JP2009084333A - ポリ乳酸/天然ゴム組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸/天然ゴム組成物及びその製造方法 Download PDF

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英幸 今井
Narimoto Kawahara
成元 河原
Yoshimasa Yamamoto
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Abstract

【課題】天然ゴム由来の改質剤を均一に分散させることにより耐衝撃性を向上させることのできるポリ乳酸/天然ゴム組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】天然ゴムおよび脱蛋白質化天然ゴムの少なくとも一方からなるゴム状重合体が分散した溶液にビニルモノマーを添加してグラフト化ゴム状重合体を形成し、同反応液に酸を添加してグラフト化ゴム状重合体を凝集させて回収した凝集物を乾燥させて、粉体化した粒子状のポリ乳酸樹脂改質剤を得る。その後、得られた改質剤とポリ乳酸樹脂とを溶融混練してポリ乳酸/天然ゴム組成物を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、天然ゴム由来の改質剤を含有する耐衝撃性に優れたポリ乳酸/天然ゴム組成物およびその製造方法に関する。
近年、石油資源の枯渇や地球温暖化などに対する懸念から植物由来材料への関心が高まっている。こうした植物由来材料の代表的なものとして、ポリ乳酸樹脂(PLA)がある。このポリ乳酸樹脂は、コーンやイモ類などの植物由来の澱粉を発酵して得られる乳酸を原料とするため、石油資源の消費を抑制することができるとともに、原料である植物が生長過程で地球温暖化の要因となる二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化の抑制にも寄与することができると期待されている。そして、他の植物由来材料と比較してコスト面や物性面で優れていることから様々な分野において実用化が望まれているものの、脆くて耐衝撃性が低いといった欠点があるためその用途は限られている。
そこで、ポリ乳酸樹脂の耐衝撃性を向上させるため、エラストマー成分(合成ゴム、天然ゴム)をブレンドさせる構成が種々開示されている。このうち、石油資源に依存しない植物由来である天然ゴムを使用することがより望ましいとして、天然ゴムを使用する様々な試みがなされている。例えば、特許文献1では、結晶性ポリ乳酸と天然ゴムおよびポリイソプレンの少なくとも一方とからなる樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2では、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体およびポリ乳酸の少なくとも一方と、天然ゴムおよびエポキシ化天然ゴムの少なくとも一方とからなることを特徴とする樹脂組成物が開示されている。さらに、特許文献3では、ポリ乳酸と脱タンパク天然ゴムとを含有する樹脂組成物が開示されている。
特開2003−183488号公報 特開2005−255722号公報 特開2005−336414号公報
ところで、特許文献1〜3に開示された組成物では、非極性である天然ゴムと高極性であるポリ乳酸との相溶性が悪いため、天然ゴムの粒子がポリ乳酸の樹脂中に均一に分散せず、いずれも不均一な組成物となる虞がある。したがって、耐衝撃性向上に対する十分な効果が得られない虞がある。
ここで、特許文献2で開示された樹脂組成物のように、エポキシ化された天然ゴムをブレンドさせる構成にあっては、一般的なエポキシ化天然ゴムのエポキシ化率が30%程度であるため、エポキシ基の存在する箇所で部分的には極性が形成されるものの、エポキシ基が存在しない非極性部分においてはポリ乳酸樹脂との相溶性が悪い。すなわち、天然ゴムの全体としての相溶性は依然として改善されていないため、この点になお改善すべき余地がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、天然ゴム由来の改質剤を均一に分散させることにより耐衝撃性を向上させることのできるポリ乳酸/天然ゴム組成物およびその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ポリ乳酸樹脂に同ポリ乳酸樹脂を改質する天然ゴム由来の改質剤が少なくとも混合されてなるポリ乳酸/天然ゴム組成物であって、前記改質剤は、天然ゴムおよび脱蛋白質化天然ゴムの少なくとも一方からなるゴム状重合体と、同ゴム状重合体の表面にビニルモノマーをグラフト共重合させて形成される表層とを有し、粒子状の前記改質剤が前記ポリ乳酸樹脂中に分散されてなることを要旨とする。
上記構成によれば、前記改質剤は天然ゴムおよび脱蛋白質化天然ゴムの少なくとも一方からなるゴム状重合体と、同ゴム状重合体の表面にビニルモノマーをグラフト共重合させて形成される表層とを有するため、非極性であるゴム状重合体の表面を、極性を有するグラフト鎖により形成される表層で覆うことができる。この極性を有するグラフト鎖は、高極性であるポリ乳酸との相溶性が良いため、粒子状の同改質剤をポリ乳酸樹脂中に均一に分散させることができるようになる。すなわち、ポリ乳酸樹脂の耐衝撃性向上に寄与するゴム状重合体をポリ乳酸樹脂中に均一に分散させることができるため、耐衝撃性を向上させたポリ乳酸/天然ゴム組成物を得ることができるようになる。
ここで、ゴム状重合体は、天然ゴムおよび脱蛋白質化天然ゴムの少なくとも一方からなるゴムの粒子が単数で、または複数凝集した塊で形成される。
具体的には、請求項2に記載されるように、前記粒子状の改質剤の平均粒径が0.02〜25μmであり、より具体的には、請求項3に記載されるように、前記ゴム状重合体の平均粒径が0.01〜20μmであるようにすることができる。すなわち、同ゴム状重合体は、前記ゴムの粒子が単数で、または複数凝集した塊で、その平均粒径が0.01〜20μmであるようにすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物において、前記改質剤のグラフト率が5〜50%であることを要旨とする。
上記構成によれば、前記改質剤のグラフト率が5〜50%であるため、ゴム状重合粒子の表面をグラフト鎖により形成された表層が覆う良好なミクロ相分離構造を形成することができるようになる。
ここで、請求項5に記載されるように、前記ビニルモノマーとしては、ポリ乳酸と相溶性の高いアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルおよび酢酸ビニルのいずれか一つを採用することができる。
さらに、請求項6に記載されるように、具体的には、前記ポリ乳酸樹脂(A)と前記改質剤(B)との重量比A/Bが99/1〜40/60であるとすることができる。
また、請求項7に記載されるように、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物は、前記ビニルモノマーが重合して形成されたホモポリマーを有するものであることもできる。ここで、ビニルモノマーがゴム状重合体にグラフト共重合されて形成されているポリマー、すなわちグラフト鎖を形成しているポリマーがグラフトポリマーに相当し、ゴム状重合体にグラフト共重合されずにビニルモノマーのみが重合して形成されているポリマーがホモポリマーに相当する。
具体的には、請求項8に記載されるように、前記ゴム状重合体100重量部に対して前記改質剤と前記ホモポリマーが合計量で101〜200重量部含まれるようにすることができる。
請求項9に記載の発明は、ポリ乳酸樹脂に同ポリ乳酸樹脂を改質する天然ゴム由来の改質剤が少なくとも混合されてなるポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法であって、天然ゴムおよび脱蛋白質化天然ゴムの少なくとも一方からなるゴム状重合体が分散した溶液にビニルモノマーを添加してグラフト化ゴム状重合体を形成する工程と、同反応液に酸を添加して前記グラフト化ゴム状重合体を凝集物として回収する工程と、前記凝集物を乾燥させて粉体化した粒子状の改質剤を得る工程と、前記改質剤と前記ポリ乳酸樹脂とを溶融混練する工程とを備えることを要旨とする。
上記製造方法によれば、ポリ乳酸樹脂の改質剤を得る工程として、天然ゴムおよび脱蛋白質化天然ゴムの少なくとも一方からなるゴム状重合体が分散した溶液にビニルモノマーを添加してグラフト化ゴム状重合体を形成する工程を備えている。この工程によって、非極性であるゴム状重合体の表面を、極性を有するグラフト鎖により形成される表層で覆う構造、すなわちミクロ相分離構造を有するグラフト化ゴム状重合体を形成することができる。このように極性を有するグラフト鎖は、高極性であるポリ乳酸との相溶性が良いため、乾燥させて粉体化して得られる粒子状の改質剤をポリ乳酸樹脂中に均一に分散させることができるようになる。すなわち、ポリ乳酸樹脂の耐衝撃性向上に寄与するゴム状重合体をポリ乳酸樹脂中に均一に分散させることができるようになる。
ところで、ゴム状重合体をグラフト化してグラフト化ゴム状重合体を形成した後、そのまま乾燥処理を施すと、回収されるグラフト化ゴム状重合体は、シート状の固形物となる。このようなシート状のグラフト化ゴム状重合体とポリ乳酸樹脂とを例えば二軸押出機を用いて溶融混練する場合にあっては、シート状のグラフト化ゴム状重合体を物理的に細かくしながら混練することとなる。この場合、前工程のグラフト化により形成されたグラフト化ゴム状重合体のミクロ相分離構造がランダムに切断され、非極性であるゴム状重合体が露出する虞がある。このように露出したゴム状重合体はポリ乳酸との相溶性が悪いため、改質剤であるグラフト化ゴム状重合体がポリ乳酸樹脂の中に均一に分散することを阻害する虞がある。
この点、形成されたグラフト化ゴム状重合体は、反応液に酸を添加することにより凝集物として回収して乾燥させることで、粉体化した粒子状のものとして回収することができる。このように、粉体化した粒子状のグラフト化ゴム状重合体を回収することにより、その後、同粒子状のグラフト化ゴム状重合体を改質剤としてポリ乳酸樹脂と溶融混練する際にも、物理的にミクロ相分離構造が破壊されることを抑制することができる。
すなわち、ミクロ相分離構造を保持したままポリ乳酸樹脂と混練される改質剤の割合を増加させることができ、その結果、前記改質剤をポリ乳酸樹脂中に均一に分散させることができるようになる。したがって、耐衝撃性を向上させたポリ乳酸/天然ゴム組成物を製造することができるようになる。
なお、グラフト化ゴム状重合体は、上記のようにシート状のものだけではなく、いかなる形状であっても比較的大きな塊で得られる場合には、同グラフト化ゴム状重合体が改質剤としてポリ乳酸樹脂と溶融混練される際に物理的に破壊される虞がある。すなわち、ポリ乳酸樹脂と相溶性の悪い非極性のゴム状重合体が露出する虞がある。したがって、改質剤がポリ乳酸樹脂中に均一に分散できるためには、同改質剤は細かい粒子状で回収されることが肝要である。
具体的には、請求項10に記載されるように、前記改質剤の平均粒径は0.02〜25μmとなるように形成し、より具体的には、請求項11に記載されるように、前記ゴム状重合体の平均粒径が0.01〜20μmとなるように形成することができる。
請求項12に記載の発明は、請求項9〜11のいずれか一項に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法において、前記改質剤のグラフト率が5〜50%であることを要旨とする。
上記構成によれば、前記改質剤のグラフト率が5〜50%であるため、ゴム状重合粒子の表面をグラフト鎖により形成された表層が覆う良好なミクロ相分離構造を形成することができるようになる。
ここで、請求項13に記載されるように、ビニルモノマーとしては、溶解度パラメーター(solubility parameter;SP値)がポリ乳酸と近接するアクリル酸エステル,メタクリル酸エステル,酢酸ビニルといった化合物を用いてグラフト化をすることが望ましい。
さらに、請求項14に記載されるように、具体的には、前記ポリ乳酸(A)と前記改質剤(B)との重量比A/Bが99/1〜40/60であるとすることができる。
本発明によれば、耐衝撃性を向上させたポリ乳酸/天然ゴム組成物を製造することができる。本発明にかかるポリ乳酸/天然ゴム組成物は、粒子状の改質剤がポリ乳酸樹脂中に分散されている。この改質剤は、ゴム状重合体の表面にビニルモノマーをグラフト共重合させて形成される表層を有するため、非極性であるゴム状重合体の表面を、極性を有するグラフト鎖により形成される表層で覆うミクロ相分離構造を形成している。この極性を有するグラフト鎖は、高極性であるポリ乳酸との相溶性が良いため、粒子状の同改質剤をポリ乳酸樹脂中に均一に分散させることができるようになる。すなわち、ポリ乳酸樹脂の耐衝撃性向上に寄与するゴム状重合体をポリ乳酸樹脂中に均一に分散させることができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。本発明にかかるポリ乳酸/天然ゴム組成物は、ポリ乳酸樹脂と同ポリ乳酸樹脂の改質剤が少なくとも混合されてなる。まず、ポリ乳酸樹脂および改質剤について詳述する。
(ポリ乳酸樹脂)
ここで、ポリ乳酸系樹脂とは乳酸を主成分とするポリエステルである。このポリ乳酸の合成方法としては特に限定されず、D−乳酸、L−乳酸の直接重合でもよく、乳酸の環状2量体であるD−ラクチド、L−ラクチド、meso−ラクチドの開環重合であってもよい。またポリ乳酸としては、L−乳酸由来のモノマー単位と、D−乳酸由来のモノマー単位のいずれか一方のみで構成されていてもよいし、また双方の共重合体であってもよい。また、L−乳酸由来のモノマー単位と、D−乳酸由来のモノマー単位の比率が異なる複数のポリ乳酸が任意の割合でブレンドされたものを用いてもよい。さらに、ポリ乳酸は、上述した乳酸又はラクチド成分に加えて、グリコリド、カプロラクトン等の他の重合性単量体成分が重合した共重合体を含んでいてもよい。また、これら他の重合性単量体が単独重合したポリマーがポリ乳酸にブレンドされていてもよい。このポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は、7万≦重量平均分子量<300万が好ましく、10万≦重量平均分子量≦150万がより好ましい。なお、本発明において重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値をいう。
(原料ラテックス)
本発明で改質剤を得るための原料となる天然ゴムラテックスとしては、天然ゴムの木から得られたラテックスおよび該ラテックスを処理したものを使用することができ、例えば、新鮮なフィールドラテックスや、市販のアンモニア処理ラテックス等を使用することができる。
また、本実施形態においては上記天然ゴムラテックスまたは下記に示す脱蛋白質化天然ゴムを任意の割合で混合したゴム状重合体を使用することができる。
(天然ゴムの脱蛋白質化)
天然ゴムラテックスの脱蛋白質化の方法は特に限定されないが、同ラテックスに蛋白質分解酵素等を添加して蛋白質を分解させる方法(特開平6−56902号公報)、石鹸等の界面活性剤により繰り返し洗浄する方法、尿素を用いる方法(特開2004−99696号公報)など、公知の方法により行うことができる。このうち、例えば本発明者らが先に提案した尿素を用いる方法は、適当な界面活性剤添加して安定化させた天然ゴムラテックスに、下記一般式(1)で表される尿素系化合物およびNaClOからなる群から選択される蛋白質変性剤を添加し、ラテックス中の蛋白質を変性除去した後、界面活性剤により洗浄して脱蛋白質化天然ゴムラテックスを得る方法である。ここで界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウムに代表されるアニオン系界面活性剤が好んで用いられる。
R1NHCONH (1)
(式中、R1はH、炭素数1〜5のアルキル基を表す)
なお、天然ゴムラテックスの脱蛋白質化は、天然ゴムの窒素含有率が0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下になるようにする。
(グラフト化)
天然ゴムおよび脱蛋白質化天然ゴムの少なくとも一方からなるゴム状重合体表面にビニルモノマーをグラフトさせるには、同ゴム状重合体のラテックス溶液にビニルモノマーおよび適当な重合開始剤を添加して反応させる。
なお、グラフトさせるとは、天然ゴムおよび脱蛋白質化天然ゴムの少なくとも一方からなるゴム状重合体とビニルモノマーとが化学的に結合してグラフト共重合体を形成することを意味する。また、グラフト化とは、ビニルモノマーがゴム状重合体と化学的に結合することを意味するとともに、グラフト化ゴム状重合体とは、このようにグラフト化されたゴム状重合体を意味する。
ビニルモノマーとしては、例えばメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸メチル,アクリル酸メチル,2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのメタクリル酸またはアクリル酸の誘導体や、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、ビニルピロリドン等のグラフト共重合可能なモノマーが挙げられる。
このうち、好適なモノマーとしては、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メチルなどの溶解度パラメーター(solubility parameter;SP値)がポリ乳酸と近接するモノマーが挙げられる。特にメタクリル酸メチル、酢酸ビニルが好ましく用いられる。
重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、過硫酸カリウムなどの過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。また、低温での重合を促進するために、過酸化物とその分解を促進する還元剤との組み合わせであるレドックス開始剤を用いることが望ましい。レドックス開始剤において使用される還元剤としては、第一鉄塩のほか亜硫酸塩やヒドロキシアミンなどがある。なお、レドックス開始剤における好ましい組み合わせ例としては、tert−ブチルハイドロパーオキサイドとテトラエチレンペンタミン、過酸化水素と第一鉄塩、過硫酸塩と酸性亜硫酸ナトリウムなどがある。
これらの重合開始剤の使用量は、単量体100重量部あたり、通常0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜3重量部の範囲で選ばれる。
重合開始剤を反応液に添加し、好ましい温度下で2〜10時間反応を行わせることにより、ゴム状重合体表面にビニルモノマーがグラフト化したグラフト化ゴム状重合体が得られる。なお、重合温度は、使用する開始剤の種類により異なるが、通常10〜100℃、好ましくは40〜80℃の範囲である。
反応後の溶液は、未反応のビニルモノマーを含んでいるため、同ビニルモノマーを減圧下で除去することによりグラフト化ゴム状重合体を得る。なお、透析、限外ろ過、抽出など公知の方法により精製してもよい。
(粉体としての粒子状改質剤の回収)
グラフト化終了後の反応液に酸を添加してグラフト化ゴム状重合体を凝集させて同グラフト化重合体をろ過回収した後、高温下乾燥処理を行うことにより粉体として粒子状の改質剤を得る。このようにグラフト化ゴム状重合体が凝集する理由としては、反応液に酸が添加されて、アニオン系界面活性剤のアニオン性が失われることが考えられる。そして、このような状態で高温下乾燥処理を行うことにより粒子状の改質剤を粉体として得ることができる。なお、乾燥は20〜80℃の範囲で行われることが望ましい。
添加する酸は特に限定されないが、グラフト化ゴム状重合体を変質させずに凝集させることのできる酸として、蟻酸、酢酸などの弱酸が好ましく用いられる。これらの酸は、グラフト化ゴム状重合体の凝集物が得られるまで撹拌しながら徐々に添加することが望ましい。
(ポリ乳酸/天然ゴム組成物の調製)
上記ポリ乳酸樹脂と上記改質剤とを、例えば1軸又は2軸押出機により所定温度で均一に溶融混練することにより、ポリ乳酸/天然ゴム組成物が調製される。改質剤の分散をよくする点では、1軸押出機よりも2軸押出機が適している。
具体的には、上記ポリ乳酸樹脂(A)と上記ポリ乳酸樹脂の改質剤(B)とを、重量比A/Bが99/1〜40/60の範囲になるように混合させてポリ乳酸/天然ゴム組成物を得る。なお、同組成物が使用される製品に応じて、所望とする特性(耐衝撃性、弾性等)が得られる好適な混合割合を実験等に基づいて決定することが望ましい。
なお、本実施形態のポリ乳酸系樹脂組成物には、その他の成分として、必要に応じて各種添加剤が同ポリ乳酸系樹脂組成物の物性を損なわない範囲で添加されてもよい。各種添加剤としては、例えば、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収(防止)剤、顔料、着色剤、静電気(帯電)防止剤、離型剤、香料、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤、発泡剤、可塑剤、加水分解防止剤、防曇剤、滑剤等が挙げられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
(評価方法)
本実施例においては、以下に示す各種評価方法を適用した。
(1)強度試験:曲げ強度(MPa)
規格(ISO178)に準拠して評価した。
(2)耐衝撃性試験:アイゾット(Izod)衝撃強度(kJ/m
規格(ISO180)に準拠して23℃にて評価した。
(3)成形性試験
熱板プレスにて試験片を成形する際に作業性や成形性、金型離型性に問題がないものを「○」と評価した。ここで、問題があるとは、金型から離型し難いことや著しく粘性が高いことなどを示す。
(4)ポリ乳酸/天然ゴム組成物中の改質剤分散状態の観察
四酸化オスミウムOsOにて染色した後、クライオミクロトームを用いて−30℃にて約100nmの超薄切片を作製した。同超薄切片を用いて透過型電子顕微鏡にて相分離構造を観察した。
(5)グラフト率
グラフト後の重合体の適量をアセトン/メチルエチルケトン混合溶液(体積比1/2)中に投入し、40℃にて72時間浸漬させながら約2時間毎に上記混合溶液を交換してホモポリマーを同混合溶液に溶解させた。その後、不溶性成分として得られたグラフト化ゴム状重合体を重クロロホルム溶媒へ溶解させ、H−NMR測定により、グラフト化ゴム状重合体中のグラフトポリマーの定量を行い、重量%としてグラフト率を求めた。
(実施例1)
(1)天然ゴムの脱蛋白質化
天然ゴムラテックスとして、GOLDEN HOPE PLANTATION製のsingleHAラテックス(ゴム分濃度60.2重量%、アンモニア分0.7重量%、ゴム粒子の平均粒径約1μm)を使用した。
このラテックスをゴム分の濃度が30重量%になるように希釈した後、ラテックスのゴム分100重量部に対してアニオン系界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム1.0重量部を添加し、ラテックスを安定化させた。次いで、このラテックスのゴム分100重量部に対して尿素0.1重量部を添加し、25℃で2時間撹拌により蛋白質分解処理を行った。その後、15℃において9000rpmで30分間の遠心分離処理を行い、上層のクリーム分を回収した。回収したクリーム分を、ドデシル硫酸ナトリウム1重量%水溶液にゴム分が30重量%となるように分散させ、2回目の遠心分離処理を上記と同様に行った。さらに3回目の遠心分離処理を行った後、回収したクリーム分をドデシル硫酸ナトリウム1重量%水溶液に分散させ、脱蛋白質化天然ゴムラテックスを得た。本実施例では、この脱蛋白質化天然ゴムラテックスのみをゴム状重合体として使用した。なお、この脱蛋白質化天然ゴムラテックスの窒素含有率は、0.02重量%であった。
(2)グラフト化ゴム状重合体の形成
窒素置換下の反応系において、上記脱蛋白質化天然ゴムラテックス(ゴム状重合体)に、tert−ブチルハイドロパーオキサイドおよびテトラエチレンペンタミンを、ラテックス中のゴム分1gに対して各々3.3×10−5molになるように室温で添加した。次いで、45℃にて、ラテックス中のゴム分1gに対して0.15gのメタクリル酸メチルを約1ml/minの速度で滴下して4時間反応を行った。反応後、未反応のメタクリル酸メチルを減圧除去してグラフト化ゴム状重合体を得た。ここで、メタクリル酸メチルのみが重合したホモポリマーと改質剤の合計量は、ゴム状重合体100gに対して113.1gであった。また、重合度を評価するグラフト率を前述の方法で求めたところ、グラフト化ゴム状重合体のグラフト率は7%であった。
(3)粉体化した粒子状の改質剤の回収
(2)で得られた反応液に、グラフト化ゴム状重合体の凝集物が得られるまで撹拌しながら蟻酸を徐々に添加した。次いで、同凝集物をろ過回収して水洗した後、同凝集物を50℃にて高温乾燥することにより、粉体として粒子状のグラフト化ゴム状重合体、すなわち改質剤を得た。
(4)ポリ乳酸/天然ゴム組成物のサンプルの調製
(3)で得られた改質剤20重量部をポリ乳酸樹脂(三井化学株式会社製「LACEA H−400」)80重量部に加え、溶融混練を行った。
具体的には、密閉型樹脂コンパウンド機(株式会社東洋精機製作所製「ラボプラストミルKF70V2」)を使用し、190℃で5分間、100rpmで混合しながら溶融混練しポリ乳酸/天然ゴム組成物を得た。次いで、200℃の熱板プレスにて所定の形状に成形するとともに、型内にて80℃で2時間アニール処理を行い、試験用サンプルを作製し、上記評価を行った。
(実施例2)
実施例1の(2)のグラフト化ゴム状重合体の形成において、上記グラフト化ゴム状重合体のグラフト率が10%、メタクリル酸メチルのみが重合したホモポリマーと改質剤の合計量が、ゴム状重合体100gに対して113.8gであるほかは、実施例1と同様にして試験用サンプルを作製し、上記評価を行った。
(実施例3)
実施例1の(2)のグラフト化ゴム状重合体の形成において、上記ビニルモノマーとして酢酸ビニルを使用したほかは、実施例1と同様にして試験用サンプルを調製し、上記評価を行った。
具体的には、ビニルモノマーとして酢酸ビニルを使用し、グラフト化ゴム状重合体を以下のとおりに調製した。すなわち、窒素置換下の反応系において、上記脱蛋白質化天然ゴムラテックス(ゴム状重合体)に、ラテックス中のゴム分1gに対して0.3gの過硫酸アンモニウムを室温で重合開始剤として添加した。次いで、70℃にて、ラテックス中のゴム分1gに対して0.3gの酢酸ビニルを約1ml/minの速度で滴下して4時間反応を行った。反応後、未反応の酢酸ビニルを減圧除去してグラフト化ゴム状重合体を得た。
なお、実施例3におけるグラフト化ゴム状重合体のグラフト率は7%、酢酸ビニルのみが重合したホモポリマーと改質剤の合計量は、ゴム状重合体100gに対して118.1gであった。
(比較例1)
実施例1で使用したポリ乳酸樹脂100重量部からなる試験用サンプルを作製し、上記評価を行った。
(比較例2)
実施例1で使用したポリ乳酸樹脂80重量部と実施例1で使用した天然ゴムラテックス、すなわちGOLDEN HOPE PLANTATION製のsingleHAラテックス(ゴム分濃度60.2重量%、アンモニア分0.7重量%、ゴム粒子の平均粒径約1μm)20重量部とを溶融混練してポリ乳酸/天然ゴム組成物を得た。その後、実施例1と同様にして試験用サンプルを作製し、上記評価を行った。
(比較例3)
実施例1で使用したポリ乳酸樹脂80重量部と、実施例1の(1)で調製した脱蛋白質天然ゴム20重量部とを溶融混練してポリ乳酸/天然ゴム組成物を得た。その後、実施例1と同様にして試験用サンプルを作製し、上記評価を行った。
(比較例4)
実施例1で使用したポリ乳酸樹脂80重量部に対し、メタクリル酸メチルを用いてグラフト率が30%になるようにグラフト化したグラフト化天然ゴム(INTER RUBBER LATEX社製「Mg30」)20重量部を溶融混練してポリ乳酸/天然ゴム組成物を得た。その後、実施例1と同様にして試験用サンプルを作製し、上記評価を行った。
(比較例5)
実施例1の(3)に記載した工程を行わずにポリ乳酸/天然ゴム組成物を得たほかは、実施例1と同様にして試験用サンプルを作製した。
具体的には、(2)においてゴム状重合体をグラフト化した後、未反応のビニルモノマーを減圧除去してから加熱乾燥させ、板状の改質剤を得た。次いで、得られた改質剤20重量部とポリ乳酸樹脂(三井化学株式会社製「LACEA H−400」)80重量部とを溶融混練して、ポリ乳酸/天然ゴム組成物を得た。その後、実施例1と同様にして試験用サンプルを作製し、上記評価を行った。
なお、比較例5におけるグラフト化ゴム状重合体のグラフト率は7%であった。
(評価結果)
実施例1〜3,比較例1〜5を評価した結果を表1に示す。
上記表1によれば、以下のことが分かる。
(1)実施例1〜3では、改質前のポリ乳酸樹脂(比較例1)と比較し、明らかなアイゾット衝撃強度の向上がみられた。
なお、比較例2,比較例3においてはアイゾット衝撃強度の向上がみられなかったことから、ゴム状重合体(天然ゴム、脱蛋白質化天然ゴム)20重量部をポリ乳酸樹脂に混合することでは耐衝撃性が向上しないことが分かった。
さらに、比較例4,比較例5と比較しても、実施例1,実施例2は顕著なアイゾット衝撃強度の向上がみられた。ここで、比較例4は、固形物として入手した市販のグラフト化天然ゴムをポリ乳酸樹脂に混合したポリ乳酸/天然ゴム組成物である。また、比較例5は、実施例1,実施例2と同一手順によりメタクリル酸メチルを用いてグラフト化した後、グラフト化ゴム状重合体の粉体回収を行わずにポリ乳酸樹脂に混合して得たポリ乳酸/天然ゴム組成物である。すなわち、比較例4,比較例5は、改質剤となるグラフト化ゴム状重合体を粉体回収することの効果を実施例1,実施例2と比較できるものである。このことより、改質剤を粉体回収することにより、耐衝撃性が顕著に向上することが分かった。
(2)実施例1〜3は、比較例1と比較して曲げ強度は減少するものの、アイゾット衝撃強度が向上した。このことより、比較例1では、曲げ強度が106MPaと必要以上に高い一方でアイゾット衝撃強度が32kJ/mと低く、弾性力と耐衝撃性とのバランスが悪いために折れやすく脆い製品になりやすい性質を有していたのに対し、実施例1〜3では弾性力と耐衝撃性とのバランスが良い性質を備えたポリ乳酸/天然ゴム組成物が得られたことが分かった。一方、比較例2〜4では曲げ強度が激減するとともにアイゾット衝撃強度の向上もみられなかった。なお、グラフト化ゴム状重合体の形成において、ビニルモノマーとして酢酸ビニルを使用した実施例3は、ビニルモノマーとしてメタクリル酸メチルを使用した実施例1と比較して、曲げ強度が若干高くアイゾット衝撃強度は若干低くなったが、比較例1と比較して曲げ強度とアイゾット衝撃強度のバランスが良い性質となった。
(3)実施例1〜3は、いずれも成形性が「○」で良好であり、これらを使用して樹脂成形品を製造する上で問題が生じないことが確認された。
上記評価結果になった理由としては、図1の実施例1のポリ乳酸/天然ゴム組成物の透過型電子顕微鏡写真に示されるように、ゴム状重合体(黒色部)が粒子状で同組成物中に均一に分散するとともに、同ゴム状重合体の表面に形成されたグラフト鎖がポリ乳酸樹脂と相溶していることが挙げられる。すなわち、同組成物は、ゴム状重合体(黒色部)が島、ポリ乳酸樹脂(白色部)が海の海島構造を形成するとともに、これら島と海との境界において同ゴム状重合体の表面に形成されたグラフト鎖がポリ乳酸樹脂と相溶することにより、同グラフト鎖を介してゴム状重合体とポリ乳酸樹脂とが密接に結び付いた構造を形成している。なお、分散する改質剤の粒径は0.1〜5μmであるとともに、ゴム状重合体の粒径は0.05〜4.5μmであった。
また、実施例3のポリ乳酸/天然ゴム組成物においても、図2に示されるように、ゴム状重合体(島)が粒子状で同組成物中に均一に分散している。さらに、図4(a)に併せて示されるように、ゴム状重合体(島)とポリ乳酸樹脂(海)との境界において、ゴム状重合体の表面に形成されたグラフト鎖がポリ乳酸樹脂中に伸びて相溶していることが分かる。したがって、実施例3のポリ乳酸/天然ゴム組成物は、前記グラフト鎖を介してゴム状重合体とポリ乳酸樹脂とが密接に結び付いた構造を形成している。
これに対し、比較例3のポリ乳酸/天然ゴム組成物では、図3に示されるように、ゴム状重合体(島)が均一に分散せず、ポリ乳酸樹脂のみで形成された部分(例えば部分A)が存在する。また、図4(b)に併せて示されるように、非極性であるゴム状重合体と高極性であるポリ乳酸との間に前記グラフト鎖に相当する部分が存在せずに境界面が形成されている。
以上詳述した実施例1〜3によれば、次の効果が得られる。
(1)ポリ乳酸樹脂の改質剤を得る工程として、ゴム状重合体が分散した溶液にビニルモノマー(メタクリル酸メチルまたは酢酸ビニル)を添加してグラフト化ゴム状重合体を形成する工程を備えているため、非極性であるゴム状重合体の表面を、極性を有するビニルモノマーが重合してなるグラフト鎖により形成される表層で覆う構造、すなわちミクロ相分離構造を有するグラフト化ゴム状重合体を形成することができる。このように極性を有するグラフト鎖は、高極性であるポリ乳酸との相溶性が良いため、乾燥させて粉体化して得られる粒子状の改質剤をポリ乳酸樹脂中に均一に分散させることができるようになる。すなわち、ポリ乳酸樹脂の耐衝撃性向上に寄与するゴム状重合体をポリ乳酸樹脂中に均一に分散させることができるようになる。したがって、耐衝撃性を向上させたポリ乳酸/天然ゴム組成物が得られる。
(2)グラフト化ゴム状重合体の形成後、反応液に弱酸である蟻酸を添加して凝集させて回収した後に乾燥させることにより、粉体化した粒子状のグラフト化ゴム状重合体、すなわち改質剤を得たため、ポリ乳酸樹脂と溶融混練する際にも、物理的に改質剤のミクロ相分離構造が破壊されることを抑制することができる。したがって、グラフト化ゴム状重合体のミクロ相分離構造がランダムに切断されることがなく、非極性であるゴム状重合体が露出することを抑制することができるため、同改質剤をポリ乳酸樹脂中に均一に分散させることができるようになる。
(3)グラフト率が7%、または10%であるため、ゴム状重合粒子の表面をグラフト鎖により形成された表層が覆う良好なミクロ相分離構造を形成することができるようになる。すなわち、極性のあるグラフト鎖により形成された相にゴム状重合体が分散した構造をとることができるようになる。
(4)ビニルモノマーとして、ポリ乳酸と相溶性の高いメタクリル酸エステルまたは酢酸ビニルを使用しているため、粒子状の改質剤をポリ乳酸樹脂中により均一に分散させることができるようになる。
実施例1で得られたポリ乳酸/天然ゴム組成物の透過型電子顕微鏡写真。 実施例3で得られたポリ乳酸/天然ゴム組成物の透過型電子顕微鏡写真。 比較例3で得られたポリ乳酸/天然ゴム組成物の透過型電子顕微鏡写真。 (a)は実施例3で得られたポリ乳酸/天然ゴム組成物、(b)は比較例3で得られたポリ乳酸/天然ゴム組成物についてゴム状重合体とポリ乳酸との境界部分をそれぞれ示す透過型電子顕微鏡写真。

Claims (14)

  1. ポリ乳酸樹脂に同ポリ乳酸樹脂を改質する天然ゴム由来の改質剤が少なくとも混合されてなるポリ乳酸/天然ゴム組成物であって、
    前記改質剤は、天然ゴムおよび脱蛋白質化天然ゴムの少なくとも一方からなるゴム状重合体と、同ゴム状重合体の表面にビニルモノマーをグラフト共重合させて形成される表層とを有し、粒子状の前記改質剤が前記ポリ乳酸樹脂中に分散されてなる
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物。
  2. 請求項1に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物において、
    前記粒子状の改質剤の平均粒径が0.02〜25μmである
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物。
  3. 請求項1または2に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物において、
    前記ゴム状重合体の平均粒径が0.01〜20μmである
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物において、
    前記改質剤のグラフト率が5〜50%である
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物において、
    前記ビニルモノマーは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルおよび酢酸ビニルのいずれか一つである
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物において、
    前記ポリ乳酸樹脂(A)と前記改質剤(B)との重量比A/Bが99/1〜40/60である
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物において、
    前記ビニルモノマーが重合して形成されたホモポリマーを有する
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物。
  8. 請求項7に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物において、
    前記ゴム状重合体100重量部に対して前記改質剤と前記ホモポリマーが合計量で101〜200重量部含まれる
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物。
  9. ポリ乳酸樹脂に同ポリ乳酸樹脂を改質する天然ゴム由来の改質剤が少なくとも混合されてなるポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法であって、
    天然ゴムおよび脱蛋白質化天然ゴムの少なくとも一方からなるゴム状重合体が分散した溶液にビニルモノマーを添加してグラフト化ゴム状重合体を形成する工程と、同反応液に酸を添加して前記グラフト化ゴム状重合体を凝集物として回収する工程と、前記凝集物を乾燥させて粉体化した粒子状の改質剤を得る工程と、
    前記改質剤と前記ポリ乳酸樹脂とを溶融混練する工程とを備える
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法。
  10. 請求項9に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法において、
    前記粒子状の改質剤の平均粒径は0.02〜25μmである
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法。
  11. 請求項9または10に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法において、
    前記ゴム状重合体の平均粒径が0.01〜20μmである
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法において、
    前記改質剤のグラフト率が5〜50%である
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法。
  13. 請求項9〜12のいずれか一項に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法において、
    前記ビニルモノマーはアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルおよび酢酸ビニルのいずれか一つである
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法。
  14. 請求項9〜13のいずれか一項に記載のポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法において、
    前記ポリ乳酸樹脂(A)と前記改質剤(B)の重量比A/Bが99/1〜40/60である
    ことを特徴とするポリ乳酸/天然ゴム組成物の製造方法。
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