JP6754534B2 - 蓄電デバイス用正極活物質及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄電デバイス用正極活物質及びその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電子端末や電気自動車等に不可欠な、高容量で軽量な電源としての地位を確立しており、その正極活物質として、一般式LiFePOで表されるオリビン型結晶を含む活物質が注目されている。しかし、リチウムは世界的な原材料の高騰等の問題が懸念されているため、その代替としてナトリウムを使用した、ナトリウムイオン二次電池の研究が近年行われている。例えば、非特許文献1にはNa(Fe1−yMn)P(0≦y≦1)からなる正極活物質が開示されている。
Prabeer Barpanda et al., Solid State Ionics, 2014(DOI:10.1016/j.ssi.2014.03.011)
非特許文献1に記載のNa(Fe1−yMn)Pからなる正極活物質は、Mnの割合が大きくなるに従い、β型NaMnP結晶が析出するとともに急激な容量低下が起こることが報告されている。加えて、放電時にMn2+/3+の酸化還元電位が作動せず、放電電圧が低いという問題を有していた。したがって、上記活物質は、実仕様に耐えうる充放電特性を有していないという課題があった。
以上に鑑み、本発明の目的は、放電電圧が高く、充放電特性に優れた蓄電デバイス用正極活物質を提供することにある。
本発明の蓄電デバイス用正極活物質は、一般式Na(Mn1−aFe(1.2≦x≦2.3、0.95≦y≦1.6、0.1≦a≦0.75、7≦z≦8)で表される酸化物材料からなり、層状型結晶を含有することを特徴とする。
本発明者等は、一般式NaMnで表される酸化物材料におけるMnの一部をFeで置換することで活物質自体の導電性を向上できることに加え、β型結晶ではなく層状型結晶を含有することでFeサイト周辺のMnの酸化還元反応を活性化できることを見出した。その結果、放電時にMn2+/3+の酸化還元に由来する電圧を作動させることが可能となり、放電電圧が高く、充放電特性に優れた蓄電デバイス用正極活物質とすることができる。
本発明の蓄電デバイス用正極活物質は、層状型結晶の含有量が10質量%以上であることが好ましい。
本発明の蓄電デバイス用正極活物質は、結晶化ガラスからなることが好ましい。このようにすれば、層状型結晶を含有する正極活物物質が得られやすくなる。
本発明の蓄電デバイス用正極活物質は、上記の蓄電デバイス用正極活物質を製造するための方法であって、原料を加熱溶融した後、成形することにより溶融固化体を得る工程、及び、溶融固化体を700℃以下で焼成する工程を含むことを特徴とする。当該製造方法(結晶化ガラス法)によれば、β型結晶の析出を抑制しつつ、層状型結晶を選択的に析出させることが可能となる。また均質性に優れた正極活物質が得やすくなる。
本発明によれば、放電電圧が高く、充放電特性に優れた蓄電デバイス用正極活物質を提供することができる。
実施例No.1の試料のXRDパターンである。 実施例No.1の試料の2サイクル目の放電曲線である。
本発明の蓄電デバイス用正極活物質は、一般式Na(Mn1−aFe(1.2≦x≦2.3、0.95≦y≦1.6、0.1≦a≦0.75、7≦z≦8)で表される酸化物材料からなり、層状型結晶を含有することを特徴とする。
上記一般式中のNaは、充放電の際に正極活物質と負極活物質との間を移動するナトリウムイオンの供給源となる。
Mnは、正極活物質に対し高電圧特性を付与する成分である。具体的には、充放電に伴いナトリウムイオンが正極活物質に対して吸蔵及び脱離する際に、Mnイオンの価数が変化することによりレドックス反応が生じる。このレドックス反応に起因して、正極活物質が高い酸化還元電位を示す。
Feは、Mnの働きを活性化する効果を有する。また、酸化物材料自体の導電性を向上させる役割も果たす。なお一般に、蓄電デバイス用正極活物質は、導電性炭素を混合したり、導電性炭素源を混合し焼結することで正極活物質として使用される。これにより、正極活物質間に導電性炭素からなる導電パスが形成され、良好な充放電特性が得られる。しかしながら、Mn元素を含む正極活物質は、導電性炭素や炭素源と混合して焼結すると、正極活物質に含まれるMn元素により炭素成分が酸化されて二酸化炭素として外部に放出されやすい。そのため、正極活物質間に導電性炭素からなる導電パスが形成されにくく、十分な充放電特性が得られないことがある。一方、本発明の一般式Na(Mn1−aFeで表される正極活物質は、Feを含有することで導電性炭素と酸化物材料とを強固に密着させることができるため、比較的低温での焼成により酸化物材料に導電性を付与することができる。そのため、焼成時におけるMn元素による炭素の酸化を抑制することができる。結果として、充放電特性を向上させることが可能となる。
は3次元網目構造を有しており、正極活物質の構造を安定化させる効果を有する。
一般式Na(Mn1−aFeにおける各係数の範囲を上記の通り規定した理由を以下に説明する。
xは1.2≦x≦2.3であり、1.3≦x≦2.25であることが好ましく、1.5≦x≦2.2であることがより好ましい。xが小さすぎると、吸蔵、放出に関与するナトリウムイオンが少なくなるため、充放電容量が低下する傾向にある。一方、xが大きすぎると、NaPO等の充放電に関与しない異種結晶が析出しやすくなるため充放電容量が低下する傾向にある。
yは0.95≦y≦1.6であり、0.95≦y≦1.4であることが好ましく、0.95≦y≦1.25であることがより好ましい。yが小さすぎると、レドックス反応を起こす遷移金属元素が少なくなることにより、酸化還元電位が低下しやすくなる。また、レドックス反応を起こす遷移金属元素が少なくなると、吸蔵、放出されるナトリウムイオンが少なくなるため、充放電容量が低下する傾向にある。一方、yが大きすぎると、NaMnPO等の充放電に関与しない異種結晶が析出しやすくなるため充放電容量が低下する傾向にある。
aは0.1≦a≦0.75であり、0.12≦a≦0.55であることが好ましく、0.15≦a≦0.45であることがより好ましい。aが小さすぎると、Feに関する既述の効果が得にくくなる。一方、aが大きすぎると、酸化還元電位が低下し、結果として充放電容量も低下しやすくなる。
zは7≦z≦8であり、7≦z≦7.8であることが好ましく、7≦z≦7.5であることがより好ましい。zが小さすぎると、Mn及びFeの価数が2価より小さくなって、充放電に伴い金属が析出しやすくなる。析出した金属は電解質中に溶出し、負極側で金属デンドライトとして析出するため、内部短絡の原因となる。一方、zが大きすぎると、Mn及びFeの価数が2価より大きくなって、電池の充放電に伴うレドックス反応が起こりにくくなる。その結果、吸蔵、放出されるナトリウムイオンが少なくなるため、充放電容量が低下する傾向にある。
正極活物質における層状型結晶の含有量は5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。層状型結晶の含有量が少なすぎると、Mnが活性にならず高電圧化の効果が得にくくなる。
正極活物質における層状型結晶の存在は粉末X線回折測定によって確認することができる。例えば層状型NaMnPの結晶相は、CuKα線(波長λ=1.541Å)を用いたX線回折測定において、2θ=10.2°、15.2°、20.4°、22.3°、22.7°、24.2°、27.1°、28.8°、29.7°、29.8°、29.9°、32.3°、32.4°、34.0°、34.2°、34.7°、43.1°、45.5°、45.6°、50.1°、53.2°付近に特徴的なピークを有する。なお、材料組成等によって結晶格子が若干変化するため、上記ピーク位置は約±0.5°の範囲で変動する場合がある。
層状型結晶はNaMnPで表される三斜晶系空間群P−1に帰属される結晶であることが好ましい。この場合、充放電に伴って発生するMnの酸化還元電位が活性になりやすいため、高い放電電圧(理論値3.7V)及び充放電容量(理論値97.5mAh)が得やすくなる。
なお、既述の通り、本発明の蓄電デバイス用正極活物質を結晶化ガラス法で作製することにより、層状型結晶を選択的に析出させることが可能となる。結晶化ガラス法は、非晶質相の溶融固化体を焼成して結晶化させる方法であるため、製造された正極活物質の内部に残存非晶質相を含む(例えば0.1質量%以上、0.5質量%以上、特に1質量%以上)場合がある。
酸化物材料における結晶相及び非晶質相の含有量は、CuKα線を用いた粉末X線回折測定によって得られる2θ値で10〜60°の回折線プロファイルにおいて、結晶性回折線と非晶質ハローにピーク分離することで求められる。具体的には、回折線プロファイルからバックグラウンドを差し引いて得られた全散乱曲線から、10〜45°におけるブロードな回折線(非晶質ハロー)をピーク分離して求めた積分強度をIa、10〜60°において検出される結晶相由来の結晶性回折線をピーク分離して求めた積分強度の総和をIc、その他の結晶に由来する結晶性回折線から求めた積分強度の総和をIoとした場合、結晶相の含有量Xc及び非晶質相の含有量Xgは次式から求められる。
Xc=[Ic/(Ic+Ia+Io)]×100(質量%)
Xg=100−[100×(Ic+Io)/(Ic+Ia+Io)](質量%)
結晶の結晶子サイズが小さいほど、放電容量を向上させることができる。具体的には、結晶相の結晶子サイズは100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。下限については特に限定されないが、現実的には1nm以上、さらには2nm以上である。結晶子サイズは、CuKα線を用いた粉末X線回折の解析結果からシェラーの式に従って求められる。具体的には、回折線プロファイルからバックグラウンドを差し引いて得られた全散乱曲線から、Na(Mn1−aFe結晶に由来する2θ=22.3°付近に確認される回折線をピーク分離して求めた半値全幅β(FWHM)と、ブラッグ角θとを用いて、次式から結晶相の結晶子サイズεが求められる。
ε=Kλ/βicosθ
(シェラー定数K=0.85、X線波長λ=1.541Å)
本発明の蓄電デバイス用正極活物質は、導電性炭素と複合化させて使用する(正極活物質複合体)ことが好ましい。それにより、正極活物質間の電子導電パスを確保することが可能となり、充放電特性を向上させることができる。導電性炭素としては、アセチレンブラックやケッチェンブラック等の高導電性カーボンブラック、グラファイト等のカーボン粉末、炭素繊維等を用いることができる。なかでも、電子伝導性が高いアセチレンブラックが好ましい。正極活物質複合体としては、酸化物材料表面に導電性炭素が被覆された形態や、酸化物材料中に導電性炭素が分散した形態が挙げられる。
正極活物質と導電性炭素の混合割合は、質量%で、正極活物質 80〜99.5%、導電性炭素 0.5〜20%を含有することが好ましく、正極活物質 85〜98%、炭素材料 2〜15%を含有することが好ましい。正極活物質と導電性炭素の混合割合を上記の範囲に規制することにより、高い充放電容量と良好なサイクル特性とを有する正極活物質が得やすくなる。
蓄電デバイス用正極活物質の形状は特に限定されないが、粉末状であることが好ましい。その場合、蓄電デバイス用正極活物質の平均粒子径は0.1〜20μm、0.3〜15μm、0.5〜10μm、特に0.6〜5μmであることが好ましい。また、最大粒子径は150μm以下、100μm以下、75μm以下、特に55μm以下であることが好ましい。平均粒子径または最大粒子径が大きすぎると、充放電時においてナトリウムイオンの吸蔵及び放出が行いにくくなるため、充放電容量が低下する傾向にある。一方、平均粒子径が小さすぎると、ペースト化した際に粉末の分散状態に劣り、均一な電極を製造することが困難になる傾向がある。
ここで、平均粒子径と最大粒子径は、それぞれ一次粒子のメジアン径でD50(50%体積累積径)とD99(99%体積累積径)を示し、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された値をいう。
次に、本発明の蓄電デバイス用正極活物質の製造方法について説明する。本発明の蓄電デバイス用正極活物質は、例えば、所望の組成となるように調製した原料を加熱溶融し、成形することにより溶融固化体を得た後、当該溶融固化体を焼成して結晶を析出させる方法(結晶化ガラス法)により製造することができる。以下、各工程について詳細に説明する。
まず、一般式Na(Mn1−aFeの組成となるように原料粉末を調製して原料バッチ得る。例えば、下記酸化物換算のモル%表記で、NaO 15〜60%、MnO 6〜50%、FeO 2〜40%、P 25〜55%となるように原料粉末を調製する。
次に、得られた原料バッチを溶融する。溶融温度は原料バッチが均質に溶融されるよう適宜調整すればよい。具体的には、溶融温度は800℃以上が好ましく、900℃以上であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、溶融温度が高すぎるとエネルギーロスやナトリウム成分等の蒸発につながるため、1500℃以下であることが好ましく、1400℃以下であることがより好ましい。
得られた溶融物を成形することにより、溶融固化体を得る。成形方法としては特に限定されず、例えば、溶融物を一対の冷却ローラー間に流し込み、急冷しながらフィルム状に成形してもよいし、あるいは、溶融物を鋳型に流し出し、インゴット状に成形しても構わない。溶融固化体は、基本的に非晶質であるが、一部に結晶相が含まれていてもよい。
次に、溶融固化体を所定温度で所定時間焼成することにより結晶化させる。焼成は、例えば温度の制御が可能な電気炉中で行われる。焼成温度は、溶融固化体のガラス転移温度以上であることが好ましく、結晶化温度以上であることがより好ましい。具体的には、350℃以上であることが好ましく、400℃以上であることがより好ましい。焼成温度が低すぎると、結晶の析出が不十分になる傾向がある。焼成温度の上限は層状型結晶がβ型結晶に転移しない温度に設定することが好ましい。具体的には700℃以下、特に680℃以下が好ましい。焼成時間は、溶融固化体の結晶化が十分に進行するよう適宜調整される。具体的には、20〜300分間であることが好ましく、30〜240分間であることがより好ましい。
溶融固化体の熱処理は大気雰囲気、不活性雰囲気、還元雰囲気のいずれで行ってもよいが、特に還元雰囲気中で行うことが好ましく、それにより溶融固化体におけるMn及びFeの価数を2価にしやすくなる。還元雰囲気は、例えば水素雰囲気等が挙げられる。安全性を考慮し、窒素やアルゴン等の不活性ガス中に水素等の還元性ガスを含む混合ガスを用いてもよい。その際の雰囲気中に含まれる還元性ガスの含有量は2体積%以上であることが好ましい。
なお、正極活物質と導電性炭素(あるいは炭素源)とを混合した後、焼成することにより、正極活物質と導電性炭素の複合体を得ることができる。このようにすれば、正極活物質が還元されてMn及びFeの価数が2価になりやすくなる。
酸化物材料と導電性炭素とを粉砕しながら混合する方法としては、乳鉢、らいかい機、ボールミル、アトライター、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、ビーズミル等の一般的な粉砕機を用いる方法が挙げられる。なかでも、遊星型ボールミルを使用するのが好ましい。遊星型ボールミルは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができ、酸化物材料中と導電性炭素を均質に混合することが可能となる。
本発明の正極活物質は、水系溶媒、非水系溶媒、イオン液体等の電解液を用いたナトリウムイオン二次電池に使用可能である。また、固体電解質を用いた全固体ナトリウムイオン二次電池にも使用可能である。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
表1は実施例(No.1〜3)、表2は比較例(No.4〜8)を示す。
Figure 0006754534
Figure 0006754534
(1)正極活物質の作製
(1−a)結晶化ガラス法による作製
表1のNo.1〜3及び表2のNo.6、7については、結晶化ガラス法により以下のようにして正極活物質を作製した。リン酸水素ナトリウム(NaHPO)、酸化マンガン(MnO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)、オルソリン酸(HPO)、酸化第二鉄(Fe)、シュウ酸鉄(FeC)等を原料とし、表1及び2に記載の組成となるように調合して原料バッチを作製し、1050℃にて30分間、窒素雰囲気にて溶融を行った。その後、溶融ガラスを鉄板上に流し込み急冷することで、溶融固化体を得た。この溶融固化体を遊星ボールミル(Fritch社製P7)で粉砕し、粉末状の溶融固化体を得た。得られた溶融固化体について粉末X線回折パターンを確認したところ、結晶性の回折線は確認されず非晶質体であることが確認された。
得られた粉末状の溶融固化体100質量部に対して、カーボン源としてカルボキシメチルセルロース(ナカライテスク製)5質量部、エタノール10質量部を十分に混合した後、100℃で約1時間乾燥させた。その後、5体積%水素−95体積%アルゴンの雰囲気下、表に記載の温度及び時間で焼成を行うことにより、カルボキシメチルセルロースの炭化と溶融固化体の結晶化を同時に行い、表面が炭素で被覆された正極活物質(正極活物質複合体)を得た。この正極活物質について粉末X線回折パターンを確認したところ、表に記載の結晶が析出していることが確認された。No.1の試料のXRDパターンを図1に示す。なお、図1には層状型NaMnP結晶(ICDD01−089−5488)、NaFeP結晶(ICSD79312)、β型NaMnP結晶(ICSD187790)のXRDパターンも併せて示す。
また、解析・定量ソフトとしてMaterials Data Inc.製JADE Ver.6.0を用いて、前記回折線プロファイルのデータ解析を行った。まず、10〜70°の範囲における回折線プロファイルからバックグラウンの回折プロファイルを差し引いて回折プロファイルを得た後、既述の方法で結晶相及び非晶質相の含有量を求めた。結果を表1及び2に示す。
(1−b)固相反応法による作製
表2のNo.4、5、8については、固相反応法により以下のようにして正極活物質を作製した。リン酸水素ナトリウム(NaHPO)、シュウ酸マンガン(MnC)、シュウ酸鉄(FeC)、炭酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムを原料とし、表に記載の組成になるように調合して原料バッチを作製した。遊星ボールミルを用いて原料バッチをエタノール中で混合した後、100℃で乾燥させた。乾燥後の原料バッチを電気炉中にて550℃で1時間、窒素雰囲気中で仮焼成することで脱ガスした。さらに、仮焼成した原料バッチを500kgf/cmで加圧成形後、窒素雰囲気中、600℃で12時間焼成した。得られた焼結体に対し、φ20mmのZrO玉石を使用したボールミル粉砕を5時間行い、空気分級することで平均粒子径D50が2μmの粉末を得た。この酸化物材料について粉末X線回折パターンを確認したところ、表に記載の結晶が析出していることが確認された。
(2)正極の作製
正極活物質に対し、導電助剤として導電性カーボンブラック(デンカブラック、デンカ株式会社製)、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを用いて、正極活物質:導電助剤:結着剤=85:10:5(質量比)となるように秤量し、これらをN−メチルピロリドンに分散した後、自転・公転ミキサーで十分に撹拌してスラリー化した。
次に、隙間50μmのドクターブレードを用いて、正極集電体である厚さ20μmのアルミ箔上に、得られたスラリーをコートし、乾燥機にて70℃で乾燥後、一対の回転ローラー間に通し、1t/cmでプレスすることにより電極シートを得た。電極シートを電極打ち抜き機で直径11mmに打ち抜き、160℃で6時間真空乾燥させ、円形の作用極を得た。
(3)試験電池の作製
次に、得られた作用極を、コインセルの下蓋の上に、アルミ箔面を下に向けて載置し、その上に200℃で8時間乾燥させたガラスフィルター、60℃で8時間減圧乾燥した直径16mmのポリプロピレン多孔質膜(ヘキストセラニーズ社製 セルガード#2400)からなるセパレータ、及び、対極である金属ナトリウムを積層し、試験電池を作製した。電解液としては、1M NaPF溶液/EC:DEC=1:1(EC=エチレンカーボネート DEC=ジエチルカーボネート、体積比)を用いた。なお試験電池の組み立ては露点温度−70℃以下、酸素濃度0.2ppm未満のアルゴン雰囲気環境下で行った。
(4)充放電試験
充放電試験は次のように行った。30℃で開回路電圧(OCV)から4.5VまでCC(定電流)充電(正極活物質からのナトリウムイオン放出)を行った後、4.5Vで2時間、CV(定電圧)充電を行い、正極活物質の単位質量中に充電された電気量(充電容量)を求めた。次に、4.5Vから2VまでCC放電(正極活物質へのナトリウムイオン吸蔵)させ、正極活物質の単位質量から放電された電気量(放電容量)を求めた。以降は、2V〜4.5Vで上記の充放電を繰り返し、充放電容量を求めた。なお、充放電のCレートは0.1Cとした。表1及び2に、2サイクル目の放電における平均放電電圧及び放電容量を示す。また、No.1の試料の2サイクル目の放電曲線を示す。
表1に示すように、実施例であるNo.1〜3の正極活物質は平均放電電圧が2.89V以上と高く、放電容量も53mAh/g以上と高かった。一方、表2に示すように、比較例であるNo.4〜6、8の正極活物質は層状型結晶を含有しないため、平均放電電圧が2.83V以下と低かった。No.7の正極活物質は層状型結晶を含有しているものの、組成にFeを含まないため、放電容量が20mAh/g以下と低かった。
本発明の蓄電デバイス用正極活物質は、電気自動車、電気工具、バックアップ用非常電源等に用いられるナトリウムイオン二次電池用正極活物質として好適である。

Claims (4)

  1. 一般式Na(Mn1−aFe(1.2≦x≦2.3、0.95≦y≦1.6、0.1≦a≦0.75、7≦z≦8)で表される酸化物材料からなり、層状型結晶を含有することを特徴とする蓄電デバイス用正極活物質。
  2. 前記酸化物材料における層状型結晶の含有量が10質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス用正極活物質。
  3. 結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄電デバイス用正極活物質。
  4. 請求項1に記載の蓄電デバイス用正極活物質を製造するための方法であって、
    原料を加熱溶融した後、成形することにより溶融固化体を得る工程、及び、
    溶融固化体を700℃以下で焼成する工程を含むことを特徴とする蓄電デバイス用正極活物質の製造方法。
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JP6384661B2 (ja) * 2014-08-25 2018-09-05 日本電気硝子株式会社 ナトリウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法
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