JP2011225790A - 樹脂改質剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム成分として脱蛋白質化天然ゴムを使用した樹脂の耐衝撃性改善剤であって、特に芳香族ビニル系樹脂の耐衝撃性改善効果に優れたものを提供する。
【解決手段】窒素含有率が0.1質量%以下の脱蛋白質化天然ゴム(a1)を含有してなるゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及び所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有してなるビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体(A)であって、グラフト率が10〜65質量%であり、アセトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.2〜1.5dl/gである樹脂改質剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、脱蛋白質化天然ゴムを変性した樹脂改質剤に関する。
ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂に代表されるゴム変性熱可塑性樹脂は、優れた剛性、耐衝撃性、耐熱変形性等を有するため、各種雑貨、自動車の内外装材、家電製品及びOA機器のハウジング及び部品などに広く使用されている。
かかるゴム変性熱可塑性樹脂は、代表的には、ゴム成分の存在下でビニル系単量体を重合することによって得ることができる。このゴム成分は、樹脂を強化する目的で使用されており、目的に応じて各種の合成ゴムが用いられている。例えば、ABS樹脂ではブタジエンゴム、AES樹脂ではエチレン−α−オレフィン系ゴム、AAS樹脂ではアクリル系ゴムが用いられ、また、ゴム成分としてシリコーン系ゴムを用いたゴム変性熱可塑性樹脂も知られている。このうち、ゴム成分としてブタジエンゴムを用いたABS樹脂は比較的安価で汎用性が高く耐衝撃性の点でも優れているので、最も広く用いられている。しかし、合成ゴムに依存する耐衝撃性の向上は既に限界に来ており、更なる耐衝撃性を付与するゴム成分を得るには、これまでにない手法を見出すことが求められている。
一方、天然ゴムは、機械的性質や強度が各種の合成ゴムと比較して各段に優れており、従来から、自動車用タイヤ、ベルト、接着剤などの工業用品から手袋などの家庭用品に至る各種ゴム製品の原材料として利用されている。しかし、固形の天然ゴムをAS樹脂等と混練しても、ゴムの分散粒径や界面強度の低さから、耐衝撃性は向上しない。また、天然ゴムラテックスにビニル系単量体をグラフト重合することは知られているが、天然ゴム中に存在する不純物、特に蛋白質がグラフト重合反応を阻害するため、グラフトが制限され、高い耐衝撃性改善効果は得られなかった。
近年、天然ゴムの蛋白質を除去する技術が進み、脱蛋白質化天然ゴムを利用した技術が各種提案されているが、その多くは、各種ゴム製品の原材料としての用途に関するものである(特許文献1〜4参照)。また、脱蛋白質化天然ゴムにビニル系単量体をグラフト重合して得られた改質剤をポリ乳酸に配合してその耐衝撃性を改善することが既に提案されている(特許文献5参照)。しかし、この提案では、ビニル系単量体として(メタ)アクリル酸エステル又は酢酸ビニルが使用されているに過ぎず、そのグラフト率も7〜10%と低く、また、ポリ乳酸以外の樹脂の改質用途については一切言及していない。
特許2905005号公報 特開2002−245904号公報 特許4140715号公報 特開2005−291681号公報 特開2009−84333号公報
そこで、本発明は、ゴム成分として脱蛋白質化天然ゴムを使用した樹脂の耐衝撃性改善剤であって、特に芳香族ビニル系樹脂の耐衝撃性改善効果に優れたものを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、特定の窒素含有率以下まで脱蛋白質化した天然ゴムに芳香族ビニル系単量体をグラフト重合して得られた特定のグラフト率を満たすグラフト共重合体が、熱可塑性樹脂、特に芳香族ビニル系樹脂の耐衝撃性改善効果に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、窒素含有率が0.1質量%以下の脱蛋白質化天然ゴム(a1)を含有してなるゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及び所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有してなるビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体(A)であって、グラフト率が10〜65質量%であり、アセトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.2〜1.5dl/gである樹脂改質剤が提供される。
本発明によれば、ゴム質重合体として特定の脱蛋白質化天然ゴムを使用し、該ゴム質重合体に所定量の芳香族ビニル系単量体をグラフト重合させることとしたので、芳香族ビニル系樹脂等の各種樹脂の耐衝撃性及び成形品表面外観の改善に使用でき、かつ、ゴム質重合体として通常の天然ゴムを使用して得られたグラフト共重合体よりも優れた耐衝撃性及び成形品表面外観の改善効果を奏する樹脂改質剤が得られる。
また、本発明の樹脂改質剤は、ゴム質重合体としてカーボンニュートラルな脱蛋白質化天然ゴムを使用しているので、単にグラフト率の高いグラフト重合体が得られるばかりでなく、環境に優しく、また、蛋白質の腐敗や、アンモニア処理に起因する臭気の問題も生じない。また、本発明の樹脂改質剤をポリ乳酸などの生分解性樹脂に配合することにより、耐衝撃性及び成形品表面外観が改善され、かつ、環境に優しい樹脂組成物が得られる。
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
本発明で使用するグラフト共重合体(A)は、窒素含有率が0.1質量%以下の脱蛋白質化天然ゴム(a1)を含有してなるゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及び所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有してなるビニル系単量体(b)を重合して得られる。
ゴム質重合体(a)は、窒素含有率が0.1質量%以下の脱蛋白質化天然ゴム(a1)を含有してなるものであれば特に限定されないが、該成分(a1)5〜100質量%と合成ゴム(a2)0〜95質量%と(ただし、成分(a1)と成分(a2)の合計は100質量%)から構成されることが好ましい。
脱蛋白質化天然ゴム(a1)は、公知の脱蛋白質化方法により天然ゴムラテックス中の蛋白質を除去したものであれば特に限定されない。脱蛋白質化方法としては、例えば、天然ゴムラテックスに蛋白質分解酵素を添加して蛋白質を分解する方法、天然ゴムラテックスを界面活性剤で洗浄する方法、天然ゴムラテックスに尿素系蛋白質変成剤を添加して蛋白質を分解する方法、これらの組み合わせなどが挙げられる。具体的には、特開平6−56902号公報、特開2004−99696号公報、特開2009−84333号公報などに記載の方法が挙げられる。
天然ゴムラテックスの脱蛋白質化の程度は、天然ゴムの窒素含有率で代表することができる。この窒素含有率は、RRIM試法としてRubber Reseach Institute of Malaysia(1973),‘SMR Bulletin No.7’等に記されているケルダール法(Kjeldahl’s method)によって求められる。本発明で使用する脱蛋白質化天然ゴム(a1)の窒素含有率は0.1重量%以下であることが必要であり、好ましくは0.08重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.03重量%以下である。脱蛋白質化天然ゴムの窒素含有率が高過ぎると、ビニル系単量体のグラフト重合が阻害され、樹脂の耐衝撃性を改善する効果が十分でなくなり、さらには、重合状態や成形品表面外観が損なわれる場合もある。なお、脱蛋白質化天然ゴムは、通常の天然ゴムに比べて、品質が安定しており、熱安定性に優れ、腐敗し難いため長期保存ができる。また、通常の天然ゴムは、含有する蛋白質の腐敗防止のためにアンモニア処理されているが、該アンモニア処理されたラテックスを脱蛋白質化した場合、アンモニア成分の大部分も同時に除去されるため、臭気の問題も発生しないという利点を有する。
本発明で使用する脱蛋白質化天然ゴム(a1)の体積平均粒子径(Mean volume particle diameter)は、出発原料として使用する天然ゴムラテックスの粒子径に依存するが、通常20〜25000nm、好ましくは50〜10000nm、より好ましくは100〜5000nm、さらにより好ましくは300〜1500nm、特に好ましくは500〜1500nmである。体積平均粒子径がこの範囲内であることが、耐衝撃性の改良効果の点から望ましい。なお、上記成分(a1)のゲル含量は、特に規定されるものではないが、好ましくは10〜90%、より好ましくは30〜70%である。ゲル含量がこの範囲であれば、より高い耐衝撃性の改良効果が得られる。上記成分(a1)は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
合成ゴム(a2)は、特に限定されず、ジエン系ゴムであっても非ジエン系ゴムであってもよい。ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、及びこれらの水素添加物が挙げられる。非ジエン系ゴムとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合体などのエチレン−α−オレフィン系共重合ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、及びシリコーン・アクリル系複合ゴムが挙げられる。これらのうち、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、アクリル系ゴム及びシリコーン系ゴムが好ましく、ポリブタジエン及びブタジエン・スチレン共重合体がより好ましい。ブタジエン・スチレン共重合体のスチレンの含有量は、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。スチレン含量が高すぎると、耐衝撃性の改良効果が十分でなくなる場合がある。
合成ゴム(a2)の体積平均粒子径(Mean volume particle diameter)は、通常20〜10000nm、好ましくは50〜5000nm、より好ましくは80〜2000nm、特に好ましくは50〜500nmである。体積平均粒子径がこの範囲であることが、耐衝撃性の改良効果の点から望ましい。なお、上記成分(a2)のゲル含量は、特に規定されるものではないが、好ましくは10%以上、より好ましくは30〜97%、さらに好ましくは50〜95%である。ゲル含量がこの範囲であれば、より高い耐衝撃性の改良効果が得られる。上記成分(a2)は,1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゴム質重合体(a)が上記成分(a1)100質量%からなる場合は、環境に好ましい製品が得られるが、耐衝撃性の改良効果や成形品外観が不十分になる可能性がある。耐衝撃性の改良効果や成形品外観の点からは、ゴム質重合体(a)を、上記成分(a1)3〜90質量%と合成ゴム(a2)10〜97質量%とから構成する(ただし、成分(a1)と成分(a2)の合計は100質量%)ことが好ましい。上記成分(a1)及び上記成分(a2)の配合比率((a1)/(a2))は、好ましくは70/30〜10/90質量%、より好ましくは50/50〜15/85質量%である。上記成分(a1)及び上記成分(a2)の配合率がこの範囲内にあることが、耐衝撃性の改良効果及び成形品外観の点から好ましい。
ゴム質重合体(a)を上記成分(a1)及び(a2)から構成する場合、ゴム質重合体(a)全体の体積平均粒子径(Mean volume particle diameter)は、通常100〜1200nm、好ましくは350〜1000nmである。この体積平均粒子径が100nm未満では、耐衝撃性改善効果が十分でなくなる可能性があり、1200nmを超えると、耐衝撃性改善効果又は成形品表面外観が十分でなくなる可能性がある。
上記成分(a1)及び(a2)の混合方法の特に制限はなく、両者が乳化重合で得られるものであればラテックス同士で混合してもよく、また、成分(a2)がエチレン−α−オレフィン系共重合ゴムのような溶液重合で得られたものであれば、これを有機溶媒に再溶解して、乳化剤とともに水溶性分散体に分散し、ホモジナイザー等で攪拌して乳化するなど、公知の方法によって再乳化した後、成分(a1)のラテックスと混合してもよい。
ビニル系単量体(b)は、芳香族ビニル化合物及び所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体からなる。このうち、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、その他のメチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。好ましい芳香族ビニル化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、または、芳香族ビニル化合物中にスチレンを50質量%以上含むものである。芳香族ビニル化合物の使用量は、ビニル系単量体(b)全体に対し、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%、さらに好ましくは65〜85質量%である。芳香族ビニル化合物の使用量がこの範囲内であることが本発明の樹脂改質剤を含有する組成物の成形性や、得られる成形品の成形外観の点から好ましい。
芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどシアン化ビニル化合物;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合物などが挙げられ、好ましくはシアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルが挙げられ、より好ましくは、シアン化ビニル化合物及びメタクリル酸アルキルエステルが挙げられ、特に好ましくは、シアン化ビニル化合物が挙げられる。これら他の単量体は、その目的に応じて選ぶことができ、例えばシアン化ビニル化合物を用いた場合、耐薬品性、耐衝撃性及び極性を有する重合体との相溶性を向上させることができる。また、メタクリル酸アルキルエステル化合物を用いた場合、成形品の表面硬度や耐傷付き性を向上させることができる。また、α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物を用いた場合、耐熱変形性を向上させることができる。これらの他の単量体は、1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。これらの他の単量体の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲であればよく、ビニル系単量体(b)全体を100質量%とした場合に、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜35質量%である。これらの他の単量体の使用量が50質量%を超える場合、本発明の組成物の成形性や得られる成形品の外観を損なう可能性があり、一方、5質量%未満では、その単量体を用いることで得られることが期待される改質効果が十分に得られない可能性がある。
本発明におけるビニル系単量体(b)の好ましい組み合わせは、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アクリロニトリル/メチルメタクリレート、または、スチレン/メチルメタクリレートである。
グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体(a)の含有量は、成分(a)及び成分(b)の合計100質量%に対して、通常5〜49質量%、好ましくは5〜45質量%、より好ましくは10〜30質量%である。成分(a)の使用量がこの範囲外の場合、得られる成形品の耐衝撃性が不十分になる可能性がある。
上記グラフト共重合体(A)のグラフト率は、通常10〜65%、好ましくは15〜55%、より好ましくは20〜50%である。グラフト率が10%未満では、ゴムと樹脂との界面強度が低くなり、耐衝撃性改善効果が十分でなくなる可能性があり、65%を超えると、重合安定性が低下したり、耐衝撃性改善効果が不十分になる可能性がある。グラフト率は、重合開始剤の種類、量、重合温度、さらには単量体の量などによって容易に調整することができる。
このグラフト率(質量%)は、次式(1)により求められる。
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100・・・(1)
上記式(1)中、Tはグラフト共重合体(A)1gをアセトン(ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムの場合、アセトニトリル)20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは該グラフト共重合体(A)1gに含まれる成分(a)の質量(g)である。
また、上記グラフト共重合体(A)のアセトン(ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムの場合、アセトニトリル)可溶分の固有粘度[η](30℃、メチルエチルケトン中で測定)は、0.2〜1.5dl/gであり、好ましくは0.2〜1.0dl/g、より好ましくは0.3〜0.8dl/gである。固有粘度[η]が0.2dl/g未満であると、耐衝撃性改善効果が十分でなくなり、1.5dl/gを超えると、成形性が十分でなくなる。上記固有粘度[η]は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さらには重合時間、重合温度などを変えることにより、制御することができる。
上記固有粘度[η]の測定は、下記の方法で行った。まず、上記グラフト率測定において分離されるアセトン可溶分を採取し、乾燥してアセトンを除去した後、メチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点作った。30℃の温水中にてウベローデ粘度計を用いて各濃度の還元粘度を測定した結果から求めた。単位は、dl/gである。
グラフト共重合体(A)の重合方法は、特に制限がなく、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合や、それらを組み合わせたラジカルグラフト重合方法により行うことができる。これらのうち、ゴム質重合体(a)がラテックスの状態で供給される乳化重合を用いることが好ましい。なお、上記ラジカルグラフト重合には、通常使用されている重合溶媒(溶液重合の場合)、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤(乳化重合の場合)、懸濁剤(懸濁重合の場合)などを用いることができる。また、グラフト共重合体(A)を製造するのに用いるビニル系単量体(b)は、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、単量体成分を一括添加して重合してもよく、または分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、これらを組み合わせた方法で、重合してもよい。さらに、ゴム質重合体(a)の全量または一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
溶液重合法で用いられる溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶剤であり、例えばエチルベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、ジクロロメチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などの有機溶剤が用いられる。溶剤の使用量は、上記成分(a)及び成分(b)の合計量100質量部に対し、通常20〜200質量部、好ましくは50〜150質量部である。
上記重合開始剤は、重合法に合った一般的な開始剤が用いられる。溶液重合の重合開始剤としては、例えばケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどの有機過酸化物等を用いることができる。また、重合開始剤は、重合系に、一括または連続的に添加することができる。重合開始剤の使用量は、単量体成分に対し、通常0.05〜2質量%、好ましくは0.2〜0.8質量%である。
また、乳化重合の重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方などで代表される還元剤との組み合わせによるレドックス系、または過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物等を用いることができる。このうち、好ましくは、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方などで代表される還元剤との組み合わせによるレドックス系がよい。また、開始剤は油溶性でも水溶性でもよく、さらには油溶性と水溶性を組み合わせて用いてもよい。組み合わせる場合の水溶性開始剤の添加比率は、通常全添加量の50質量%以下、好ましくは25質量%以下である。さらに、重合開始剤は、重合系に一括または連続的に添加することができる。重合開始剤の使用量は、単量体成分に対し、通常0.1〜1.5質量%、好ましくは0.2〜0.7質量%である。
また、連鎖移動剤としては、例えばオクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィド、四塩化炭素、臭化エチレンおよびペンタフェニルエタンなどの炭化水素類、またはアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンのダイマーなどが挙げられる。これらの連鎖移動剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の使用方法は、一括添加、分割添加、または連続添加のいずれの方法でも差し支えない。連鎖移動剤の使用量は、単量体成分に対し、通常0〜5質量%である。
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。このうち、アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系塩、脂肪酸塩などが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。さらに、両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分としてアミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つものが挙げられる。乳化剤の使用量は、単量体成分に対し、通常0.1〜5質量%である。なお、グラフト重合の際の重合温度は、通常10〜160℃、好ましくは30〜120℃である。
ゴム質重合体(a)の存在下、ビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体(A)には、通常ビニル系単量体成分がゴム質重合体にグラフトした共重合体と、ビニル系単量体成分がゴム質重合体にグラフトしていない未グラフト成分(すなわち、ビニル系単量体成分同士の単独及び共重合体)が含まれる。
本発明の樹脂改質剤は、他の熱可塑性樹脂とブレンドしてその耐衝撃性を改善するために使用することができる。他の熱可塑性樹脂としては特に限定はなく、例えばポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体等のスチレン系(共)重合体;天然ゴムを含有しないABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂等のゴム変性スチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等の、エチレン及び炭素数が3〜10のα−オレフィンの少なくとも1種からなるオレフィン(共)重合体およびその変性重合体(塩素化ポリエチレン等)、環状オレフィン共重合体等のオレフィン系樹脂;アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のエチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、エチレン・塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステルの1種以上を用いた(共)重合体からなるアクリル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,12等のポリアミド系樹脂(PA);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール樹脂(POM);ポリカーボネート樹脂(PC);ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;液晶ポリマー;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
他の熱可塑性樹脂には、本発明の樹脂改質剤とともに、本発明の効果を損なわない範囲で、目的、用途等に応じて、添加剤を混合して使用してもよい。かかる添加剤としては、流動剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、蛍光染料、その他の着色剤、光拡散剤、結晶核剤、流動改質剤、衝撃改質剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤、光触媒系防汚剤、重合開始剤等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
上記添加剤を混合する方法としては、例えば各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等を用い、各成分を混練りする方法があり、好ましくは押出機、バンバリーミキサーを用いる方法が挙げられる。各成分の混練りに際しては、各成分を一括して混練りしてもよく、数回に分けて添加混練りしてもよい。混練りは、押出機で多段添加して混練りしてもよく、またバンバリーミキサー、ニーダーなどで混練りし、その後、押出機でペレット化することもできる。これらの添加剤は、本発明の樹脂改質剤に予め添加しておいてもよく、他の熱可塑性樹脂との混合時に添加してもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断らない限り質量基準である。
<評価方法>
本実施例において用いられる各種評価方法は、以下の通りである。
(1)グラフト重合様態
グラフト重合時のラテックスの様態については、目視で観察し、以下の基準にて評価した。
○:ラテックス中に凝集物が見られない。
△:ラテックス中に凝集物の発生が見られる。
×:ラテックス中に凝集物の発生が多量に見られる。
(2)ゴム質重合体の粒子径の測定
ゴム質重合体ラテックス中のラテックス粒子の体積平均粒子径を、HONEYWELL社製「マイクロトラックUPA150」(商品名)を用い、室温で測定した。単位はnmである。なお、ゴム質重合体のラテックス粒子径と、同じゴム質重合体の樹脂組成物中のゴム粒径との間には、実質的な差異は無いことが知られており、前者は後者に符合する。
(3)ゴム質重合体のゲル含率の測定
塩化カルシウム5質量%の水溶液を撹拌しつつゴム質重合体ラテックスを滴下してゴム成分を凝固した。析出したゴムを取り出して十分に水洗し、2mm角の大きさに細断し、真空乾燥機を用いて30℃で2週間乾燥して乾燥ゴムを得た。乾燥ゴムの一定量(r)を100倍量のトルエンに投入し、30℃で48時間静置して浸漬した後、200メッシュ金網でろ過して不溶分を得た。真空乾燥機を用いて60℃で12時間乾燥して、不溶分(s)を得て、下記よりゲル含率を算出した。
ゲル含率(%)=(s/r)×100
(4)グラフト共重合体ラテックスの凝固様態
凝固時のスラリー(水、樹脂粉体の混合物)の様態については以下の基準にて表示した。
○:粗大粒子の形成や、凝固不十分によるスラリーの濁りがみられない。
△:粗大粒子の形成や、凝固不十分によるスラリーに濁りが多少みられる。
×:粗大粒子の形成や、凝固不十分によるスラリーの濁りが多い。
(5)グラフト率
上記方法で測定した。
(6)固有粘度
上記方法で測定した。
(7)シャルピー衝撃強度
ISO 179に準拠して測定した。荷重は2J、単位はkJ/mである。
(8)成形品表面外観
日精樹脂工業(株)製の電動射出成形機「エルジェクト NEX80」(商品名)を用い、80mm×55mm×2.4mmの平板状の成形品を射出成形により得た。成形温度は220℃、金型温度は50℃であった。得られた成形品の表面を目視観察し、判定結果を以下の基準にて表示した。
○:表面外観が良好。フローマークが認められない。
△:表面外観が多少劣る。フローマークが多少認められる。
×:表面外観が劣る。フローマークが認められる。
実施例1
(1)脱蛋白質化天然ゴムラテックス(a1)の製造
天然ゴムラテックスとしてソクテック社(マレーシア国)製の、ゴム分濃度60.2重量%、アンモニア分0.7重量%のハイアンモニアラテックス(HAラテックス、ケルダール法(Kjeldahl's method )による窒素含有率0.38%)を使用し、これをゴム分の濃度が30重量%となるように希釈した(以下、「HANR」とも言う)。このラテックスのゴム分100重量部に対して、アニオン界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)1.0重量部を添加し、ラテックスを安定化させた。次いで、このラテックスのゴム分100重量部に対して蛋白質変成剤として尿素0.2重量部を添加し、60℃で60分間静置することによって蛋白質の変成処理を行った。
蛋白質変成処理を完了したラテックスについて13000rpmで30分間遠心分離処理を施した。こうして分離した上層のクリーム分を界面活性剤の1%水溶液にゴム分濃度が30%になるよう分散し、2回目の遠心分離処理を上記と同様にして行った。さらに、得られたクリーム分を界面活性剤の1%水溶液に再分散させることによって、脱蛋白質化天然ゴムラテックス(a1)を得た。得られた天然ゴム粒子の体積平均粒子径は990nm、ゲル含量55%であった。このゴムに含まれる蛋白質の量は、ケルダール法による窒素含有量(N%)で表すと0.028%であった
(2)脱蛋白質化天然ゴムグラフト共重合体(A1)の製造
スチレン(ST)45部及びアクリロニトリル(AN)15部を混合して単量体(I)を調整した。また、水10部に、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.15部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.75部と、硫酸第一鉄0.015部を溶解した溶液(以下、「RED水溶液−1」と略記する)を調整した。さらに、10部の水に、不均化ロジン酸カリウム1部とt−ブチルヒドロパーオキサイド0.3部を溶解した水溶液(以下、「OXI水溶液−1」と略記する)を調整した。次いで、撹拌装置、原料及び助剤添加装置、温度計、加熱装置などを備えた容量10Lのガラス製反応器に、水600部、上記脱蛋白質化天然ゴムラテックス(a1)を固形分換算で40部を仕込み、さらに不均化ロジン酸カリウム0.5部およびβ―ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩1部を仕込んで、窒素気流下、撹拌しながら内温を40℃まで昇温した。40℃に達した時点でRED水溶液−1のうち85質量%相当量を反応器に添加した。その直後に単量体混合物(I)およびOXI水溶液−1の85質量%相当分を、いずれも5時間にわたって連続添加し反応を進めた。重合開始から内温を60℃まで昇温し、その後、この温度で保持した。重合を開始して5時間後、RED水溶液−1の残り15質量%相当分及びOXI水溶液−1の残り15質量%相当分を反応器内に添加し、1時間の間、同じ温度で保持した後に重合を終了した。得られた共重合体ラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状の脱蛋白質化天然ゴムグラフト共重合体(A1)を得た。凝固様態、グラフト率、固有粘度の結果を表1に示す。
実施例2
(1)ジエン系合成ゴムラテックス(a2)の製造
撹拌装置、原料及び助剤添加装置、温度計、加熱装置などを備えた容量10Lの耐圧容器の内部を窒素で置換後、水100部、1,3−ブタジエン100部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、過硫酸カリウム0.3部、高級脂肪酸ナトリウム石鹸0.5部、不均化ロジン酸カリウム1.5部、β―ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩0.15部、電解質として炭酸水素ナトリウム1部を仕込み、撹拌しつつ50〜70℃で40時間反応させた後、冷却して反応を終了させ、ジエン系合成ゴムのラテックス(a2)を得た。このとき重合転化率は95%、体積平均粒子径300nm、ゲル含量80%であった。
(2)複合ゴムグラフト共重合体(A2)の製造
脱蛋白質天然ゴムラテックス(a1)を固形分換算で35部とし、さらにジエン系合成ゴムラテックス(a2)を固形分換算で5部加えた以外、実施例1と同様にして、共重合体ラテックスを得た。このラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体(A2)を得た。凝固様態、グラフト率、固有粘度の結果を表1に示す。
実施例3〜4、比較例1〜4
表1に示す分子量調節剤、開始剤、重合温度、重合時間に変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、グラフト共重合体ラテックスを得た。これらのラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体を得た。凝固様態、グラフト率、固有粘度の結果を表1に示す。
比較例5
脱蛋白化天然ゴムラテックス(a1)の代わりに実施例1で用いたハイアンモニアラテックス(HANR)をそのまま用いた以外、実施例1と同様に重合を行った。重合態様は悪く、ラテックス中に凝集物が多量に発生し、重合は困難を極めたが、脱蛋白質化されていない天然ゴムグラフト共重合体のラテックスを得た。このラテックスを凝固、水洗、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体(A2)を得た。凝固様態、グラフト率、固有粘度の結果を表1に示す。
試験例(樹脂改質剤としての性能評価(実施例1〜4、比較例1〜5))
さらに、上記実施例1〜4及び比較例1〜5で得られたグラフト共重合体とAS樹脂及び酸化防止剤とを、表1に示す配合比率でヘンシェルミキサーに投入し、混合した。その後、単軸押出機(型名「DMG型40mmマジックベント押出機」、日本プラコン(株)製)を用いて上記の方法で評価した。結果を表1に示す。なお、表1のAS樹脂及び酸化防止剤の略号は下記を意味する。
(C) AS樹脂(アクリロニトリル・スチレン共重合体)
C1:テクノポリマー(株)社製AS樹脂「サンレックス SAN−C」(商品名)
(D) 酸化防止剤(安定剤)
D1:城北化学工業(株)製リン系酸化防止剤「JP−650」(商品名)(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)
D2:チバスペシャリティケミカルズ社製フェノール系酸化防止剤「イルガノックス1010」(商品名)(ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])
Figure 2011225790
表1の結果から明らかなように、脱蛋白質化天然ゴムを用いた実施例1〜4の樹脂改質剤は重合様態、凝固様態が良好であり、またこれらの改質剤を用いた熱可塑性樹脂組成物は、衝撃強度(C−Imp)及び成形品表面外観に優れることがわかった。
これに対し、表1から以下のことがわかる
比較例1は、グラフト率が本発明の請求範囲外で高いものであるが、重合様態が悪く、この共重合体(B1)を用いた組成物は、耐衝撃性が低く、成形品表面外観に劣る。
比較例2は、グラフト率が本発明の請求範囲外で低いものであるが、凝固様態が悪く、この共重合体(B2)を用いた組成物は、耐衝撃性に劣る。
比較例3は、固有粘度が本発明の請求範囲外で高いものであるが、この共重合体(B3)を用いた組成物は、耐衝撃性が低く、成形品表面外観に劣る。
比較例4は、固有粘度が本発明の請求範囲外で低いものであるが、ラテックスの凝固様態が悪く、この共重合体(B4)を用いた組成物は、耐衝撃性に劣る。
比較例5は、ベースゴムに脱蛋白質化を行っていない天然ゴムを使用したものであるが、グラフト重合時の重合様態が悪く、この共重合体(B5)を用いた組成物は、衝撃強度が低く、成形品の表面外観も悪い。
本発明の樹脂改質剤は、各種熱可塑性樹脂の耐衝撃性を改善するのに有用であり、ゴム変性熱可塑性樹脂の原料として利用できる。

Claims (5)

  1. 窒素含有率が0.1質量%以下の脱蛋白質化天然ゴム(a1)を含有してなるゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及び所望により該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有してなるビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体(A)からなり、グラフト率が10〜65質量%であり、アセトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトン中、30℃)が0.2〜1.5dl/gである樹脂改質剤。
  2. 上記成分(a1)の体積平均粒子径(Mean volume particle diameter)が20〜25000nmである請求項1に記載の樹脂改質剤。
  3. 上記成分(a1)の窒素含有率が0.05質量%以下である請求項1に記載の樹脂改質剤。
  4. ゴム質重合体が上記成分(a1)3〜90質量%と合成ゴム(a2)10〜97質量%とからなる(ただし、成分(a1)と成分(a2)の合計は100質量%)請求項1に記載の樹脂改質剤。
  5. ゴム質重合体が上記成分(a1)100質量%からなる請求項1に記載の樹脂改質剤。
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