JP2011230994A - ニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物及びその製造方法 - Google Patents

ニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 タップ密度が大きいニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物及びその簡便な製造方法を提供する
【解決手段】
ニッケル原子、コバルト原子及びマンガン原子を含み、タップ密度が3.0g/ml以上であることを特徴とするニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物。該ニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物は、アルミニウム原子、マグネシウム原子及びチタン原子から選ばれる1種以上の原子を含んでいても良い。好ましくは電融法で製造される。
【選択図】なし

Description

本発明は、ニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物及びその製造方法に関し、特には、リチウム二次電池用正極活物質として用いるリチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物の製造原料として有用なニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物及びその製造方法に関する。
近年、携帯電話、ノート型パソコン等の電源として、リチウムイオン二次電池が高いエネルギー密度を有することから、広く用いられる様になってきている。
このリチウムイオン二次電池の正極材料としては、合成が容易で放電電圧の高いコバルト酸リチウム(LiCoO)が、主として用いられている。
しかしながら、コバルトは、資源的に乏しく、又、高価であるため、これに変わる材料が、種々、提案されるようになってきている。
その一例として、低コストで電気特性に優れたLil+xNil−y−zCoMn(但し、式中、x、y、zは、0≦x≦0.10、0.1≦y≦0.35、0.1≦z≦0.35である。)で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物がある。
ところで、単位体積当りの電池容量は、正極活物質の重量当りの容量(mAh/g)と電極密度(g/cm)の積で表される。即ち、電池容量を決めるのは、一つは活物質の単位重量当りの高容量化であり、もう一方は電極の高密度化である。
そこで、電極の高密度化を図る一つの方策として、正極前駆体のタップ密度を上げることが種々、試みられている。
特開2004−227915号公報 特開2009−179545号公報 特表2009−515799号公報
特許文献1には、「組成式(Nil−x−y−z,Co,Mn,M)(OH)(場合によりM=Al,Mg,Tiを含む)で表されるリチウムイオン電池正極材料用原料水酸化物であって、タップ密度が1.0g/cm以上であることを特徴とする、組成式(Nil−x−y−z,Co,Mn,M)(OH)(場合によりM=Al,Mg,Tiを含む)で表されるリチウムイオン電池正極材料の原料に用いるリチウムイオン電池正極材料用原料水酸化物」が記載されている。
又、特許文献2には、「ニッケル原子、マンガン原子及びコバルト原子を含み、平均粒径が20μm以上40μm以下であり、BET比表面積が50〜130m/gであり、且つタップ密度が1.7g/ml以上であることを特徴とする複合炭酸塩」が記載されている。
更に、特許文献3には、「化学式NiM1M2(O)(OH)で表される化合物(ただし、上記式中、M1はFe、Co、Mg、Zn及びCuから成る群から選択される1つ以上であり、M2はMn、Al、B、Ca及びCrから成る群から選択される1つ以上であり、b≦0.8、c≦0.5、d≦0.5、0.1≦x≦0.8、1.2≦y≦1.9、x+y=2である)」が記載されている。
しかしながら、何れもタップ密度は、1.7〜2.4g/mlであり、満足のいくものではない。
本発明は上記の問題点に鑑み成されたものであって、その目的とするところは、タップ密度が大きいニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物及びその簡便な製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、ニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物を酸化雰囲気下で電融法で製造することにより、タップ密度の大きいニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物が得られることを見出した。
この知見に基づき、本発明は、
(1)ニッケル原子、コバルト原子及びマンガン原子を含み、タップ密度が3.0g/ml以上であることを特徴とするニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物。
(2)アルミニウム原子、マグネシウム原子及びチタン原子から選ばれる1種以上の原子を含むことを特徴とする前記(1)記載のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物。
(3)電融法で製造されたことを特徴とする前記(1)又は前記(2)記載のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物。
(4)ニッケル原料、コバルト原料及びマンガン原料からなる混合物を酸化雰囲気において電融することを特徴とするニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物の製造方法。
(5)混合物がアルミニウム原料、マグネシウム原料及びチタン原料から選ばれる1種以上の原料を含むことを特徴とする前記(4)記載のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物の製造方法。
を提供するものである。
本発明によれば、タップ密度の大きいニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物及びその簡便な製造方法を提供することができ、リチウム二次電池用正極活物質として用いるリチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物の製造原料等として、斯界において好適に用いることが出来る。
電融炉の概要を示す。
以下に本発明のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物及びその製造方法について詳細に説明する。
なお、本発明において、「%」とは、特に断りがない場合、「重量%=質量%」を示す。
1.ニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物
本発明のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物は、ニッケル原子、マンガン原子及びコバルト原子を含み、タップ密度が3.0g/ml以上、好ましくは3.5g/ml以上であることを特徴とし、場合によっては、アルミニウム原子、マグネシウム原子及びチタン原子から選ばれる1種以上の原子を含んでいても良い。
タップ密度が3.0g/ml未満では、リチウムイオン二次電池の正極前駆体として用いた場合、タップ密度の大きいリチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物を得ることができないので、好ましくない。
なお、本発明のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物は、特に限定されるものではないが、(Nil−x−y−zCoMn)Oδ(M=Al,Mg,Tiから選ばれる1種以上)と記載することが出来る。
ここで、0.1≦x≦0.35、0.1≦y≦0.35、0≦z≦0.15、0.7≦δ≦1.0である。
本発明のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物は、電融法で製造されることが好ましい。すなわち、一度、溶融状態とすることにより、タップ密度が大きいものを得ることができる。
又、本発明のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物の平均粒径は、特に限定されるものではないが、5〜20μmであることが好ましい。
2.ニッケル−コバルト−マンガン糸複合酸化物の製造方法
本発明のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物の製造方法は、ニッケル原料、コバルト原料及びマンガン原料からなる混合物を酸化雰囲気において電融することを特徴とし、場合によっては、混合物がアルミニウム原料、マグネシウム原料及びチタン原料から選ばれる1種以上の原料を含んでいても良い。
ニッケル原料としては、特に限定されるものではないが、酸化ニッケルであることが好ましい。この酸化ニッケルは、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物、水酸化物等から得られる酸化物でも良い。
コバルト原料、マンガン原料、アルミニウム原料、マグネシウム原料及びチタン原料についてもほぼ同様のことが言える。
なお、酸化コバルトとしては、CoO、Co及びCoO、そして、酸化マンガンとしては、MnO、Mn等、価数の異なるものでも良い。
本願発明においては、これらの原料を混合した後、酸化雰囲気において電融することにより、溶融状態のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物を製造することが出来る。
電融法法としては、特に限定されるものではなく、アーク式、高周波熱プラズマ式等が例示される。中でも一般的な電融法、すなわちアーク式電気炉を用いた電融方法を好ましく利用することができる。
アーク式電気炉を用いた熔融方法であれば、例えば、二次電圧50〜100Vで平均負荷電力を30〜70kWとし、2400℃以上の温度で加熱する。
原料は、予め電気炉に全量入れていても良いが、スクリューフィーダ等を用いて連続的に供給することも出来る。
原料が熔融状態となってから、0.5〜3時間保持することにより、均一に熔融させることが出来る。加熱温度は、2000℃以上であればよいが、原料の融点以上、特に2600〜2800℃が好ましい。また、熔融状態での保持時間は、1〜2時間とすることが好ましい。
なお、酸化性雰囲気とするためには、例えば、図1に示すように中空の穴あき電極を用い、空気を噴射しながら通電することにより、実施することが出来る。
熔融終了後、20〜30時間徐冷しインゴットを得る。熔融物の冷却方法は、特に限定されないが、通常、熔融装置から取り出して、大気中で100℃以下、好ましくは50℃以下となるように放冷する。これにより、ニッケル原料、コバルト原料及びマンガン原料等が均一になったニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物のインゴットを得ることが出来る。
熔融後のインゴットは、粉砕される。インゴットの粉砕については、特に限定されないが、ジョークラッシャーまたはロールクラッシャー等の粉砕機で粉砕することができる。後工程での取り扱いを考慮して、インゴットが3mm以下、さらには1mm以下の粉体になるまで粉砕し、分級するのが好ましい。
上記方法で得られた粉末を用途に合わせて、さらに微粉砕することができる。微粉砕については、特に限定されないが、遊星ミル、ボールミルまたはジェットミル等の粉砕機で5〜30分間、微粉砕することができる。この微粉砕により、ニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物の平均粒径を5〜20μmとすることが好ましい。
3.リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物の製造方法
上記で製造されたニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物と炭酸リチウム、水酸化リチウム等のリチウム化合物と混合した後、焼成することにより、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物を製造することが出来る。
リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物としては、特に限定されるものではないが、Liα(Nil−x−y−zCoMn)O(M=Al,Mg,Tiから選ばれる1種以上)が例示される。
ここで、1.0≦α≦1.1、0.1≦x≦0.35、0.1≦y≦0.35、0≦z≦0.15である。
代表的には、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi1/3Co1/3−0.1Mn1/3Al0.1等を例示することが出来る。
リチウム化合物の添加量は、ニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物に含まれる金属の総モル数に対するリチウム金属のモル数の比が1.0〜1.1となるようにする。
そして、焼成条件は、600〜1100℃で2〜10Hrである。なお、焼成時の雰囲気は、特に限定されるものではないが、大気中又は酸化性の雰囲気で行うことが好ましい。
この結果、タップ密度が2.90g/ml以上のリチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物を製造することが出来る。
以下に実施例を示し、本発明の特徴を一層明確にする。なお、本発明は、これらの実施例の態様に限定されるものではない。
実施例中における各物性は以下の方法により測定した。
(1)平均粒径(D50)
レーザー回折散乱装置(堀場製作所製LA−950)で測定した。
なお、本発明において、平均粒径(D50)とは測定した粒子径分布の累積頻度が50体積%となる粒子径をいう。
(2)タップ密度
タップ密度測定装置(セイシン企業製 SEISIN TAPDENSER KYT−3000)で測定した。測定条件はタップ回数400回、スペーサー20mmとした。
酸化ニッケル2.17kg、酸化コバルト2.33kg、二酸化マンガン2.57kgを混合し20Lボールミルに入れ、平均粒径(D50)=1〜3μmになるまで粉砕を行った。次に、これを1250℃×3Hr焼成し電融用の原料を得た。
この原料7kgを図1に示すような構造の酸化雰囲気を保持できる電融炉を用い、電極中心に設けた貫通穴を通じて空気を噴出させながら、電圧:60V、電流:650A、スクリューフィーダを用いてフィード量:2.4kg/Hrの条件で電融を行い、5.41kgのインゴットを得た。
得られたインゴットを、ジョークラッシャー、ボールミル等を用いて粉砕し、D50=10.6μm、タップ密度:3.72g/mlのニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物を得た。なお、分析値を表1に示す。
実施例1で得られたニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物4.125kgと炭酸リチウム2.05kgを混合した後、1000℃×6Hrの焼成を行った。この焼成物を−45μmになるまで粉砕し、D50=11.9μm、タップ密度:2.96g/mlのリチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物を得た。なお、分析値を表1に示す。
Figure 2011230994

Claims (5)

  1. ニッケル原子、コバルト原子及びマンガン原子を含み、タップ密度が3.0g/ml以上であることを特徴とするニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物。
  2. アルミニウム原子、マグネシウム原子及びチタン原子から選ばれる1種以上の原子を含むことを特徴とする請求項1記載のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物。
  3. 電融法で製造されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物。
  4. ニッケル原料、コバルト原料及びマンガン原料からなる混合物を酸化雰囲気において電融することを特徴とするニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物の製造方法。
  5. 混合物がアルミニウム原料、マグネシウム原料及びチタン原料から選ばれる1種以上の原料を含むことを特徴とする請求項4記載のニッケル−コバルト−マンガン系複合酸化物の製造方法。
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