係合凹部182aの順に並ぶように配されている。そして、接続部182cに接続した下連動部186を動作することで、軸支部182bを中心に上下に回動可能となっている。この下係合部材182に形成された係合凹部182aは、下係合部材182の一側端である下端部に、被係合部材111を受け入れる受入開口部182dが開口する凹部で、側壁部161bの後端よりも後方に位置するように配される。このような係合凹部182aを備えることで下係合部材182は、本体枠110に設けられた被係合部材111に対して上側から係合可能となっている。なお、被係合部材111のうち、下係合部材182が係合する被係合部材111が下被係合部材111bをなす。
また、軸支部182bを中心に上下に回動可能となっている下係合部材182の回動範囲は、係合凹部182aが下被係合部材111bと係合可能な係合可能位置と、係合凹部182aが下被係合部材111bと係合不能な非係合位置との間とされている。係合可能位置は、上下の回動範囲における下端の位置であって、係合凹部182aの受入開口部182dが、下被係合部材111bの上端部よりも下側となるような位置である。また、非係合位置は、上下の回動範囲における上端の位置であって、係合凹部182aの受入開口部182dにおける下被係合部材111bに近い側の端部である後端182eが、下被係合部材111bの上端部よりも上側となるような位置である。
また、下係合部材182の後端部には、前方に向かって下る傾斜面182fが形成されている。この傾斜面182fの上端(後端)は、下係合部材182が係合可能位置にある状態で、下被係合部材111bの上端よりも上側に位置し、傾斜面182fの下端(前端)は受入開口部182dの後端182eに接続するように形成されている。この傾斜面182fによって、後述するように、前面枠120の閉鎖時において受入開口部182dの後端182eが下被係合部材111bを乗り越えるように案内され、下係合部材182と下被係合部材111bとが係合するようになる。
また、上係合部材181に形成された係合凹部181aの受入開口部181dの後端181eは、下係合部材182に形成された係合凹部182aの受入開口部182dの後端181eよりも(図8に示すaの距離の分だけ)後方に位置するようになっている。これにより、上係合部材181が下係合部材182よりも先に被係合部材111に係合し、前面枠120の不完全な閉鎖を防止することができる。なお、詳細については後述する。
図7に示すように、連動部183は、上部に配される上連動部184と、該上連動部184の下部に接続する中連動部185と、該中連動部185の下部に接続する下連動部186とからなり、側壁部161bに沿うように上下方向に沿って配されている。
上連動部184は、上端が上述したように上係合部材181の接続部181cと軸を介して接続している。また、下端には上下に延在する長孔184aが形成されており、この長孔184aに中連動部185側に形成された接続軸185aを挿通することで中連動部185とスライド可能に接続されている。この上連動部184と中連動部185の接続部は、上係合部材181が係合可能位置にある状態では、長孔184aの上端に接続軸185aが位置するようになっている。よって、この状態から、中連動部185を上方に動作することで、上連動部184を上方に動作でき、上係合部材181を非係合位置に回動できるようになっている。
また、上連動部184の後端部には、本体枠110に設けられた被係合部材111に対して上側から係合可能な板状の係合部184bが形成されている。なお、被係合部材111のうち、係合部184bが係合する被係合部材111が中被係合部材111cをなす。この係合部184bは上連動部184を動作することで上下動するものであり、その移動範囲は、係合部184bが中被係合部材111cと係合可能な係合可能位置と、係合部184bが中被係合部材111cと係合不能な非係合位置との間とされている。係合可能位置は、上下の移動範囲における下端の位置であって、係合部184bの下端が中被係合部材111cの上端部よりも下側となるような位置である。また、非係合位置は、上下の移動範囲における上端の位置であって、係合部184bの下端が中被係合部材111cの上端部よりも上側となるような位置である。よって、中連動部185を上方に動作して上連動部184を上方に動作することで、係合部184bが非係合位置に移動するようになっている。
下連動部186は、下端が上述したように下係合部材182の接続部182cと軸を介して接続している。また、上端には上下に延在する長孔186aが形成されており、この長孔186aに中連動部185側に形成された接続軸185bを挿通することで中連動部185とスライド可能に接続されている。この下連動部186と中連動部185の接続部は、下係合部材182が係合可能位置にある状態では、長孔186aの上端に接続軸185bが位置するようになっている。よって、この状態から、中連動部185を上方に動作することで、下連動部186を上方に動作でき、下係合部材182を非係合位置に回動できるようになっている。
中連動部185は上述したように、上端に上連動部184と接続するための接続軸185aが延在方向に対して垂直に形成され、下端に下連動部186と接続するための接続軸185bが延在方向に対して垂直に形成されている。また、中連動部185における後述の錠175に隣接して配される位置には、錠175のカム175dに形成された第1係合部と係合する第1カム係合部185cが形成されている。
このような連動部183は、外部から力が加わっていない状態では、上係合部材181、下係合部材182、上連動部184の係合部184bが、本体枠110に設けられた被係合部材111に係合可能な係合可能位置に位置するように、図示しない付勢手段により付勢されている。そして、この状態から後述する錠175のカム175dに形成された第1係合部が、第1カム係合部185cを上方に押し上げることで中連動部185が上方へ動作し、これに伴い中連動部185に接続した上連動部184と下連動部186も上方に動作する。そして、上係合部材181、下係合部材182、上連動部184の係合部184bが、本体枠110に設けられた被係合部材111と係合不能な非係合位置に移動する。これにより、本体枠110に設けられた被係合部材111との係合が解除され、前面枠120を本体枠110に対して開放することができるようになっている。
なお、上連動部184と中連動部185の接続部187は、上係合部材181が被係合部材111に係合している状態では長孔184aの上端に接続軸185aが位置しており、この状態で上係合部材181を非係合位置に回動(上連動部184を上方へ移動)しても、接続軸185aに対して長孔184aが上方に移動するため上連動部184、係合部184bのみが非係合位置に移動することとなる。また、下連動部186と中連動部185の接続部188も、下係合部材182が被係合部材111に係合している状態では長孔186aの上端に接続軸185bが位置しており、この状態で下係合部材182を非係合位置に回動(下連動部186を上方へ移動)しても、接続軸185bに対して長孔186aが上方に移動するため下連動部186のみが非係合位置に移動することとなる。
つまり、中連動部185を上方に動作した場合のみ上連動部184と下連動部186が同時に上方へ移動して、上係合部材181、下係合部材182を非係合位置に回動する。これにより、上係合部材181、下係合部材182、上連動部184の係合部184bと、本体枠110に設けられた被係合部材111との係合が同時に解除され、前面枠120を本体枠110に対して開放することができるようになっている。よって、不正に上連動部184や上係合部材181が操作されても、上係合部材181と、上連動部184に形成された係合部184bの係合が解除されるが、下係合部材182の係合は解除されず、前面枠120を本体枠110に対して開放することができないようになっている。同様に、不正に下連動部186や下係合部材182が操作されても、下係合部材182の係合が解除されるが、上係合部材181と、上連動部184に形成された係合部184bの係合は解除されず、前面枠120を本体枠110に対して開放することができないようになっている。
また、後述するように、本体枠110に対して開放した状態の前面枠120を、本体枠110方向に押し込めば、上係合部材181、下係合部材182、上連動部184の係合部184bが、本体枠110に設けられた被係合部材111と係合し、自動的に施錠された状態となる。このとき、接続部187,188を備えることで、上連動部184と下連動部186が独立して動作可能であるので、上係合部材181および係合部184bと、下係合部材182と、が独立して(異なるタイミングで)被係合部材111と係合可能となる。
すなわち、連動部183が、錠175と複数の係合部材(上係合部材181、下係合部材182)とを接続するように配され、錠175の解錠操作に応じて全ての係合部材を非係合位置に回動させる解錠伝達機構をなす。また、上連動部184と中連動部185の接続部187、下連動部186と中連動部185の接続部188が、一の係合部材が操作されて非係合位置へ回動されても、他の係合部材が連動して非係合位置に回動しないようにする伝達遮断機構をなす。
クリア部材保持枠施錠部174は、連動部183に沿って上下に延在するように配される本体部174aと、該本体部174aに形成され、クリア部材保持枠140に設けられた被係合部に係合するクリア部材保持枠係止部174bと、を備える。
クリア部材保持枠係止部174bは、本体部174aの前端部から前方へ延出するように形成されており、前壁部161aに形成されたスリット状の貫通孔162を貫通して、前面枠本体130の前方へ延出するように配されるようになっている。そして、前面枠本体130の前方へ延出する部分には、クリア部材保持枠140に設けられた被係合部(図示略)に対して下側から係合するように上方に開口する切欠き状の係合部174cが形成されている。また、本体部174aにおける後述の錠175に隣接して配される位置であって、連動部183の第1カム係合部185cに隣接して配される部分には、錠175のカム175dに形成された第2係合部と係合する第2カム係合部174dが形成されている。
このようなクリア部材保持枠施錠部174は、外部から力が加わっていない状態では、クリア部材保持枠係止部174bがクリア部材保持枠140に設けられた被係合部に係合可能な状態となるように、図示しない付勢手段により付勢されている。そして、この状態から、後述する錠175のカム175dに形成された第2係合部が、第2カム係合部174dを下方に押し下げることで下方に動作し、クリア部材保持枠係止部174bとクリア部材保持枠140に設けられた被係合部との係合が解除され、クリア部材保持枠140を前面枠本体130に対して開放できるようになっている。
また、本体部174aの後端部であって上下方向の中央部分には、クリア部材保持枠開放操作部174eが形成されている。このクリア部材保持枠開放操作部174eは、中連動部185の後端部に形成された切欠き状の配設部185dに配設され、前面枠120の裏面側からクリア部材保持枠施錠部174を操作可能とするもので、本体枠110に対し前面枠120を開放した状態においてクリア部材保持枠140を前面枠120に対して開放する際に使用する。また、このクリア部材保持枠開放操作部174eに対して、前面枠本体130の開放端側となる側方と上下を覆うようにカバー部材176が設けられている。さらに、クリア部材保持枠開放操作部174eの後方には、後述する中央部不正防止カバー192が取り付けられるようになっており、クリア部材保持枠開放操作部174eに対する不正な操作を防止するようになっている。
錠175は、前端に鍵穴が形成されたシリンダ部175aと、前壁部161aに固定するための固定部175cと、前面枠施錠部180の第1カム係合部185c及びクリア部材保持枠施錠部174の第2カム係合部174dと係合するカム175dと、解錠可能な鍵を変更するためのリセット操作部材175eとを備える。
シリンダ部175aは、前壁部161aに形成されたシリンダ部挿通部163に裏面側から挿通されて前面枠本体130の前方へ延出し、前端が前面枠120の前端に位置するようになっている。また、シリンダ部175aの後端部に形成された固定部175cがシリンダ部挿通部163の周縁に係止されることで、シリンダ部175aが所定の前後位置に配されるようになっている。そして、この固定部175cを前壁部161aの裏面に固定することで錠175がベース部材161に固定されるようになっている。
また、シリンダ部175aの前端には鍵穴が形成されており、予め設定された鍵を鍵穴に挿入して回すことで、錠175の裏面に設けられたカム175dが同じ方向へ回るようになっている。このカム175dは、前面枠施錠部180及びクリア部材保持枠施錠部174が配された側である側壁部161b側に延出するように形成されている。上述したように、前面枠施錠部180及びクリア部材保持枠施錠部174は重なって配されており、カム175dには延出幅が短い第1係合部と、延出幅の長い第2係合部が形成されている。そして、第1係合部は錠175側から見て手前側に位置する前面枠施錠部180の第1カム係合部185cに係合可能であり、第2係合部は奥側に位置するクリア部材保持枠施錠部174の第2カム係合部174dに係合可能となっている。
第1係合部は、鍵穴に挿入した鍵を前面側から見て時計回り方向に回すことで上方へ回動し、前面枠施錠部180に形成された第1カム係合部185cの上側の周縁に係合して中連動部185を上方に押し上げるようになっている。このとき、第2係合部は他の部分と係合しないようになっている。これにより、本体枠110に対して前面枠120を開放可能となる。また、第2係合部は、鍵穴に挿入した鍵を前面側から見て反時計回り方向に回すことで下方へ回動し、クリア部材保持枠施錠部174に形成された第2カム係合部174dの下側の周縁に係合して本体部174aを下方に押し下げるようになっている。このとき、第1係合部は他の部分と係合しないようになっている。これにより、前面枠本体130に対してクリア部材保持枠140を開放可能となる。
リセット操作部材175eは、前壁部161aに取り付けられる錠175の裏面上部に配され、下方に押下可能なスイッチである。このリセット操作部材175eは、解錠可能な鍵を変更する際に用いるもので、新たに設定する鍵を鍵穴に挿入し、リセット操作部材175eを下方に押下した状態で鍵を回すことで、解錠可能な鍵がその鍵に変更される。
図5に示すように、機構部170の後方側には、機構部170に対する不正な操作を防止するための不正防止カバー190が取り付けられている。この不正防止カバー190は、上連動部184と中連動部185の接続部187の近傍を覆う上部不正防止カバー191と、クリア部材保持枠開放操作部174eを覆う中央部不正防止カバー192と、下連動部186と中連動部185の接続部188や、錠175のカム175d、カム175dと係合する第1カム係合部185c、第2カム係合部174dなどを覆う下部不正防止カバー193とからなる。
上部不正防止カバー191は、上連動部184と中連動部185の接続部187における前面枠本体130の開放端側となる側方と、上下及び後方を覆うようになっている。これにより、上連動部184と中連動部185の接続部187は、上部不正防止カバー191とベース部材161の前壁部161a及び側壁部161bにより周囲が囲まれ、前面枠120と本体枠110の間などから不正に挿入された異物による操作ができないようになっている。
また、中央部不正防止カバー192はカバー部材176とともに、クリア部材保持枠開放操作部174eにおける前面枠本体130の開放端側となる側方と、上下及び後方を覆うようになっている。これにより、クリア部材保持枠開放操作部174eは、中央部不正防止カバー192とカバー部材176、ベース部材161の前壁部161a及び側壁部161bにより周囲が囲まれ、前面枠120と本体枠110の間などから不正に挿入された異物による操作ができないようになっている。なお、クリア部材保持枠開放操作部174eを操作する場合にはこの中央部不正防止カバー192を取り外して操作することで操作可能となる。
下部不正防止カバー193は、錠175のカム175dや、カム175dと係合する第1カム係合部185c、第2カム係合部174dにおける前面枠本体130の開放端側となる側方と、上下及び後方を覆う第1周囲壁193aを備えている。この第1周囲壁193aとベース部材161の前壁部161a及び側壁部161bにより、錠175のカム175d、カム175dと係合する第1カム係合部185c、第2カム係合部174dの周囲が囲まれる。これにより前面枠120と本体枠110の間などから不正に挿入された異物による操作ができないようになっている。
また第1周囲壁193aは、第1カム係合部185c、第2カム係合部174dの下方に位置する下連動部186と中連動部185の接続部188における、前面枠本体130の開放端側となる側方と、上方及び後方の一部も覆うようになっている。これにより、下連動部186と中連動部185の接続部188が第1周囲壁193aとベース部材161の前壁部161a及び側壁部161bにより周囲が囲まれ、前面枠120と本体枠110の間などから不正に挿入された異物による操作ができないようになっている。
また、第1周囲壁193aにおける錠175のカム175dや、カム175dと係合する第1カム係合部185c、第2カム係合部174dの上側を覆う上面であって、錠175の裏面上部に設けられたリセット操作部材175eの上方となる位置には、リセット操作部材175eを操作するための操作部193bが形成されている。
この操作部193bは、第1周囲壁193aの上面における前端から後方へ向けて二本の平行な切り込みを形成することによって、後端のみが接続するように形成された板状の部分で、この接続部分を中心に上下に撓むようになっている。これにより、下部不正防止カバー193を取り付けた状態でもリセット操作部材175eを操作可能となる。
また、下部不正防止カバー193には、操作部193bが形成された第1周囲壁193aの上面に対する前面枠本体130の開放端側となる側方と上方を覆うように、第2周囲壁193eが形成されている。そして、第2周囲壁193eと、ベース部材161の前壁部161a及び側壁部161bにより、操作部193bが形成された第1周囲壁193aの上方に、後方から略指一本が挿入可能な操作空間193fが形成され、操作部193bの操作を可能とするとともに、不正な操作を防止するようになっている。
以上のような施錠装置160においては、錠175の鍵穴に所定の鍵を挿入し、時計回り方向に回せば本体枠110に対する前面枠120の係止が解除され、反時計回り方向に回せば前面枠本体130に対するクリア部材保持枠140の係止が解除される。また、前面枠本体130に対して開放した状態のクリア部材保持枠140を、前面枠本体130方向に押し込めば、クリア部材保持枠係止部174bがクリア部材保持枠140に設けられた被係合部を乗り越えて下側から係合し、自動的に施錠された状態となる。
さらに、以上のような施錠装置160においては、本体枠110に対して開放した状態の前面枠120を、本体枠110方向に押し込めば、上係合部材181、下係合部材182、上連動部184の係合部184bが、本体枠110に設けられた被係合部材111と係合し、自動的に施錠された状態となる。
本体枠110に対して前面枠120を開放した状態では、上係合部材181、下係合部材182、上連動部184に形成された係合部184bは、図示しない付勢部材によって付勢されて係合可能位置に位置するようになっている。この状態から前面枠120を本体枠110方向に回動させると、上係合部材181は、その後端の後端傾斜部181fが上被係合部材111aの上端部の前端に当接する。また、上連動部184に形成された係合部184bの下端部は、中被係合部材111cの上端部の前端に形成された傾斜面111d(図3に図示)に当接する。
さらに前面枠120を本体枠110方向に押し込むことで、上係合部材181と上被係合部材111aとの接点は上係合部材181における前方へ移動するが、上係合部材181の後端に形成された後端傾斜部181fは前方へ向かって下る傾斜面であるため、上係合部材181は上方に回動する。また、上連動部184に形成された係合部184bは、中被係合部材111cに形成された傾斜面111dに沿って移動することで上方へ移動する。なお、上係合部材181と上連動部184は連動して動作するので、上係合部材181と上連動部184に形成された係合部184bは連動して上方へ動作する。ただし、伝達遮断機構をなす接続部187により、下係合部材182は連動して動作しないようにされている。また、上係合部材181は付勢部材によって係合可能位置となる方向に付勢されているので、上方への動作は付勢部材の付勢力に抗して動作することとなる。
上係合部材181の後端傾斜部181fの下端(前端)は受入開口部181dの後端181eに連続しており、上被係合部材111aと後端傾斜部181fとの接点が後端傾斜部181fの下端(前端)を越えることで、受入開口部181dの後端181eが上被係合部材111aの上端部よりも上側に達することとなる。すなわち、上係合部材181が非係合位置に達することとなる。これにより、受入開口部181dの後端181eが上被係合部材111aの上端部を乗り越え、上被係合部材111aの上端部の後端よりも後方に移動することが可能となる。またこのとき、上連動部184の係合部184bもその下端が中被係合部材111cの上端を乗り越え、中被係合部材111cの後端よりも後方に移動可能となる。
受入開口部181dの後端181eが上被係合部材111aの上端部の後端よりも後方に移動すると、上被係合部材111aが係合凹部181a内に導入可能となる。上係合部材181は付勢部材により係合可能位置となる方向へ付勢されているので、この状態となると、付勢部材の付勢力により上係合部材181が係合可能位置に戻り、係合凹部181a内に上被係合部材111aが挿入された状態となる。すなわち、上係合部材181と上被係合部材111aが係合した状態となる、また、上係合部材181が係合可能位置に戻ることで、係合部184bも係合可能位置に戻り、係合部184bと中被係合部材111cとが係合した状態となる。
下係合部材182においても上係合部材181と同様に、本体枠110に対して開放した状態の前面枠120を本体枠110方向に回動させることで、その後端に形成された前方へ向かって下る傾斜面182fが下被係合部材111bの上面部の前端に当接する。さらに前面枠120を本体枠110方向に押し込むことで、下係合部材182と下被係合部材111bとの接点は下係合部材182における前方へ移動し、下係合部材182は付勢部材の付勢力に抗して上方に回動する。そして、下被係合部材111bと傾斜面182fとの接点が傾斜面182fの下端(前端)を越えることで、受入開口部182dの後端182eが下被係合部材111bの上端部よりも上側に達する非係合位置となる。これにより、受入開口部182dの後端182eが下被係合部材111bの上端部を乗り越えて、下被係合部材111bの上端部の後端よりも後方に移動可能となる。下係合部材182は付勢部材により係合可能位置となる方向へ付勢されているので、受入開口部182dの後端182eが下被係合部材111bの上端部の後端よりも後方に移動すると、付勢部材の付勢力により下係合部材182が係合可能位置に戻り、係合凹部182a内に下被係合部材111bが挿入された状態となる。すなわち、下係合部材182と下被係合部材111bが係合した状態となる。
ここで、上係合部材181と下係合部材182は独立して(異なるタイミングで)被係合部材111と係合可能であるが、前面枠120を閉じる際には、遊技機100の下隅部に設けられた図1に示すような操作ハンドル156の辺りを持って閉じることが多いため、前面枠120の閉鎖が不完全となる虞がある。すなわち、操作ハンドル156に近い下係合部材182に比べ、操作ハンドル156から離れた位置にある上係合部材181にかかる前面枠120の閉鎖方向の押圧力は弱くなるため、下係合部材182と下被係合部材111bとが係合しても、上係合部材181と上被係合部材111aとの係合が不完全となる虞がある。このような前面枠120の不完全な閉鎖を防止するために、図8に示すように、上係合部材181に形成された係合凹部181aの受入開口部181dの後端181eは、下係合部材182に形成された係合凹部182aの受入開口部182dの後端182eよりも(図8に示すaの距離の分だけ)後方に位置するようになっている。なお、ここでは上係合部材181と係合する上被係合部材111aの後端と、下係合部材182と係合する下被係合部材111bの後端は、同じ前後位置に配されている。
これにより、前面枠120を開放した状態における上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離が、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eと下被係合部材111bの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離よりも(図8に示すaの距離の分だけ)短くなる。よって、前面枠120を開放した状態から閉鎖する場合に、上係合部材181が下係合部材182よりも先に被係合部材111に係合するようになるので、上下両方の係合部材181,182が被係合部材111と確実に係合するようになる。
以上のことから、本体枠110と、該本体枠110の前面に前方へ回動可能に軸支された前面枠120を備える遊技機100において、前面枠120の開放端側の裏面に係合手段(施錠装置160)を設けるとともに、本体枠110における係合手段と対向する位置に被係合部材111を設け、係合手段が被係合部材111に係合することで前面枠120の閉状態が維持されるように構成され、係合手段は、前面枠120に固定されるベース部材161と、ベース部材161に取り付けられ、鍵により解錠操作される錠175と、ベース部材161に回動可能に軸支されるとともに、一側端側に被係合部材111を受け入れる受入開口部181d,182dを有する係合凹部181a,182aを備え、該係合凹部181a,182aが被係合部材111と係合可能な係合可能位置と、該係合凹部181a,182aが被係合部材111と係合不能な非係合位置との間で回動する複数の係合部材181,182と、係合部材181,182の回動方向に沿って、該係合部材181,182を係合可能位置方向へ付勢する付勢手段と、錠175と複数の係合部材181,182とを接続するように配され、錠175の解錠操作に応じて全ての係合部材181,182を非係合位置に回動させる解錠伝達機構(連動部183)と、一の係合部材が操作されて非係合位置へ回動されても、他の係合部材が連動して非係合位置に回動しないようにする伝達遮断機構(接続部187,188)と、を備え、複数の係合部材181,182は、前面枠120の上部に位置する上係合部材181と、前面枠120の下部に位置する下係合部材182とを備え、被係合部材111は、上係合部材181と係合する上被係合部材111aと、下係合部材182と係合する下被係合部材111bとを備え、前面枠120を開放した状態における、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離が、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eと下被係合部材111bの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離よりも短くしたこととなる。
また、係合部材181,182は、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eが、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eよりも後側に位置するようにしたこととなる。
次に、上述した実施形態の第1変形例について図9を参照して説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、主に異なる部分について説明する。本変形例の遊技機では、上被係合部材111aの後端と、下被係合部材111bの後端の前後位置を異ならせている。なお、上係合部材181の係合凹部181aにおける受入開口部181dの後端181eと、下係合部材182の係合凹部182aにおける受入開口部182dの後端182eの前後位置は同じとされている。
このような構成とすることでも、前面枠120を開放した状態における上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離を、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eと下被係合部材111bの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離よりも(図9に示すbの距離の分だけ)短くすることができる。よって、前面枠120を開放した状態から閉鎖する場合に、上係合部材181が下係合部材182よりも先に被係合部材111に係合するようになるので、上下両方の係合部材181,182が被係合部材111と確実に係合するようになる。
なお、上述の実施形態と組み合わせるようにしても良い。すなわち、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eが、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eよりも後側に位置するようにし、かつ、上被係合部材111aの後端が下被係合部材111bの後端よりも前側に位置するようにしても良い。
以上のことから、被係合部材111は、上被係合部材111aの後端が下被係合部材111bの後端よりも前側に位置するようにしたこととなる。
次に、上述した実施形態の第2変形例について図10を参照して説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、主に異なる部分について説明する。本変形例の遊技機における施錠装置200では上係合部材181の係合凹部181aに、嵌合溝181g、傾斜面181hを形成している。なお、本変形例では、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eを、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eよりも後側に位置するようにし、上被係合部材111aの後端と下被係合部材111bの後端との前後位置を同じにしている。
上述したように、前面枠120を開放した状態における上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離は、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eと下被係合部材111bの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離よりも短くされている。よって、前面枠120を閉鎖した状態において、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との間に隙間が生じ、係合凹部181a内で上被係合部材111aがわずかに前後動可能となる。そこで、係合凹部181aに嵌合部181g、傾斜面111hを形成し、係合凹部181aで上被係合部材111aを固定するようにしている。
本変形例における上係合部材181は、係合可能位置にある場合に、下側に開口する係合凹部181aにおける上辺が上被係合部材111aの上端よりも下側に位置するように配されている。そして、この係合凹部181aの上辺に、下側に開口する切欠き状の嵌合溝181gが形成されている。この嵌合溝181gは、上被係合部材111aの上端部を嵌合可能な形状であって、その後端は、下係合部材182に形成された係合凹部182aの受入開口部182dの後端182eと同じ前後位置に形成されている。すなわち、上被係合部材111aの後端と下被係合部材111bの後端の前後位置は同じであり、嵌合溝181gに上被係合部材111aが嵌合した際には、下係合部材182と下被係合部材111bも係合した状態となるようになっている。
また、係合凹部181aにおける受入開口部181dの後端から嵌合溝181gの後端にかけての内周面に、前方へ向かって上る傾斜面181hが形成されている。この傾斜面181hによって、係合凹部181aの受入開口部181dの後端181eを越えて係合凹部181aに導入された上被係合部材111aが嵌合溝181gへ案内され、上係合部材181と上被係合部材111aが確実に係合するようになっている。
さらに、この傾斜面181hによって、下係合部材182と下被係合部材111bとの係合が補助されるようになっている。すなわち、上係合部材181における係合凹部181aの受入開口部181dの後端181eは、下係合部材182における係合凹部182aの受入開口部182dの後端182eよりも後方に位置するので、上被係合部材111aが受入開口部181dの後端181eを越えた時点では、いまだ下係合部材182と下被係合部材111bの係合は完了していない。このときに傾斜面181hによって上被係合部材111aが嵌合溝181gへ誘導されることで、前面枠120が本体枠110側へ誘導されるので、下係合部材182と下被係合部材111bとの係合が補助される。このような嵌合溝181g、傾斜面181hを備えることで、係合凹部181a内で上被係合部材111aが固定され、前面枠120の閉鎖状態が確実に維持されるようになる。なお、上述の第1変形例と組み合わせても良い。
以上のことから、上係合部材181の係合凹部181aは、前面枠120を閉鎖した状態で上被係合部材111aが位置する部分に、該上被係合部材111aと嵌合する嵌合溝181gを備えるとともに、嵌合溝181gよりも後側の内周面が、受入開口部181dから嵌合溝181gへ上被係合部材111aを誘導する傾斜面181hとされていることとなる。
次に、上述した実施形態の第3変形例について図11を参照して説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、主に異なる部分について説明する。本変形例の遊技機は、本体枠110の上部に、前面枠120を閉鎖した状態で該前面枠120の上部を覆うように前方へ延出する不正防止部112を形成している。なお、本変形例では、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eを、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eよりも後側に位置するようにし、上被係合部材111aの後端と下被係合部材111bの後端との前後位置を同じにしている。
上述したように、前面枠120を開放した状態における上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離は、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eと下被係合部材111bの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離よりも短くされている。よって、前面枠120を閉鎖した状態において、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との間に隙間(図11に示すdの距離)が生じ、係合凹部181a内で上被係合部材111aがわずかに前後動可能となる。このため、例えば、外部から前面枠120を開放する方向に力が加わった場合に、本体枠110に対して前面枠120の上部が前側にずれて隙間ができる虞がある。そこで、本体枠110の上部に、前面枠120を閉鎖した状態で該前面枠120の上部を覆うように前方へ延出する不正防止部112を形成している。
この不正防止部112は、その延出幅(図11に示すeの距離)が前面枠120を閉鎖した状態における、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った間隔(図11に示すdの距離)よりも広くされている。これにより、本体枠110と前面枠120の間に隙間ができてもこれを覆うことができ、この隙間から不正部材を挿入するような不正行為を防止できる。なお、上述の第1変形例、第2変形例と組み合わせても良い。
以上のことから、本体枠110の上部に、前面枠120を閉鎖した状態で該前面枠120の上部を覆うように前方へ延出する不正防止部112を形成し、該不正防止部112の延出幅が、前面枠120を閉鎖した状態における、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った間隔よりも広いこととなる。
次に、上述した実施形態の第4変形例について図12を参照して説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、主に異なる部分について説明する。本変形例の遊技機における施錠装置210では、係合可能位置での上係合部材181における係合凹部181aの受入開口部181dの後端181eと、上被係合部材111aの上端との距離が、係合可能位置での下係合部材182における係合凹部182aの受入開口部182dの後端182eと、下被係合部材111bの上端との距離よりも短くなるようにされている。なお、本変形例では、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eとの前後位置を同じにしている。また、上被係合部材111aの後端と下被係合部材111bの後端との前後位置を同じにしている。
本変形例における上係合部材181の係合凹部181aにおける受入開口部181dの後端181eから上辺までの距離は、下係合部材182の係合凹部182aにおける受入開口部182dの後端182eから上辺までの距離よりも短くなるように形成されている。そして、上係合部材181は、係合可能位置にある場合に、下側に開口する係合凹部181aにおける上辺が上被係合部材111aの上端と同じ上下位置にあるように配されている。また、下係合部材182は、係合可能位置にある場合に、下側に開口する係合凹部182aにおける上辺が下被係合部材111bの上端と同じ上下位置にあるように配されている。これにより、係合可能位置での上係合部材181における係合凹部181aの受入開口部181dの後端181eと、上被係合部材111aの上端との距離(図12に示すfの距離)が、係合可能位置での下係合部材182における係合凹部182aの受入開口部182dの後端182eと、下被係合部材111bの上端との距離(図12に示すgの距離)よりも短くなる。
このような構成とすることで、上係合部材181の係合可能位置から非係合位置までの回動角度を、下係合部材182の係合可能位置から非係合位置までの回動角度よりも小さくすることができる。よって、上係合部材181の方が下係合部材182よりも係合が容易となるので、確実に前面枠120を閉鎖できる。
なお、上係合部材181の構成を変更することで係合可能位置から非係合位置までの回動角度を小さくするようにしたが、上係合部材181の構成を変更せずに、上係合部材181の配設位置を変更する(上側へずらす)ことで回動角度を小さくするようにしても良い。また、上述の第1から第3変形例と組み合わせても良い。
以上のことから、本体枠110と、該本体枠110の前面に前方へ回動可能に軸支された前面枠120を備える遊技機100であって、前面枠120の開放端側の裏面に係合手段(施錠装置160)を設けるとともに、本体枠110における係合手段と対向する位置に被係合部材111を設け、係合手段が被係合部材111に係合することで前面枠120の閉状態が維持されるように構成され、係合手段は、前面枠120に固定されるベース部材161と、ベース部材161に取り付けられ、鍵により解錠操作される錠175と、ベース部材161に回動可能に軸支されるとともに、一側端側に被係合部材111を受け入れる受入開口部181d,182dを有する係合凹部181a,182aを備え、該係合凹部181a,182aが被係合部材111と係合可能な係合可能位置と、該係合凹部181a,182aが被係合部材111と係合不能な非係合位置との間で回動する複数の係合部材181,182と、係合部材181,182の回動方向に沿って、該係合部材181,182を係合可能位置方向へ付勢する付勢手段と、錠175と複数の係合部材181,182とを接続するように配され、錠175の解錠操作に応じて全ての係合部材181,182を非係合位置に回動させる解錠伝達機構(連動部183)と、一の係合部材が操作されて非係合位置へ回動されても、他の係合部材が連動して非係合位置に回動しないようにする伝達遮断機構(接続部187,188)と、を備え、複数の係合部材181,182は、前面枠120の上部に位置する上係合部材181と、前面枠120の下部に位置する下係合部材182とを備え、被係合部材111は、上係合部材181と係合する上被係合部材111aと、下係合部材182と係合する下被係合部材111bとを備え、上係合部材181の係合可能位置から非係合位置までの回動角度が、下係合部材182の係合可能位置から非係合位置までの回動角度よりも小さくしたこととなる。
次に、上述した実施形態の第5変形例について説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、主に異なる部分について説明する。上述したように、上係合部材181、下係合部材182はそれぞれ、付勢部材によって係合可能位置となる方向に付勢されているが、本変形例の遊技機における施錠装置では、上係合部材181の付勢部材の付勢力を下係合部材182の付勢部材の付勢力よりも弱くしている。
このような構成とすることで、上係合部材181と上被係合部材111aとが係合するために上係合部材181を非係合位置へ変換するために必要な力が、下係合部材182と下被係合部材111bとが係合するために下係合部材182を非係合位置へ変換するために必要な力よりも弱くて済む。よって、上係合部材181の方が下係合部材182よりも係合が容易となるので、確実に前面枠120を閉鎖できる。なお、上述の第1から第4変形例と組み合わせても良い。
以上のことから、上係合部材181の付勢部材の付勢力が、下係合部材182の付勢部材の付勢力よりも弱いこととなる。
以上のような遊技機100は、本体枠110と、該本体枠110の前面に前方へ回動可能に軸支された前面枠120を備える遊技機100であって、前面枠120の開放端側の裏面に係合手段(施錠装置160)を設けるとともに、本体枠110における係合手段と対向する位置に被係合部材111を設け、係合手段が被係合部材111に係合することで前面枠120の閉状態が維持されるように構成され、係合手段は、前面枠120に固定されるベース部材161と、ベース部材161に取り付けられ、鍵により解錠操作される錠175と、ベース部材161に回動可能に軸支されるとともに、一側端側に被係合部材111を受け入れる受入開口部181d,182dを有する係合凹部181a,182aを備え、該係合凹部181a,182aが被係合部材111と係合可能な係合可能位置と、該係合凹部181a,182aが被係合部材111と係合不能な非係合位置との間で回動する複数の係合部材181,182と、係合部材181,182の回動方向に沿って、該係合部材181,182を係合可能位置方向へ付勢する付勢手段と、錠175と複数の係合部材181,182とを接続するように配され、錠175の解錠操作に応じて全ての係合部材181,182を非係合位置に回動させる解錠伝達機構(連動部183)と、一の係合部材が操作されて非係合位置へ回動されても、他の係合部材が連動して非係合位置に回動しないようにする伝達遮断機構(接続部187,188)と、を備え、複数の係合部材181,182は、前面枠120の上部に位置する上係合部材181と、前面枠120の下部に位置する下係合部材182とを備え、被係合部材111は、上係合部材181と係合する上被係合部材111aと、下係合部材182と係合する下被係合部材111bとを備え、前面枠120を開放した状態における、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離が、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eと下被係合部材111bの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離よりも短い。
したがって、前面枠120を開放した状態における、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと、該上係合部材181と係合する上被係合部材111aの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離が、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eと、該下係合部材182と係合する下被係合部材111bの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った距離よりも短いので、上係合部材181が下係合部材182よりも先に係合するようになり、前面枠120の下隅部に設けられる操作ハンドル156辺りを持って閉鎖しても確実に閉鎖できる。
また、係合部材181,182は、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eが、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eよりも後側に位置するようにしている。
したがって、係合部材181,182は、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eが、下係合部材182の受入開口部182dの後端182eよりも後側に位置するので、上係合部材181が下係合部材182よりも先に係合するようになり、前面枠120の下隅部に設けられる操作ハンドル156辺りを持って閉鎖しても確実に閉鎖できる。
また、上係合部材181の係合凹部181aは、前面枠120を閉鎖した状態で上被係合部材111aが位置する部分に、該上被係合部材111aと嵌合する嵌合溝181gを備えるとともに、嵌合溝181gよりも後側の内周面が、受入開口部181dから嵌合溝181gへ上被係合部材111aを誘導する傾斜面181hとされている。
したがって、上係合部材181の係合凹部181aは、前面枠120を閉鎖した状態で上被係合部材111aが位置する部分に嵌合溝181gを備え、嵌合溝181gよりも後側の内周面が受入開口部181dから嵌合溝181gへ上被係合部材111aを誘導する傾斜面181hとされているので、前面枠120を確実に閉鎖できる。すなわち、傾斜面181hに沿って上被係合部材111aが案内されるので、上係合部材181が完全に閉鎖されていない状態でも、自動的に完全に閉鎖した状態となる。また、上被係合部材111aが嵌合溝181gに嵌ることで、前面枠120の閉鎖状態が確実に維持される。
また、被係合部材111は、上被係合部材111aの後端が下被係合部材111bの後端よりも前側に位置するようにしている。
したがって、上被係合部材111aの後端が下被係合部材111bの後端よりも前側に位置するので、上係合部材181が下係合部材182よりも先に係合するようになり、前面枠120の下隅部に設けられる操作ハンドル156辺りを持って閉鎖しても確実に閉鎖できる。
また、本体枠110の上部に、前面枠120を閉鎖した状態で該前面枠120の上部を覆うように前方へ延出する不正防止部112を形成し、該不正防止部112の延出幅が、前面枠120を閉鎖した状態における、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った間隔よりも広い。
したがって、不正防止部112の延出幅が、前面枠120を閉鎖した状態における、上係合部材181の受入開口部181dの後端181eと上被係合部材111aの後端との前面枠120の閉鎖方向に沿った間隔よりも広いので、不正行為を防止できる。すなわち、上係合部材181が先に係合する構成としたことで、前面枠120を閉鎖した状態では、上係合部材181と上被係合部材111aとの間隔が、下係合部材182と下被係合部材111bとの間隔よりも広い間隔となる。よって、例えば、外部から力が加わった場合に、本体枠110に対して前面枠120の上部が最大で上係合部材181と上被係合部材111aとの間隔の分だけ隙間ができる虞がある。しかし、不正防止部112を設けるとともに、その延出幅を、上係合部材181と上被係合部材111aとの間隔よりも広くすることで、たとえ隙間ができてもこれを覆うことができ、不正行為を防止できる。
また、本体枠110と、該本体枠110の前面に前方へ回動可能に軸支された前面枠120を備える遊技機100であって、前面枠120の開放端側の裏面に係合手段(施錠装置160)を設けるとともに、本体枠110における係合手段と対向する位置に被係合部材111を設け、係合手段が被係合部材111に係合することで前面枠120の閉状態が維持されるように構成され、係合手段は、前面枠120に固定されるベース部材161と、ベース部材161に取り付けられ、鍵により解錠操作される錠175と、ベース部材161に回動可能に軸支されるとともに、一側端側に被係合部材111を受け入れる受入開口部181d,182dを有する係合凹部181a,182aを備え、該係合凹部181a,182aが被係合部材111と係合可能な係合可能位置と、該係合凹部181a,182aが被係合部材111と係合不能な非係合位置との間で回動する複数の係合部材181,182と、係合部材181,182の回動方向に沿って、該係合部材181,182を係合可能位置方向へ付勢する付勢手段と、錠175と複数の係合部材181,182とを接続するように配され、錠175の解錠操作に応じて全ての係合部材181,182を非係合位置に回動させる解錠伝達機構(連動部183)と、一の係合部材が操作されて非係合位置へ回動されても、他の係合部材が連動して非係合位置に回動しないようにする伝達遮断機構(接続部187,188)と、を備え、複数の係合部材181,182は、前面枠120の上部に位置する上係合部材181と、前面枠120の下部に位置する下係合部材182とを備え、被係合部材111は、上係合部材181と係合する上被係合部材111aと、下係合部材182と係合する下被係合部材111bとを備え、上係合部材181の係合可能位置から非係合位置までの回動角度が、下係合部材182の係合可能位置から非係合位置までの回動角度よりも小さい。
したがって、複数の係合部材181,182は、一の係合部材が操作されて非係合位置へ回動されても、他の係合部材が連動して非係合位置に回動しないようにする伝達遮断機構を備え、上係合部材181の係合可能位置から非係合位置までの回動角度が、下係合部材182の係合可能位置から非係合位置までの回動角度よりも小さいので、確実に前面枠120を閉鎖できる。すなわち、前面枠120の下隅部に設けられる操作ハンドル156辺りをもって閉鎖ようにすると、上係合部材181にかかる閉鎖方向の力が下係合部材182にかかる閉鎖方向の力よりも弱くなることがあるが、上係合部材181においては、係合に必要な回動角度が少なくて済み、下係合部材182よりも係合が容易となるので、確実に前面枠120を閉鎖できる。
また、上係合部材181の付勢部材の付勢力が、下係合部材182の付勢部材の付勢力よりも弱い。
したがって、上係合部材181の付勢部材の付勢力が、下係合部材182の付勢部材の付勢力よりも弱いので、確実に前面枠120を閉鎖できる。すなわち、前面枠120の下隅部に設けられる操作ハンドル156辺りをもって閉鎖ようにすると、上係合部材181にかかる閉鎖方向の力が下係合部材182にかかる閉鎖方向の力よりも弱くなることがあるが、上係合部材181においては、係合に必要な力が少なくて済み、下係合部材182よりも係合が容易となるので、確実に前面枠120を閉鎖できる。
なお、本発明の遊技機100は、遊技機として、前記実施の形態に示されるようなパチンコ遊技機に限られるものではなく、例えば、その他のパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機などの遊技球を使用する全ての遊技機に適用可能である。
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。