JP2011225790A - 樹脂改質剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒素含有率が0.1質量%以下の脱蛋白質化天然ゴム(a1)を含有してなるゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及び所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有してなるビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体(A)であって、グラフト率が10〜65質量%であり、アセトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.2〜1.5dl/gである樹脂改質剤。
【選択図】なし
Description
上記成分(a1)及び(a2)の混合方法の特に制限はなく、両者が乳化重合で得られるものであればラテックス同士で混合してもよく、また、成分(a2)がエチレン−α−オレフィン系共重合ゴムのような溶液重合で得られたものであれば、これを有機溶媒に再溶解して、乳化剤とともに水溶性分散体に分散し、ホモジナイザー等で攪拌して乳化するなど、公知の方法によって再乳化した後、成分(a1)のラテックスと混合してもよい。
本発明におけるビニル系単量体(b)の好ましい組み合わせは、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アクリロニトリル/メチルメタクリレート、または、スチレン/メチルメタクリレートである。
本実施例において用いられる各種評価方法は、以下の通りである。
グラフト重合時のラテックスの様態については、目視で観察し、以下の基準にて評価した。
○:ラテックス中に凝集物が見られない。
△:ラテックス中に凝集物の発生が見られる。
×:ラテックス中に凝集物の発生が多量に見られる。
ゴム質重合体ラテックス中のラテックス粒子の体積平均粒子径を、HONEYWELL社製「マイクロトラックUPA150」(商品名)を用い、室温で測定した。単位はnmである。なお、ゴム質重合体のラテックス粒子径と、同じゴム質重合体の樹脂組成物中のゴム粒径との間には、実質的な差異は無いことが知られており、前者は後者に符合する。
塩化カルシウム5質量%の水溶液を撹拌しつつゴム質重合体ラテックスを滴下してゴム成分を凝固した。析出したゴムを取り出して十分に水洗し、2mm角の大きさに細断し、真空乾燥機を用いて30℃で2週間乾燥して乾燥ゴムを得た。乾燥ゴムの一定量(r)を100倍量のトルエンに投入し、30℃で48時間静置して浸漬した後、200メッシュ金網でろ過して不溶分を得た。真空乾燥機を用いて60℃で12時間乾燥して、不溶分(s)を得て、下記よりゲル含率を算出した。
ゲル含率(%)=(s/r)×100
凝固時のスラリー(水、樹脂粉体の混合物)の様態については以下の基準にて表示した。
○:粗大粒子の形成や、凝固不十分によるスラリーの濁りがみられない。
△:粗大粒子の形成や、凝固不十分によるスラリーに濁りが多少みられる。
×:粗大粒子の形成や、凝固不十分によるスラリーの濁りが多い。
上記方法で測定した。
上記方法で測定した。
ISO 179に準拠して測定した。荷重は2J、単位はkJ/m2である。
日精樹脂工業(株)製の電動射出成形機「エルジェクト NEX80」(商品名)を用い、80mm×55mm×2.4mmの平板状の成形品を射出成形により得た。成形温度は220℃、金型温度は50℃であった。得られた成形品の表面を目視観察し、判定結果を以下の基準にて表示した。
○:表面外観が良好。フローマークが認められない。
△:表面外観が多少劣る。フローマークが多少認められる。
×:表面外観が劣る。フローマークが認められる。
(1)脱蛋白質化天然ゴムラテックス(a1)の製造
天然ゴムラテックスとしてソクテック社(マレーシア国)製の、ゴム分濃度60.2重量%、アンモニア分0.7重量%のハイアンモニアラテックス(HAラテックス、ケルダール法(Kjeldahl's method )による窒素含有率0.38%)を使用し、これをゴム分の濃度が30重量%となるように希釈した(以下、「HANR」とも言う)。このラテックスのゴム分100重量部に対して、アニオン界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)1.0重量部を添加し、ラテックスを安定化させた。次いで、このラテックスのゴム分100重量部に対して蛋白質変成剤として尿素0.2重量部を添加し、60℃で60分間静置することによって蛋白質の変成処理を行った。
スチレン(ST)45部及びアクリロニトリル(AN)15部を混合して単量体(I)を調整した。また、水10部に、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.15部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.75部と、硫酸第一鉄0.015部を溶解した溶液(以下、「RED水溶液−1」と略記する)を調整した。さらに、10部の水に、不均化ロジン酸カリウム1部とt−ブチルヒドロパーオキサイド0.3部を溶解した水溶液(以下、「OXI水溶液−1」と略記する)を調整した。次いで、撹拌装置、原料及び助剤添加装置、温度計、加熱装置などを備えた容量10Lのガラス製反応器に、水600部、上記脱蛋白質化天然ゴムラテックス(a1)を固形分換算で40部を仕込み、さらに不均化ロジン酸カリウム0.5部およびβ―ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩1部を仕込んで、窒素気流下、撹拌しながら内温を40℃まで昇温した。40℃に達した時点でRED水溶液−1のうち85質量%相当量を反応器に添加した。その直後に単量体混合物(I)およびOXI水溶液−1の85質量%相当分を、いずれも5時間にわたって連続添加し反応を進めた。重合開始から内温を60℃まで昇温し、その後、この温度で保持した。重合を開始して5時間後、RED水溶液−1の残り15質量%相当分及びOXI水溶液−1の残り15質量%相当分を反応器内に添加し、1時間の間、同じ温度で保持した後に重合を終了した。得られた共重合体ラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状の脱蛋白質化天然ゴムグラフト共重合体(A1)を得た。凝固様態、グラフト率、固有粘度の結果を表1に示す。
(1)ジエン系合成ゴムラテックス(a2)の製造
撹拌装置、原料及び助剤添加装置、温度計、加熱装置などを備えた容量10Lの耐圧容器の内部を窒素で置換後、水100部、1,3−ブタジエン100部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、過硫酸カリウム0.3部、高級脂肪酸ナトリウム石鹸0.5部、不均化ロジン酸カリウム1.5部、β―ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩0.15部、電解質として炭酸水素ナトリウム1部を仕込み、撹拌しつつ50〜70℃で40時間反応させた後、冷却して反応を終了させ、ジエン系合成ゴムのラテックス(a2)を得た。このとき重合転化率は95%、体積平均粒子径300nm、ゲル含量80%であった。
(2)複合ゴムグラフト共重合体(A2)の製造
脱蛋白質天然ゴムラテックス(a1)を固形分換算で35部とし、さらにジエン系合成ゴムラテックス(a2)を固形分換算で5部加えた以外、実施例1と同様にして、共重合体ラテックスを得た。このラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体(A2)を得た。凝固様態、グラフト率、固有粘度の結果を表1に示す。
表1に示す分子量調節剤、開始剤、重合温度、重合時間に変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、グラフト共重合体ラテックスを得た。これらのラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体を得た。凝固様態、グラフト率、固有粘度の結果を表1に示す。
脱蛋白化天然ゴムラテックス(a1)の代わりに実施例1で用いたハイアンモニアラテックス(HANR)をそのまま用いた以外、実施例1と同様に重合を行った。重合態様は悪く、ラテックス中に凝集物が多量に発生し、重合は困難を極めたが、脱蛋白質化されていない天然ゴムグラフト共重合体のラテックスを得た。このラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体(A2)を得た。凝固様態、グラフト率、固有粘度の結果を表1に示す。
さらに、上記実施例1〜4及び比較例1〜5で得られたグラフト共重合体とAS樹脂及び酸化防止剤とを、表1に示す配合比率でヘンシェルミキサーに投入し、混合した。その後、単軸押出機(型名「DMG型40mmマジックベント押出機」、日本プラコン(株)製)を用いて上記の方法で評価した。結果を表1に示す。なお、表1のAS樹脂及び酸化防止剤の略号は下記を意味する。
(C) AS樹脂(アクリロニトリル・スチレン共重合体)
C1:テクノポリマー(株)社製AS樹脂「サンレックス SAN−C」(商品名)
(D) 酸化防止剤(安定剤)
D1:城北化学工業(株)製リン系酸化防止剤「JP−650」(商品名)(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)
D2:チバスペシャリティケミカルズ社製フェノール系酸化防止剤「イルガノックス1010」(商品名)(ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])
これに対し、表1から以下のことがわかる
比較例1は、グラフト率が本発明の請求範囲外で高いものであるが、重合様態が悪く、この共重合体(B1)を用いた組成物は、耐衝撃性が低く、成形品表面外観に劣る。
比較例2は、グラフト率が本発明の請求範囲外で低いものであるが、凝固様態が悪く、この共重合体(B2)を用いた組成物は、耐衝撃性に劣る。
比較例3は、固有粘度が本発明の請求範囲外で高いものであるが、この共重合体(B3)を用いた組成物は、耐衝撃性が低く、成形品表面外観に劣る。
比較例4は、固有粘度が本発明の請求範囲外で低いものであるが、ラテックスの凝固様態が悪く、この共重合体(B4)を用いた組成物は、耐衝撃性に劣る。
比較例5は、ベースゴムに脱蛋白質化を行っていない天然ゴムを使用したものであるが、グラフト重合時の重合様態が悪く、この共重合体(B5)を用いた組成物は、衝撃強度が低く、成形品の表面外観も悪い。
Claims (5)
- 窒素含有率が0.1質量%以下の脱蛋白質化天然ゴム(a1)を含有してなるゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及び所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有してなるビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体(A)からなり、グラフト率が10〜65質量%であり、アセトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.2〜1.5dl/gである樹脂改質剤。
- 上記成分(a1)の体積平均粒子径(Mean volume particle diameter)が20〜25000nmである請求項1に記載の樹脂改質剤。
- 上記成分(a1)の窒素含有率が0.05質量%以下である請求項1に記載の樹脂改質剤。
- ゴム質重合体が上記成分(a1)3〜90質量%と合成ゴム(a2)10〜97質量%とからなる(ただし、成分(a1)と成分(a2)の合計は100質量%)請求項1に記載の樹脂改質剤。
- ゴム質重合体が上記成分(a1)100質量%からなる請求項1に記載の樹脂改質剤。
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